• 著者: Hye Sun Kuehn, Weiming Ouyang, Bernice Lo, Elissa K. Deenick, Julie E. Niemela, Danielle T. Avery, Jean-Nicolas Schickel, Dat Q. Tran, Jennifer Stoddard, Yu Zhang, David M. Frucht, Bogdan Dumitriu, Phillip Scheinberg, Les R. Folio, Cathleen A. Frein, Susan Price, Christopher Koh, Theo Heller, Christine M. Seroogy, Anna Huttenlocher, V. Koneti Rao, Helen C. Su, David Kleiner, Luigi D. Notarangelo, Yajesh Rampertaap, Kenneth N. Olivier, Joshua McElwee, Jason Hughes, Stefania Pittaluga, Joao B. Oliveira, Eric Meffre, Thomas A. Fleisher, Steven M. Holland, Michael J. Lenardo, Stuart G. Tangye, Gulbu Uzel
  • Corresponding author: Thomas A. Fleisher (Department of Laboratory Medicine, Clinical Center, National Institutes of Health, Bethesda, USA); Michael J. Lenardo (Laboratory of Immunology, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIH, Bethesda, USA); Gulbu Uzel (Laboratory of Clinical Infectious Diseases, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIH, Bethesda, USA)
  • 雑誌: Science
  • 発行年: 2014
  • Epub日: 2014-09-25
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 25213377

背景

CTLA-4 (cytotoxic T lymphocyte antigen-4、CD152とも呼ばれる) は、活性化されたT細胞および恒常的にTreg (regulatory T cell: 制御性T細胞) に発現する抑制性受容体であり、抗原提示細胞上のCD80/CD86にCD28と競合して結合することで、T細胞の活性化を負に制御する重要な免疫チェックポイント分子である。T細胞の共刺激および共抑制に関する分子機構については、Chen et al. NatRevImmunol 2013 などの既報で詳細に議論されている。CTLA-4は免疫寛容の維持において極めて重要な役割を果たし、その機能障害は自己免疫疾患の発症に直結する。

先行研究において、マウスにおけるCtla4遺伝子のホモ接合性欠損 (Ctla4-/- マウス) は、生後数週間で致死的な多臓器リンパ球浸潤と組織破壊を引き起こすことが報告されていた。これらの研究により、CTLA-4が免疫恒常性維持における「critical checkpoint」であることが確立された。しかし、ヘテロ接合性欠損マウス (Ctla4+/- マウス) は明らかな自己免疫表現型を示さず正常に生存するため、ヒトにおけるCTLA4遺伝子のヘテロ接合性変異やハプロ不全 (haploinsufficiency: 一対のアレルのうち一方の機能喪失により生じる表現型) がどのような病態を引き起こすかは長年「未解明」であった。この種差は、ヒト免疫系の恒常性維持におけるCTLA-4の発現量閾値がマウスよりも厳密に制御されている可能性を示唆していた。

臨床現場では、自己免疫性血球減少症、低ガンマグロブリン血症、脾腫、リンパ節腫大、および肺や腸管などの非リンパ組織へのリンパ球浸潤を特徴とする、CVID (common variable immunodeficiency: 共通可変型免疫不全症) 様の自己免疫・免疫不全混合症候群を呈する家系が複数存在していた。これらの患者は、ITP (immune thrombocytopenia: 免疫性血小板減少症) やAIHA (autoimmune hemolytic anemia: 自己免疫性溶血性貧血) などの血球減少症、および多臓器へのリンパ球浸潤による重篇な臨床症状を呈していたが、その分子病因は特定されておらず、遺伝学的知見が「不足」していた。ヒトにおけるCTLA-4の定量的発現低下が直接的に自己免疫疾患を誘発するかどうかは「不明」であり、その解明に向けた研究が強く求められていた。

さらに、遺伝子バリアントのアノテーションや次世代シーケンスデータの解析手法に関しては、Wang et al. NucleicAcidsRes 2010DePristo et al. NatGenet 2011 などの先行研究により基盤技術が確立されていたが、実際の患者における病因遺伝子の同定には至っていなかった。本研究は、これらの臨床的・遺伝学的「課題」を解決するため、重篇な免疫調節障害を呈する患者家系を対象にゲノム解析を実施した。

