- 著者: Amy-Jo Casbon, Damien Reynaud, Chanhyuk Park, Emily Khuc, Dennis D. Gan, Koen Schepers, Emmanuelle Passegué, Zena Werb
- Corresponding author: Zena Werb (Department of Anatomy, University of California San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA)
- 雑誌: PNAS
- 発行年: 2015
- Epub日: 2015-01-05
- Article種別: Original Article
- PMID: 25624500
背景
固形腫瘍、特に浸潤性乳癌の進行には、T細胞抑制性骨髄系細胞 (MDSC) の増加が重要な役割を果たすことが広く認識されている。これらのMDSCは、腫瘍の増殖、血管新生、免疫抑制、そして転移を促進する多様なメカニズムに関与することが報告されている (例: Quail et al. NatMed 2013、Psaila et al. NatRevCancer 2009)。特に、顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) は、複数の癌種において腫瘍由来の骨髄系細胞の拡張を誘導する主要な因子として確立されており、乳癌における肺転移前ニッチ形成への関与も示唆されている (Kowanetz et al. PNAS 2010)。しかし、腫瘍進行の早期段階における骨髄造血の再プログラミングと好中球拡張の詳細なメカニズム、特にG-CSFが造血幹細胞 (HSC) 段階から骨髄造血を偏らせるという因果関係については、これまで十分に解明されていなかった。
従来のMDSC生成モデルでは、共通骨髄前駆細胞 (CMP) 以下の段階での分化ブロックがMDSCの蓄積に繋がると考えられてきた (Gabrilovich et al. Nat Rev Immunol 2012)。しかし、HSC段階での早期再プログラミングや、G-CSFがこのプロセスを直接的に引き起こすかどうかの検証は、重要な知識のギャップとして残されていた。網羅的な解析を通じて、腫瘍がどのように骨髄造血を制御し、免疫抑制性好中球を生成するのかを理解することは、新たな治療戦略の開発において不可欠である。特に、腫瘍微小環境におけるG-CSFの役割は、MDSCの機能と表現型を決定する上で極めて重要であると認識されているが、その詳細な作用機序、特にHSCレベルでの影響については、さらなる研究が必要であり、この点は未解明であった。
本研究は、乳癌におけるMDSCの起源と機能に関するこの知識のギャップを埋めることを目的としている。具体的には、腫瘍由来のG-CSFがHSCの分化経路をどのように変化させ、免疫抑制性の好中球を生成するのか、その必要性と十分性を遺伝学的なアプローチを用いて検証することが求められていた。このメカニズムの解明は、乳癌における免疫抑制の理解を深め、G-CSFを標的とした新たな免疫療法の開発に繋がる可能性を秘めているが、これまでの研究ではこの点が不足していた。
目的
本研究の目的は、MMTV-PyMT自発乳癌モデルマウスを用いて、浸潤性乳癌が骨髄の初期骨髄分化を再プログラムし、免疫抑制性好中球を生成するメカニズムを詳細に解明することである。具体的には、以下の6つの主要な目的を設定した。
- MDSCの分布と動態の解析: MMTV-PyMT自発乳癌モデルマウス (n=8-15 mice) の複数腫瘍進行段階 (6週齢から15週齢) におけるCD11b⁺Gr1⁺骨髄系細胞の全身性および腫瘍内での分布と経時的変化を評価する。
- 免疫抑制性好中球の機能的特徴付け: PyMTマウスの脾臓由来Ly6G⁺細胞のT細胞抑制活性、活性酸素種 (ROS) 産生能、およびRb1発現レベルを詳細に解析し、その機能的・分子的特徴を明らかにする。
