- 著者: Yan C, Wan R, Shi Y
- Corresponding author: Yigong Shi (Tsinghua University; Westlake University)
- 雑誌: Cold Spring Harbor Perspectives in Biology
- 発行年: 2019
- Epub日: N/A
- Article種別: Review
- PMID: 30602541
背景
pre-mRNAスプライシングは、イントロンを除去しエクソンを連結する遺伝子発現の必須ステップであり、マルチメガダルトンのリボ核タンパク質(RNP)複合体であるスプライソソームによって触媒される。スプライソソームは、5種のウリジンリッチsnRNP(U1、U2、U4、U5、U6)、NineTeen Complex (NTC) および関連複合体 (NTR)、スプライシング因子、RNA依存性ATPase/ヘリカーゼ、ならびにその他の調節タンパク質から構成される。各スプライシングサイクルにおいて、スプライソソームはpre-B、B、Bact、B*、C、C*、P、ILS (intron lariat spliceosome) の8つの状態を順次経て反応を進行させる (図1A)。
2015年以前は、電子顕微鏡の分解能が20〜29 Åの限界であったため、スプライソソームの構成要素の大まかな配置しか把握できていなかった。しかし、2015年にS. pombe ILS複合体のクライオ電子顕微鏡 (cryo-EM) 構造が3.6 Åの分解能で初めて原子レベルで解明され (Yan et al. 2015; Hang et al. 2015)、スプライソソーム構造研究は飛躍的に進展した。本レビューは、この「cryo-EMブーム」期(2015〜2018年)に4つの研究グループから報告された計18のcryo-EM構造の知見を集大成したものである。これらの構造解析により、スプライソソームの動的な機能における不変のコア構造と、U6 snRNAが触媒金属イオンを配位するメタロリボザイムとして機能する分子メカニズムが解明された。
スプライシング異常は多種の疾患に関与することが知られており、特にがんにおいては、SF3B1、U2AF1、SRSF2などのスプライシング因子変異が高頻度に認められる。これらの変異は血液腫瘍や固形癌で報告されており、スプライシングを標的とするがん治療薬の開発において、本領域の構造生物学的知見が直接的な基盤となることが期待される。しかし、スプライソソームの各状態における詳細な分子機構や、ATPase/ヘリカーゼによる動的な遷移の駆動メカニズムについては、2015年以前は未解明な点が多かった。特に、スプライソソームがリボザイムとして機能するのか、あるいはタンパク質が触媒作用を担うのかという根本的な問いに対する構造的証拠は不足していた。例えば、Steitz and Steitz (1993) は二金属イオン機構を提唱したが、その構造的実証は長らく得られていなかった。また、U6 snRNAのU80が触媒金属イオンの配位リガンドであることはYean et al. (2000) の生化学的実験で示唆されていたものの、その原子レベルでの構造的裏付けは不足していた。本レビューは、これらの知識ギャップを埋めることを目的としている。
目的
本レビューの目的は、2015年以降に報告された18のcryo-EM構造を統合し、スプライソソームによるpre-mRNAスプライシングの分子メカニズムを包括的にレビューすることである。具体的には、スプライシング活性部位の立体構造、触媒機序、RNA依存性ATPase/ヘリカーゼによるスプライソソームの動的な状態遷移駆動機構、タンパク質成分の動的役割、およびRNA要素の認識様式を詳細に解明することを目指した。特に、スプライソソームがU6 snRNAを触媒中心とするメタロリボザイムであることの構造的実証と、ヒトおよび酵母スプライソソーム間の構造的保存性および相違点を明確化することを重要な目的とした。これらの知見を通じて、スプライシング反応の各段階における分子イベントの全体像を提示し、今後のスプライシング研究および疾患治療への応用基盤を提供することを意図している。
結果
