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Cemiplimab Plus Chemotherapy Versus Chemotherapy in Advanced NSCLC: 5-year Results From Phase 3 EMPOWER-Lung 3 Part 2 Trial

  • 著者: Ana Baramidze, Tamta Makharadze, Miranda Gogishvili ほか、Israel Lowy, Heather Magnan (Regeneron)
  • Corresponding author: Ana Baramidze (Acad. F. Todua Medical Center, Tbilisi, Georgia)
  • 雑誌: Journal of Thoracic Oncology (Journal Pre-proof)
  • 発行年: 2026
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Original Article (randomized phase 3 trial, 5-year follow-up)
  • PMID: 42297188

背景

転移性非小細胞肺癌 (NSCLC) のうち EGFR/ALK/ROS1 などの標的可能ドライバー変異を持たない患者では、抗 PD-1/PD-L1 抗体と化学療法やその他の免疫療法との併用が一次治療の重要な選択肢となり、米国・EU で複数の併用レジメンが承認されている。Cemiplimab は完全ヒト化抗 PD-1 抗体で、PD-L1 高発現 (TPS≥50%) 腫瘍では単剤、いかなる PD-L1 発現レベルでもプラチナベース化学療法との併用で一次治療として承認されている (Sezer et al. Lancet 2021)。EMPOWER-Lung 3 Part 2 (二重盲検プラセボ対照第3相) の主要解析および 2 年追跡解析では、cemiplimab + 化学療法が扁平・非扁平いずれの NSCLC でも有意な生存延長を示すことが報告された (Gogishvili et al. NatMed 2022)。しかし、こうした併用療法の 5 年という長期の生存転帰・長期生存者の特徴・安全性プロファイルは十分に報告されておらず、特に 2 年間 (36 サイクル) の cemiplimab 投与を完遂した患者の長期予後という未解明の臨床的ギャップが残っていた。本研究はこの空白を埋めるため、5 年追跡の有効性・安全性と治療完遂例の転帰を報告することを目的とした。

目的

EMPOWER-Lung 3 Part 2 試験に登録されたドライバー陰性進行 NSCLC 患者を対象に、(1) 一次治療としての cemiplimab + 化学療法 vs 化学療法単独の 5 年追跡における全生存 (OS)・無増悪生存 (PFS)・奏効率 (ORR)・奏効持続期間 (DOR) を更新する、(2) 組織型 (扁平/非扁平) および PD-L1 発現レベル別の有効性を探索する、(3) cemiplimab を 36 サイクル完遂した患者の長期転帰を評価する、(4) 長期安全性プロファイルを記述することを目的とした。

結果

5 年追跡でも OS・PFS の持続的改善が確認された:466例が cemiplimab + 化学療法 (n=312) または化学療法単独 (n=154) に 2:1 で無作為化され、追跡期間中央値 60.9 か月 (IQR 58.5-63.5) の時点で OS 中央値は 21.1 か月 (95% CI 15.9-23.9) vs 12.9 か月 (95% CI 10.6-16.1) で cemiplimab 群が有意に良好であった (HR 0.66, 95% CI 0.53-0.83, p=0.0002; Fig 1A)。PFS 中央値も 8.2 か月 (95% CI 6.5-9.0) vs 5.5 か月 (95% CI 4.3-6.2) で改善し (HR 0.58, 95% CI 0.47-0.72, p<0.0001; Fig 1C)、5 年 OS 率は 19.4% vs 8.8% と倍以上の差を示した。死亡は cemiplimab 群 232/312例 (74.4%)、化学療法群 129/154例 (83.8%) であった。治療中止は cemiplimab 群 242例 (77.6%)、化学療法群 151例 (98.1%) で、主因はいずれも病勢進行 (それぞれ 51.3%・68.2%) であった。進行例での後治療免疫療法の使用は cemiplimab 群 4.6% (9/191) に対し化学療法群では 19.8% (20/101) と多く、クロスオーバー不可の設計下でも対照群の一部が後治療 ICI の恩恵を受けていた点を踏まえても OS 差が維持された。

奏効率と完全奏効が時間とともに改善した:ORR は 43.6% (95% CI 38.0-49.3) vs 22.1% (95% CI 15.8-29.5) で cemiplimab 群が高く (odds ratio 2.82, 95% CI 1.8-4.42, p<0.0001; Fig 2A)、完全奏効 (CR) は 6.4% (20/312) vs 0% (0/154) であった。CR 例数は主要解析時の 8例 (2.6%) から 5 年追跡で 20例 (6.4%) へ増加し、長期的な深い奏効の蓄積を示した。DOR 中央値は 16.4 か月 (95% CI 13.1-19.5) vs 7.3 か月 (95% CI 4.2-11.3) であった (Fig 2B)。

