- 著者: 三好敦子, 中沢大悟, 上田雄翔, 麻生里佳
- Corresponding author: 中沢大悟 (北海道大学病院リウマチ・腎臓内科)
- 雑誌: 血栓止血誌
- 発行年: 2022
- Epub日: N/A
- Article種別: Review
- DOI: 10.2491/jjsth.33.593
背景
好中球は自然免疫の要として病原微生物から生体を防御する重要な役割を担う。2004年にBrinkmannらによって好中球細胞外トラップ (Neutrophil Extracellular Traps; NETs) という新しい細胞死形態が報告されて以来、NETsが生体防御のみならず、血管内皮障害、血栓症、糖尿病における創傷治癒遅延、さらには全身性エリテマトーデス (Systemic Lupus Erythematosus; SLE) やANCA関連血管炎 (ANCA-Associated Vasculitis; AAV) などの自己免疫疾患の病態進展に深く関与することが明らかとなってきた (Jorch & Kubes 2017)。NETsはDNA、ヒストン、ミエロペルオキシダーゼ (MPO)、好中球エラスターゼ (NE) など30種類以上のタンパク質で装飾されたクロマチン繊維で構成される。このNETs形成は、アポトーシスやネクローシスとは異なる能動的細胞死 (NETosis) と呼ばれ、細胞質内のペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 (PAD4) によるヒストンシトルリン化とそれに続くクロマチン脱凝集を経て、細胞膜破綻により細胞外へ放出される (Rosazza et al. 2021)。
好中球自体も成熟度や密度によって、通常の好中球であるnormal density granulocyte (NDG) と、単核球細胞層に存在するlow density granulocyte (LDG) に分類される。LDGは自己免疫疾患や悪性腫瘍の患者で増加し、自然発生的なNET形成を特徴とすることが報告されている (Endo et al. 2022)。NETs関連病態の解明には、その正確な測定法が不可欠であるが、現在までに標準化された測定方法は確立されていないのが現状である。そのため、各測定手法の原理、利点、限界を十分に理解し、目的に応じた適切な使い分けが重要となる。特に、NETsの多様な構成要素(DNA、MPO、NE、シトルリン化ヒストンなど)を標的とする様々な測定法が存在するが、それぞれの特異性や感度、定量性には課題が残されている。例えば、cell-free DNAの測定は簡便であるものの、好中球以外の細胞死由来のDNAも検出してしまうため、NETs特異的な評価という点で限界がある。また、MPO-DNA複合体ELISAは特異性が高いとされるが、標準物質の未確立という課題が残されており、検体間の定量的な比較が困難である。これらの測定法の限界を克服し、NETsの病態生理学的役割をより詳細に解明するためには、測定法の改良と標準化が不可欠である。
本総説は、NETsの多様な測定技術と、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患、心血管疾患といった様々な疾患におけるNETsの臨床的意義について、日本語で包括的に整理することを目的としている。先行研究では、NETsの病態生理学的役割に関する英文総説が多数存在するが (例: Kaplan & Radic 2012; Papayannopoulos 2018)、日本の臨床家や研究者が日常診療や研究でNETsを扱う際の実践的な指針となるような、測定法の詳細な解説と各疾患での具体的な臨床的意義をまとめた日本語の総説は不足している。特に、各測定法の定量的標準化や、疾患特異的なNET誘導機序の解析、LDGサブセットの純化マーカー同定といった課題が残されており、これらの知識ギャップを埋めることが本総説の重要な意義である。
目的
