- 著者: Yi-Long Wu, Ying Cheng, Xiangdong Zhou, et al.
- Corresponding author: Yi-Long Wu (Guangdong Lung Cancer Institute, Guangdong General Hospital, Guangzhou, China); Tony S Mok (Chinese University of Hong Kong)
- 雑誌: Lancet Oncology
- 発行年: 2017
- Epub日: 2017-09-25
- Article種別: Original Article
- PMID: 28958502
背景
EGFR変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) は、肺がん患者の約10〜44%に認められる主要なドライバー変異であり、その治療戦略は近年大きく進展している。第一世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) であるゲフィチニブやエルロチニブは、プラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、奏効率 (ORR) および無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善を示し、EGFR変異陽性NSCLCの一次治療における標準治療としての地位を確立した。これらの薬剤は可逆的なEGFR阻害剤であり、EGFRを選択的に標的とするが、治療抵抗性の出現が課題として残されていた。特に、TKI治療後のT790M変異の獲得は、治療抵抗性の主要なメカニズムの一つとして認識されている。Lynch et al. NEnglJMed 2004やPaez et al. Science 2004の研究により、EGFR変異がTKIへの感受性に関与することが明らかになり、その後の臨床試験でTKIの有効性が示された。Mok et al. NEnglJMed 2009やMaemondo et al. NEnglJMed 2010、Zhou et al. LancetOncol 2011、Rosell et al. LancetOncol 2012らの報告は、ゲフィチニブやエルロチニブが化学療法を上回るPFS改善を示すことを確立した。
第二世代のEGFR-TKIであるアファチニブとダコミチニブは、EGFR/HER1、HER2、HER4を含むErbBファミリーの3つのキナーゼ活性メンバーを不可逆的に阻害する特徴を持つ。これにより、第一世代TKIと比較して、より広範かつ持続的な阻害効果が期待される。アファチニブは、Sequist et al. JClinOncol 2013およびWu et al. LancetOncol 2014らのLUX-Lung 3試験およびLUX-Lung 6試験において、化学療法に対するPFSの優越性を示し、EGFR変異陽性NSCLCの一次治療薬として承認された。さらに、LUX-Lung 7試験では、アファチニブがゲフィチニブと比較してPFSを有意に改善することを示したが、これは第IIb相試験であり、大規模な第III相試験での直接比較は未確立であった。このため、第二世代TKIと第一世代TKIの直接比較における明確な優位性を示すデータが不足しており、臨床的意義を確立するためには、大規模な第III相試験での比較が不可欠であった。
ダコミチニブ (PF-00299804) は、第二世代の不可逆的pan-ErbB阻害薬として、前臨床試験において有望な抗腫瘍活性を示していた。Li et al. Oncogene 2008らの研究では、不可逆的EGFR/HER2阻害薬であるBIBW2992 (アファチニブ) が前臨床モデルで高い有効性を示すことが報告されており、ダコミチニブも同様のメカニズムで作用することが期待された。第II相ARCHER 1017試験では、EGFR変異陽性NSCLC患者に対する一次治療として、PFS中央値18.2ヶ月 (95% CI 12.8-23.8) 、ORR 75.6% (95% CI 60.5-87.1) という良好な結果が報告され、その有効性が示唆された。しかし、第一世代TKIに対するダコミチニブの優越性を直接比較した第III相試験は不足しており、その臨床的意義を確立するためには、標準治療である第一世代TKIとの比較が不可欠であった。このギャップを埋めることが本試験の重要な目的であった。
