• 著者: Elisa A. Rozeman, Esmée P. Hoefsmit, Irene L. M. Reijers, Robyn P. M. Saw, Judith M. Versluis, Oscar Krijgsman, Petros Dimitriadis, Karolina Sikorska, Bart A. van de Wiel, Hanna Eriksson, Maria Gonzalez, Anna Torres Acosta, Lindsay G. Grijpink-Ongering, Kerwin Shannon, John B. A. G. Haanen, Jonathan Stretch, Sydney Ch’ng, Richard A. Scolyer, W. Martin C. Klop, Michel W. J. M. Wouters, Georgina V. Long, Alexander C. J. van Akkooi, Christian U. Blank
  • Corresponding author: Christian U. Blank (Netherlands Cancer Institute, Amsterdam, The Netherlands)
  • 雑誌: Nature Medicine
  • 発行年: 2021
  • Epub日: 2021-02-08
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 33558721

背景

進行メラノーマに対する免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) 併用療法、特にイピリムマブとニボルマブの併用は、切除不能なIII期およびIV期メラノーマ患者において長期的な奏効をもたらすことが示されている。しかし、切除可能なIII期メラノーマ患者においても、標準治療である手術後のアジュバント抗PD-1療法やBRAF/MEK阻害剤による治療では、約40%の患者が3年以内に再発することが報告されており、術後補助療法開始前に15〜25%の患者が早期に再発するケースも存在し、3年無再発生存率 (RFS) は50%未満である。このため、より効果的な治療戦略が求められていた。

プレクリニカル研究では、ICIを術前補助療法 (neoadjuvant) として投与することで、術後補助療法 (adjuvant) と比較して、より強力な抗腫瘍免疫応答と生存期間の改善が示唆されていた。例えば、Liu et al. CancerDiscov 2016 では、術前免疫療法が転移性疾患の根絶において術後免疫療法よりも優れた効果を示すことが報告された。術前補助療法は、病理学的奏効 (pathologic response) という予後予測に有用な情報を提供し、術後補助療法の選択やフォローアップの指針となる利点がある。さらに、治療前後の腫瘍組織が利用可能であるため、治療抵抗性や奏効のメカニズム、ベースラインバイオマーカーの効率的な探索が可能となる。

OpACIN試験 (N=20) は、III期メラノーマ患者に対する術前イピリムマブ+ニボルマブ併用療法の実現可能性と効果を初めて探索した研究である。この試験では、イピリムマブ3mg/kg + ニボルマブ1mg/kgを2サイクル術前投与し、手術後にさらに2サイクル投与するレジメンで、78%という高い病理学的奏効率 (pRR) を達成した。しかし、グレード3-4の免疫関連有害事象 (irAE) が90%と高頻度で発生し、毒性が大きな課題として浮上した。同様に、Amaria et al. (2018) の研究でも、術前イピリムマブ+ニボルマブ併用療法で高い奏効率と毒性率が報告されている。

この毒性の課題に対応するため、OpACIN-neo試験 (N=86) が実施された。この多施設共同ランダム化第2相試験では、イピリムマブとニボルマブの異なる用量スケジュールを評価し、Rozeman et al. (2019) が報告したように、イピリムマブ1mg/kg + ニボルマブ3mg/kgを2サイクル投与するarm Bが、pRR 77%と高い奏効率を維持しつつ、グレード3-4 irAE発生率を20%に抑えるという最適なプロファイルを示した。しかし、これらの初期試験では、病理学的奏効の持続性や長期的な転帰(RFS、全生存期間 (OS))、および奏効を予測するベースラインバイオマーカーについては、十分なデータが不足していた。特に、病理学的完全奏効 (pCR) やほぼ完全奏効 (near-pCR) と再発リスクとの関係、そして免疫学的・ゲノム的バイオマーカー(IFN-γシグネチャー、腫瘍変異負荷 (TMB)、T細胞受容体 (TCR) 多様性、PD-L1発現など)が奏効予測にどのように寄与するのかは未解明であった。本研究は、これらの知識ギャップを埋めることを目的としている。長期的な追跡データと大規模なバイオマーカー解析が不足しており、病理学的奏効が長期予後の強力なサロゲートマーカーとなり得るか、また、治療効果を予測する最適なバイオマーカーの組み合わせは何かという点が未確立であった。

