• 著者: Virna Cortez-Retamozo, Martin Etzrodt, Andita Newton, Philipp J. Rauch, Aleksey Chudnovskiy, Cedric Berger, Russell J. H. Ryan, Yoshiko Iwamoto, Brett Marinelli, Rostic Gorbatov, Reza Forghani, Tatiana I. Novobrantseva, Victor Koteliansky, Jose-Luiz Figueiredo, John W. Chen, Daniel G. Anderson, Matthias Nahrendorf, Filip K. Swirski, Ralph Weissleder, Mikael J. Pittet
  • Corresponding author: Mikael J. Pittet (Center for Systems Biology, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA, USA; mpittet@mgh.harvard.edu)
  • 雑誌: PNAS
  • 発行年: 2012
  • Epub日: 2012-01-03
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 22308361

背景

腫瘍関連マクロファージ (TAM) および腫瘍関連好中球 (TAN) は、ほとんど全ての固形腫瘍に浸潤し、癌の増殖、進行、転移を制御する腫瘍微小環境の主要な骨髄系細胞集団である。これらの細胞は、従来、骨髄で産生される未熟な単球および顆粒球前駆細胞に由来すると考えられてきた。しかし、脾臓は近年、単球の貯蔵庫として同定され、急性炎症後の炎症反応において重要な役割を果たすことが示されている。例えば、Swirski et al. Science 2009 は、急性心筋梗塞や感染症において脾臓が単球の貯蔵庫として機能する髄外造血部位であることを確立した。また、Cortez-Retamozo et al. JCI 2011Swirski et al. Science 2011 では、一般的な単球の脾臓における動態が確立されている。しかし、癌の文脈における脾臓の骨髄系貯蔵庫としての役割は、これまで十分に解明されていなかった。

TAMは腫瘍増殖を促進し、その密度は乳癌、ホジキンリンパ腫、肺腺癌を含むいくつかの癌種で不良な予後と関連することが報告されている (Mantovani et al. Nature 2008, Steidl et al. N Engl J Med 2010, Denardo et al. Cancer Discov 2011, Zhang et al. Med Oncol 2011)。TANもまた原発腫瘍の進行を促進するが、TGFβシグナル伝達の阻害は抗腫瘍性TAN集団を誘導することがFridlender et al. CancerCell 2009で示されている。さらに、腫瘍を有する被験者の好中球は、転移性腫瘍細胞を排除し、抗転移保護を提供することがGranot et al. CancerCell 2011で報告されている。TAMとTANの起源、および癌がこれらの細胞の前駆細胞に与える影響は、これまで十分に探索されていなかった。

組織マクロファージと好中球の起源に関する理解は、自己再生能を持つ造血幹細胞 (HSC) に遡るが、これらの研究のほとんどは癌を伴わないものであった (Akashi et al. Nature 2000, Manz et al. PNAS 2002, Fogg et al. Science 2006, Geissmann et al. Science 2010)。これらの研究は、骨髄の特殊なニッチに位置するHSCが、自己再生能を徐々に失い、特定の系統にコミットする子孫を生み出す過程を概説している。例えば、顆粒球/マクロファージ前駆細胞 (GMP) は、HSCに由来し、好中球または単球のいずれかにコミットするクローン形成能を持つ骨髄細胞である。これらの細胞は循環中に放出され、遠隔組織に血管外遊出する (Mantovani et al. Nature 2008, Sawanobori et al. Blood 2008, Movahedi et al. Cancer Res 2010)。血管外遊出プロセスは、通常、不可逆的な細胞分化プログラムの活性化と同時進行する (Qian and Pollard Cell 2010, Geissmann et al. Science 2010, van Furth and Cohn J Exp Med 1968)。循環単球は組織マクロファージ(または樹状細胞)になり、循環好中球は活性化組織好中球になる。腫瘍微小環境にこれを拡張すると、最近の研究では、循環Ly-6C^hi「炎症性」単球が腫瘍に蓄積し、非増殖性TAM集団を補充することが示されている (Movahedi et al. Cancer Res 2010)。TAMとTANは、骨髄由来抑制細胞 (MDSC) の子孫として記述されることもある。マウスにおけるMDSCは、CD11b⁺Gr-1⁺骨髄由来未熟細胞として定義され、(Ly6C^hi)単球性細胞と(Ly-6G^hi)顆粒球性細胞から構成される。Ly-6C^hi炎症性単球は、腫瘍に関連する単球性MDSCに寄与する可能性がある (Geissmann et al. Science 2010)。要するに、TAMとTAN集団は、骨髄で産生される単球および顆粒球前駆細胞に由来するというのが一般的なパラダイムであった。

