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Histone Modifications: Insights into Their Influence on Gene Expression
- 著者: Stillman B
- Corresponding author: Stillman B (Cold Spring Harbor Laboratory)
- 雑誌: Cell
- 発行年: 2018
- Epub日: N/A
- Article種別: Commentary
- PMID: 30217360
背景
真核生物の染色体はDNAとヒストンタンパク質の複合体であるクロマチンから構成されており、この事実は1世紀以上にわたり認識されてきた。当初、遺伝情報の担い手はタンパク質であると信じられていたが、DNA二重らせん構造の解明により遺伝情報の貯蔵・変異・継承の仕組みが明らかになった。約45年前、Roger Kornbergはクロマチンが「ヌクレオソーム」という繰り返し単位から構成されることを提唱した (Kornberg, 1974)。ヌクレオソームはH3・H4・H2A・H2Bの4種類のヒストンがそれぞれn=2コピーずつ集合したヒストン八量体 [(H3-H4)2(H2A-H2B)2] と約200塩基対のDNAからなる構造体であり、高分解能構造解析によりDNA二重らせんがヒストン八量体の周囲をほぼ2回転巻き付く詳細な構造が明らかにされた (Luger et al., 2012)。ヒストンにはアミノ酸配列がわずかに異なるバリアントが存在し、例えばH3.3は転写活性なDNA領域に、CenH3はセントロメアに局在するが、これらの配列差異だけではヒストンが核機能にどのように深く影響を及ぼすかという根本的疑問は未解明のままであった。
1960年代初頭、Vincent Allfrey らはヒストンがアセチル化とメチル化という翻訳後修飾を受けることを発見し、これらの修飾とRNA合成制御との相関を初めて報告した (Allfrey et al., 1964)。しかし彼らの広範な研究にもかかわらず、ヒストン修飾が転写制御に直接的かつ決定的な役割を果たすという機能的証拠の確立には至らなかった。長年にわたりヒストンは遺伝子転写に対して「受動的な障壁」として機能するというモデルが主流であり、ヒストン修飾が転写を「能動的に」制御するという分子機構の理解は手薄であった。この知識のギャップ (gap in knowledge) を埋めたのが2018年Albert Lasker基礎医学研究賞を受賞したMichael GrunsteinとDavid Allisの先駆的研究である。エピゲノム研究が急速に発展した現代において (Rivera et al. Cell 2013)、これらの先駆的発見が現在のエピジェネティクス理解の礎であることは変わらない。
目的
本Commentaryは、GrunsteinとAllisの先駆的研究を通じて「ヒストンの翻訳後修飾が遺伝子発現を直接制御する」という概念がどのように確立されたかを詳述することを目的とする。具体的には以下を解説する:(1) Grunsteinによる出芽酵母S. cerevisiaeを用いたヒストンH4アミノ末端の遺伝学的解析、すなわち誘導性遺伝子活性化 (GAL1 (galactose-responsive gene 1)、PHO5 (phosphatase gene 5)) と遺伝的サイレンシング (HMLa (Hidden MAT Left alpha locus)、HMRa (Hidden MAT Right alpha locus)) の両方においてH4のリジン残基が必須であるという証明;(2) AllisによるテトラヒメナTetrahymenaを用いたA型HAT (histone acetyltransferase: ヒストンアセチルトランスフェラーゼ) の精製と、それが酵母転写共活性化因子GCN5 (General Control Non-derepressible 5) のホモログであるという画期的な同定;(3) HDAC (histone deacetylase: ヒストン脱アセチル化酵素) やHMT (histone methyltransferase: ヒストンメチルトランスフェラーゼ) の発見と「ヒストンコード (histone code)」仮説の誕生;(4) ChIP (chromatin immunoprecipitation: クロマチン免疫沈降) 技術の確立と、細胞代謝とヒストン修飾の不可分な連関の解明。
