- 著者: Fehrenbacher L, von Pawel J, Park K, Rittmeyer A, Gandara DR, Ponce Aix S, Han JY, Gadgeel SM, Hida T, Cortinovis DL, Cobo M, Kowalski DM, De Marinis F, Gandhi M, Danner B, Matheny C, Kowanetz M, He P, Felizzi F, Patel H, Sandler A, Ballinger M, Barlesi F
- Corresponding author: Louis Fehrenbacher, MD (Kaiser Permanente Medical Center, Vallejo, CA, USA)
- 雑誌: Journal of Thoracic Oncology
- 発行年: 2018
- Epub日: 2018-05-17
- Article種別: Original Article
- PMID: 29777823
背景
進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、プラチナ製剤を含む化学療法後に病勢進行した患者に対する治療選択肢は限られていた。近年、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)/プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)経路を標的とする免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が導入され、治療パラダイムが大きく変化した。アテゾリズマブは、PD-L1を標的とするヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびB7.1との結合を阻害することで、腫瘍特異的T細胞免疫を回復させる作用を持つ。この作用機序により、アテゾリズマブは様々な癌種で臨床的有効性を示している (Herbst et al. Nature 2014; Chen et al. Immunity 2013; Zou et al. NatRevImmunol 2008)。
OAK試験(NCT02008227)は、プラチナ製剤による前治療後に病勢進行した局所進行または転移性NSCLC患者を対象に、アテゾリズマブとドセタキセルの有効性および安全性を比較する無作為化第III相試験である。本試験の当初の目標登録患者数は850例(ITT850集団)であったが、高PD-L1発現サブグループ(腫瘍細胞の50%以上または免疫細胞の10%以上にPD-L1発現があるTC3またはIC3サブグループ)における全生存期間(OS)の比較を可能にするため、最終的に1225例(ITT1225集団)に増員された。
OAK試験の一次解析(中央値追跡期間21ヶ月)では、ITT集団においてアテゾリズマブがドセタキセルと比較してOSの有意な改善を示した(ハザード比 [HR] 0.73、95%信頼区間 [CI] 0.62-0.87、p=0.0003)。アテゾリズマブ群のOS中央値は13.8ヶ月(95% CI 11.8-15.7ヶ月)に対し、ドセタキセル群では9.6ヶ月(95% CI 8.6-11.2ヶ月)であった。このOSベネフィットは、PD-L1発現レベルにかかわらず観察され、PD-L1発現が1%未満の患者(TC0およびIC0サブグループ)でもHR 0.75(95% CI 0.59-0.96)と有意な効果が認められた。最も高いPD-L1発現を示す患者(TC3またはIC3サブグループ)では、アテゾリズマブによる最大のベネフィットが観察された(HR 0.41、95% CI 0.27-0.64)。安全性プロファイルも良好であったと報告されている (Rittmeyer et al. Lancet 2017)。
しかし、一次解析時点では、全登録患者1225例のうち、後から登録された375例(ITT1225のうちITT850以外の患者)の有効性データや、奏効持続期間(DOR)、長期生存に関する詳細な情報は限られていた。また、ドセタキセル群における後続免疫療法(特にニボルマブやペムブロリズマブなどのPD-1/PD-L1阻害剤)の使用が、アテゾリズマブのOSベネフィットの評価に与える影響についても、より詳細な検討が必要であった。先行研究では、これらの後続免疫療法がドセタキセル群の生存期間を延長させる可能性が示唆されており、アテゾリズマブの真の治療効果を評価する上で、その影響を調整することが重要な課題として残されていた。特に、PD-L1陰性患者におけるアテゾリズマブの有効性や、長期的な安全性プロファイルに関する知見も不足しており、これらのギャップを埋めることが求められていた。本更新解析は、ITT850およびITT1225の両集団における、より長期の追跡期間(中央値追跡期間28ヶ月)での有効性データを提供し、PD-L1発現サブグループ別の詳細な解析、奏効持続性、および後続免疫療法の影響を評価することを目的とする。これにより、アテゾリズマブの長期的な有効性と安全性プロファイルをより包括的に理解し、臨床現場での治療選択に資する情報を提供することが期待される。
