• 著者: Khashayar Esfahani, Arielle Elkrief, Cassandra Calabrese, Réjean Lapointe, Marie Hudson, Bertrand Routy, Wilson H. Miller Jr, Leonard Calabrese
  • Corresponding author: Khashayar Esfahani (Department of Medicine, Division of Oncology, McGill University, Montreal, Quebec, Canada)
  • 雑誌: Nature Reviews Clinical Oncology
  • 発行年: 2020
  • Epub日: 2020-04-03
  • Article種別: Review
  • PMID: 32246128

背景

免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) は癌治療に革命をもたらしたが、その免疫活性化作用は免疫関連有害事象 (irAE) と呼ばれる広範な自己免疫様毒性を引き起こす。irAEは患者の約50%に発症し、生命を脅かす重篤な病態に至ることもあり、治療中止の主要な原因となる。現行のirAE管理ガイドライン (SITC、NCCN、ASCOなど) は、一次治療としてコルチコステロイドを推奨し、難治例には臓器横断的にTNF阻害薬などの免疫抑制剤を推奨している。しかし、これらのガイドラインは、原発性自己免疫疾患の治療アプローチを経験的に適用したものであり、irAEの多様な免疫病態を十分に考慮していない点が大きな課題である。例えば、腎irAEはリンパ球浸潤、補体介在性、自己抗体介在性、あるいはpauci-immune型など、同一臓器内でも異なる免疫組織病理学的発症機序を示すことが報告されている (Mamlouk et al. 2019)。現行の画一的な治療アプローチは、このような病態の多様性に対応できておらず、治療効果の限界や過剰な免疫抑制による感染症リスク、薬物毒性、さらには腫瘍免疫の抑制といったデメリットを伴う。

irAEの病態生理は、自己反応性T細胞やB細胞の活性化、病原性自己抗体の産生、主要組織適合遺伝子複合体 (MHC) ハプロタイプとの関連など、原発性自己免疫疾患との類似性が指摘されている (de Moel et al. 2019)。しかし、既存の自己免疫疾患を持つ患者がICI治療によって必ずしも病態悪化を来すわけではないことから、irAEの病因はより複雑であると考えられている (Abdel-Wahab et al. 2018)。また、irAEは自己免疫性だけでなく、自然免疫系の活性化が主導する自己炎症性コンポーネントを持つ可能性も示唆されている (Kastner et al. 2010)。例えば、炎症性腸疾患 (IBD) はNOD2遺伝子変異やマイクロバイオーム組成、自然免疫調節に関わる代謝経路との関連が指摘されており (Franzosa et al. 2019)、一部のirAEも腫瘍部位や系統、共生微生物叢によって発症パターンが影響を受けることが報告されている (Khoja et al. 2017)。自己免疫性irAEではTNF、IL-6、IL-17が病態を駆動する一方、自己炎症性irAEではIL-1やIL-23が主要な役割を果たすため、これらの区別は治療選択において重要な意味を持つ。

ICI治療の普及に伴い、irAEの発生頻度は増加傾向にあり、その管理は腫瘍医にとって喫緊の課題となっている (Thapa et al. 2019)。しかし、irAEの病態に関する基礎的・トランスレーショナル研究は依然として不足しており、治療戦略の経験的アプローチからの脱却が強く求められている。特に、腫瘍免疫を温存しつつirAEを効果的に抑制するというバランスの取れた治療は、irAE管理における重要な課題であり、個々の患者の病態に合わせた個別化治療戦略の確立が急務である。本レビューは、irAEの多様な免疫学的発症機序を詳細に分析し、それに基づいた標的治療の選択肢を提示することで、より精緻な個別化治療への道筋を示すことを目的としている。現在のガイドラインでは、同一臓器内でも異なる免疫組織病理学的所見を示すirAEの多様性に対応できておらず、この点が治療の最適化における主要なギャップである。