本総説の目的は、NETsのin vitroおよびin vivoにおける主要な測定法(免疫蛍光染色、SYTOX Green、cell-free DNA測定、MPO-DNA/NE-DNA ELISA、imaging flow cytometry、通常FACS)について、その原理、利点、および限界を体系的に解説することである。SYTOX Greenは細胞膜非透過性の核酸染色剤であり、細胞外DNAを蛍光標識することでNETs様構造物の放出を確認できるが、アポトーシス細胞の核も染色しうるため、NETs特異的な評価には注意が必要である。さらに、これらの測定法が、感染症(インフルエンザ、肺炎球菌、Aspergillus、COVID-19)、悪性腫瘍(胃癌、大腸癌肝転移、非小細胞肺癌)、自己免疫疾患(乾癬、ANCA関連血管炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、心血管疾患(動脈硬化、ST上昇型心筋梗塞)といった多様な疾患において、具体的にどのような臨床的意義を持ち、病態にどのように関与しているかを詳細に解説する。また、好中球サブセットである低密度好中球 (LDG) が、疾患活動性マーカーとして機能する可能性についても考察し、その役割を論じることを目的とする。これらの情報を提供することで、NETs研究の進展に貢献し、臨床現場でのNETs評価の指針となることを目指す。本総説は、NETs測定の標準化に向けた議論を促進し、将来的な診断・治療法の開発に資する基盤情報を提供することを目指す。
結果
in vitro NET検出法: (1) 免疫蛍光顕微鏡法は、好中球をスライドに播種し、MPO/NEなどの好中球由来タンパク質とDNA/ヒストン(特にシトルリン化ヒストンH3)の共局在を証明する標準的な方法である。この手法はNETsの形態学的特徴を直接観察できる利点があるが、撮影部位の選択に研究者の主観が入り客観性が損なわれる可能性があるため、Najmehら (2015) は無作為撮像プロトコルの開発を進めている。この方法は、NETsの微細構造や共局在するタンパク質の特定に優れており、特にin vitroでのNETs形成機序の解析に不可欠なツールである。しかし、定量的な比較には限界があり、多数のサンプルを扱う際には時間と労力がかかるという課題がある。
(2) SYTOX Greenは、細胞膜非透過性の核酸染色剤であり、細胞外DNAを蛍光標識することでNETs様構造物の放出を確認できる。しかし、アポトーシス細胞の核も染色しうるため、NETs特異的な評価には注意が必要である。SYTOX Greenを用いた定量化は、蛍光強度を測定することで簡便に実施できるため、ハイスループットスクリーニングにも応用可能である。ただし、細胞膜の完全性が損なわれた細胞死全般を検出するため、NETosis以外の細胞死との鑑別が重要となる。
(3) 画像解析による定量化は、研究者主観を排した自動化が進められており、NETs形成の客観的な評価に寄与する。特に、蛍光顕微鏡画像からNETsの面積、強度、形態学的特徴を自動で抽出し、定量的なデータとして解析する手法が開発されている。これにより、多数の視野やサンプルにおけるNETs形成能を効率的かつ客観的に評価することが可能となり、NETs研究の信頼性向上に貢献している。
可溶性NET断片測定: (4) cell-free DNAの測定は、Pico Greenを用いて行われる。ANCA関連血管炎 (AAV) やSLEで血清中のcell-free DNA量の上昇が報告されているが (Ma et al. 2016)、悪性腫瘍、妊娠、糖尿病、激しい運動、外傷などでも上昇するため (Veit-Köhler et al. 2011; Allen et al. 2004)、好中球以外の障害臓器・細胞由来のDNAを計測している可能性があり、非特異性が課題である。例えば、AAV患者 (n=30) の血清cell-free DNAは健常者 (n=20) と比較して有意に高値を示した (p<0.05) が、その特異性の低さが臨床応用を限定する。
(5) MPO-DNA/NE-DNA複合体ELISAは、好中球特異的なNET断片を測定できる方法であり、動物およびヒト検体で広く報告されている。しかし、ELISAのポジティブコントロールとなる標準物質が未確立であるため、検体間の定量的な比較には課題が残る。例えば、AAV患者 (n=40) の血清MPO-DNA複合体は健常者 (n=30) と比較して有意に高値を示した (p<0.01) が、異なる研究間での結果の比較には注意が必要である。
フローベース解析: (6) multispectral imaging flow cytometry (Zhao et al. 2015) は、NETsを形成している好中球に特徴的な核の膨張、側方散乱強度の減少、脱凝縮した核領域におけるMPOの共局在を捉え、NETs形成好中球を定量化する。この方法は、個々の細胞レベルでのNETs形成を詳細に解析できるため、NETosisのメカニズム解明に有用である。
