- 著者: Robert C. Sharp, Dylan T. Guenther, Matthew J. Farrer
- Corresponding author: Matthew J. Farrer (Department of Neurology, McKnight Brain Institute, University of Florida, Gainesville, FL, United States)
- 雑誌: Frontiers in immunology
- 発行年: 2023
- Epub日: 2023-10-30
- Article種別: Systematic Review
- PMID: 38022545
背景
アルツハイマー病・パーキンソン病・ハンチントン病・MS (multiple sclerosis; 多発性硬化症)・TBI (traumatic brain injury; 外傷性脳損傷) など多くの神経変性疾患モデルにおいて、マウス脳内免疫細胞の定量的解析が急速に重要視されるようになっている。特に、TREM2 (triggering receptor expressed on myeloid cells 2) のアルツハイマー病関連、GRN (granulin) の前頭側頭型認知症、LRRK2 (leucine-rich repeat kinase 2) のパーキンソン病関連など免疫関連遺伝子の発見が相次いだことで、常在免疫細胞 (ミクログリア・アストロサイト) および浸潤末梢免疫細胞 (T細胞・NK細胞・B細胞等) の脳内動態把握が研究の中心課題となっている。また腸管−脳軸研究の進展も神経免疫学への関心を高めており、腸内細菌叢と中枢神経系の免疫コミュニケーションを定量する手段としてフローサイトメトリーの重要性が増している。
フローサイトメトリーおよびFACS (fluorescence-activated cell sorting) は、蛍光標識抗体による細胞の多変量同時解析が可能な手法として神経免疫学分野に急速に普及しているが、その解析結果はユーザーのゲーティング戦略・蛍光色素・フローサイトメーター機種に強く依存するため研究間の標準化が困難である。Calvo et al. IBRORep 2020 は、新生仔および成体マウス脳の組織解離法がミクログリア・アストロサイト・浸潤リンパ球の同時フローサイトメトリー解析に与える影響を系統的に評価し、プロトコル選択が細胞回収率と表現型保持に大きく影響することを示した。Srakocic et al. FrontCellNeurosci 2022 は成体マウス脳ミクログリアのフローサイトメトリー解析プロトコルを系統的にレビューし、単離法の最適化を提案したが、対象をミクログリアに限定した評価にとどまっていた。McGill et al. STARProtoc 2021 はマウス好中球のNETs (neutrophil extracellular traps; 細胞外トラップ) のフローサイトメトリー解析プロトコルを開発したが、脳内全免疫サブセットを横断的に比較するものではなかった。
本研究以前、NIH PROSPEROレジストリデータベースにおいて「神経免疫学 × フローサイトメトリー」を対象とした系統的レビューは存在せず、WT (wild-type; 野生型) マウス脳における各免疫細胞サブセットの期待細胞数・割合が標準的なフローサイトメトリーで明確に定義されていないというgap in knowledgeが存在した。マウス系統・性別・月齢・組織解離法・密度勾配条件・フローサイトメーター機種・ゲーティング戦略の多様性がWT参照値の確立を妨げており、研究間比較・メタ解析を可能にするためのデータ報告ガイドラインが不足していた。特に免疫サブセット割合の算出基準 (生細胞比率 vs. CD45+ゲート比率など) が統一されていない点は、神経免疫学的メタ解析推進において最も手薄な標準化領域であった。
目的
野生型マウス脳のフローサイトメトリーに用いられる実験プロトコルの現状をPRISMA基準に基づいて系統的にレビューし、マウス系統・組織処理・機器・報告様式のばらつきを定量化する。さらに、58論文から集積した免疫細胞計測値を1×10^5細胞の標準化アプローチで比較し、WT参照値を提供するとともに、メタ解析を可能にする標準プロトコルと最小報告推奨指針 (Table 1) を策定する。
結果
文献スクリーニングと包含論文の概要: Google ScholarとPubMedの2データベースからキーワード検索により計900報を同定した (Figure 1)。一次スクリーニングで、抄録のみの報告またはデータベース間の重複223報を除外後677報が残り、さらに2012年以前の論文240報を除外して437報を二次評価した。詳細な包含・除外基準の適用として、マウス脳ホモジネートのフローサイトメトリーを主眼としない133報、コントロールデータ/マウス系統情報が不十分な129報、ヒト研究94報、ラット研究23報を除外し、最終的にn=58論文がシステマティックレビューに包含された。これら58論文はすべてWT/コントロールマウス脳ホモジネートをフローサイトメトリーで解析しており、TMEM119+ミクログリア、bulk CD4+ T細胞、bulk CD8+ T細胞が最も多く報告された免疫サブセットであった。多くの論文は別の疾患モデルマウスとの比較対照群としてWT脳の免疫プロファイルを提示していた。
