• 著者: Schlauch D, Fu X, Jones SF, Burris HA, Spigel DR, Reeves J, McKenzie AJ
  • Corresponding author: Andrew J. McKenzie, PhD (Sarah Cannon Research Institute, Nashville, TN, USA)
  • 雑誌: JCO Precision Oncology
  • 発行年: 2021
  • Epub日: 2021-10-22
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 34994650

背景

免疫チェックポイント阻害剤(CPI)は、がん治療に革命をもたらし、イピリムマブが2011年に米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けて以来、進行がんの治療において単剤または他の免疫療法や化学療法との併用で広く使用されている (Hodi et al. 2010)。しかし、選択されていない患者の大部分はCPIに反応せず、現在のバイオマーカー(例:PD-L1発現、マイクロサテライト不安定性 [MSI]、腫瘍変異負荷 [TMB])は、部分的にしか正確でないか、限られたがん種でのみCPI反応を予測するに過ぎない (Gandini et al. 2016; Taube et al. 2014)。CPIに最も反応する可能性のある患者を特定するためのバイオマーカーの同定が喫緊の課題である。

PD-L1発現は、抗PD-1/PD-L1免疫療法への反応のバイオマーカーとして広く用いられている (Socinski et al. 2018; Dirix et al. 2018; Adams et al. 2018; Emens et al. 2019)。非小細胞肺がん(NSCLC)など一部のがんでは、高PD-L1発現が抗PD-1/PD-L1療法への反応と相関するが、個々の患者のCPI反応は、これらの選択された状況でも不均一である (Theelen et al. 2019; Aguilar et al. 2019)。PD-L1発現が高いほど奏効率が高い傾向にあるものの、高PD-L1発現が治療効果を保証するものではなく、PD-L1発現が陰性または低い患者でも治療効果が得られる場合がある。さらに、PD-L1レベルは腫瘍微小環境と腫瘍自体で異なる可能性があり、腫瘍内でも空間的に不均一であるため、患者選択をさらに複雑にしている (Madore et al. 2015; Dunn et al. 2002)。最近のNSCLCにおける承認では、PD-L1ステータスにかかわらず、免疫療法と化学療法の併用が患者に利益をもたらすことが示されており、PD-L1ステータスは、単剤のPD-1またはPD-L1療法ではなく、化学療法の追加から利益を得る患者を決定するためにますます使用されている (Gandhi et al. 2018; Weinberg et al. 2019)。

PD-L1発現に加えて、DNAミスマッチ修復(MMR)およびMSIは、CPI反応を予測するためのバイオマーカーとして広く使用されている (Le et al. 2017; Le et al. 2015)。2017年のMMR欠損またはMSI高頻度(dMMRまたはMSI-H)腫瘍におけるペムブロリズマブの腫瘍非依存的FDA承認は、これらのゲノム特徴を示すあらゆる腫瘍タイプにおいて免疫チェックポイント阻害が有益であることを証明した。MMRおよびMSIはCPI反応の強力な予測因子であるが、腫瘍タイプ間でMMRまたはMSIステータスに大きな異質性がある (Bonneville et al. 2017)。MSI-H腫瘍の疾患特異的有病率は、子宮内膜がんの約30%から膠芽腫の0.25%まで様々である。実際、ほとんどのがんはdMMRまたはMSI-Hも高PD-L1発現も示さないが、それでも免疫チェックポイント阻害に反応する患者が存在する (Genutis et al. 2019; Laha et al. 2020)。

FDAは最近、10変異/メガベース(mut/Mb)以上の高TMB(TMB-H)患者におけるペムブロリズマブの腫瘍非依存的使用も承認した (Marabelle et al. 2020)。KEYNOTE-158に登録された102人のTMB-H患者において、ペムブロリズマブは29%の客観的奏効率(ORR)を示し、完全奏効率は4%、部分奏効率は25%であった。さらに、TMBが13 mut/Mb以上の患者の事前指定解析では、ペムブロリズマブは37%のORRを示し、完全奏効率は3%、部分奏効率は34%であり、TMBが高いほど奏効率が高いことが示唆された (Goodman et al. 2017)。

