• 著者: Rupal Ramakrishnan, Deepak Assudani, Srinivas Nagaraj, Terri Hunter, Hyun-Il Cho, Scott Antonia, Soner Altiok, Esteban Celis, Dmitry I. Gabrilovich
  • Corresponding author: Dmitry I. Gabrilovich (H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute, Tampa, FL, USA)
  • 雑誌: The Journal of clinical investigation
  • 発行年: 2010
  • Epub日: 2010-03-15
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 20234093

背景

治療用がんワクチンや養子T細胞移入療法をはじめとするがん免疫療法は、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL: cytotoxic T lymphocyte)を誘導・活性化させるアプローチとして長年期待されてきた。しかし、実際の臨床試験における単剤での有効性は極めて限定的であった。この治療抵抗性の背景には、腫瘍微小環境における強固な免疫抑制ネットワークの存在、CTLの腫瘍実質への浸潤能力の限界、さらに腫瘍細胞の抗原不均一性(antigenic heterogeneity)による免疫逃避など、多くの深刻な課題が存在している。単剤療法の限界を克服するため、従来の治療法である化学療法との併用が模索されてきた。しかし、化学療法は一般に骨髄抑制やリンパ球減少を引き起こす強力な免疫抑制作用を持つと考えられており、ワクチンによって誘導される抗原特異的T細胞の機能や増殖すらも阻害するという懸念が強かった。そのため、化学療法と免疫療法の併用は、免疫学的な観点から当初は推奨されない組み合わせとみなされていた。

しかし、近年の複数の臨床試験において、がんワクチンと化学療法の併用が単剤療法を上回る高い客観的奏効率を示すという予期せぬ相乗効果が相次いで報告された。この現象は、多様な癌種、異なるワクチン、および異なる化学療法レジメンにおいて一貫して観察された。しかし、この併用効果を支える詳細な分子機序は依然として「未解明」であり、化学療法が免疫系を抑制するという従来のパラダイムとの矛盾を説明する論理的根拠が「不足」していた。化学療法によって死滅した腫瘍細胞から放出される抗原が間接的に免疫応答を惹起する可能性(免疫原性細胞死)は指摘されていたものの、臨床で観察されるような、少数のCTLのみで多数の腫瘍細胞を効率よく排除し得る具体的なメカニズムは不明なままであった。特に、化学療法が抗原特異的T細胞の量的な増加や質的な活性化を直接的にはもたらさない、あるいはむしろ抑制する場合があるという報告もあり、併用効果の根底には腫瘍細胞側の感受性変化を伴う別のメカニズムが存在することが強く示唆されていた。

この相乗効果を説明する仮説として、先行研究ではいくつかのメカニズムが提唱されてきた。例えば、免疫抑制ネットワークの主要な構成要素である制御性T細胞(Treg)の除去や、骨髄由来抑制細胞(MDSC: myeloid-derived suppressor cell)の機能抑制(Gabrilovich et al. NatRevImmunol 2009)、あるいは腫瘍細胞表面における抑制性B7分子の発現低下(Zou et al. NatRevImmunol 2008)などが報告されている。これらは主に宿主の免疫抑制環境を解除し、抗原特異的T細胞の持続や増殖を間接的に助ける機序に依存している。しかし、これらの宿主側の免疫修飾作用だけでは、化学療法が全身的な免疫抑制を誘発するにもかかわらず、なぜ局所で極めて強力な抗腫瘍効果が発揮されるのかを十分に説明するには「不足」していた。すなわち、化学療法が「腫瘍細胞自体のCTLに対する被殺傷感受性」を直接的に高めている可能性については、これまで詳細な検証がなされておらず、学術的な「gap が残されている」状態であった。したがって、化学療法薬が腫瘍細胞に与える直接的な生物学的変化と、それがCTLの細胞傷害活性とどのように協調するのかという新規の分子シグナル経路の解明が強く求められていた。

目的

本研究の目的は、パクリタキセル(TAX: paclitaxel)、シスプラチン(CIS: cisplatin)、ドキソルビシン(DOX: doxorubicin)といった臨床で広く用いられる代表的な化学療法薬が、CTL媒介性の腫瘍細胞殺傷効果に与える直接的な影響をマウスがんモデルおよびヒト腫瘍細胞株を用いて系統的に解析し、その分子機序を解明することである。

