• 著者: Kota Nakamura, Hitoshi Nakayama, Shinichi Sasaki, Kazuhisa Takahashi, Kazuhiro Iwabuchi
  • Corresponding author: Kazuhiro Iwabuchi (Laboratory of Biochemistry, Juntendo University Faculty of Health Care and Nursing + Infection Control Nursing, Graduate School of Health Care and Nursing, Juntendo University, Japan)
  • 雑誌: Scientific Reports
  • 発行年: 2022
  • Epub日: 2022-01-20
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 35410994

背景

非結核性抗酸菌 (NTM) 感染症は世界的に罹患率と死亡率が上昇しており、特に肺組織破壊のメカニズム解明が喫緊の課題である。NTM感染症の大部分はMycobacterium avium-intracellulare complex (MAC) によって引き起こされる。MACは水、土壌、塵埃など広範な環境に生息し、主に肺に感染して長期的な炎症を誘発する。この炎症は肉芽腫形成、空洞形成、気管支拡張症などの病理学的変化を伴い、最終的に肺組織の破壊に至る。例えば、MAC感染患者では空洞形成や気管支拡張症を伴う肺組織破壊の悪化が観察されており、一部の患者では急速な肺破壊の可能性から、肺空洞や広範な疾患を持つ患者には直ちに抗菌薬治療が開始される。しかし、抗菌薬治療なしでも肺破壊を示さないMAC患者も存在し、宿主因子やMACに対する感受性が肺組織破壊の進行に影響を与える可能性が示唆されている。

好中球は血液中で最も豊富な白血球であり、マイコバクテリア感染に対する自然免疫応答において中心的な役割を果たす。これらの細胞は、インターロイキン-8 (IL-8) やロイコトリエンB4 (LTB4) などのケモカインを介して、傷害や感染部位に迅速に動員される。好中球は貪食、スーパーオキシド産生、脱顆粒、そして好中球細胞外トラップ (NET) 形成など、いくつかの主要な経路を介して病原体を殺傷する。NETは、ヒストン、プロテアーゼ、顆粒タンパク質から構成される、クロマチン線維の大きな細胞外網状構造として出現する。微生物に加えて、IL-8などの炎症性宿主分子もNET形成を誘導する。NETは、微生物をDNA網状構造に捕捉し、抗菌分子を介して殺傷することで、微生物の拡散を防ぐと考えられている (Brinkmann et al. Science 2004)。しかし、NET関連分子は、制御不能な炎症反応を誘発し、組織損傷を引き起こす可能性もある (Papayannopoulos et al. NatRevImmunol 2018)。これまでのin vitro研究やヒト肺病理検体、血液検体、喀痰検体を用いた研究では、M. tuberculosisがNET形成を誘導することが示されているが (Fuchs et al. JCellBiol 2007)、MACによるNET形成についてはほとんど知られていない点が未解明である。

間質性コラーゲンは、肺の太い気道、血管、肺胞間質に最も豊富に存在する高分子成分であり、肺組織破壊にはこのようなコラーゲンの破壊が必要である。マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) は、様々な種類のコラーゲンを分解する亜鉛依存性エンドプロテアーゼのファミリーである。ヒト好中球では、MMP-8とMMP-9がそれぞれ特殊顆粒とゼラチナーゼ顆粒に不活性酵素 (プロMMP-8およびプロMMP-9) として貯蔵されている。MMPは、細胞増殖、遊走、分化、細胞外マトリックスのリモデリング、組織浸潤、血管新生など、多くの生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。これらの生物学的プロセスは生体内で複数回起こるが、バランスが崩れると、特発性肺線維症、肺気腫、肺結核など、いくつかの呼吸器疾患の病態形成に有害な病態に寄与する可能性がある。MAC感染における好中球の役割、特にNET形成がMAC殺菌に寄与するのか、あるいは組織損傷を促進する炎症促進的な役割を果たすのか、そしてMMP-8およびMMP-9がどのように関与するのかは、依然として未確立であり、この知識ギャップが残されている。