扁平・非扁平両組織型と PD-L1 サブグループで効果が一貫した:扁平型 (n=200) では OS 中央値 22.3 か月 vs 13.8 か月 (HR 0.68, 95% CI 0.49-0.94)、非扁平型 (n=266) では 19.4 か月 vs 12.4 か月 (HR 0.62, 95% CI 0.46-0.82) と両組織型で生存延長が得られた (Fig 3A-D)。PD-L1 別 OS は <1% で HR 0.99 (95% CI 0.67-1.46) と効果が乏しい一方、1-49% で HR 0.46 (95% CI 0.32-0.66)、≥50% で HR 0.63 (95% CI 0.42-0.92) と高発現群で顕著であった。ORR も PD-L1 上昇に伴い 32.6%・43.9%・53.4% と増加し、DOR 中央値も <1% で 13.0 か月、1-49% で 15.8 か月、≥50% で 18.7 か月と発現レベルに比例して延長した。組織型と交差させた解析では、唯一 PD-L1<1% 非扁平サブグループのみで OS の優越性が認められず、これは検出力不足の探索的解析の限界 (multiplicity・小標本) と STK11/KEAP1 変異等の未測定交絡を反映する可能性が考察された。一方 PFS・ORR は PD-L1<1% 非扁平を含む全サブグループで cemiplimab 群が優れていた。

36 サイクル完遂例は極めて良好な長期予後を示した:cemiplimab 群 312例中 71例 (22.8%) が 36 サイクル (約 2 年) を完遂し、治療完遂からの追跡期間中央値 29.5 か月の時点で 3 年 OS 率 (無作為化から約 5 年) は 57.3% であった (Fig 4A)。このサブグループの PFS 中央値は 45.7 か月、ORR は 88.7% (CR 17例、PR 46例) と高く、Grade 3 以上の免疫関連有害事象は 2.8% にとどまった。安全性は新たなシグナルなく、Grade 3 以上の治療下発現有害事象 (TEAE) は 49.4% vs 32.7%、最頻は貧血 (10.9% vs 6.5%) と好中球減少 (6.4% vs 5.9%) であった (Table 2)。

考察/結論

本 5 年追跡解析は、ドライバー陰性進行 NSCLC の一次治療において cemiplimab + 化学療法が化学療法単独に対し臨床的に意義ある持続的 OS 改善 (HR 0.66、5 年 OS 率 19.4%) を維持することを示した。主要解析時の OS HR 0.71・中央値 21.9 か月という先行報告の値と異なり、より長い追跡で HR が 0.66 へ改善した点は、ICI 併用に特徴的な長期持続効果 (tail) の表れである。これは pembrolizumab の KEYNOTE-189 (Rodriguez-Abreu et al. AnnOncol 2021)・nivolumab+ipilimumab・durvalumab+tremelimumab で報告された 5 年生存率 15-19% と整合し、PD-1 阻害薬を含む併用が化学療法単独では到達しえない長期生存者層を生む点を再確認させる。CR 例数が経時的に 2.6% から 6.4% へ増加した知見は、これまで報告されていない深い奏効の長期蓄積を定量的に裏付ける新規な観察である。臨床的意義として、扁平型でも OS 中央値 22.3 か月が得られたことは、KEYNOTE-407 の 17.2 か月や atezolizumab (IMpower131 試験)・durvalumab (POSEIDON 試験) が扁平型で生存延長を示せなかった経緯に照らし重要であり、扁平型一次治療の選択肢として本レジメンを支持する臨床現場への橋渡しとなる。さらに 36 サイクル完遂例の 3 年 OS 率 57.3% は、約 2 年の計画的治療を完遂できる比較的良好な全身状態の患者が最大の便益を得ることを示唆する。一方で残された課題として、PD-L1<1% 非扁平サブグループで OS 優越性を示せなかった理由は検出力不足の探索的解析の限界 (limitation) に起因し、STK11/KEAP1 等の分子修飾因子の前向き検証が今後の検討課題である。また治療完遂例は予後良好な患者に偏っており、選択バイアスの観点からも因果的解釈には注意を要する。

方法

EMPOWER-Lung 3 (NCT03409614, Part 2) は 10 か国 74 施設で実施されたグローバルな無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験。対象は EGFR/ALK/ROS1 変異陰性、ECOG PS 0-1、未治療の StageIIIB/C (根治不能) または StageIV の扁平/非扁平 NSCLC。患者は組織型と PD-L1 発現 (<1%、1-49%、>50%) で層別し 2:1 で無作為化、cemiplimab 350mg を 3 週ごと最大 108 週、またはプラセボを、いずれも 4 サイクルのプラチナベース化学療法に併用した。クロスオーバーは不可。PD-L1 は中央検査室で SP263 アッセイ (Roche) により評価、画像評価は独立評価委員会が RECIST v1.1 で判定、有害事象は NCI-CTCAE v4.03 で grading した。主要評価項目は OS、副次項目は PFS・ORR・DOR・安全性。有効性は intention-to-treat (ITT) 集団、安全性は 1 回以上投与例で解析。OS・PFS は層別 log-rank 検定、HR は層別 Cox 回帰 (treatment を共変量) で推定、ORR は Cochran-Mantel-Haenszel 法、DOR は Kaplan-Meier 法で算出した。サブグループ・探索解析は正式な有意差検定のための検出力を備えていない。解析は SAS v9.4 以上で実施、データベースロックは 2025 年 6 月 11 日 (最終患者最終来院 (LPLV; last patient last visit) 2025 年 2 月 27 日)。