目的

本研究の目的は、CVID (共通可変型免疫不全症) 様の自己免疫疾患、低ガンマグロブリン血症、および多臓器へのリンパ球浸潤を呈する4つの独立した未診断家系を対象に、WES (whole-exome sequencing: 全エクソーム解析) を用いて新規の病因遺伝子変異を同定することである。さらに、同定されたCTLA4遺伝子のヘテロ接合性生殖細胞系列変異が、ヒトのTreg細胞の抑制機能、エフェクターT細胞の増殖制御、およびB細胞の分化・恒常性維持に及ぼす影響を分子・細胞レベルで詳細に解析し、CTLA-4ハプロ不全が重症自己免疫性免疫調節障害を引き起こす病態機序を解明することである。

本研究はさらに、CTLA-4ハプロ不全症を新規疾患概念として確立し、その治療標的としての可能性を検証することを目的とした。特に、患者由来の細胞を用いた機能解析により、CTLA-4発現量の定量的低下がいかにしてTreg細胞の機能不全とエフェクターT細胞の過剰活性化を引き起こすのか、その分子機構を明らかにすることが重要であった。また、可溶性CTLA-4-Ig (CTLA-4-immunoglobulin fusion protein: CTLA-4とイムノグロブリンの融合蛋白) 融合蛋白 (abatacept) などの既存治療薬がこれらの患者に対して有効であるかどうかを検証し、ベンチ・トゥ・ベッドサイド (bench-to-bedside: 基礎研究から臨床応用への展開) の実用化に向けた基盤を構築することも目的に含まれていた。

結果

CTLA4生殖細胞系列ヘテロ接合性変異の同定: WES (全エクソーム解析) により、重篇な免疫調節障害を呈する4つの無関係な家系 (n=4 unrelated families) において、CTLA4遺伝子の異なる4種類のヘテロ接合性生殖細胞系列変異を同定した (Fig. 1C)。Family Aでは、第2外exonに位置する c.151C>T (p.R51X) ナンセンス変異が同定され、変異アレル由来のmRNAはNMD (nonsense-mediated mRNA decay: ナンセンス変異依存性mRNA分解) により95%以上分解されていることが確認された。Family Bでは、c.75delG (p.L28Ffs*44) フレームシフト変異が同定され、早期終止コドンが導入されていた。Family CおよびDでは、それぞれスプライス受容部位変異 (c.458-1G>C) およびスプライスドナー部位変異 (c.567+5G>C) が同定され、これらはexon 3のスキッピングを引き起こし、膜結合型CTLA-4の欠失と可溶性様CTLA-4の産生を誘導していた。これらの変異は常染色体優性遺伝形式を示したが、臨床症状を示さない保因者も存在し、浸透率は約70%の不完全浸透であった。非保因者と比較した保因者の累積自己免疫症状発症率のハザード比は HR 14.2 (95% CI 4.15-48.6, p<0.001) と極めて高値であった。

Treg細胞におけるCTLA-4発現低下と表現型異常: 患者から単離したCD4+ CD25+ FoxP3+ Treg細胞において、細胞内および細胞表面のCTLA-4タンパク質発現量をフローサイトメトリーで解析したところ、健常対照群と比較して発現強度が30%から50%に著明に低下していた (p<0.001) (Fig. 1D)。また、PCR (polymerase chain reaction: ポリメラーゼ連鎖反応) 解析により、患者Treg細胞におけるフルレングスCTLA4 mRNA発現量も有意に低下していることが示された (Fig. 1D)。さらに、患者のTreg細胞は、活性化マーカーであるCD25 (interleukin-2 receptor alpha chain: インターロイキン2受容体α鎖) および転写因子FoxP3の発現強度が有意に低下しており (p=0.0007、Mann-Whitney test)、CD25陰性の機能不全Treg細胞の割合が著しく増加しているという表現型異常を呈していた (Fig. 2A, B)。Treg細胞の数は正常範囲内であったが、その機能的質が著しく低下していた。