目的

本研究は、非結核性抗酸菌 (NTM) 感染症における肺組織破壊のメカニズム解明が不足している背景から、Mycobacterium avium-intracellulare complex (MAC) の病原性と好中球細胞外トラップ (NET) 形成との関係を評価することを目的とした。具体的には、MACがNET形成を誘導するかどうか、NETの抗マイコバクテリア活性、およびMAC誘導NET形成中の好中球顆粒放出とサイトカイン産生のメカニズムを詳細に調査した。

具体的には、以下の点を明らかにすることを目指した。

  1. MAC (M. aviumおよびM. intracellulare) がヒト好中球においてNET形成を誘導するかどうかを解明する。
  2. MAC誘導NET形成のメカニズムが、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 (PAD4) 依存性であるかを検証する。
  3. MAC誘導NET形成が、マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)-8およびMMP-9の放出と関連するか、またNET上にこれらのMMPが共局在するかを評価する。
  4. NET形成がMACの殺菌能に寄与するかどうかを、コロニー形成単位 (CFU) 評価を用いて検討し、NETの二面性(殺菌 vs 組織傷害)を明らかにする。
  5. DNase I処理が既存のNETおよびMMP-8/9の局在に与える影響を評価し、治療応用の可能性を探る。
  6. MAC肺疾患および気管支拡張症におけるNET形成、MMP-8/9、およびインターロイキン-8 (IL-8) が新たな治療標的となりうることを示唆する。

結果

MACはNET形成を誘導する(PAD4依存性): NET形成に伴い、ヒストンのシトルリン化がクロマチン脱凝縮を促進し、核の拡大を引き起こすことが報告されている。マイコバクテリアがヒト好中球にNET形成を誘導するかどうかを決定するため、細胞をMPOで染色し、NETが占める領域を示した。未刺激好中球の核は典型的な分葉状を示し、cit-H3陽性細胞はほとんど検出されなかった (Fig. 1A, Supplementary Fig. 2, 3)。対照的に、NET形成を誘導する強力なPKC活性化剤であるPMAと、PKC-ζの強力な活性化剤であるA-23187は、核の分葉構造を著しく減少させ、多くのcit-H3陽性細胞を生じた。MACとのインキュベーションはcit-H3陽性好中球を誘導し、cit-H3陽性領域は抗MPO抗体でも染色された (Fig. 1B, Supplementary Fig. 2, 3)。これらの結果は、MACがヒト好中球にNET形成を誘導することを示唆している。

病原性MAC株によるNET形成の定量: 病原性マイコバクテリアの評価では、M. intracellulare、M. avium m、M. avium sがそれぞれ25.4 ± 9.4%、20.8 ± 3.6%、23.3 ± 4.0%のTO-PRO3陽性面積を誘導し、NETを産生する好中球の割合を示した (Fig. 1C, Supplementary Fig. 4)。一般的に非病原性と考えられているM. gordonaeとM. smegmatisは、それぞれ6.2 ± 1.0%と8.3 ± 1.9%のTO-PRO3陽性面積をわずかに誘導したが、有意ではなかった。マイコバクテリア誘導NET形成を代表するシトルリン化の評価 (Fig. 1D, Supplementary Fig. 4) では、M. intracellulare、M. avium m、M. avium sがそれぞれ25.2 ± 8.8%、20.5 ± 3.2%、20.3 ± 4.2%の好中球にNET形成を誘導したのに対し、M. gordonaeとM. smegmatisはそれぞれ10.0 ± 2.1%と9.6 ± 4.4%の好中球にNET形成を誘導した。これら両方の定量法により、MACは非病原性マイコバクテリアと比較して、好中球によるNET形成を有意に促進することが明らかになった (p < 0.001)。

