Antibody-drug conjugate (抗体薬物複合体)

一行要約

Antibody-drug conjugate (ADC) は腫瘍表面抗原を認識する monoclonal antibody に細胞傷害性 payload を切断可能 / 非切断 linker で連結した薬剤クラスで、抗体の標的選択性と化学療法の細胞傷害性を融合する。NSCLC では HER2 標的 trastuzumab deruxtecan、TROP2 標的 datopotamab deruxtecan、HER3 標的 patritumab deruxtecan 等が臨床展開しており、bystander effect を介した不均一抗原発現腫瘍への効果が特徴。本ページはクラス総説で、各薬剤の詳細データは ADC に集約される。

メンバー (NSCLC 関連)

ADC標的payload代表試験
Trastuzumab deruxtecan (T-DXd)HER2topoisomerase I 阻害 (DXd)DESTINY-Lung01/02
Datopotamab deruxtecan (Dato-DXd)TROP2DXdTROPION-Lung
Patritumab deruxtecan (HER3-DXd)HER3DXdHERTHENA-Lung
Telisotuzumab vedotinc-METMMAELUMINOSITY
Tusamitamab ravtansineCEACAM5DM4CARMEN-LC03

主要エビデンス

  • HER2 変異 / 過剰発現 NSCLC で T-DXd が DESTINY-Lung プログラムにより奏効を示し (HER2-directed-therapy)、NSCLC ADC 時代を切り拓いた (DESTINY-Lung02)。
  • TROP2 標的 Datopotamab-deruxtecan が非扁平 NSCLC で化療を上回る活性を示し、IO 併用も探索される。
  • HER3 標的 ADC は EGFR-TKI 耐性 EGFR 変異 NSCLC で活性を示し、HER3-directed-therapy の中核となる。

メカニズム

ADC は (1) 抗体が腫瘍表面抗原に結合 → (2) 抗原-ADC 複合体が受容体介在性エンドサイトーシスで内在化 → (3) リソソームで linker / 抗体が分解され payload が遊離 → (4) payload (微小管阻害剤 MMAE/DM4、または topoisomerase I 阻害剤 DXd) が DNA / 微小管を傷害してアポトーシスを誘導、という多段階で作用する。DXd 系 ADC は membrane-permeable payload と高い drug-to-antibody ratio により、放出された payload が隣接抗原陰性細胞も傷害する bystander effect を発揮し、抗原発現が不均一な腫瘍にも有効。耐性は抗原 downregulation、payload 排出 (MDR1)、linker 切断異常等で生じる。

臨床位置づけ

  • 承認 / 開発: HER2 変異 NSCLC で T-DXd が承認、TROP2 / HER3 ADC が後期開発。乳癌・胃癌で先行確立した DXd プラットフォームが肺癌へ拡大。
  • 位置づけ: driver 陽性 NSCLC の TKI 耐性後、および IO/化療抵抗例での新規モダリティ。IO や TKI との併用が次の焦点。
  • 毒性: interstitial lung disease (ILD) / 肺臓炎が DXd 系 ADC のクラス特異的かつ管理上最重要な有害事象。
  • 詳細データは ADC を参照。

Open Questions

  • 抗原発現閾値とバイオマーカーによる患者選択 (とくに低発現 / 不均一発現)。
  • ADC 間 / ADC と化療の交差耐性とシーケンス。
  • DXd 系 ADC の ILD リスク低減と早期発見。