- 著者: Chong Sun, Riccardo Mezzadra, Ton N. Schumacher
- Corresponding author: Ton N. Schumacher (Netherlands Cancer Institute, Amsterdam, Netherlands)
- 雑誌: Immunity
- 発行年: 2018
- Epub日: 2018-05-15
- Article種別: Review
- PMID: 29562194
背景
PD-L1 (programmed death-ligand 1, CD274) は、活性化T細胞上のPD-1 (programmed cell death protein 1) と結合し、免疫抑制シグナルを伝達する主要な免疫チェックポイントリガンドである。この経路は、T細胞受容体 (TCR) およびCD28共刺激シグナルを減弱させることで、抗腫瘍免疫を抑制する。PD-L1は多くの悪性腫瘍で高発現しており、その発現は腫瘍細胞および腫瘍内免疫細胞の両方で観察される。2010年以降、PD-1/PD-L1阻害抗体は、黒色腫、非小細胞肺癌 (NSCLC)、腎細胞癌 (RCC)、ホジキンリンパ腫、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) など、多岐にわたるがん種でFDA承認を受け、患者の予後を大きく改善した。例えば、Reck et al. NEnglJMed 2016 のKEYNOTE-024試験では、PD-L1高発現NSCLC患者においてペムブロリズマブ単剤で客観的奏効率 (ORR) 45% (CR 4%, PR 41%) を示した。また、Larkin et al. NEnglJMed 2015 のCheckMate-067試験では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けたメラノーマ患者でCR 8.9%、PR 41%が報告されている。
しかし、これらの治療に対する奏効率は腫瘍型によって大きく異なり、PD-L1陽性であっても無効な症例や、PD-L1陰性であっても有効な症例が存在するため、その予測バイオマーカーとしての価値は限定的であるという課題が残されている。PD-1とPD-L1は免疫グロブリン (Ig) スーパーファミリーI型膜貫通タンパク質であり、PD-L1-PD-1の結合後に生じるSHP-2/SHP-1のリクルートによりTCRおよびCD28共刺激シグナルが減弱する。特に、最近の研究では、SHP2ホスファターゼによる脱リン酸化の主要な標的がTCRシグナル自体よりも共刺激受容体CD28である可能性が示唆されている (Hui et al., 2017)。また、PD-L1はPD-1を介するシグナルだけでなく、腫瘍細胞に対してmTOR活性抑制やFas誘発アポトーシス耐性を付与する「逆シグナル (reverse signaling)」の働きも持つことが報告されている (Azuma et al., 2008; Chang et al., 2015)。
PD-L1発現の不均一性や予測バイオマーカーとしての限界は、その発現がどのような機序で制御されているかについての包括的な理解が不十分であったことに起因する。例えば、Reck et al. NEnglJMed 2016 ではPD-L1高発現NSCLCにおけるペムブロリズマブの有効性が示された一方で、Motzer et al. NEnglJMed 2015 ではRCCにおいてPD-L1発現が奏効予測因子とならないことが報告されている。このような臨床的乖離を説明するためには、PD-L1発現を規定する分子メカニズムの解明が不可欠である。これまでの研究では、IFN-γ (interferon-gamma) によるPD-L1誘導が主要な制御機構として認識されてきたが、それ以外の多様な制御経路については未解明な点が多く、PD-L1発現の動的な変化や、腫瘍微小環境における細胞種特異的な発現調節の全貌はまだ確立されていない。特に、IFN-γ非依存的なPD-L1発現制御機構の存在は、従来のバイオマーカー戦略の限界を示唆しており、より精密な層別化を可能にする新たな知見が不足している状況であった。
目的