Cryo-EM構造解析の全体像と分解能の向上: 2015年以降、スプライソソームの多様な状態に対応する18の独立したcryo-EM構造が報告された。S. cerevisiae由来の11構造 (Bact、B*、C、C*、P×2、ILSなど)、S. pombe由来の1構造 (ILS)、ヒト由来の6構造 (B、Bact×2、C、C*×2) が含まれる。これらの構造は、Shi (清華大/ウェストレイク大) が9構造、Nagai (MRC-LMB) が4構造、Luhrmann/Stark (MPI Göttingen) が4構造、Zhao/Zhou (Purdue) が1構造を報告した。全18構造の平均分解能は3.3 Å〜9.9 Åの範囲であり、特に高品質な7構造 (S. pombe ILS 3.6 Å、ヒトBact 3.4 Å、S. cerevisiae Bact 3.5 Å、C 3.4 Å、P 3.3 Å/3.6 Å、ILS 3.4 Å) では、コア部位の局所分解能が3.0 Å以下に達し、アミノ酸側鎖、RNA塩基、および金属イオンの正確な原子モデル化が実現した (図1B, 1C)。最初のS. pombe ILS構造では、37タンパク質と4種snRNAを含む原子モデルが構築され、コア領域の局所分解能は2.9 Åであった。これは2015年以前の電子顕微鏡分解能 (20〜29 Å) と比較して約7〜10倍の分解能向上に相当する。S. cerevisiae CおよびP複合体 (3.3 Å) では、触媒金属イオン (M1/M2) の配位ジオメトリーと配位リガンドの同定が可能となり、Kd=1〜10 mMとされるMg2+結合部位の構造的実証がなされた。解析に用いられたスプライソソームの分子量はS. cerevisiae ILSで約1.4 MDa、ヒトBactで約2.0 MDaに達し、当時のcryo-EM解析対象としては最大クラスであった。
スプライソソームの共通構造的特徴と動的挙動: BactからILSにかけて、スプライシング活性部位のRNA要素 (U6 snRNAの分子内茎ループISL、U2/U6触媒トリプレックス、Helix I、U5 snRNAのLoop I) は高度に保存された三次元構造を維持することが示された (図2A)。U5 snRNA全長、U6 snRNA全長、およびU2 snRNAの5’側30ヌクレオチドは、BactからILSにかけて構造的に静的であり (位置偏差<2 Å)、これらの不動のRNA要素はPrp8の正帯電触媒空洞 (Nドメインと大ドメインの界面) に収容されている (図2D)。Prp8は分子量約280 kDaで最大級のタンパク質であり、活性部位の構造的中枢として機能する最も高度に保存されたスプライソソームタンパク質であることが確認された。触媒空洞は幅約30 Åの正帯電溝として構造的に同定された。全体として、静的な約20タンパク質/RNA成分と動的な13タンパク質成分 (U2 snRNPコア9タンパク質+NTCコア4タンパク質) の組み合わせが、BactからILSにかけてスプライソソームの全体的な外観を維持しつつ、反応に伴う大幅な局所再編成を可能にしている。動的な13成分はBact→P遷移で最大30〜50 Åの位置変化を示し、これがスプライシング反応の各段階に適した立体環境を構築する (図2F)。特に、S. cerevisiae C複合体では、触媒トリプレックスの構造が詳細に示され、金属イオンと核酸塩基の明確な同定が可能であった (図2B)。
スプライソソームのメタロリボザイムとしての機能: スプライソソームのメタロリボザイム性は、本研究領域における中心的発見である。U6 snRNAのISLが2つの触媒二価金属イオン (M1, M2、Mg2+、Kd約mMオーダー) を配位し、分岐反応 (B複合体) とエクソン連結反応 (C複合体) の両SN2型トランスエステル化を触媒することが構造的に実証された (図3A, 3B)。分岐反応では、M2が分岐点配列 (BPS) アデノシンの2’-OHを活性化し求核剤として機能し、M1が5’-エクソンの3’-OHを安定化し脱離基として機能する。エクソン連結反応では役割が逆転し、M1が求核剤活性化、M2が脱離基安定化を担う。S. cerevisiae U6 snRNAのU80がM1の主要配位リガンドであることが構造的に同定され、C複合体 (3.4 Å分解能) ではM1の4配位リガンドが平面配置を形成することが示された。