しかし、脾臓が単球のユニークな髄外貯蔵庫であることが最近示されており (Swirski et al. Science 2009)、遠隔の急性炎症に応答して動員され、宿主応答に大きく寄与する可能性がある。本研究は、癌の文脈における骨髄系貯蔵庫の役割を調査することを目的とした。我々は、癌原性Krasの活性化とp53の不活化によって駆動される肺腺癌の遺伝子改変マウスモデル (Kras^LSL-G12D/+; p53^fl/fl; 以下KPと呼ぶ) を用いて動物実験を実施した。このような遺伝子改変マウスは、癌がde novoで発生し、その自然環境内で進化する様子を研究できるため、臨床研究の指針となることが期待されている (DuPage et al. NatProtoc 2009, Olive et al. Science 2009)。これらのマウスの病変は、ヒト疾患で見られる遺伝子変化を再現し、高悪性度腫瘍に進行し、TAMとTANが浸潤する。本研究は、KPマウスモデルおよびルイス肺癌 (LLC) 移植モデルを用いて、脾臓がTAMおよびTAN前駆細胞の主要な髄外貯蔵庫であるかを直接検証し、さらにヒト侵襲性癌患者の脾臓でのクロスバリデーションを含むトランスレーショナルな確立を目指した。これまでの研究では、癌における脾臓の骨髄系貯蔵庫としての役割は未解明であり、この知識ギャップを埋めることが本研究の重要な課題であった。

目的

本研究の目的は、腫瘍関連マクロファージ (TAM) および腫瘍関連好中球 (TAN) の起源を詳細に解明し、特に脾臓がこれらの細胞の供給源として果たす役割を明らかにすることであった。具体的には、以下の5つの主要な目的を設定した。

  1. 脾臓摘出がTAMおよびTAN浸潤と腫瘍増殖に与える影響の評価: KP肺腺癌モデルおよびルイス肺癌 (LLC) 移植モデルにおいて、腫瘍発生前 (week 0) および腫瘍確立後 (week 8) の脾臓摘出が、TAMおよびTANの腫瘍浸潤応答、ならびに腫瘍増殖にどのような影響を与えるかを比較検討する。これにより、脾臓がTAMおよびTANの継続的な供給源であるか、また腫瘍進行を支持するかを評価する。

  2. BrdU標識脾臓移植によるTAM/TANの脾臓起源細胞の直接追跡: BrdUで標識した脾臓細胞を腫瘍保有マウスに移植し、24時間後の腫瘍組織におけるBrdU陽性TAMおよびTANの量を定量的に追跡する。これにより、脾臓から腫瘍間質への前駆細胞の物理的な移動を直接的に証明し、その寄与率を明らかにする。

  3. 脾臓赤髄における造血幹細胞および前駆細胞の蓄積と動態解析: 腫瘍保有マウスの脾臓赤髄における造血幹細胞 (HSC)、共通骨髄系前駆細胞 (CMP)、顆粒球/マクロファージ前駆細胞 (GMP)、およびマクロファージ/樹状細胞前駆細胞 (MDP) の蓄積を評価する。さらに、パラバイオーシス解析および生体顕微鏡観察を用いて、循環HSC/GMPの脾臓への流入動態と、脾臓内でのコロニー形成および骨髄系分化を直接可視化する。

  4. siCCR2ナノ粒子によるCCR2陽性単球の選択的サイレンシングの影響解析: siCCR2ナノ粒子を用いて、脾臓単球におけるCCR2発現を選択的にサイレンシングし、TAMおよびTAN応答への影響を評価する。これにより、脾臓由来TAMの動員におけるCCR2の依存性および腫瘍促進活性の因果関係を薬理学的に解明し、TANとは独立した経路の精密な解剖を試みる。

  5. ヒト侵襲性癌患者脾臓におけるGMP様細胞の定量と表現型確認: 侵襲性癌患者の脾臓におけるGMP様細胞の量と表現型を健常対照と比較し、マウスモデルで観察された髄外造血応答がヒトにおいても発生するかをクロスバリデーションする。これにより、本研究の臨床的関連性を確立する。