本研究であるARCHER 1050試験は、EGFR変異陽性進行NSCLC患者を対象に、ダコミチニブと標準的な第一世代TKIであるゲフィチニブの一次治療としての有効性および安全性を直接比較する初の国際多施設共同第III相試験として設計された。これにより、第二世代不可逆的EGFR-TKIの臨床的有用性を明確にし、EGFR変異陽性NSCLCの一次治療における新たな選択肢を確立することが期待された。特に、第一世代TKIと比較して、より強力なErbBファミリー阻害がPFSやその他の臨床アウトカムにどのような影響を与えるか、そのギャップを埋めることが本試験の重要な目的であった。
目的
本研究の目的は、EGFR遺伝子変異陽性 (エクソン19欠失またはL858R変異) の新規診断進行非小細胞肺がん (NSCLC) 患者を対象に、ダコミチニブ45mg/日とゲフィチニブ250mg/日を一次治療として比較し、主要評価項目である独立中央判定による無増悪生存期間 (PFS) の優越性を評価することである。本試験は、ダコミチニブがゲフィチニブと比較してPFSを50%以上改善する (ハザード比 [HR] ≤0.667) ことを検証するために設計された。副次評価項目として、全生存期間 (OS)、客観的奏効率 (ORR)、奏効持続期間 (DoR)、治療失敗までの期間 (TTTF: time to treatment failure)、安全性プロファイル、および患者報告アウトカム (PRO) を比較検討することも目的とした。本試験は、脳転移の既往がない患者集団に焦点を当てることで、TKIの全身効果をより明確に評価することを目指した。また、ダコミチニブの不可逆的結合メカニズムが、可逆的TKIであるゲフィチニブと比較して、より持続的な腫瘍抑制効果をもたらすかどうかの検証も重要な目的であった。
結果
患者背景と治療期間: 2013年5月9日から2015年3月20日までに720例がスクリーニングされ、452例がダコミチニブ群 (n=227) またはゲフィチニブ群 (n=225) に1:1で無作為化された (Figure 1)。ゲフィチニブ群の1例は治療を受けなかったため、安全性解析対象は451例であった。両群間で患者背景は概ね均衡していた (Table 1)。中央年齢はダコミチニブ群62歳 (IQR 53-68)、ゲフィチニブ群61歳 (IQR 54-68) であった。アジア人患者が両群で約75-78%を占め、日本人患者は各群18%であった。女性患者はダコミチニブ群64%、ゲフィチニブ群56%とやや不均衡であったが、性別はPFSの予後因子ではないため、研究の限界とは見なされなかった。ECOG PS 1の患者はダコミチニブ群67%、ゲフィチニブ群72%であった。EGFR変異型は、エクソン19欠失が両群で59%、L858R変異が41%とバランスが取れていた。 データカットオフ (2016年7月29日) 時点でのPFS追跡期間中央値は22.1ヶ月 (95% CI 20.3-23.9) であった。治療期間中央値は、ダコミチニブ群で15.3ヶ月 (IQR 6.9-20.9) 、ゲフィチニブ群で12.0ヶ月 (IQR 7.3-18.4) であった。データカットオフ時点で、ダコミチニブ群の29% (n=66) とゲフィチニブ群の17% (n=38) が治験薬の投与を継続していた。
主要評価項目 (PFS) の結果: 独立中央判定 (IRC) によるPFS中央値は、ダコミチニブ群で14.7ヶ月 (95% CI 11.1-16.6) 、ゲフィチニブ群で9.2ヶ月 (95% CI 9.1-11.0) であり、ダコミチニブ群でPFSが有意に延長された (ハザード比 [HR] 0.59, 95% CI 0.47-0.74; p<0.0001) (Figure 2A)。24ヶ月PFS率は、ダコミチニブ群で30.6% (95% CI 23.8-37.5) 、ゲフィチニブ群で9.6% (95% CI 5.6-15.0) であった。担当医評価によるPFSも同様の結果を示し、ダコミチニブ群14.6ヶ月、ゲフィチニブ群9.2ヶ月 (HR 0.60, 95% CI 0.48-0.74; p<0.0001) であった (Figure 2B)。 事前規定されたサブグループ解析では、年齢、性別、ECOG PS、人種、喫煙歴、EGFR変異型にかかわらず、ダコミチニブ群でPFSの優位性が概ね一貫して認められた (Figure 3)。特に、エクソン19欠失変異患者では、ダコミチニブ群のPFS中央値が17.5ヶ月、ゲフィチニブ群が9.2ヶ月 (HR 0.55, 95% CI 0.40-0.76) であった。L858R変異患者では、ダコミチニブ群のPFS中央値が14.6ヶ月、ゲフィチニブ群が11.0ヶ月 (HR 0.67, 95% CI 0.48-0.93) であり、両変異型でダコミチニブが優越性を示した。
