KRAS G12Ci (KRAS G12C 阻害薬)
一行要約
KRAS G12Ci は KRAS G12C 変異タンパクの switch-II ポケットに不可逆的に共有結合し、GDP 結合不活性状態にトラップする小分子クラス (sotorasib / adagrasib 等) である。NSCLC で長らく undruggable とされた KRAS を初めて直接薬剤化した breakthrough であり、Wiki では耐性機序 (lineage plasticity、co-mutation) や IO 併用の文脈で参照される。詳細な臨床データと機序は KRAS-G12C-inhibitor に集約され、本ページはその短縮表記 (G12Ci) のエントリ。
主要エビデンス
- LKB1 (STK11) 変異 (KL) 腫瘍で sotorasib / adagrasib 投与下に adeno-to-squamous transition が惹起され、lineage plasticity を介した耐性が生じることが示された (Tong et al. CancerCell 2024)。
- KRAS G12C 変異 NSCLC の臨床的特徴・転帰の記述で G12Ci 治療対象集団が定義される (Arbour et al. ClinCancerRes 2021)。
- 包括的な pivotal trial (CodeBreaK / KRYSTAL)・耐性スペクトラム・pan-RAS 展開は KRAS-G12C-inhibitor エンティティを参照。
メカニズム
KRAS G12C 変異はコドン 12 の glycine→cysteine 置換を生み、この新規システイン残基は GDP 結合 (不活性) 状態でのみ露出する switch-II 近傍の cryptic pocket に位置する。KRAS G12Ci はこのシステインに共有結合し、KRAS を GDP 結合状態にロックして GTP への nucleotide exchange と下流 RAF-MEK-ERK / PI3K シグナルを遮断する。KRAS の内在性 GTPase 活性に依存して薬剤が GDP 状態を捕捉するため、変異 allele 特異的かつ正常 KRAS を温存する。耐性は二次 KRAS 変異、bypass シグナル (RTK 再活性化、新規 KRAS amplification)、および STK11 変異背景での lineage plasticity (adeno-to-squamous transition) 等で生じる。
臨床位置づけ
- 適応: KRAS G12C 変異既治療進行 NSCLC で sotorasib・adagrasib が承認。1L・併用 (SHP2/SOS1 阻害、IO、化療) の最適化が進行中。
- co-mutation 文脈: STK11 / KEAP1 co-mutation は IO 抵抗性かつ KRAS G12Ci 耐性に関与し、層別化の鍵。
- 詳細な臨床位置づけ・毒性・次世代薬は KRAS-G12C-inhibitor に記載。
Open Questions
- KL (STK11 変異) 背景での lineage plasticity 耐性をどう先制するか。
- G12Ci と IO / 化療 / SHP2 阻害の最適併用とシーケンス。
- pan-RAS / G12D 阻害への展開と G12C 限定クラスの将来的位置づけ。