• 著者: Nandini Krishnamoorthy, David N. Douda, Thayse R. Brüggemann, Ilker Ricky Bunting, Michelle Kleaveland, Alexander F. Wenzel, Ioannis Kournoutas, Gabriela Crisanti-Coniglio, Alvin Liu, Anne Ngo, Sesquile Ramon, Alison K. Coutts, Johan van Tol, Mitchell J. Weiss, Melody Y. Zeng, Wendy B. Macharia, Bruce D. Levy
  • Corresponding author: Bruce D. Levy (Pulmonary and Critical Care Medicine Division, Department of Medicine, Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA; blevy@bwh.harvard.edu)
  • 雑誌: Science Immunology
  • 発行年: 2018
  • Epub日: 2018-08-03
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 30076281

背景

気管支喘息は、気道の慢性炎症と気道過敏性を特徴とする極めて一般的な呼吸器疾患である。喘息の病態生理は不均一であり、多様な臨床表現型やエンドタイプが存在することが知られている (Fanta 2009, Holgate 2012, Wenzel 2012)。全喘息患者の約10%を占める重症喘息 (severe asthma: SA) は、高用量の吸入ステロイド薬である ICS (inhaled corticosteroid) や長時間作用型β2刺激薬である LABA (long-acting beta-agonist) を用いた標準的治療に抵抗性を示し、頻繁な急性増悪や不可逆的な肺機能低下を伴う難治性の病態である (Alcorn et al. 2010, Al-Ramli et al. 2009)。軽症から中等症の喘息では、インターロイキン-4 (IL-4)、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが主導する好酸球性炎症が中心的役割を果たすのに対し、重症喘息患者の約半数では、好中球優位の気道炎症と高レベルのIL-17産生を特徴とする非2型炎症病態が認められる (Fahy 2015, Gao et al. 2015, Parfrey et al. 2010)。現在、好酸球性炎症を標的とした抗IL-5抗体や抗IL-4Rα抗体などの生物学的製剤は臨床で高い効果を上げているが、非2型好中球性重症喘息に対する有効な治療薬は未確立であり、その詳細な分子機序の解明は呼吸器医学における極めて重要な課題である。

好中球は生体防御の最前線を担う免疫細胞であり、感染や炎症刺激に応答して自己のDNAと顆粒タンパク質を細胞外に放出し、好中球細胞外トラップ (neutrophil extracellular traps: NETs) を形成する。このプロセスはNETosisと呼ばれ、病原体の捕捉・殺菌に寄与する一方で、過剰なNETs形成は急性肺傷害や慢性気道疾患の病態悪化を惹起することが報告されている (Caudrillier et al. 2012, Thomas et al. 2012)。NETosisの過程において、核DNAを放出した後に残存する無核の細胞構造体は「無核サイトプラスト (anucleated cytoplasts)」と呼ばれる (Yipp et al. 2012)。サイトプラストは核を欠いているものの、一定の生存能を維持し、遊走能や貪食能などの細胞機能を部分的に保持していることがex vivoの実験で示されていた (Malawista & Van Blaricom 1986, Roos et al. 1983)。しかしながら、生体内 (in vivo) のアレルギー性気道炎症においてサイトプラストが実際に形成されているのか、またそれが樹状細胞 (dendritic cell: DC) などの抗原提示細胞やT細胞を介した獲得免疫系、特にTヘルパー17 (TH17) 細胞の分化誘導にどのように関与しているのかについては、これまで全く解明されておらず、大きな知識ギャップ (knowledge gap) が残されていた。

このように、非2型好中球性重症喘息の病態を駆動する上流の免疫学的トリガーや、NETosisに伴う無核サイトプラストの生体内における機能的役割については、依然として大きな知識ギャップが残されている。特に、環境アレルゲンとエンドトキシンの同時曝露がどのようにして好中球性炎症を慢性化させるのか、その詳細な細胞間相互作用メカニズムに関する知見は著しく不足していた。本研究は、ハウスダストマイトである HDM (house dust mite) とリポ多糖である LPS (lipopolysaccharide) を併用した重症喘息マウスモデル、および米国NHLBI (National Heart, Lung, and Blood Institute) の重症喘息研究プログラム-3である SARP-3 (Severe Asthma Research Program-3) コホートの患者検体を用いて、サイトプラストがDCを活性化し、抗原特異的なTH17細胞分化を誘導することで好中球性気道炎症を増幅する新規経路を包括的に解明することを目的として実施された。