これらの目的を達成することで、脾臓が髄外骨髄系貯蔵庫として腫瘍のTAM/TAN供給と腫瘍進行を支持する因果メカニズムを確立することを目指した。

結果

脾臓がTAM/TAN前駆細胞の主要な貯蔵庫であることの脾臓摘出実験による証明: KPマウス (n=17 mice) において、腫瘍発生時 (week 0) に脾臓を摘出した群では、week 11の時点でCD11b⁺およびCD11b⁻肺マクロファージ (TAM) が有意に減少し (p<0.05)、CD11b⁺Gr-1⁺Ly-6G⁺肺好中球 (TAN) も有意に低下した (p<0.05) (Fig. 1B)。この効果は、腫瘍が確立された後 (week 8) に脾臓を摘出したマウス (n=7 mice) でも同様に観察され、TAMおよびTANが脾臓から継続的に供給されることを示唆した。脾臓摘出マウスは、対照群と比較して腫瘍結節数が減少し、総腫瘍体積も縮小した (Fig. 1D, E)。CT画像解析では、脾臓摘出群の腫瘍は主にGrade 1の腺腫性過形成またはGrade 2の腺腫であり、対照群のGrade 2またはGrade 3の腺癌と比較して病理学的に悪性度が低い表現型を示した。脾臓摘出は、腫瘍進行の変化が起こる前にTAM応答を減少させ、TAMと腫瘍進行の因果関係を支持した。また、脾臓摘出後、腫瘍保有KP動物の血液中CD11b⁺Ly-6C^hi単球細胞数が短期間で減少した。骨髄の白血球数は正常であったため、脾臓摘出が骨髄造血に影響を与えた可能性は低い。脾臓摘出群の肺におけるカテプシンB活性も有意に減少しており (Fig. 1C, p<0.05)、TAMおよびTAN応答の減少と一致した。

BrdU標識脾臓移植によるTAM/TANの脾臓起源細胞の直接追跡: BrdUで標識した脾臓細胞を腫瘍保有マウスに移植し、24時間後に腫瘍組織を解析した結果、脾臓由来のTAMが5.1±3.2×10⁵細胞、TANが1.9±1.2×10⁵細胞が腫瘍間質に移動していることが確認された (Fig. 3C)。これは、既存のTAM/TANレパートリーの4-10%を24時間で置き換える堅牢なターンオーバーを示唆する。脾臓由来TAMの66±4%がLy-6Cの発現を下方制御し、F4/80の発現を上方制御しており、腫瘍浸潤時に分化プログラムが開始されていることを示唆した。また、61±17%が単球からマクロファージへの分化表現型を示し、脾臓由来前駆細胞の腫瘍浸潤と分化プログラムの一貫性が確認された (Fig. 3D)。

脾臓赤髄における髄外造血とHSC/GMPの蓄積: 腫瘍保有マウス (n=17 mice) の脾臓赤髄において、造血幹細胞 (HSC; Lin⁻Sca-1⁺c-Kit⁺)、共通骨髄系前駆細胞 (CMP)、顆粒球/マクロファージ前駆細胞 (GMP)、およびマクロファージ/樹状細胞前駆細胞 (MDP) が有意に増加していることが明らかになった (Fig. 4C, D, p<0.001)。特にGMPの割合が高値であった。パラバイオーシス実験では、循環HSCおよびGMPのそれぞれ28.5±2%と24±4%が脾臓に流入し蓄積することが示され、全身循環から脾臓への精密なリクルートメントが定量的に示された。生体顕微鏡観察により、脾臓赤髄におけるGMPのコロニー形成が可視化され、コロニーの子孫細胞は実質的に全て単球および顆粒球系列であることが確認された (Fig. 5A, B)。この結果は、脾臓が骨髄系にコミットした分化を直接的に行っていることを示唆する。脾臓のHSCおよびGMPは、骨髄の対応する細胞と同様に、S/G2期に多くの細胞が存在し、活発な細胞増殖を示した (Fig. 4A)。

siCCR2ナノ粒子による脾臓TAMの選択的ターゲティング: siCCR2ナノ粒子を用いて脾臓のLy-6C^high CCR2⁺単球のCCR2発現を選択的にサイレンシングした結果、TAMが約2倍減少した (p<0.01) (Fig. 2B, n=4 mice)。脾臓の顆粒球はCCR2を発現しないため、siCCR2処理はTAN応答に変化を与えなかった。siCCR2処理マウスでは腫瘍進行が有意に低減され (Fig. 2C, p<0.05)、脾臓由来TAMのCCR2依存性動員と腫瘍促進活性の因果関係が薬理学的に証明された。この結果は、TANとは独立した経路の精密な解剖を可能にした。

