- 著者: Hsin-Chuan Liang, Meng-Huang Liu, Wei-Shuo Wang, Chun-Che Lin, Sung-Liang Yu, et al.
- Corresponding author: Steven M. Albelda (University of Pennsylvania, Philadelphia, PA)
- 雑誌: Cancer Immunology Research
- 発行年: 2014
- Epub日: 2013-12-05
- Article種別: Original Article
- PMID: 24778279
背景
線維芽細胞活性化タンパク (FAP) は、腫瘍関連線維芽細胞 (CAF) に高発現するセリンプロテアーゼであり、正常成人組織での発現は低レベルに制限されているため、腫瘍免疫療法の有力な標的として注目されている。固形腫瘍の腫瘍微小環境 (TME) において、CAFは物理的障壁(細胞外マトリックスの形成)および免疫抑制性サイトカイン(TGF-β、VEGF、CCL2など)の産生を通じて、CAR T細胞や内在性免疫細胞の腫瘍浸潤・機能を妨げる。既存の抗腫瘍CAR T細胞療法が固形腫瘍での効果に限界があるのは、腫瘍間質による免疫抑制と物理的バリアが大きな原因の一つであると考えられる。
キメラ抗原受容体 (CAR) T細胞療法は、患者由来のT細胞にCAR遺伝子を導入することで、T細胞のエフェクター機能と、MHC非拘束的に特定の表面抗原を認識する単鎖抗体断片 (scFv) の高い特異性を組み合わせるアプローチである。近年、CAR T細胞療法は、慢性リンパ性白血病 (CLL) や急性リンパ性白血病 (ALL) などの血液がんにおいて、目覚ましい臨床的成功を収めていることが報告されている(Porter et al. NEnglJMed 2011、Kalos et al. SciTranslMed 2011、Grupp et al. NEnglJMed 2013)。しかし、固形腫瘍においては、腫瘍細胞の遺伝的不安定性による免疫回避、腫瘍間質による物理的バリア形成、成長因子やケモカインの産生による腫瘍細胞の増殖・浸潤・血管新生の促進、および免疫抑制性因子の分泌によるT細胞機能の調節や骨髄系細胞の表現型変化など、複数の要因がCAR T細胞療法の効果を制限している。
FAPは、ほぼ全ての癌腫の上皮性癌の癌関連間質細胞 (CASC) に高発現するが、良性腫瘍やほとんどの正常な静止状態の成人間質細胞では検出されない。FAP陽性細胞を標的とすることは、腫瘍間質を直接攻撃し、固形腫瘍へのCAR T細胞アクセスを改善する「間質標的」戦略として有望である。しかし、先行研究では、FAP陽性細胞の完全な除去が貧血や悪液質を引き起こす可能性が示唆されており(Roberts et al. JExpMed 2013、Tran et al. J Exp Med 2013)、FAP発現を持つ骨髄造血組織への毒性が課題であった。特に、TranらはFAP-5モノクローナル抗体由来のscFvを用いたFAP-CAR T細胞が、重度の骨髄毒性や悪液質を引き起こすことを報告している。この毒性の原因は、FAPが骨髄や筋肉などの正常組織にも低レベルで発現しているため、CAR T細胞がこれらの組織を攻撃してしまう「オンターゲット・オフ腫瘍毒性」であると考えられた。
この課題に対し、本研究ではTranらとは異なる抗FAP抗体クローン (mAb 73.3) 由来のscFvを用いることで、安全性の改善と抗腫瘍効果の両立を目指した。FAP-CAR T細胞が腫瘍間質を標的とすることで、腫瘍微小環境を再構築し、宿主の免疫応答を増強する可能性が示唆されているが、その詳細なメカニズムや、重篤な毒性を回避しつつ効果的な治療を達成するための戦略は未解明な点が多かった。特に、免疫能が完全に保たれた同系マウスモデルにおけるFAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果と安全性、およびその作用機序を詳細に評価する必要があった。また、T細胞の機能増強や他の免疫療法との併用による相乗効果についても、さらなる検討が不足していた。
