• 著者: Norgard et al.
  • Corresponding author: Dr. Sarah A O’Brien; sarah.obrien@boehringer-ingelheim.com, Dr. Robert J Norgard; bobby.norgard@boehringer-ingelheim.com
  • 雑誌: JImmunotherCancer
  • 発行年: 2026
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Original Article
  • DOI: 10.1136/jitc-2025-014551
  • Category: Basic-Tumor microenvironment
  • Topics: 腫瘍微小環境, がん関連線維芽細胞, T細胞エンゲージャー
  • Tags: FAP, CAF, T細胞疲弊, KRASシグナル伝達, シングルセルRNAシーケンス
  • Entities: FAP-CD3 T細胞エンゲージャー, FAP, CAF, myCAF, iCAF, Tpex, Tex, PD-1, KRAS, MRTX1133, IFN-γ, TNF-α
  • Headline: FAP-CD3 T細胞エンゲージャーによるFAP陽性線維芽細胞の枯渇は、FAP陰性の混合CAF集団の出現とT細胞疲弊を誘導し、KRASシグナル伝達を亢進させ治療効果を制限することを示した。
  • Summary: FAP-CD3 T細胞エンゲージャー (FAP TcE) は、膵臓癌マウスモデルにおいてFAP陽性癌関連線維芽細胞 (CAF) を枯渇させ腫瘍増殖を抑制するが、完全な退縮には至らなかった。FAP TcE治療後、FAP陰性でmyCAFとiCAFの両方の遺伝子プロファイルを持つ「混合CAF」集団が補償的に出現し、KRASシグナル伝達を亢進させKRAS阻害剤への耐性を引き起こす可能性を示唆した。また、FAP TcEはT細胞疲弊を誘導し、抗PD-1抗体との併用療法は効果を増強しなかった。この混合CAFは増殖性が高く、TMEにおける線維芽細胞の複雑な可塑性が治療効果を制限する可能性が示唆される。本研究では、FAP TcE後のTMEにおけるFAP陽性線維芽細胞の枯渇による包括的なシングルセルRNAシーケンス解析を初めて行い、治療抵抗性の潜在的な理由を明らかにした。この研究は、FAP単独標的療法の限界と、線維芽細胞標的療法と腫瘍標的療法および免疫調節を組み合わせる必要性を示している。
  • Summary Status: draft
  • Synthesis History:
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  • Last Synthesized At: 2026-07-07
  • Key References:
    • { stem: “Elyada 2019”, explanation: “CAFサブタイプの分類に関する重要な先行研究” }
    • { stem: “Öhlund 2017”, explanation: “膵臓癌における炎症性線維芽細胞と筋線維芽細胞の区別に関する研究” }
    • { stem: “Jenkins 2025”, explanation: “免疫ホット/コールド腫瘍における線維芽細胞サブタイプと免疫療法反応に関する研究” }

背景

腫瘍微小環境(TME)における線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)陽性線維芽細胞は、がん治療の魅力的な標的である。前臨床試験ではFAP陽性線維芽細胞の枯渇が成功裏に示されているものの、これまでの治療法は臨床的成功には至っていない (Yamazaki et al. 2025)。線維芽細胞はTMEにおいて、治療薬に対する物理的障壁の形成、増殖因子やケモカインの産生による腫瘍増殖の支持、免疫抑制作用の行使を通じて腫瘍の進行に寄与すると考えられている (Barrett and Puré 2020)。初期のCAF標的化戦略では、TME内の総CAFを枯渇させると、腫瘍の進行が悪化し、患者の予後も不良となることが示された (Özdemir et al. 2014, Rhim et al. 2014)。これは、当時の線維芽細胞の多様性に関する理解が不足しており、腫瘍の進行を抑制する能力を持つ線維芽細胞まで枯渇させてしまった可能性が示唆される。

