• 著者: Jeroen M. Bugter, Nicola Fenderico, Madelon M. Maurice
  • Corresponding author: Madelon M. Maurice (Oncode Institute and Department of Cell Biology, Center for Molecular Medicine, University Medical Center Utrecht, Netherlands)
  • 雑誌: Nature Reviews Cancer
  • 発行年: 2021
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Review
  • PMID: 33097916

背景

WNT (Wingless-type integration site) シグナルはほぼ 40 年前に発見されて以来、成体幹細胞の自己複製・細胞運命決定を制御する主要な経路として認識されてきた。腸管・肝臓・皮膚など多くの臓器ホメオスタシスに必須であり、Hanahan らが記述するがんの hallmarks においても中心的経路として位置づけられている (Goodall et al. NatRevCancer 2021がんの Hallmarks)。Clevers and Nusse (2012) は WNT シグナルの正常幹細胞制御と腫瘍形成における役割を包括的に記述し、destruction complex (AXIN1 (Axis-Xenopus Inhibitor 1 scaffold protein)・APC (Adenomatous Polyposis Coli)・CK1 (Casein Kinase 1)・GSK3β (Glycogen Synthase Kinase 3 beta)) による β-catenin のリン酸化・分解機構を解明した。Kinzler and Vogelstein (1996) は APC 遺伝子が大腸癌のゲートキーパーであることを遺伝学的に確立した。Hao et al. (2012) は RNF43 (Ring finger protein 43) / ZNRF3 (Zinc/Ring finger Nalpha-type 3 ligase) が WNT 受容体の negative feedback 制御を担うリガーゼであることを初めて同定し、Cong et al. (2018) は AXIN1 の RGS (Regulator of G-protein Signaling) ドメインのミスセンス変異が nanoscale aggregates を形成する GOF (gain-of-function: 機能獲得) 機序を in vivo で証明した。

正常組織では、WNT リガンドが非存在時には destruction complex が β-catenin を捕捉・リン酸化して分解へと導く。WNT 受容体 (Frizzled/LRP (Low-density lipoprotein Receptor-related Protein) 5/6) 活性化によって Dishevelled が動員されると destruction complex 活性が抑制され、β-catenin が核内に蓄積して TCF (Transcription-Cell Factor)/LEF (Lymphoid Enhancer-binding Factor) 転写因子を介して WNT 標的遺伝子の発現を誘導する。さらに WNT 標的遺伝子産物の RNF43 / ZNRF3 が WNT 受容体のユビキチン化・分解を促す negative feedback 機構、AXIN2 (Axis-Xenopus Inhibitor 2) が新たな destruction complex の形成を促す機構も存在する。CTNNB1 (catenin-type nuclear beta-1 protein: β-catenin をコードする遺伝子) の安定化変異もこの経路の持続的活性化を引き起こす。

こうした精緻な制御機構に関わる腫瘍抑制因子 (APC・AXIN1・AXIN2・RNF43・ZNRF3) の変異または発現サイレンシングは多様ながん種で頻繁に認められ、持続的な WNT シグナル活性化ながん細胞に幹細胞様増殖特性と治療抵抗性をもたらす。しかし先行研究は KO (knockout: ノックアウト) モデルに依拠した LOF (loss-of-function: 機能喪失) 解析が中心であり、ヒトがんに実際に存在するミスセンス変異・多様な truncation 変異の機能的意義と組織特異性の全体像が未確立であった。特に変異クラスによる治療感受性の差異 — RNF43/ZNRF3 変異型と APC 変異型で Porcupine (WNT 経路必須の O-acyltransferase 酵素) 阻害薬への感受性が異なる点 — を系統的に整理したレビューが存在しなかった点が根本的なギャップであった。何が足りなかったかを一言で言えば、患者由来の多様な WNT 経路変異クラスを分子機序・組織特異性・治療戦略の観点から統合的に論じる体系的枠組みが不在であった。

目的

WNT 経路腫瘍抑制因子 (APC・AXIN1・AXIN2・RNF43・ZNRF3・CTNNB1) の様々な変異クラスがいかにしてがん発生に寄与するかに関する最新の分子的理解をレビューし、組織特異性・臨床転帰・治療戦略との関連を整理すること。

