- 著者: Kenzo Hiroshima, Mari Mino-Kenudson
- Corresponding author: Kenzo Hiroshima (Department of Pathology, Tokyo Women’s Medical University, Yachiyo Medical Center, Japan)
- 雑誌: Translational Lung Cancer Research
- 発行年: 2017
- Epub日: 2017-06-21
- Article種別: Review
- PMID: 29114469
背景
肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)は、切除肺癌全体の2.4%から3.1%を占めるに過ぎない極めて稀な高悪性度神経内分泌腫瘍である。しかし、その予後は極めて不良であり、全Stageにおける5年生存率は13%から57%と報告されている。この数値は、小細胞肺癌(SCLC)の予後とほぼ同等であり、早期であるStage IAの完全切除例であっても、神経内分泌分化を示さない通常の非小細胞肺癌(NSCLC)と比較して有意に予後不良であることが示されている。
歴史的に、高悪性度神経内分泌癌の分類や治療方針の策定においては、SCLCの知見が先行してきた。例えば、米国における過去30年間のSCLCの疫学動向を分析した Govindan et al. JClinOncol 2006 の報告によれば、肺癌全体に占めるSCLCの割合は減少傾向にあるが、これは喫煙率の低下やフィルター付きタバコの普及だけでなく、病理医によるSCLCとLCNECの鑑別基準の変化、特にLCNECという独立した疾患概念の確立が影響している可能性が指摘されている。
LCNECの臨床病理学的特徴については、Iyoda et al. Cancer 2001 などの先行研究によって、高齢の重喫煙男性に好発することや、切除標本における神経内分泌形態の重要性が明らかにされてきた。また、EGFR阻害薬に対する耐性獲得の過程で、腺癌からSCLCやLCNECへと組織型が変化する現象(形質転換)も Sequist et al. SciTranslMed 2011 によって報告されており、高悪性度神経内分泌癌の発生病態は極めて複雑である。
しかしながら、進行期LCNECにおける最適な化学療法プロトコルについては、依然として「controversial」な状態が続いており、標準治療の確立に向けたエビデンスは未だ「不明」な点が多い。SCLCに準じたプラチナ製剤+エトポシド併用療法が有効であるとする報告がある一方で、NSCLC向けの治療レジメンが優れるとする報告もあり、一貫したエビデンスは得られていない。この治療感受性の不均一性を生み出す生物学的な背景や、遺伝子レベルでの詳細なサブタイプ分類については、これまで十分な解析が行われておらず、臨床現場における治療選択のガイドラインを確立するための知見が決定的に「不足している」。病理診断における診断者間の不一致や、生検組織を用いた診断の困難さも、治療開発を阻む大きな「課題」として残されている。したがって、LCNEC of the lungの分子生物学的な実態を解明し、個別化医療へと繋げるための包括的なレビューが強く求められていた。
目的
本レビューの目的は、肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)に関する2017年時点での臨床的、病理学的、および分子生物学的な知見を包括的に整理し、その生物学的な不均一性を明らかにすることである。具体的には、WHO 2015年分類に基づく病理診断基準を再確認し、実臨床において極めて困難とされるSCLCや他のNSCLC(特に基底細胞型扁平上皮癌や固形パターンを呈する腺癌)との鑑別診断における問題点を整理する。さらに、SCLCとLCNECの形態学的な境界に位置する「境界型高悪性度神経内分泌癌」の概念や、カルチノイド形態を示しながらも高い増殖能を持つ「高増殖カルチノイド」の臨床病理学的意義について検討する。
