- 著者: Jian Chen, Jiali Jin, Xi Zhang, Linjie Yu, Xinyu Wu, Wei Chen, Mengdi Tang, Dengchang Wu, Zhiren Zhang, Yun Xu
- Corresponding author: Yun Xu (Department of Neurology, Drum Tower Hospital, Medical School and The State Key Laboratory of Biotechnology, Nanjing University, Nanjing, Jiangsu 210008, P.R. China; xuyun20042001@aliyun.com)
- 雑誌: Molecular Therapy
- 発行年: 2021
- Epub日: 2021-04-30
- Article種別: Original Article
- PMID: 33895326
背景
虚血性脳卒中 (ischemic stroke) は、世界的に主要な死因および後遺障害の原因となる極めて重篤な疾患である。急性期の治療法としては、組織プラスミノーゲン活性化因子 (tPA) による血栓溶解療法と機械的血栓除去術が唯一確立されているが、その治療時間窓は4.5時間に限定され、適用率は10%未満に留まっている。このため、脳卒中後の二次損傷機構、特に神経炎症、好中球浸潤、血液脳関門 (BBB) 破綻といったプロセスを標的とした治療法の開発が喫緊の課題となっている。
中枢神経系 (CNS) の常在性マクロファージであるミクログリアは、脳卒中後早期 (1〜6時間) に活性化され、CXCL1やCXCL2などのケモカインを放出し、虚血巣への好中球のリクルートを促進する主要な自然免疫細胞である。好中球は、脳卒中後30分で浸潤を開始し、24〜48時間でピークに達し、神経細胞の損傷やBBBの破壊を介して虚血性損傷を悪化させる。したがって、ミクログリアの活性化と好中球浸潤を制御することは、急性虚血性脳卒中に対する新たな治療戦略となり得る。
近年、200塩基対以上の長さを持つノンコーディングRNAであるlong non-coding RNA (lncRNA) が、転写調節、mRNA安定化、タンパク質足場機能などを介して免疫応答の調節に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。脳卒中後には、血清および脳組織においてlncRNAの発現プロファイルが有意に変化することが報告されている。先行研究において、Wang et al. (2017) はlncRNA H19がヒストンデアセチラーゼ1依存性のM1ミクログリア分極を促進することで脳卒中後の神経炎症を促進することを報告している。また、Zhang et al. (2019) はlncRNA 1810034E14Rikが脳卒中後のミクログリア活性化を抑制することを報告している。さらに、脳卒中後の炎症性微小環境における好中球の動態について、Adrover et al. Immunity 2019 は好中球の経時的な機能変化と血管保護作用について詳細な知見を提示している。
しかし、これらの先行研究の多くは、単離されたミクログリアではなく、バルク組織を用いており、脳卒中後のミクログリア活性化におけるlncRNAの特異的な機能と詳細な分子メカニズムについては、依然として「未解明」な部分が多い。特に、lncRNAがmRNAの安定性を介して神経炎症を調節する詳細な分子ネットワークについては、研究データが「不足」しており、ミクログリア特異的なlncRNAの役割を直接的に検証した報告は極めて「手薄である」という「課題が残されている」。本研究は、tMCAO (transient middle cerebral artery occlusion; 一過性中大脳動脈閉塞) マウスモデルを用いて、虚血性脳卒中後にミクログリアで特異的に発現が上昇するlncRNAを同定し、それが好中球のリクルートメントを促進するメカニズムを分子レベルで解明することを目的とした。
目的
本研究の目的は、虚血性脳卒中後の神経炎症におけるミクログリア特異的lncRNA-U90926の機能を詳細に解析することである。具体的には、以下の3つの主要な目的を設定した。
- lncRNA-U90926の機能解析: 虚血性脳卒中後のミクログリア活性化におけるlncRNA-U90926の役割をin vivoおよびin vitroで評価する。特に、U90926の発現パターン、神経学的欠損および梗塞体積への影響、ならびに好中球浸潤への影響を詳細に調べる。