結果
Grunsteinによる酵母ヒストンH4研究:ヌクレオソームが遺伝子プロモーターへの能動的調節因子として機能することを確立
Michael Grunsteinは出芽酵母S. cerevisiaeを用いて、ヒストンが遺伝子発現制御において受動的障壁以上の能動的役割を果たすことを最初に示した。条件的ヒストンH4発現制御系を用い、ヒストンH4レベルを低下させると、通常は低リン酸条件下でのみ活性化されるPHO5遺伝子が通常のリン酸レベルでも発現上昇することを示した (Han and Grunstein, 1988)。プロモーター上のヌクレオソームがPHO5転写を能動的に抑制しており、H4レベル低下によるヌクレオソーム脱落が転写因子のアクセスを許したと考えられた。実際、ヒストンH4が低下するとプロモーターがヌクレアーゼ消化に対してよりアクセス可能になることが確認された。ただし、すべての遺伝子がPHO5と同様に反応するわけではなく、構成的に発現する遺伝子は影響を受けなかった — この遺伝子特異性は、ヌクレオソームが単純な物理的障壁ではなく、プロモーター環境に応じた選択的な制御素子として機能することを示唆した (Fig 1)。
さらにGrunsteinはヒストンH4アミノ末端テールの保存リジン残基に点変異を導入し、これらが誘導性遺伝子の転写活性化に必須であることを示した (Durrin et al., 1991)。ガラクトース応答性のGAL1遺伝子およびPHO5遺伝子の誘導活性化がともに著しく損なわれた一方、構成的活性遺伝子の発現は変化しなかった。この遺伝子特異的な効果は、ヒストンH4リジン残基のアセチル化状態が選択的な遺伝子プログラムの制御に機能的に関与することを実験的に初めて示した。
ヒストンH4K16と遺伝的サイレンシングの分子基盤:SIR複合体によるクロマチン伝播機構
出芽酵母のサイレント接合型遺伝子座HMLaおよびHMRaはSIR1・SIR2 (NAD依存性HDAC)・SIR3・SIR4からなるSIR (silent information regulator) 複合体によって安定的に転写抑制されている。GrunsteinはヒストンH4アミノ末端リジン残基、特にK16残基がこれらの遺伝子座のサイレンシングに必須であることを遺伝学的に証明した (Johnson et al., 1990)。H4K16G変異の染色体外サプレッサーとしてSIR3遺伝子が同定されたが、H4テール全体の欠失は抑制されなかった — この遺伝的証拠はSIR3タンパク質がH4テールのK16残基と直接物理的に相互作用することを示すものであった。
その後の解析でGrunsteinはヒストンH3・H4がSIR3・SIR4タンパク質と相互作用することを実証した。SIR3とSIR4はテロメア近傍およびリボソームRNA遺伝子クラスターでの転写抑制にも関与し、配列特異的DNA結合タンパク質とヒストンとの相互作用を通じてクロマチンに沿って伝播する (Hecht et al., 1996)。この「サイレンシングの伝播」モデルは、ヘテロクロマチン形成の分子的基盤を提供した (Fig 1)。Grunsteinの研究は、ヒストン — 特にアミノ末端テールのリジン残基 — が遺伝子の誘導的活性化と遺伝的サイレンシングの両方において直接必須の役割を果たすという認識を分野に定着させ、H4リジン残基のアセチル化と遺伝子転写調節の連関への道を開いた。
Allisによるテトラヒメナ大核研究:ヒストンアセチル化の部位特異性と転写活性の対応
テトラヒメナは転写活性を持つ大核 (macronucleus) と生殖系列に相当する小核 (micronucleus) の2種類の機能的に異なる核を持つモデル生物である。Allisはこの系を活用し、大核と小核でヒストンH3・H4アミノ末端テールのアセチル化パターンが異なることを解析した。大核に特異的な非ランダムなアセチル化パターンが存在することが示された (Chicoine et al., 1986) — これは転写活性クロマチンでのアセチル化が偶発的でなく部位特異的に制御されていることを示す重要な証拠であった。この観察は「何がその部位特異的アセチル化を担う酵素的実体であるか」という疑問を自然に導き、AllisはA型HAT活性の精製プロジェクトに着手した。A型HATは核内で転写と共役してヒストンをアセチル化する活性として定義され、DNA複製中の新規ヒストン沈着に関連するB型HATとは機能的に区別されていた。