目的

本研究の目的は、OpACINおよびOpACIN-neo両試験の統合データを用いて、切除可能III期メラノーマ患者に対する術前イピリムマブ+ニボルマブ併用免疫療法における病理学的奏効と長期無再発生存期間 (RFS) および全生存期間 (OS) との相関関係を詳細に解析することである。

さらに、治療前の腫瘍検体を用いた免疫学的およびゲノム的バイオマーカー(具体的にはIFN-γシグネチャー、腫瘍変異負荷 (TMB)、T細胞受容体 (TCR) 多様性、PD-L1発現、および血漿プロテオミクスマーカーなど)が、病理学的奏効および長期生存転帰を予測する能力を評価し、最適な予測バイオマーカーの組み合わせを特定することを目指した。特に、病理学的完全奏効 (pCR) やほぼ完全奏効 (near-pCR) といった深い病理学的奏効が、その後の再発リスクに与える影響を定量的に評価し、これらの病理学的奏効が長期生存の強力なサロゲートマーカーとなり得るかを検証することも重要な目的である。

最終的には、これらの知見に基づき、術前免疫療法における患者選択の最適化、治療戦略の個別化、および将来の臨床試験デザインへの貢献を目指す。本研究は、NCT02437279およびNCT02977052の臨床試験登録番号を持つ両試験の長期追跡データを用いて、病理学的奏効と長期生存転帰の関連性を評価し、治療効果を予測するバイオマーカーを同定することを主要な目的とした。

結果

長期生存転帰と病理学的奏効の関連: OpACIN-neo試験の全患者 (n=86) における中央値24.6ヶ月の追跡期間で、2年RFS率は84% (95% CI 76-92%)、2年OS率は95% (95% CI 90-100%) であった。病理学的奏効を達成した患者 (n=64, 74%) の2年RFS率は97% (95% CI 93-100%) と極めて良好であったのに対し、病理学的非奏効患者 (n=22, 26%) の2年RFS率は36% (95% CI 17-74%) と有意に低かった (ログランクp < 0.0001) (Fig. 1c)。病理学的奏効群では、irAEによる死亡1例と再発1例の計2イベントのみであった。OpACIN試験では、術前補助療法群の病理学的奏効患者7名のうち、中央値48.0ヶ月の追跡期間で再発は認められなかった。これらの結果は、病理学的奏効が長期生存の強力なサロゲートマーカーであることを強く示唆している。

病理学的完全奏効 (pCR) およびほぼ完全奏効 (near-pCR) の予後インパクト: OpACIN-neo試験において、pCR (n=47, 55%) とnear-pCR (n=7, 8%) を合わせた54名の患者では、2年RFS率が100%であり、再発イベントは発生しなかった。これに対し、病理学的部分奏効 (pPR) 患者 (n=10) の2年RFS率は80%、病理学的非奏効 (pNR) 患者 (n=22) の2年RFS率は36%であった。この結果は、pCRまたはnear-pCRを達成することが、再発リスクの極めて低い状態と強く関連していることを明確に示している。

治療レジメン間の比較と毒性: OpACIN-neo試験の3つの治療アーム間 (Arm A: ipi 3mg/kg + nivo 1mg/kg; Arm B: ipi 1mg/kg + nivo 3mg/kg; Arm C: ipi 3mg/kg followed by nivo 3mg/kg) で、2年RFS率に有意な差は認められなかった (ログランクp = 0.58) (Fig. 1b)。Arm Bはグレード3-4 irAE発生率が27% (95% CI 12-46%) と最も低く、Arm Aの43% (95% CI 25-63%) およびArm Cの54% (95% CI 33-73%) と比較して良好な毒性プロファイルを示した。OpACIN試験の術前補助療法群ではグレード3-4 irAEが90%と高頻度であったが、OpACIN-neo試験の用量低減レジメン (Arm B) でも同等の高い病理学的奏効率 (77%) が達成された。irAEの大部分は治療開始後12週以内に発生し、グレード3-4 irAEと病理学的奏効の間には有意な相関は認められなかった。データカットオフ時点で、生存患者81名のうち55名 (68%) に低グレードのirAEが持続しており、最も頻度の高いものは白斑 (35%)、内分泌障害 (21%)、疲労 (15%) であった (Fig. 1e)。