マウス系統・性別・月齢・飼育環境の多様性: マウス系統については、C57BL/6系統が最多で58論文中26論文 (44.8%) が採用していたが (Figure 2A)、C57BL/6J (19/58, 32.8%)、BL6 (variant notation for C57BL/6 inbred strain; 2/58, 3.44%)、H-2b (mouse MHC class I haplotype)-bearing C57BL/6 (2/58, 3.44%)、C57BL/6J (B6; black 6 inbred strain; 2/58, 3.44%) など複数のサブ系統が混在しており、同じ「C57BL/6」という名称でも遺伝的背景や免疫プロファイルが異なる可能性が無視されていた。その他、B6129SF2/J、C3H/FeJ、BALB/cなども使用されており、系統間の免疫背景の差異が研究間比較を困難にする交絡因子となっていた。性別については雄のみ使用が33/58論文 (56.9%) と最多で、雌雄混合が10/58論文 (17.2%)、性別未記載が8/58論文 (13.8%) 存在した (Figure 2B)。性別は免疫応答に影響を与えることが知られているにもかかわらず、性別を交絡因子として統計解析に組み込んでいる論文は少数にとどまっていた。月齢については8〜12週 (2〜3ヶ月齢) が9/58論文 (15.5%) と最多報告グループであったが (Figure 2C)、実際には1〜2週齢の新生仔マウスから3〜26ヶ月齢の老齢マウスまで幅広い範囲にわたっており、月齢による免疫プロファイルの大幅な変動が考慮されていない研究が多数あった。飼育環境については対応著者への照会 (n=10名から回答) により、大多数の研究がHEPAフィルター付きの陽圧barrier施設・個別換気ケージ・滅菌床材/飼料を使用していることが明らかになったが、この情報は論文本文にはほとんど記載されていなかった。飼育環境・月齢・性別は脳内免疫細胞の組成に直接影響する交絡因子として実験プロトコルへの明示的記載が必須であることが示された。
脳組織解離プロトコルの多様性: 灌流方法については、cold PBSが36/58論文 (62.1%) で最も広く使用されており (Supplementary Figure 1)、本研究では代わりにHank’s balanced salt solution (HBSS) + 10%血清 (非働化FBS等) による心臓灌流が、常在免疫細胞・神経細胞の生存率維持の観点から推奨された。脳組織のホモジネーション・免疫細胞単離法は著しく多様であり (Figures 3A-3C)、機械的ホモジナイズ (ガラス-テフロンホモジナイザー・18G針等) を酵素処理・密度勾配遠心前に施行したものが18/58論文 (31.0%) あった一方、商業用キット (Neural Tissue Dissociation Kit P; Miltenyi Biotec等) 使用は6/58論文 (10.3%) にとどまった (Figure 3A)。酵素処理ではコラゲナーゼ単独または他酵素との組み合わせが30/58論文 (51.7%) と最多で、そのうちDNase I併用が27/58論文 (46.6%) と最も頻度が高かった (Figure 3B)。コラゲナーゼのサブタイプ (Type I・II・IV・D・Liberaseなど) の選択、処理温度・時間の違いは、CD11b・CD45・TMEM119などの細胞表面マーカーの酵素的消化脱落を招き、フローサイトメトリーの検出感度を研究間で不均一にする要因として浮き彫りになった。細胞ストレーナーは70 µmフィルターが23/58論文 (39.7%) と最多で、まず100 µmフィルター、次に70 µmフィルターを順次使用する手順が本研究の推奨として提示された。ミエリン除去・免疫細胞濃縮のためのPercoll密度勾配は30%/70% two-step勾配が17/58論文 (29.3%) と最多採用であったが (Figure 3C)、22%・25%・25/70%・30%・30/50%・30/60%・30/37/70%・35%・37%・38%・40%・30/80%など多彩な濃度条件が用いられており、ミエリンの完全除去には最低37%等張Percoll勾配が必要であるという知見に基づく標準化が進んでいないことが示された。