- 骨髄造血の再プログラミングの評価: 骨髄におけるHSC (LSK)、多能性前駆細胞 (MPP)、および顆粒球・単球前駆細胞 (GMP) の拡張動態を解析し、BrdU取り込みアッセイにより骨髄が主要なLy6G⁺細胞産生部位であることを確認する。
- 腫瘍由来因子の同定: 血清サイトカインプロファイリングを実施し、G-CSFおよびCXCL1が早期腫瘍進行における骨髄造血再プログラミングの主要なドライバーであることを同定する。
- G-CSFの必要十分性の証明: 抗G-CSF抗体処理によるMDSCの拡張と免疫抑制能の抑制、およびWTマウスへのG-CSF投与 (2 μg/日 × 5日間) による免疫抑制性好中球の誘導を通じて、G-CSFの必要性と十分性を確立する。
- G-CSFの細胞内在性作用の解明: G-CSF受容体欠損 (G-CSF-R⁻/⁻) マウスとWTマウスの1:1混合骨髄キメラモデルを用いて、G-CSFが細胞内在的にMPPおよびGMPの拡張を駆動し、初期HSCを骨髄系に偏向させるメカニズムを解明する。
これらの目的を達成することで、腫瘍由来G-CSFがHSC段階から骨髄造血を骨髄系に偏らせ、Rb1低発現のT細胞抑制性Ly6G⁺好中球を生成する因果関係を、遺伝学的実験のゴールドスタンダードを用いて確立することを目指した。
結果
末梢組織におけるCD11b⁺Gr1⁺骨髄系細胞の系統的かつ協調的な増加: PyMTマウス (n=8-15 mice) の6週齢から15週齢までの各段階を解析した結果、原発腫瘍内のCD11b⁺Gr1⁺細胞の割合は全段階で0.4%以下に維持され、腫瘍内への骨髄系細胞浸潤は比較的少ないことが示された (Fig. 1A, Fig. S1C)。対照的に、肺、血液、脾臓では10週齢からこれらの細胞が有意に増加し始め、加齢とともに増加が継続した (Fig. 1A, Fig. S2A-C)。特に、14-15週齢の後期腫瘍では、肺内のCD11b⁺Gr1⁺細胞がCD45⁺免疫細胞の39%を占めたのに対し、原発腫瘍では8%であった (Fig. S2D)。この結果は、腫瘍進行の早期段階から末梢組織でCD11b⁺Gr1⁺細胞が協調的に拡張し、Kaplan et al. Nature 2005で報告された前転移ニッチ形成における骨髄系成分の動態を時間経過で可視化したものと解釈される。
Ly6G⁺好中球の優位な拡張と免疫抑制表現型: Gr1抗体は好中球特異的マーカーであるLy6Gと、骨髄系および非骨髄系細胞に発現するLy6Cの両方を認識する。Ly6G⁺細胞は、PyMTマウス (n=8-15 mice) の全ての末梢組織において最も優位に増加したGr1⁺細胞サブセットであることが示された (Fig. 1B, Fig. S3A, B)。PyMTマウス由来のLy6G⁺細胞は、典型的な好中球形態を示した (Fig. 1B)。機能解析では、PyMTマウスの脾臓由来Ly6G⁺細胞は、WTマウス由来のLy6G⁺細胞が抑制活性を示さないのに対し、WT脾細胞との共培養においてCD4⁺およびCD8⁺T細胞の増殖を約50%抑制した (p<0.05) (Fig. 1C, Fig. S3C)。さらに、腫瘍担持マウスの血液および肺のLy6G⁺細胞は、WTマウスと比較して有意に高いROS (DHR蛍光) 産生を示し (Fig. 1D, Fig. S3D)、Rb1タンパク質の発現が完全に喪失していることがウェスタンブロットで確認された (Fig. 1E)。これらの結果は、PyMTマウスにおける乳癌の発生が、末梢組織においてT細胞抑制性で活性化されたLy6G⁺好中球の生成に繋がることを包括的に証明した。