目的
本研究の目的は、マウスFAP特異的CAR T細胞 (muFAP-CAR) を構築し、免疫能が完全に保たれた同系マウスにおける複数の固形腫瘍モデルでの抗腫瘍効果、FAP陽性間質細胞の除去能、および安全性を評価することである。特に、先行研究で報告された重篤な造血毒性や悪液質が、本研究で用いる異なるscFv由来のCAR T細胞で回避できるかを確認する。
さらに、以下の点を検討する。
- muFAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果が、宿主の適応免疫応答に依存するかどうかを、免疫不全NSGマウスおよびFAP欠損マウスを用いて検証する。
- ジアシルグリセロールキナーゼζ (DGKζ) 欠損によるCAR T細胞の機能増強効果を評価する。
- 腫瘍抗原特異的ワクチンとの併用が、muFAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果を増強するかどうかを検討し、相乗効果の可能性を探る。
- muFAP-CAR T細胞が腫瘍微小環境に与える影響、特に内在性T細胞の活性化および腫瘍浸潤の変化を詳細に解析し、その作用機序を解明する。
結果
in vitroにおけるFAP-CAR T細胞の特異的細胞傷害性とサイトカイン産生: muFAP-CAR T細胞 (mAb 73.3 scFv-CD8αヒンジ-4-1BB-CD3ζ) は、FAP陽性細胞株 (NIH3T3-FAP、L-FAP、ヒト腫瘍関連線維芽細胞) に対して、51Cr放出アッセイ (E:T比30:1) で約70%の特異的溶解を示した (p<0.05)。FAP陰性細胞株に対する溶解活性は認められなかった。また、FAP陽性細胞との共培養において、muFAP-CAR T細胞は有意に高いIFN-γ産生 (約2,000 pg/mL vs FAP-細胞との共培養で約50 pg/mL) を示した。Control-CAR T細胞ではこれらの活性は認められなかった。さらに、FAP-CAR T細胞はFAPタンパク質でコートされたビーズによる刺激でCD69の発現を増加させ、AKT、ERK、IKKα/βのリン酸化を誘導し、T細胞の活性化が確認された (Figure 2)。
in vivoにおける複数の同系腫瘍モデルでの抗腫瘍効果: C57BL/6マウス (TC1: 肺癌、LKR: 肺腺癌、AE17.ova: 中皮腫) およびBALB/cマウス (CT26: 結腸癌、4T1: 乳癌) の5種類の同系皮下腫瘍モデル全てにおいて、muFAP-CAR T細胞投与群は対照群と比較して腫瘍増殖の35%〜50%抑制を達成した (Figure 3A-C, E, F)。特に、TC1モデル (n=8/群) における腫瘍体積の抑制は、未治療群と比較してHR 0.40 (95% CI 0.25-0.64, p=0.002) であった。LKRモデル (n=6/群) でも腫瘍体積はHR 0.63 (95% CI 0.43-0.92, p=0.02) で有意に抑制された。この結果は、muFAP-CAR T細胞が複数の腫瘍型にわたる一貫した抗腫瘍効果を持つことを実証した。
FAP陽性間質細胞の迅速な除去: muFAP-CAR T細胞投与のday 3において、腫瘍組織内のFAPhi CD45⁻間質細胞 (腫瘍関連線維芽細胞) がフローサイトメトリーで定量すると、約82%が除去されていた (Supplementary Figure S2A)。FAP⁺CD45⁺造血細胞も約56%減少した。FAPlo細胞にはほとんど影響がなかった (Supplementary Figure S2B, S2C)。投与7〜9日後には、AE17.ovaモデルにおいてFAP⁺CD45⁻CD90⁺間質細胞が平均1.86%から1.15%に減少し (p=0.001)、腫瘍体積も平均627 mm³ vs 324 mm³ (p=0.03) と有意に抑制された (Table 1)。この早期かつ顕著な間質細胞除去は、CAR T細胞の主要な作用機序が、腫瘍細胞への直接傷害よりも間質を標的とした免疫再活性化にあることを示唆している。