POLD1 (DNAポリメラーゼデルタ1)、POLE (DNAポリメラーゼイプシロン)、MSH2 (MutSホモログ2)などのDNA損傷修復経路遺伝子の変異は、高TMBを有するNSCLC腫瘍に存在し、CPIに反応を示した (Rizvi et al. 2015)。同様に、CPIに反応する黒色腫患者のコホートでは、BRCA2変異の濃縮が認められた (Hugo et al. 2017)。逆に、STK11に変異を有するNSCLC腫瘍は、単剤CPIへの反応欠如と関連している (Skoulidis et al. 2018)。これらの例にもかかわらず、CPI反応に対応する腫瘍内の離散的な変異は、集中的な研究領域として残されている。

TMBやMSI-Hは腫瘍非依存的なCPI有効性予測バイオマーカーとして確立されつつあるが、これらの予測能には限界があり、同じTMB-H/MSI-H患者内でも応答性が大きく異なることが知られている。腫瘍特異的な遺伝子変異(EGFR、STK11、KRASなど)がCPI応答に影響することは個々の試験で報告されているが、複数の癌腫にわたる大規模地域基盤データによる系統的解析はこれまで不足していた。本研究では、地域施設での実臨床次世代シーケンシング(NGS)データとCPIアウトカムを結合した大規模データベースを用いて、腫瘍横断的および腫瘍特異的な分子シグネチャーのCPI予測能を評価し、この知識ギャップを埋めることを目的とした。

目的

本研究の目的は、地域基盤施設で次世代シーケンシング(NGS)プロファイリングを受け、免疫チェックポイント阻害剤(CPI)治療を行った患者(n=4430)を対象に、腫瘍変異負荷(TMB)やマイクロサテライト不安定性(MSI)などの腫瘍非依存的バイオマーカー、および腫瘍種特異的遺伝子変異とCPI治療転帰(Time to Treatment Failure: TTF)の関連を後ろ向きに解析することである。具体的には、CPI治療を受けた患者集団におけるTMBおよびMSIの予測的価値を評価するとともに、非小細胞肺がん(NSCLC)、大腸がん、非大腸消化器がん、黒色腫などの主要な腫瘍タイプにおいて、特定の遺伝子変異がCPI反応に与える影響を特定することを目的とした。さらに、TMB高値およびMSI-Hの患者群内での個々の遺伝子変異がCPI反応とどのように相関するかを検討し、これらの腫瘍非依存的バイオマーカーの層別化における追加的な分子シグネチャーの有用性を明らかにすることも目的とした。

結果

患者背景とNGS検査の傾向: 2014年1月1日から2020年6月30日までに、合計26,004例の患者が標準治療の一環としてNGS検査を受け、そのうち4,430例(17%)がCPI治療を受けていた (Table 1; Fig 1A)。NGS時の年齢中央値は71歳(範囲: 27-97歳)で、52%が男性であった。NGS検査時、全患者は局所進行または転移性疾患を有していた (Table 1)。最も一般的な腫瘍タイプは肺がん(NSCLC、悪性中皮腫、小細胞肺がん)、非大腸消化器がん、黒色腫であった (Table 1)。NGS検査の実施件数は年々増加しており、tbNGSとpbNGSの両方が使用されていた (Fig 1B, 1C)。NGS検査は診断後中央値282.5日で実施され、2012年から2020年の間に年ごとの差はなかった (Fig 1D)。tbNGSの場合、生検日からNGS検査日までの期間の中央値は、2014年の81日から2020年には8日に短縮されていた (Fig 1E)。

腫瘍非依存的バイオマーカーとTTF(全がん種): CPI治療を受けた患者全体の中央値TTFは235日(95% CI 217-254日)であった。TMBとMSIは、それぞれ2,060例(46.5%)と3,662例(82.7%)で解析された。TMBスコアは0.88から271 mut/Mbの範囲であり、既報の通りがん種と相関していた (Fig 1F)。MSIステータスは、CPI治療を受けた患者の2.9%でMSI-H、79.7%でMSI-stableまたは低値、17.3%で不明であった。MSI-Hの最も一般的な腫瘍タイプは、大腸がん(20%)および非大腸消化器がん(4%)であった (Fig 1G)。