骨髄が主要なLy6G⁺細胞産生部位であることの確認: Ly6G⁺細胞の起源を特定するため、BrdU取り込み解析を実施した (Fig. 2A-C, Fig. S4A-C)。2時間のBrdUチェイス後、WTおよびPyMTマウス (14-15週齢, n=3-4 mice) の血液、肺、乳腺 (腫瘍) からはBrdU⁺Ly6G⁺細胞はほとんど検出されず (Fig. S4A, B)、これらの臓器がLy6G⁺細胞の産生に大きく寄与しないことが示唆された。対照的に、骨髄では2時間チェイス後に約5%のLy6G⁺細胞がBrdU⁺であった (Fig. 2B)。24時間チェイス後には、PyMTマウスの骨髄Ly6G⁺細胞の40 ± 5%がBrdU⁺となり、WTマウスの25 ± 2%と比較して有意に高かった (p<0.01) (Fig. 2C)。このことは、骨髄での活発な増殖がLy6G⁺細胞の主要な供給源であることを示唆している。骨髄内のCD11b⁺Gr1⁺細胞は10週齢で劇的に増加し (Fig. 2D, Fig. S4D, E)、LSK集団は約2倍に拡張し、HSCおよびMPP (F⁻およびF⁺) も有意に増加した (Fig. 2G, I)。HSCの拡張は8週齢から始まり、MPPおよびGMPの拡張は10週齢から観察され、腫瘍進行に先行する骨髄造血の再プログラミングの時間経過が確立された。脾臓ではMPPおよびHSCの増加は検出されなかった (Fig. S5B)。
G-CSFが腫瘍由来の重要なドライバーであること (必要性と十分性): 血清サイトカインプロファイリングの結果、早期癌腫形成期 (10週齢, n=4-7 mice) に増加したのはG-CSFとCXCL1のみであり、GM-CSFやM-CSFの増加は認められなかった (Fig. 3A, Table S1)。PyMT腫瘍細胞の培養上清からもG-CSFとCXCL1が豊富に分泌されることが確認された (Fig. 3B, C)。抗G-CSF抗体による治療 (50 μg × 4回) により、PyMTマウス (n=3-4 mice) のLy6G⁺細胞のROS産生が消失し、血清G-CSF濃度が低下し、Rb1発現が回復した (Fig. 4A, B, E)。これはG-CSFの必要性を証明するものである。さらに、WT健常マウス (n=3-4 mice) に組換えG-CSFを2 μg/日 × 5日間投与するだけで、Ly6G⁺細胞のROS産生が誘導され、Rb1発現が用量依存的に低下した (Fig. 4C, D, F)。この結果は、G-CSFの十分性を別の角度から決定的に確立するものである。
持続的なG-CSF刺激による骨髄前駆細胞の迅速な活性化と拡張: WT健常マウス (n=3-10 mice) にG-CSFを刺激すると、MPPは12時間で増加を開始し、1-3日間継続して増加した。GMPは3日後に増加を開始したが、HSCの数は大幅な変化を示さなかった (Fig. 5G, Fig. S7B)。これは、HSCの静止状態が維持されつつ、下流のMPPが急速に動員されることを示唆している。脾臓ではMPPおよびHSCの増加は検出されず、G-CSFの作用が骨髄に限定的であることが示された (Fig. 5H)。Ly6G^low未成熟好中球は、骨髄で12時間後、血液/脾臓で3日後に増加し、直線的な放出動態を示した (Fig. 5D)。
G-CSFの細胞内在性作用 (混合骨髄キメラによる決定実験): WT (CD45.1) とG-CSF受容体欠損 (G-CSF-R⁻/⁻、CD45.2) の1:1混合骨髄キメラマウス (n=8 mice) に腫瘍を移植した結果、GMPコンパートメントは予想通り拡張したが、G-CSF-R⁻/⁻細胞の寄与は有意に低下した (Fig. 6D)。G-CSF-R⁻/⁻細胞はMPPの拡張への寄与を完全に喪失し、HSCコンパートメントではこれらの細胞が過剰に存在した (Fig. 6E)。これは、MPP/GMPへの分化が起こらず、HSC内に蓄積したためと考えられる。これらのデータは、腫瘍由来G-CSFが細胞内在的にMPPおよびGMPの拡張を駆動し、初期HSCを骨髄系に偏向させる直接的な証拠を確立し、細胞内在的か細胞外在的かの区別を完全に証明した。
考察/結論
本研究は、MMTV-PyMT自発乳癌モデルマウスを用いた包括的な解析により、浸潤性乳癌が骨髄造血を早期段階のHSCレベルから骨髄系に再プログラミングするメカニズムを初めて解明した、MDSC起源研究における画期的な論文である。従来のMDSC生成モデルがCMP以下の段階での分化ブロックを提唱していたのに対し、本研究はHSC段階での早期再プログラミングという新たなパラダイムを提示し、この分野の理解を大きく進展させた。腫瘍産生G-CSFが、このプロセスにおける最初期かつ最も限定的な血清因子であり、持続的なG-CSF刺激がRb1低発現好中球産生の必要十分条件であることを確立した点は、本研究の重要な新規性である。