ヒト侵襲性癌患者脾臓におけるクロスバリデーション: 侵襲性癌患者7例と対照患者7例の脾臓検体において、GMP様細胞 (CD117⁺CD34⁺CD38⁺IL-3Rα⁺CD45RA⁺Lin⁻/int) が有意に増加していることが確認された (p<0.05) (Fig. 6C)。遺伝子発現解析により、PU.1、C/EBPε、顆粒球/GM-CSF受容体、ミエロペルオキシダーゼ (MPO) の発現が確認され、ヒト骨髄GMPの特性と一致した (Fig. 6B)。ヒト脾臓前駆細胞を移植したマウス (n=1 mouse) では、CD11b⁺CD68⁻CD11c⁻単球様細胞が脾臓に蓄積し、腫瘍部位でCD68⁺マクロファージに分化することが示された (Fig. 6E)。これらのヒトデータは、マウスでの観察結果を裏付け、脾臓が癌患者において単球および顆粒球細胞の産生を支持するという概念と一致した。脾臓のGMP応答の規模は、種間のスケール差を考慮しても、ヒトにおいてマウスと同等かそれ以上に顕著であった (Fig. 6F)。

考察/結論

本研究は、脾臓が癌進行中のTAMおよびTANの貯蔵庫として機能し、髄外造血を介して骨髄系細胞を継続的に供給し、腫瘍促進に寄与するという、腫瘍免疫学におけるパラダイムシフトをもたらすメカニズムを確立した画期的な論文である。KP肺腺癌遺伝子改変マウスモデルおよびLLC移植モデル、BrdUトレーシング、脾臓摘出、siCCR2ナノ粒子、パラバイオーシス、生体顕微鏡観察、そしてヒト脾臓検体を用いた多角的なアプローチにより、この因果関係が明確に示された。脾臓におけるHSCおよび前駆細胞の継続的な局所増殖は、動員された細胞の損失を補完し、貯蔵庫機能を維持する自己維持メカニズムを提案する。

先行研究との違い: これまでの研究では、TAMおよびTANが主に骨髄由来であるというパラダイムが支配的であったが、本研究は、脾臓が癌進行中にこれらの細胞の重要な髄外貯蔵庫として機能し、継続的に骨髄系細胞を供給するという点で、これまでの理解と異なり、新たな視点を提供した。特に、脾臓摘出がTAMおよびTAN応答を抑制し、腫瘍増殖を遅延させるという直接的な証拠は、脾臓の役割を明確に位置づけるものである。

新規性: 本研究で初めて、腫瘍保有マウスの脾臓赤髄においてHSC、CMP、GMP、MDPといった造血幹細胞および前駆細胞が有意に増加し、特にGMPの割合が高値であることを新規に同定した。さらに、パラバイオーシス実験や生体顕微鏡観察により、循環HSC/GMPが脾臓に流入し、脾臓内で骨髄系にコミットしたコロニー形成を行うことを直接可視化したことは、これまで報告されていない重要な知見である。siCCR2ナノ粒子を用いた脾臓単球のCCR2選択的サイレンシングにより、脾臓由来TAMの動員がCCR2依存性であり、腫瘍促進活性に因果的に関与することを薬理学的に証明した点も新規性が高い。

臨床応用: 本知見は、癌治療における新たな臨床応用戦略の可能性を提示する。第一に、アンジオテンシンIIが脾臓の骨髄系細胞産生を促進することが示唆されており、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) のような既存薬の抗癌剤としてのリポジショニングが考えられる。第二に、脾臓のCCR2⁺単球を標的とする治療法、例えばCCR2拮抗薬 (PF-04136309やBMS-813160) やCCL2抗体 (carlumab) の開発が期待される。第三に、脾臓全体を摘出することなく、腫瘍促進性の骨髄系細胞産生を選択的に抑制する外科的戦略や、siRNAナノ粒子技術を用いた腫瘍微小環境の骨髄系細胞を標的とする精密医療の可能性が示唆される。第四に、ヒト侵襲性癌患者の脾臓におけるGMP様細胞の増加は、脾臓の髄外造血がヒト癌においても重要な役割を果たすことを示唆しており、これらの細胞をバイオマーカーとして用いた予後予測や治療効果のモニタリングが臨床現場で検討されるべきである。

残された課題: 今後の検討課題として、本研究が主にマウスのKP肺腺癌モデルに焦点を当てているため、乳癌、膵癌、大腸癌、メラノーマなど他の癌種における脾臓の役割を直接検証する必要がある。また、脾臓摘出が腫瘍以外の免疫応答(例えば、被膜細菌感染症への感受性)に与える影響と、その抗腫瘍効果との間のベネフィット・リスク評価は、臨床応用において重要な課題として残されている。脾臓、骨髄、および他の髄外造血部位(肝臓、副腎など)の相対的な寄与をさらに詳細に解剖する必要がある。アンジオテンシンII経路(AT1Rシグナル伝達)が脾臓の骨髄系細胞産生を駆動する詳細なメカニズムは、本論文では本文で詳述されておらず、今後の研究で解明されるべきである。また、CCR2拮抗薬の臨床効果が限定的であったこと(例えば、PF-04136309の膵癌試験が陰性であったこと)との乖離を解明することも重要である。最後に、ヒト検体数がn=7と限定的であるため、より大規模なコホートと多癌種でのバリデーションが求められる。

