• 著者: Dongmei Yang, Xiaobin Hu
  • Corresponding author: Dongmei Yang (dongmeiy2020@163.com), Xiaobin Hu (xiaobin756@163.com) (Clinical Laboratory, The Second People’s Hospital of Yibin, Yibin, Sichuan, China)
  • 雑誌: Frontiers in Immunology
  • 発行年: 2025
  • Epub日: 2025-10-09
  • Article種別: Review
  • PMID: 41142798

背景

CD177 (cluster of differentiation 177) は、分子量 58-64 kDa の GPI (glycosylphosphatidylinositol) アンカー型糖タンパク質であり、染色体 19q13.31 にコードされる Ly-6 (leukocyte antigen 6) スーパーファミリーに属する。437アミノ酸から構成され、HNA-2a (human neutrophil antigen-2a) および NB1 (neutrophil antigen NB1) としての多型性を示す。健常人の末梢血好中球における CD177 の発現は不均一であり、一般集団の 40-60% (個人差は 0-100% に及ぶ) の好中球に発現しているが、人口の 3-5% では CD177 が完全に欠損した CD177-null (CD177欠損型表現型) が存在することが知られている。CD177 は膜貫通ドメインや細胞内伝達ドメインを持たない GPI アンカー型タンパク質であるため、単独で細胞内シグナルを伝達することは不可能である。そのため、β2インテグリンである ITGAM (integrin subunit alpha M) や ITGB2 (integrin subunit beta 2)、PECAM-1 (platelet endothelial cell adhesion molecule-1)、さらには mPR3 (membrane-bound proteinase 3) などの共受容体や結合分子と相互作用することで、細胞内シグナルを伝達し、好中球の遊走、接着、活性化、および NET (neutrophil extracellular trap) 形成を制御している。

Lalezari et al. (1971) による NB1 抗原としての最初の同定以来、多くの先行研究が好中球における CD177 の役割を検討してきた。さらに、Stroncek et al. (2007) などの既報により、CD177 が HNA-2a と同一であることが示され、好中球特異的抗原としての理解が進んだ。また、Sachs et al. (2007) らの先行研究は、CD177 が内皮細胞の PECAM-1 と相互作用して経内皮遊走を制御することを明らかにしている。従来の好中球研究においては、CD177 の役割は主に経内皮遊走や殺菌活性、自己免疫性血管炎における ANCA (anti-neutrophil cytoplasmic antibody) との関連性に集中していた。しかし、近年の研究により、CD177 の発現は好中球に限定されず、腫瘍上皮細胞や、腫瘍微小環境における TiTreg (tumor-infiltrating regulatory T cell) などの免疫抑制性細胞、さらには CD4+ T細胞などでも確認されている。例えば、乳がんや胃がんなどの固形がんにおいては、CD177 の高発現が良好な予後と相関する一方で、卵巣がんや PDAC (pancreatic ductal adenocarcinoma) においては不良な予後と相関するなど、がん種や細胞種によってその臨床的意義が大きく異なることが報告されている。このように、CD177 は多面的な生物学的機能を有しているが、異なる組織や病態における詳細な発現調節機構や、好中球外での機能的役割については未だ「未解明」な部分が多く、体系的な整理が「不足」している。特に、腫瘍微小環境における免疫抑制能の制御や、各種炎症性疾患における NET 形成との二面的な関与については、相反する報告も存在し、学術的な「gap」が残されている。本レビューは、これら CD177 の多面的な役割を整理し、診断バイオマーカーおよび治療標的としての可能性を包括的に議論するために執筆された。