目的

本研究の目的は、重症喘息における非2型好中球性炎症の新規分子機序を解明し、NETosis由来の無核好中球サイトプラストが果たす病態生理学的役割を明らかにすることである。具体的には、以下の学術的問いを検証することを目的とした。

  1. 重症好中球性喘息マウスモデルの構築とNETosisの検証: HDMとLPSの共同感作によるマウスモデルを確立し、アレルギー性気道炎症における好中球集積、NETs形成、および無核サイトプラストの生体内での発生を肺および縦隔リンパ節 (mediastinal lymph node: MLN) において実証する。
  2. サイトプラストの形態学的・機能的特性の解明: フローサイトメトリーおよび顕微鏡解析を用いて、生体内から単離したサイトプラストのサイズ、生存能、走化性、貪食能、および殺菌能を intact な好中球と比較評価する。
  3. サイトプラストによるDC活性化と抗原特異的TH17分化誘導能の検証: サイトプラストがDCとの直接接触を介して、ナイーブCD4+ T細胞から抗原特異的なIL-17産生性TH17細胞への分化を誘導する能力とその分子機構をin vitro共培養系で明らかにする。
  4. in vivoにおけるサイトプラスト-DC-TH17軸の機能的寄与の解明: ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 (peptidyl arginine deiminase 4: PAD4) 欠損マウスやDNase処理、抗IL-17A中和抗体を用いた介入実験により、NETsのDNA成分とサイトプラスト自体のどちらが好中球性気道炎症および気道過敏性 (airway hyperresponsiveness: AHR) の主たる駆動因子であるかを検証する。
  5. ヒト重症喘息における臨床的関連性の証明: SARP-3コホートの重症喘息患者の気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) 中におけるサイトプラスト、NETs、IL-17レベル、好中球数の相関関係を解析し、臨床パラメータ(急性増悪頻度、副鼻腔炎合併など)との関連性を明らかにする。

結果

HDM/LPS共同感作による重症好中球性喘息モデルの確立とNETosisの誘導: アレルゲンであるHDM単独感作 (HDM/Veh) と比較して、エンドトキシンを併用した感作マウス (HDM/LPS) では、その後のHDMチャレンジにおいて肺への著明な好中球浸潤を伴う非2型気道炎症が誘導された。プロトコル日15におけるBALF解析では、HDM/LPS群で好中球の割合が有意に上昇し、逆に好酸球の割合は低下した (Fig. 1C)。また、感作期終了直後の日7における縦隔リンパ節 (MLN) の解析では、HDM/LPS群においてIL-17Aを産生するCD4+ TH17細胞数が有意に増加していた (n=10 mice, p<0.01, Fig. 1E)。 感作期直後(日3)の肺微小環境を解析したところ、HDM/LPS群のBALF中では総細胞数および好中球数が著明に増加しており (Fig. 2B, C)、細胞外DNA量 (n=4 mice, p<0.01, Fig. 2D) およびシトルリン化ヒストンH3 (citH3) レベル (Fig. 2E) の顕著な上昇が認められ、局所で活発なNETosisが起こっていることが実証された。さらに、フローサイトメトリー解析により、DNA陽性の好中球 (CD45+ CD11b+ Ly6G+ DNA+) に加えて、DNAを放出した後の無核サイトプラスト (CD45+ CD11b+ Ly6G+ DNA-) が、感作期(日3)のBALFおよびMLNにおいて明確に検出された (Fig. 2F, H)。感作期に抗IL-17A中和抗体を投与すると、チャレンジ後の好中球浸潤は抑制されたが、感作期におけるサイトプラストの形成数には影響を与えなかったことから、IL-17Aはサイトプラスト形成の下流で作用することが示された。

