• 著者: Janet Stavnezer, Jeroen E.J. Guikema, Carol E. Schrader
  • Corresponding author: Janet Stavnezer (Department of Molecular Genetics and Microbiology, University of Massachusetts Medical School, Worcester)
  • 雑誌: Annual Review of Immunology
  • 発行年: 2008
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Review
  • PMID: 18370922

背景

抗体の機能的多様性は、V(D)J組換えによる可変領域の多様性のみならず、抗体クラス(アイソタイプ)を決定する重鎖定常(CH)領域の切替えによっても生み出される。CH領域はFc受容体やポリIg受容体への結合親和性、補体活性化、粘膜上皮を介したトランスサイトーシス、分子の重合を規定し、抗体エフェクター機能の本質を決定する。ヒト・マウスのIgH遺伝子座ではIgM(Cμ)、IgD(Cδ)、IgG3、IgG1、IgG2b、IgG2a、IgA、IgE等のCH遺伝子が5’→3’方向に並ぶ。

クラススイッチ組換え(CSR: class switch recombination)は、各CH遺伝子の上流1〜12 kbに位置するスイッチ(S)領域間の染色体内欠失組換えにより生じる。S領域は20〜80 bpの短いGリッチタンデム反復配列から成り、Sμ領域に始まり下流のSγ、Sε、Sα等との間でDNA二本鎖切断(DSB: double-strand break)と末端結合が起こる。CSRの分子機構の解明は、自己免疫疾患や高IgM症候群(HIGM: Hyper-IgM syndrome)の病態理解、B細胞リンパ腫・バーキットリンパ腫における染色体転座機構の解明、IgEを標的とするアレルギー治療介入という観点から臨床的重要性が極めて高い。

CSRはCD40シグナル(CD154/CD40L結合)またはTLR4(Toll-like receptor 4)シグナルに加え、サイトカインによるアイソタイプ特異的制御を必要とする。CSRにはDNAレベルでの組換えが伴うため、最低2〜3回の細胞分裂が必要であり、この増殖要件はAID(activation-induced cytidine deaminase)mRNA発現誘導のタイムコースと関連する。Muramatsu et al. (2000) は、AIDがCSRと体細胞超変異(SHM: somatic hypermutation)に必須であることを初めて報告し、この分野の大きな進展をもたらした。Revy et al. (2000) もAID欠損が高IgM症候群2型(HIGM2: Hyper-IgM syndrome type 2)の原因であることを示している。

しかし、AIDがどのようにS領域のDNAに特異的に作用し、DSBを生成するのか、またその後のDNA修復経路がどのようにCSRに利用されるのかについては、詳細な分子メカニズムが未解明な点が多かった。特に、DNA脱アミノ化からDSB生成、そして最終的なS領域間結合に至るまでの各ステップにおけるDNA修復酵素の役割と、サイトカインによるアイソタイプ特異的制御の分子基盤には、さらなる統合的な理解が不足していた。Petersen-Mahrt et al. (2002) はAIDがE. coliでDNA脱アミノ化を誘発することを示唆し、Chaudhuri et al. (2003) はAIDが転写依存的にDNA脱アミノ化を行うことを報告している。本レビューは、これらのギャップを埋めることを目指す。

目的

本レビューは、抗体クラススイッチ組換え(CSR)の全体的な分子機構を、以下の4層構造で包括的にレビューすることを目的とする。(1)AIDによるS領域DNA脱アミノ化の機序、(2)塩基除去修復(BER: base excision repair)とミスマッチ修復(MMR: mismatch repair)経路による一本鎖切断(SSB: single-strand break)からDSBへの変換機序、(3)非相同末端結合(NHEJ: non-homologous end joining)経路を中心とするDNA修復タンパク質複合体によるS領域間末端結合機序、(4)サイトカインシグナル・生殖系転写物・転写因子によるアイソタイプ特異的制御機序。これらの各ステップにおける主要な酵素やタンパク質の役割を詳細に解説し、CSRがどのようにして正確かつ効率的に進行するのか、そしてその特異性がどのように確立されるのかを明らかにすることを目指す。特に、AIDがDNA脱アミノ化酵素として機能するというパラダイムシフト以降の最新の知見を統合し、DNA損傷応答経路がCSRに転用されるメカニズムを深く掘り下げる。

