- 著者: Horns F, Martinez JA, Fan C, Haque M, Linton JM, Tobin V, Santat L, Maggiolo AO, Bjorkman PJ, Lois C, Elowitz MB
- Corresponding author: Felix Horns (California Institute of Technology; felix@caltech.edu) / Michael B Elowitz (California Institute of Technology; melowitz@caltech.edu)
- 雑誌: Cell
- 発行年: 2023
- Epub日: N/A
- Article種別: Original Article
- PMID: 37437570
背景
RNAは細胞の情報キャリアとして、その状態を「読み取り」(scRNA-seqなどによる転写状態の解析)、「書き込み」(mRNA発現による細胞状態の制御)する強力なインターフェースを提供する。しかし、RNAは通常それを産生した細胞の内部に閉じ込められており、これが分子解析や細胞間コミュニケーションへの利用を大きく制限していた。細胞からRNAをプログラム可能に輸出する能力は、生細胞の解析と制御の両面で新たな可能性を拓く。
RNA輸出は、細胞の非破壊的な動態計測を可能にする。シングルセルRNAシーケンシングやハイブリダイゼーションベースのアッセイは、ゲノムスケールで個々の細胞の分子タイプや状態を解読することを可能にし、生物医学に革命をもたらした Zheng et al. NatCommun 2017。しかし、解析のためにRNAに物理的にアクセスするには、一般的に細胞の溶解や固定が必要であり、個々の生細胞の動態を時間経過とともに追跡することはできなかった。細胞外小胞 (EV) や細胞死によってRNAが自然に細胞外に分泌され、このRNAをシーケンシングすることで、健康や疾患のバイオマーカーを非破壊的に明らかにできることが示されている (Koh et al. 2014, Xi et al. 2017, Toden et al. 2020)。しかし、自然なRNA分泌速度は極めて少量 (1細胞当たり数分子/時間オーダー) であり、細胞外RNAアッセイの感度と情報量を制限していた (Piffoux et al. 2021, Auber et al. 2022)。既存の手法では、細胞集団や状態に関する情報をコードするRNA分子を効率的に輸出するシステムが不足しており、自然な細胞外RNAアッセイと比較して感度と情報量を向上させた非破壊的な細胞動態計測を可能にするための技術的な課題が残されている。
RNA輸出は、細胞の挙動を操作する新たな方法も開拓する。RNAがタンパク質をコードし、遺伝子発現を制御する能力は、細胞の挙動をプログラム可能に制御する可能性を秘めている。しかし、この能力の治療的利用は、組織内の特定の細胞集団へのRNA送達における課題によって依然として制限されている (Bulaklak et al. 2020)。細胞がRNAを輸出するように工学的に改変する能力は、組織にホーミングし、標的細胞を認識し、受容細胞内で多様な機能(遺伝子発現の変更、細胞運命の再プログラミング、疾患状態の細胞の選択的殺傷など)を実行するRNA回路を局所的に送達できる治療用「送達細胞」を創出する可能性を提示する (Weber et al. 2020)。この戦略は、細胞が組織に浸潤し、細胞ベースのセンシングとロジックを利用して局所的なRNA送達を条件付きで制御できるため、組織特異性や標的特異性を達成する上で他の送達ベクターが遭遇する困難を回避できる可能性がある。このビジョンの基礎となるのは、RNAカーゴを効率的に輸出し、非工学的な受容細胞によるRNAの取り込みと発現を可能にするシステムである。
ウイルス様粒子 (VLP) やEVは、RNAの輸出と送達のための魅力的なプラットフォームである。ウイルス構造タンパク質(カプシドを形成する)とRNAパッケージングシグナル (PS) との自然な相互作用は、VLP内でRNAをパッケージングし、細胞間で転送するために利用されてきた (Galla et al. 2004, Hamann et al. 2014, Mock et al. 2014, Segel et al. 2021)。