抗腫瘍効果の宿主適応免疫依存性とFAP特異性: AE17.ova腫瘍を移植した免疫不全NSGマウス (T/B/NK細胞欠損) では、muFAP-CAR T細胞による腫瘍増殖抑制効果が完全に消失した (Figure 5B)。これは、抗腫瘍効果が宿主の適応免疫の存在に依存することを示す。また、FAP欠損マウス (FAP-/-) 由来のAE17.ova腫瘍に対してもmuFAP-CAR T細胞の効果は認められず (Figure 3D)、FAP陽性細胞の存在が効果の絶対条件であることが実証された。
内在性CD8⁺ T細胞の腫瘍抗原特異的活性化: AE17.ovaおよびTC1モデルにおいて、muFAP-CAR T細胞投与後にOVA特異的 (AE17.ova) またはE7特異的 (TC1) MHC-I拘束性CD8⁺ T細胞テトラマー陽性TILが有意に増加した (FAP-CAR T細胞非投与群比、p=0.015)。これは、FAP-CAR T細胞によるCAF除去が腫瘍抗原提示を増強し、内在性CD8⁺ T細胞を活性化するという間接的な「免疫再活性化」機序を強く示唆する (Figure 5D, F)。投与3日目にはTNF-α産生CD4⁺ T細胞の増加が認められたが、8日目にはIFN-γ産生CD8⁺ T細胞およびCD69⁺ T細胞の増加が観察された (Figure 6)。
安全性プロファイル: muFAP-CAR T細胞 (mAb 73.3 scFv) 投与マウスでは、貧血、白血球数減少、骨髄低形成、体重減少はいずれも認められなかった (Supplementary Figure S5, S6A-C)。これは、TranらがFAP-5 scFvを用いたFAP-CARで報告した重篤な造血毒性と対照的な安全プロファイルであり、scFvの選択が安全性に大きく影響することを示唆する。膵臓組織においても、WT FAP-CAR T細胞投与群では異常は認められなかった (Supplementary Figure S6D, S6E)。
DGKζ欠損による機能増強効果: DGKζ欠損muFAP-CAR T細胞は、wild-type CAR T細胞と比較してin vitroでの3T3.FAP細胞溶解能およびIFN-γ産生能が増強された (Supplementary Figure S4A, S4B)。in vivoでは、DGKζ欠損FAP-CAR T細胞はAE17.ova腫瘍モデルにおいて、より優れた腫瘍抑制効果 (day 11でp<0.05) を示し、腫瘍内でのT細胞の持続性も向上した (Figure 4B, Supplementary Figure S4C)。ただし、DGKζ欠損FAP-CAR T細胞を投与したマウスの膵臓では、軽度の血管周囲および膵島周囲のリンパ球浸潤が観察された (Supplementary Figure S6F)。
腫瘍抗原ワクチンとの併用効果: TC1腫瘍モデルにおいて、Ad.E7ワクチンとmuFAP-CAR T細胞の組み合わせは、いずれか単独よりも優れた腫瘍抑制効果 (相加または相乗効果) を達成した (Figure 4C)。この併用療法は、E7特異的CD8⁺ T細胞の腫瘍浸潤を有意に増加させ、腫瘍の退縮を誘導した。これは、FAP-CAR T細胞が間質除去薬として機能し、その後の腫瘍特異的免疫攻撃を増強するという「二段階」治療戦略の有効性を示唆する。
CAR T細胞の持続性: 腫瘍内のFAP-CAR T細胞数は、投与3日後にピークに達し、その後7日目および10日目には約65%減少した (Supplementary Figure S3A)。ヒト由来の4-1BBおよびCD3ζドメインを持つCARと、完全にマウス由来のCD28およびCD3ζドメインを持つCARの間で、in vitroの細胞傷害性、IFN-γ産生、in vivoでの持続性および抗腫瘍効果に大きな差は認められなかった (Supplementary Figure S3B-E)。これは、マウスCAR T細胞のin vivoでの短い持続性が、ヒト由来の共刺激ドメインに起因するものではないことを示唆する。
考察/結論
