CCL17 (TARC)

一行要約

CCL17 (TARC) は CCR4 をリガンドとする CC ケモカインで、おもに腫瘍関連マクロファージ・樹状細胞から産生され、CCR4 高発現の 制御性 T 細胞 および Th2 細胞を腫瘍微小環境へ動員する。肺癌・固形癌では免疫抑制的な TME を形成する要素として、姉妹ケモカイン CCL22 とともに CCR4 軸を介した Treg リクルートの文脈で参照される。

産生と制御

CCL17 は単球由来樹状細胞・M2 様 腫瘍関連マクロファージ・気道上皮で産生され、IL-4 / IL-13 (Th2 サイトカイン) や GM-CSF による刺激で NF-κB / STAT6 依存的に転写が誘導される。受容体は CCL22 と共有する CCR4 で、Treg・Th2・皮膚ホーミング memory T 細胞に高発現する。アトピー性皮膚炎の血清バイオマーカー (TARC) として臨床的に確立しており、Th2 型炎症の指標でもある。

がんにおける役割

腫瘍内で CCL17-CCR4 軸は CCL22 と協調して CCR4+ Treg を腫瘍へ誘引し、effector T 細胞応答を抑制する免疫抑制的 TME を形成する。M2 マクロファージ・骨髄系細胞が主要産生源となり、neutrophil / myeloid cell の腫瘍内ネットワーク研究でも CCL17 が間質-免疫細胞間 crosstalk の構成因子として言及される。Th2 偏倚を促し、抗腫瘍的な Th1/CTL 応答とは拮抗する。CCR4 を標的とする抗体 (mogamulizumab) は CCR4+ Treg / 腫瘍細胞の depletion を介して CCL17/CCL22 軸を間接的に遮断しうる。

臨床位置づけ

  • 直接の CCL17 標的薬はないが、下流受容体 CCR4 を標的とする抗 CCR4 抗体 (mogamulizumab) が CCR4+ 成人 T 細胞白血病・リンパ腫で承認され、固形癌では Treg depletion 戦略として探索される。
  • 血清 TARC は Th2 炎症 / アトピーのバイオマーカーとして確立し、腫瘍免疫抑制の代理指標としての可能性も議論される。

Open Questions

  • 腫瘍内 Treg リクルートにおける CCL17 と CCL22 の相対的寄与。
  • CCR4 遮断が CCL17/CCL22 両軸をどの程度抑制し抗腫瘍免疫を回復させるか。
  • 肺癌 TME で CCL17 が予後 / IO 応答のバイオマーカーになりうるか。