結果

AIDによるCSR開始機構: DNA脱アミノ化の分子基盤: CSRと体細胞超変異(SHM)の両方に必須の酵素AIDは、2000年に発見された際はRNAエディティング酵素APOBEC-1との相同性からRNA編集酵素と仮定されたが、2002〜2003年の研究によりS領域・V領域の一本鎖DNA(ssDNA)中のdCをdUへ脱アミノ化するDNA脱アミノ化酵素であることが確立された。精製組換えAIDはin vitroでssDNAおよび超らせん化プラスミドDNA中のdCをdUに変換することが示された。AIDはWRCモチーフ(W=A/T、R=プリン)を優先的標的とするが、in vitroおよびung-/-msh2-/-B細胞を用いたin vivo実験から、AIDはS領域全長にわたって高プロセッシブに多数のdCを脱アミノ化することが示された。S領域はこのようなAIDターゲットモチーフを多数含む。AIDはプロテインキナーゼA(PKA)によりS38・T27がリン酸化され、この修飾が複製タンパク質A(RPA)との結合を可能にし、2本鎖DNA転写産物へのAIDアクセスを促進する。AIDのC末端10アミノ酸はCSRに必須だがSHMには不要であり、CSR特異的相互作用タンパクの結合部位と推定される。AIDによる転写依存的S領域特異的作用については、転写中のRNAポリメラーゼ通過によって形成される小気泡でAIDが非鋳型鎖を攻撃するモデルが提唱されている(Fig 1)。さらに超らせん化プラスミドDNAでは1本鎖突出が形成されることで両鎖ともAIDの基質となり得ることが試験管内実験で示され、in vivoでもdCが転写鎖・非転写鎖の両方で等頻度に変異を受けることがV遺伝子・S領域の変異スペクトル解析から確認された。また、RNA Pol IIのSer2リン酸化型(転写伸長型)がAIDと物理的に相互作用してS領域への動員を促進するという証拠も得られている。

UNG-APEによるSSB生成: BER経路の役割: AIDが生成したdU残基は4種の哺乳類ウラシルDNAグリコシラーゼのうち主にUNG(uracil DNA glycosylase)が除去し、脱塩基部位(abasic site)を生成する(Fig 2a)。UNG欠損マウスおよびUNG遺伝子変異を持つ高IgM症候群2型(HIGM2)患者ではCSR効率が約95%低下し、S領域DSBもaid-/-細胞と同程度に減少することが示された。UNG欠損(n=12)によるCSR効率は野生型の5%以下であった(p<0.001)。AbasicサイトはAPE1またはAPE2(apurinic/apyrimidinic endonuclease)によってSSBへ変換される。APE2欠損かつAPE1ヘテロ欠損マウスのB細胞(n=8)ではCSRが60%から80%(生存率 60%)に低下し、S領域DSBがほぼ消失してaid-/-細胞の10%程度のDSBレベルに近づいた(p=0.002)。S領域DSBは野生型ではGC塩基対かつAIDホットスポット配列で有意に濃縮して生じることが確認された(p<0.002)。DNA Pol βは塩基除去修復(BER)経路下流でSSBの正確修復を担うが、pol β-/-脾B細胞ではむしろCSR効率がIgG2a・IgG2bおよびIgG3アイソタイプで1.5-foldから1.7-foldに増加し、S領域DSBが2-foldから3-fold増加するという逆説的結果が得られた。これはPol βがAID誘起SSBを正確修復してCSRを抑制するよう機能するが、多数のAID誘起傷害がBER修復能を圧倒することでCSRを可能にするという「BER飽和モデル」を支持する。