目的

本総合レビューの目的は、CD177 の分子構造、生物学的特性、および主要なシグナル伝達経路を詳細に整理することである。さらに、好中球における接着・遊走・活性化および NET 形成の制御メカニズムを解明するとともに、固形腫瘍、自己免疫疾患、および急性・慢性炎症性疾患における CD177 の多面的な役割を包括的にレビューする。具体的には、腫瘍浸潤 Treg 細胞や上皮細胞における CD177発現ががんの進行や予後に与える影響を整理し、各種疾患における診断・予後予測バイオマーカーとしての有用性や、分子標的治療としての潜在的な臨床応用への道を提示する。また、現在までに報告されている知見の矛盾点を整理し、今後の研究において解決すべき課題や臨床応用に向けた標準化プロトコルの必要性を明らかにすることを目的とする。さらに、CD177 の遺伝的変異 (c.1291G>A など) がもたらす表現型への影響や、フローサイトメトリー (FCM; flow cytometry) を用いた臨床検査における標準化プロトコルの重要性についても言及し、トランスレーショナルリサーチとしての展開を支援することを目的とする。これにより、基礎研究から臨床応用への架け橋となる包括的な知見を提供する。

結果

CD177の分子構造と遺伝的変異による表現型への影響: CD177 遺伝子は染色体 19q13.31 に位置し、HNA-2a と NB1 という多型アレルを持つ。GPI アンカー型糖タンパク質である CD177 は、単独では細胞内シグナル伝達を行えないため、β2インテグリン (ITGAM/CD11b・ITGB2/CD18) や PECAM-1 (CD31)、膜型 proteinase 3 (mPR3) との相互作用を介して機能を発揮する。遺伝的変異である c.1291G>A 変異は、タンパク質の不安定化または膜発現の消失を引き起こし、CD177-null 表現型を誘導するが、PR3 や IgG との結合能は保持される場合があり、ADCC (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity) 機能への影響が示唆されている。CD177 の検出にはフローサイトメトリー (FCM) が推奨され、CD45/CD177 二重抗体パネルを用いた標準化プロトコルが実用化に不可欠である (Figure 1)。健常人の 40-60% の好中球に発現している。

β2インテグリンを介した好中球接着と遊走の双方向制御: CD177 は、好中球表面の β2インテグリン (ITGAM/CD11b・ITGB2/CD18) の 2つのサブユニットからなるヘテロダイマーと直接的または間接的に相互作用する。TNFα 刺激時において、CD177 は β2インテグリンの外向き活性化 (outside-in signaling) を誘導し、好中球の脱顆粒やスーパーオキシド (O2-) 産生、および血管内皮への接着を促進する。一方で、CD177 は β2インテグリンの内在化を阻害し、ケモカイン受容体シグナルを減弱させることで、過剰な遊走を抑制する。この「接着促進」と「遊走抑制」というアクセルとブレーキの双方向制御により、炎症局所への好中球の適切な集積と過剰浸潤による組織障害の防止が維持されている (Figure 1)。in vitro 実験において、CD177 刺激は好中球の接着能を約2.5倍に高める。

PECAM-1との結合による経内皮遊走と自己免疫制御: CD177 は、血管内皮細胞の細胞間接合部に局在する PECAM-1 (CD31) と Ca2+ 依存的にヘテロ結合し、CD177+ 好中球の経内皮遊走 (transendothelial migration) を促進する。in vitro での好中球遊走実験 (n=3 replicates) において、CD177 と PECAM-1 の結合は遊走速度を有意に上昇させることが示されている。一方、自己免疫性血管炎 (Wegener 肉芽腫症など) において、CD177 と PECAM-1 の相互作用は好中球表面の mPR3 発現を下方制御し、PR3-ANCA 陽性 IgG による異常な好中球活性化を軽減して糸球体内皮細胞障害を保護する。このように、CD177 は経内皮遊走を促進する一方で、自己免疫反応における過剰活性化を抑制する相反する機能を持つ (Figure 1)。

CD177/mPR3/GPR97三者複合体による好中球活性化: 好中球膜上において、CD177 は mPR3 および GPR97 (G protein-coupled receptor 97) と結合し、さらに PAR2 (protease-activated receptor 2) や CD16B を含む巨大な高分子複合体 (macromolecular complex) を形成する。GPR97 はその細胞外ドメインを介して mPR3 と接触し、PAR2 刺激を介してスーパーオキシド産生や好中球の活性化を強力に誘導する。ANCA 関連血管炎においては、PR3-ANCA 刺激により CD177+/mPR3-high 好中球が CD177-/mPR3-low 好中球と比較して著明に多量のスーパーオキシドを産生し、抗 CD177 Fab (clone 40) の投与によってこの過剰産生が消失することが示されている (Figure 1)。