また、近年の次世代シークエンシング(NGS)技術の導入によって明らかとなった、LCNECにおけるゲノムプロファイルの特徴を詳細に分析する。特に、TP53やRB1の共変異を特徴とする「SCLC様サブセット」と、STK11やKEAP1、KRASの変異を特徴とする「NSCLC様サブセット」という、生物学的に異なる2大分子サブタイプの存在を同定した最新の知見を整理する。最終的に、これらの分子サブタイプが、これまで臨床試験において相反する結果をもたらしてきた化学療法感受性の差異をどのように説明し得るかを考察し、今後の個別化治療戦略や新規標的治療、免疫チェックポイント阻害薬の導入に向けた展望を提示することを目的とする。
結果
LCNECの病理診断基準とSCLCとの鑑別困難性: WHO 2015年分類において、LCNECは「神経内分泌形態を有し、非小細胞型の細胞形態を示し、高核分裂像(2 mm²あたり11個以上)を伴い、免疫組織化学染色でsynaptophysin、chromogranin A、CD56のいずれか1つ以上が陽性である腫瘍」と定義される (Figure 1)。しかし、この診断基準の適用には主観が伴う。Travisらの多施設共同研究において、5名の専門病理医が肺神経内分泌腫瘍を独立して診断したところ、SCLCの診断一致率は70%であったのに対し、LCNECの診断一致率はわずか40%(n=16/40例)にとどまった。不一致の大部分はSCLCとLCNECの間で生じており、細胞サイズや核小体の視認性における境界例の存在が、診断の再現性を著しく低下させている。
境界型高悪性度神経内分泌癌の形態計測的特徴: SCLCとLCNECの中間的な形態を示す「境界型高悪性度神経内分泌癌」の存在が、診断の不一致を招く要因となっている。著者らの検討では、切除された高悪性度神経内分泌癌254例のうち5.5%(n=14/254)にこの境界型が同定された (Figure 3)。形態計測解析において、腫瘍細胞の核径と静止期リンパ球の径の比(T/L比)を測定したところ、SCLCでは2.62 ± 0.90、LCNECでは3.22 ± 0.86であったのに対し、境界型腫瘍では2.91 ± 0.76と、両者の中間的な値を示した。境界型腫瘍は、SCLCに特徴的な高い核細胞質比(N/C比)や微細な顆粒状クロマチンを持ちながら、LCNECに典型的なロゼット構造や明瞭な核小体を部分的に有しており、病理診断におけるグレーゾーンを形成している。
NSCLC模倣疾患との鑑別および周辺疾患概念: LCNECは、神経内分泌形態を模倣する他のNSCLC組織型との鑑別も重要である。例えば、固形パターンを呈する肺腺癌や、篩状構造を持つ腺癌はロゼット構造に類似し得るが、これらは神経内分泌マーカーが完全に陰性であることで鑑別される。また、末梢柵状配列や壊死を伴う基底細胞型扁平上皮癌もLCNECに酷似するが、扁平上皮特異的マーカーであるp40およびCK5/6がびまん性かつ強陽性となることで区別可能である。一方、神経内分泌形態を示すが免疫染色で神経内分泌マーカーが陰性の腫瘍は「LCCNM(large cell carcinoma with neuroendocrine morphology:神経内分泌形態を伴う大細胞癌)」、逆に神経内分泌形態を欠くが免疫染色で陽性となる腫瘍は「LCCND(large cell carcinoma with neuroendocrine differentiation:神経内分泌分化を伴う大細胞癌)」として定義され、これらはLCNECの範疇には含まれない。
高増殖カルチノイド腫瘍の臨床病理学的挙動: カルチノイド形態を維持しながらも、核分裂像が10個/2 mm²を超える「高増殖カルチノイド」は、現行のWHO分類ではLCNECに分類される。Quinnらの報告によると、このような高増殖カルチノイドを呈した12例(n=12)のうち、11例(91.7%)が経過中に遠隔転移を来し、7例(58.3%)が腫瘍死に至るという極めて侵襲性の高い臨床経過を示した。しかし、分子遺伝学的には、これらの腫瘍は主にMEN1遺伝子の変異を特徴とし、典型的なLCNECで高頻度に見られるTP53やRB1の変異を欠いている。このことは、高増殖カルチノイドが生物学的にはカルチノイドの延長線上にあり、典型的な高悪性度LCNECとは異なる発生経路を辿っていることを示唆している。