無核サイトプラストの形態学的・機能的特性の解明: HDM/LPS感作マウスの肺からフローサイトメトリーで単離されたサイトプラストは、トリパンブルー色素を排除し、細胞膜の完全性を保持していた。形態解析において、サイトプラストの平均直径は 3.3 μm であり、通常の好中球 (平均直径 6.9 μm) よりも有意に小さく (p<0.0001, Fig. 4B)、マイクロベシクルやエキソソームとは明確に区別される独自のサイズ分布を示した。 マイクロ流体デバイスを用いた走化性アッセイにおいて、サイトプラストはランダムな遊走能(ランダム運動性)を示したものの、好中球とは異なりLTB4 (100 nM) 勾配に対する方向性を持った走化性を示さず、移動速度も好中球に比べて有意に遅かった (Fig. 4F, G, H)。しかしながら、pHrodo Red標識 E. coli 粒子を用いた貪食アッセイでは、サイトプラストは好中球と同等の高い貪食指数を示した (Fig. 4K)。さらに、呼吸器感染症の代表的病原体である Streptococcus pneumoniae に対する殺菌能アッセイにおいても、サイトプラストは intact な好中球と同等の効率的な生菌数減少効果を発揮した (Fig. 4L)。表面抗原解析では、サイトプラストは好中球と比較して主要組織適合遺伝子複合体クラスII (MHCII) を極めて高発現しており (Fig. 7)、抗原提示細胞と相互作用し得る独自の表現型を有していることが明らかとなった。

サイトプラストによる樹状細胞の活性化と抗原特異的TH17分化の誘導: 肺から単離したDCとサイトプラストを共培養し、DO11.10マウス由来のナイーブCD4+ T細胞およびOVAペプチドを添加するin vitro抗原提示アッセイを実施した。その結果、サイトプラストはDCを介して、ナイーブCD4+ T細胞からIL-17A産生性TH17細胞への分化を用量依存的に強力に促進した (Fig. 6B)。DC/サイトプラスト比 1:2 の共培養条件下では、分化したCD4+ T細胞におけるIL-17A陽性細胞の割合は約 21.4% に達した。これに対し、DC/好中球比 1:10 という過剰な好中球存在下であっても、好中球によるTH17分化誘導効率は極めて低かった (Fig. 6B)。 このサイトプラストによるTH17分化促進効果は、トランスウェルを用いてDCとサイトプラストを物理的に隔離すると完全に消失した。また、サイトプラストの24時間培養上清(条件付き培地)の添加ではTH17分化が誘導されなかったことから、この作用は可溶性因子によるものではなく、サイトプラストとDCの直接的な細胞接触に依存することが証明された。

PAD4欠損によるサイトプラスト形成阻害と気道炎症・気道過敏性の抑制: NETosisおよびサイトプラスト形成におけるPAD4の役割を検証するため、PAD4-KOマウスを用いて実験を行った。HDM/LPS感作後(日3)において、PAD4-KOマウスではWTマウスと比較してBALF中の総細胞数および好中球数が有意に減少し (n=5 mice, p<0.05, Fig. 5A, B)、BALF中の細胞外DNA量およびcitH3レベルも著明に低下した (Fig. 5C, D)。フローサイトメトリー解析により、PAD4-KOマウスでは肺におけるサイトプラストの形成割合が 1.4% まで著しく減少していることが確認された (WTマウスでは 10.8%, Fig. 5F)。 さらに、HDMチャレンジ後(日15)の解析において、PAD4-KOマウスではWTマウスに比べてBALF中の好中球浸潤が有意に抑制され (Fig. 5H)、肺組織における炎症細胞浸潤および粘液産生(PAS染色陽性細胞)が劇的に軽減していた (Fig. 5I, J)。また、メタコリン誘発性の気道抵抗 (Rrs) 測定において、PAD4-KOマウスはWTマウスに比べて有意な気道過敏性の減弱を示した (Fig. 5K)。肺細胞からのサイトカイン産生能を評価したところ、PAD4-KOマウスではIL-17AおよびIFN-γの産生が有意に低下していたが (Fig. 5L)、IL-13やIL-5などの2型サイトカイン量には変化がなかった (Fig. 5M)。 対照的に、野生型マウスにおいて感作期にDNase I処理を行い、BALF中の細胞外DNA量を低下させた実験では、チャレンジ後のBALF中好中球数や割合に有意な減少は認められなかった (Fig. 3D, E)。これらの結果は、NETsのDNA成分そのものではなく、NETosisの過程で生じる無核サイトプラスト自体が、in vivoにおけるTH17分化および好中球性気道炎症の主要な駆動因子であることを強く裏付けるものである。