目的

本レビューの目的は、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) 治療に伴う免疫関連有害事象 (irAE) の個別化治療戦略を確立することである。具体的には、irAEの病態に関与する細胞性免疫 (T細胞、B細胞、自然免疫)、液性免疫 (サイトカイン、自己抗体)、シグナル伝達経路 (JAK-STAT、mTOR)、およびマイクロバイオームの役割を詳細に概説する。さらに、これらの免疫学的標的に対する既存および新規の治療戦略について、その作用機序、腫瘍免疫への潜在的影響、および主要な薬物特異的毒性を整理する。最終的に、重篤なirAE、特に心臓、肺、肝臓、大腸、神経筋系などの重要臓器に影響を及ぼすirAEに対して、臓器生検による免疫組織病理学的解析やフローサイトメトリー、サイトカイン・自己抗体測定などの詳細な診断テストに基づいた、実践的な個別化治療アルゴリズムを提案することを目指す。これにより、画一的な治療アプローチから脱却し、各患者のirAEの病態に最適な治療選択を可能にすることで、治療効果の最大化と有害事象の最小化を図ることを目的とする。

結果

irAEの免疫病態におけるT細胞の役割と標的治療: T細胞はほとんどのirAEの免疫病態の中心的な役割を担うと考えられている。抗CTLA-4抗体であるイピリムマブ (ipilimumab) 治療後2週間以内に、CD4+およびCD8+ T細胞レパートリーの急速な多様化と自己反応性クローンの出現がirAE発症に先行することがOh et alで示されている。免疫関連肺炎では、肺胞洗浄液中にCD8+中枢型メモリーT細胞の増加と制御性T細胞の減少が認められることがSuresh et al. JClinInvest 2019により報告された。T細胞を標的とする治療法としては、T細胞機能抑制作用を持つコルチコステロイドがirAE管理の主軸である。その他、ミコフェノール酸モフェチル (T細胞およびB細胞の選択的増殖抑制)、カルシニューリン阻害薬、メトトレキサート、腸管α4β7インテグリンを遮断するベドリズマブ (vedolizumab)、T細胞枯渇を誘導する抗胸腺細胞グロブリン (ATG) やアレムツズマブ (alemtuzumab)、T細胞アネルギーを誘導するアバタセプト (abatacept) などが記述されている。特に、生命を脅かす重篤なirAEに対しては、ATGやアレムツズマブによるT細胞枯渇療法が有効であった症例報告がある (Tay et al. 2017)。ベースラインでの高用量コルチコステロイド (≥10 mg/日) の使用は、ICI治療患者の無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) の改善を阻害する可能性があり、PFSのハザード比 (HR) は1.3 (p=0.03)、OSのHRは1.7 (p<0.001) であった (Arbour et al. 2018)。

irAEの免疫病態におけるB細胞と自己抗体の役割: CTLA-4およびPD-1は、B細胞の活性化、増殖、および調節機能においても重要な役割を果たすことが認識されつつある。ICI治療後のCD21低B細胞 (atypic memory B細胞) の増加がirAE発症リスクと相関することがDas et al. (2018)により示された。自己抗体が病態に寄与するirAE、例えば血液毒性、重症筋無力症 (MG)、シェーグレン症候群様irAEなどでは、抗CD20抗体であるリツキシマブ (rituximab) が有効とされる (Shiuan et al. 2017)。また、病原性自己抗体の除去を目的とした血漿交換や、自己反応性T細胞の不活性化、サイトカイン産生調節、B細胞活性化抑制、補体活性化干渉、マクロファージ・樹状細胞抑制、病原性自己抗体の抗イディオタイプ抗体による中和作用を持つ静注用免疫グロブリン (IVIG) も治療選択肢となる。IVIGは一般的に安全性が高いとされるが、急性腎障害や血栓塞栓症といった稀な副作用 (発生率 <1%) が報告されており、新たなirAEと混同される可能性がある (Gilardin et al. 2015)。