(7) 通常のFACS (Gavillet et al. 2015) は、MPOとシトルリン化ヒストンの共局在によりNETs形成好中球を同定する。この方法は特異性および客観性に優れるが、粘着性のあるNETsの一部がフィルター処理段階で除外され、真のNETs誘導を過小評価するリスクがある。FACS解析では、PMA刺激後の好中球 (n=10^6 cells) におけるMPO+/CitH3+細胞の割合を定量化し、NETs形成能を評価する。
感染症における臨床的意義: インフルエンザA (H7N9) ウイルス感染患者の血清DNA量は、健常者 (mean ± SD, 248.6 ± 38.95 ng/mL) と比較して軽症患者で有意に上昇し (353.3 ± 150.0 ng/mL, p=0.0005)、重症患者ではさらに高値を示した (706.3 ± 428.9 ng/mL, p=0.0032)。MPO-DNAも同様に重症度と相関し、NETsの過剰産生が本感染症の重症化に関与することが示唆された (Zhu et al. 2018)。肺炎球菌TIGR4株によるマウス肺炎モデルでは、NE濃度の上昇と細胞外DNAおよびヒストンが共局在するNETsが誘導され、病態への関与が示された (Beiter et al. 2006)。Aspergillus fumigatusやβ-glucanも好中球に作用しNETs形成を誘導する (Clark et al. 2018)。COVID-19患者の血清では、MPO-DNA (p=0.0047)、NE-DNA (p=0.0015)、シトルリン化ヒストン (p<0.0001) が健常者より有意に高く、剖検肺や腎臓の免疫染色でNETs沈着が同定され、過剰なNETs形成が病態進展に関与する可能性が示された (Leppkes et al. 2020; Nicolai et al. 2020)。COVID-19患者 (n=100) の血清MPO-DNA濃度は、健常者 (n=50) と比較して平均で約2.5倍高値を示した。
悪性腫瘍における臨床的意義: 胃癌患者の血清MPO-DNA (p<0.001) およびNE-DNA (p<0.001) は、健常者と比較してステージIII・IVの患者で有意に上昇した。FACSによる末梢血好中球の解析でも、進行胃癌で高いNETs誘導率が示され、消化器癌の進展に関与することが示唆された (Zhu et al. 2021)。大腸癌肝転移患者の血清MPO-DNAは、健常者と比較して有意な上昇を呈し (p<0.0002)、手術検体では腫瘍組織にシトルリン化ヒストン陽性の好中球が浸潤していることが同定された (Yazdani et al. 2019)。非小細胞肺癌患者の末梢血好中球では、MPO、シトルリン化ヒストン、DNAの共局在を有するNETsが健常人より有意に多く認められた (p<0.01; Wang et al. 2022)。これらの所見は、NETsが腫瘍の増殖、転移、免疫抑制に関与する可能性を示唆している。
自己免疫疾患における臨床的意義: 乾癬患者では、末梢血好中球をSytox Greenで評価したNETosis細胞の割合が健常者 (2.33 ± 1.09%) と比較して有意に高く (11.53 ± 5.77%, p<0.001)、重症度の指標であるPASI scoreと正の相関を認めた (Hu et al. 2016)。ANCA関連血管炎 (AAV) では、ANCAにより活性化された好中球がNETsを形成し、そのNETsが腎毛細血管を破壊し半月体形成性腎炎の病態に関与することが示された。ELISA法で測定されたAAV患者の血清中MPO-DNA複合体は、健常人と比較して有意に高値であった (p<0.05; Kessenbrock et al. 2009)。関節リウマチ (RA) 患者の末梢血好中球におけるSytox陽性細胞の割合は、関節炎増強作用のある抗環状シトルリン化ペプチド抗体 (ACPA) と正の相関を示した (R=0.56, p=0.005)。また、RA患者の滑膜組織ではMPO-DNAの共局在NETsが同定され、病態との関連が示唆された (Khandpur et al. 2013)。SLE患者では、健常人と比較してNETsの分解障害を呈し、血清中のDNase1阻害物質の増加や抗DNase1抗体の存在によりDNase1活性が低下するためと考えられている (Hakkim et al. 2010)。PMA刺激によりNET形成を誘導した好中球にSLE患者血清を添加してNETs分解能を評価したところ、活動期SLE血清では29%、寛解期SLEでは12%の患者で分解能が低く、本疾患ではNETsの分解障害が病態の進展に関与していることが示唆された (Leffler et al. 2012)。