近年、シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)の進歩により、TME内に多様な線維芽細胞サブポピュレーションが存在することが広く認識されている (Elyada et al. 2019, Öhlund et al. 2017)。これらのCAFサブセットは、腫瘍促進的役割と腫瘍抑制的役割の両方を持つことが示されている。FAPは、がんなどの病理学的条件下で線維芽細胞に特異的に発現する膜貫通型セリンプロテアーゼであり、ほとんどのがん種でFAP発現の上昇は予後不良と関連している (Xin et al. 2021)。FAP陽性細胞は、免疫療法に対する障壁を形成し、CXCL12やCCL2などの免疫抑制性サイトカインを産生することで、直接的に腫瘍の進行を促進する (Yang et al. 2016, Feig et al. 2013)。そのため、FAPを標的とした抗腫瘍治療への関心が高まっており、低分子薬、放射性リガンド、抗体薬物複合体、CAR-T細胞療法、二重特異性T細胞エンゲージャーなど、様々なFAP標的免疫療法が開発段階にある (Freedman et al. 2018, Hornig et al. 2012, Wang et al. 2014)。

前臨床研究では、FAP陽性CAFの枯渇がCD8陽性T細胞浸潤を介して腫瘍増殖を抑制し、チェックポイント免疫療法に対する腫瘍の感受性を高めることが示されている。しかし、FAP枯渇が他の線維芽細胞集団に与える影響や、それが他の治療法の有効性を妨げるかどうかについては、包括的な研究が不足していた。特に、FAP標的T細胞エンゲージャー(FAP TcE)によるFAP陽性線維芽細胞の枯渇が、腫瘍微小環境にどのような複雑な変化をもたらし、治療抵抗性の潜在的な原因や脆弱性を明らかにするかについては、未解明な点が多かった。本研究は、この知識ギャップを埋めることを目的とした。

目的

本研究の目的は、FAP-CD3 T細胞エンゲージャー(FAP TcE)によるFAP陽性線維芽細胞の枯渇が、腫瘍微小環境(TME)に与える影響を包括的に解析し、治療効果を制限する潜在的なメカニズムを解明することである。特に、以下の点を明らかにすることを目指した。

  1. FAP TcEがFAP陽性線維芽細胞の枯渇を誘導する能力と、それが腫瘍増殖に与える影響を評価する。
  2. FAP TcE治療後のTMEにおける線維芽細胞集団の動態、特にFAP陰性線維芽細胞集団の出現とその特性を詳細に解析する。
  3. FAP TcE治療がT細胞の状態、特に疲弊に与える影響を評価し、抗PD-1抗体との併用療法の効果を検討する。
  4. FAP TcE治療によって出現する線維芽細胞集団が、腫瘍細胞のシグナル伝達経路、特にKRASシグナル伝達に与える影響を明らかにする。
  5. これらの知見に基づき、FAP標的療法の治療効果を最大化するための併用療法の戦略を提案する。

これらの目的を達成するために、KPCY (Kras [G12D], Pdx-1-Cre, p53 [−/−], YFP [+] ) 膵臓癌マウスモデルを用いてFAP TcEの効果を評価し、シングルセルRNAシーケンス解析によりTMEの包括的な細胞および遺伝子レベルの変化を詳細に解析した。

結果

FAP TcEによるFAP発現細胞の用量依存的な殺傷効果: FAP TcEは、FAP発現レベルの異なるNIH-3T3またはHT1080線維芽細胞に対して、in vitroで用量依存的な殺傷効果を示した (図1A)。EC50値はFAP発現量にかかわらず類似していた。3Dオルガノイド培養系においても、FAP TcEはFAP発現GFP陽性ヒトCAFを用量依存的に殺傷した (図1B)。DLD1腫瘍細胞と共培養した場合でも、FAP TcEはGFP陽性CAFのシグナルを大幅に減少させた (図1C)。さらに、FAP TcEによるCAF殺傷が腫瘍細胞の増殖を抑制する可能性が示唆され、GFP陽性DLD1腫瘍細胞と未標識CAFの共培養系では、FAP TcEが腫瘍細胞の増殖を調節することが示された (図1D)。この腫瘍細胞増殖抑制は、T細胞活性化とFAP TcEによるバイスタンダー殺傷を介して起こることが示唆され、治療1日後にはCC3陽性腫瘍細胞の割合が増加した (図1E)。バイスタンダー殺傷のメカニズムは、FASL、TNF-α、IFN-γ/IFN-γRの複合的な阻害によって有意に抑制された。特にTNF-αとIFN-γ/IFN-γRの併用阻害が最も効果的であった。