奏効率 (ORR) および奏効持続期間 (DoR) : IRCによるORRは、ダコミチニブ群で75% (n=170/227, 95% CI 69-80%) 、ゲフィチニブ群で72% (n=161/225, 95% CI 65-77%) と、両群間で統計的に有意な差は認められなかった (p=0.4234) (Table 2)。しかし、奏効持続期間 (DoR) はダコミチニブ群で有意に延長され、IRCによるDoR中央値はダコミチニブ群で14.8ヶ月 (95% CI 12.0-17.4) 、ゲフィチニブ群で8.3ヶ月 (95% CI 7.4-9.2) であった (HR 0.40, 95% CI 0.31-0.53; p<0.0001)。これは、PFSの改善がORRの向上ではなく、奏効の持続期間の延長に起因することを示唆している。担当医評価によるDoRも同様に、ダコミチニブ群15.9ヶ月 (95% CI 13.8-17.6) vs ゲフィチニブ群9.2ヶ月 (95% CI 8.2-11.0) であった (HR 0.55, 95% CI 0.42-0.71; p<0.0001)。
全生存期間 (OS) および後続治療: データカットオフ時点では、OSデータは未成熟であり、死亡イベントはダコミチニブ群で76例 (33%) 、ゲフィチニブ群で91例 (40%) であった。後続の全身治療は、ダコミチニブ群の41% (n=93/227) 、ゲフィチニブ群の56% (n=126/224) の患者が受けていた。最も一般的な後続治療はペメトレキセド、カルボプラチン、シスプラチン、およびオシメルチニブであった。治療失敗までの期間 (TTTF) は、IRC評価でダコミチニブ群11.1ヶ月 (95% CI 9.2-14.6) vs ゲフィチニブ群9.2ヶ月 (95% CI 7.6-9.4) であり、ダコミチニブ群で有意な延長が認められた (HR 0.67, 95% CI 0.54-0.83; p=0.0001)。
安全性プロファイル: 全有害事象 (AE) の発生率は両群で高かった (ダコミチニブ群 >99% vs ゲフィチニブ群98%)。しかし、グレード3-4の全AE発生率はダコミチニブ群で53% (n=116+5) と、ゲフィチニブ群の32% (n=67+5) と比較して高かった (Table 3)。ダコミチニブ群で高頻度に認められた主なAE (全グレード) は、下痢 (87%)、爪囲炎 (62%)、ざ瘡様皮膚炎 (49%)、口内炎 (44%) であった。一方、ゲフィチニブ群で高頻度だったのは、下痢 (56%)、ALT上昇 (39%)、AST上昇 (36%) であった。 主なグレード3-4のAEは、ざ瘡様皮膚炎 (ダコミチニブ群14% vs ゲフィチニブ群0%)、下痢 (ダコミチニブ群8% vs ゲフィチニブ群1%) であった。ゲフィチニブ群ではALT上昇が19例 (8%) で認められたのに対し、ダコミチニブ群では2例 (1%) であった。重篤なAE (全原因) はダコミチニブ群27% (n=62) 、ゲフィチニブ群22% (n=50) であった。治療関連の重篤なAEはダコミチニブ群9% (n=21) 、ゲフィチニブ群4% (n=10) であった。治験薬関連の中止はダコミチニブ群10% (n=22) 、ゲフィチニブ群7% (n=15) であった。ダコミチニブ群では66% (n=150) の患者で用量減量が行われ、初回減量までの中央値は2.8ヶ月であった。治療関連死はダコミチニブ群で2例 (下痢管理不全1例、胆石症/肝疾患1例) 、ゲフィチニブ群で1例 (S状結腸憩室炎/破裂に肺炎合併) であった。間質性肺疾患 (ILD) は両群で3例ずつ報告され、いずれも治療中止に至った。
患者報告アウトカム (PRO): EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13のベースラインスコアは両群で類似していた。胸部痛の症状は両群でベースラインから改善したが、ダコミチニブ群でより顕著な改善が認められた (平均 -10.24 vs -7.44; p=0.0235) (Figure 5)。呼吸困難、咳、腕または肩の痛みなどの他の肺がん関連症状の改善は両群で同程度であった。治療関連症状では、ダコミチニブ群で下痢 (19.88 vs 7.32; p<0.0001) および口内炎 (15.09 vs 3.51; p<0.0001) の有意な悪化が認められた。全般的QOLは、ゲフィチニブ群で統計的に有意な改善が認められたものの、その差は臨床的に意味のあるものではなかった (ダコミチニブ群0.20 vs ゲフィチニブ群4.94; p=0.0002)。