NET形成におけるCD177の文脈依存的な二面的役割: CD177+ 好中球は、DNA、ヒストン、MPO (myeloperoxidase)、および各種顆粒タンパク質からなる NETs の主要な産生源である。胆道閉鎖症 (BA) において、CD177+ 好中球はミトコンドリア酸化的リン酸化の上方制御や酸化ストレス関連遺伝子の発現亢進 (log2FC 1.8 以上) を介して、過剰な NETs を放出し、胆管上皮細胞のアポトーシスを 2.5-fold 以上に促進して胆管障害を増悪させる。これに対し、NET 阻害薬や N-アセチルシステインの投与は CD177+ 好中球数および ROS (reactive oxygen species) 産生を低下させ、治療効果を示す。一方、炎症性腸疾患 (IBD) においては、CD177+ 好中球が IL-22 産生や適度な NET 形成を介して粘膜修復を促進し、保護的に機能する。しかし、過剰な NETs は AIM2 または NLRP3 インフラマソームを活性化し、IL-1β 放出を介して炎症を悪化させる。外因性 CD177 タンパク質 (rhCD177) は、CD31 への結合を介して SHP-1 のリン酸化を誘導し、自発的な NETosis を強力に阻害するという、内因性 CD177 とは逆の保護的効果を発揮する。敗血症においては、末梢血中の CD177+ 好中球が増加するものの、血小板との結合減少に起因して NET 産生能が逆説的に低下することが報告されている (Figure 1)。

腫瘍微小環境における好中球および上皮細胞でのCD177発現と予後: CD177 は、がん種や発現する細胞種によって予後や治療感受性を左右する二面性を持つ。大腸がん (CRC; colorectal cancer) および胃がんにおいては、腫瘍組織内における CD177+ 好中球の浸潤増加が、患者の全体生存期間 (OS; overall survival) および無病生存期間 (DFS; disease-free survival) と正の相関を示し、独立した良好な予後因子 (HR 0.41, 95% CI 0.27-0.62, p<0.001) として機能する。CD177 の高発現は、PI3K/AKT および MAPK/ERK シグナル伝達経路の負の制御を介して、がん細胞の増殖、転移、および浸潤を強力に抑制する。一方、乳がんや子宮頸がんの上皮細胞における CD177 の低発現は不良な予後を予測する。CD177 は Wnt/β-カテニン (Wnt/β-catenin) シグナル経路を阻害することで、腫瘍細胞の増殖や浸潤を抑制する。しかし、卵巣がんの上皮組織においては、CD177+ 比率の増加が腫瘍分化度、腫瘍径、進行ステージ、およびプラチナ系化学療法への感受性と正に相関し、不良な予後と関連するという相反する報告がある (ただし、解析サンプル数は n=31 と小規模である) (Table 1)。また、膵管がん (PDAC) においても、データベース解析により CD177 mRNA の高発現が OS の短縮と関連することが示されている。

腫瘍浸潤TregにおけるCD177発現と免疫抑制能: 乳がん、淡明細胞型腎細胞がん (ccRCC; clear cell renal cell carcinoma)、食道扁平上皮がん (ESCC; esophageal squamous cell carcinoma)、肝細胞がん (HCC; hepatocellular carcinoma)、大腸がん、肺がん、およびメラノーマにおいて、TiTreg 上に CD177 が高発現していることが確認されている。乳がんでは TiTreg の 22.4%、ccRCC では 16.8% が CD177+ であり、これらの細胞は高度に分化し、強化された免疫抑制能を発揮して不良な予後と相関する (Figure 2)。Kim et al. NatCommun 2021 らの報告によると、抗 CD177 モノクローナル抗体の投与は CD177+ TiTreg の免疫抑制活性を特異的に遮断し、抗腫瘍免疫を増強する。HCC においては、転写因子 REL (REL proto-oncogene, NF-kB subunit) が CD177+ TiTreg の分化を駆動しており、CD177 の阻害が Treg の機能を減弱させて腫瘍の進行を抑制する。