本レビューは、PD-L1発現を制御する複雑な分子ネットワークを、以下の5つの主要な構成要素に分類し、詳細に解説することを目的とする。具体的には、(1) ゲノム異常、(2) 炎症性シグナル、(3) がん遺伝子シグナル、(4) microRNA (miRNA) による制御、(5) 翻訳後修飾の各側面からPD-L1発現調節のメカニズムを体系的に整理する。さらに、これらの分子レベルの知見が、PD-1/PD-L1経路阻害療法の臨床的有効性と、予測バイオマーカーとしてのPD-L1の価値および限界にどのように関連するかを論じる。最終的に、本レビューは、より精密で効果的ながん免疫チェックポイント療法の設計に資する新たな治療戦略やバイオマーカー開発への示唆を提供することを目指す。特に、CMTM6 (CKLF-like MARVEL transmembrane domain containing 6) によるPD-L1タンパク質の安定化という新規制御機序にも焦点を当て、その臨床的意義を考察する。
結果
PD-L1-PD-1シグナル伝達の分子機構と臨床承認の概観: PD-1はIg-V様細胞外ドメインと細胞質内ITIM・ITSMの2つのチロシンモチーフを持ち、PD-L1との結合によってSrc family kinaseによるリン酸化が誘導される。リン酸化されたITIM・ITSMはSHP-2/SHP-1をリクルートし、TCRおよびCD28共刺激シグナルを減弱させる。近年の研究では、SHP2がTCRシグナル自体よりもCD28共刺激受容体を主たる脱リン酸化標的としていることが示された (Hui et al., 2017)。また、PD-L1はPD-1を介するシグナルのみならず、逆シグナルとして腫瘍細胞に対しmTOR活性抑制・Fas誘発アポトーシス耐性を付与する働きがあり、この効果はPD-L1の細胞質内ドメインに依存する (Azuma et al., 2008; Chang et al., 2015)。承認済み治療における奏効率の参照値として、Reck et al. NEnglJMed 2016 (KEYNOTE-024) ではPD-L1 > 50%のNSCLCでペムブロリズマブ単剤のORRは45% (CR 4%、PR 41%) であった。また、Larkin et al. NEnglJMed 2015 (CheckMate-067) ではニボルマブ+イピリムマブ併用メラノーマでCR 8.9%、PR 41%が報告されている (Table 1)。これらのデータは、PD-L1発現と奏効率が相関する腫瘍型が存在する一方で、膀胱癌 (CheckMate-275) のようにPD-L1発現が奏効を予測しない状況も多いことを示している (Sharma et al., 2017b)。
ゲノム異常によるPD-L1発現上昇: PD-L1、PD-L2、JAK2を含む9p24.1領域の増幅および転座が、ホジキンリンパ腫 (97%で異常)、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫 (転座20%、増幅29%)、NSCLC、小細胞肺癌 (SCLC) で報告されており、これらの腫瘍では高PD-L1発現と良好なPD-1阻害応答が観察される (Roemer et al., 2016; Twa et al., 2014; Ikeda et al., 2016; George et al., 2017)。ホジキンリンパ腫がPD-1阻害に特異的に高感受性を示すことは、9p24.1増幅によってJAK2シグナルが亢進し、IFN-γ受容体シグナルを増幅することとも整合する (Green et al., 2010)。さらに、CRISPR-Cas9またはゲノム構造変異によるPD-L1 3’UTR欠失が、PD-L1 mRNAを安定化して発現を著増させ、T細胞からの細胞傷害性に対する腫瘍抵抗性を増大させることが実験的に示された (Kataoka et al., 2016)。この3’UTR欠失はT細胞性白血病・リンパ腫・胃腺癌で確認されており、卵巣癌患者で3’UTR disruption保有例がPD-1阻害にexceptional responseを示したことも報告されている (Bellone et al., 2018)。