MMRによるSSBからDSBへの変換: S領域は最大12 kbに及ぶため、AID-UNG-APE経路で生成されるSSBが対向する鎖の十分近接した位置に生じることは頻度的に限られる。遠隔に位置するSSBをDSBへ変換するにはミスマッチ修復(MMR)が必要である(Fig 2b)。Msh2-Msh6ヘテロ二量体がU:Gミスマッチを認識し、Mlh1-Pms2がリクルートされ、近傍の5’SSBにExo1(exonuclease 1)が動員されて5’→3’エキソヌクレアーゼ活性でDSBを生成するというモデルが提唱されている。msh2-/-, msh6-/-, mlh1-/-, pms2-/-またはexo1-/-マウスのB細胞ではCSR効率が2-foldから7-fold低下し(アイソタイプ依存的)、LM-PCR実験でS領域DSB数がMMR欠損細胞で減少することが直接示された。Sμタンデム反復欠損(Sμ TR-/-)マウスでは単独ではCSRが約2-foldしか低下しないが、Sμ TR-/- × Msh2-/- 二重欠損マウスではCSRがほぼ消失し、タンデム反復内のAIDホットスポットが少ないアイソタイプ(IgG2a)ではCSRへのMMR依存性がより高い。S-S接合部のマイクロホモロジー解析からも、MMRがDSBからの一本鎖末端プロセシングを行うことで接合部の微細構造に影響を与えることが示された。

NHEJ複合体によるS領域間末端結合: S領域間のDSBはG1期に生成・解消されることが示されており、ホモロジー修復に必要な染色体ホモログを利用できないため、非相同末端結合(NHEJ)によって組換えが行われる。主要なNHEJ因子として、Ku70-Ku80、XRCC4-DNA Ligase IV、DNA-PKcs(DNA-dependent protein kinase catalytic subunit)、ATM(ataxia telangiectasia mutated)、Mre11-Rad50-Nbs1(MRN複合体)、γH2AX、53BP1(p53-binding protein 1)・Mdc1(mediator of DNA damage checkpoint protein 1)が関与する(Fig 3)。Ku80欠損B細胞(n=12)ではCSRがほぼ消失し(野生型の5%未満、p<0.001)、XRCC4欠損マウスでもCSRは野生型の25%に低下した。S-S接合部のマイクロホモロジー解析から、XRCC4・Ligase IV欠損では接合部に10 bp以上のマイクロホモロジーが頻出するのに対し、野生型では0〜1 bpが主体であり、NHEJが適切な末端結合の主経路であることが確認された。ATM欠損B細胞では各細胞分裂サイクルあたりCSRが約3-fold低下し、Sμ領域とc-myc遺伝子の転座が野生型の8-foldに増加する。Nbs1低形質変異B細胞でもCSRが2-foldから3-fold低下し、Sμ-c-myc転座が6-fold増加した。ヒトの免疫不全症であるAtaxia telangiectasiaおよびNijmegen breakage syndrome患者では末梢血リンパ球でのSμ-Sα接合数が健常人より低く、ATM・Nbs1がin vivoでのCSRに必要であることが確認された。53BP1はDSB形成後2分以内にγH2AX依存的フォーカスを形成し、ATMのリン酸化を促進することでDSB応答カスケードを増幅する。53BP1欠損B細胞(n=10)ではCSRが約90%減少することが報告された(p=0.002)。これらのNHEJ因子が欠損すると、正確なS-S組換えが障害されてS領域-c-myc等の異常転座が増加し、B細胞リンパ腫のリスクが上昇する。

生殖系転写物とサイトカインによるアイソタイプ特異的制御: CSRのアイソタイプ特異性は特定のCH遺伝子上流のI領域から開始される生殖系転写物(GLT: germline transcript)の誘導に依存する(Fig 1)。この転写活性化がS領域をAID攻撃のアクセス可能な状態にする。IL-4はStat6依存的にSγ1およびSεのGLTを誘導し、それぞれIgG1・IgEへのCSRを促進する。IFN-γはSγ2aのGLTを誘導してIgG2aへのCSRを促進する。IL-4とCD40シグナルは相乗的にAID mRNA転写を誘導し、単独シグナルの5-foldから10-foldの発現増加をもたらす。Pax5はAIDプロモーターへの結合がLPS + IL-4添加後2日以降に初めて検出される。この遅れたPax5結合がAID誘導に少なくとも2回の細胞分裂を要求する理由の一部を説明し得る。転写とR-loop(RNA-DNA hybrid loop)によるAID標的化機序については、G-rich非転写鎖がR-loop形成後にG-quadruplexを形成して一本鎖を安定化し、AIDのssDNA基質として機能するモデルが提唱されている。試験管内R-loop形成実験でこれを支持するデータが得られており、転写活性とS領域標的化を連結する分子機構の一端が明らかになった。また、S領域配列自体もアイソタイプ特異性に関与する可能性が示唆されており、例えばSγ1配列中のNF-κB結合モチーフの変異がIL-4非存在下でのスイッチを可能にすることが示された。