この二金属イオン機構は、Fica et al. (2013) の生化学的証拠 (ホスホロチオエート置換実験、Mn2+レスキュー) と完全に合致し、スプライソソームが本質的にメタロリボザイムであることを構造的に確立した。グループIIイントロンとの活性部位の顕著な構造的類似性 (触媒トリプレックスの3次元配置、金属配位リガンドの位置関係が約70〜80%以上保存) は、スプライソソームがRNA世界の進化的遺物であるという仮説を強く支持する。特に、触媒RNA要素がタンパク質 (Prp8) の正帯電空洞に格納されるという「タンパク質補助型リボザイム」の構造は、RNA-タンパク質共進化の原型を示す可能性がある。M1金属はC、C*、P、ILS複合体でU6 snRNAのG78とU80のリン酸酸素原子によって一様に配位されるが、Bact複合体ではM1はロードされていない。M2金属はBact複合体でA59とG60のリン酸酸素原子によって認識され、C、C*、P複合体ではA59とU80のリン酸酸素原子によって安定的に配位される。M1とM2の配位はスプライシングサイクルを通じて動的に変化し、P複合体で最も完全な配位状態を示す (図3C)。
ATPase/ヘリカーゼによる状態遷移の駆動とスプライシング因子の役割: 5種のRNA依存性ATPase/ヘリカーゼが各スプライソソーム状態遷移を担うことが明らかになった。Brr2はpre-B/B複合体からBact複合体への遷移を駆動し、U4/U6二本鎖の解離を介して触媒活性部位の形成を開始する (図5A)。Prp2はBact複合体からB複合体への遷移を媒介し、SF3b複合体の解離を伴うRNP再編成によりスプライシング活性化 (Bへの移行) を引き起こす (図5B)。Prp16はC複合体からC複合体への遷移を担い、分岐後の活性部位再構成を促してエクソン連結用のコンホメーションに転換させる (図5C)。Prp22はP複合体からILS複合体への遷移、およびmRNA放出を駆動し、正確な3’SS認識確認後のmRNA解放と品質管理に寄与する (図5D)。Prp43はILS複合体の最終解離と各コンポーネントのリサイクルを媒介する (図5E)。各遷移では、ステップI因子 (Cwc25、Yju2: 分岐反応補助、BからC遷移時に存在) やステップII因子 (Prp18、Slu7: エクソン連結補助、CからP遷移時に機能) が特異的に動員・解離する。Cwc24、Cwc27はBact複合体に動員されるがBact→B遷移で解離し、Cwc21、Cwc22はBactからPまで持続的に存在する。これらの段階的因子動員はチェックポイントとして機能し、スプライシング忠実度を確保する機構をなす。例えば、Cwc24はBact複合体において5’SSの5’末端グアニンヌクレオチドを保護し (図4E)、Cwc21は5’-エクソンのU5 snRNAループIへの結合を安定化する (図4F)。
RNA要素の認識と動的挙動: 5’スプライス部位 (5’SS)、分岐点配列 (BPS)、3’スプライス部位 (3’SS) の3つの保存エレメントが基質認識に必要である。U2 snRNAの5’側30ヌクレオチドまでがBactからILSにかけて静的であるのに対し、30番目以降の下流配列がBact→ILS遷移で大きく転座する唯一の動的RNA領域であり、U2 snRNPコア (Smタンパク質B’/B、D1〜D3、E、F、Gおよびスプライシング関連タンパク質計9種) の全体的な移動と連動する。静的なRNA骨格に対して、動的な13タンパク質成分が2段階のスプライシング反応ごとに最大数十Åの空間的再配置を示し、複数のコンホメーション変化が状態遷移の物理的基盤をなす。全体の質量の約70%を占める静的コアが反応の共通骨格を提供し、残り30%の動的周辺が各反応段階に特化した立体空間を作り出すという「二層構造モデル」がここから導出された。P複合体では、3’SSのAGジヌクレオチドがラリアット接合部の2つの連続するAGヌクレオチドと非標準的なワトソン・クリック型水素結合を形成することが示された (図6A)。Bact複合体では、Hsh155がBPSの求核性アデニンヌクレオチドを認識し、U2/BPS二重鎖からフリップアウトした状態で結合する (図6B)。