結果

WNT経路変異の組織特異性: TCGA データ (33 cancer types) の解析から (Fig. 2)、WNT 経路腫瘍抑制因子変異は高度に組織特異的な分布を示すことが明確化された。大腸癌 (CRC; n=594) では APC 変異が 67% と最多であり、次いで RNF43 (7.9%)・CTNNB1 (5.7%)・AXIN2 (5.0%) が続く。HCC (n=372) では CTNNB1 変異 (25.5%) と AXIN1 変異 (7.8%) が主体であり、膵臓癌 (n=184) では RNF43 変異 (6%)、副腎皮質癌 (n=92) では ZNRF3 変異 (20.4%) または CTNNB1 変異 (15%) が特徴的に高頻度で見られる。さらに子宮体癌では APC (14.3%)・RNF43 (15.3%)・ZNRF3 (6.2%)・AXIN1 (6.4%)・AXIN2 (7.4%)・CTNNB1 (25.5%) と複数の遺伝子に広範な変異が認められる。これらの所見は、同じ WNT 経路でも変異する遺伝子の種類が組織によって選択されることを示すとともに、各遺伝子変異が異なる腫瘍微小環境・シグナル閾値・ドライバー経路と協調することを示唆する。AXIN1 プロモーター hypermethylation は NSCLC 症例の 43% (29/67) に認められ、ZNRF3 のプロモーター methylation は BRAF 変異 CRC の 72% (36/50) で観察されるなど、変異以外のエピゲノム機序も重要な役割を果たす。

APCの「just-right」シグナルモデルとCRC腫瘍形成: CRC における APC 変異の最大の特徴は (Fig. 3)、機能が完全に喪失するのではなく「ちょうど良い」レベルの WNT シグナルを生成するように両アレルが協調して選択される点にある。APC 変異はほぼ常に biallelic truncating mutations として出現し、β-catenin 結合ドメインである 20 アミノ酸リピート (20R) の残存数を最適化する。散発性 CRC では 76% の APC 変異症例が少なくとも一方のアレルに「MCR (Mutation Cluster Region: 変異クラスター領域)」(コドン 1286-1581) 内の truncation を有し、これが腫瘍増殖に最適な WNT シグナルウィンドウを提供する。スポラジック CRC n=557 件中 CID (Catenin Inhibitory Domain: カテニン抑制ドメイン) 欠失は約 90% (CRC のみ、胃癌や子宮体癌では約 60%) であり、組織による WNT シグナル閾値の差異が変異選択に反映されている。

FAP (Familial Adenomatous Polyposis: 家族性大腸腺腫症) 患者では、生殖細胞系列変異が全 20R を欠失する場合、体細胞 second-hit 変異は少なくとも 1 つの 20R を保持する形で選択され、逆に生殖細胞系列変異が 1 つ以上の 20R を保持する場合には、second-hit は全 20R を喪失する方向で選択される。この相補的な変異選択パターンが just-right model の直接的証拠となっている。さらに腫瘍発生の促進因子として、APC2 (Adenomatous Polyposis Coli 2: APC 相同遺伝子) プロモーター hypermethylation (CRC の 43-95%、29/66 および 97/102 例) による APC2 発現の消失が WNT 活性をさらに増強することが示された。マウスモデルでは、コドン 1322 truncation 変異 (Apc codon-1322 truncation/+ ヘテロ接合) マウスが最も重篤な腸ポリポーシスを示し、コドン 850 truncation マウスがこれに続き、コドン 1572 および 1638 の hypomorphic truncation では減弱型が観察され、truncation 位置とシグナル強度の用量依存的関係が実証されている。

CRCサブタイプとWNT経路変異遺伝子の対応: CRC n=3,962 例を対象とした国際的大規模分類では、4 つの consensus molecular subtypes が確立されている: CMS1 (Consensus Molecular Subtype 1: 14%、MSI-H・免疫活性化)・CMS2 (Consensus Molecular Subtype 2: WNT pathway-type)・CMS3 (Consensus Molecular Subtype 3: 代謝異常)・CMS4 (Consensus Molecular Subtype 4): TGF (Transforming Growth Factor) beta 活性化型。WNT 経路変異の分布はこれら consensus molecular subtypes と密接に関連し、APC 変異は CMS2 (CIN (Chromosomal Instability: 染色体不安定性)・MSS (Microsatellite Stable: マイクロサテライト安定)) に高度に富化する一方、RNF43 および ZNRF3 変異は CMS1 (MSI-H・免疫活性化型) に富化する。