TMB高値(TMB-H、≥20 mut/Mb、n=539)の患者は、TMB中間/低値(TMB-I/L、0-20 mut/Mb、n=1,764)の患者と比較して、中央値TTFが有意に延長した(459日 vs 208日、調整済みHR 0.65 (95% CI 0.57-0.74, p<0.001)) (Fig 5A, 5C)。TMB中値(6-20 mut/Mb)の患者ではHR 0.89 (95% CI 0.81-0.98)、TMB低値(0-6 mut/Mb)の患者ではHR 1.47 (95% CI 1.34-1.61)であり、TMBが高いほどCPIからの利益が長いことを示唆した (Fig 5A)。MSI-H(n=144)は、MSI-stable(n=3,925)と比較して中央値TTFの増加と関連した(337日 vs 204日) (Fig 5A, 5B)。MSI-HとTMB-Hの両方を有する91例の患者では、中央値TTFが720日と最も長く、MSI-H単独(381日)またはTMB-H単独(441日)よりも延長した (Fig 5D)。これは、これら2つのバイオマーカーの相加的な利益を示唆する。MSI-stable腫瘍を解析した場合でも、TMB-HはTMB-I/Lと比較してCPI TTFの延長と有意に関連しており、TMB-HがCPI反応の独立したマーカーであることが示された (Fig 5E)。

腫瘍種別TTFとOS: CPI治療を受けた患者の腫瘍種別TTFは異なっていた。黒色腫(n=258)と肺がん(n=2,681)は、それぞれ中央値TTFが430日および320日と最も長く(調整済みHR 0.71 (95% CI 0.59-0.85)および0.79 (95% CI 0.73-0.85))、非大腸消化器がん(n=384)と腎がん(n=134)はそれぞれ126日および145日と最も短かった(調整済みHR 1.53 (95% CI 1.35-1.72)および1.32 (95% CI 1.07-1.62)) (Fig 2A, 2B)。OSも腫瘍種間で解析され、TTFと同様の傾向を示した (Fig 2C)。

NSCLC特異的分子シグネチャー(n=2416): NSCLCにおいて、LRP1B (LDL受容体関連タンパク質1B)変異(n=174)は、野生型(WT)と比較して中央値TTFの有意な延長と関連した(773日 vs 282日、HR 0.56 (95% CI 0.45-0.70)) (Fig 3C)。これはNSCLCで最も有利な変異であった。EPHA3変異(n=143)、GNAS変異(n=169)、ERBB2変異(n=148)も同様にTTF延長と関連するHRを示した (Fig 3C)。逆に、EGFR変異(n=386)は、WTと比較して中央値TTFの短縮と関連した(182日 vs 322日、HR 1.42 (95% CI 1.25-1.62)) (Fig 3C)。さらに、STK11変異(n=312)もCPI有効性の低下と関連するHR 1.45を示し、PIK3CA変異(n=387)もTTF短縮(HR>1)およびOS短縮と関連した (Fig 3C, 4C)。

大腸がん特異的分子シグネチャー(n=277): 大腸がんでは、ARID1A変異(n=56)がWTと比較して中央値TTFの有意な延長と関連した(584日 vs 119日、HR 0.39 (95% CI 0.24-0.64)) (Fig 3A)。BCORL1変異(n=33)、SPTA1変異(n=27)、CREBBP変異(n=37)、RNF43変異(n=45)も同様に有利なHRを示した (Fig 3A)。逆に、TP53変異(n=201)はWTと比較して中央値TTFの短縮と関連した(119日 vs 182日、HR 1.46 (95% CI 1.05-2.03)) (Fig 3A)。RNF43変異は、CPI TTFの延長とOSの延長の両方と関連していた (Fig 4A)。

非大腸消化器がん特異的分子シグネチャー(n=356): 非大腸消化器がんでは、PTEN変異(n=32)がWTと比較して中央値TTFの延長と関連した(264日 vs 113日、HR 0.58 (95% CI 0.37-0.90)) (Fig 3B)。FBXW7変異(n=32)、ZNF703変異(n=25)、BCOR変異(n=22)もTTF延長と関連するHRを示した (Fig 3B)。FBXW7変異またはPTEN変異を有する非大腸消化器腫瘍は、WTと比較してCPI TTFとOSの両方が延長した (Fig 4B)。