GCN5ヒストンアセチルトランスフェラーゼの生化学的同定:1996年の転換点
クロマチンと遺伝子制御の分野における最大の転換点は1996年に訪れた。AllisがテトラヒメナA型HATの精製を完成させ、タンパク質配列を決定した結果、それが酵母の転写共活性化タンパク質GCN5のホモログであることが明らかになったのである (Brownell et al., 1996)。遺伝学的研究から転写共活性化因子として同定されていたGCN5が、直接ヒストンをアセチル化する酵素であるという発見の衝撃は計り知れないものがあった。この発見は転写共活性化とヒストンアセチル化を初めて酵素的・分子的レベルで直接結びつけるものであり (Fig 1)、その後の爆発的な分野の進展を引き起こすこととなった。
さらにAllisは酵母GCN5自体もin vitroでHAT活性を持つことを証明した。GCN5はヒストンH3およびH4テールの特定のリジン残基を選択的にアセチル化することが示された (Kuo et al., 1996)。これらの標的部位はB型HATによるアセチル化部位とは異なっており、転写連結型アセチル化の特異的なプログラムの存在が明らかになった。AllisはGCN5がヒストンテール内の特定アミノ酸配列モチーフ内のリジンを選択的にアセチル化することを認識し、これをプロテインキナーゼの基質特異性と類似した酵素認識機構として概念化した。この洞察がその後多数の転写関連HATの同定につながった。
TSA・トラポキシンによるHDAC阻害の発見:ヒストンアセチル化の可逆的制御
タンパク質リン酸化がキナーゼとホスファターゼの拮抗により動的に調節されるように、ヒストンアセチル化も可逆的な修飾であることが示された。別府輝彦らはストレプトミセス由来の天然物TSAが哺乳類細胞の増殖と分化を阻害し生体内でヒストンアセチル化を増加させることを報告した (Yoshida et al., 1990)。重要な定量的知見として、TSAはHDACをIC50 = 1.8nMで強力かつ選択的に阻害し、TSA耐性細胞ではHDAC活性がTSA感受性細胞と比較して約10-fold高く、アセチル化ヒストンの蓄積は認められなかった。さらに別府らは真菌由来の環状テトラペプチドtrapoxinを同定し、生体内でヒストンアセチル化を増加させHDACを不可逆的に阻害することを示した (Kijima et al., 1993)。
これらの薬理学的ツールを活用してStuart SchreiberはヒトJurkat T細胞からtrapoxinで阻害される酵素を精製し、酵母転写調節因子RPD3 (Reduced Potassium Dependency 3) と高い相同性を持つことを明らかにした (Taunton et al., 1996)。酵母RPD3が転写抑制に関与することは遺伝学的に知られており、その哺乳類ホモログがHDACであるという発見は可逆的ヒストンアセチル化と転写調節の直接的連関を確立する決定的な証拠となった。
ヒストンメチル化と「ヒストンコード」の誕生:修飾の爆発的多様化
AllisはThomas Jenuweinとともに、ヒストンテールの特定残基をメチル化できる最初のHMT (histone methyltransferase) を同定した。この発見が引き金となり、多数のHMTおよびヒストン脱メチル化酵素の発見が相次いだ (Shilatifard, 2006)。現在ヒストンには以下の翻訳後修飾が存在することが知られている:アセチル化、メチル化 (モノ・ジ・トリメチル化がそれぞれ異なる機能を持つ)、リン酸化、ADP-リボシル化 (ADP-ribosylation)、ユビキチン化 (ubiquitination)、さらにサクシニル化 (succinylation) やブチリル化 (butyrylation) などのマイナー修飾が含まれる (Huang et al., 2014)。現在これらヒストン修飾を認識する「リーダー (reader)」タンパク質はn=100種類以上、修飾を付加する「ライター (writer)」はn=50種類程度、修飾を除去する「イレーサー (eraser)」はn=12種類程度が同定されている (Fig 1)。
