IL-23 (インターロイキン-23)

一行要約

IL-23 は TAMDC 由来のヘテロダイマーサイトカイン (p19/p40) であり、Th17 細胞拡大と骨髄系細胞活性化を介して概ね腫瘍促進的に作用し、IL-12 と構造的に近縁でありながら機能的に対照的な役割を担う。

産生と制御

IL-23 は IL-23p19 (IL23A) と IL-12p40 (IL12B) のヘテロダイマーであり、p40 サブユニットを IL-12 (p35/p40) と共有する。この構造的類似性にもかかわらず、IL-23 と IL-12 は機能的に大きく異なる (IL-12: Th1/NK 活性化 → 抗腫瘍、IL-23: Th17 拡大 → 概ね腫瘍促進)。

主要産生源は マクロファージ樹状細胞好中球 であり、以下の経路で誘導される:

  • TLR / NF-κB 経路: 細菌産物 (LPS、ペプチドグリカン) → TLR → NF-κB → p19 + p40 転写
  • PGE2 / cAMP 経路: TME の PGE2 が APC の IL-12p35 を抑制しつつ IL-23p19 を誘導 → IL-12/IL-23 バランスを IL-23 側にシフト
  • GM-CSF: myeloid 系細胞の IL-23 産生を促進
  • 腫瘍由来因子: 腫瘍の conditioned medium が APC を IL-23 産生型に極性化する

受容体は IL-23R/IL-12RB1 ヘテロダイマーであり、IL-12RB1 を IL-12 受容体 (IL-12RB1/IL-12RB2) と共有する。IL-23R は Th17 細胞・γδ T 細胞・ILC3・NK 細胞に発現する。下流シグナルは TYK2 → STAT3 (主要) であり、IL-12 の STAT4 シグナルと対照的。

がんにおける役割

Th17 細胞拡大と腫瘍促進

IL-23 の最も確立された腫瘍促進機構は Th17 細胞の expansion と survival 促進 である。IL-6 + TGF-β が Th17 分化を誘導し、IL-23 が分化した Th17 細胞の proliferation・survival・effector 機能を維持する (“Th17 stabilization factor”)。Th17 由来の IL-17A / IL-22 は TME で以下の腫瘍促進的効果を発揮する:

  • IL-17A → 間質細胞 / 内皮細胞の NF-κB → CXCL1/CXCL8 → 好中球動員
  • IL-17A → 血管新生促進 (VEGF 誘導)
  • IL-22 → 上皮細胞 STAT3 → 増殖・生存促進

IL-12/IL-23 バランスと TME の免疫極性

IL-12 と IL-23 は p40 サブユニットを共有するが機能が対照的であり、TME での IL-12/IL-23 比が免疫応答の方向性を規定する:

  • IL-12 優位: Th1/NK 活性化 → IFN-γ 産生 → 抗腫瘍免疫
  • IL-23 優位: Th17 拡大 → IL-17A/IL-22 → 炎症・好中球動員 → 腫瘍促進

TME ではPGE2、IL-10、腫瘍由来因子が APC を IL-23 優位にシフトさせ、抗腫瘍から腫瘍促進への免疫偏向を駆動する。

骨髄系細胞の活性化

IL-23 は TAM の炎症性プログラミングを促進し、MMP9・IL-1β・TNF-α の産生を誘導する。好中球もまた IL-23R を発現し、IL-23 シグナルが ROS 産生・NETosis を増強する。大腸がんモデルでは IL-23 が腫瘍関連好中球の pro-tumorigenic 表現型を維持する。

慢性炎症から発がんへの橋渡し

IBD → 大腸がん、H. pylori 胃炎 → 胃がん、COPD → 肺がんなど、慢性炎症性疾患から発がんへの progression において IL-23-Th17 軸が promoter として作用する。IL-23 欠損マウスでは化学的発がん (AOM/DSS) が著しく抑制される。

一部の抗腫瘍的文脈

IL-23 が抗腫瘍的に作用する報告も存在する。IL-23 gene therapy (腫瘍への IL-23 遺伝子導入) は一部のモデルで CTL 活性化を介した腫瘍退縮を示す。この文脈依存的効果は IL-23 の STAT3 → Th17 (pro-tumor) vs CTL activation (anti-tumor) の balance に依存すると考えられる。

治療標的化

標的 / 戦略薬剤状態文脈
Anti-IL-23p19Risankizumab, Guselkumab, Tildrakizumab, Mirikizumab承認 (乾癬 / IBD)p19 選択的阻害 (IL-12 は温存)
Anti-p40 (IL-12/IL-23 共通)Ustekinumab承認 (乾癬 / Crohn)IL-12 抗腫瘍活性も阻害するリスク
IL-23R 阻害小分子/ペプチド前臨床経口投与可能な IL-23 阻害
IL-12 投与 (IL-23 counter)NHS-IL12 等Phase I/IIIL-12 優位にバランスをシフト

臨床的課題: Anti-IL-23p19 抗体は乾癬・IBD で excellent な安全性・有効性を示しており、がん予防 (慢性炎症 → 発がん予防) への repurposing が議論される。しかし IL-23 の部分的抗腫瘍的文脈を考慮すると、がん治療 (進行期) での IL-23 阻害には慎重な patient selection が必要。p19 選択的阻害は IL-12 を温存できる点で p40 阻害より有利。

Open Questions

  • IL-23 阻害の cancer prevention: IBD 患者への anti-IL-23p19 が CAC 発症率を低下させるか (長期前向き試験)
  • 進行期がんでの IL-23 阻害: IL-23 の pro- vs anti-tumor 寄与の balance を予測するバイオマーカー
  • IL-12/IL-23 バランスの治療的制御: PGE2 阻害 / COX-2 阻害で TME の IL-12 優位へのシフトは達成可能か
  • 好中球 IL-23R シグナルの意義: TAN の IL-23 依存的プログラミングと IO 応答の関係
  • 肺がんにおける IL-23-Th17 axis: COPD → 肺がん progression での IL-23 の定量的寄与
  • γδ T 細胞 vs Th17 の IL-23 依存度: TME での主要な IL-23 応答細胞の同定

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