先行研究との違い: これまでの研究では、MDSCの生成は主にCMP以下の段階での分化ブロックに起因すると考えられていたが、本研究は腫瘍由来G-CSFがHSCおよびMPPといったより未熟な造血前駆細胞を直接標的とし、骨髄造血を骨髄系に偏らせるという、これまで報告されていないメカニズムを明らかにした点で、先行研究とは対照的な知見を提供している。特に、Cortez-Retamozo et al. ProcNatlAcadSciUSA 2012やKowanetz et al. PNAS 2010は腫瘍関連骨髄細胞の起源やG-CSFの役割に言及しているが、HSCレベルでの早期再プログラミングとG-CSFの細胞内在性作用を詳細に示したのは本研究が初めてである。
新規性: 本研究で初めて、腫瘍由来G-CSFがHSC段階から骨髄造血を骨髄系に偏らせ、Rb1低発現のT細胞抑制性Ly6G⁺好中球を生成するメカニズムを、BrdUトレーシング、サイトカインプロファイリング、抗G-CSF抗体治療、G-CSF投与、およびG-CSF受容体欠損キメラマウスを用いた多層的なアプローチで解明した。特に、G-CSFが細胞内在的にMPPおよびGMPの拡張を駆動し、初期HSCを骨髄系に偏向させることを決定的に証明した点は、MDSCの起源に関する理解を深める上で極めて新規性の高い発見である。
臨床応用: 本知見は、乳癌における免疫抑制性好中球の発生機序に新たな知見をもたらし、複数の臨床的含意を持つ。第一に、抗G-CSF抗体やG-CSF受容体ブロッキング抗体 (例: CSL324) は、乳癌や膵癌、頭頸部癌における免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) との併用療法として有望な標的となり得る。第二に、好中球減少症の支持療法としてG-CSF (例: Neupogen/Filgrastim) を投与されている乳癌患者において、MDSCの負担をモニタリングする必要性を示唆する。第三に、Rb1低発現の循環好中球が乳癌患者のICI応答予測バイオマーカーとなる可能性があり、CXCL1/CXCR2軸の併用標的化 (例: AZD5069, SX-682, navarixin) も乳癌ICI併用療法の新たな方向性を示唆する。
残された課題: 今後の検討課題として、本研究がMMTV-PyMT自発乳癌モデルマウスに焦点を当てているため、他の乳癌サブタイプ (Luminal A/B, HER2+, TNBC) や他癌種 (膵癌、結腸癌、肺癌) における直接的な検証が必要である。また、G-CSFの作用メカニズムにおける下流の転写因子 (STAT3, C/EBPβ, CEBPε) カスケードのさらなる詳細な解析や、Rb1発現の制御におけるエピジェネティックなメカニズム、およびRb1再発現療法の可能性も未探索である。ヒト乳癌患者における血清G-CSFレベル、Ly6G類似の表現型、およびRb1発現のプロスペクティブな検証も限定的であり、今後の研究で補完されるべきである。さらに、抗G-CSF抗体のin vivoでの腫瘍抑制効果の堅牢性やICIとの併用療法の詳細な有効性については、さらなる検討が残されている。G-CSF-R⁻/⁻マウスが全身性ノックアウトであるため、細胞タイプ特異的な条件付き解析も今後の課題である。
方法
腫瘍モデル: MMTV-PyMT自発乳癌モデルマウス (FVB/nおよびC57BL/6背景) を使用し、6週齢から15週齢までの複数時間経過における腫瘍進行を解析した。対照群には同腹仔のWTマウスを用いた。このモデルはヒト乳癌の病態を模倣することが知られている。