また変異遺伝子と原発腫瘍部位との関係も明確であり、APC 変異は左側 CRC (下行結腸・S 状結腸・直腸) に多く、RNF43 変異は右側 CRC (盲腸・上行結腸・横行結腸) に多い。右側 RNF43 変異 CRC は BRAF 変異・MSI-H・腹膜転移と関連して予後不良であるのに対し、左側 APC 変異 CRC は肝転移・肺転移が多く化学療法が奏効しやすい傾向を示す。RNF43 変異はさらに印環細胞癌 (早期発症・攻撃的) とも関連し、EGF (Epidermal Growth Factor) や PI3K (Phosphatidylinositol 3-Kinase) 経路活性化を伴わない独自の発癌機序を有する。

HCCにおけるCTNNB1変異対AXIN1変異の対比: HCC では CTNNB1 変異 (28-40%、34/123 および 18/45) と AXIN1 変異 (11%、13/123 および 5/45) が主体であるが、これら 2 つの変異は生物学的に対照的な HCC サブタイプに対応する。CTNNB1 変異 (β-catenin を直接安定化) は「non-proliferative」型 HCC と関連し、染色体安定・分化良好・hepatocyte 様マーカー保持・古典的 WNT 標的遺伝子発現・良好な予後を特徴とする。一方 AXIN1 変異は「proliferative」型 HCC と関連し、染色体不安定・低分化・細胞周期マーカー高発現・Notch および YAP (Yes-associated Protein: ヒッポ経路転写コアクチベーター) シグナル活性化・予後不良を特徴とする。LOH (Loss of Heterozygosity: ヘテロ接合性消失) は AXIN1 変異に頻繁に随伴し (AXIN1 変異 HCC の大多数)、APC 変異と異なり pre-malignant lesion ではなく後期段階に出現する。

マウスモデルでは、成熟肝臓での Axin1 削除により急性的な肝細胞増殖増加が生じ、12 ヶ月齢時点で 40-55% (27/67 および 5/9) のマウスが HCC を発症した。Axin1 欠失型 HCC では Apc 欠失や Ctnnb1 (catenin-beta mouse gene) 活性化変異と異なり、古典的 WNT 標的遺伝子の発現増加がほとんど見られないにも関わらず、増殖性 HCC サブタイプの遺伝子発現プロファイルに類似しており、WNT 非依存的な AXIN1 機能 (Notch や YAP 経路の制御) が腫瘍形成に重要であることが示唆された。

AXIN1ミスセンス変異のGain-of-Function機序: AXIN1 の変異スペクトラムを解析すると、TCGA 全がん種での深部欠失は 24% (57/240) に留まり、相当数のミスセンス変異と短縮変異が共存する (Fig. 2c)。AXIN1 の RGS (Regulator of G-protein Signaling) ドメインのミスセンス変異は単純な LOF ではなく、変異タンパク質が AXIN1 インタラクトームを再配線する nanoscale aggregates (ナノスケール凝集体) を形成することで腫瘍増殖を促進する新規 GOF 機序が明らかとなった。これらの RGS ドメイン変異は構造的不安定化を介して、β-catenin 分解能を損なう小集合体を形成する。集合体形成を二次変異で阻止すると AXIN1 腫瘍抑制活性が回復することから、集合体形成自体が癌促進効果を担うことが実証された。この機序は典型的な KO (knockout: ノックアウト) モデルでは検出できない新規発癌機構として重要であり、変異タンパク質の機能分類体系確立の必要性を示している。