目的
本研究の目的は、OAK第III相無作為化試験において、ITT850(n=850)およびITT1225(n=1225)の両集団におけるアテゾリズマブとドセタキセルの有効性および安全性を、中央値追跡期間28ヶ月の更新データを用いて評価することである。具体的には、以下の点を明らかにすることを目的とした。
- ITT850およびITT1225集団における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、および奏効持続期間(DOR)の更新データを報告すること。
- PD-L1発現レベル(TC/IC分類に基づく)別のサブグループにおけるアテゾリズマブの有効性を詳細に評価し、PD-L1発現と治療効果の関連性を明らかにすること。特に、高PD-L1発現群(TC3またはIC3)および低/陰性PD-L1発現群(TC0およびIC0)における治療効果を比較すること。
- ドセタキセル群における後続免疫チェックポイント阻害剤の使用が、アテゾリズマブのOSベネフィットに与える影響を評価するため、Rank-Preserving Structural Failure Time(RPSFT)モデルを用いた感度分析を実施すること。
- より長期の治療曝露と追跡期間におけるアテゾリズマブの安全性プロファイルを評価し、有害事象(AE)および免疫関連有害事象(irAE)の発生率、性質、重症度を報告すること。
- 組織型(非扁平上皮癌および扁平上皮癌)やその他のベースライン特性(脳転移の有無、喫煙歴、EGFR変異の有無など)別のサブグループにおけるアテゾリズマブの有効性を評価すること。
これらの解析を通じて、既治療進行NSCLC患者に対するアテゾリズマブの長期的な臨床的有用性をより深く理解し、個別化された治療戦略の確立に貢献することを目指した。
結果
ITT850集団におけるOSの更新解析: ITT850集団では、アテゾリズマブ群に425例、ドセタキセル群に425例がそれぞれ無作為に割り付けられた。データカットオフ(2017年1月23日)時点での追跡期間中央値は28ヶ月であった。ベースライン特性は両治療群間でバランスが取れていた。アテゾリズマブ群のOS中央値は13.8ヶ月(95% CI 11.8-15.7ヶ月)であり、ドセタキセル群の9.6ヶ月(95% CI 8.6-11.2ヶ月)と比較して有意な改善を示した。更新されたHRは0.75(95% CI 0.64-0.89、p=0.0006)であった。12ヶ月OS率はアテゾリズマブ群で54.7%、ドセタキセル群で41.1%であり、18ヶ月OS率はそれぞれ40.0%と26.9%、24ヶ月OS率はそれぞれ30.9%と21.1%であった。長期的なOSの差が拡大していることが示された (Figure 1A)。
ITT1225集団におけるOS解析(全登録例): ITT1225集団では、アテゾリズマブ群に613例、ドセタキセル群に612例が割り付けられた。追跡期間中央値は26ヶ月であった。アテゾリズマブ群のOS中央値は13.3ヶ月(95% CI 11.3-14.9ヶ月)であり、ドセタキセル群の9.8ヶ月(95% CI 8.8-11.3ヶ月)と比較して有意な改善が認められた。HRは0.80(95% CI 0.70-0.92、p=0.0012)であった。12ヶ月OS率はアテゾリズマブ群で53.0%、ドセタキセル群で42.6%であり、18ヶ月OS率はそれぞれ38.6%と28.7%、24ヶ月OS率はそれぞれ29.7%と22.1%であった。この結果は、ITT850集団の解析結果と一貫していた (Figure 2A)。
PD-L1発現別OS(ITT850集団): PD-L1発現レベル別のOS解析では、アテゾリズマブの生存ベネフィットは全てのPD-L1発現サブグループで観察された。特に、高PD-L1発現群であるTC3またはIC3サブグループでは、アテゾリズマブ群のOS中央値は22.2ヶ月(95% CI 17.5-30.2ヶ月)であり、ドセタキセル群の8.9ヶ月(95% CI 5.6-11.6ヶ月)と比較して顕著な改善が認められた(HR 0.40、95% CI 0.27-0.61、p<0.0001)。TC2/3またはIC2/3サブグループではOS中央値が16.3ヶ月 vs 10.8ヶ月(HR 0.66、p=0.0057)、TC1/2/3またはIC1/2/3サブグループでは15.7ヶ月 vs 10.3ヶ月(HR 0.74、p=0.0099)であった。注目すべきは、PD-L1陰性群であるTC0およびIC0サブグループにおいても、アテゾリズマブ群のOS中央値が12.6ヶ月(95% CI 9.6-15.2ヶ月)であり、ドセタキセル群の8.9ヶ月(95% CI 7.7-11.5ヶ月)と比較して有意なOS改善が認められた(HR 0.77、95% CI 0.61-0.97、p=0.0258)。これは、PD-L1発現レベルと治療効果の相関性が確認された一方で、PD-L1陰性例でも有意な生存利益が存在することを示唆する (Table 1)。