IFN-γシグネチャーの予測能: 術前腫瘍生検のRNAシーケンス解析 (n=65) により、高いIFN-γシグネチャースコアが病理学的奏効および低い再発リスクと関連することが確認された (Fig. 2a)。IFN-γシグネチャースコアの上位3分の1の患者では、21名中20名 (95%) が病理学的奏効を達成したのに対し、下位3分の2の患者では43名中27名 (62%) であった (p = 0.014)。高いIFN-γシグネチャースコアを有する患者の2年EFSは90%であり、低いスコアの患者の71%と比較して数値的に良好な傾向を示した (Fig. 2b)。

腫瘍変異負荷 (TMB) の予測能: 全エクソームシーケンスデータが利用可能であった60名の患者において、病理学的奏効患者は非奏効患者と比較して有意に高いTMBを示した (中央値 860 vs 293、p = 0.0013) (Fig. 2c)。ベースラインTMBはEFSと強く関連しており、TMBが中央値以上の患者の2年EFSは93.3%であり、中央値未満の患者では58.8%と有意に低かった (ログランクp = 0.0027) (Fig. 2d)。IFN-γシグネチャースコアとTMBの間には相関は認められず (R = -0.1, p = 0.44)、多変量ロジスティック回帰モデルにおいて、両バイオマーカーは病理学的奏効と独立して有意に関連していた (IFN-γスコア: オッズ比 3.76, p = 0.0066; TMB: オッズ比 14.19, p = 0.021)。

IFN-γシグネチャーとTMBの組み合わせによる予測能: IFN-γシグネチャースコアとTMBを組み合わせることで、奏効予測能がさらに向上することが示された。最適なカットオフ値を用いて患者を4つのグループに分類したところ、IFN-γシグネチャースコアが低く、かつTMBも低い患者群 (n=23) では、病理学的奏効率がわずか39%であった (Fig. 2g)。これに対し、IFN-γシグネチャースコアが高く、かつTMBも高い患者群 (n=9) では病理学的奏効率が100%であった。IFN-γシグネチャースコアが高いのみの患者群 (n=11) では91%、TMBが高いのみの患者群 (n=16) では88%の病理学的奏効率であった。対応して、IFN-γシグネチャースコアが低く、TMBも低い患者群の2年EFSは49.5%と有意に低く、他のグループ (IFN-γ低/TMB高: 83.3%、IFN-γ高/TMB低: 93.8%、IFN-γ高/TMB高: 100%) と比較して明確な差が認められた (p = 0.0018) (Fig. 2h)。sROC曲線下の面積 (AUC) は、IFN-γシグネチャースコアとTMBの組み合わせで0.83であり、単独バイオマーカー (IFN-γシグネチャースコア: 0.67; TMB: 0.76) よりも高かった (Fig. 2e,f, Extended Data Fig. 6d)。

その他のバイオマーカー: MCP (Microenvironment Cell Populations) カウンターシグネチャーを用いた解析では、病理学的奏効患者においてすべての免疫細胞集団のレベルが高いことが示された。GSEAでは、奏効患者で複数の免疫経路、増殖経路、シグナル伝達経路が上方制御されていることが明らかになった。興味深いことに、非奏効患者では血管新生および上皮間葉転換の遺伝子セットが上方制御されていた (Extended Data Fig. 6f)。血漿プロテオミクス解析では、術前非奏効患者でVEGFR-2 (p < 0.0001)、CX3CL1 (C-X3-C motif chemokine ligand 1) (p = 0.0020)、PD-L2 (p = 0.0018) のレベルが有意に高いことが示された (Fig. 3b)。

地理的差異: 事後解析では、オーストラリアの患者がヨーロッパの患者と比較して病理学的奏効率が高い傾向が示された (84.2% vs 64.7%; オッズ比 2.50, p = 0.092) (Fig. 4a)。オーストラリアの患者は高齢で (中央値 60歳 vs 53歳, p = 0.017)、TMBが高い傾向にあった (p = 0.0003) (Fig. 4c)。年齢とTMBの間には正の相関が認められ (Fig. 4d)、オーストラリア患者のTMBが高いのは年齢や紫外線曝露の累積効果による可能性が示唆された。しかし、多変量解析では、IFN-γシグネチャースコアとTMBのみが病理学的奏効と有意に関連する因子として同定された。