骨髄前駆細胞解析: 骨髄および脾臓から細胞を分離し、フローサイトメトリー (FACS) を用いて、LSK (Lineage⁻Sca-1⁺c-Kit⁺)、HSC (LSK Flk2⁻CD150⁺CD48⁻)、MPP (LSK Flk2⁺およびLSK Flk2⁻CD48⁺)、CMP (Lineage⁻Sca-1⁻c-Kit⁺FcγR⁻CD34⁺)、およびGMP (Lineage⁻Sca-1⁻c-Kit⁺FcγR⁺CD34⁺) 集団を定量的に解析した。細胞表面マーカーの抗体はTable S2に記載されている。LSK細胞は、最も未熟な造血幹細胞および前駆細胞 (HSPC) を含むコンパートメントである。
T細胞抑制アッセイ: PyMTマウスおよびWTマウスの脾臓からFACSでLy6G⁺細胞を分離した。これらのLy6G⁺細胞を、CFSE標識した脾細胞と抗CD3/CD28抗体刺激下で共培養し、CD4⁺およびCD8⁺T細胞の増殖をフローサイトメトリーで測定した。T細胞増殖の抑制率を評価した。抑制活性は、T細胞の増殖曲線におけるCFSE希釈の減少として定量化された。
骨髄系細胞解析: Ly6G⁺およびLy6C^high細胞のサイトカイン産生、活性酸素種 (ROS) 産生 (DHRフローサイトメトリー)、およびRb1タンパク質発現 (ウェスタンブロット) を解析した。ROS産生は、ジヒドロローダミン (DHR) 蛍光プローブを用いて細胞内スーパーオキシドを検出した。Rb1発現は、全脾細胞およびFACS選別したLy6G⁺細胞のライセートを用いてウェスタンブロット法で評価した。Rb1は網膜芽細胞腫タンパク質1であり、細胞周期制御に関与する。
抗G-CSF抗体治療: PyMTマウスに対し、G-CSF中和抗体 (50 μg/dose) またはアイソタイプコントロール抗体を48時間ごとに腹腔内投与 (合計4回) した。治療後のLy6G⁺細胞のROS産生、血清G-CSF濃度、およびRb1発現の変化を評価した。この治療は、G-CSFの必要性を評価するために実施された。
BrdU取り込みアッセイ: マウスにBrdU (100 μL, 10 mg/mL) を腹腔内投与し、2時間および24時間後に組織を採取した。フローサイトメトリーを用いて、骨髄、血液、肺、および腫瘍組織におけるLy6G⁺細胞のBrdU取り込み率を測定し、好中球の増殖部位と速度を評価した。BrdUはDNA合成中の細胞に取り込まれるため、細胞増殖の指標となる。
血清サイトカインプロファイリング: WTおよびPyMTマウスの血清中のG-CSF、GM-CSF、M-CSF、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4などのサイトカインおよびケモカイン濃度を、マルチプレックスレーザービーズ技術 (Eve Technologies) を用いて測定した。また、初代PyMT腫瘍細胞およびVO-PyMT細胞株の培養上清中のサイトカイン分泌も評価した。VO-PyMT細胞株はMMTV-PyMT (FVB/n) 由来の細胞株である。
WT健常マウスへのG-CSF投与: WT健常マウス (FVB/n strain) に組換えG-CSF (2 μg/日) を5日間連続で腹腔内投与し、Ly6G⁺細胞のROS産生誘導、Rb1発現低下、および骨髄前駆細胞の拡張に対するG-CSFの十分性を検証した。この投与量は、後期PyMTマウスで検出されるG-CSFの持続的な高レベルを再現するように設定された。
骨髄キメラモデル: 致死量照射したWT (CD45.1) マウスに、WT (CD45.1) とG-CSF受容体欠損 (G-CSF-R⁻/⁻、CD45.2) マウス由来の骨髄細胞を1:1の比率で混合移植し、混合骨髄キメラを作製した。骨髄再構築後、これらのキメラマウスにC57BL/6 PyMT初代腫瘍細胞を同所性移植し、G-CSFの細胞内在性作用を評価した。キメラ細胞の寄与率はフローサイトメトリーで解析した。G-CSF-R⁻/⁻マウス (B6.129×1(Cg)-Csf3r^tm1Link/J) はDaniel Link教授から提供された。
統計解析: 全てのデータは平均値 ± 標準偏差 (SD) または標準誤差 (SEM) で示された。GraphPad Prism6を用いて統計解析を行い、P値は対応のないStudentのt検定を用いて算出され、P < 0.05を有意差ありとした。