自然免疫とマイクロバイオームの役割: 自然免疫系は宿主を環境からの脅威から保護する重要な機能を持ち、ICI治療が自然免疫応答に与える影響は未だ十分に理解されていない。好酸球増多はirAEの早期予測バイオマーカーとして注目されており、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (pembrolizumab) 治療による好酸球増多を伴うirAE患者において、mTOR阻害薬であるシロリムス (sirolimus) が奏効した症例が報告されている (Esfahani et al. 2019)。腸内マイクロバイオームはICIの有効性と毒性の両方を調節することが示されている。イピリムマブ関連大腸炎に関する前向き研究 (n=26) では、Firmicutes門の腸内優勢がイピリムマブ関連大腸炎のリスクと関連し (p=0.009)、Bacteroidetes門の優勢は大腸炎に対して保護的であることが示された (p=0.011) (Chaput et al. 2017)。ステロイド、インフリキシマブ、ベドリズマブ難治性の大腸炎患者2例に対し、非癌患者からの便微生物叢移植 (FMT) を行ったところ、両患者で完全寛解が報告されている (Wang et al. 2018)。また、抗菌薬の使用は、ICI治療患者の全生存期間 (OS) 短縮およびirAEの発生率増加・重症化と関連するとのデータもある (Elkrief et al. 2019)。

サイトカイン標的治療:

  • TNF阻害薬 (インフリキシマブ): 5 mg/kgを静脈内投与し、48時間後に反応がなければ10 mg/kgを再投与する。免疫関連大腸炎への有効性が最も確立されており、単回投与で多くの患者が寛解に至る。重症大腸炎では一次治療としての使用も検討される (Johnson et al. 2018)。irAE治療では通常1〜2回の短期投与であるため、抗薬物抗体産生、結核再活性化、リンパ腫リスクは低い。しかし、肝毒性や心筋症といった副作用に注意が必要である。前臨床データでは、TNF阻害がPD-1耐性克服や腫瘍浸潤リンパ球のアポトーシス抑制に働く可能性が示唆されており、腫瘍免疫への影響は「may be agonistic」である (Perez-Ruiz et al. 2019)。
  • IL-6受容体阻害薬 (トシリズマブ): 4 mg/kgを静脈内投与し、48時間後に再投与可能である。ニボルマブ (nivolumab) 関連irAE患者87例を対象とした研究では、トシリズマブを投与された34例中27例 (79%) で臨床的改善が認められた (Stroud et al. 2019)。免疫関連肝炎には、腸管毒性の少ないトシリズマブがインフリキシマブよりも好適である。副作用として消化管穿孔、骨髄抑制が報告されている (Table 1)。
  • IL-1阻害薬 (アナキンラ): 100 mg/日を皮下注射する。irAE関連肺炎患者の肺胞洗浄液でIL-1βの増加とIL-1RA (IL-1受容体拮抗薬) の減少が確認されている (Suresh et al. JClinInvest 2019)。感染リスクが低く、作用時間が短い (<1日) ため、理想的な標的となりうる。
  • IL-17阻害薬 (セクキヌマブ): 大腸および皮膚irAEへの有効症例報告があるが、腫瘍免疫を抑制する可能性も指摘されている (Esfahani & Miller 2017)。
  • JAK-STAT阻害薬 (トファシチニブ): 5-10 mgを1日2回経口投与する。自己免疫疾患への高い臨床効果、経口投与、広範な免疫調節が利点である。しかし、IFNγシグナル (JAK2-IFNγ) 遮断によりICI応答を阻害する懸念がある (Zaretsky et al. NEnglJMed 2016)。第2世代JAK1選択的阻害薬であるウパダシチニブ (upadacitinib) はより標的選択的である。
  • mTOR阻害薬 (シロリムス): 臓器移植患者のICI使用時に移植拒絶予防としてラパマイシン (rapamycin) を用いながらICI継続できた報告がある (Esfahani et al. 2019)。肺炎のリスクがあるため、肺irAEには禁忌である。