組織型別OSおよびその他のサブグループ解析: アテゾリズマブによる生存ベネフィットは、非扁平上皮癌患者(HR 0.74、95% CI 0.61-0.89)および扁平上皮癌患者(HR 0.77、95% CI 0.57-1.03)の両方で観察された。PD-L1発現レベルの上昇に伴う生存ベネフィットの増加は、非扁平上皮癌患者でより顕著であった。ベースライン時に脳転移を有する患者においても、アテゾリズマブ群でOS改善が認められた(HR 0.57、95% CI 0.33-0.97)。しかし、EGFR変異陽性患者では、アテゾリズマブによる生存ベネフィットは認められなかった(HR 1.24、95% CI 0.71-2.15)。
ORR、DOR、およびPFS(ITT850集団): ITT850集団におけるORRは、アテゾリズマブ群で14.6%(95% CI 11.4-18.3%)、ドセタキセル群で13.4%(95% CI 10.3-17.0%)であり、統計的な有意差は認められなかった。しかし、PD-L1高発現群であるTC3またはIC3サブグループでは、アテゾリズマブ群のORRは30.6%(95% CI 20.2-42.5%)と、ドセタキセル群の10.8%(95% CI 4.4-20.9%)と比較して大幅に高かった。奏効持続期間(DOR)中央値は、アテゾリズマブ群で16.3ヶ月(95% CI 10.0-26.3ヶ月)であり、ドセタキセル群の6.2ヶ月(95% CI 4.9-8.4ヶ月)と比較して約2.6倍長かった。奏効が継続している患者の割合は、アテゾリズマブ群で45.2%、ドセタキセル群で17.5%であった。ITT1225集団では、DOR中央値はアテゾリズマブ群で23.9ヶ月(95% CI 12.8ヶ月-推定不能)、ドセタキセル群で6.3ヶ月(95% CI 5.5-7.6ヶ月)と、長期追跡により奏効持続性がさらに拡大していることが示された。PFSについては、ITT850集団全体ではアテゾリズマブ群とドセタキセル群の間で有意な差は認められなかった(HR 0.93、95% CI 0.80-1.08)。しかし、TC2/3またはIC2/3サブグループ(HR 0.76、95% CI 0.59-0.99)およびTC3またはIC3サブグループ(HR 0.62、95% CI 0.43-0.89)ではPFSのベネフィットが観察された (Table 1)。
後続非プロトコル免疫療法とRPSFT解析: ITT1225集団のドセタキセル群では、ITT850集団のドセタキセル群(18.4%)と比較して、より多くの患者(23.0%)が後続の非プロトコル免疫療法(特にニボルマブ)を受けていた。特に、後から登録された375例のドセタキセル群では、33.7%が後続免疫療法を受けており、そのうちTC3またはIC3サブグループでは45%に達した。この後続免疫療法の影響を調整するため、RPSFTモデルを用いた感度分析が実施された。その結果、アテゾリズマブ対ドセタキセルのHRは、従来のOS推定値と比較してわずかに低下した(ITT850集団でHR 0.69 vs 0.75、ITT1225集団でHR 0.74 vs 0.80)。これは主に、RPSFT調整によりドセタキセル群のOS中央値が低下したことによるものであった(ITT850集団で9.3ヶ月 vs 9.6ヶ月、ITT1225集団で9.5ヶ月 vs 9.8ヶ月) (Table 3)。
安全性プロファイルの更新: 安全性評価対象集団は、アテゾリズマブ群609例、ドセタキセル群578例であった。アテゾリズマブ群では、ドセタキセル群(2.4%)と比較して、より多くの患者(20.5%)が1年以上の治療を継続した。治療期間中央値は、アテゾリズマブ群で3.4ヶ月(範囲0-32ヶ月)、ドセタキセル群で2.1ヶ月(範囲0-30ヶ月)であった。治療関連有害事象(trAE)の発生率は、アテゾリズマブ群で64.0%、ドセタキセル群で86.2%であった。Grade 3または4のtrAEは、アテゾリズマブ群で14.9%、ドセタキセル群で42.4%に発生し、アテゾリズマブ群で有意に低かった。Grade 5のtrAEは、アテゾリズマブ群では報告されなかった。治験薬の中止に至ったtrAEは、アテゾリズマブ群で7.9%、ドセタキセル群で18.3%であった。