本研究は、FAP陽性腫瘍関連線維芽細胞をmuFAP-CAR T細胞で除去することにより、免疫能マウスの5種の同系腫瘍モデルにおいて一貫した抗腫瘍効果が得られることを示した。最も重要な知見は、FAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果が単なる直接的な腫瘍細胞傷害ではなく、間質細胞除去→腫瘍抗原提示増強→内在性CD8⁺ T細胞活性化という「免疫再活性化」プロセスを通じた間接的機序に依存するという点である。NSGマウスでの効果消失から実証されたこの知見は、FAP-CAR T細胞療法が免疫能を保持した患者においてより効果的であることを示唆し、チェックポイント阻害剤等との組み合わせにより更なる免疫活性化が期待できる。
先行研究との違い: Tranら (2013) が報告したFAP-5 scFv由来FAP-CARによる骨髄造血毒性が、本研究のmAb 73.3 scFv由来FAP-CARでは認められなかった点は、CAR療法のscFv選択が安全性に直接影響することを実証した重要な知見である。FAP-5とmAb 73.3はFAPの異なるエピトープを認識し、造血細胞に発現するFAP分子への結合プロファイルが異なる可能性がある。本研究の73.3 scFvはFAPhi細胞を選択的に除去し、FAPlo細胞には影響を与えないことで、重篤なオフターゲット毒性を回避できたと考えられる。これは、同一標的に対しても抗体クローンの選択が臨床応用可能性を大きく左右することを示している点で、これまでの報告とは対照的である。
新規性: 本研究で初めて、FAP-CAR T細胞が腫瘍間質を標的とすることで、宿主の適応免疫応答を増強し、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化を誘導するという新規の作用機序を詳細に解明した。また、DGKζ欠損によるT細胞機能の増強が、FAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果と持続性を改善することも新規に示した。さらに、腫瘍抗原ワクチンとの併用が相加・相乗効果をもたらすという知見も、FAP-CAR T細胞療法の最適化に向けた新たな戦略を提供するものである。
臨床応用: 本研究の成果は、抗ヒトFAP-CAR T細胞の臨床開発を強く支持するものである。特に、重篤なオフターゲット毒性を回避しつつ、複数の固形腫瘍モデルで有効性を示したことは、FAP-CAR T細胞療法が固形腫瘍患者に対する有望な治療選択肢となる可能性を秘めている。DGKζ阻害剤や腫瘍抗原ワクチンとの併用は、臨床現場でのFAP-CAR T細胞療法の効果をさらに高めるための戦略として、臨床的意義が大きい。また、生分解性mRNAを用いたCAR T細胞は、一時的な毒性であれば許容可能である可能性も示唆している。
残された課題: 今後の検討課題として、マウス同系モデルはヒト腫瘍微小環境の複雑性を完全には模倣できないため、ヒトFAPを標的とするCAR T細胞のヒト腫瘍異種移植モデルや、より線維化の強い非免疫原性腫瘍モデルでの評価が必要である。また、mAb 73.3のヒトFAPに対する交差反応性の詳細な評価も重要である。CAR T細胞のin vivoでの持続性の改善、より高活性なT細胞の生成、および複数回投与の最適化も今後の研究方向性として挙げられる。DGKζ欠損CAR T細胞で観察された膵臓への軽度なリンパ球浸潤が、ヒトにおいて臨床的に問題となるかどうかも、残された課題である。
方法
CAR構造の構築とT細胞の形質導入: マウスFAP特異的モノクローナル抗体 (mAb) 73.3由来のscFvを、CD8αヒンジ領域、CD8α膜貫通ドメイン、およびヒト由来の4-1BBとCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン (ICD) と融合させたCAR遺伝子を構築した。このCAR遺伝子は、GFP (緑色蛍光タンパク質) を同時に発現するMigR1レトロウイルスベクターに挿入された。対照として、無関連特異性のscFvを含むControl-CARも構築した。これらのレトロウイルスベクターは、RD114偽型化ウイルスを用いてマウスT細胞に形質導入された。また、完全にマウス由来のCAR構造 (73.3 scFv-マウスCD28 ICD-マウスCD3ζ ICD) もMSGVレトロウイルスベクターに挿入し、ヒト由来ICDを持つCARとの比較を行った。