これらの知見を踏まえてAllisとBrian Strahlは「ヒストンコード (histone code)」仮説を提唱した (Strahl and Allis, 2000)。ヒストンテールの特定修飾の組み合わせが「リーダー」タンパク質によって読み取られ、特定の遺伝子発現プログラムをもたらすという概念である。厳密な意味での解読可能なコードが存在するかどうかは議論があるが、特定のヒストン修飾が転写活性クロマチン領域または抑制領域に濃縮されているという事実は広く確認されている。Allisはこれらの修飾を特異的に認識する抗体試薬を多数開発し、Grunsteinはこれらを利用したChIPとPCRの組み合わせにより酵母ゲノム内の特定部位のアセチルリジン修飾をマッピングする先駆的技術を確立した。現在ChIP-seq (chromatin immunoprecipitation sequencing) として進化したこの手法は、エピゲノム全体の解析を可能にし (Rivera et al. Cell 2013)、がんにおけるエピジェネティック多様性の全容解明にも応用されている (Laisne et al. NatRevCancer 2025)。
細胞代謝とヒストン修飾の不可分な連関:アセチルCoAを介した代謝-エピジェネティクス連動
これらのアセチル化マーク全てのドナーであるアセチルCoAが細胞代謝 — 糖質・脂質合成およびエネルギー産生 — にも必須であることから、細胞代謝とヒストン修飾は不可分に連結している。この代謝とエピジェネティクスの連動は、がん細胞における代謝再プログラミングがエピゲノム景観を変化させるという現代的概念の理解に直結する。多様なライター・リーダー・イレーサーをコードする遺伝子の変異は多くの腫瘍種で高頻度に認められ (Akdemir et al. NatGenet 2020)、多くのライター酵素は今日の腫瘍エピジェネティクス治療の薬物標的となっている。また、酵母やテトラヒメナという異なるモデル生物を用いた研究が同一の普遍的機構を解明したことは、生物学的多様性の探索が基礎的発見につながるという重要な教訓を与えている — テロメラーゼもテトラヒメナで発見されたことがこの教訓を補強する。
考察/結論
GrunsteinとAllisの研究が生物学にもたらした最大の貢献は、ヒストンの役割を「DNAを収納するための受動的な構造足場」から「遺伝子転写プログラムを能動的に決定する制御基盤」へと根本的に転換させた点にある。酵母とテトラヒメナというモデル生物での発見が真核生物全体の遺伝子発現制御の普遍的機構へとつながった経緯は、モデル生物を用いた基礎研究の価値を示す最良の例のひとつである。
先行研究との違い: これまでの研究、特にVincent Allfreyらが1964年に示したヒストン修飾と遺伝子発現の相関は既報の重要な先行業績であったが、GrunsteinとAllisの業績は、この相関を分子レベルでの「因果関係と機構的証拠」へと変換した点で対照的な進歩を示すものである。Grunsteinの遺伝学的変異解析 (特定リジン残基の変異が誘導性遺伝子発現を選択的に障害する) とAllisの生化学的精製 (GCN5というHATの酵素的同定) という相補的アプローチの組み合わせが、機構的理解を達成した。これらの手法による実証的証拠は、Allfreyらの相関的観察が「直接的な機能的証拠」に昇華した歴史的な転換点を示す。
新規性: 本研究群で初めて明らかにされた重要な概念は、(1) ヒストンH4の特定リジン残基が遺伝子特異的な転写誘導に必須であること、(2) H4K16残基が遺伝的サイレンシングのSIR複合体リクルートメントに直接関与すること、(3) GCN5という転写共活性化因子が新規に酵素としてHAT活性を持ち、転写制御とヒストン修飾が直接連結するという概念の確立、の3点に要約される。これらはすべて、ヒストン修飾が受動的な構造的現象でなく能動的な制御情報として機能するという新規な枠組みを提供した。
臨床応用: これらの基礎研究の成果は今日では顕著な臨床応用に発展している。HDAC阻害薬 (ボリノスタット、ロミデプシン等) は皮膚T細胞リンパ腫や多発性骨髄腫で承認されており、EZH2 (H3K27メチルトランスフェラーゼ) 阻害薬タゼメトスタットが濾胞性リンパ腫で承認されている。BET阻害薬 (BRD4読み取りタンパク質を標的とする) も複数の腫瘍種で臨床試験が進んでいる。さらに、IDH1/2変異による2-HG (2-hydroxyglutarate) 蓄積がヒストン脱メチル化酵素を阻害するという発見はIDH阻害薬の開発に直結しており、これらはすべてGrunsteinとAllisが確立したヒストン修飾研究の臨床応用 (臨床的意義) の発現といえる。こうした細胞代謝とエピジェネティクスの連動が腫瘍形成に果たす役割の理解は、bench-to-bedside における橋渡し研究の成功例として位置づけられる。