具体的には、以下の学術的問いを検証し、解決することを目指した。

  1. 化学療法と免疫療法の併用が、それぞれの単剤療法と比較して、インビボ(in vivo)においてどの程度強力な相乗的抗腫瘍効果を示すかを定量的に評価する。
  2. アポトーシスを直接誘導しない極低用量の化学療法薬による前処理が、腫瘍細胞のCTLに対する感受性を直接的に高めるか否かを検証する。
  3. CTLが標的細胞を殺傷する主要因子であるグランザイムB(GrzB: granzyme B)の腫瘍細胞内への透過性において、化学療法がどのような影響を与えるかを解析する。
  4. GrzBの細胞内取り込みを媒介する受容体であるマンノース-6-リン酸受容体(MPR: mannose-6-phosphate receptor)の発現レベルと、化学療法刺激との関連性を分子レベルで同定する。
  5. 化学療法による腫瘍細胞の感受性亢進が、抗原特異的CTLによる周囲の抗原非発現腫瘍細胞への「バイスタンダー殺傷(bystander killing)」を誘導し得るかを実証する。
  6. これらのマウスモデルで得られた一連の分子機序が、ヒト小細胞肺癌(SCLC: small cell lung cancer)や非小細胞肺癌(NSCLC)などのヒト臨床検体・細胞株においても同様に再現されるかを検証する。

これらの検証を通じ、従来の「免疫抑制剤」としての化学療法の位置づけを再定義し、腫瘍細胞の免疫感受性を高める「免疫感作剤」としての新たな臨床応用への論理的基盤を構築することを最終目的とした。

結果

併用療法による強力なインビボ抗腫瘍効果: マウスMC38大腸癌モデルにおいて、Ad-p53 DCワクチンとTAX(12.5 mg/kg)の併用療法は、それぞれの単剤療法と比較して極めて顕著な腫瘍増殖抑制効果を5週間以上にわたって維持した (Figure 1A)。TAX単剤群では一時的な腫瘍増殖遅延がみられたものの、投与中止後に再増殖した。また、TUBO乳癌モデルにおいても、TAX単剤およびペプチド負荷DCワクチン単剤の効果は極めて限定的であったが、両者の併用治療群(DC+TAX)では劇的な腫瘍退縮効果が観察された (Figure 1B)。さらに、EG7腫瘍モデルを用いたT細胞養子移入実験において、OVA特異的T細胞とTAXの併用は、単剤群と比較して腫瘍体積を有意に縮小させた (Figure 1C)。CMACで蛍光標識したT細胞を用いた組織解析では、TAX処理を行ったEG7腫瘍において、腫瘍実質内へ浸潤するT細胞数が未処理群と比較して有意に増加していることが確認された (Figure 1D, p < 0.05, n = 3 mice)。一方で、IFN-γ ELISPOTアッセイの結果、TAX投与は抗原特異的T細胞のIFN-γ産生能自体を増強せず、むしろわずかに抑制する傾向が示された (Figure 1E, p > 0.1, n = 6 replicates)。この結果は、化学療法と免疫療法の相乗効果が、T細胞の「量」や「機能」の直接的な増強によるものではなく、腫瘍細胞側の変化に起因することを示唆している。

化学療法による腫瘍細胞のCTL感受性化: p53特異的CTLを用いた細胞傷害性アッセイにおいて、TAX(12.5 nM)またはDOX(1.5 μg/ml)で18時間前処理したEL-4標的細胞は、本来CTLによる殺傷を受けない対照ペプチド負荷群であっても、CTLによる特異的殺傷感受性が有意に上昇した (Figure 2A)。この化学療法によるCTL感受性の増強効果は、4T1-Neu乳癌モデル (Figure 2D) や、2C-TCRトランスジェニックT細胞を用いたEL-4モデル (Figure 2E) でも同様に再現された。さらに、ヒト臨床応用へのトランスレーショナルな検証として、ヒトSCLC細胞株H332と患者PBMC由来CTLを用いた共培養系においても、TAX(100 nM)の前処理によってCTLによる細胞傷害活性が劇的に増強されることが示された (Figure 2F)。また、HLA-A2陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者から樹立したプライマリー腫瘍細胞を標的とし、survivin特異的T細胞をエフェクターとした実験系においても、50 nMのTAX前処理により、腫瘍細胞の被殺傷感受性が有意に向上した (Figure 2G)。なお、CTL自体を化学療法薬で前処理した場合は、細胞傷害活性が変化しない(TAX)か、あるいは低下(DOX)した (Figure 2B)。しかし、CTLと腫瘍細胞の両方をTAXで同時に処理したインビボを模した環境下においても、相乗的な細胞傷害活性は維持された (Figure 2C)。