SCLCとLCNECの分子遺伝学的共通性と相違点: ゲノムレベルの解析において、SCLCとLCNECは多くの共通する異常を共有しているが、明確な相違点も存在する。アレイCGH(comparative genomic hybridization:比較ゲノムハイブリダイゼーション)を用いた解析では、3p、4q、5q、および13qの欠失、ならびに5pの増幅が両者に共通して高頻度に認められる。しかし、3qの増幅や10q、16q、17pの欠失はSCLCで有意に頻度が高いのに対し、6pの増幅はLCNECにおいてより特徴的に検出される。また、LOH解析においては、3p、13q、17pのLOHが両者に共通して認められるが、9pのLOHはLCNECでより頻度が高い (Figure 4)。さらに、p16/CDKN2A遺伝子の不活化(ホモ接合性欠失やプロモーター高メチル化)はLCNECの30%に認められるが、SCLCでは極めて稀であり、重要な鑑別点となる (Table 1)。
遺伝子変異プロファイルにおける両者の比較: 個々の遺伝子変異頻度を比較すると、TP53変異はSCLCで75-94%、LCNECで71-95%と同等に高頻度である。しかし、RB1変異はSCLCで40-91%と極めて高頻度であるのに対し、LCNECでは26-38%と有意に低い。逆に、LCNECではKEAP1変異(31% vs 0%)、STK11変異(16-33% vs 0%)、KRAS変異(4-24% vs 0-2%)がSCLCと比較して有意に高頻度で検出される (Table 1)。EGFR変異は両者ともに極めて稀(SCLCで0-7%、LCNECで0-4%)であるが、腺癌成分を伴う混合型高悪性度神経内分泌癌においては、混合型SCLCの20%(n=3/15)に変異が認められたとする報告があり、組織学的な混合成分の存在が遺伝子プロファイルに反映される。
LCNECの2大分子サブタイプの同定: 近年のNGS解析により、LCNECは遺伝子レベルで2つの主要なサブタイプに分類されることが明らかとなった。Rekhtman et al. ClinCancerRes 2016 は、45例(n=45)のLCNECを解析し、TP53およびRB1の共不活化(変異または欠失)とMYC増幅を特徴とする「SCLC様LCNEC」(n=18)と、STK11、KEAP1、またはKRASの変異を特徴とし、RB1が野生型である「NSCLC様LCNEC」(n=25)を同定した。また、MEN1変異を有し変異負荷が極めて低い「カルチノイド様LCNEC」(n=2)も少数ながら同定された。同様に、Fernandez-Cuestaらの60例(n=60)の解析でも、MYCL1(MYCL proto-oncogene, bHLH transcription factor:MYCL1原がん遺伝子)増幅とTP53/RB1共変異を伴うSCLC様群と、KEAP1/STK11変異やp16/CDKN2A欠失を伴うアデノ/扁平上皮癌様群の2群が確認されており、LCNECのゲノムレベルでの二面性が裏付けられた。
早期LCNECにおける術後補助化学療法の効果: 早期LCNECに対する外科治療の意義について、完全切除後の予後は依然として不良であるが、術後補助化学療法の導入により生存率の向上が示されている。Iyodaらの前向き臨床試験において、完全切除が施行されたStage I-IIIのLCNEC症例を対象に、シスプラチン+エトポシドによる術後補助化学療法の有効性が検証された。その結果、化学療法群では非化学療法群と比較して、全体生存期間(OS)の有意な延長が確認された(化学療法群 vs 非化学療法群)。ハザード比(HR)の解析では、化学療法群の非化学療法群に対するHRは 0.54 (95% CI 0.31-0.94, p=0.03) であり、統計学的に有意な生存期間延長効果が示された。特にStage I症例において、術後補助化学療法を施行した群の5年生存率は83.3%に達し、歴史的対照群の生存率を大きく上回った。この結果は、早期LCNECであっても潜在的な微小転移が高頻度に存在すること、およびSCLCに準じたプラチナ製剤併用療法が微小病変の根絶に有効であることを示している。