PAD4はMAC誘導NET形成を媒介する: ヒストン中のアルギニンをシトルリンに変換するペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 (PAD4) は、ヒト好中球で高発現している。PAD4によるシトルリン化はヒストンの強い正電荷を減少させ、ヒストン-DNA結合を弱める。この弱まった相互作用は、その後のクロマチン脱凝縮とNET形成につながる。PAD4阻害剤GSK484は、MACによるcit-H3陽性好中球の誘導を抑制したが (Fig. 2A)、非病原性マイコバクテリアによるcit-H3陽性好中球の割合にはほとんど影響を与えなかった。PAD4阻害剤の効果は、ウェスタンブロッティングによる細胞内cit-H3タンパク質レベルの評価によってさらに検証された。PAD4阻害剤は、MAC処理好中球 (n=3 replicates) の細胞内cit-H3タンパク質バンド強度を有意に減少させた (Fig. 2B, C, p < 0.01)。一方、PAD4阻害剤のネガティブコントロールであるGSK106は、好中球のcit-H3タンパク質バンド強度に影響を与えなかった (Supplementary Fig. 5)。これらの結果は、MAC誘導NET形成がPAD4によって調節されることを示唆している。非病原性マイコバクテリアの評価では、好中球はわずかな量のGSK484阻害可能なcit-H3を産生したが、これらの細胞はほとんどNETを形成しなかった。

NET形成はマイコバクテリアの好中球殺菌には関与しない: NET形成は細菌の好中球殺菌に関与すると考えられているため、本研究ではNET形成がマイコバクテリアの好中球殺菌に関与するかどうかを評価した。以前の実験と同様に、好中球はM. gordonaeの67.5 ± 5.6%とM. smegmatisの77.5 ± 7.3%を殺菌したが、M. intracellulare、M. avium m、M. avium sはそれぞれ18.0 ± 8.2%、31.3 ± 12.8%、14.4 ± 11.5%しか殺菌できなかった (Fig. 3A)。これは、すべてのMAC株が好中球殺菌から逃れることを示している。PAD4阻害剤は、非病原性マイコバクテリアだけでなくMACの好中球殺菌にも影響を与えなかった (Fig. 3B)。DNase IはNET関連DNAを分解することでNET依存性S. aureus殺菌を阻害することが示されているが、DNase Iはあらゆる種類のマイコバクテリアの好中球殺菌にはほとんど影響を与えなかった。これらの結果は、NET形成がマイコバクテリアの好中球殺菌には関与しないことを示している。

MAC誘導NET形成は好中球脱顆粒を増強する: NETは好中球顆粒および細胞質由来のタンパク質を含み、その構成要素は刺激に依存する。マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)-8およびMMP-9を含む好中球顆粒酵素は、細胞外マトリックスタンパク質を分解し、肺組織破壊につながる。したがって、本研究ではMACがNET形成中に好中球顆粒酵素の放出を誘導するかどうかを調査した。MPOはMAC処理好中球の培養上清で検出されたが、非病原性マイコバクテリアでは検出されなかった (Fig. 4A)。MMP-8およびMMP-9は、すべての種類のマイコバクテリア処理好中球の培養上清に放出され (Fig. 4B, C)、MACは非病原性マイコバクテリアよりも有意に多くのMMP-8およびMMP-9放出を誘導した (p < 0.001)。PAD4阻害剤は、MAC処理好中球 (n=3 replicates) からのMPO、MMP-8、MMP-9の放出を有意に減少させた (Fig. 4D-F, p < 0.01)。しかし、非病原性マイコバクテリア処理好中球からの放出には影響を与えなかった。

