• 著者: Dummer R, Ascierto PA, Nathan P, Robert C, Schadendorf D
  • Corresponding author: Reinhard Dummer, MD (Department of Dermatology, University of Zürich Hospital, Zurich, Switzerland)
  • 雑誌: JAMA Oncology
  • 発行年: 2020
  • Epub日: 2020-09-24
  • Article種別: Review
  • PMID: 32970096

背景

転移性メラノーマの治療は、免疫チェックポイント阻害薬 (immune checkpoint inhibitor: ICI) および BRAF/MEK 阻害薬の登場によって根本的に変革された。BRAF V600 変異は転移性メラノーマ患者の約 50% に認められ (Davies et al. Nature 2002)、この変異が MAPK (mitogen-activated protein kinase) 経路を恒常的に活性化してメラノーマ細胞の増殖・生存を駆動することは、オンコジェニックキナーゼシグナリングの観点から基礎的に確立されている (Blume-Jensen et al. Nature 2001)。BRAF/MEK 阻害薬 (dabrafenib+trametinib、vemurafenib+cobimetinib、encorafenib+binimetinib) は奏効率 (objective response rate: ORR) 64-70% と高い初期奏効を達成するが、腫瘍不均一性・MAPK 経路再活性化といった多様な耐性機序のため多くの患者で中央値 11〜15 ヶ月での耐性獲得が問題となる。一方、pembrolizumab、nivolumab、nivolumab+ipilimumab などの ICI は ORR こそ 45-58% とやや低いが、CheckMate 067 試験で 5 年全生存率 (overall survival: OS) が 44-52% と長期生存の達成が報告されている。

これら 2 つの治療法が「急速な奏効だが耐性獲得が早い」BRAF/MEK 阻害薬と「緩徐な奏効だが長期持続」という ICI という相補的な奏効動態を示すことは、両者の組み合わせによる相乗効果の期待を生んでいた。前臨床研究では BRAF/MEK 阻害薬が腫瘍微小環境 (tumor microenvironment: TME) の免疫学的側面を一過性に改善することが示されてきたが、この免疫活性化が治療後わずか 2 週間前後でピークに達し後退するという「ウィンドウ」の存在が、最適な ICI 開始タイミングや同時投与 vs 逐次投与の選択に関する知識ギャップ (gap in knowledge) として手薄な状態が続いていた。さらに、Phase 3 ランダム化試験での有効性確認が不足しており、標準治療に対する 3 剤同時投与の優越性を証明するエビデンスが得られていなかった。本レビューは、ICI と BRAF/MEK 阻害薬の組み合わせ・逐次投与の科学的根拠と臨床試験データを系統的に整理することを目的とした (Weinstein et al. Science 2002 が論じたオンコジーン依存性の概念もこの標的療法の根拠を支える)。

目的

転移性 BRAF V600 変異型メラノーマにおける ICI と BRAF/MEK 阻害薬の併用療法および逐次投与の理論的根拠を体系的に整理することを目的とした。具体的には、(1) BRAF/MEK 阻害薬が TME に与える免疫修飾効果のメカニズム (サイトカイン・抗原提示・免疫細胞組成の変化) を前臨床および生検データから詳解し、(2) KEYNOTE-022 (pembrolizumab+dabrafenib+trametinib combined therapy Phase 1/2 trial)、IMspire150 (atezolizumab+vemurafenib+cobimetinib combination Phase 3 trial)、COMBI-i (Combined BRAF and MEK Inhibition with Immunotherapy Phase 3 trial) を含む主要な Phase 1-3 試験の結果を評価し、(3) 同時投与 vs 逐次投与に関する未解決の臨床的課題と今後の方向性を論じる。