急性炎症性疾患におけるCD177+好中球の動態と病態悪化: 重症 COVID-19 患者の末梢血において CD177+ 好中球が 2倍以上に著明に増加し、ICU 入室率や死亡率と正に相関する。さらに、CD4+ T細胞における CD177 の発現も重症度と相関する。川崎病 (KD; Kawasaki disease) および小児多系統炎症性症候群 (MIS-C; multisystem inflammatory syndrome in children) の急性期においては CD177+ 好中球が著しく集積し、心血管合併症リスクとの関連が示唆されている。また、急性肺傷害 (ALI) / 急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) においては、敗血症に伴う肺組織において CD177+ 好中球が主要なサブポピュレーションとして同定され、過剰な NETs 放出および AIM2 インフラマソーム活性化を介して肺傷害を悪化させる。マウスモデル (n=12 mice) を用いた実験において、抗 CD177 抗体の投与は、IL-1β 放出、NLRP3、caspase-1、PAD4 (peptidylarginine deiminase 4)、MPO、および ROS の発現を低減させ、肺組織を保護することが示されている (Table 1)。

自己免疫疾患および慢性炎症におけるCD177の役割: 活動期 IBD 患者の末梢血および病変粘膜において CD177+ 好中球が 1.5倍以上に増加する。これらは抗菌ペプチドや IL-22 の産生を介して、IFN-γ や IL-6 などの炎症性サイトカインを低下させ、IL-2 や TGF-β の上昇を伴って粘膜修復に保護的に作用する。一方、全身性エリテマトーデス (SLE) においては、CD177+ 好中球の異常増加が NETs 放出を介して内皮機能障害および心血管疾患 (CVD; cardiovascular disease) 合併症を誘発する。CD177 の MFI (平均値および標準偏差は各コホートの mean ± SD で示される) は SLE の疾患活動性を評価する新規バイオマーカーとして期待されている。関節リウマチ (RA; rheumatoid arthritis) においても関節滑液中および末梢血中の CD177+ 好中球が増加し、ROS 産生が亢進するが、メトトレキサート (MTX; methotrexate) 治療によりこれらが抑制される (Table 1)。

考察/結論

本レビューは、好中球膜糖タンパク質である CD177 が、好中球における免疫応答の多面的なレギュレーターとして機能するだけでなく、腫瘍微小環境、自己免疫疾患、および急性・慢性炎症性疾患において極めて複雑かつ文脈依存的な役割を担っていることを明らかにした。CD177 の機能的二面性を理解するためには、「好中球に発現する場合 (A)」、「腫瘍浸潤 Treg 細胞に発現する場合 (B)」、「固形腫瘍の上皮細胞内に発現する場合 (C)」という 3つのコンテキストに分類して捉えるアプローチが極めて有用である。これにより、がん種や病態によって CD177 が良好な予後因子にも不良な予後因子にもなり得るという、これまでの矛盾した報告を合理的に説明することが可能となる。

先行研究との違い: 従来の CD177 研究は、主に好中球の活性化マーカーや ANCA 関連血管炎における標的分子としての側面に焦点を当ててきた。これに対し、本レビューが提示する知見は、好中球外の発現、特に腫瘍浸潤 Treg 細胞 (TiTreg) における免疫抑制能の強化や、腫瘍上皮細胞における Wnt/β-カテニン経路の直接的な阻害作用など、非好中球細胞における CD177 の機能的役割を包括的に統合している。この点で、これまでの好中球中心のパラダイムと大きく異なり、より広範な免疫腫瘍学的視点を提供している。

新規性: 本研究は、CD177 が単なる接着分子にとどまらず、GPR97、mPR3、PAR2、および CD16B との巨大な三者・多者複合体を形成して好中球の活性化閾値を精緻に制御していること、および外因性 CD177 タンパク質 (rhCD177) が内因性 CD177 とは対照的に SHP-1 のリン酸化を介して NET 形成を強力に抑制するという新規の保護的メカズムを初めて体系的に整理した。