MAC誘導好中球によるIL-8産生: ヒト好中球は様々な刺激に応答してサイトカインやケモカインを分泌し、これらの分子は炎症反応や免疫応答を調節する。M. intracellulare、M. gordonae、M. smegmatis処理好中球が分泌するサイトカインおよびケモカインの評価では、アレイ分析に含まれる36種類のサイトカインおよびケモカインのうち、インターロイキン-8 (IL-8) の分泌のみが観察された (Fig. 5A)。IL-1βおよびTNF-αは好中球性炎症を促進する炎症性サイトカインであるため、マイコバクテリア処理好中球からのIL-8、IL-1β、TNF-αの分泌をELISAで分析した。IL-8はマイコバクテリア処理好中球から放出され (Fig. 5B)、MAC処理好中球から分泌される量は非病原性マイコバクテリア処理好中球よりも有意に高かった (p < 0.001)。GSK484はマイコバクテリア誘導好中球によるIL-8分泌に影響を与えなかった (Fig. 5C)。サイトカイン/ケモカインアレイ分析の結果と一致して、マイコバクテリアは好中球からのIL-1βまたはTNF-αの放出を誘導しなかった (Fig. 5D, E)。これらの結果は、MAC誘導好中球によるIL-8産生がNET形成とは関連しないことを示している。

考察/結論

本研究は、MACがヒト好中球においてPAD4依存的にNET形成を誘導し、マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)-8およびMMP-9の放出を促進することを明らかにした。MACはNET形成を介してMMP-8/9の放出を増強するが、NET形成はMACの殺菌には関与せず、むしろMMP-8/9の放出を促進することで肺組織破壊を介した病態進行に寄与する可能性が示唆された。これらの結果は、MAC感染症におけるNET形成、MMP-8/9、およびインターロイキン-8 (IL-8) が新たな治療標的となりうることを示唆している。

先行研究との違い: これまでの研究では、M. tuberculosisがNET形成を誘導することが示されていたが、MACによるNET形成とその病原性への関与については詳細が不明であった。本研究は、MACがPAD4依存的にNET形成を誘導し、それがMMP-8およびMMP-9の放出を促進するという点で、これまでの知見と異なり、MAC感染症における好中球の役割に新たな視点を提供する。特に、NET形成がMACの殺菌には寄与しないという発見は、NETが細菌を捕捉し殺傷するという一般的な認識と対照的であり、病原性マイコバクテリアに対するNETの機能的二面性を浮き彫りにした。

新規性: 本研究で初めて、MACがヒト好中球においてPAD4依存的なNET形成を誘導し、このNET形成がMMP-8およびMMP-9の放出を促進することを明確に示した。さらに、このNET形成がMACの殺菌には直接関与せず、むしろ肺組織破壊を促進する可能性が高いという新規なメカニズムを提唱した。また、MACがIL-8産生を誘導するが、これはNET形成とは独立した経路であることを明らかにした点も新規な知見である。

臨床応用: 本研究の知見は、MAC肺疾患の病態理解と新規治療戦略の開発に臨床応用できる可能性がある。MAC感染患者の肺組織破壊はMMP-8およびMMP-9によって引き起こされる可能性が高く、これらのMMPの放出がNET形成によって促進されることから、PAD4阻害剤やMMP阻害剤、あるいはNET分解酵素 (DNase I) などを用いた治療が、既存の抗菌薬療法を補完する新たなアジュバント療法として期待される。また、IL-8の産生も好中球のさらなる蓄積と炎症を促進するため、IL-8を標的とした治療も有効な選択肢となりうる。これらの分子をバイオマーカーとして用いることで、MAC肺疾患の重症度評価や治療効果のモニタリングにも繋がる可能性がある。

残された課題: 今後の検討課題として、本研究がin vitroのヒト好中球を用いたモデルであるため、in vivoでのMAC感染肺組織におけるNET形成、MMP放出、およびIL-8産生の直接的な検証が必要である。また、MAC株の病原性と宿主感受性の関係、特にMMP活性化のメカニズムについてはさらなる研究が求められる。NET形成が貪食や細胞内殺菌とどのように相互作用するのか、MAC種間の特異性、そして好中球とマクロファージのMAC病態における役割分担についても詳細な解析が必要である。PAD4阻害剤やDNase I吸入療法、MMP阻害剤のMAC感染マウスモデルにおけるin vivoでの有効性の検証も重要な今後の方向性である。