結果

BRAF/MEK 阻害薬と ICI 単独療法の Phase 3 長期アウトカム比較: 2020 年時点の主要 Phase 3 試験における 5 年アウトカムデータは ICI と標的療法の相補的な奏効動態を明確に示す (Table 1、Figure 1B)。BRAF/MEK 阻害薬の 5 年 OS 率は COMBI-d (dabrafenib+trametinib、n=563) で 34%、coBRIM (vemurafenib+cobimetinib、n=247) で 31%、5 年 PFS 率はそれぞれ 19%・14% であった。COLUMBUS (encorafenib+binimetinib、n=192) では OS 中央値 33.6 ヶ月、PFS 中央値 14.9 ヶ月を示した。一方 ICI の 5 年 OS 率は KEYNOTE-006 (pembrolizumab、n=368) で 43%、CheckMate 067 (nivolumab+ipilimumab、n=314) で 52%、CheckMate 067 (nivolumab 単剤、n=316) で 44% であった。5 年 PFS 率は CheckMate 067 の nivolumab+ipilimumab 群で 36%、nivolumab 単剤で 29% と、BRAF/MEK 阻害薬の 14-19% を大きく上回った。乳酸脱水素酵素 (lactate dehydrogenase: LDH) 高値患者でも CheckMate 067 の nivolumab+ipilimumab 群が 5 年 OS 率 38% と最も優れた成績を示した。これらのデータは、高い初期奏効率を持つ BRAF/MEK 阻害薬と長期奏効持続性を持つ ICI を組み合わせることで、より多くの患者に急速かつ持続的な恩恵をもたらす可能性を支持する (Figure 1A)。

BRAF/MEK 阻害薬による TME 免疫修飾メカニズムと「免疫活性化ウィンドウ」: BRAF V600 変異メラノーマの TME は、IL-6・IL-8 等の免疫抑制性サイトカインの高産生、メラノーマ分化抗原 (melanoma differentiation antigen: MDA) およびヒト白血球抗原 (human leukocyte antigen: HLA)/主要組織適合複合体 (major histocompatibility complex: MHC) クラス I の発現低下、腫瘍浸潤リンパ球 (tumor-infiltrating lymphocyte: TIL) の減少、制御性 T 細胞 (regulatory T cell: Treg) と骨髄由来免疫抑制細胞 (myeloid-derived suppressor cell: MDSC) の優位を特徴とする。BRAF/MEK 阻害薬はこれを一過性に免疫活性化方向へ転換させることが前臨床・生検研究から示されている (Figure 2A)。具体的には、(1) dabrafenib+trametinib 治療中生検で IL-6・IL-8 が低下 (IL-10・TGF-β は変化なし)、(2) BRAF 阻害薬が I 型インターフェロン (interferon: IFN)-α 受容体-1 の低下を阻止し IFN-α 免疫調節シグナルを回復、(3) BRAF/MEK 阻害薬が MDA mRNA・タンパク発現と HLA/MHC 表面発現を増加させ T 細胞による腫瘍認識能を改善、(4) 治療中生検で PD-1+・CD4+・CD8+ リンパ球の浸潤増加と活性化が確認、(5) TIL 動員を抑制するケモカイン CCL2 の産生が低下、(6) 樹状細胞 (dendritic cell: DC) 成熟と T 細胞プライミング能が改善、(7) NK 細胞増殖・機能が増強、(8) Treg・MDSC が減少することが報告された。さらに BRAF V600 変異は CD73 を介したアデノシンシグナリング亢進と関連し、奏功患者の生検で BRAF 阻害薬による CD73 発現低下が確認された。この免疫活性化は治療開始から約 2 週間でピークに達したのちに後退し、10〜14 日後には腫瘍関連マクロファージが増加するという「ウィンドウ」が前臨床モデルおよび COMBI-i 生検データで示唆されている。耐性獲得時には MDA 発現低下・CD8+ TIL 減少・MDSC 回復が生じ、治療初期に低下した PD-L1 も耐性クローンで上昇する。この「2 週以内の免疫活性化ウィンドウ」は ICI 開始タイミングの重要性を示す中核的知見である。

早期 Phase 1/2 試験:ipilimumab 併用の高毒性と抗 PD-1/PD-L1 抗体への転換: 初期試験として ipilimumab+vemurafenib (NCT01400451) は重篤な肝毒性のため早期中止、dabrafenib+trametinib+ipilimumab (NCT01767454) は重篤な消化器毒性のため早期中止となった (Table 2)。逐次投与試験 (vemurafenib 後 ipilimumab、NCT01673854、n=46) は忍容性が改善したが ORR は 32.6% に留まった。これらの知見から抗 PD-1/PD-L1 抗体との組み合わせへ方針が転換された。durvalumab+dabrafenib+trametinib (NCT02027961、n=26) では ORR 69%・奏効継続率約 90% (追跡中央値 7.1 ヶ月)、CD8+ TIL と血漿 IFN-γ の増加が確認された。Phase 1b 試験 NCT01656642 (atezolizumab+vemurafenib+cobimetinib、n=39 vs atezolizumab+vemurafenib、n=17) では ORR は同等 (71.8% vs 76.5%) であったが、完全奏効 (complete response: CR) 率 (20.5% vs 17.6%) および奏効期間 (duration of response: DOR) 中央値 (17.4 vs 10.6 ヶ月) は 3 剤群で優れていた。PFS 中央値 12.9 vs 10.9 ヶ月、OS 中央値は未到達 vs 46.2 ヶ月 (追跡中央値 29.9 ヶ月)。28 日間の run-in 後に CD8+ TIL と CD4+ ヘルパー T 細胞が増加し、後者は atezolizumab 追加でさらに増強された (Figure 2B)。Grade 3/4 有害事象 (adverse event: AE) の発生率は 3 剤群でやや低く (66.7% vs 88.2%)、重篤 AE と投与中止はむしろ多かった。

