NRF2 経路
一行要約
転写因子 NRF2 (NFE2L2) が抗酸化・解毒酵素群を誘導する細胞防御経路。正常では KEAP1 が NRF2 を分解するが、KEAP1 / NFE2L2 変異で恒常活性化すると腫瘍に酸化ストレス耐性・化療/放射線抵抗性・代謝再配線を付与する。NSCLC、特に扁平上皮癌・STK11 共変異例で頻発。詳細な経路図解・がんでの意義は canonical ページ NRF2-KEAP1-pathway を参照。
メカニズム (経路図解)
- 定常状態: KEAP1-CUL3 E3 ligase が NRF2 を ubiquitin 化 → proteasome 分解 (低 NRF2)
- 酸化ストレス / 求電子刺激: KEAP1 cysteine 修飾 → NRF2 安定化 → 核移行
- 転写: NRF2 + sMAF が ARE (antioxidant response element) に結合 → NQO1 / HMOX1 / GCLC / SLC7A11 (cystine transporter) 等を誘導
- 帰結: GSH 合成亢進・ROS 中和・ferroptosis 抑制
がんにおける異常と意義
- 恒常活性化: KEAP1 loss-of-function / NFE2L2 gain-of-function 変異 → 化療・放射線抵抗性、SLC7A11 を介した ferroptosis 回避
- 共変異: STK11/LKB1 + KEAP1 変異の NSCLC は IO 抵抗性・予後不良サブセット
- 創薬: 直接の NRF2 阻害薬は未確立、glutaminase / SLC7A11 依存性 (synthetic lethality) を突く戦略が研究段階
臨床的位置づけ
- KEAP1/NFE2L2 変異は NSCLC の予後・治療抵抗性 biomarker として注目、現状は実用的標的薬なし
- 詳細・関連論文は NRF2-KEAP1-pathway を参照
Open Questions
- NRF2 恒常活性化腫瘍を選択的に攻撃する metabolic vulnerability の臨床応用
- KEAP1 変異と IO 抵抗性の因果機序