方法

本研究では、腫瘍モデルとして、KPマウス (Kras^LSL-G12D/+; p53^fl/fl) にアデノウイルスCreリコンビナーゼを気管内投与することで自発性肺腺癌を誘導した。また、ルイス肺癌 (LLC) 細胞の皮下移植モデルも用いて、結果の一般性を確認した。

脾臓摘出 (Splenectomy) は、腫瘍発生前 (week 0) と腫瘍確立後 (week 8) の2つの時点で実施し、TAMおよびTAN応答と腫瘍進行への影響を比較した。脾臓摘出は、骨髄および血球プールを温存する手順で行われた (Swirski et al. Science 2009)。

BrdU標識脾臓移植実験では、BrdUで標識した脾臓細胞を腫瘍保有マウスに移植し、24時間後に腫瘍組織中のBrdU陽性TAMおよびTANをフローサイトメトリーで定量した。これにより、脾臓由来細胞の腫瘍への直接的な移動を追跡した。

骨髄キメラマウスを作製し、脾臓起源と骨髄起源の骨髄系細胞を区別した。

フローサイトメトリーを用いて、腫瘍浸潤骨髄細胞(CD11b⁺、Ly-6C^high、CD11b⁺Gr-1⁺Ly-6G^high)および脾臓の造血幹細胞 (HSC; Lin⁻Sca-1⁺c-Kit⁺)、共通骨髄系前駆細胞 (CMP; common myeloid progenitor)、顆粒球/マクロファージ前駆細胞 (GMP)、およびマクロファージ/樹状細胞前駆細胞 (MDP; macrophage/dendritic cell progenitor) の量を定量した。細胞表面マーカーの組み合わせは、骨髄における細胞表現型解析に用いられる確立されたプロトコルに従った (Akashi et al. Nature 2000, Manz et al. PNAS 2002, Fogg et al. Science 2006)。

siRNAによる遺伝子サイレンシングには、siCCR2ナノ粒子を用いた。このナノ粒子は、脾臓のLy-6C^high CCR2⁺単球においてCCR2発現を選択的にサイレンシングする (Leuschner et al. Nat Biotechnol 2011)。siCCR2または対照siRNA (siCON) ナノ粒子を腫瘍保有KPマウスに12週目から12日間投与し、TAMおよびTAN応答、ならびに腫瘍進行への影響を評価した。

CTイメージングカテプシンB標的化光学センサーを組み合わせた蛍光媒介断層撮影/CT融合イメージングにより、腫瘍進行とプロテアーゼ活性をin vivoで可視化した (Weissleder and Pittet Nature 2008)。

パラバイオーシス実験では、2匹の腫瘍保有マウスを外科的に結合し、16日間HSCおよび前駆細胞の平衡化を待った後、循環HSC/GMPの脾臓への流入動態を解析した。

生体顕微鏡観察 (Intravital microscopy) を用いて、蛍光標識したGMPを静脈内注射し、5日後に脾臓赤髄におけるGMPのコロニー形成と子孫細胞の運命を直接可視化した。

ヒト検体として、侵襲性癌患者7例と対照患者7例から新鮮な脾臓組織を収集した。脾臓のGMP様細胞は、ヒト骨髄GMPの同定に用いられる細胞表面マーカー(CD117⁺CD34⁺CD38⁺IL-3Rα⁺CD45RA⁺Lin⁻/int)に基づいてソーティングした (Manz et al. PNAS 2002)。PCR解析により、これらの細胞の転写因子(PU.1、C/EBPε)、顆粒球コロニー刺激因子 (CSF)、顆粒球/マクロファージ (GM)-CSF受容体、およびミエロペルオキシダーゼの発現を確認した。また、ヒト脾臓前駆細胞を非肥満糖尿病SCIDマウスに移植し、NCI-H226ヒト非小細胞肺癌異種移植片を保有するマウスにおいて、これらの細胞がin vivoで単球様細胞およびマクロファージ様細胞に分化する能力を評価した。

統計解析には、Mann-Whitney U検定、Studentのt検定、およびANOVAを用いた。p値が0.05未満の場合を有意差ありと判断した。