グランザイムB(GrzB)透過性の亢進が主たる分子機序: 極低用量の化学療法前処理は、腫瘍細胞に直接的なアポトーシスを誘導しないが、CTLから放出されるGrzBに対する細胞膜透過性を劇的に亢進させた。OT-1 T細胞とEL-4細胞を用いた共培養実験において、TAX前処理群では共培養開始後30分という極めて早期からAnnexin V陽性のアポトーシス細胞が有意に増加し、細胞死のキネティクスが大幅に加速された (Figure 3B)。また、パーフォリン欠損(perforin-KO)マウス由来のCTLを用いた実験においても、TAX前処理した腫瘍細胞に対しては野生型CTLと同等の高い細胞傷害活性が維持され、パーフォリン非依存的な細胞死経路が作動していることが示された (Figure 8B)。外因性の組換えGrzBを用いたアッセイでは、TAX、DOX、CISで前処理したEL-4細胞において、細胞内へのGrzB取り込み量が未処理群と比較して4倍以上に著増した (Figure 5B)。このGrzB取り込み促進効果は、ヒトSCLC細胞株(H332、DMS、86M1)においても同様に5倍以上の増加として確認された (Figure 5C)。さらに、特異的GrzB阻害剤(Z-AAD-CMK)の添加により、TAX処理によって誘導されたCTL感受性化効果が完全に消失したことから、GrzBの細胞内透過性の向上がこの相乗効果の必須条件であることが実証された (Figure 5D)。アポトーシス経路の解析において、CTL刺激はミトコンドリアからのチトクロムc(CytC)放出 (Figure 4B) およびエンドヌクレアーゼG(EndG)の核内移行 (Figure 4C) を強力に誘導したのに対し、TAX前処理自体はこれらのミトコンドリア経路を直接活性化しなかった。すなわち、TAXとCTLは相補的に異なるアポトーシスシグナルを刺激し、相乗効果を発揮していることが明らかになった。

マンノース-6-リン酸受容体(MPR)の上方制御: GrzBの細胞内取り込みを媒介する受容体として知られるcation-independent MPR(CI-M6PR)の発現解析を行った。その結果、TAX、DOX、CISの処理により、マウス腫瘍細胞(EL-4、4T1)およびヒトSCLC細胞株(86M1)のいずれにおいても、細胞表面におけるMPRの発現レベルが2〜3倍に有意に上方制御されることが見出された (Figure 6A)。このMPR発現上昇は、正常細胞であるマウス脾細胞やヒト健常者由来PBMCでは観察されなかった。MPRの機能的役割を検証するため、競合阻害剤である可溶性M6P(20 mM)を添加したところ、化学療法によって誘導されたGrzBの細胞内取り込み (Figure 6B, C) およびCTLによるアポトーシス増強効果 (Figure 6D, E) がほぼ完全に遮断された。さらに、MPR特異的siRNAを用いて腫瘍細胞のMPRをノックダウンした実験系においても、TAXによるGrzB取り込み促進効果およびCTL感受性化が完全に消失した。これらの結果は、化学療法薬が腫瘍細胞表面のMPR発現を上方制御し、GrzBの取り込み効率を劇的に高めることが主要な分子機序であることを明確に示している。

抗原非特異的なバイスタンダー殺傷の誘導: 化学療法によるMPRの上方制御とGrzB透過性の亢進は、抗原を提示していない周囲の腫瘍細胞をも巻き込んで殺傷する「バイスタンダー殺傷(bystander killing)」を可能にした。抗原陽性腫瘍細胞(未処理)と、51Crで標識した抗原非発現腫瘍細胞(TAX前処理)を1:1の割合で混合した培養系において、抗原特異的CTLを添加したところ、直接認識されないはずの抗原非発現細胞から顕著な51Cr放出が検出された (Figure 7A, B, D)。このバイスタンダー効果は、H2Kb分子を欠損し直接的な抗原提示が不可能なB16F10Kb-negative細胞を用いた実験系でも同様に実証された (Figure 7D)。さらに、インビボにおける治療効果の検証として、パーフォリン欠損CTLを養子移入した実験において、未治療マウスでは全く抗腫瘍効果が認められなかったのに対し、TAX治療を併用したマウスにおいては、パーフォリン欠損CTLが極めて強力な腫瘍増殖抑制効果を発揮した (Figure 8C)。これは、化学療法がCTLによる腫瘍殺傷におけるパーフォリンの必要性を完全に回避させ、MPRを介した直接的なGrzB取り込み経路を開放することによって、抗原不均一性を克服した広範なバイスタンダー殺傷を誘導できることを証明している。