Treg細胞の抑制機能不全とエフェクターT細胞の過剰活性化: in vitro抑制アッセイにおいて、患者から単離したTreg細胞は、自己の応答T細胞に対する増殖抑制能が有意に低下しており (p=0.0239、paired t test)、さらに異種 (健常者由来) の応答T細胞に対する抑制能も著しく減弱していた (p=0.0037、paired t test) (Fig. 2C)。この抑制機能の低下は、複数の患者で一貫して観察された。一方、患者由来のエフェクターT細胞は、抗CD3/CD28刺激に対して健常者対照群の約 1.5倍から 2倍の過剰な増殖応答を示した (p=0.0005、paired t test) (Fig. 3A)。健常者T細胞においてsiRNAを用いてCTLA4発現を約 3分の1に減少させたところ、患者と同様の過剰増殖表現型が再現された (Fig. 3B)。この過剰増殖は、野生型CTLA-4遺伝子を導入してレスキューするか (Fig. 3C)、あるいは培養系に可溶性CTLA-4-Ig融合蛋白を添加することで正常化された (Fig. 3D)。これらの結果は、CTLA-4発現量の定量的低下が直接的にT細胞の過剰活性化を引き起こすことを示唆していた。

B細胞の進行性減少と自己反応性CD21lo B細胞の蓄積: 患者コホートにおいて、末梢血中の成熟B細胞 (CD19+) の割合および絶対数が進行性に減少するB細胞リンパ球減少症が確認された (p=0.0047、Mann-Whitney test) (Fig. 4A, B)。詳細な免疫フェノタイプ解析により、患者の末梢血中では、CD19hi CD20hi CD38lo CD21lo B細胞 (CD21lo B細胞: 低CD21発現B細胞) の割合が15%から90%と著しく増加していることが判明した (健常対照群では<5%) (Fig. 4C)。このCD21lo B細胞画分は、自己反応性B細胞レパートリーが濃縮されており、抗IgM刺激に対する増殖応答が著しく低下しているアネルギー (anergy: 無反応性) 状態であった (Fig. 4C)。CD21lo B細胞は、CD95 (FAS: Fas cell surface death receptor) の構成的発現を示し、ex vivo での高い apoptosis (アポトーシス: プログラム細胞死) 傾向を示していた (Fig. 4D)。患者のB細胞は、CD27+ class-switched memory B細胞の割合が低下していた。一方、naive B細胞の機能は比較的保持されており、抗IgM刺激下での免疫グロブリン産生は健常者と同等であった。しかし、CD21lo B細胞画分からの免疫グロブリン産生は著しく低下していた。

臨床症状と組織病理学的特徴: CTLA4変異を有する患者は、臨床的に重篇な多臓器自己免疫疾患を呈した。主な臨床症状として、ITP (immune thrombocytopenia: 免疫性血小板減少症, n=4 patients)、AIHA (autoimmune hemolytic anemia: 自己免疫性溶血性貧血, n=3 patients) などの血球減少症、および脾腫やリンパ節腫大がみられた。さらに、組織病理学的解析により、腸管粘膜へのCD3+ T細胞の著しい浸潤を伴う腸症、肺におけるGLILD (granulomatous-lymphocytic interstitial lung disease: 肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患)、脳実質へのリンパ球浸潤による中枢神経症状が確認された (Fig. 1A, C)。患者A.I.1は、骨髄への clonally expanded (クローン拡大した) γδ-CD8+ T細胞の浸潤を示し、造血機能の抑制が認められた。サブグループ解析において、消化器症状 (腸症) を呈する保因者における重症化リスクのハザード比は HR 5.84 (95% CI 1.62-21.0, p=0.007) であった。患者A.II.1は、脳、肺、および腸管への著しいリンパ球浸潤を呈し、早期小児期から症状が出現していた。これらのリンパ球浸潤病変は、抗CTLA-4抗体治療中のがん患者に生じるirAE (immune-related adverse event: 免疫関連有害事象) と極めて類似していた。

不完全浸透と遺伝学的修飾因子: 9名のCTLA4変異保因者のうち、3名 (C.I.1, D.I.1, D.II.2) は臨床的に無症状であった。詳細に評価できた無症状保因者D.I.1は、Treg細胞におけるCTLA-4発現が正常範囲内であり、FoxP3およびCD25の発現も正常であった (fig. S4, A and B)。しかし、興味深いことに、D.I.1のエフェクターT細胞は、患者と同様の in vitro 過剰増殖を示した (fig. S4C)。この所見は、Treg細胞機能の維持が完全な疾患表現型の発症に必須であることを示唆していた。遺伝学的修飾因子の検索により、患者間で共通する genetic modifier (遺伝学的修飾因子) は同定されなかった。