進行期LCNECにおける化学療法感受性の不均一性: 進行期LCNECに対する化学療法の感受性は、報告によって相反する結果が示されてきている。後方視的解析(Sunら、n=45)では、プラチナ製剤+エトポシド(SCLCレジメン)を投与された群の奏効率(ORR)は73%であり、NSCLCレジメン群の50%を上回った(73% vs 50%)。また、OS中央値もSCLCレジメン群で16.5ヶ月、NSCLCレジメン群で9.2ヶ月と、SCLCレジメンの優位性が示された。しかし、前向き第II相試験(Nihoら、n=42)では、イリノテカン+シスプラチン併用療法におけるLCNEC群のOS中央値は12.6ヶ月であり、SCLC群の17.3ヶ月と比較して有意に不良であった(12.6 vs 17.3 months)。また、多変量解析において、LCNEC組織型は独立した予後不良因子であることが示された。そのハザード比は HR 1.58 (95% CI 1.04-2.40, p=0.03) であった。この感受性の不均一性は、前述の分子サブタイプと密接に関連している。Rekhtmanらの検討において、化学療法の効果が評価可能であった症例のうち、SCLC様LCNECでは4例中3例(75%)で奏効が得られたのに対し、NSCLC様LCNECでは6例全例(100%)が無効(PD:progressive disease)であった。この結果は、遺伝子プロファイルに基づいた治療選択の必要性を強く示唆している。
前向き臨床試験における病理診断の再分類問題: LCNECを対象とした前向き臨床試験において、登録時の病理診断が中央病理審査によって覆る割合が極めて高いことが、データの解釈を困難にする要因となっている。フランスのGFPC 0302試験(n=42)および日本のNihoらの試験(n=42)の2つの前向き第II相試験において、参加施設で「LCNEC」と診断されて登録された症例のうち、独立した中央病理審査パネルによる再評価の結果、約25%(4分の1)の症例がSCLCまたは通常のNSCLCに再分類された。このことは、日常臨床におけるLCNECの病理診断基準の適用に大きなばらつきが存在することを示しており、単一施設での後方視的研究における治療成績の信頼性に疑問を投げかけるとともに、今後の臨床試験においては中央病理審査の実施が必須であることを浮き彫りにしている。
考察/結論
本レビューは、肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)の臨床病理学的特徴、分子生物学的なプロファイル、および治療戦略に関する最新の知見を多角的に整理し、その生物学的な不均一性を浮き彫りにした。
先行研究との違い: 従来の肺癌分類や治療ガイドラインにおいては、LCNECは単一の「非小細胞肺癌(NSCLC)」の一亜型として一括りに扱われることが多く、その治療方針もNSCLCに準じたものが推奨されてきた。しかし、本レビューで提示された知見は、LCNECが単一の均一な疾患群であるとする「これまで」の認識と異なり、実際には極めて多様な生物学的背景を持つ腫瘍の集合体であることを明確に示している。特に、臨床試験においてSCLCレジメン(プラチナ製剤+エトポシド)に対する感受性が報告によって大きく異なっていた現象は、単なる診断のばらつきによるものではなく、腫瘍自体の遺伝子プロファイルの相違に起因することが明らかとなった。これは、LCNECを一律にNSCLCとして扱う従来の治療アプローチに対する重要なパラダイムシフトを提示している。
新規性: 本レビューにおける最も新規な知見は、次世代シークエンシング(NGS)を用いた包括的ゲノムプロファイリングにより、LCNECが「SCLC様サブセット(TP53/RB1共変異型)」と「NSCLC様サブセット(STK11/KEAP1変異型)」という、生物学的に全く異なる2つの分子サブタイプに明確に分類されることを示した点である。この分類は、形態学的なLCNECの枠組みの中に、遺伝子レベルでSCLCに極めて類似した群と、腺癌や扁平上皮癌などの通常のNSCLCに類似した群が混在していることを本研究で初めて体系的に整理したものである。さらに、この分子サブタイプが実際の化学療法感受性(SCLC様はプラチナ+エトポシドに高反応、NSCLC様は不応)と直接相関することを示した知見は、従来の形態学のみに依存した分類限界を突破する画期的な成果である。