- MDH2結合を介したCXCL2 mRNA安定化メカニズムの分子解明: U90926がMDH2 (malate dehydrogenase 2) に結合し、CXCL2 mRNAの安定性を調節する分子メカニズムを解明する。これには、U90926とMDH2の直接的な相互作用、MDH2とCXCL2 mRNA 3’UTR (3’ untranslated region; 3’非翻訳領域) との結合の競合的阻害、およびそれによるCXCL2 mRNA分解の抑制メカニズムの分子的な解剖が含まれる。
- AAV-F4/80プロモーター依存性ミクログリア特異的shRNAノックダウンによるin vivo治療概念実証: アデノ随伴ウイルス (AAV) を用いたミクログリア特異的U90926 shRNA (short hairpin RNA) ノックダウンが、虚血性脳卒中マウスモデルにおいて神経保護効果を発揮するかどうかを検証し、lncRNAを介したミクログリア-好中球クロストークを標的とした治療戦略の概念実証を行う。
これらの目的を達成することで、lncRNAを介したミクログリア-好中球クロストークの新たなパラダイムを確立し、虚血性脳卒中に対する新規の診断バイオマーカーおよび治療標的としてのU90926の可能性を評価する。
結果
U90926のミクログリア特異的発現上昇: tMCAOマウスモデルにおいて、虚血/再灌流後24時間で虚血半球のU90926発現が有意に上昇し、3日目以降はベースラインレベルに戻ることが確認された (Figure 1A)。FACSで単離した虚血脳のミクログリア (CD11b+ CD45int) において、U90926の発現はtMCAO後1日目に 4.5-fold increase と有意に上昇し (p<0.001, n=12 mice)、その特異性が示された (Figure 1D)。OGD-R処理した初代神経細胞では、ミクログリアにおいてU90926が最も顕著にアップレギュレーションされた。RNA-FISHアッセイにより、U90926は虚血ペナンブラ領域のIba1+ミクログリアの細胞質および核内に局在し、ミクログリアの活性化マーカーであるCD68+細胞と共局在することが示された (Figure 1E)。これらの結果は、U90926が実験的脳卒中後にミクログリアで特異的に誘導されることを明確に示した。
ミクログリア特異的U90926ノックダウンによる神経保護効果: ミクログリアにおけるU90926の役割を評価するため、AAV-F4/80プロモーター駆動型shRNA-U90926 (AAV-F4/80-shRNA-U90926) またはコントロールshRNA-GFP AAVをtMCAOマウスの右皮質に微量注入した (Figure 2A)。AAV-F4/80-shRNA-U90926注入マウスの虚血半球から単離したミクログリアにおいて、U90926 mRNAレベルは有意に減少しており (p<0.001, n=9 mice)、ノックダウン効率が確認された (Figure 2C)。U90926ノックダウン群では、tMCAO後の神経学的機能が有意に改善された。具体的には、mNSSが低下し (Figure 2F, day 1: 9→6, day 3: 8→4, p<0.05, n=12 mice)、グリップ強度が向上し (Figure 2G, p<0.05, n=12 mice)、ロータロッドテストでの落下潜時が増加した (Figure 2H, p<0.05, n=12 mice)。さらに、TTC染色により、U90926ノックダウン群では梗塞体積がコントロール群の約45%から約25%に有意に縮小した (約40%の減少, Figure 2I, 2J, p<0.05, n=6 mice)。これらの結果は、ミクログリア特異的なU90926ノックダウンがtMCAOマウスの虚血性脳損傷を軽減することを示した。
U90926による好中球浸潤のCXCL2依存性促進: U90926がミクログリアの生物学的機能に与える影響をさらに検討した。フローサイトメトリー解析により、U90926ノックダウン群のtMCAOマウス脳では、ミクログリア、B細胞、CD4+/CD8+ T細胞の数は変化しなかったが、好中球浸潤が有意に減少した (Figure 3A, 3B, p<0.01, n=6 mice)。免疫蛍光染色でも、梗塞周囲領域のLy6G+細胞が顕著に減少していることが確認された (Figure 3C, 3D, p<0.05, n=5 mice)。好中球関連の炎症性サイトカインであるMPOおよびMMP3のmRNAレベルもU90926ノックダウン群で有意に低下した (Figure 3E, p<0.01, p<0.001, n=5 mice)。in vitroの経内皮好中球遊走モデルでは、U90926ノックダウンミクログリアの培養上清が好中球の遊走を約65%抑制した (Figure 3I, p<0.05, n=5 replicates)。BBBの完全性はU90926ノックダウンによって影響を受けなかった (Figure 3G, 3H)。これらのデータは、U90926がミクログリアを介した好中球のリクルートメントを促進することを示唆した。