炎症性シグナルによるPD-L1誘導: IFN-γが最も主要なPD-L1誘導因子であり、IFN-γ受容体→JAK1/2→STAT1→IRF1→PD-L1プロモーター結合という転写活性化カスケードを介する (Lee et al., 2006)。IFN-γは多くの腫瘍型、内皮細胞、免疫細胞でPD-L1を誘導し、腫瘍内PD-L1発現はしばしばIFN-γシグナルおよびT細胞活性の間接的な指標として利用される。一方、TGF-βはコンテキスト依存的で、単球・腎尿細管上皮では発現を抑制するが、樹状細胞・T細胞では増加させるという相反する効果を示す (Ou et al., 2012; Starke et al., 2007; Ni et al., 2012)。IFN-γ以外にもI型IFN (IFN-α/β)、TLR4/TLR3シグナル (NF-κBを介してI型IFN誘導)、IL-17、IL-10、TNF-α、IL-4、IL-1β、IL-6、IL-27もPD-L1を誘導する (Table 3)。マウス肉腫モデルでは、抗IFN-γ抗体投与により腫瘍細胞のPD-L1はほぼ消失するが、腫瘍関連マクロファージのPD-L1は部分的にしか低下しないことが示されており、細胞種によるPD-L1発現調節の違いが存在する (Noguchi et al., 2017)。また、JAK1/JAK2変異腫瘍は、高変異負荷にも関わらずPD-1阻害に無応答となるケースがあり、これはこれらの腫瘍がPD-L1経路に依存せずに免疫回避していることを示唆する (Shin et al., 2017)。
がん遺伝子シグナルによるPD-L1の多経路制御: MYCは約70%のがん種で過剰発現する主要な発がん転写因子であり、クロマチン免疫沈降 (ChIP) 解析でPD-L1プロモーターに直接結合することが示され (Casey et al., 2016)、メラノーマ、NSCLC、肝細胞癌 (HCC)、白血病、リンパ腫モデルでMYC抑制によるPD-L1低下が確認された (Atsaves et al., 2017; Wang et al., 2017a)。低酸素状態ではHIF-1αおよびHIF-2αがPD-L1プロモーター内の低酸素応答配列 (HRE) に結合してPD-L1転写を活性化し、RCCではHIF-2α依存的制御が主体となる (Barsoum et al., 2014; Messai et al., 2016)。STAT3は多くの悪性リンパ腫、メラノーマ、HNSCC細胞で恒常的に活性化し、PD-L1プロモーターを直接制御する (Marzec et al., 2008; Jiang et al., 2013; Bu et al., 2017)。NF-κB (RELA/p65) もPD-L1の直接的転写調節に関与し、メラノーマ、NSCLC、単球、乳癌でプロモーターへの結合が示されている (Huang et al., 2013; Gowrishankar et al., 2015; Bouillez et al., 2017; Xue et al., 2017)。MEK-ERK経路はSTAT1/IRF1経路との連携でPD-L1を正に制御するが、一部のモデルでは逆の効果も報告されており、細胞種・薬剤の差異・フィードバックループへの依存が関係すると考えられる (Liu et al., 2007; Atefi et al., 2014)。PI3K-AKT-mTOR経路はPTEN喪失依存的にPD-L1を増強し、結腸直腸癌 (CRC)、NSCLC、グリオーマ、乳癌、メラノーマでPTEN欠失がPD-L1上昇と相関する (Parsa et al., 2007; Song et al., 2013; Atefi et al., 2014; Xu et al., 2014; Lastwika et al., 2016; Zhang et al., 2017b)。EGFR変異・EGF刺激はNSCLC、頭頸部癌、乳癌でPI3K/AKT-mTOR依存またはERK依存のPD-L1誘導を引き起こす (Akbay et al., 2013; Chen et al., 2015; Lin et al., 2015; Zhang et al., 2016; Concha-Benavente et al., 2016)。ALK融合 (NPM-ALK) はSTAT3・MEK-ERK依存的にリンパ腫でPD-L1を誘導し (Marzec et al., 2008; Yamamoto et al., 2009)、EML4-ALK陽性NSCLCではERK、AKT、STAT3、HIF1αが下流メディエーターとして働く (Koh et al., 2015; Ota et al., 2015)。一方、CDK4はSPOPリン酸化を介してPD-L1のユビキチン化・分解を促進する負の制御因子であり (Zhang et al., 2017a)、GSK3βも非グリコシル化PD-L1の分解を増強する (Li et al., 2016)。