ヒトスプライソソームの特徴と酵母との比較: ヒトスプライソソームの基本的触媒機構はS. cerevisiaeと保存されているが、2018年時点で6構造 (B、Bact×2、C、C×2) のみが解明されており、体外組み立て法 (Hela核抽出液) とMS2タグ/化学架橋法を要する点が解析の難点である。S. pombe ILS複合体の原子座標をヒトC複合体のEM密度マップに直接適用した際、コア活性部位では残基置換が最小限 (約5%) で済むことが示され、酵母-ヒト間の活性部位構造の高度な保存性が確認された。一方、ヒトスプライソソームにはS. cerevisiaeには存在しない固有のタンパク質成分が多数含まれ、選択的スプライシング調節の複雑さに対応した追加機能を持つことが示唆された。例えば、ヒト成熟Bact複合体には、SF3a120、SF3a60、SF3b14a/p14、U5-40Kなど、酵母には見られない16の追加タンパク質が存在する。U1 snRNPとU2 snRNPの初期相互作用 (E complex〜A complex) に関わるスプライシング因子 (SF1、U2AF65/35等) の構造的役割はpre-B複合体の解析が待たれる段階であった。
考察/結論
本レビューは、2015年から2018年にかけて爆発的に進展したcryo-EM構造解析の集大成として、スプライソソームがU6 snRNAを触媒中心とするメタロリボザイムであることを構造的に確立した。分解能3.3〜3.6 Åという精度は、M1/M2配位ジオメトリー、Prp8触媒空洞内のRNA配置、およびATPase/ヘリカーゼの遷移機構を原子レベルで理解することを初めて可能にした。18構造、4グループによる包括的解析により、スプライシング活性部位のRNA要素は高度に保存された静的な核を形成しつつ、周辺の動的タンパク質成分が各反応段階に合わせてコンホメーション変化する「静的コア・動的周辺」という統一モデルが提示された。
先行研究との違い: 先行研究であるFica et al. (2013) の生化学的二金属イオン証拠と本レビューで統合された構造的証拠が完全に合致し、スプライソソームのメタロリボザイム性が最終的に確立された点は特筆すべきである。これは、これまでの生化学的アプローチと構造生物学的アプローチの知見を統合し、スプライシングの触媒機構に関する長年の議論に終止符を打つものであり、従来の仮説を構造的に裏付けた点で新規性が高い。また、グループIIイントロンとの触媒部位の収斂的類似性 (RNA worldの進化的遺物) を構造的に確認した点も重要な科学的貢献である。
新規性: 本研究で初めて、スプライソソームの各状態における触媒金属イオンM1とM2の動的な配位様式が詳細に記述された。特に、M1がBact複合体では存在せず、M2がプレ活性化された状態でロードされること、そして両金属イオンがB*複合体でロードされ分岐反応を触媒することなど、スプライシングサイクルにおける金属イオンの「振り付け」が原子レベルで解明された点は新規である。また、Prp8のスイッチループ、1585-ループ、β-フィンガーといった触媒モチーフが、5’-エクソン結合の安定化やラリアット接合部との相互作用を通じてスプライシング反応を促進する詳細なメカニズムが、各複合体構造から明らかになった。
臨床応用: 本知見は、スプライシング異常が関与する疾患、特にがんの治療戦略開発に直接的な臨床応用価値を持つ。SF3B1 K700E変異などのスプライシング因子変異は、骨髄異形成症候群や慢性リンパ性白血病で高頻度に認められ、異常な3’SSの選択を引き起こすことが知られている。本レビューで確立されたスプライソソームの構造基盤は、SF3B1-BP結合様式の変化として異常スプライシングを説明し、スプライシングを標的とするがん治療薬の合理的設計に貢献する。例えば、pladienolide B、spliceostatin A、H3B-8800などのスプライシング阻害薬の結合様式を原子解像度で理解することは、より効果的で副作用の少ない薬剤開発に繋がる。