免疫関連有害事象(irAE)の発生率は、アテゾリズマブ群で33.2%であった。最も一般的なirAEは発疹(16.9%)であり、そのほとんどがGrade 1または2であった。次に多かったのは肝炎であり、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)上昇(全グレード6.7%、Grade 3または4が1.3%)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(全グレード5.9%、Grade 3または4が1.0%)を含む肝機能検査値異常が認められた。その他のirAEには、甲状腺機能低下症(4.8%)および肺炎(2.3%)が含まれた (Table 4)。
考察/結論
OAK試験の更新解析は、既治療進行NSCLC患者においてアテゾリズマブがドセタキセルと比較して持続的な全生存期間(OS)の優越性を示すことを再確認した。ITT850集団におけるOS中央値は13.8ヶ月 vs 9.6ヶ月(HR 0.75、95% CI 0.64-0.89、p=0.0006)、ITT1225集団では13.3ヶ月 vs 9.8ヶ月(HR 0.80、95% CI 0.70-0.92、p=0.0012)であり、一次解析の結果と一貫していた。
先行研究との違い: 本更新解析では、一次解析(HR 0.73)と比較してITT1225集団のHRがわずかに上昇(0.80)したが、これはドセタキセル群における後続免疫療法の使用率が増加した影響であると考えられる。Rank-Preserving Structural Failure Time(RPSFT)モデルを用いた感度分析により、後続免疫療法の効果を調整したHRはITT1225集団で0.74となり、一次解析のHRとほぼ一致した。この結果は、後続免疫療法がドセタキセル群のOSを改善させ、アテゾリズマブの真のベネフィットを過小評価する可能性があったことを示唆しており、これまでの報告とは異なるアプローチで治療効果を評価した点で重要である。
新規性: 本研究で初めて、PD-L1高発現群(TC3またはIC3)におけるアテゾリズマブのOS中央値が22.2ヶ月 vs 8.9ヶ月(HR 0.40、95% CI 0.27-0.61、p<0.0001)と、非常に大きな生存利益が示された。これは、PD-L1発現レベルが高い患者においてアテゾリズマブが特に効果的であることを明確に裏付ける新規の知見である。また、奏効持続期間(DOR)中央値がアテゾリズマブ群で16.3ヶ月 vs ドセタキセル群で6.2ヶ月と、免疫療法特有の「durable response」を裏付ける結果も新規性がある。客観的奏効率(ORR)に大きな差がないにもかかわらずOSに有意差が生じるのは、少数の患者が長期奏効を維持し、それが全体の生存を牽引していることを示唆しており、免疫療法の作用機序を理解する上で重要な示唆を与える。
臨床応用: PD-L1陰性患者(TC0およびIC0)においても、アテゾリズマブによる有意なOS利益(HR 0.77、95% CI 0.61-0.97、p=0.0258)が確認されたことは、臨床応用上極めて重要である。これは、PD-L1検査スコアのみで治療選択を決定することの限界を示唆し、PD-L1陰性患者であってもアテゾリズマブの投与を検討すべきであることを支持するバイオマーカー非依存的な利益として、臨床現場での治療選択に大きな影響を与える。また、脳転移を有する患者においてもアテゾリズマブのベネフィットが示されたことは、NSCLC患者における脳転移の高い有病率を考慮すると、臨床的有用性が高い。
残された課題: EGFR変異陽性患者ではアテゾリズマブのベネフィットが認められなかったことは、これまでのPD-L1/PD-1阻害剤に関する知見と一致するが、そのメカニズム(低い腫瘍変異負荷やPD-L1発現率の低さなど)についてはさらなる研究が必要である。今後の検討課題として、長期生存者の特性解析が挙げられる。アテゾリズマブ治療を受けた一部の患者で観察される奏効の持続性と長期生存のメカニズムを解明することは、免疫療法の効果予測因子を特定し、治療戦略を最適化する上で重要である。また、腫瘍変異負荷(TMB)やTエフェクター遺伝子シグネチャーなどの他の予測バイオマーカーの検討も、複雑な腫瘍免疫生物学をより深く理解し、PD-L1陰性腫瘍患者がアテゾリズマブ治療からベネフィットを得る理由を説明するために必要である。本研究は、既治療進行NSCLC患者に対するアテゾリズマブの有効性と良好な安全性プロファイルを再確認し、長期追跡データに基づくエビデンスを強化した。
方法
本研究は、第III相多施設共同非盲検無作為化試験であるOAK試験(NCT02008227)の更新解析である。