しかし、これらのアプローチは、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) やモロニーマウス白血病ウイルス (MMLV) などのレトロウイルス性カプシドタンパク質に依存することが多く、これらはウイルスRNAに対する結合特異性が低く、他のRNAも容易に結合するため (Adkins et al. 1981, Giles et al. 2004, Evans et al. 2004, Rulli et al. 2007, Kutluay et al. 2014)、カーゴRNAの特異的ローディングに課題を抱えていた。VLP (Prel et al. 2015, Lu et al. 2019) やEV (Hung et al. 2016, Kojima et al. NatCommun 2018, Wang et al. 2018) は、RNA結合タンパク質をカプシドやEVに組み込まれたタンパク質に融合させ、カーゴRNAを対応する相互作用配列でタグ付けすることにより、カーゴRNAローディングの選択性を向上させるために工学的に改変されてきた。これらのアプローチは、in vivoでのRNA送達を可能にしてきたが (Raguram et al. 2022)、カーゴローディングと分泌の非効率性 (Hung et al. 2016, Kojima et al. NatCommun 2018), カーゴ容量の制限と送達後のカーゴ発現の低さ (Hung et al. 2016)、またはVLPアセンブリを阻害するカプシド修飾 (Ma et al. 2002, Rein et al. 2011) と分泌を妨げる可能性のある課題 (Prel et al. 2015) を抱えており、さらなる開発が未解明であった。
理想的なRNA輸出システムは、これらの制限を克服し、いくつかの重要な特徴を備えている必要がある。第一に、哺乳類細胞からRNAを効率的に輸出し、高感度な計測と強力な送達を可能にすること。第二に、工学的に改変されたバーコードやカーゴなどの標的RNAを選択的に輸出できること。第三に、輸出されたRNAを細胞外RNaseによる分解から保護すること。第四に、受容細胞でカーゴRNAの送達と発現を可能にすること。最後に、輸出システムコンポーネントの発現が、発現細胞に最小限の擾乱しか与えないことである。これらの特徴を持つRNA輸出システムは、多用途なRNAベースのレポーターおよび送達プラットフォームを構築するために使用できる。
目的
本研究は、ウイルスカプシドおよびデザイナーナノケージに着想を得たプログラマブルなRNA輸出系「COURIER (Controlled Output and Uptake of RNA for Interrogation, Expression, and Regulation)」を開発し、以下の2つの応用を実証することを目的とした。
- RNAバーコードの分泌・シーケンシングによる生細胞の非破壊的かつクローン解像度での集団ダイナミクス計測。
- フュゾジェン統合ナノ粒子による受容細胞へのmRNA送達と機能発現。
これらのシステムは、細胞ダイナミクスの計測を可能にし、細胞間RNA送達に基づくハイブリッド細胞・遺伝子治療の基盤を確立することを目指す。
結果
ウイルスベースエクスポーターの段階的工学的改良と特異性の向上: MMLV Gagシステムは、MMLV PSタグ付きカーゴRNAを上清中に330倍濃縮して分泌したが、PSタグのない非標的RNAも118倍と大量に共輸出したため、特異性が不十分であった (Figure 1E)。これに対し、HIV Gag-MCPシステムでは、MS2タグ付きカーゴRNAを850倍濃縮しつつ、非標的RNAの濃縮を2倍に低減し、特異性が著明に改善した (Figure 1H)。さらに、ヌクレオカプシドZF2ドメインをロイシンジッパーホモオリゴマー化ドメインで置換したGagZip-MCPでは、非標的RNAの輸出が検出限界以下となり、高度の特異性を達成した (Figure 1K)。Gag-MCPシステムにおける標的RNAの蓄積速度は1,012 ± 52分子/細胞/時間と定量された (Figure S1E)。RNA-seqによるゲノムスケール解析では、MMLV Gagで輸出上清中の標的RNA分率が4%であったのに対し、EPN24-MCPでは81%まで向上した (Figure 3D)。全てのウイルスエクスポーターによって分泌されたRNAは、RNaseチャレンジに対して完全な保護を示し、脂質膜内包が証明された (Figure 1L)。Gag-MCPによってパッケージングおよび分泌されたRNAは、培養上清中で6日間インキュベート後も95%がインタクトであり、半減期は19.0 ± 10.7日であった (Figure S1M)。また、全マウス血中では24時間インキュベート後もRNAの分解は検出されなかった (Figure S1N)。