miRNAと翻訳後修飾によるPD-L1制御: miRNA群はPD-L1 mRNAの3’UTRへの直接結合または間接的制御によって発現を調節する。抑制的miRNAとしてmiR-513 (胆管細胞;IFN-γがmiR-513を抑制することでPD-L1が誘導される)、miR-155 (TNF-α/IFN-γ誘導性)、miR-34a (AML・NSCLC;p53依存性抑制)、miR-200 (NSCLC・胃癌)、miR-570・miR-152 (胃癌)、miR-15a/193a/16 (悪性胸膜中皮腫) などが同定されている (Gong et al., 2009, 2010; Yee et al., 2017; Wang et al., 2015; Cortez et al., 2015; Chen et al., 2014; Gibbons et al., 2014; Xie et al., 2017; Wang et al., 2013; Kao et al., 2017)。一方、miR-20、miR-21、miR-130bはPTEN抑制を介してCRCにおいてPD-L1を間接的に促進する (Zhu et al., 2014)。翻訳後修飾として、CMTM6が、著者らを含む2つのグループが独立して発見したPD-L1タンパク質の新規正調節因子である (Mezzadra et al., 2017; Burr et al., 2017)。CMTM6はPD-L1と直接結合してそのタンパク質の半減期を延長し、ユビキチン化・リソソーム分解からPD-L1を保護する。CMTM6の欠損によりIFN-γ誘導性・恒常的PD-L1タンパク質レベルがいずれも低下し、mRNAには影響しないことが確認されている。この効果はメラノーマ、NSCLC、CRC、甲状腺癌、樹状細胞など幅広い細胞種で普遍的に観察された。さらにCMTM4がバックアップ機能を果たすことも示され、CMTM6/CMTM4の発現量の差が細胞種間でのCMTM6効果の大小を説明しうる。B3GNT3によるPD-L1のN-グリコシル化もPD-L1-PD-1の結合親和性を増大させる新たな制御機構として報告されている (Li et al., 2018)。
PD-L1バイオマーカーとしての限界と課題: PD-L1発現は黒色腫、NSCLC、膀胱癌で部分的に奏効予測価値を示すが、腫瘍内細胞コンパートメント (腫瘍細胞 vs 免疫浸潤細胞) によって予測価値が異なり (膀胱癌では免疫浸潤細胞のPD-L1が主要予測因子)、多くの腫瘍ではPD-L1陽性例の無効・陰性例の有効という乖離が生じる (Rosenberg et al., 2016; Fehrenbacher et al., 2016)。この乖離を説明する因子として、(1) 生検の不十分なサンプリング・検出感度の問題、(2) PD-L1発現の動的変化 (治療中のIFN-γ誘導性PD-L1上昇など)、(3) PD-L2の寄与、(4) 他の免疫抑制機構 (TGF-βなど) の存在が挙げられる (Table 2)。3’UTR disruption、CMTM6発現などのIFN-γ非依存的PD-L1調節機序の存在は、IFN-γシグナルとPD-L1発現を必ずしも同一視できないことを示しており、より精密なバイオマーカー戦略の必要性を提起している。
考察/結論
本レビューは、PD-L1発現が単純にIFN-γシグナルによって制御されるだけでなく、ゲノム異常、多様なサイトカイン、がん遺伝子経路、miRNA、タンパク質修飾という5層の複雑な制御ネットワークによって規定されることを体系的に示した。
先行研究との違い: これまでの研究では、PD-L1の予測バイオマーカーとしての価値の限界が多くの臨床試験で指摘されていたが、本レビューはその機序的説明を多層的制御の観点から提供した点で独自性が高い。特に、PD-L1発現が腫瘍細胞と免疫細胞のどちらでより重要であるかという議論に対し、両方の細胞コンパートメントが文脈依存的に役割を果たすことを複数のマウスモデル研究を引用して示した点で、従来の単純な二元論的解釈とは異なる視点を提供している (Noguchi et al., 2017; Lau et al., 2017; Juneja et al., 2017)。