考察/結論

本研究は、OpACINおよびOpACIN-neo試験の長期追跡データに基づき、切除可能III期メラノーマに対する術前イピリムマブ+ニボルマブ併用療法が、わずか6週間の治療で高い病理学的奏効率を誘導し、その病理学的奏効が極めて良好な長期無再発生存期間 (2年RFS率80%超) と強く相関することを示した。特に、病理学的完全奏効 (pCR) またはほぼ完全奏効 (near-pCR) を達成した患者では、2年RFS率が100%であり、病理学的奏効が長期予後の強力なサロゲートマーカーとなり得ることを明確に裏付けている。この知見は、術前免疫療法における早期の薬剤開発において病理学的奏効を主要評価項目とするパラダイムを確立し、その後のネオアジュバント免疫療法試験設計の標準を築いた点で新規性が高い。

先行研究との違い: これまでの研究では、術前免疫療法の有効性や毒性プロファイルが主に報告されていたが、本研究は、病理学的奏効と長期生存転帰との直接的な関連性を大規模なバイオマーマー解析と合わせて示した点で、これまで報告されていない重要な知見を提供する。特に、Liu et al. CancerDiscov 2016 のプレクリニカル研究で示唆された術前免疫療法の優位性が、臨床データで長期予後として実証されたことは大きな進展である。また、COMBI-AD試験ではIFN-γ遺伝子発現がRFSの予測因子であったがTMBはそうではなかったのと異なり、本研究ではIFN-γシグネチャーとTMBの両方が病理学的奏効と生存の両方に関連することが示された。

新規性: 本研究で初めて、術前腫瘍生検におけるIFN-γシグネチャースコアと腫瘍変異負荷 (TMB) が、病理学的奏効および再発リスクを予測する独立したバイオマーカーであることを大規模に同定した。特に、両バイオマーカーが低値の患者群では病理学的奏効率が39%と著しく低く、2年EFSも49.5%と有意に劣ることを示した点は新規である。この組み合わせバイオマーカーは、術前免疫療法への応答性が低い患者群を特定し、個別化された治療戦略を検討するための基盤を提供する。

臨床応用: 本知見は、III期メラノーマ患者に対する術前イピリムマブ+ニボルマブ併用療法の臨床応用を強く支持する。病理学的奏効を早期に評価することで、患者の予後を正確に予測し、非奏効患者に対しては追加の治療戦略(例:BRAF/MEK阻害剤併用、TIL療法など)を早期に検討することが可能となる。また、pCR達成患者における術後補助療法の省略(de-escalation)の可能性も示唆され、PRADO試験のような応答駆動型治療戦略の根拠となる。さらに、IFN-γシグネチャーとTMBの組み合わせは、術前免疫療法の恩恵を最も受ける患者群を選択するための診断コンパニオンとしての臨床的有用性を持つ。これは、NCCNやESMOガイドラインにおける術前ICI療法の推奨に寄与し、非小細胞肺癌 (NSCLC) などの他のがん種における術前ICI療法の開発(CheckMate 816、PACIFIC-R、NADIM系試験など)においても、病理学的奏効(主要病理学的奏効 (MPR)、pCR)がサロゲートエンドポイントとして採用されるなど、大きな影響を与えている。

残された課題: 今後の検討課題として、IFN-γシグネチャーおよびTMBが低値の非奏効患者に対する新たな治療戦略の開発が残されている。これには、IFN-γ誘導のためのSTINGアゴニストやTLRアゴニストの併用、またはGSEAで非奏効患者で上方制御が示された血管新生や上皮間葉転換経路を標的とする治療の検討が含まれる。例えば、VEGFR-2高値の非奏効患者に対する血管新生阻害剤とICIの併用療法 (NeoPeLe試験) が挙げられる。Voron et al. JExpMed 2015 の研究も、VEGF-AがCD8+ T細胞上の抑制性チェックポイント発現を調節することを示しており、血管新生と免疫応答の関連性を裏付けている。また、pCR達成患者における術後補助療法のde-escalationプロトコルの検証、およびバイオマーカー陰性患者における治療感度増強戦略の確立も重要である。本研究のサンプルサイズは比較的小さく、サブグループ間の正式な比較には限界があるため、バイオマーカーの妥当性を検証し、最適なカットオフ値を定義するためには、より大規模な患者コホートでの検証が必要である。長期的な有害事象、特に内分泌障害のような持続的な低グレードirAEの管理と患者のQOLへの影響も、今後の研究でさらに詳細に評価すべき課題である。