ナノケージEPN24-MCPの高性能とモジュール性: 9種類のナノケージバリアントのスクリーニングにより、4種類が高効率なRNA輸出を示し、EPN24-MCPが最高効率を達成した (Figure 2D)。EPN24-MCPによる輸出速度はGag-MCPと同程度であり (Figure S2A)、MS2タグのコピー数に依存して調整可能であった (Figure S2B)。EPN24-MCPは直径約120 nmの小胞を分泌し (Figure 2E, S2C)、輸出されたRNAはRNase分解から完全に保護された (Figure 2F)。この保護は界面活性剤処理により消失し、RNAが脂質エンベロープ粒子内にパッケージングされていることを示唆した。EPN24-MCPシステムのカーゴ容量は少なくとも9.8 kbに達することが確認された (Figures S2G-S2I)。ESCRT経路のモジュレーターであるNEDD4LおよびCITの共発現により、RNA輸出速度が最大387%増強された (Figure S2K)。EPN24-MCPシステムは、K562 (ヒトリンパ芽球) 細胞、CHO細胞、n=3 mouse fibroblastsを含む複数の細胞種および哺乳類種でRNA輸出能を維持した (Figure 4A-D)。また、MCPをPP7バクテリオファージコートタンパク質 (PCP) に置き換えたEPN24-PCPも機能し、RNAターゲティング特異性のモジュラーエンジニアリングが可能であることを示した (Figure S2M)。エクスポーター発現細胞は形態学的に正常であり (Figure S4A)、増殖速度 (Figure S4B) や細胞死率 (Figure S4C) に有意な変化を示さず、内在性遺伝子発現も蛍光タンパク質発現細胞と比較して有意な偏差はなかった (Figure S4D)。
ゲノムスケールでのRNA輸出特異性とバイアスの特性評価: RNAシーケンシングによるゲノムスケール解析では、標的RNAの絶対量はMMLV Gag、Gag-MCP、EPN24-MCPの存在下で約1,000倍、GagZip-MCPの存在下で174倍高かった (Figures 3B, 3C)。輸出特異性はエクスポーターの世代ごとに向上し、MMLV Gagでは上清RNAリードの4%しか標的RNAが占めなかったのに対し、EPN24-MCPでは81%に達した (Figure 3D)。非標的 (内在性) RNAの輸出は、MMLV Gagで345倍濃縮されたが、EPN24-MCPでは2倍、GagZip-MCPでは無視できるレベルにまで減少した (Figure S3A)。輸出されたRNAの遺伝子相対量は、細胞内RNAのそれと強く相関しており (Figure 3E)、カーゴRNAとミトコンドリアRNA (mtRNA) を除けば、エクスポーターが細胞質mRNAトランスクリプトームのサンプルを偏りなく分泌することを示唆した。
非破壊的クローン細胞集団ダイナミクス計測の精度と感度: 輸出バーコードのシーケンシングは、細胞内RNAのバーコード存在量と強い正相関を示し (Pearson r=0.53)、非破壊的計測の精度を証明した (Figure 5D)。n=2 technical replicates間の再現性はPearson r=0.85であり、84%のバーコードが両複製で検出された (Figure 5E)。シングルセル感度の検討では、1日の時間解像度でウェル内に導入した10個の異なるクローンバーコードを輸出する細胞のうち、平均5.2 ± 3.2個のユニークバーコードが検出され (Figure S5G)、単細胞検出感度は81%以上と推定された。薬剤選択実験では、ピューロマイシン耐性およびゼオシン耐性の2集団の動態を輸出バーコードで正確に追跡し、耐性集団の指数的増殖と感受性集団の急速な消滅をクローンレベルで解像した (Figure 5F, 5G)。個々のクローンの増殖速度分布も細胞カウントと一致した (Figure 5I)。