好中球枯渇マウスにおけるU90926ノックダウンの保護効果の消失: ミクログリアU90926が好中球浸潤を促進することで虚血性脳卒中を悪化させるという仮説を検証するため、tMCAOの24時間前に抗Ly6G抗体 (125 µg/mouse) を腹腔内投与して好中球を枯渇させた (Figure 4A)。好中球枯渇はフローサイトメトリーにより確認され、血液中の好中球割合は有意に減少した (Figure 4B, n=6 mice)。好中球枯渇マウスでは、梗塞体積の減少 (Figure 4C, 4D, p<0.05, n=6 mice)、mNSSの低下 (Figure 4E, p<0.05, n=6 mice)、グリップ強度の向上 (Figure 4F, p<0.05, n=6 mice) といった神経保護効果が認められた。しかし、好中球枯渇マウスにおいて、ミクログリアU90926ノックダウンは追加の保護効果を示さなかった (Figure 4C-4F)。この結果は、好中球が虚血性脳卒中におけるミクログリアU90926の有害な影響を媒介する重要な因子であることを強く示唆している。
U90926による好中球走化性因子CXCL2の調節: U90926が発揮する好中球浸潤に関与する潜在的なケモカインを特定するため、LPS (lipopolysaccharide; リポ多糖) 刺激ミクログリアにおけるU90926ノックダウンの有無でのmRNAマイクロアレイ解析を実施した。ボルケーノプロットおよび散布図により、CXCL1、CXCL2、CXCL10を含むCXCLファミリーのケモカインがU90926サイレンシングによりダウンレギュレーションされることが示された (Figure 5A, 5B, n=3 replicates)。qRT-PCRにより、tMCAOマウスの虚血半球において、U90926ノックダウン後にCXCL1とCXCL2が減少したが、特にCXCL2が最も顕著にダウンレギュレーションされた (Figure 5C, p<0.01, n=5 mice)。in vitroでも、OGD-R処理ミクログリアにおいてU90926サイレンシングがCXCL2 mRNAレベルを減少させた (Figure 5D, p<0.01, n=4 replicates)。また、虚血脳のペナンブラにおけるCXCL2 mRNAレベルは、虚血後24時間で有意にアップレギュレーションされ、U90926と同様の発現パターンを示した (Figure 5E, p<0.001, n=5 mice)。
U90926によるMDH2を介したCXCL2 mRNA分解からの保護: U90926が主に細胞質に分布していることから、U90926がCXCL2 mRNAの安定性を高めることでCXCL2発現を誘導すると推測された。LPS刺激BV2細胞において、U90926サイレンシングはアクチノマイシンD処理後のCXCL2 mRNA分解速度を著しく増加させ、U90926がCXCL2 mRNAの安定化を促進することを示した (Figure 6A, p<0.05, n=3 replicates)。RNAプルダウンとLC-MS/MSにより、U90926結合タンパク質のトップヒットとしてMDH2が同定された (Figure 6B, 6C)。RIPアッセイにより、LPS活性化BV2細胞においてU90926とMDH2の直接結合が確認された (Figure 6D, p<0.01, n=4 replicates)。
MDH2がCXCL2発現に与える影響を調べたところ、MDH2の過剰発現はLPS処理BV2細胞のCXCL2 mRNAレベルを有意に減少させ (Figure 6G, p<0.01, n=4 replicates)、CXCL2 mRNAの分解速度を著しく加速させた (Figure 6H, p<0.05, p<0.01, n=3 replicates)。これはMDH2がCXCL2 mRNAを不安定化させることを示している。さらに、U90926がMDH2とCXCL2 mRNAの結合を妨害するかどうかを検証した。U90926サイレンシング後、MDH2に結合したRNA中のCXCL2 mRNAの濃縮が有意に増加したことから、U90926がMDH2とCXCL2 mRNAの直接結合を減少させることが示された (Figure 6I, p<0.05, p<0.01, p<0.001, n=3 replicates)。