フローサイトメーター・解析ソフトウェアと報告品質: フローサイトメーター機種はBD LSRII Flow Cytometerが12/58論文 (20.7%) と最多で、FACSソーターではBD FACS Aria IIIが8/58論文 (13.8%) と最多使用されていた (Supplementary Figure 2A)。解析ソフトウェアはFlowJo (Tree Star) が38/58論文 (65.5%) と圧倒的多数を占め、BD FACSDivaが11/58論文 (19.0%) で続いた (Supplementary Figure 2B)。フローサイトメーターの機種・型番とソフトウェアのバージョンを完全に記載した論文は少数にとどまった。報告品質の評価では、ゲーティング戦略の完全記載が35/58論文 (60.3%)、部分記載が20/58論文 (34.5%)、記載なしが3/58論文 (5.17%) であり (Figure 4A)、抗体クローンとゲーティング戦略の両方が揃っていたのは44/58論文 (75.9%) であった。最大の問題点はサンプルあたりのtotal cells collected数の報告率がわずか16/58論文 (27.6%) にとどまっていたことで (Figure 4B)、生細胞数 (live cell count) を明示した論文は9/58論文 (15.5%) のみであった (Supplementary Figure 3A)。免疫サブセット割合を生細胞から直接算出して報告した論文は12/58論文 (20.7%) のみで (Figure 4C)、大多数はCD45+ゲートなど別のゲートを起点に割合を算出していた。この報告様式の不統一が研究間の直接数値比較を著しく困難にしていた。細胞数・MFI (mean fluorescence intensity) 測定方法を記載した論文は35/58論文 (60.3%) であり (Supplementary Figure 3B)、細胞カウンティングビーズ使用、機器カウント、計算値の別を記載した論文はさらに少数にとどまった。総じて、MIFlowCyt (Minimum Information about a Flow Cytometry Experiment) 基準への準拠が十分でない論文が多く、フローサイトメトリーデータの完全な再現性確保が困難な現状が明らかになった。
免疫細胞サブセット定量値の著しい変動性: 58論文から集計したWTマウス脳内の各免疫サブセット細胞数は研究間で著しく変動し、大多数のサブセットでSDが平均値を大きく超えるほどのばらつきが確認された (Figure 5、Supplementary Table 3)。複数論文から中央値・平均値を算出できた免疫サブセットとして、bulk CD4+ T細胞 (n=7論文)、bulk CD8+ T細胞 (n=7論文)、DN T細胞 (n=2論文)、TREG (n=5論文)、TH1細胞 (n=2論文)、TH17細胞 (n=2論文)、NK細胞 (n=7論文)、DC (n=5論文)、B細胞 (n=6論文)、単球 (n=7論文)、マクロファージ (n=7論文)、TMEM119+ミクログリア (n=4論文)、好中球 (n=9論文) が同定された。最も高い細胞数を示したのはTMEM119+ミクログリアで、中央値72,300細胞 (IQR=194,038; n=4論文)、平均90,323 ± 104,555細胞であった。最少はTFH T細胞で、中央値8細胞 (IQR=0; n=1論文) と報告された。Bulk CD4+ T細胞の中央値は1,200細胞 (IQR=3,734; n=7論文) であり、一部の外れ値論文が全体の中央値・平均値を大きく歪めていることが確認された。特定のT細胞サブセット (memory T cell分類: CD4/CD8別のTCM・TEM・TEMRA) はほぼ報告されていなかった。また、TH2細胞はいずれの論文にも報告がなく、TH1/TH2バランスという重要な免疫パラメータのWT脳内参照値は未定のままであることが明らかになった。サンプルあたりのtotal cell数は1×10^4〜約3×10^6細胞と広範囲にわたり、この技術的ばらつきが免疫細胞サブセット絶対数の研究間変動の主要因の一つと考えられた。好中球については、細胞外トラップ (NETs) 形成により非特異的な抗体結合や自己凝集が起こりやすく、フローサイトメトリーでの正確な定量が困難であること、また命名法・ターゲット抗体・精製法への感受性が変動要因となることが指摘された。
標準化割合推定とバイアス評価: 各論文の不均一な総細胞数を1×10^5細胞に標準化する数式を適用し、WTマウス脳における各免疫サブセットの理論的割合を算出した (Figure 6、Supplementary Table 3)。その結果、TMEM119+ミクログリアが28.5% ± 33.0 (n=4論文) と最も高い割合を占め、次いでbulk CD4+ T細胞 6.41% ± 6.15 (n=7論文)、bulk CD8+ T細胞 4.00% ± 5.34 (n=7論文)、TH1 T細胞 2.39% ± 2.70、DN T細胞 1.82% ± 1.57、NK細胞 1.28% ± 2.64、TREG T細胞 0.86% ± 1.33 (n=5論文)、TH17 T細胞 0.32% ± 0.06、DC 0.04% ± 0.05 (n=5論文) の順であった。SDが平均値を超える項目が多く、特にTMEM119+ミクログリアのSDが特に大きいことは、わずかn=4論文から算出された推定値の信頼性に限界があることを示している。SYRCLE法による9ドメインのバイアス評価では、58論文の大部分で「不明瞭 (unclear)」バイアスが50%超を占めた (Figure 7)。最もバイアスが高かった (>50%が高バイアスまたは不明瞭) ドメインはBaseline Characteristics (D2; 性別・月齢・体重・住居条件等の記載欠如) とIncomplete Outcome Data (D7; 除外動物に関する報告不備) であった。唯一、Selective Outcome Reporting (D8; 記載方法と結果の整合性) は75%超が低バイアスであり、記載した方法と報告した結果の整合性は比較的担保されていた。全体的なバイアスが「不明瞭」となった主因は、動物選択の無作為化・盲検化・飼育環境の標準化に関する記載が極めて乏しい点にあった。