ヒト重症喘息患者におけるサイトプラストとIL-17の臨床的相関: SARP-3コホートのヒトBALF検体を用いたトランスレーショナル解析を実施した。重症喘息 (SA) 患者のサブセット、特にBALF中好中球割合が 5% を超える好中球高値群において、細胞外DNA量およびcitH3レベルが有意に上昇していた (Fig. 8B, C)。SA患者におけるBALF中DNAレベルは、好中球数と極めて強い正の相関を示した (r=0.65, p<0.001, Fig. 8D)。 さらに、SA患者のBAL細胞をフローサイトメトリーで解析したところ、無核サイトプラスト (CD45+ CD66b+ CD16+ DNA-) が検出され、その数はBALF中の好中球数と強い正の相関を示した (r=0.60, p<0.001, Fig. 8E)。最も重要な点として、SA患者のBALF中におけるサイトプラスト数は、IL-17レベルと極めて強い正の相関を示した (r=0.62, p<0.001, Fig. 8F)。臨床背景との比較解析において、好中球およびDNAが高値でサイトプラストが検出される重症喘息患者群では、年間4回以上の頻回な急性増悪歴や、副鼻腔炎の合併率が有意に高いことが明らかとなった。

考察/結論

本研究は、難治性の非2型好中球性重症喘息における新規の病態生理学的メカニズムとして、NETosisに伴い形成される無核好中球サイトプラストが樹状細胞 (DC) と直接接触し、抗原特異的なTH17細胞分化を強力に誘導することで好中球性気道炎症を慢性化・増幅させる「サイトプラスト-DC-TH17軸」を、マウスモデルおよびヒト臨床コホート (SARP-3) の両方で初めて体系的に実証した画期的な成果である。

先行研究との違い: 従来のNETs研究においては、放出された細胞外DNAやそれに付着する顆粒タンパク質(エラスターゼやミエロペルオキシダーゼなど)が直接的に組織傷害や炎症反応を引き起こすと考えられてきた (Caudrillier et al. 2012, Thomas et al. 2012)。しかし、本研究はDNase処理によって細胞外DNAを分解しても好中球性気道炎症が抑制されない一方で、PAD4欠損によりサイトプラスト形成を阻害すると好中球浸潤、TH17分化、および気道過敏性が劇的に抑制されることを示した。この発見は、NETsのDNA成分よりも、その副産物である「無核サイトプラスト」自体が獲得免疫系を惹起する主たる炎症ドライバーであるという、これまでの定説とは対照的な新しいパラダイムを提示している。

新規性: 本研究で初めて、生体内で形成された無核サイトプラストが単なる細胞の死骸や破片ではなく、MHCIIを高発現し、DCと直接接触することでIL-23産生を促し、ナイーブCD4+ T細胞の抗原特異的なTH17分化を好中球の10倍以上の効率で誘導するという「免疫学的ブリッジング機能」を有することを新規に同定した。核を失った細胞構造体が、獲得免疫のプライミングにおいてこれほど精緻かつ特異的な役割を果たすことはこれまで報告されていない。

臨床応用: 本研究の知見は、非2型重症喘息に対する新規治療戦略の構築に極めて重要な臨床的含意をもたらす。具体的には、サイトプラストの形成を上流で阻害するPAD4阻害薬や、サイトプラスト-DC相互作用によって誘導されるIL-23/IL-17A経路を標的とする生物学的製剤(抗IL-23抗体や抗IL-17R抗体など)が、既存のステロイド治療に抵抗性を示す好中球性重症喘息患者に対する有効な個別化医療(プレシジョン・メディシン)となる可能性を示唆しており、臨床現場における新規バイオマーカーとしての臨床的有用性も期待される。

残された課題: 今後の検討課題(limitation)として、第一に、HDMとLPSを用いた15日間マウスモデルがヒト重症喘息の極めて複雑な慢性病態を完全に再現しているわけではないため、より長期的な慢性曝露モデルでの検証が必要である。第二に、サイトプラストがDCを活性化する際に、MHCIIを介した抗原提示以外にどのような共刺激分子やサイトプラスト内カーゴ(特定のマイクロRNA、脂質メディエーター、あるいはミトコンドリアDNAなど)が関与しているのか、その詳細な分子実体が未解明である。第三に、ヒトの重症喘息患者において、実際にサイトプラストを標的とした介入(例えばPAD4阻害など)が安全かつ有効に機能するかどうかは、今後の臨床試験による検証を待つ必要がある。

方法

実験動物: 本研究では、Charles River Laboratoriesから購入した BALB/c マウス、およびJackson Laboratoryから購入した C57BL/6 マウス、OVA (ovalbumin) 特異的T細胞受容体トランスジェニックマウスであるDO11.10 TCR Tgマウスを使用した。NETosis欠損モデルとして、C57BL/6背景のPAD4欠損 (PAD4-KO) マウス(Yanming Wang博士より供与、10世代以上バッククロス)を使用した。実験には主に8〜12週齢の雄性マウスを用い、すべての動物実験はハーバード大学医学部およびボストン小児病院の動物実験委員会の承認を得て実施された。