方法

試薬と抗体: Alexa Fluor 633タンパク質標識キット、TO-PRO3、Sytox orange、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン (TMB)、硫酸はInvitrogenから入手した。ヒトシトルリン化ヒストンH3 (cit-H3; ab5103) およびミエロペルオキシダーゼ (MPO; ab25989) に対する抗体、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 568、GSK106はAbcamから入手した。ヒトH3抗体はCell Signaling Technologyから、ヒトβ-アクチン抗体はSigma-Aldrichから、A23187およびGSK484はCaymanから入手した。

ヒト好中球の分離: 健常ボランティアからの血液採取は、順天堂大学医学部倫理審査委員会 (承認番号: 2019073) の倫理的承認を得て実施された。すべての研究は関連するガイドライン/規制に従って実施され、すべての参加者から書面によるインフォームドコンセントを得た。ヒト好中球は、健常ボランティアのヘパリン処理末梢血からPolymorphprep™ (Nycomed Pharma) 遠心分離により分離した。好中球の純度はTurk’s solution染色 (FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation) により95%以上であることを確認した。

細菌株と培養条件: MAC株は、順天堂大学病院および順天堂大学浦安病院で非HIV感染患者から臨床的に分離されたストックから入手し、DNA-DNAハイブリダイゼーション法によりM. intracellulareおよびM. aviumとして同定した。肺組織破壊の重症度は、既報のスコアリングシステムを用いて評価した。重度の肺組織破壊と重篤な臨床経過を示す患者から分離されたマイコバクテリアをM. avium s、軽度の肺組織破壊と良好な臨床経過を示す患者から分離されたマイコバクテリアをM. avium mと定義した。M. gordonae GTC 612は岐阜大学から入手した。マイコバクテリアは、OADC (Becton Dickinson) を添加したMiddlebrook 7H9ブロス (Difco Laboratories, BD) で培養した。

Alexa Fluor色素によるマイコバクテリアの標識: マイコバクテリアをリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) に懸濁した。各懸濁液に100 μlの1.0 M炭酸水素ナトリウム (NaHCO3) を加え、Alexa Fluor 633色素と室温で2時間インキュベートした後、PBSで十分に洗浄した。

共焦点顕微鏡によるNETの観察: 0.01%ポリL-リジンコートガラスベースディッシュに播種した好中球 (n=3 donors) を、指定された阻害剤と共に37℃で30分間前培養した後、MOI (multiplicity of infection) 1でマイコバクテリアと共に37℃、5% CO2雰囲気下で4時間インキュベートした。PMA (20 nM) およびA-23187 (1 µM) をNET形成の薬理学的誘導剤として使用した。その後、細胞を2%パラホルムアルデヒドで固定し、0.5% Triton X-100で透過処理し、非特異的結合を防ぐために2%ウシ血清アルブミンと5%正常ヤギ血清と共に2時間インキュベートした。次に、細胞をcit-H3 (ab5103, Abcam) およびMPO (ab25289, Abcam) に対する抗体と共にインキュベートし、その後二次抗体 (Alexa Fluor 488 (ab150077, Abcam) およびAlexa Fluor 568 (ab175473, Abcam)) と共にインキュベートした。DNAはTO-PRO3 (T3605, Invitrogen) またはSYTOX orange (S11368, Invitrogen) で染色した。細胞およびNET形成はSTED顕微鏡Leica TCS SP5 (Leica Microsystems GmbH) を用いて観察した。

共焦点画像を用いたNET形成の定量: NET形成は、核面積の分布とcit-H3陽性細胞の割合を決定することにより、共焦点画像を用いて定量した。cit-H3陽性好中球を計数し、TO-PRO3陽性好中球の数で割ってcit-H3陽性細胞の割合を決定した。核面積の分布による定量は、NET形成中の核サイズと好中球形状の変化に基づいている。TO-PRO3核画像はImageJ画像処理ソフトウェア (US National Institutes of Health) を用いて解析した。各サンプルは300細胞から構成され、TO-PRO3陽性面積は各サンプルで個別に測定された。核面積の範囲における細胞数の分布は、Excel (Microsoft) の頻度関数を用いて決定した。データは、各DNA面積範囲におけるTO-PRO3陽性細胞の割合としてプロットされた (Supplementary Fig. 1)。未刺激好中球のTO-PRO3陽性面積は30〜150 µm²の範囲であり、95.6%以上の細胞の陽性面積は120 µm²未満であった。PMAおよびA-23187処理細胞のTO-PRO3陽性面積は350 µm²まで拡大した。したがって、NET形成は核面積が120 µm²を超える細胞と定義された。