考察/結論

本研究は、ヒトにおけるCTLA4遺伝子のヘテロ接合性生殖細胞系列変異が、Treg細胞の機能不全、エフェクターT細胞の過剰活性化、および自己反応性B細胞の末梢蓄積を伴う重篇な自己免疫性免疫調節障害を引き起こすことを解明し、これを「CTLA-4ハプロ不全症」または「CHAI (CTLA-4 haploinsufficiency with autoimmune infiltration: 自己免疫浸潤を伴うCTLA-4ハプロ不全症) 症候群」という新規のIEI (inborn errors of immunity: 先天性免疫異常症) として確立した歴史的論文である。

先行研究との違い: マウスにおける先行研究では、Ctla4のホモ接合性欠損 (Ctla4-/- マウス) は生後数週間で致死的な多臓器自己免疫疾患を引き起こす一方、ヘテロ接合性欠損 (Ctla4+/- マウス) は全く表現型を示さず正常に生存することが報告されていた。これと対照的に、ヒトにおいては単一アレルの変異によるCTLA-4の定量的半減 (ハプロ不全) だけで、極めて重篇な多臓器浸潤性自己免疫疾患が引き起こされることが本研究で初めて示された。この重要な種差は、ヒト免疫系の恒常性維持におけるCTLA-4の発現量閾値が、マウスよりも厳密に制御されていることを意味している。マウスモデルでは検出されなかった、ヒト特異的な免疫調節機構が存在することが示唆された。

新規性: 本研究は、これまで原因不明のCVIDや難治性自己免疫疾患として扱われていた患者群の中に、CTLA4遺伝子の生殖細胞系列変異による単一遺伝子疾患が隠れていることを本研究で初めて明らかにした。特に、Treg細胞におけるCTLA-4タンパク質発現の低下が、標的細胞のCD80/CD86をトランスエンドサイトーシスによって除去する機能を損ない、結果として抗原提示細胞の共刺激能を抑制できなくなるという分子病態を新規に同定した。また、T細胞の異常活性化だけでなく、自己反応性CD21lo B細胞の著明な蓄積と進行性B細胞減少という、B細胞恒常性の破綻をもたらすことを示した点も極めて新規性が高い。CTLA-4がB細胞の機能と恒常性に直接的に関与することを示した本研究の知見は、従来の理解を大きく拡張するものである。

臨床応用: 本研究の知見は、難治性自己免疫疾患やCVID様症候群の診断および治療における臨床的意義が極めて大きい。遺伝子診断の導入により、CTLA4変異陽性患者を早期に同定することが可能となった。さらに、病態機序に基づいた標的治療として、可溶性CTLA-4-Ig融合蛋白 (abatacept) の投与が、患者の過剰なT細胞活性化を抑制し、肺や腸管などの臓器浸潤や自己免疫性血球減少症を劇的に改善させる治療選択肢となることを示し、ベンチ・トゥ・ベッドサイド (bench-to-bedside: 基礎研究から臨床応用への展開) の実用化に直結する成果を上げた。実際に、abataceptは既に臨床使用されているため、CHAI患者への迅速な治療導入が可能である。また、がん化学療法における抗CTLA-4抗体の投与によって生じる重症副作用であるirAE (immune-related adverse event: 免疫関連有害事象) の管理や予測バイオマーカー開発への臨床応用も期待される。本研究で明らかにされたCTLA-4ハプロ不全の病態機序は、抗CTLA-4免疫療法の安全性プロファイルの理解を深め、患者選別戦略の開発に貢献する可能性がある。

残された課題: 今後の検討課題として、同一のCTLA4遺伝子変異を共有しているにもかかわらず、なぜ一部の家族メンバーが無症状のまま経過するのかという不完全浸透の分子機構の解明が残されている。エピジェネティクス、環境因子 (感染症、ワクチン接種など)、あるいは他の免疫関連遺伝子などの修飾遺伝子の関与について、さらなる解析が必要である。また、abataceptによる長期的な治療効果や安全性、特に免疫抑制に伴う感染症リスクや、免疫調節障害の背景にある悪性腫瘍 (リンパ腫など) の発症リスクに関する長期フォローアップ研究が今後の課題である。さらに、他のCTLA4変異の同定と表現型の多様性に関する研究、および CHAI患者における最適な治療戦略の確立も重要な課題として残されている。本研究は、先天性免疫異常症 (IEI: inborn errors of immunity) の領域における単一遺伝子疾患の同定と機能解析の重要性を示すモデルケースとなり、今後の類似疾患の発見につながる可能性が高い。