考察/結論

本研究は、がん化学療法と免疫療法の併用における予期せぬ相乗効果の分子機序を、世界で初めて腫瘍細胞側の感受性変化の観点から解明した画期的な成果である。パクリタキセル(TAX)、シスプラチン(CIS)、ドキソルビシン(DOX)という、作用機序が全く異なる複数の代表的な化学療法薬が、共通して腫瘍細胞表面のマンノース-6-リン酸受容体(MPR)の発現を2〜3倍に上方制御し、CTLから放出されるグランザイムB(GrzB)に対する細胞膜透過性を劇的に高めることを突き止めた。これにより、パーフォリン非依存的なアポトーシス経路が活性化され、抗原特異的CTLが周囲の抗原非発現腫瘍細胞をも効率的に死滅させる「バイスタンダー殺傷」が誘導される。本知見は、少数のCTLであっても化学療法との併用により、腫瘍全体の抗原不均一性を克服して強力な抗腫瘍効果を発揮できるという極めて重要な理論的根拠を提示した。

先行研究との違い: 従来の併用療法に関する研究の多くは、化学療法が宿主の免疫抑制細胞(TregやMDSCなど)を排除することや、腫瘍抗原の放出を促して樹状細胞による抗原提示を改善することなど、主に宿主の免疫系を活性化・修飾する機序に焦点を当てていた。これに対し、本研究の成果は、「化学療法が腫瘍細胞自体をCTLに対して直接的に感作・感受性化させる」という、これまでの報告とは全く異なるパラダイムを提示している点で「対照的」である。特に、パーフォリンを介さないGrzBの直接的な細胞内取り込み経路の活性化という機序は、免疫応答の「量」ではなく腫瘍側の「被殺傷効率」を劇的に高めるものであり、これまでの併用理論の限界を打ち破るものである。

新規性: 本研究は、一般的な化学療法薬の曝露が腫瘍細胞表面のMPR発現を特異的に上方制御し、これがGrzBの「デスレセプター」として機能することを「本研究で初めて」新規に同定した。化学療法薬がパーフォリンの孔形成活性を必要とせずに、GrzBの直接的な細胞内移行を可能にするという発見は、細胞傷害性T細胞による標的細胞殺傷メカニズムの基本概念を覆す極めて「新規」な学術的知見である。さらに、この機序がマウスモデルのみならず、ヒト肺癌細胞株や患者由来のプライマリー腫瘍組織においても同様に機能していることを実証した点は、高い学術的価値を有している。

臨床応用: 本研究の成果は、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤(ICB: immune checkpoint inhibitor)やがんワクチン、CAR-T細胞療法、養子T細胞移入療法など、現代の多様ながん免疫療法との併用戦略における強力な「臨床的意義」および「bench-to-bedside」への架け橋となる。臨床応用における具体的な含意として、第一に、全身性の免疫抑制を回避しつつ腫瘍のMPR発現を最大限に誘導するための「低用量メトロノミック化学療法」の設計が挙げられる。第二に、腫瘍組織におけるMPRの発現強度を、化学療法と免疫療法の併用効果を予測する新規の「バイオマーカー」として臨床現場で活用することが期待される。本研究は、その後に臨床試験で大成功を収めたペムブロリズマブと化学療法の併用療法(KEYNOTE-189など)の有効性を裏付ける重要な先駆的基礎研究である。

残された課題: 今後の「検討課題」として、第一に、ゲムシタビンやペメトレキセド、オキサリプラチンなど、本研究で検証された3剤以外の化学療法薬や分子標的薬、さらには放射線療法が同様のMPR上方制御およびGrzB透過性亢進作用を有するか否かを検証する必要がある。第二に、化学療法が腫瘍細胞特異的にMPRの発現を誘導する上流の細胞内シグナル経路(小胞体ストレス応答やオートファジー、特定の転写因子の関与など)の全貌の解明が「今後の課題」として残されている。第三に、実際の臨床試験において、低用量化学療法後に患者の腫瘍組織内でMPR発現が実際に上昇しているかを前向きに検証する臨床研究が必要である。