考察/結論
ARCHER 1050試験は、EGFR変異陽性進行NSCLCの一次治療において、第二世代不可逆的pan-ErbB阻害薬であるダコミチニブが、標準的な第一世代TKIであるゲフィチニブと比較して、無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長することを示した初の国際多施設共同第III相試験である。ダコミチニブ群のPFS中央値14.7ヶ月 (95% CI 11.1-16.6) は、これまでのEGFR-TKIを用いた第III相試験の中でも高い水準であり、本研究で初めてダコミチニブの一次治療としての有効性が確立された。
先行研究との違い: 本試験の結果は、アファチニブとゲフィチニブを比較したLUX-Lung 7試験 (PFS HR 0.73) と同様に、第二世代TKIが第一世代TKIに対して優越性を示すという仮説を支持するものである。しかし、ARCHER 1050試験におけるPFSのハザード比 (HR 0.59, 95% CI 0.47-0.74) はLUX-Lung 7試験のHR 0.73よりも優れており、ダコミチニブのより強力なErbBファミリー阻害が、より顕著なPFS延長に寄与した可能性が示唆される。また、ORRに有意差はなかったものの、奏効持続期間 (DoR) がダコミチニブ群でゲフィチニブ群の約2倍に延長されたことは、不可逆的結合による持続的な腫瘍抑制効果がPFS改善の主要な要因であったことを示唆しており、これまでの第一世代TKIの知見とは対照的である。サブグループ解析では、非アジア人患者におけるダコミチニブのPFSの優位性がアジア人患者と比較して低い傾向が見られたが、これは非アジア人サブセットのサンプルサイズが小さい (n=106) ことと、先行研究のARCHER 1017試験でアジア人サブセットのPFSが非アジア人サブセットよりも低い傾向があったことから、人種による反応性の違いを示唆するものではないと考えられる。
新規性: 本研究は、第二世代不可逆的EGFR-TKIと第一世代EGFR-TKIの直接比較において、PFSの有意な改善を主要評価項目として達成した初の第III相試験であり、その結果はEGFR変異陽性NSCLCの一次治療における新たな治療選択肢としてのダコミチニブの新規性を確立した。特に、24ヶ月PFS率がダコミチニブ群で30.6% (95% CI 23.8-37.5) と、ゲフィチニブ群の9.6% (95% CI 5.6-15.0) と比較して大幅に高かったことは、ダコミチニブが長期的な病勢コントロールに優れていることを本研究で初めて示した。この長期的なコントロールは、不可逆的結合による持続的なErbBファミリー阻害に起因すると考えられる。
臨床応用: ダコミチニブは、EGFR変異陽性NSCLC患者に対する一次治療として、PFSを有意に改善する新たな選択肢となる。特に、エクソン19欠失変異およびL858R変異の両方でPFSの改善が認められたことは、幅広いEGFR変異陽性患者に臨床応用できる可能性を示唆する。安全性プロファイルに関しては、ダコミチニブ群で下痢や皮膚毒性 (ざ瘡様皮膚炎、爪囲炎) が高頻度であったが、用量減量や一時的中断によって管理可能であった。これらの有害事象は第二世代TKIに特徴的なものであり、適切なマネジメント戦略 (例: ドキシサイクリンやアルクロメタゾンによる予防的治療、ロペラミドによる下痢管理) を講じることで、患者のQOLを維持しつつ治療を継続できる臨床的有用性があると考えられる。
残された課題: 本試験は脳転移の既往がある患者を除外しており、脳転移を有する患者に対するダコミチニブの有効性は今後の検討課題である。また、本試験の発表後、第三世代EGFR-TKIであるオシメルチニブがFLAURA試験において、第一世代TKIと比較してPFSおよびOSのさらなる優越性を示し、EGFR変異陽性NSCLCの一次治療の標準治療として確立された。このため、ダコミチニブの臨床現場での位置づけは、オシメルチニブが利用できない地域や特定の患者層に限定される可能性がある。ゲフィチニブ後にT790M変異が出現した場合にオシメルチニブを逐次投与する戦略と、一次治療としてダコミチニブを使用する戦略との比較も、今後の重要な研究課題として残されている。さらに、本試験は非盲検デザインであったため、患者報告アウトカムの評価においてバイアスが生じる可能性がlimitationとして挙げられる。ECOGパフォーマンスステータス0と1の患者間の予後予測に差がないとされたが、無作為化の偏りが結果に与える影響は完全に排除できない。