黒色腫特異的分子シグネチャー(n=201): 黒色腫では、SNCAIP変異(n=35)がWTと比較して中央値TTFの延長と関連した(TTF未到達 vs 406日、HR 0.38 (95% CI 0.19-0.79)) (Fig 3D)。SNCAIP変異を有する黒色腫は、WTと比較してTTFとOSの両方が延長した (Fig 4D)。逆に、PTEN変異(n=30)はWTと比較してTTFの短縮と関連した(219日 vs 461日、HR 1.62 (95% CI 0.98-2.69)) (Fig 3D)。

TMB-HまたはMSI-H腫瘍における分子シグネチャー: MSI-H腫瘍において、KMT2D変異(n=66)はWTと比較してCPI TTFの有意な延長と関連した(752日 vs 181日、HR 0.44 (95% CI 0.27-0.72)) (Fig 5F, 5G)。MED12、BCORL1、RNF43、ARID1A変異もMSI-H腫瘍におけるTTF延長と関連した (Fig 5F)。逆に、EGFR変異(n=29)はMSI-H腫瘍において不利なHRを示した(中央値TTF 182日 vs 459日) (Fig 5F, 5H)。CD79A、TP53、UBR5変異もTTF短縮と関連するHRを示し、MSI-H腫瘍における免疫療法抵抗性の潜在的メカニズムを示唆する (Fig 5F)。

TMB-Hコホートにおいて、POLD1変異(n=67)はWTと比較してCPI TTFの有意な延長と関連した(TTF未到達 vs 401日) (Fig 5I, 5J)。RBM10、ERBB3、SPTA1、FAT1、ARID1A変異もTMB-H腫瘍におけるTTF延長と有意に関連した (Fig 5I)。対照的に、EGFR変異(n=93)を有するTMB-H腫瘍は、WTと比較して中央値TTFが比較的短かった(273日 vs 502日) (Fig 5I, 5K)。RNG213、SETBP1、MYH9変異もTTF短縮と関連するHRを示し、CPI抵抗性と関連するTMB-H腫瘍の可能性を示唆する (Fig 5I)。

考察/結論

本研究は、地域基盤施設における大規模な後ろ向き解析(n=4430)であり、TMB高値およびMSI-Hが腫瘍非依存的にCPI有効性(TTF延長)と独立して関連することを確認した。これは、先行研究で示された知見と整合するものである (Marabelle et al. 2020; Le et al. 2017)。さらに、本研究は、腫瘍種特異的な分子シグネチャーがCPI応答をTMBおよびMSIとは独立して規定することを示した点で新規性がある。

先行研究との違い: これまでの研究では、TMBやMSI-HがCPI反応の予測因子として注目されてきたが、本研究は、これらの腫瘍非依存的バイオマーカーに加えて、腫瘍特異的な遺伝子変異がCPI反応に与える影響を大規模なリアルワールドデータで包括的に解析した点で、これまでの報告と異なる。特に、TMB-HまたはMSI-Hの患者群内でも、特定の遺伝子変異がTTFに影響を与えることを示した点は、CPI治療の層別化戦略において重要な知見である。例えば、EGFR変異はMSI-HまたはTMB-H腫瘍においてもCPI反応を低下させる傾向があり、これは既報のEGFR変異NSCLCにおけるCPI反応の低さと一致する (Hastings et al. 2019)。

新規性: 本研究で初めて、NSCLCにおいてLRP1B変異がCPI治療に対する最も有利な変異(中央値TTF 773日 vs WT 282日、HR 0.56 (95% CI 0.45-0.70))であることを新規に同定した。また、大腸がんにおけるARID1A変異(中央値TTF 584日 vs WT 119日、HR 0.39 (95% CI 0.24-0.64))、非大腸消化器がんにおけるPTEN変異(HR 0.58)、黒色腫におけるSNCAIP変異(HR 0.38)が、各がん種でのCPI応答予測に有用な可能性を初めて示した。これらの知見は、TMBやMSI-Hといった一般的なバイオマーカーでは捉えきれない、より詳細な患者層別化の可能性を示唆する。特に、MSI-HとTMB-Hが共存する患者群での中央値TTF 720日という長期成績は、これら2つのバイオマーカーの相加効果を示すものであり、極めて良好なCPI反応を示す患者群を特定する上で重要な新規知見である。