方法

マウスモデルと腫瘍細胞株: 実験には、8〜12週齢の野生型C57BL/6Jマウス、BALB/cマウス、パーフォリン欠損マウス(perforin-KO: C57BL/6-Pfp tm1Sdz)、およびT細胞受容体(TCR)トランスジェニックマウスである2C-TCRマウス、OT-1マウスを使用した。腫瘍細胞株として、マウスリンパ芽球腫細胞株EL-4(EL-4 lymphoblastoma)、B16-F10メラノーマ、H2Kb分子を欠損した変異株であるB16F10Kb-negative細胞、乳癌細胞株4T1およびそのHER2/neu安定発現株である4T1-Neu、大腸癌細胞株MC38、乳癌細胞株TUBO(tumor of BALB/c neu-transgenic mice)を用いた。また、ヒト小細胞肺癌(SCLC)細胞株としてH332、DMS、86M1(86M1 SCLC cell line)を使用した。

免疫療法プロトコル: MC38腫瘍モデルでは、マウス野生型p53遺伝子を組み込んだ組換えアデノウイルスで形質導入した樹状細胞ワクチン(Ad-p53 DC)を5 × 10^5 cells/mouseの用量で皮下投与し、7日間隔で計3回免疫した。TUBOモデルでは、HER2/neu由来のp66ペプチド(TYVPANASL)を10 μg/mlで負荷した樹状細胞(DC)ワクチンを用いた。EG7(OVA安定発現EL-4)モデルでは、OVA由来ペプチド(SIINFEKL)で免疫したマウスから単離した脾臓T細胞、またはOT-1トランスジェニックマウス由来のCD8+ T細胞(5 × 10^6 cells)を静脈内に養子移入した。

化学療法処理: インビボ実験では、パクリタキセル(TAX)を12.5 mg/kgの用量で腹腔内投与した。インビトロ(in vitro)における腫瘍細胞の前処理では、直接的な細胞死を避けるため、24時間以内のアポトーシス誘導率が5%未満となる極低用量(TAX 12.5 nM、DOX 12.5 ng/ml、CIS 12.5 ng/ml)を選択し、18時間作用させた。

細胞傷害性アッセイ(CTLアッセイ): 標準的な4〜6時間のクロム(51Cr)放出アッセイ、およびフローサイトメトリーを用いたAnnexin V/7-AAD二重染色法により、標的細胞の生存率と細胞傷害活性を定量した。エフェクター/ターゲット(E/T)比は1:5から1:100の範囲で設定した。ヒトSCLC細胞株H332に対するアッセイでは、健康ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC: peripheral blood mononuclear cell)を腫瘍溶解物で5〜7日間刺激して誘導したCTLをエフェクター細胞として使用した。

アポトーシスおよび分子局在解析: 活性化カスパーゼ-3(cleaved caspase-3)の検出には、PE標識特異的抗体を用いたフローサイトメトリー解析を実施した。チトクロムc(CytC: cytochrome c)の放出は、デジトニン処理後に固定した細胞を抗CytC-FITC抗体で染色して評価した。エンドヌクレアーゼG(EndG: endonuclease G)の核内移行は、Po-Pro-3で標識したOT-1 T細胞と共培養した標的細胞を固定後、抗EndG抗体およびDAPIで染色し、共焦点レーザー顕微鏡(Leica TCS SP5)を用いて解析した。

グランザイムB(GrzB)透過性およびMPR解析: FITC標識または組換え型GrzB(1 μg/ml)を腫瘍細胞に添加し、細胞内への取り込みをフローサイトメトリーおよび抗GrzB抗体を用いた免疫染色で評価した。GrzBの特異的阻害剤としてZ-AAD-CMKを使用した。細胞表面のcation-independent MPR(CI-M6PR)の発現は、抗CI-M6PR抗体およびAlexa Fluor 647標識二次抗体を用いてフローサイトメトリーで測定した。受容体の機能阻害には、競合阻害剤として20 mMの可溶性マンノース-6-リン酸(M6P: mannose-6-phosphate)を添加した。また、MPR特異的siRNAを用いたノックダウン実験も実施した。

統計解析: 2群間の比較には、2側性のMann-Whitney U検定またはWilcoxon符号付き順位検定を用いた。腫瘍増殖曲線の比較には、Bonferroni事後検定を伴う2元配置分散分析(2-way ANOVA)を適用した。すべての統計解析はGraphPad Prism 5ソフトウェアを用いて行い、p < 0.05を有意差ありと定義した。