15日間アレルギー性肺炎症モデル: マウスをイソフルラン麻酔下で鼻腔内投与により感作およびチャレンジした。感作期(プロトコル日0〜2)として、HDM (25 μg) 単独、またはHDM (25 μg) とLPS (1 μg) の混合液を30 μlの生理食塩水に溶解し、3日間連続で鼻腔内投与した。一部のマウスは感作終了翌日(日3)にBALFおよびMLNを採取した。チャレンジ期として、4日間の休止期間(日3〜6)を経た後、日7〜14の8日間連続でHDM (25 μg) を鼻腔内投与した。最終チャレンジの24時間後(日15)にBALF、MLN、および肺組織を採取した。

in vivo 介入実験:

  • DNase処理: NETsのDNA成分を分解するため、HDM/LPS感作期(日0〜2)の各感作6時間後に、DNase I (500 μg) またはPBS対照を鼻腔内投与した。
  • 抗IL-17A抗体投与: IL-17Aの役割を評価するため、抗IL-17A中和抗体 (80 μg) または対照IgGを、感作前日(日-1)および感作中(日1)に腹腔内投与した。

細胞分離とフローサイトメトリー: BALFおよび肺組織、MLNから単離した単一細胞懸濁液を抗体染色した。好中球は CD45+ CD11b+ Ly6G+ DNA+ 細胞として定義し、サイトプラストは CD45+ CD11b+ Ly6G+ DNA- 細胞として定義した。DNAの染色のために、細胞透過性DNA色素である Vybrant DyeCycle Ruby を使用した。ナイーブCD4+ T細胞は CD4+ CD25- CD44low CD62Lhigh として、肺樹状細胞 (DC) は CD45+ CD11c+ MHCII+ autofluorescence low としてフローサイトメトリー (BD FACSCanto II / BD LSRFortessa) により同定・分取 (BD FACSAria) した。

マイクロ流体デバイスによる走化性解析: PDMS製マイクロ流体デバイスを用いて、LTB4 (100 nM) 勾配下における分取好中球およびサイトプラストの遊走能を評価した。顕微鏡 (Nikon Eclipse Ti) を用いて6時間タイムラプス撮影を行い、TrackMateソフトウェアで移動速度と軌跡を解析した。

貪食・殺菌アッセイ: 分取した細胞をpHrodo Red標識 E. coli 粒子 (100 μg/ml) と1時間共培養し、蛍光顕微鏡下で貪食指数を算出した。殺菌能は、Streptococcus pneumoniae (血清型1) を多重感染度 (MOI) 2で好中球またはサイトプラストと共培養し、30、60、120分後に段階希釈して血液寒天培地に播種し、翌日コロニー形成単位 (CFU) をカウントすることで評価した。

DC-T細胞共培養アッセイ: HDM/LPSまたはHDM/Veh感作マウスの肺から分取したDCと、BALFから分取したサイトプラスト(DC/サイトプラスト比 1:0.5 または 1:2)あるいは好中球(DC/好中球比 1:0.5、1:2、1:10)を一晩共培養した。翌日、DO11.10マウスの脾臓から分取したナイーブCD4+ T細胞をDCと10:1の比率で混合し、OVAペプチド (5 μg/ml) 存在下で96時間培養した。T細胞の分化状態は、PMA/ionomycinおよびGolgiStopによる再刺激後、FoxP3 Staining Kitを用いてIL-17A、IL-13、IFN-γ、IL-5の細胞内染色を行い、フローサイトメトリーで定量した。接触依存性の検証には、0.4 μmポアのトランスウェルインサートを使用した。

気道過敏性 (AHR) の測定: 侵襲的気道抵抗測定システム (flexiVent) を用い、麻酔・気管挿管下で人工呼吸管理されたマウスに対し、メタコリン (0, 3, 10, 30 mg/ml) を吸入投与した際の呼吸システム抵抗 (Rrs) を測定した。

統計解析: 2群間の比較には両側不対 Student’s t-test または Mann-Whitney U test を、3群以上の比較には一元配置分散分析 (one-way ANOVA) を用いた。相関解析には Pearson correlation の相関係数 (r) を使用した。統計的有意差は p<0.05 と定義した。