方法

対象患者: OpACINおよびOpACIN-neo試験に登録された、マクロスコピックなIII期メラノーマ(リンパ節転移を伴う)患者が対象とされた。OpACIN試験からは20名、OpACIN-neo試験からは86名が登録され、一部の除外後、最終的な解析対象は89名であった。患者は18歳以上で、組織学的に確認された切除可能なIII期メラノーマを有し、全身療法未治療であり、RECIST 1.1基準で少なくとも1つの測定可能なリンパ節転移を有することが条件であった。両試験は、それぞれNCT02437279およびNCT02977052として臨床試験登録されている。

治療プロトコル:

  • OpACIN試験: 患者は1:1でランダム化され、術後補助療法群(イピリムマブ3mg/kg + ニボルマブ1mg/kgを3週間ごとに4サイクル、手術後6週間から開始)または術前補助療法群(イピリムマブ3mg/kg + ニボルマブ1mg/kgを3週間ごとに2サイクル術前投与、その後リンパ節郭清手術、さらに術後2サイクル投与)のいずれかに割り当てられた。
  • OpACIN-neo試験: 患者は1:1:1でランダム化され、以下の3つの治療アームのいずれかに割り当てられた。
    • Arm A: イピリムマブ3mg/kg + ニボルマブ1mg/kgを3週間ごとに2サイクル投与。
    • Arm B: イピリムマブ1mg/kg + ニボルマブ3mg/kgを3週間ごとに2サイクル投与。
    • Arm C: イピリムマブ3mg/kgを3週間ごとに2サイクル投与後、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに2サイクル投与。 すべての患者は、術前補助療法後に6週目で治療的リンパ節郭清手術が予定された。

病理学的奏効の評価: 病理学的奏効は、OpACINでは1名の盲検化された病理医が、OpACIN-neoでは2名の経験豊富な盲検化された病理医が、INMC (International Neoadjuvant Immunotherapy in Melanoma Consortium) の病理学的奏効基準に従って評価した。

  • Pathologic complete response (pCR): 残存腫瘍細胞0%。
  • Near-complete pathologic response (near-pCR): 残存腫瘍細胞10%以下。
  • Pathologic partial response (pPR): 残存腫瘍細胞50%以下。
  • Pathologic non-response (pNR): 残存腫瘍細胞50%超。

長期フォローアップ: OpACIN-neo試験では中央値24.6ヶ月、OpACIN試験では中央値48.0ヶ月の追跡期間で、無再発生存期間 (RFS) および全生存期間 (OS) が解析された。RFSは手術日から最初の再発またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義され、イベントフリー生存期間 (EFS) はランダム化日から術前治療中の進行、手術不能な局所進行、再発、またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義された。

バイオマーカー解析:

  • 腫瘍組織検体: 術前リンパ節生検から得られた腫瘍組織を用いて、バルクRNAシーケンス、全エクソームシーケンス (WES)、フローサイトメトリー、免疫組織化学 (IHC) (PD-L1、CD8) が実施された。RNAシーケンスデータは Dobin et al. Bioinformatics 2013 を用いてヒト参照ゲノムにマッピングされ、Anders et al. Bioinformatics 2015 でカウントデータが生成された後、Love et al. GenomeBiol 2014 で解析された。IFN-γシグネチャーは Ayers et al. JClinInvest 2017 が記述した18遺伝子シグネチャーの平均zスコアとして算出された。WESデータは Li et al. Bioinformatics 2009 でアラインメントされ、GATK MuTect2で体細胞変異がコールされ、TMBは非同義体細胞変異の総数として計算された。GSEA (Gene Set Enrichment Analysis) は Subramanian et al. ProcNatlAcadSciUSA 2005 の手法に基づき、Liberzon et al. CellSyst 2015 の遺伝子セットを用いて実施された。
  • 血漿検体: Olinkプロテオミクスアッセイを用いて、92種類の免疫腫瘍関連マーカーが血漿サンプルで評価された。

統計解析: R (version 3.6.3) およびR Studio (version 1.2.1335) を用いて解析が実施された。RFSおよびEFSの推定にはカプラン・マイヤー法が用いられ、群間の比較にはログランク検定が使用された。病理学的奏効の予測因子を評価するため、単変量および多変量ロジスティック回帰分析が実施された。バイオマーカーの判別能力は、sROC (summary receiver operating characteristic) 曲線下の面積 (AUC) で評価された。最適なカットオフ値はcutpointrパッケージを用いて決定された。