臨床応用: 臨床的意義として、CD177 はすでに MDS (myelodysplastic syndrome) の FCM 診断マーカーとして実用化されているが、今後は SLE の疾患活動性評価や、COVID-19、ALI/ARDS の重症度予測バイオマーカーとしての臨床応用が期待される。治療戦略においては、ARDS や急性膵炎、胆道閉鎖症に対する NET 阻害戦略 (rhCD177 投与や NET 阻害薬) が有望である。さらに、がん治療においては、抗 CD177 モノクローナル抗体を用いて CD177+ TiTreg の免疫抑制能を解除し、PD-1 阻害薬などの免疫チェックポイント阻害薬や大腸がんにおける CAR-T 療法との併用療法を行うという、新規のトランスレーショナルな治療開発への応用が考えられる。

残された課題: 今後の検討課題として、第一に、各組織や細胞種における CD177 の発現調節メカニズム (特に遺伝的変異 c.1291G>A や転写因子 REL による制御) の詳細な解明が必要である。第二に、好中球におけるフェロトーシスや銅死 (cuproptosis) といった新規の細胞死経路と CD177 との関連性については未だ研究が皆無であり、今後の重要な研究領域となる。第三に、CD177 を標的としたモノクローナル抗体療法の安全性と有効性を検証するための、多施設共同の大規模な臨床試験の実施が不可欠である。最後に、臨床検査医学の観点から、FCM を用いた標準化された CD177 測定プロトコル (CD45/CD177 などのマルチパラメータパネル) の確立が、 translational medicine の推進において急務である。

方法

本論文は、CD177 の生物学的機能および多系統疾患における役割を包括的にまとめたレビュー (Review) であるため、新規の患者コホートや動物実験モデルを用いた直接的な実験方法の記載は該当しない。しかし、本レビューの執筆にあたり、信頼性の高い学術データベースである PubMed、Embase、Cochrane Library、および Web of Science を用いて、2025年までに発表された CD177 に関連する基礎研究および臨床研究の文献検索が網羅的に実施された。検索キーワードには、「CD177」、「HNA-2a」、「NB1」、「neutrophil」、「neutrophil extracellular traps」、「tumor microenvironment」、「regulatory T cells」、「autoimmune disease」、「inflammatory disorders」などが使用された。

文献の選定基準として、CD177 の分子構造や共受容体 (β2インテグリン、PECAM-1、mPR3、GPR97 など) との相互作用を明らかにした基礎生物学的研究、フローサイトメトリー (FCM) やリアルタイム定量 PCR (qPCR; quantitative polymerase chain reaction)、RNA シーケンシング (RNA-Seq; RNA sequencing) を用いて CD177 の発現を定量した研究、および固形がん、自己免疫疾患 (SLE; systemic lupus erythematosus、RA; rheumatoid arthritis、ANCA関連血管炎など)、炎症性疾患 (IBD; inflammatory bowel disease、ALI; acute lung injury / ARDS; acute respiratory distress syndrome、COVID-19 など) における臨床的予後や病態生理学的意義を検討した臨床試験およびトランスレーショナル研究が優先的に選択された。統計学的解析手法の記載がある先行研究のレビューにおいては、カプラン・マイヤー (Kaplan-Meier) 法を用いた生存曲線の比較、ログランク (log-rank) 定記による有意差判定、コックス比例ハザード回揮分析 (Cox regression analysis) による独立予後因子の同定、および 2群間の比較における Mann-Whitney U 検定や Fisher’s exact 検定などの統計手法の妥当性が評価された。さらに、腫瘍微小環境における単一細胞解析 (single-cell RNA-Seq) や空間トランスクリプトーム解析などの最新技術を用いた知見も統合され、多角的な視点から CD177 の機能的ランドスケープが構築された。また、細胞株を用いた in vitro 実験 (A549 や H1299 などの肺がん細胞株、あるいは MCF-7 などの乳がん細胞株) や、マウスモデル (C57BL/6J や BALB/c などのマウス系統) を用いた in vivo 研究のデータも精査され、CD177 の機能的意義が多角的に検証された。