方法
ARCHER 1050試験は、国際多施設共同無作為化非盲検第III相試験として、中国、香港、日本、韓国、ポーランド、イタリア、スペインの7カ国・地域にわたる71の医療機関で実施された (ClinicalTrials.gov登録番号: NCT01774721)。患者登録は2013年5月9日から2015年3月20日まで行われた。
適格基準: 組織学的または細胞学的に確認された新規診断のステージIIIB/IVまたは再発NSCLC患者で、EGFR遺伝子変異 (エクソン19欠失またはL858R変異) が中央検査で確認された者。年齢は18歳以上 (日本および韓国では20歳以上)、ECOGパフォーマンスステータスは0または1、測定可能病変を有し、脳または軟膜転移の既往がないこと、および過去に全身抗がん治療を受けていないことが条件とされた。EGFR変異ステータスは、Qiagen therascreen EGFR RGQ PCR kit (バージョン1または2) を用いて腫瘍検体で確認された。
無作為化と盲検化: 適格患者は、ダコミチニブ群 (45mg/日) またはゲフィチニブ群 (250mg/日) に1:1の比率で無作為に割り付けられた。無作為化は、人種 (日本人、中国人、その他の東アジア人、非アジア人) およびEGFR変異型 (エクソン19欠失 vs L858R変異) で層別化された。本試験は非盲検試験であったが、主要評価項目であるPFSの評価は、独立中央画像診断レビュー (IRC) によって盲検下で行われた。中央画像診断はBioClinicaによって盲検下で実施された。
治療: ダコミチニブ群の患者はダコミチニブ45mgを1日1回経口投与され、ゲフィチニブ群の患者はゲフィチニブ250mgを1日1回経口投与された。治療は病勢進行またはその他の中止基準が満たされるまで継続された。ダコミチニブ群では、グレード3以上の有害事象、または1サイクル以上持続するグレード2の有害事象に対して、最大2段階の用量減量 (45mg→30mg→15mg) が許容された。ゲフィチニブ群では、グレード3/4または忍容できないグレード2の有害事象に対して、投与中断後に隔日投与などの調整が許容された。治療中止後も、病勢進行がない限り8週間ごとにフォローアップが行われた。
評価項目:
- 主要評価項目: 独立中央判定 (IRC) によるPFS (RECIST 1.1基準)。PFSは無作為化から病勢進行またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義された。
- 副次評価項目: 担当医評価によるPFS、OS、ORR (IRCおよび担当医評価)、DoR (IRCおよび担当医評価)、治療失敗までの期間 (TTTF)、制限平均生存期間 (RMST)、安全性 (NCI CTCAE v4.0に基づく有害事象の評価)、および患者報告アウトカム (EORTC QLQ-C30、QLQ-LC13、EQ-5D)。PROの評価は、ベースライン、サイクル1の8日目と15日目、その後の各サイクルの1日目、治療終了時、および治療後フォローアップ時に実施された。Aaronson et al. JNatlCancerInst 1993によって開発されたEORTC QLQ-C30は、国際的な臨床試験で広く用いられているQOL評価尺度である。
統計解析: サンプルサイズは、PFSにおいてダコミチニブ群がゲフィチニブ群に対し50%以上の改善 (ハザード比 [HR] ≤0.667) を検出するために、90%の検出力と片側有意水準0.025で、約440例の無作為化患者と256件以上のPFSイベントが必要と推定された。PFS、TTTF、DoRの評価には、EGFR変異型と人種で層別化したログランク検定 (log-rank test) およびCox比例ハザードモデル (Cox proportional hazards model) が用いられた。ORRの比較にはピアソンのχ²検定が用いられた。安全性解析は、少なくとも1回治験薬を投与された全患者を対象とした。PROの解析には、混合効果モデルを用いた反復測定分析が用いられた。サブグループ解析は年齢、性別、ECOG PS、人種、喫煙歴、EGFR変異型で事前に規定されたが、多重比較調整は行われなかった。統計解析はSASバージョン9.4を用いて実施された。