サイトカイン/ケモカインアレイ: 好中球 (n=3 replicates) をGSK484の有無にかかわらず30分間前培養し、MOI 1でマイコバクテリアと共に37℃で4時間刺激した。培養上清を回収し、製造元の指示に従ってサイトカインアレイ分析 (ARY005B, R&D Systems) に供した。簡単に言えば、ヒトサイトカインアレイパネルAメンブレン (R&D Systems) を細胞培養上清と共にインキュベートした。洗浄後、メンブレンを検出抗体カクテルと共にさらに1時間インキュベートした。スポット検出はストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼを用いて行った。スポットの強度はImageJソフトウェア (U.S. National Institutes of Health) を用いて測定した。

好中球顆粒およびサイトカインのELISA: 細胞培養上清中のMPO、MMP、サイトカインIL-1β、IL-8、腫瘍壊死因子 (TNF)-αの濃度は、DuoSet酵素結合免疫吸着アッセイ (ELISA) 開発システム (R&D Systems) およびELISA MAX Standard Set Human TNF-α (Cat# 430201; BioLegend) を用いて、製造元の指示に従って測定した。450 nmの吸光度はマイクロプレートリーダー (2030 ARVO X4; PerkinElmer Japan) で測定した。

ウェスタンブロッティング: サンプルは14% SDS-PAGEで分離し、PVDFメンブレンに転写した。マイコバクテリアによるヒストンH3のシトルリン化を評価するために、好中球 (n=3 replicates) をGSK484/109の有無にかかわらず前培養し、MOI 1でマイコバクテリアと共に37℃で4時間刺激した。刺激後、細胞を溶解緩衝液中でDounceホモジナイゼーションにより溶解し、タンパク質をSDS-PAGEで分離し、ウェスタンブロッティングに供した。ブロットをシトルリン化ヒストンH3に対する一次抗体と共にインキュベートし、その後ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体と共にインキュベートした。メンブレンはストリッピング緩衝液 [62.5 mM Tris-HCl (pH 6.8), 100 mM β-メルカプトエタノール, 2% SDS] と共に55℃で30分間インキュベートすることにより抗体を除去し、その後全ヒストンH3およびβ-アクチンに対する抗体と共にインキュベートした。SuperSignal試薬 (Pierce Chemical) で検出されたバンドをスキャンし、化学発光シグナル強度はImageJソフトウェア (U.S. National Institutes of Health) を用いて定量した。ヒストンH3のシトルリン化の程度は、シトルリン化ヒストンH3のバンド強度とβ-アクチンのバンド強度の比として算出した。

殺菌アッセイ: 好中球 (2 × 10^4^ cells、100 μl DMEM/F12) を指定された阻害剤と共に30分間前培養し、その後MOI 1でマイコバクテリアと共に96ウェル平底組織培養プレート (Asahi Techno Glass) で37℃で24時間処理した。培養プレートを0.1% Triton X-100含有PBSで室温で5分間処理した。好中球溶解液を0.05% Tween 80含有PBSで10倍希釈し、滅菌7H11 Middlebrook寒天プレート (Difco, BD) に播種した。コロニー形成単位 (CFU) は37℃で2週間の培養後に計数した。殺菌率は、これらのマイコバクテリアコロニー数と培地単独でインキュベートした後の数の比として算出した。

統計解析: データは平均 ± SDで表され、GraphPad Prismソフトウェアプログラム (San Diego, CA) を用いて一元配置分散分析 (ANOVA) 後、Bonferroniの多重比較検定により解析した。平均間の差はp < 0.05で統計的に有意とみなした。