FAP TcEによるFAP陽性CAFの枯渇とFAP陰性CAFの拡大: KPCY TH2腫瘍担持マウス (n=10 mice per group) にFAP TcEを3回投与した結果、対照群と比較して有意な腫瘍増殖抑制が観察されたが、完全な腫瘍退縮には至らなかった (図2A,B, p<0.01)。FAP TcE投与後48時間でのフローサイトメトリー解析では、総CAF(CD45陰性Thy1.2陽性PDPN陽性)の有意な減少が1回目の投与後に見られたが、3回目の投与後には急速に回復した (図2C, p<0.05)。FAP陽性CAF(CD45陰性Thy1.2陽性PDPN陽性FAP陽性)は、1回目および3回目のFAP TcE投与後に有意に減少した (図2D,E,H, p<0.001)。免疫蛍光染色でも、3回投与後のFAP陽性細胞の減少が確認された (図2F,G, p<0.05)。この総CAFの回復は、FAP陰性線維芽細胞の増加によるものであり、フローサイトメトリー解析ではFAP陰性CAFの有意な増加が観察された (図2H, p<0.0001)。コラーゲンIの発現は、1回投与後には変化がなかったが、3回投与後には増加した。

FAP TcE後の広範なT細胞疲弊と免疫療法併用効果の欠如: FAP TcEの3回投与後、CD8陽性およびCD4陽性エフェクターT細胞の密度が増加した (図3A, p<0.05)。これらのT細胞におけるPD-1陽性率は、1回投与後に増加し始め、3回投与後には両集団で有意に増加した (図3B, p<0.0001)。Ki67陽性T細胞の割合は、1回投与後にCD8陽性T細胞で有意に増加したが、3回投与後には失われた。scRNA-seq解析により、FAP TcE治療後のT細胞サブセットの変化を詳細に調べた結果、CD8陽性T細胞疲弊状態(Tex)への移行と、T細胞前駆疲弊状態(Tpex)の出現が顕著であった (図3C-F)。Pdcd1, Ctla4, Tigit, Havcr2, Lag3, Icosなど、ほぼ全ての疲弊マーカーがFAP TcE後のCD8陽性T細胞で高度に上方制御されていた (図3G)。

Tpex集団の増加と高PD-1発現に基づき、FAP TcEと抗PD-1抗体の併用療法が有効性を高めるか検証した。KPCY TH2およびKPCY TC4モデルの両方で、FAP TcEは腫瘍増殖を有意に抑制したが、抗PD-1抗体の追加はFAP TcE単独と比較して腫瘍体積を有意に減少させなかった (図3H,I)。KPCY TH2モデルでは、FAP TcE単独と抗PD-1併用群の間で生存期間に差はなかった (図3H)。KPCY TC4モデルでは、FAP TcEまたは抗PD-1単独療法と比較して、併用群で統計的に有意な生存期間の延長が見られた (図3I)。

FAP TcEによる「混合CAF」集団の出現とKRASシグナル伝達の上方制御: scRNA-seq解析により、線維芽細胞集団をさらに詳細に解析した結果、合計10の線維芽細胞サブポピュレーションが同定された (図4A)。FAP TcE治療後、サブポピュレーション1が減少し、サブポピュレーション6および7が増加するという顕著な変化が観察された (図4B,C, p<0.05)。これらの集団を既知のCAFサブタイプ(myCAF, iCAF, apCAF)と照合したところ、サブポピュレーション6はmyCAFとiCAFの両方の遺伝子プロファイルを持つ「混合CAF」として同定された (図4D)。この混合CAFサブポピュレーションはFAP発現が低いか陰性であり、FAP TcE後のCAF総数の増加に寄与していると考えられた (図4E,F)。

KPCY TC4モデルでも同様に、混合CAF集団の増加とmyCAFの減少が確認された。軌跡解析では、myCAF(サブポピュレーション1)が混合CAF(サブポピュレーション6)に変換され、さらにiCAF(サブポピュレーション0および3)に変換される可能性が示唆された。さらに、遺伝子セット濃縮解析(GSEA)およびKEGG解析では、混合CAFがE2F標的およびG2-Mチェックポイント経路に高度に富んでおり、これらの混合CAFが増殖していることが示唆された (図4G)。これらの結果は、混合CAFの形成が変換と増殖の両方によって駆動されることを示唆する。