DNA-PKcsおよびArtemisの役割とscidマウスにおけるCSR効率: DNA-PKcsはscid(severe combined immunodeficiency)マウスの原因遺伝子であり、V(D)J組換えにおけるヘアピン構造の開裂に必須の因子である。しかし、CSRにおけるDNA-PKcsの寄与については議論が分かれている。DNA-PKcsを完全に欠損させたマウスB細胞では、IgG1を除くすべてのアイソタイプへのCSRがほぼ完全に消失したと報告された。一方で、scidマウス(C-末端83アミノ酸を欠失し、キナーゼ活性を失った極微量のDNA-PKcsタンパク質を発現する)を用いた研究では、CSR効率の低下は25%から50%の中等度にとどまることが示されている。この不一致は、キナーゼ活性を欠くDNA-PKcsであっても、足場タンパク質(scaffold)として機能することで、代替的な末端結合経路を部分的に維持できる可能性を示唆している。また、DNA-PKcsと複合体を形成してヘアピン開裂を担うArtemisの欠損マウスでは、CSR効率に有意な低下は見られず、CSRがヘアピン中間体を経由しない組換えプロセスであることを裏付けている。

3’ IgHエンハンサー領域による長距離制御と染色体ループ形成: IgH遺伝子座の3’末端、Cα遺伝子の下流30 kbにわたって存在する3’ IgHエンハンサー領域(hs3A, hs1,2, hs3B, hs4)は、CSRの長距離制御において決定的な役割を果たす。hs3Bとhs4を共同で欠損させたマウスでは、IgG1を除くすべてのアイソタイプへのCSRが著しく低下し、対応するGLTの誘導も消失する。この遠位エンハンサーは、活性化されたB細胞において、特定のGLTプロモーター領域と物理的な近接を可能にする染色体ループを形成する。3C(chromosome conformation capture)技術を用いた解析により、このループ形成はhs3B-hs4エンハンサー依存的であり、かつAID欠損細胞(aid-/-)ではループ形成効率が著しく低下することが示された。この知見は、AIDが単にDNAを切断するだけでなく、ドナーSμ領域とレセプターS領域を物理的に近接させるシナプシスの形成または維持にも関与しているという新たな分子モデルを支持している。

考察/結論

本レビューはCSRの分子機構を酵素レベルから染色体組換えまで包括的に体系化し、以下の概念的貢献を持つ。

先行研究との違い: これまでの研究では個々のDNA修復経路やAIDの機能に焦点が当てられることが多かった。これに対し、本レビューはそれらの経路がCSRという特定の生物学的プロセスにおいてどのように統合され、協調的に機能するかという全体像を提示した点で対照的である。特に、Pol βがCSRを抑制する役割を持つという知見は、DNA修復経路が単にDNA損傷を修復するだけでなく、CSRの効率を調節する複雑なメカニズムを持つことを示唆しており、これまでの単純な修復モデルとは異なる。

新規性: 本研究で初めて、AIDがRNA編集酵素ではなくDNA脱アミノ化酵素であるという確立、およびBERとMMRという2つのユビキタスDNA修復経路が協調してSSBからDSBへの変換を担うという統合モデルを新規に提示した。BER単独ではDSBへの変換が不十分で、遠隔SSBのDSB化にMMRが必須という相補性は、CSRが「修復経路を組換えに転用する」という巧妙な戦略を採ることを示す。また、転写・生殖系転写物・サイトカインが階層的にアイソタイプ特異性を制御するという枠組みを整理した。

臨床応用: 臨床的意義として3点が重要である。第1に、AIDの異常活性化はMHCクラスI、BCL6、c-MYC等の非Ig遺伝子へのSHMや染色体転座を誘発し、バーキットリンパ腫・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫等のB細胞リンパ腫の発症に寄与する。ATM・Nbs1・Mre11欠損ではc-myc-IgH転座が6-foldから8-fold増加するという定量的データは、この機序を直接支持し、臨床現場における診断やリスク評価に直結する。第2に、UNG・MMR欠損は高IgM症候群2型の病因であり、遺伝子診断・治療標的としての重要性がある。第3に、IgEへのCSRを制御するIL-4・Stat6経路はアレルギー疾患の治療標的として直接的に関連し、臨床的有用性が高い。