臨床応用: 本知見は、NGSパネルで日常的に検出される分子シグネチャーを用いて、CPI治療に対する患者の反応を層別化するための臨床応用につながる。CPIが比較的低い有効性を示す腫瘍においても、特定の遺伝子変異ステータスに基づいて、より良い反応が予測される患者集団が存在する可能性が示された。同様に、CPIに良好に反応することが知られている腫瘍タイプ内でも、CPIに比較的劣る反応を示す患者集団が存在する可能性がある。これらの結果は、CPI単独では効果が不十分な特定の患者集団において、新規免疫調節剤との併用療法戦略が有益である可能性を示唆しており、臨床現場での治療選択に役立つ。

残された課題: 今後の検討課題として、本研究が後ろ向きデザインであること、TTFがOSの完全な代替エンドポイントではないこと、CPIの種類、治療ライン、および後続治療の不均一性が挙げられる。また、PD-L1発現やMMR免疫組織化学検査などの非NGSベースのバイオマーカーが解析に含まれていない点もlimitationである。異なるシーケンシング技術がTMBの検出とコールに異なる方法を使用するため、数値TMB値は再解析されず、ベンダーによって提供された解釈的TMB値(高、中、低)が解析に使用された。これらの値がベンダー間で必ずしも同等ではない可能性があることを認識しつつも、ベンダーが提供する解釈値の臨床的妥当性を示すことが本研究の意図であった。これらの限界を克服するためには、今後の前向き検証と、TMB/MSI-H以外の腫瘍特異的バイオマーカー(LRP1B、ARID1Aなど)の標準的解析への組み込みが課題である。

方法

本研究は、2014年1月1日から2020年6月30日までにSarah Cannon Research Instituteネットワーク内の地域診療施設でケアを受けたがん患者26,004例の電子カルテデータを後ろ向きに解析した観察研究である。患者は、ハイブリッドキャプチャーベースの次世代シーケンシング(NGS)プロファイリング(Foundation Medicine、Guardant Health、またはCaris Life Sciences)が実施され、かつCPI治療を受けた場合に解析対象に含められた。最終的に、CPI治療を受けた4,430例(全体の17%)が解析対象となった。本研究は、施設内審査委員会(IRB)の審査を免除され、データは非ヒト被験者データとみなされた。

NGSは、組織ベースNGS(tbNGS)または血漿ベースNGS(pbNGS)のいずれかで実施された。tbNGSはFoundation MedicineまたはCaris Life Sciencesによって行われ、Caris Molecular Intelligence(約600遺伝子)またはFoundationOneアッセイ(182、236、または315遺伝子)が使用された。pbNGSはFoundation MedicineまたはGuardant Healthによって行われた。TMB値は各ベンダーからmut/Mbで報告され、MSIステータスはマイクロサテライト安定(MSI-stable)またはMSI-Hとして報告された。数値TMB値は再解析されず、ベンダーによって報告されたTMBステータス(高、中、低)が解析に用いられた。TMBは、低値(0-6 mut/Mb)、中値(6-20 mut/Mb)、高値(≥20 mut/Mb)の3つのカテゴリーに分類された。

主要アウトカムはTTF(Time to Treatment Failure)であり、CPI治療開始日から何らかの原因による治療中止までの期間と定義された。治療中止は、代替治療の開始をもって定義された。追跡不能となった患者は、最終記録された受診日に打ち切られた。副次アウトカムとして、全生存期間(OS)も評価された。OSは、原疾患の初回診断日から死亡日までと定義され、2020年6月30日に打ち切られた。

CPIの種類は、ペムブロリズマブが57.4%、ニボルマブが27.3%、アテゾリズマブが9.5%、デュルバルマブが9.9%、イピリムマブとニボルマブの併用が4.0%など、多岐にわたった。最も一般的な腫瘍タイプは、NSCLC/胸部腫瘍が54.5%(n=2416)、非大腸消化器がんが8.0%、黒色腫が4.5%、大腸がんが5.7%であった。

統計解析には、Rプログラミング言語のsurvivalライブラリを用いたCox比例ハザードモデル(Cox regression)が使用された。各変異のTTFへの独立した効果は、年齢、性別、腫瘍種などの共変量を調整した多変量Coxモデルで推定された。二値予測因子については、ログランク検定(log-rank test)から名目上のp値が得られた。95%信頼区間(CI)は、Cox回帰係数の範囲を±1.96×標準誤差として定義することで得られた。本研究は後ろ向きコホート研究デザインであり、臨床試験登録番号(NCT番号)は付与されていない。