個別化治療アルゴリズムの提案 (Fig. 3): 本レビューでは、irAEの個別化治療アルゴリズムを提案している。

  1. 全てのirAEに対し、コルチコステロイドを一次治療として推奨する。
  2. CTCAE Grade ≥3のirAE、特に心臓、肺、肝臓、大腸、神経筋系といった重要臓器に影響を及ぼす重篤なirAEでは、生検を含む免疫組織病理学的評価を積極的に実施する。
  3. 免疫組織化学、フローサイトメトリー、多重サイトカイン測定、自己抗体検査などにより、免疫病原性経路を特定する。
  4. 特定された経路に基づき標的治療を選択する (例: T細胞/B細胞浸潤 → リツキシマブ/ベドリズマブ;TNF高値 → インフリキシマブ;IL-6高値 → トシリズマブ;IL-1高値 → アナキンラ;自己抗体陽性 → IVIG/リツキシマブ;pauci-immune → ATG/アレムツズマブ)。
  5. 治療選択時には、腫瘍免疫への影響、感染リスク、および各薬物特異的毒性 (Table 1) を考慮する。

コルチコステロイドのirAE後の使用については、ICI開始前のベースラインで高用量コルチコステロイド (10 mg/日以上) を使用していた患者では、無増悪生存期間 (PFS) およびOSの改善が阻害される可能性 (HR 1.3, 95% CI 1.0-1.7, p=0.03; OS HR 1.7, 95% CI 1.2-2.3, p<0.001) がある (Arbour et al. 2018)。しかし、irAE発症後に開始されたコルチコステロイドは、転移性黒色腫患者 (イピリムマブ n=298、ニボルマブ n=576) の客観的奏効率 (ORR)、OS、治療失敗時間に大きな影響を与えないとする後ろ向き解析がある (Horvat et al. 2015)。ただし、下垂体炎では高用量ステロイドがOS短縮と関連する (未到達 vs 23.3ヶ月) という例外的知見もあり (Faje et al. 2018)、irAE発症機序による差異が重要である。

考察/結論

本レビューは、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) 治療に伴う免疫関連有害事象 (irAE) の管理において、従来の画一的なガイドラインからの脱却と、臓器別免疫組織病理学的所見に基づいた個別化治療へのパラダイムシフトを提唱した点で重要な論文である。

先行研究との違い: これまでのirAE管理ガイドラインは、原発性自己免疫疾患の治療法を経験的に適用しており、同一臓器内でも多様な免疫病態が存在するというirAEの複雑性を十分に考慮していなかった。本レビューは、この画一的なアプローチと異なり、irAEの細胞性・液性免疫学的因子と臓器別免疫組織病理所見を統合した詳細な治療アルゴリズムを提案した点で新規性が高い。特に、Johnson et al. NEnglJMed 2016Zaretsky et al. NEnglJMed 2016といった先行研究で示されたirAEの多様な病態メカニズムを、具体的な治療選択に結びつける試みはこれまで報告されていない。

新規性: 本研究で初めて、T細胞、B細胞、自然免疫、マイクロバイオーム、およびサイトカイン (TNF-α、IL-6、IL-1など) やシグナル伝達経路 (JAK-STAT、mTOR) を標的とする治療戦略を包括的に整理し、それぞれの作用機序、腫瘍免疫への影響、および薬物毒性を詳細に分析した。さらに、CTCAE Grade ≥3のirAE、特に心臓、肺、肝臓、大腸、神経筋系などの重要臓器に影響を及ぼすirAEに対して、臓器生検による免疫組織病理学的解析やフローサイトメトリー、サイトカイン・自己抗体測定などの詳細な診断テストに基づいた個別化治療アルゴリズム (Fig. 3) を新規に提示したことは、irAE管理における大きな進歩である。