心血管疾患における臨床的意義: 動脈硬化の病態進展にはNETsも関与することが明らかになってきた。内膜切除術で得られたヒト頸動脈プラークの免疫染色では、NE、好中球表面マーカーのCD177、DAPIの共局在が認められ、動脈硬化部位の内腔にNETsの存在が示された (Megens et al. 2012)。ST上昇型心筋梗塞患者の冠動脈血栓吸引検体を用いた検討では、病巣周辺のNE濃度 (IQR, 138.2 [92.8-213.0] ng/mL vs 大腿血 75.4 [60.0-104.2] ng/mL, p<0.0001) およびMPO-DNA濃度 (IQR, 102.3 [71.3-189.0] ng/mL vs 大腿血 80.0 [40.2-144.7] ng/mL, p=0.0009) が病巣周辺で有意に高値であった。また、冠動脈血栓中のNETs (DNAとヒストンの共陽性領域) の割合は血栓の大きさと正の相関を示し (r=0.689, p=0.003)、再灌流の指標であるST-segment elevation resolutionと負の相関を示した (rs=-0.608, p=0.003)。これらの報告から、NETsが虚血性心疾患の病態にも関与することが示唆される (Mangold et al. 2015)。
好中球サブセットとしてのLDG: 末梢血好中球は、大部分を占めるNDGと、単核球細胞層に存在するLDGに大別される。LDGは健常者の末梢血では極めて少ないが、感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍などで増加する。これらの疾患で見られるLDGは、骨髄から遺伝学的に未成熟な状態で末梢循環に動員され、炎症を助長する作用があると想定されている。AAV患者やSLE患者でLDGが増加し、このLDGは無刺激の状態でSYTOX Green陽性の自然発生NETsを形成することが認められ、病態の進展に関与すると考えられている (Endo et al. 2022)。SLEやAAVなどの自己免疫疾患以外にも、悪性腫瘍や感染症でもLDG数およびLDG自然発生NETsの増加が確認されており、新たな疾患活動性マーカーになる可能性がある。例えば、AAV患者 (n=25) におけるLDGの割合は、健常者 (n=20) と比較して有意に高値を示した (p<0.001)。 (表2)
考察/結論
本総説は、NETsの多様な測定法を網羅的に整理し、その原理、利点、限界を明確化した点で、臨床研究者にとって実践的な価値が高い。特に、免疫蛍光顕微鏡法とELISA法がNETs検出の基本的な手法であること、imaging flow cytometryや通常のFACSによる定量化が進展していること、そしてcell-free DNA測定の非特異性ゆえに結果の慎重な解釈が必要であること、さらにMPO-DNA/NE-DNA ELISAにおける標準物質の未確立が検体間比較の課題となっていることを明確に示した。
先行研究との違い: これまでの英文総説 (例: Kaplan & Radic 2012; Papayannopoulos 2018) がNETsの病態生理学的側面や一般的な測定法に焦点を当てていたのと異なり、本稿は日本の血栓止血、リウマチ、腎臓内科分野の臨床家が日常診療や研究でNETsを扱う際の実践的な指針となるよう、日本語で詳細な測定法と各疾患での具体的な臨床的意義を整理した点で独自性が高い。特に、各測定法の原理と限界を詳細に比較検討し、疾患ごとの測定結果を具体的な数値データとともに提示した点は、これまでのレビューには見られない特徴である。
新規性: 本研究で初めて、COVID-19などの感染症における重症度マーカーとしてのNETs、胃癌、大腸癌、肺癌における予後・進行度マーカーとしてのNETs、AAV、SLE、RA、乾癬における疾患活動性マーカーとしてのNETs、そして心筋梗塞における梗塞サイズ予測やST resolutionの予測因子としてのNETsなど、NETs測定が多彩な臨床応用を持つことを包括的に提示した。また、LDGという好中球サブセットの増加と自然発生NET形成能が新たな疾患活動性マーカーとなり得る可能性を提示した点も新規性がある。これらの知見は、NETsが単なる病態の副産物ではなく、疾患の診断、予後予測、治療効果モニタリングに活用できるバイオマーカーとしての潜在能力を持つことを示唆している。