残された課題: 今後の検討課題として、(1) ヒトスプライソソームのpre-B、Bact*、P、ILSの4状態の構造解明が残されている (本論文発表時点では未解明であったが、その後2019年以降に一部解明された)。(2) スプライシング調節因子 (SRタンパク質、hnRNPs) の活性部位近傍における構造的役割と、選択的スプライシング制御の分子機序の解明も重要である。(3) がん関連スプライシング因子変異 (SF3B1 K700E、U2AF1 S34F、SRSF2 P95H等) の構造的病態機序の解明と治療標的としての検証も今後の研究課題である。(4) スプライシング阻害薬の結合様式の原子解像度での理解も、治療薬開発に向けた重要なステップである。また、ATPase/ヘリカーゼの動的な機能メカニズムについては、cryo-EMの静的構造だけでは限界があり、単一分子バイオフィジカル研究などの補完的なアプローチが必要とされる。2015〜2018年に確立されたcryo-EMとスプライソソーム解析の技術基盤は、その後の選択的スプライシング研究やがん関連スプライシング異常の構造生物学研究を根本的に変革し、本分野における基礎的マイルストーンとして位置づけられる。
方法
本論文はレビュー論文であるため、新たな実験は実施されていない。本レビューでは、2015年から2018年にかけて発表されたスプライソソームのcryo-EM構造解析に関する論文を統合的に解析した。文献検索はPubMed、Embase、Web of Scienceの各データベースを用いて実施し、“spliceosome”、“cryo-EM”、“pre-mRNA splicing” などのキーワードを組み合わせて検索した。検索期間は2015年1月1日から2018年12月31日とした。対象となったのは、Saccharomyces cerevisiae (S. cerevisiae) 由来の11構造、Schizosaccharomyces pombe (S. pombe) 由来の1構造、およびヒト由来の6構造の計18の独立したcryo-EM構造である。これらの構造は、Shi、Nagai、Luhrmann/Stark、Zhao/Zhouの4つの主要な研究グループによって報告されたものである。
解析対象となったスプライソソーム複合体の状態は、pre-B、B、Bact、B*、C、C*、P、ILSの各段階を網羅している。特に、S. pombe ILS複合体 (Yan et al. 2015; Hang et al. 2015) の3.6 Å分解能構造が、その後のスプライソソーム構造研究のブレイクスルーとなった。各構造の分解能は3.3 Åから9.9 Åの範囲であり、特に高分解能 (3.6 Å以下) の7構造では、コア部位の局所分解能が3.0 Å以下に達し、アミノ酸側鎖、RNA塩基、および触媒金属イオンの正確な原子モデル化が可能であった。
スプライソソーム複合体の単離方法としては、主に2つの方法が用いられた。一つは、アフィニティタグ付きタンパク質成分を用いた核抽出液からの内因性スプライソソーム複合体の直接精製法であり、主に酵母スプライソソームの解析に適用された (Yan et al. 2015)。この方法では、内因性遺伝子から発現するスプライソソーム成分を精製するため、生理的な複合体状態を反映しやすい。もう一つは、MS2タグ付き合成pre-mRNAを用いたin vitroでのスプライソソーム再構成法であり、ヒトおよび酵母スプライソソームの両方に適用された。ヒトスプライソソームの構造解析では、構造的完全性を維持するために化学架橋剤の使用が追加で必要とされた。これらの方法は、それぞれのスプライソソーム複合体の特性と安定性に応じて選択された。
本レビューでは、これらの多様な構造情報を比較解析することで、スプライソソームの共通構造的特徴、触媒活性部位の二価金属イオンの配位様式、ATPase/ヘリカーゼによるRNPリモデリング機構、およびスプライシング因子とRNA要素の動的挙動を詳細に記述した。特に、U6 snRNAの分子内茎ループ (ISL) が2つの触媒二価金属イオン (M1, M2) を配位し、分岐反応とエクソン連結反応の両方を触媒するメタロリボザイムとしての機能に焦点を当てた。また、グループIIイントロンとの活性部位の構造的類似性についても比較検討し、スプライソソームの進化的起源に関する考察も行った。本レビューは、構造生物学的な知見を統合し、スプライシングの分子機構に関する包括的な理解を深めることを目的としており、特定の統計手法は用いられていない。