混合CAFは、TNF-αシグナル伝達およびIL-17シグナル伝達に関連する遺伝子の発現増加を示した。リガンド-受容体解析では、FAP TcE治療後、混合CAFと腫瘍細胞間の相互作用が対照群と比較して有意に増加していることが示された (図4H)。さらに、マクロファージ、好中球、T細胞との相互作用も増加していた。FAP TcE治療後の腫瘍細胞のGSEA解析では、KRASシグナル伝達、MAPKシグナル伝達、およびPI3K-AKTシグナル伝達の上方制御が観察された。これは、FAP陽性線維芽細胞の枯渇が、腫瘍細胞の内因性KRASシグナル伝達を活性化させることを示唆する。FAP TcE治療後の腫瘍細胞株は、KRAS G12D特異的阻害剤であるMRTX1133に対してより耐性を示すことが判明した。例えば、FAP TcE治療後の細胞株ではMRTX1133のIC50値が約2.5倍上昇した。

考察/結論

本研究は、FAP標的T細胞エンゲージャー(FAP TcE)によるFAP陽性線維芽細胞の枯渇が、腫瘍微小環境(TME)に複雑な変化をもたらし、治療効果を制限する潜在的なメカニズムを包括的に明らかにした。

先行研究との違い: これまでのFAP標的療法に関する研究は、FAP陽性線維芽細胞の枯渇が腫瘍増殖を抑制することを示してきたが、本研究は、FAP TcE治療後にFAP陰性の「混合CAF」集団が出現し、FAP陽性CAFの減少を補償するという、これまで報告されていない現象を明らかにした点で対照的である。この混合CAF集団は、myCAFとiCAFの両方の遺伝子プロファイルを持ち、増殖性が高いことが示された。

新規性: 本研究で初めて、FAP TcE治療がT細胞の広範な疲弊を誘導し、T細胞前駆疲弊状態(Tpex)とT細胞疲弊状態(Tex)の出現を伴うことを包括的に示した。さらに、このT細胞疲弊にもかかわらず、抗PD-1抗体との併用療法が、ほとんどのモデルでFAP TcE単独療法と比較して有意な治療効果の増強をもたらさなかったことは新規な知見である。また、FAP TcE治療が腫瘍細胞の内因性KRASシグナル伝達を上方制御し、KRAS阻害剤に対する耐性を誘導する可能性を示唆した点も新規である。

臨床応用: 本研究の知見は、FAP標的療法の臨床応用における重要な含意を持つ。FAP陽性線維芽細胞の枯渇は初期の腫瘍増殖抑制をもたらすものの、FAP陰性混合CAF集団の出現とT細胞疲弊が長期的な腫瘍退縮を妨げる可能性がある。このことは、FAP標的療法単独では長期的な腫瘍制御には不十分であり、線維芽細胞標的療法と腫瘍標的療法、および免疫調節療法を組み合わせる必要性を示唆する。特に、KRASシグナル伝達の上方制御は、KRAS阻害剤との併用療法の可能性を示唆する一方で、FAP TcE治療後のKRAS阻害剤耐性の出現は、治療戦略を慎重に検討する必要があることを示唆している。

残された課題: 今後の検討課題として、混合CAF集団の起源と機能的役割をさらに詳細に解明する必要がある。軌跡解析はmyCAFからiCAFへの変換の中間段階である可能性を示唆するが、増殖性の高さも示されており、その形成メカニズムは複雑である。また、混合CAFに特異的な表面マーカーの同定は困難であり、この集団を特異的に標的とする二重枯渇戦略の可能性を探る必要がある。T細胞疲弊の克服に向けた、より効果的な免疫療法併用戦略(例:複数のチェックポイント阻害剤の併用、投与スケジュールの最適化)の検討も残された課題である。さらに、FAP TcEによるバイスタンダー殺傷が、KPCY腫瘍モデルの低いネオアンチゲン負荷のために非特異的なサイトカイン放出を介してのみ起こっている可能性があり、より免疫原性の高い腫瘍モデルでの検証も必要である。

方法

細胞株: NIH-3T3およびHT1080線維芽細胞は、murine FAPを発現するように遺伝子改変された。ヒトCAF細胞株hTERT PF179Tとヒト腫瘍細胞株DLD1はATCCから入手し、GFPを発現するように形質導入した。T細胞はヒト末梢血単核細胞から濃縮した。 murine KPCY PDAC細胞株2838c3 (TH2) および6422c1 (TC4) は、ペンシルベニア大学のDr. Stangerから入手した。細胞株はDMEM培地で培養し、マイコプラズマ検査を定期的に実施した。