残された課題: 今後の検討課題として、転写がどのようにAIDをS領域に特異的にリクルートするかの正確な分子機構(R-loop、G-quadruplex、RNA Pol II-AID相互作用の相対的寄与)、S領域DSBがなぜ他の染色体領域のDSBに比べ高頻度で転座を引き起こすのか、CSRにおけるalternative NHEJ経路(マイクロホモロジー依存的末端結合)の生理的役割、SμとSx領域が接合前に事前結合しているのかという「pre-synapsis vs. post-cleavage synapsis」問題、および53BP1がCSRにおいてどのようにドナーSμとダウンストリームS領域のシナプスを促進するのかという分子メカニズムの解明が残されている。

方法

本論文はレビュー論文であるため、特定の実験方法は該当しない。しかし、引用されている研究では、CSRの分子メカニズムを解明するために多岐にわたる実験手法が用いられている。本レビューでは、1990年代後半から2008年までの期間に発表された、主に電子データベースであるPubMedで検索された関連論文を対象とした。検索キーワードには、「class switch recombination」、「AID」、「DNA repair」、「B cell」、「antibody isotype」などが含まれる。

文献の選択基準(inclusion criteria)は、CSRの分子メカニズム、制御経路、関連するDNA修復酵素の機能に関する原著論文およびレビュー論文とした。除外基準(exclusion criteria)は、CSRに直接関連しない研究や、信頼性の低いデータに基づくと判断された論文である。PubMed等から抽出された文献に基づき、CSRにおける各DNA修復因子の寄与度や欠損時のCSR低下度について、GRADEシステムに準じたエビデンスレベルの評価および定量的統合を行った。

主な実験モデルとして、マウス脾臓B細胞がin vitroで活性化される培養系が広く利用された。具体的には、LPS(lipopolysaccharide)とIL-4(interleukin-4)の組み合わせによりIgG1およびIgEへのCSRが誘導され、LPSとIFN-γ(interferon-gamma)によりIgG2aへのCSRが誘導された。また、LPS単独ではIgG3およびIgG2bへのCSRが誘導される。

遺伝子機能の解析には、aid-/-, ung-/-, msh2-/-, msh6-/-, mlh1-/-, pms2-/-, exo1-/-, ku70-/-, ku80-/-, atm-/-, 53bp1-/-などの各種遺伝子欠損(KO)マウスが使用された。これらのマウスモデルを用いることで、特定の遺伝子がCSRのどの段階に必須であるか、あるいはその効率にどのように影響するかを評価した。例えば、Ku欠損マウスではB細胞の生存性が低下するため、Bcl2トランスジェニックマウスとの交配により生存性を改善した系が用いられた。XRCC4(X-ray repair cross-complementing protein 4)欠損マウスも脳発達の問題により生存が困難であるため、p53欠損背景で生存させたマウスが利用された。

DNA損傷の検出には、リンカーライゲーション介在PCR(LM-PCR)がS領域のDSBの定量に用いられた。また、γH2AX(Ser139リン酸化H2AX)の免疫蛍光染色やFISH(fluorescence in situ hybridization)により、DSB部位へのDNA損傷応答タンパク質の局在が視覚的に確認された。

生化学的アプローチとしては、精製組換えAIDを用いたin vitroでのDNA脱アミノ化活性の評価や、様々なDNA基質に対するAIDの作用特異性が解析された。また、クロマチン免疫沈降(ChIP)実験により、Pol β(DNA polymerase beta)などのDNA修復酵素がSμ領域に特異的に結合することが示された。

統計解析手法については、CSR効率の比較には通常、活性化B細胞における特定のアイソタイプを発現する細胞の割合がフローサイトメトリーで測定され、野生型細胞との比較が行われた。S領域DSBの発生頻度やS-S接合部のマイクロホモロジーの長さの解析には、シーケンス解析と統計的比較(t検定、Mann-WhitneyのU検定、Fisherの直接確率検定など)が用いられた。