ルシフェラーゼレポーターアッセイでは、MDH2過剰発現によるCXCL2 3’UTRの相対ルシフェラーゼ活性の減少が、U90926過剰発現によって回復することが示された (Figure 6J, p<0.05, p<0.01, n=3 replicates)。MDH2ノックダウンBV2細胞では、U90926サイレンシングはCXCL2レベルにさらなる影響を与えなかったことから、U90926によるCXCL2の調節がMDH2依存的であることが示された (Figure 6K, p<0.05, p<0.01, p<0.001, n=3 replicates)。これらの結果は、U90926がMDH2と相互作用することで、MDH2とCXCL2 mRNAの結合を阻害し、CXCL2 mRNAをMDH2媒介性の分解から保護することを示した。
考察/結論
本研究は、虚血性脳卒中後のミクログリア活性化における新規のlncRNA-MDH2-CXCL2軸を定義した神経炎症分野の概念的ブレークスルーである。我々は、lncRNA U90926が虚血性脳卒中後のミクログリアで有意に誘導され、MDH2に直接結合することでCXCL2 mRNAの分解を競合的に阻害し、その結果としてCXCL2 mRNAの安定化を介した好中球ケモカイン勾配の持続を実現するという、新規の転写後調節メカニズムを確立した。
先行研究との違い: 本研究は、バルク組織を用いてlncRNAの解析を行ってきた従来の脳卒中研究と異なり、FACSを用いて虚血脳から高純度に単離したミクログリアにおけるU90926の特異的な発現上昇を明らかにした点で対照的である。さらに、U90926がMDH2を介してCXCL2 mRNAの安定性を調節するという、これまで報告されていない新規のメカニズムを解明した。特に、MDH2がRNA結合タンパク質として機能し、特定のmRNAの分解を促進するという最近の知見を、CXCL2 mRNAの安定性調節という文脈でlncRNAが介在するという点で、先行研究と大きく異なる。
新規性: 本研究で初めて、lncRNA-U90926が虚血性脳卒中後のミクログリアにおいてMDH2に結合し、MDH2によるCXCL2 mRNAの分解を競合的に阻害することで、CXCL2 mRNAの安定性を高め、好中球浸潤を促進するという新規の分子メカニズムを明らかにした。この発見は、lncRNAがmRNAの安定性を介して神経炎症を調節するという、これまで報告されていない重要なメカニズムを提示するものである。また、AAVを用いたミクログリア特異的遺伝子送達システムがin vivoで有効な治療効果を示すことを実証した点も、新規性が高い。
臨床応用: 本知見は、急性期脳卒中の神経炎症ウィンドウ (6-24時間) におけるlncRNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチド (ASO; antisense oligonucleotide) 治療の臨床応用に直結する。U90926のサイレンシングは、梗塞体積を約40%減少させ、神経学的欠損を有意に改善したことから、U90926は虚血性脳卒中の潜在的なバイオマーカーおよび治療標的となり得る。また、CXCL2/CXCR2アンタゴニスト (reparixin, navarixin, SX-682など) との組み合わせ治療戦略の分子基盤を提供する。さらに、ミクログリア-好中球クロストークのバイオマーカーとして、血清中のU90926定量が液体生検として臨床応用される可能性も考えられる。AAV-F4/80プロモーターを用いたミクログリア特異的ターゲティングは、脳血管遺伝子治療のトランスレーショナルな概念実証となる。
残された課題: 今後の検討課題として、いくつかのlimitationが残されている。第一に、U90926はマウスlncRNAであり、ヒトにおけるオーソログの同定が未完であるため、ヒトのミクログリアにおける虚血性脳卒中コホートでの相同lncRNAの特定が必要である。第二に、AAV-F4/80プロモーターはミクログリア特異的ではあるが、組織常在性マクロファージとのオーバーラップがあるため、周辺臓器のマクロファージへのオフターゲット効果の可能性も考慮する必要がある。第三に、MDH2の主要な代謝機能 (TCAサイクルにおけるリンゴ酸-オキサロ酢酸変換) がU90926結合によってどのように変化し、その代謝的影響が神経保護に寄与するかは未解析である。第四に、CXCL2以外のMDH2によって調節されるmRNAが、部分的なレスキュー効果に寄与している可能性も否定できない。第五に、長期的な機能予後 (>30日) や皮質リモデリングへの影響は未評価である。第六に、既存の血栓溶解療法や機械的血栓除去術との組み合わせ治療効果は未検証である。最後に、本研究は雄マウスのみを使用しており、臨床的な脳卒中患者の多くが高齢女性であることから、女性マウスや高齢マウスでの性別・年齢差による影響を評価する必要がある。