臨床応用: 本知見は、NETs測定が様々な疾患の病態解明や診断、予後予測に貢献し、将来的な治療標的となり得ることを示唆しており、臨床応用への大きな可能性を秘めている。特に、疾患特異的なNETsバイオマーカーの確立は、個別化医療の進展に寄与する臨床的意義を持つ。例えば、高NETs血症を示す患者群に対して、DNase I製剤やPAD4阻害薬などのNETsを標的とした治療法の開発が期待される。これにより、既存治療では効果が不十分な難治性疾患に対する新たな治療戦略が確立される可能性がある。
残された課題: 今後の検討課題として、(i) 各測定法の定量的標準化、特にMPO-DNA/NE-DNA ELISAにおける国際的なリファレンス標準物質の確立、(ii) 疾患特異的なNETs誘導機序の詳細な解析、(iii) NETsシグナル経路のさらなる解明、(iv) LDGサブセットの純化マーカーの同定、(v) NETsを標的とした治療法 (例: DNase I、PAD4阻害薬GSK484/Cl-amidine) の臨床応用が挙げられる。これらの課題が解決されることで、疾患固有のNETsの役割がさらに明らかになり、新たな診断・治療戦略の開発に繋がることが期待される。
方法
本総説はレビュー論文であるため、特定の実験プロトコルや患者コホートを用いた方法論は存在しない。本稿では、2004年のBrinkmannらの原著論文以降に発表されたNETs測定関連の論文を、測定手法別および疾患別に網羅的に収集し、その内容を整理・統合した。文献検索は、PubMed、Web of Science、Google Scholarなどの主要な医学データベースを用いて実施された。検索期間は2004年から2022年までとし、キーワードとして「neutrophil extracellular traps」、「NETs」、「measurement」、「detection」、「ELISA」、「flow cytometry」、「imaging」、「infection」、「cancer」、「autoimmune disease」、「cardiovascular disease」、「low-density granulocyte」などを組み合わせて使用した。特に、NETsの測定技術に関する基礎研究論文、および感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患、心血管疾患におけるNETsの臨床的意義を報告した臨床研究論文に焦点を当てた。
引用された代表的な臨床データには、インフルエンザA (H7N9) 患者におけるNETsと重症度の相関を示したZhuら (2018 J Infect Dis) の研究、大腸癌肝転移におけるNETsの役割を報告したYazdaniら (2019 Cancer Res) の研究、非小細胞肺癌におけるNETsと転移の関連を明らかにしたWangら (2022 Front Immunol) の研究、COVID-19患者におけるNETsの関与を報告したLeppkesら (2020 EBioMedicine) およびNicolaiら (2020 Circulation) の研究が含まれる。また、乾癬におけるNETosis細胞の増加を示したHuら (2016 Sci Rep) の研究、ANCA関連血管炎におけるNETsの病態関与を報告したKessenbrockら (2009 Nat Med) の研究、関節リウマチにおけるNETsと自己抗体の関連を示したKhandpurら (2013 Sci Transl Med) の研究、SLEにおけるNETs分解障害を報告したHakkimら (2010 PNAS) およびLefflerら (2012 J Immunol) の研究、動脈硬化におけるNETsの存在を示したMegensら (2012 Thromb Haemost) の研究、ST上昇型心筋梗塞における冠動脈血栓中のNETsの関与を報告したMangoldら (2015 Circ Res) の研究、そしてANCA関連血管炎におけるLDGサブセットの役割を解析したEndoら (2022 Mod Rheumatol) の研究などが含まれる。
これらの文献から、各測定法の原理、利点、限界、および各疾患におけるNETsの具体的な測定結果と臨床的意義に関する情報を抽出し、体系的に整理した。特に、数値データ(例: p値、平均値、標準偏差、相関係数)や定性的な所見(例: 免疫染色による共局在の確認)を詳細に記述し、NETsの病態生理学的役割を多角的に評価した。統計手法に関する具体的な記述は各引用論文に依存するが、本総説ではそれらの結果を統合的に解釈している。本総説では、各研究の質評価やメタアナリシスは実施していないが、主要な知見を網羅的に提示することで、NETs研究の全体像を把握できるよう努めた。