KEYNOTE-022 試験 (pembrolizumab+dabrafenib+trametinib): Phase 1/2 試験 KEYNOTE-022 の用量設定コホート (n=15) では治療後に CD8・PD-L1・MHC 抗原・T 細胞炎症性 GEP の増加が確認された (Figure 2B)。ランダム化コホート (N=120、追跡中央値 9.6 ヶ月) の主要解析では PFS 中央値 16.0 vs 10.3 ヶ月 (HR 0.66、95% CI 0.40-1.07、p=0.04) と事前規定の有意水準は未達であったが、追加追跡 (約 20 ヶ月延長) での更新解析では PFS 中央値 16.9 vs 10.7 ヶ月 (HR 0.53、95% CI 0.34-0.83)、OS 中央値は未到達 vs 26.3 ヶ月 (HR 0.64) と差が拡大した。2 年 PFS 率 41% vs 16%、2 年 OS 率 63% vs 52%、DOR 中央値 18.7 vs 12.5 ヶ月、CR 率 18% vs 13% と、追跡期間延長とともに 3 剤群の優位性が一層明確となり、長期的な有用性が示唆された。

COMBI-i 試験 Parts 1/2 (spartalizumab+dabrafenib+trametinib): Phase 3 試験の安全性・バイオマーカーコホート (n=36、追跡中央値 24.3 ヶ月) では確認 ORR 78% (うち CR 44%)、PFS 中央値 23 ヶ月、24 ヶ月 OS 率 74%、24 ヶ月 DOR 率 53% という良好な成績が示された (Table 2)。Grade 3/4 治療関連 AE は 72% と高頻度であったが主に発熱であり用量中断で管理可能であった。バイオマーカー解析では高 TMB・高 T 細胞炎症性 GEP・低免疫抑制性 TME GEP がいずれも長期 PFS (>12 ヶ月) と有意に関連し、低ベースライン NLR または低 IL-8 血清値も長期 PFS・CR との相関が示された (Figure 2B)。治療 2〜3 週でのT 細胞炎症性 GEP 増加と MAPK 経路活性化スコア低下は早期進行患者では進行時点で消失しており、この一過性の免疫活性化が耐性機序と関連する可能性が改めて支持された。治療中の追加変化として CD8+ TIL・血漿 IFN-γ・PD-L1・LAG-3・TIM-3・CD163 の発現増加、CRP・骨髄細胞・MDSC の低下が腫瘍縮小と相関する傾向を示した。

IMspire150 Phase 3 試験:初の統計的有意な PFS 改善: BRAF V600 変異転移性メラノーマを対象とした Phase 3 試験 IMspire150 (n=514、追跡中央値 18.9 ヶ月) において、atezolizumab+vemurafenib+cobimetinib は vemurafenib+cobimetinib 単独に対し Phase 3 として初めて統計的に有意な PFS 改善を示した。治験責任医師評価による PFS 中央値 15.1 vs 10.6 ヶ月 (HR 0.78、95% CI 0.63-0.97、p=0.03)、18 ヶ月 PFS 率 43.6% vs 31.6% であり、中枢神経系 (central nervous system: CNS) 転移発症までの時間も延長された (Table 1)。OS 中央値 28.8 vs 25.1 ヶ月 (HR 0.85、p=0.22) は現時点で有意差なしだが、18 ヶ月 OS 率 60.4% vs 53.1% と徐々に乖離しており、追跡期間延長での OS 改善が期待された。ORR は 66.3% vs 65.0% (CR 率 15.7% vs 17.1%) と同等であったが DOR 中央値は 21.0 vs 12.6 ヶ月と 3 剤群で著明に長かった。両群に 28 日間の vemurafenib run-in を設けた設計であり、3 剤群 vemurafenib 用量 (720 mg) が 2 剤群 (960 mg) より低い点は比較の制約となる。AE による投与中止率は 12.6% vs 15.7% とほぼ同等で、患者報告アウトカム (patient-reported outcome: PRO) でも QOL への有意な悪影響は認められなかった。