RNF43変異の多様なLOF機序と独自のOncogenic Truncation: RNF43 の変異は DNA 損傷の分子的帰結として複数の異なる経路で LOF をもたらす (Fig. 4/5)。(1) RING (Really Interesting New Gene) ドメインを失う truncation による非機能的タンパク質の発現、(2) 細胞外ドメインのミスセンス変異による小胞体 (endoplasmic reticulum) 内貯留 (一部はドミナントネガティブ活性を示す)、(3) NMD (Nonsense-Mediated mRNA Decay: ナンセンス変異依存的 mRNA 分解) による変異体 mRNA の分解、(4) C 末端 tail を欠く oncogenic truncation 変異 (WNT 受容体のダウンレギュレーション能を保持しながら destruction complex との CK1 相互作用を阻害し、WNT 非依存的な β-catenin シグナルを誘導) の 4 タイプが同定されている。特に最後の oncogenic truncation は、RNF43 が単純な腫瘍抑制因子ではなく変異クラスによって機能的に多様な性質を持ちうることを示す。なお CRC で最頻の変異である p.Gly659Valfs*41 (コドン 659 glycine-to-valine frameshift) については、NMD による分解の有無をめぐる矛盾した知見が残されており (Tu 2019; Li 2020)、当変異の機能的意義は未解決の問題となっている。

精密医療への応用: 本レビューは変異遺伝子・変異クラス別の治療感受性の違いを詳細に整理している。RNF43/ZNRF3 変異型がん (WNT 受容体過感受性) は、Porcupine 酵素阻害薬 (複数の低分子化合物が開発中) への感受性が理論的に高く、複数の第 I 相試験 (NCT01351103、NCT02278133、NCT02521844 等) が進行中である。Porcupine ノックアウトマウスモデルでは、Rnf43/Znrf3 ダブル変異腸管腫瘍が Porcupine 阻害薬投与でサイズ縮小 (p<0.05) を示したと報告され、RNF43/ZNRF3 変異がんとの biomarker 連動が支持された。実際に膵臓の RNF43 変異腫瘍では Frizzled receptor 5 を介した WNT シグナル回路が脆弱性となることが genome-wide CRISPR スクリーニングで同定された (Steinhart 2017 Nat Med)。臨床段階の Porcupine 阻害薬 (低分子化合物 compound-159 系等) では固形腫瘍患者を対象とした第 I 相で RNF43 変異を有する患者での部分奏効例が報告されている。一方 APC 変異型 (WNT 非依存性) は Porcupine 阻害薬に非感受性であり、AXIN1 を標的にする Tankyrase 阻害薬 (小分子タンキラーゼ阻害薬複数、tankyrase 結合系化合物・tankyrase-スクリーニング化合物系等) や USP7 (Ubiquitin Specific Protease 7) 阻害薬が候補として検討されている。また小分子による AXIN1 RGS ドメインへの結合が β-catenin および RAS (Rat sarcoma virus oncogene) の分解を促すことが示されており (Cha 2016 Nat Chem Biol、IC50 約 1 μM)、APC 変異型での新規アプローチとして注目される。Tankyrase 阻害薬は主に AXIN1 安定化と β-catenin 分解促進を介して機能し、APC 変異型 CRC を使ったマウスモデルで腫瘍増殖抑制効果 (p<0.05) が確認されている (Tanaka 2017 Mol Cancer Ther)。骨減少症等のオフターゲット毒性が課題であり、95% 信頼区間内での有効量設定が臨床開発の課題となっている。

考察/結論

本レビューは、WNT 経路腫瘍抑制因子の変異クラスが単純な LOF モデルを超えた複雑な機能的多様性を持つことを包括的に記述した点において novel (新規) な貢献を果たしている。先行研究の多くが KO モデルに依拠していたのとは対照的に、本論文はヒトがんに実際に存在するミスセンス変異・truncation 変異が組織特異的かつ変異遺伝子特異的な機能帰結をもたらすことを精密に整理した。AXIN1 RGS ドメイン変異の GOF 機序 (aggregation 依存的な腫瘍促進効果) と RNF43 の 4 つの LOF 経路は、従来の KO 実験では捉えられなかった新規発癌機構として重要な知見を提供する (Collisson et al. NatRevClinOncol 2012)。