細胞間mRNA送達と機能的発現: VSV-Gシュードタイプ化EPN24-MCPは、Cre mRNAを受容細胞集団の50.0% ± 3.5%に送達し、recombinationを誘導した (Figure 6C)。これは、直接transfectionによる最大活性75.6% ± 1.9%の66%に達する高効率であった (Figure S7A)。フュゾジェン、エクスポーター、またはタグのいずれかを欠損させた対照実験では、recombinationはほぼ消失した (p<0.001)。mCherry蛍光タンパク質mRNAの送達では、上清移行3時間後には既に発現が検出され、12時間後には受容細胞の65%で検出可能な発現が確認された (Figures S7E, S7F)。2種類の蛍光タンパク質mRNAの同時送達では、n=60%の受容細胞で両カーゴの発現を確認し、2者の発現は強い正相関を示した (Figure 6E)。共培養系では、1.8 mmギャップを挟んで空間的に離れた送信細胞から受容細胞への送達が確認され、送達率は送信細胞からの距離に依存せず、培地中の対流的輸送を示唆した (Figure 7C)。GagZip-MCPではRNA送達は達成できず (Figure S7B)、EPN24-MCPに固有の特性であることが示された。
考察/結論
本研究は、生細胞からRNAを効率的かつ特異的に輸出するCOURIERシステムを確立し、非破壊的細胞集団モニタリングと細胞間RNA送達という2つの応用を実証した合成生物学の重要な論文である。
先行研究との違い: これまでのVLP (Virus-Like Particle) 系RNAデリバリー技術と比較して、GagZip-MCPおよびEPN24-MCPは非特異的RNA輸出をほぼゼロに近い水準に抑えた点で際立った改善を達成した。特に、GagZip-MCPはHIV GagのヌクレオカプシドドメインのRNA結合活性をロイシンジッパーで置換することで、自己集合とRNA結合の機能を分離し、特異性を大幅に向上させた。これは、ウイルス性カプシドの非モジュラー性という工学的限界を克服する点で、これまでの設計と対照的である。また、ナノケージEPN24-MCPは、RNA結合ドメインの交換 (MCPからPCPへ) でも機能することから、従来のウイルスベースのシステムよりも高い拡張性を示す。Cre mRNA送達において、粒子濃縮なしで50%の受容細胞でrecombinationを誘導したことは、これまでのVLPベース系より高い効率を達成したものである。
新規性: 本研究で初めて、遺伝子コード化されたRNAエクスポーターCOURIERシステムを開発し、その効率性、特異性、および保護能力を定量的に特性評価した。特に、RNAバーコードの輸出とシーケンシングにより、生細胞集団の非破壊的かつクローン解像度での動態をモニタリングする新規な手法を確立した。さらに、フュゾジェンを組み込んだナノ粒子を介して、受容細胞への機能的mRNA送達と発現を効率的に実現できることを新規に実証した。これらの成果は、細胞ダイナミクス計測と、細胞間RNA送達に基づくハイブリッド細胞・遺伝子治療の基盤を確立するものである。
臨床応用: 本研究の知見は、がん研究や細胞治療に大きな臨床的意義を持つ。バーコードベースの細胞集団追跡技術は、CAR-T細胞のin vivo動態の非破壊的縦断モニタリング、腫瘍クローン進化の経時追跡、薬剤耐性クローンの早期検出を可能にし、患者の血中や生体液からRNA液体生検を非侵襲的に実現する可能性を秘めている。細胞間RNA送達は、腫瘍内への「RNA治療回路を運ぶ細胞ベクター」という新概念を提示する。これは、従来のウイルスベクターが不得意とする腫瘍浸透や選択的局所投与を、生細胞の組織浸潤能で代替する新たな戦略の基盤となり、将来的な臨床応用が期待される。
残された課題: 今後の検討課題として、本研究が限られた細胞株パネルでの評価であるため、多様な細胞種やin vivo系での性能検証が必要である。VSV-Gは非選択的フュゾジェンであり、特定のターゲット細胞への特異的送達には、代替フュゾジェンの探索と最適化が残された課題である。また、EVとの自然分泌経路との相互作用や、エクスポーターコンポーネントの潜在的な免疫原性の評価も未解決であり、臨床応用には免疫回避の問題が残る。カーゴ容量の最大値や、標的RNAと非標的RNA間のパッケージング競合のゲノムスケールでの特性評価も今後の研究で明らかにする必要がある。
方法