新規性: CMTM6によるPD-L1タンパク質安定化という発見は、これまでのmRNA発現に焦点を当てた研究では捉えられなかった新規制御層の存在を示し、CMTM6発現がPD-L1阻害療法の感受性を規定するバイオマーカーとなりうる可能性を示唆する (Mezzadra et al., 2017; Burr et al., 2017)。また、PD-L1の3’UTR欠失がmRNA安定性を高め、T細胞からの細胞傷害性に対する抵抗性を増大させるという知見も、PD-L1発現制御におけるゲノム異常の新たな側面を明らかにした点で新規性が高い (Kataoka et al., 2016)。
臨床応用: 本知見は、PD-1/PD-L1経路阻害療法の臨床的有効性と、より精密で効果的ながん免疫チェックポイント療法の設計に重要な示唆を与える。治療的インプリケーションとして、EGFR、ALK、MEK、MYCなどの既存の分子標的薬がPD-L1発現を下方調節する作用を持つことは、これらの薬剤と抗PD-L1/PD-1療法の組み合わせにとって重要な根拠を提供する。例えば、KRAS変異NSCLC細胞においてRAS-MEKシグナルがPD-L1 mRNAの安定性を介してPD-L1発現を制御することが示されており (Coelho et al., 2017)、MEK阻害剤との併用療法がPD-L1発現を低下させ、免疫チェックポイント阻害剤の効果を高める可能性が考えられる。また、CMTM6のような新規制御因子を標的とすることで、PD-L1タンパク質の安定性を直接制御し、より効率的な免疫チェックポイント遮断を実現できる可能性がある。
残された課題: 今後の検討課題として、IFN-γ誘導性と非依存性PD-L1発現を区別する新しいバイオマーカー戦略 (例: IFN-γ誘導性遺伝子の同時測定、CMTM6共測定) の開発が残されている。また、PD-L1発現が治療中に動的に変化する可能性や、腫瘍微小環境におけるPD-1発現T細胞の多様性も考慮した、より包括的な予測モデルの構築が必要である。さらに、PD-L1発現を制御する多様な経路の相互作用や、特定の腫瘍タイプにおける各制御機構の相対的な重要性を解明することも、今後の研究の重要な方向性である。本レビューでは、各制御プロセスの効果量が大きく異なること、および組織や腫瘍間でその役割が変動することが示されており、生理学的に意味のあるPD-L1レベルへの寄与を理解することが今後の課題である。
方法
本論文は、PD-L1発現の制御と機能に関する既存の科学的知見を体系的にレビューした総説である。特定の実験プロトコルや患者コホートを用いた新規研究は実施されていない。文献検索は、PD-L1、PD-1、免疫チェックポイント、遺伝子制御、がん遺伝子シグナル、microRNA、翻訳後修飾、CMTM6などのキーワードを用いて、PubMed、Web of Scienceなどの主要な科学データベースを通じて行われた。関連する原著論文、総説、および臨床試験の結果が収集され、PD-L1発現の分子メカニズム、臨床的意義、およびバイオマーカーとしての課題に関する最新の知見が統合された。
具体的には、PD-L1-PD-1シグナル伝達の分子機構、PD-1/PD-L1阻害療法の臨床承認状況と奏効率の概観、PD-L1発現を上昇させるゲノム異常 (例: 9p24.1増幅、3’UTR欠失)、炎症性サイトカイン (例: IFN-γ、I型IFN、TLRシグナル、IL-17、TNF-α) による誘導経路、がん遺伝子シグナル (例: MYC、HIF-1α/2α、STAT3、NF-κB、PI3K-AKT-mTOR、MEK-ERK、EGFR、ALK) による多経路制御、miRNAによるPD-L1 mRNAの直接的または間接的調節、およびCMTM6、CDK4 (cyclin-dependent kinase 4)、GSK3β (glycogen synthase kinase 3 beta)、B3GNT3 (UDP-GlcNAc:betaGal beta-1,3-N-acetylglucosaminyltransferase 3) などによる翻訳後修飾の詳細なメカニズムが分析された。これらの情報は、PD-L1の予測バイオマーカーとしての限界と、今後の精密医療への応用可能性を考察するための基盤として用いられた。本レビューでは、特にCMTM6の発見がPD-L1タンパク質安定化における新規制御層として重要であると強調されている。文献検索は2018年までの発表論文を対象とし、エビデンスレベルの評価は行わず、既存の知見の統合に焦点を当てた。