方法
動物モデル: 8〜10週齢のC57BL/6J雄マウスを用いて、一過性中大脳動脈閉塞 (tMCAO) モデルを確立した。60分間の虚血後、再灌流を行い、術後1日、3日、7日に評価を実施した。シャム手術群のマウスは、tMCAOと同様の手順で手術を行ったが、中大脳動脈の閉塞は行わなかった。合計175匹のマウスが本研究に使用され、虚血後の死亡または虚血誘導の失敗により21匹が除外された。
lncRNA発現スクリーニング: 虚血脳のミクログリア (CD11b+ CD45int [CD45 intermediate] 細胞) を蛍光活性化細胞選別 (FACS; fluorescence-activated cell sorting) により単離し、RNA-seq解析を実施してU90926の発現変動を同定した。また、酸素グルコース欠乏-再灌流 (OGD-R; oxygen-glucose deprivation-reperfusion) 処理した初代ミクログリア、アストロサイト、ニューロンにおけるU90926の発現も定量的リアルタイムPCR (qRT-PCR) で測定した。
ミクログリア特異的ノックダウン: AAV-F4/80プロモーター駆動型shRNA-U90926またはコントロールshRNA-GFP AAVを、tMCAOの2週間前に右皮質に微量注入した (1 µL, 1 × 10¹² viral genomes/µL)。shU90926の配列は5’-CCACTGAGCAGAAGAACTA-3’であり、コントロール配列は5’-TTCTCCGAACGTGTCACGT-3’であった。AAVの導入効率は、GFP発現とIba-1 (ionized calcium-binding adapter molecule 1) 免疫蛍光染色により確認した。
評価指標:
- 梗塞体積: tMCAO後24時間で2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド (TTC; 2,3,5-triphenyltetrazolium chloride) 染色により測定した。
- 神経機能: 修正神経学的重症度スコア (mNSS; modified neurological severity score)、グリップ強度、ロータロッドテストを用いて、術後1日、3日、7日に評価した。
- 好中球浸潤: 脳組織の免疫組織化学染色 (IHC) およびフローサイトメトリーによりLy6G+細胞数を定量した。また、ミエロペルオキシダーゼ (MPO) およびマトリックスメタロプロテイナーゼ3 (MMP3) のmRNAレベルをqRT-PCRで測定した。
- in vitro好中球遊走モデル: Transwellシステムを用いて、内皮細胞株 Bend3 と初代ミクログリアの共培養系を構築し、好中球の経内皮遊走能を評価した。
分子機序解析:
- U90926細胞内局在: RNA-FISH (fluorescence in situ hybridization) により、U90926の細胞質および核内局在をIba1+ミクログリアで確認した。
- 結合タンパク質同定: RNAプルダウンアッセイ後、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析 (LC-MS/MS) を実施し、U90926に結合するタンパク質を同定した。
- RIP (RNA免疫沈降) アッセイ: 抗MDH2抗体を用いてMDH2に結合するRNAを免疫沈降させ、U90926およびCXCL2 mRNAの存在をqRT-PCRで検証した。
- CXCL2 mRNA半減期: アクチノマイシンD (ActD; actinomycin D) 処理後のCXCL2 mRNA分解速度をqRT-PCRで測定し、U90926がCXCL2 mRNAの安定性に与える影響を評価した。
- ルシフェラーゼレポーターアッセイ: HEK293T 細胞にCXCL2 3’UTRを含むルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、U90926およびMDH2がCXCL2 mRNAの安定性に与える影響を評価した。
統計解析: 2群間の比較には Student t-test を、多群間の比較には一元配置分散分析 (one-way ANOVA) 後に Bonferroni post hoc test を用いた。p値が0.05未満を有意差ありとした。