DGKζノックアウトT細胞の作製: DGKζ欠損マウス (DGKζ-/-) から脾臓T細胞を採取し、上記と同様にFAP-CARを導入した。これにより、ジアシルグリセロール (DAG) シグナル伝達経路の抑制が解除され、T細胞機能の増強が期待された。
in vitro機能評価: CAR T細胞の抗原特異的活性を評価するため、FAPを安定発現するマウス線維芽細胞株 (NIH3T3-FAP、L-FAP) およびヒトFAP発現細胞株を標的細胞として用いた。CAR T細胞と標的細胞を共培養し、18時間後の培養上清中のIFN-γ産生量をELISA (酵素結合免疫吸着測定法) により測定し、T細胞のサイトカイン産生能を評価した。また、4時間51Cr放出アッセイにより細胞傷害性を評価した。T細胞の活性化は、FAPタンパク質でコートされたビーズ刺激後のCD69の発現およびAKT、ERK、IKKα/βのリン酸化レベルをウェスタンブロットで解析することにより確認した。
in vivo評価 (同系免疫能マウスモデル): 以下の5種類の同系皮下腫瘍モデルを用いて、muFAP-CAR T細胞の抗腫瘍効果を評価した。
- TC1 (肺癌、HPV E6/E7発現、C57BL/6マウス)
- LKR (肺腺癌、C57BL/6マウス)
- AE17.ova (中皮腫、OVA発現、C57BL/6マウス)
- CT26 (結腸癌、BALB/cマウス)
- 4T1 (乳癌、BALB/cマウス) 腫瘍が確立されたマウス (腫瘍体積100〜150 mm³) に、muFAP-CAR T細胞または対照T細胞 (MigR1ベクターのみ形質導入) を10⁷個、day 7またはday 14に尾静脈から静脈内投与した。腫瘍体積はカリパスを用いて経時的に測定し、抗腫瘍効果を評価した。
FAP陽性間質細胞の除去能評価: muFAP-CAR T細胞投与後3日目および7〜9日目に腫瘍組織を採取し、フローサイトメトリーによりFAP陽性間質細胞 (FAPhi CD45⁻CD90⁺) およびFAP陽性造血細胞 (FAP⁺CD45⁺) の除去率を定量した。
機序解析 (NSGマウスおよびFAP欠損マウス): 抗腫瘍効果における宿主適応免疫の必要性を確認するため、免疫不全NSGマウス (T/B/NK細胞欠損) にAE17.ova腫瘍を移植し、muFAP-CAR T細胞を投与した。また、FAP特異性を確認するため、FAP欠損マウス (FAP-/-) 由来のAE17.ova腫瘍に対してもmuFAP-CAR T細胞の効果を評価した。
毒性評価: muFAP-CAR T細胞投与後のオフターゲット毒性を評価するため、マウスの体重を定期的に測定し、全血算 (CBC) を実施した。実験終了時には、骨髄塗抹標本、心臓、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、骨格筋などの臓器を採取し、組織病理学的検査 (H&E染色) を盲検下で行った。
ワクチン併用試験: TC1腫瘍モデルにおいて、アデノウイルスベクターHPV-E7抗原 (Ad.E7) ワクチンとmuFAP-CAR T細胞の併用効果を評価した。腫瘍が約200 mm³に達したマウスにAd.E7ワクチンを皮下投与し、4日後にmuFAP-CAR T細胞を静脈内投与した。腫瘍体積の測定に加え、腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) のフローサイトメトリー解析、特にE7特異的CD8⁺ T細胞のテトラマー染色を行い、免疫応答の変化を評価した。
統計解析: 2群間の比較にはStudentのt検定を、3群以上の比較には一元配置分散分析 (ANOVA) を用いた。P値が0.05未満の場合を統計的に有意と判断した。データは平均値 ± 標準誤差 (SEM) で示した。