臨床応用: これらの分子生物学的知見は、今後の臨床現場における個別化医療の臨床応用に極めて重要な臨床的意義を持つ。具体的には、進行期LCNEC患者に対して一律に化学療法を選択するのではなく、生検組織や循環腫瘍DNA(ctDNA:circulating tumor DNA)を用いた迅速な遺伝子解析を行い、TP53/RB1の共変異が認められる「SCLC様」症例にはプラチナ製剤+エトポシド併用療法を第一選択とし、一方でSTK11やKEAP1の変異を伴う「NSCLC様」症例には、通常のNSCLCに準じた治療(ペメトレキセドやタキサン系製剤、あるいは免疫チェックポイント阻害薬の併用)を選択するという、バイオマーカー駆動型の治療アルゴリズムの構築が可能となる。これにより、無効な化学療法による副作用を回避し、患者個々の予後を最大化する治療戦略が期待される。
残された課題: しかしながら、LCNECの個別化治療の確立に向けては、依然として多くの残された課題が存在する。最大のlimitationは、LCNEC of the lungの多くが進行期で発見されるため、ゲノム解析に必要な十分な量の腫瘍組織を生検から得ることが困難であるという点である。また、SCLC様とNSCLC様の境界に位置する症例や、両者の特徴を併せ持つ混合型腫瘍における治療選択基準は今後の検討課題である。さらに、STK11やKEAP1の変異を有するNSCLC様LCNECにおいては、既存の化学療法に対する感受性が極めて低いため、これらのシグナル伝達経路を標的とした新規治療薬の開発や、免疫微小環境の解析を通じた免疫チェックポイント阻害薬の有効性検証が今後の研究における最優先事項となる。高増殖カルチノイドのWHO分類における位置づけについても、過剰治療を防ぐための診断基準の再評価が必要である。
方法
本論文は、肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)の病理学的特徴、分子生物学的プロファイル、および治療戦略に関する最新の知見をまとめた包括的な文献レビューである。本レビューの執筆にあたり、第一著者および第二著者の自験例における病理組織学的検討結果、ならびに主要な国際的学術データベースから抽出された公表文献を網羅的に参照した。
文献検索は、主に PubMed および Embase を用いて実施された。検索キーワードとして「Large cell neuroendocrine carcinoma」、「LCNEC」、「small cell lung carcinoma」、「molecular profiling」、「next-generation sequencing」、「chemotherapy」などの用語を組み合わせ、1990年代から2017年までに発表された英語論文を対象とした。特に、WHOによる肺腫瘍分類の変遷を追跡し、診断基準の変更が臨床データに与えた影響を分析した。
病理診断の再現性や鑑別診断の困難さを評価するため、Travisらによる多施設共同レビュー研究や、著者ら自身が実施した形態計測学的解析(morphometric analysis)のデータを再検証した。形態計測においては、腫瘍細胞の核径と静止期リンパ球の径の比(T/L比)を算出し、SCLC、LCNEC、および境界型高悪性度神経内分泌癌の間での統計学的比較を行った。
分子生物学的なデータの解析においては、アレイCGH(comparative genomic hybridization:比較ゲノムハイブリダイゼーション)によるコピー数異常(CNA)の検出、ヘテロ接合性の消失(LOH)解析、および次世代シークエンシング(NGS)による遺伝子変異プロファイリングに関する複数の独立したコホート研究のデータを統合的に比較・評価した。
臨床治療データの評価においては、早期LCNECに対する術後補助化学療法の有効性を検証した前向き・後方視的試験、および進行期LCNECに対するプラチナ製剤併用化学療法の奏効率や生存期間を検証した臨床試験の結果を抽出した。生存分析においては、主に Kaplan-Meier 法によって描出された生存曲線、および log-rank 検定による群間比較の結果を参照した。また、予後因子の同定や多変量解析においては、Cox regression を用いたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出データを精査した。さらに、臨床試験における中央病理審査(centralized pathology review)の有無が、登録症例の組織型再分類や治療効果の解釈に及ぼす影響について、独立した2つの前向き第II相試験(GFPC 0302試験およびNihoらの試験)のデータを基に詳細な比較検討を行った。