RNAエクスポーターの設計と工学的改良: RNAエクスポーターは、(1) 特定のRNA分子を捕捉するRNA結合タンパク質、(2) それらのRNAをパッケージングして分泌する自己集合性カプシドまたは小胞、(3) 分泌されたRNAを標的細胞に送達するフュゾジェン、の3種類のモジュラータンパク質コンポーネントを組み合わせて設計された。まず、レトロウイルス性カプシドタンパク質に基づく3世代のウイルスベースエクスポーター (MMLV (Moloney Murine Leukemia Virus) Gag → HIV (Human Immunodeficiency Virus) Gag-MCP (MS2 bacteriophage coat protein) → GagZip-MCP) を構築した。MMLV Gagは、その3’非翻訳領域 (3’UTR) にMMLV PS (パッケージングシグナル) を持つカーゴRNAと共にHEK293T細胞に一過性に発現させた。次に、MMLV GagカプシドをHIV Gagカプシドに置き換え、MS2バクテリオファージコートタンパク質 (MCP) をHIV Gagに融合させ、MS2ヘアピンアプタマー (8-12リピート) を標的RNAのexport tagとして付加したGag-MCPシステムを構築した。さらに、HIV GagのヌクレオカプシドドメインのRNA結合活性を、ロイシンジッパーホモオリゴマー化ドメインで置換したGagZip-MCPを設計した。各世代でRNA積載効率、特異性、粒子形成を評価した。
ナノケージベースエクスポーターの設計: デザイナータンパク質に基づく合成RNAエクスポーターとして、60サブユニット12面体デザイナーナノケージ (EPN: enveloped protein nanocage) に基づく9種のバリアントを設計した。これらは、3種類の異なるEPNプロトマーアーキテクチャと、各アーキテクチャ内でMCPを3つの異なる位置に融合させたもので構成される。これらのバリアントをスクリーニングし、最高効率を示したEPN24-MCPを主要エクスポーターとして選択し、詳細な評価を行った。EPN24-MCPの輸出速度をESCRT (endosomal sorting complex required for transport) 経路のモジュレーター (NEDD4L、CITなど) や阻害剤 (VPS4-E228Q) を用いて評価した。また、RNAターゲティングドメインのモジュール性を評価するため、MCPをPP7バクテリオファージコートタンパク質 (PCP) に置き換えたEPN24-PCPも設計した。
RNA輸出定量と特性評価: RNA輸出は、RT-qPCRを用いて培養上清中のカーゴRNA濃度を測定することで定量した。上清は遠心分離で清澄化し、細胞や大きなデブリを除去するために濾過し、RNAを抽出後、DNase処理を行いRT-qPCRを実施した。RNA-seqによるゲノムスケールでの輸出特異性評価も実施し、スパイクイン標準を用いて絶対RNA量を正規化した。粒子形態はnegative-stain TEM (透過型電子顕微鏡) と動的光散乱 (DLS) で評価した。輸出されたRNAのRNase保護アッセイと、培養上清および全血中での安定性を評価した。カーゴ容量は少なくとも9.8 kbまで到達することを確認した。エクスポーター発現細胞の形態、増殖速度、細胞死率、内在性遺伝子発現への影響も評価した。
細胞集団ダイナミクス計測: ドキシサイクリン誘導性Gag-MCPを安定発現するHEK293細胞をベース細胞株として使用した。>5×10^6種のランダム32-ntバーコード配列を持つレンチウイルスバーコードライブラリーを作製し、低MOI (感染多重度) で細胞に形質導入した。ピューロマイシン耐性およびゼオシン耐性の2つのポリクローナル細胞集団 (各n=5,000 cells) を作製し、異なるバーコードライブラリーで標識後、同一ウェルで混合培養した。これらの細胞をピューロマイシン、ゼオシン、または薬剤なしの条件下で6日間培養し、毎日上清を採取してバーコードRNAをシーケンシングすることで集団変動を縦断的に追跡した。最終時点での細胞内RNAバーコード量と輸出バーコード量の相関を評価し、システムの精度と再現性を検証した。また、シングルセル感度を評価するため、10個の異なるクローンバーコードを輸出する細胞を単一ウェルにソートし、24時間培養後に輸出RNAをシーケンシングした。
細胞間mRNA送達: EPN24-MCPにVSV-G (vesicular stomatitis virus glycoprotein: フュゾジェン) を組み込み、Cre mRNAまたは蛍光タンパク質mRNAを積載したナノ粒子の上清を、Cre活性化RFPカセットを安定発現するHEK293受容細胞に移し、recombination率と発現効率を評価した。フュゾジェン、エクスポーター、またはexport tagのいずれかを欠損させた対照実験も実施した。また、送信細胞と受容細胞を1.8 mmギャップの同一ウェル内で共培養し、直接細胞間送達を評価した。GagZip-MCPシステムを用いたRNA送達も比較検討した。統計解析にはPearson相関係数を用いた。