試験デザインと患者: 対象患者は、プラチナ製剤を含む1〜2レジメンの細胞傷害性化学療法後に病勢進行した局所進行または転移性NSCLC患者で、ECOGパフォーマンスステータスが0または1であった。EGFRまたはALK遺伝子変異を有する患者は、承認された分子標的薬による治療を受けていることが条件とされた。全ての患者は書面によるインフォームドコンセントを提供し、試験はGCP(Good Clinical Practice)ガイドラインおよびヘルシンキ宣言に完全に準拠して実施された。
治療と評価: 患者はアテゾリズマブ1200mgを3週間ごとに静脈内投与、またはドセタキセル75mg/m²を3週間ごとに静脈内投与された。治療は、臨床的ベネフィットの消失、許容できない毒性、または病勢進行まで継続された。病勢進行後のアテゾリズマブ継続投与も許容された。ドセタキセル群からアテゾリズマブへのクロスオーバーは、アテゾリズマブのOSベネフィットが示された一次解析後に許可されたが、本更新解析のデータカットオフ時点ではクロスオーバーは発生していなかった。
腫瘍評価はベースライン時、その後36週目までは6週間ごと、それ以降はRECIST v1.1に基づく病勢進行または治療中止まで9週間ごとに実施された。治療中止後も、患者は生存および非プロトコル治療の使用について追跡された。PD-L1発現は、ベースライン時の腫瘍検体を用いてVentana SP142免疫組織化学(IHC)アッセイにより前向きに測定された。PD-L1発現は、腫瘍細胞(TC)および腫瘍浸潤免疫細胞(IC)のスコアに基づき、TC0/IC0(PD-L1発現1%未満)、TC1/IC1(PD-L1発現1%以上)、TC2/3/IC2/3(PD-L1発現5%以上)、TC3/IC3(PD-L1発現50%以上またはIC10%以上)の4段階に分類された。
アウトカム: 主要評価項目は、ITT850集団におけるITTおよびTC1/2/3またはIC1/2/3サブグループでのOSであった。本更新解析では、ITT850集団のデータカットオフを2017年1月23日とし、中央値追跡期間28ヶ月でOSを再評価した。さらに、ITT1225集団におけるOSも、ITTおよびTC1/2/3またはIC1/2/3サブグループで共同主要評価項目として評価され、続いてTC2/3またはIC2/3サブグループおよびTC3またはIC3サブグループで順次評価された。副次評価項目には、治験責任医師評価によるPFS、ORR、およびDORが含まれた。
安全性は、治験薬を1回でも投与された全ての患者で評価された。有害事象(AE)および臨床検査値異常の発生率、性質、重症度は、NCI-CTCAE v4.0に基づき評価された。免疫関連有害事象(irAE)は、MedDRA(Medical Dictionary for Regulatory Activities)標準化クエリ、スポンサー定義のAEグループ用語、およびMedDRA定義の高レベル用語を用いて包括的に定義され、解析された。
統計解析: OAK試験の副次集団の統計解析は、以前報告された主要集団の解析と同様の方法で実施された。ITT850集団のα値は、ITT1225集団のOS(α=3%)およびTC1/2/3またはIC1/2/3サブグループのOS(α=2%)の共同主要評価項目を検定するために再利用された。これらのいずれかまたは両方が有意であった場合、α値はITT1225集団のTC2/3またはIC2/3サブグループおよびTC3またはIC3サブグループのOSを順次検定するためにさらに再利用された。ITT1225集団の副次OS解析は、この集団の約75%の患者が死亡した時点で計画され、ITT850集団の更新解析と同時に実施された。OSは、層別ログランク検定を用いて両側有意水準で治療群間で比較された。カプラン・マイヤー法を用いてOS中央値が推定され、Brookmeyer-Crowley法を用いて95% CIが推定された。ハザード比(HR)は、層別Cox回帰分析を用いて推定された。組織型、PD-L1発現、およびその他のベースライン特性による治療効果を決定するための事前規定解析は、HR推定のために非層別Cox回帰分析を用いて実施された。PFS、ORR、およびDORは、主要解析と同様の方法論を用いて解析された。
後続の非プロトコル免疫療法がドセタキセル群の患者に与える影響を評価するため、Rank-Preserving Structural Failure Time(RPSFT)モデルを用いた事後探索的OS感度分析が実施された。この分析では、後続免疫療法を受けたドセタキセル群の患者の生存時間を、免疫療法によるベネフィットがない場合の生存時間を反映するように調整し、この時間調整を反映するように患者を再打ち切りした。Schoenfeld残差検定により、RPSFT分析における比例ハザード仮定がこのデータセットに適切であることが確認された(カイ二乗値1.81、p=0.18)。