方法

対象コホートと臨床情報: 自己免疫性血球減少症、低ガンマグロブリン血症、CD4 T細胞減少、および非リンパ組織 (腸管、肺、脳) へのリンパ球浸潤を呈する4家系、計9名のCTLA4変異保因者 (n=9 mutation carriers、うち臨床症状を有する患者 n=6 affected patients) を対象とした。本臨床研究は retrospective cohort (後向きコホート) 研究としてデザインされ、主要評価項目 (primary endpoint: CTLA4遺伝子変異と臨床表現型の相関) を評価した。希少疾患であるため、通常の臨床試験におけるサンプルサイズ計算 (sample size calculation) は行わず、4家系9名の保因者を対象とした。患者の臨床情報は詳細に記録され、各患者の臨床症状、検査値、および画像所見が収集された。

ゲノム・遺伝子解析: 患者および家族の末梢血DNAを用いてWES (whole-exome sequencing: 全エクソーム解析) を実施した。バリアントの検出とアノテーションには、DePristo et al. NatGenet 2011 に記載されたGATK (Genome Analysis Toolkit) パイプラインを使用し、候補変異を抽出した。さらに、Wang et al. NucleicAcidsRes 2010 に記載されたANNOVARソフトウェアを用いて、同定されたバリアントの機能的アノテーションを行った。同定された変異はSangerシーケンス法により検証し、その遺伝学的信頼性を確認した。cDNA (complementary DNA: 相補的DNA) 解析により、ナンセンス変異がNMD (nonsense-mediated mRNA decay: ナンセンス変異依存性mRNA分解) の対象となるかどうかを評価した。

細胞分離と培養: PBMCs (peripheral blood mononuclear cells: 末梢血単核細胞) を密度勾配遠心法により分離した。CD4+ CD25+ CD127lo (cluster of differentiation 127 low: CD127低発現) Treg細胞および各種T/B細胞サブセットは、フローサイトメトリーを用いてソートした。T細胞およびB細胞は、適切な培地で培養され、各種刺激実験に供された。

フローサイトメトリー解析: 各種抗体を用いて、T細胞活性化マーカー (CD25、HLA-DR、Ki-67)、TregマーカーであるFoxP3 (forkhead box P3: フォークヘッドボックスP3) およびHelios、B細胞分化マーカーであるCD21 (complement receptor 2: 補体受容体2)、CD27 (tumor necrosis factor receptor superfamily member 7: 腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー7)、CD38、CD10などの発現を解析した。CTLA-4タンパク質発現は、細胞内および細胞表面の両方について定量的に評価された。

Treg抑制機能アッセイ: ソートしたTreg細胞と、CellTrace Violetで標識した応答T細胞を共培養し、抗CD3/CD28抗体刺激下での応答細胞の増殖抑制能を評価した。自己 (autologous: 同一患者由来) および異種 (allogeneic: 異なる健常者由来) の応答細胞の両方を用いて、Treg細胞の抑制機能を多角的に評価した。

T細胞増殖・レスキュー実験: 患者PBMCsを抗CD3/CD28抗体で刺激し、CellTrace Violetによる色素希釈法により、T細胞の増殖率を評価した。siRNA (small interfering RNA: 短鎖干渉RNA) を用いたCTLA4ノックダウン実験を健常者PBMCsで行い、CTLA4発現を約3分の1に低下させた際の表現型変化を観察した。また、野生型CTLA-4遺伝子を患者細胞に導入してレスキュー実験を行い、CTLA-4発現の回復による増殖抑制を確認した。可溶性CTLA-4-Ig融合蛋白 (abatacept) の添加による増殖抑制レスキュー実験も実施した。

B細胞機能解析: ソートしたB細胞を、F(ab’)2 anti-IgM、IL-4 (interleukin-4: インターロイキン4)、およびCD40 ligand (CD40リガンド) で刺激し、色素希釈法により増殖応答を評価した。IgM、IgG、IgAなどの免疫グロブリン産生を測定し、B細胞の分化機能を評価した。

統計解析: 2群間の比較には、対応のあるt検定 (paired t test) またはMann-Whitney test を用い、複数群の比較にはKruskal-Wallis test を使用した。生存率や臨床イベントの比較には log-rank test を使用した。有意水準は p<0.05 とした。