TRIDeNT 試験・逐次投与・間欠投与戦略: 抗 PD-1 前治療歴あり、または CNS 転移を有する BRAF 変異メラノーマ患者 (N=26、追跡中央値 13.1 ヶ月) を対象とした Phase 2 TRIDeNT 試験 (nivolumab+dabrafenib+trametinib) では ORR 91%、PFS 中央値約 8 ヶ月を達成した。CR 3 例中 2 例が CNS 転移例であり、最も予後不良な部分集団での高い奏効が示された (Table 2)。逐次投与の課題として、過去の後ろ向き研究では投与順序に関わらず 2 次治療での奏効率が低下することが報告されている。また ICI 後に標的療法を投与する順序ではサイトカイン放出症候群 (cytokine release syndrome) という稀ながら重篤な AE が報告されており、逐次固有の毒性リスクが存在する。間欠投与戦略として IMPemBra (Intermittent MEK-BRAF inhibitor Plus PEMBrolizumab Phase 2 trial) 試験 (Phase 2、pembrolizumab+dabrafenib+trametinib の間欠投与 vs 連続投与) では、3 週毎の間欠投与群で Grade 3/4 AE 率 12% vs 連続投与群 62% と毒性を大幅に低減でき、ORR は投与スケジュール間で同等であった。進行中の主要試験として、SECOMBIT (Sequential Combination of BRAF/MEK Inhibitor and Immunotherapy in Melanoma trial、encorafenib+binimetinib vs nivolumab+ipilimumab 先行順序の比較)、DREAMseq (Doublet, triplet, or Sequencing for Advanced Melanoma Phase 3 sequential therapy trial、OS を主要エンドポイントとした逐次投与の順序比較、N=300)、EBIN (Phase 2、encorafenib+binimetinib 後 nivolumab+ipilimumab の逐次 vs nivolumab+ipilimumab)、COWBOY、IMMU-TARGET 等が最適戦略の解明を目指して進行中である (Table 3)。

考察/結論

本レビューは、BRAF/MEK 阻害薬が TME に誘導する治療後 2 週以内の免疫活性化ウィンドウを根拠とした ICI+標的療法の科学的根拠を体系的に整理した。IMspire150 試験が Phase 3 で初めて統計的有意な PFS 改善を示したことは (HR 0.78、95% CI 0.63-0.97、p=0.03)、この治療戦略の有効性を支持する重要なエビデンスである。

これまでの研究との違い: 既報では ipilimumab と BRAF 阻害薬の組み合わせが許容できない肝・消化器毒性のために中止されていたが、本レビューが対象とした抗 PD-1/PD-L1 抗体との組み合わせでは Grade 3/4 AE が高頻度ながら用量調整で概ね管理可能であることが示されており、既報の知見と対照的である。また、これまでの研究では Phase 3 での ICI+標的療法の有効性確認が欠如しており、IMspire150 の登場によりこのエビデンスの空白が初めて埋められた点が本レビューの意義である。さらに、MEK 阻害薬が T 細胞機能を障害するという早期の in vitro 報告と異なり、後続の生検・マウスモデル研究では BRAF・MEK 阻害薬の同時投与が TME の免疫活性化をより増強することが示されており、この点も従来の懸念を覆す新たな知見である。

新規性: IMspire150 試験が ICI と BRAF/MEK 阻害薬の 3 剤同時投与を Phase 3 で初めて有意に PFS を改善することを実証した点が最大の新規の知見である。また COMBI-i Parts 1/2 のバイオマーカー解析から、TMB・T 細胞炎症性 GEP・NLR・IL-8 といった奏効予測マーカーの候補が novel な知見として示された。BRAF V600 変異とアデノシンシグナリング亢進の関連、ならびに BRAF 阻害薬によるその抑制が腫瘍縮小と相関するという知見もこれまで報告されていない重要な機序的発見である。免疫活性化ウィンドウが治療後 2 週以内に最大化し後退するというタイムラインの詳細解析は、今後の臨床試験デザインにおける ICI 投与開始時期の設定に直接的な示唆を与える新規な情報である。