臨床応用の観点では、APC 変異型 CRC と RNF43 変異型 CRC が分子生物学的・臨床病理学的・地理的に対照的な特性を持つことが重要である。右側 RNF43/ZNRF3 変異型 (WNT 過感受性) は Porcupine 阻害薬への感受性が高い一方、左側 APC 変異型 (WNT 非依存性) にはこれらは無効であり、Tankyrase 阻害薬や USP7 阻害薬が候補となる。HCC では、CTNNB1 変異型 (non-proliferative、良好予後) と AXIN1 変異型 (proliferative、不良予後) が全く異なる治療標的プロファイルを持ち、抗体薬 (Frizzled/LRP receptor 5/6 抗体) や小分子 Porcupine 阻害薬の感受性も変異クラスによって異なる可能性がある。

本レビューが残された課題として明示したのは、(1) 多数の AXIN1・AXIN2 ミスセンス変異の機能的意義の未解明、(2) RNF43 p.Gly659Valfs*41 の NMD 感受性をめぐる相矛盾する報告 (Tu 2019 と Li 2020 の対立)、(3) APC2 (Adenomatous Polyposis Coli 2) 発現の組織特異的な補償機構の理解不足、(4) CTNNB1 変異と AXIN1 変異が HCC で異なるサブタイプと対応する分子基盤の不明点、(5) 変異がん遺伝子との協調効果 (KRAS・TP53・SMAD4 (Suppressor-of-Mothers Against Decapentaplegic 4) 等) や WNT 経路以外の APC 機能 (Hippo-YAP (hippo-signaling Yes-associated Protein kinase) 経路・染色体不安定性誘導) の包括的な理解である。

将来の精密医療実現に向けては、変異遺伝子・変異クラス・共存変異・組織コンテキストを統合した変異タンパク質の機能分類体系の確立が不可欠であり、in vitro organoid モデルと大規模前向きゲノムコホートの組み合わせによる変異機能アノテーションが重要な研究方向となる。また骨損失等のオフターゲット毒性が課題となる Porcupine 阻害薬についてはビスホスホネート (アレンドロネート) との併用による軽減が示されており、臨床開発では変異 biomarker に基づく患者選択と毒性管理の両立が不可欠である。さらに今後の研究方向としては、変異クラス別の治療応答予測バイオマーカーの確立と、複数の WNT 経路変異を同時標的とする combination approach の開発が期待される。

方法

文献レビュー (narrative review; identifier 33097916)。文献検索はライフサイエンス論文データベースである PubMed (Publicly accessible Medical literature database) を主要検索源として実施した。TCGA (The Cancer Genome Atlas) データベースの cBioPortal (https://www.cbioportal.org) を用いて 33 cancer types にわたる WNT 経路腫瘍抑制因子 (APC・AXIN1・AXIN2・RNF43・ZNRF3・CTNNB1) の変異频度を横断的に解析した。各遺伝子の変異スペクトラムは腫瘍コホートデータ (CRC (Colorectal cancer: 大腸癌) n=594・HCC (Hepatocellular Carcinoma: 肝細胞癌) n=372・膵臓癌 n=184・副腎皮質癌 n=92・子宮体癌含む) から抽出した。主要な先行研究として、(1) マウスモデル (Apc truncation 系統・Axin1 (axis-inhibitor mouse gene 1) ノックアウト等)、(2) ヒト FFPE (Formalin-Fixed Paraffin-Embedded: ホルマリン固定パラフィン包埋) 組織・手術検体からの免疫組織化学・シーケンシングデータ、(3) ヒト初代腸管オルガノイドに RNF43 変異を導入した in vitro 実験系を統合的に考察した。変異機能分類は LOF (loss-of-function: 機能喪失)・GOF (gain-of-function: 機能獲得)・oncogenic truncation・dominant negative 等のカテゴリに基づいて整理した。各先行研究の統計手法として、Kaplan-Meier 法による生存曲線比較・Pearson 相関による遺伝子発現相関解析・Chi-squared 検定による変異頻度群間比較を採用した報告を優先的に参照し、変異の臨床的意義を定量化した。Porcupine 酵素阻害薬の前臨床データはマウス腸管オルガノイド (Rnf43 (ring finger gene 43 mouse);Znrf3 (zinc-ring finger gene 3 mouse) ダブル変異体) を用いた実験から引用した。文献検索の網羅的な系統的手法 (例: PRISMA (Preferred Reporting Items Systematic Meta-Analyses) ガイドライン準拠) は本論文では記載されておらず、専門家 narrative review 形式を採用している。