T細胞エンゲージャーの設計、発現、精製: マウス抗FAP抗体(クローンMFP5)とマウス抗CD3ε抗体(クローン2C11)の可変領域を、モノバレントIgG様TcEとしてフォーマットした。このTcEは、2鎖ノブインホール型二重特異性Zweimab抗体であり、FcγRおよびC1qへの結合を阻害する変異(L234A, L235A, P329G)を導入し、エフェクター機能をノックアウトした。TcEはCHO-E (Chinese Hamster Ovary-Expression) 宿主細胞系で一過性トランスフェクションにより発現させ、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。精製されたTcEは、SDS-PAGE、分析用サイズ排除クロマトグラフィー、質量分析により99%以上の単量体純度と低エンドトキシンレベル(<0.01 EU/mL)を確認した。

マウスおよび腫瘍研究: 雌C57BL/6J WTマウスをJackson Laboratoriesから購入し、病原体フリー施設で飼育した。すべての動物実験は、ベーリンガーインゲルハイムの動物実験委員会(IACUC)の承認を得て実施した。腫瘍増殖および生存実験では、3.0×10^5個のKPCY細胞を6~8週齢の雌C57BL/6Jマウスの右脇腹に皮下注射した。腫瘍が50 mm^3に達した時点でマウスをランダム化し、腫瘍体積を週3回測定した。TcEは100 µgを静脈内投与で週2回、計3回投与した。抗PD-1抗体(29F1A12)またはアイソタイプ対照(muIgG1)は200 µgを腹腔内投与で週3回、計3~5回投与した。FTY720は1 mg/kgを腹腔内投与で毎日、計8回投与した。

in vitro殺傷アッセイ: FAPを発現するNIH-3T3およびHT1080細胞を、マウス脾細胞と1:20の比率で共培養し、異なる濃度のFAP TcEを72時間作用させた。細胞殺傷はLDH放出により定量した。3Dヒトオルガノイド研究では、8,000個のhTERT PF149T CAFをDLD1細胞の有無にかかわらず播種し、スフェロイド形成を促した。24時間後、16,000個のヒトT細胞とTcEを添加し、GFPシグナルを6日間モニターした。バイスタンダー殺傷阻害研究では、抗IFN-γ、抗IFN-γR1/CD119、抗FASL、抗TNF-α抗体を用いた。

フローサイトメトリー: 3Dオルガノイド培養サンプルでは、治療1日後および3日後にスフェロイドを解離し、EpCAM、CD45、活性型カスパーゼ-3(CC3)を染色した。マウス腫瘍では、腫瘍を解離し、CD45、Thy1.2、PDPN、FAP、CD8、CD4、PD-1、Ki67などの表面マーカーおよび細胞内マーカーを染色した。

シングルセルRNAシーケンスライブラリー調製およびデータ解析: KPCY腫瘍をFAP TcEまたは対照TcEで治療し、最終投与後48時間に腫瘍を採取してシングルセル懸濁液を調製した。10x Genomics Chromium ControllerおよびChromium Next GEM Single Cell 3’ Kit v3.1 Chemistry Libraryを用いてライブラリーを調製し、NovaSeq 6000でシーケンスした。FastqファイルはCellRanger (V.7.0.0) を用いてカウントマトリックスを生成し、Scanpy (V.1.9.6) を用いて下流解析を行った。細胞は、ユニーク分子識別子カウント数、発現遺伝子数、ミトコンドリア遺伝子割合に基づいてフィルタリングした。UMAPおよびLeidenクラスタリングにより主要な細胞タイプを同定し、線維芽細胞およびT細胞のサブクラスタリングを行った。

遺伝子発現差解析および経路解析: Scanpyのscanpy.tl.rank_genes_groups (Wilcoxon検定、Benjamini-Hochberg補正) を用いて遺伝子発現差解析を行い、enrichr APIを介したgseapy (V.1.0.5) を用いて経路過剰濃縮解析を行った。

細胞間コミュニケーション: CellChat (V.2.1.2) を用いて、キュレートされたマウスリガンド-受容体データベースに基づき、細胞間コミュニケーションを推測した。

統計解析: すべてのデータはGraphPad Prismを用いて解析し、平均±SDまたは平均±SEMで示した。統計的有意性は、Studentのt検定、一元配置分散分析(ANOVA)、または二元配置分散分析(ANOVA)を用いて解析した。p<0.05を有意とした。