臨床的意義: ICI+BRAF/MEK 阻害薬の組み合わせは「急速な初期奏効」と「免疫記憶に基づく長期応答」の両立を目指す戦略として、転移性メラノーマの臨床応用において重要な位置を占めつつある。TRIDeNT 試験が示した CNS 転移・抗 PD-1 前治療例での ORR 91% は、従来の治療で予後不良な患者集団に対する臨床的有用性を示す重要な知見である。間欠投与による毒性低減 (Grade 3/4 AE 12% vs 62%) は外来での長期管理における臨床現場への貢献が期待される。IMspire150 での DOR 中央値の著明な延長 (21.0 vs 12.6 ヶ月) は、bench-to-bedside の観点で TME 免疫修飾の基礎研究知見が臨床的改善に結実した事例として臨床的意義が高い。

残された課題: 今後の検討として、(1) 同時投与 vs 逐次投与の優劣が未解決であり DREAMseq・SECOMBIT・EBIN からの解答が待たれる、(2) 現標準治療である nivolumab+ipilimumab (5 年 PFS 率 36%) との直接比較が行われていないため真の付加価値が不明である、(3) TMB・GEP・NLR・IL-8 などの候補バイオマーカーの前向き検証と patient selection への応用に関する residual limitation がある、(4) MAPK 経路再活性化をはじめとする耐性機序の克服戦略や免疫抑制環境への回帰を防ぐ維持療法の役割が future research として挙げられる。これらの残された課題を解決するための進行中試験の成熟したデータが、転移性メラノーマ治療戦略の最適化に不可欠である。

方法

本レビューは PubMed、Embase 等の主要医学データベースを用いた系統的文献レビューであり、特定患者コホートへの直接介入は行っていない。検索キーワードには「melanoma」「BRAF inhibitor」「MEK inhibitor」「immune checkpoint inhibitor」「combination therapy」「tumor microenvironment」「sequential therapy」等を含め、BRAF V600 変異陽性転移性メラノーマを対象とした前臨床研究ならびに Phase 1〜3 試験を主な対象とした。

参照した主要な試験として、BRAF/MEK 阻害薬の Phase 3 試験 (COMBI-d (Combined BRAF and MEK Inhibition with dabrafenib+trametinib Phase 3 trial)、COLUMBUS (encorafenib+binimetinib versus vemurafenib Phase 3 trial)、coBRIM (cobimetinib+vemurafenib versus placebo+vemurafenib Phase 3 trial)) および ICI の Phase 3 試験 (KEYNOTE-006 (pembrolizumab versus ipilimumab Phase 3 trial)、CheckMate 067 (nivolumab with/without ipilimumab versus ipilimumab Phase 3 trial)) の 5 年追跡データを比較基盤とした。ICI+BRAF/MEK 阻害薬の併用試験として NCT02027961 (durvalumab+dabrafenib+trametinib、Phase 1)、NCT01656642 (atezolizumab+vemurafenib+cobimetinib、Phase 1b)、KEYNOTE-022/NCT02130466 (pembrolizumab+dabrafenib+trametinib、Phase 1/2)、TRIDeNT (Triple combination Therapy of Nivolumab, Dabrafenib and Trametinib)/NCT02910700 (Phase 2)、COMBI-i/NCT02967692 (spartalizumab+dabrafenib+trametinib、Phase 3)、IMspire150/NCT02908672 (atezolizumab+vemurafenib+cobimetinib、Phase 3) を評価した (Table 2、Table 3)。

各試験の主要エンドポイント (無増悪生存期間: PFS、OS) の解析には Kaplan-Meier 法および Cox 比例ハザードモデルによるハザード比 (hazard ratio: HR) 推定が用いられた。バイオマーカー解析では腫瘍変異負荷 (tumor mutational burden: TMB)、T 細胞炎症性遺伝子発現プロファイル (gene expression profile: GEP)、好中球/リンパ球比 (neutrophil-to-lymphocyte ratio: NLR)、インターロイキン (interleukin: IL)-8 などの免疫マーカーを検討した。TME に対する免疫修飾効果は治療中生検 (on-treatment biopsy) の免疫組織化学・flow cytometry・遺伝子発現解析で評価された。