臨床応用: 本知見は、irAEの臨床現場での管理に直接的な臨床的意義を持つ。第一に、同一臓器内でも多様な免疫病態が存在するため、重篤なirAEに対しては生検と詳細な免疫表現型解析が推奨される。これにより、経験的アプローチよりも、TNF阻害薬、IL-6阻害薬、IL-1阻害薬、ベドリズマブなどの標的治療が、免疫病態との対応が明確であるため、より有効性が高い可能性がある。第二に、TNF阻害薬やIL-6阻害薬は、ICIとの組み合わせで腫瘍免疫増強 (agonistic) 作用を示す前臨床データがあり、irAE治療と腫瘍免疫の「decoupling」の可能性が注目される。これは、免疫抑制療法が腫瘍免疫を抑制するという従来の懸念を払拭し、より積極的なirAE治療を可能にする点で、臨床応用に直結する重要な示唆である。

残された課題: 今後の検討課題として、本提案アルゴリズムの前向き無作為化試験による検証が残されている。irAEは確率的に発症するため、特定臓器irAEの前向き試験への患者登録は困難である。また、心筋炎や中枢神経系毒性など、重篤だが頻度が低い (発生率 <1%) irAEに対する超専門的・多職種管理体制の確立も必要である。さらに、irAEの前臨床モデルが不足しており、ヒト免疫学と差異のあるマウスモデルの限界を克服するための新規モデル開発が喫緊の課題である (Wagar et al. 2018)。将来的には、腫瘍学、リウマチ学、臓器専門医、基礎研究者といった多分野の専門家による包括的な学際連携が、個別化irAE管理の実現に不可欠である。

方法

本レビューは、irAEの免疫病態、診断、および治療に関する包括的な文献レビューとして実施された。著者らは、irAEに関連する臨床研究、症例シリーズ、前向きコホート研究、および基礎研究を系統的に検索し、レビュー対象とした。検索データベースとしては、PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceなどが用いられた。検索キーワードには、「immune-related adverse events」、「immune checkpoint inhibitors」、「immunotherapy toxicity」、「personalized treatment」、「immunopathogenesis」、「cytokine-targeted therapy」、「T cell」、「B cell」、「microbiome」などが含まれた。検索期間は論文発行時点までとし、関連性の高い文献を網羅的に収集した。

レビュープロセスでは、まず関連性の高い論文を特定し、その要旨を精査した上で、irAEの病態生理、診断バイオマーカー、および治療戦略に関する主要な知見を抽出した。特に、T細胞、B細胞、自然免疫、サイトカイン、シグナル伝達経路、およびマイクロバイオームがirAEの発症に果たす役割に焦点を当てた。各免疫標的に対する治療戦略については、その作用機序、腫瘍免疫監視機構への潜在的な影響、および薬物特異的な非感染性毒性(例:肝毒性、心筋症、消化管穿孔、骨髄抑制など)を詳細に評価した。治療薬の投与量、投与方法、および副作用に関する情報は、主にFDA承認に準拠した既存製品のモノグラフから引用し、Table 1にまとめた。本レビューでは、エビデンスの質を評価するために、各研究のデザインと結果の信頼性を総合的に考慮した。

本レビューでは、著者らの長年の臨床経験と専門知識を統合し、文献から得られたエビデンスに基づいて、irAEの個別化治療アルゴリズムを構築した。このアルゴリズムは、特にCommon Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) Grade ≥3の重篤なirAE、または心臓、肺、肝臓、大腸、神経筋系といった重要臓器に影響を及ぼすirAEに対して、臓器生検を含む免疫組織病理学的評価を積極的に実施することを推奨している (Fig. 3)。免疫組織化学、フローサイトメトリー、多重サイトカイン測定、自己抗体検査などの詳細な診断テストを通じて、個々のirAEの免疫病原性経路を特定し、それに基づいた標的治療を選択するプロセスを提案した。また、治療選択時には、腫瘍免疫への影響、感染リスク、および各薬物特異的毒性 (Table 1) を慎重に考慮するよう強調した。本レビューは、既存の画一的なガイドラインの限界を克服し、irAE管理におけるより精緻な個別化アプローチへのパラダイムシフトを提唱することを目的としている。統計手法としては、各研究で報告されたp値やハザード比 (HR) を参照し、その臨床的意義を評価した。