残された課題: 今後の検討として、(1) ヒストン修飾のコンビナトリアルな「ヒストンコード」の完全な解読、すなわちどの修飾の組み合わせがどの遺伝子発現プログラムを規定するかという全体像の解明が依然として残された課題である。(2) n=100以上のリーダー・n=50程度のライター・n=12程度のイレーサーからなるエピジェネティック制御ネットワークが、がん・発生・老化においてどのように機能不全を来すかについてのより深い理解も求められる。(3) ヒストン修飾とDNAメチル化・非コードRNA・3Dクロマチン構造といった他のエピジェネティック機構とのクロストーク (future research) も重要な研究領域として残されている。(4) モデル生物で確立された機構が多細胞生物の発生プログラムおよびがん細胞の表現型可塑性においてどのように活用されるかの詳細な解明も今後の展望である。さらに limitation として、本Commentaryは2018年時点での知見の整理であり、その後急速に発展したCRISPRエピジェネティック編集や単細胞エピゲノム解析の知見は含まれていない点に留意が必要である。
方法
本稿はBruce Stillman (Cold Spring Harbor Laboratory) が執筆した2018年Albert Lasker基礎医学研究賞の受賞業績解説Commentaryであり、独自の実験データを提示するものではない。解説対象となった主要な原著論文における実験手法は以下の通りである。
Grunstein研究における遺伝学的手法: 出芽酵母S. cerevisiaeにおいてヒストンH4の発現レベルを細胞内で条件的に調節可能な株を設計した。ヒストンH4アミノ末端テールの保存リジン残基への部位特異的変異 (site-directed mutagenesis) を導入し、PHO5 (低リン酸条件下で誘導)・GAL1 (ガラクトース応答性) の転写活性化への影響をmRNA定量および酵素活性アッセイで評価した (Durrin et al., 1991)。接合型遺伝子座HMLa・HMRaのサイレンシング解析ではH4K16G変異の染色体外サプレッサーとしてSIR3遺伝子を同定する遺伝的スクリーニングを実施した (Johnson et al., 1990)。SIR3・SIR4タンパク質とヒストンH3・H4の相互作用はco-immunoprecipitation (共免疫沈降) 法で確認し、テロメア近傍クロマチンへのSIR3の拡散はChIPとPCRの組み合わせにより解析した (Hecht et al., 1996)。
Allis研究における生化学的手法: テトラヒメナ大核と小核からのヒストン分画の部位特異的アセチル化パターンをペプチドマッピングおよびアミノ酸配列決定で解析した (Chicoine et al., 1986)。1996年の決定的な成果として、テトラヒメナ大核由来のA型HAT活性を逐次クロマトグラフィー (イオン交換・疎水性・アフィニティーカラム) により生化学的に精製し、タンパク質配列解析と相同性検索により酵母GCN5との相同性を同定した (Brownell et al., 1996)。精製GCN5のin vitro HAT活性は[3H]アセチルCoAを用いた放射性ラベル転移アッセイで定量し、H3およびH4テールの標的リジン残基を特定した (Kuo et al., 1996)。HDAC阻害剤研究ではTSA (trichostatin A: トリコスタチンA) およびtrapoxin (トラポキシン) によるHDAC阻害活性を細胞増殖アッセイ・ヒストンアセチル化レベル測定・酵素活性アッセイで評価した (Yoshida et al., 1990; Kijima et al., 1993)。ヒトHDACの同定はtrapoxinアフィニティー精製とタンパク質配列決定により達成された (Taunton et al., 1996)。これらの主要研究で実施された転写産物定量・タンパク質間相互作用解析・酵素活性測定では、それぞれ独立した複数実験間の比較にt検定等の標準的な統計的手法が適用されたと推定される。