考察/結論
本系統的レビューは2013〜2023年に発表されたWT野生型マウス脳フローサイトメトリー論文n=58件を定量的に評価し、プロトコルの著しい多様性が研究間比較を根本的に損なっていることを実証した。C57BL/6系統 (44.8%)、Percoll 30%/70%二段階勾配 (29.3%)、FlowJo解析パイプライン (65.5%) が事実上の実地標準として最多採用されていることが確認されたが、これらが揃った場合でも組織解離条件・月齢・性別・抗体パネル・ゲーティング戦略の差異により細胞数の直接比較は依然困難であった。全サブセットを通じてSDが平均値を超えることが多く、研究内比較は有効であっても研究間のメタ解析は現状のデータ報告様式では実現できないことが定量的に示された。
先行研究との違い: Srakocic et al. FrontCellNeurosci 2022 はミクログリアに特化したプロトコル評価を行っており、これまでの研究ではT細胞・NK細胞・好中球を含む全免疫サブセットを横断的に評価した系統的レビューは存在しなかった。本研究はPROSPEROレジストリで先行例がないことを確認した唯一の包括的評価であり、SYRCLE法によるバイアス評価との組み合わせ、および1×10^5標準化アプローチによる細胞数比較という点で対照的かつ新規な枠組みを提供している。Calvo et al. IBRORep 2020 が酵素解離の影響を示した知見と比較すると、本研究の58論文分析は実際の研究現場でのプロトコル多様性の実態を示しており、既報の課題が解決されずに継続していることを裏付けている。
新規性: 本研究で新規に、WT脳内免疫細胞サブセット計測値の1×10^5標準化参照値 (TMEM119+ミクログリア 28.5% ± 33.0、CD4+ T細胞 6.41% ± 6.15) を系統的に算出し公表したことは、神経免疫学分野におけるこれまで報告されていない定量的基準値の提供である。また、サンプルあたりの総細胞数報告率が27.6%に過ぎず、生細胞数明示が15.5%にとどまるという報告品質の実態、および研究バイアスが主に「不明瞭」と評価される現状は、本研究でnovelに体系化した知見である。さらに、最小推奨プロトコル (Table 1) としてマウス系統・月齢・性別・灌流法・組織解離法・フローサイトメーター・データ報告の7カテゴリにわたる具体的ガイドラインを策定した点も新規な貢献である。
臨床応用: アルツハイマー病・パーキンソン病などの神経変性疾患治療薬開発において、疾患モデルマウスの免疫細胞変動を評価するためにはWT参照値が必須であり、本研究の推奨指針に従った標準化がデータの臨床的意義を高める。標準化プロトコルによるマルチセンター共同研究・縦断的メタ解析の実現は、神経免疫バイオマーカーの同定から治療標的の検証まで、bench-to-bedside翻訳研究の加速に直結する。本研究のTable 1が示すように、免疫細胞数・割合の報告においてCD45+細胞 (浸潤/常在免疫細胞) とCD45-/lo細胞 (ミクログリア・神経細胞等) を区別して記載する慣行の確立は、脳組織解離法によるPercoll勾配効率の差異を補正するための臨床現場でも応用可能なフレームワークとなる。
残された課題: Memory T cell subsets (CD4/CD8別のTCM・TEM・TEMRA) およびTH2細胞のWT脳内基準値が未確立であることは残された課題であり、今後の研究においてこれらサブセットの標準的報告体制の整備が急務である。SYRCLEバイアス評価で明らかになった動物実験における無作為化・盲検化の報告改善も重要な今後の展望である。本研究のlimitationとして、データベース検索が自動化されておらず新規報告への随時更新ができないこと、キーワードの表記ゆれにより一部の関連文献が見落とされた可能性、複数論文で主文・補足資料から細胞数を推定せざるを得なかったこと、そして研究者の技術的熟練度・報告バイアス・未考慮の交絡因子が細胞数変動に寄与している可能性が挙げられる。FCSファイルのFlowRepositoryへの公開義務化や計測ビーズを用いた絶対細胞数計測の標準化など、雑誌レベルの報告基準整備が更なる検討を要する課題として残る。
方法
系統的文献レビューをPRISMA (Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses) 基準とSDMO (Studies, Data, Methods, Outcomes) クライテリアに基づいて設計した。先行する系統的レビューについてPROSPERO (International Prospective Register of Systematic Reviews) データベースを検索し同トピックの先行登録が存在しないことを確認した後、研究プロトコルをNIH PROSPEROに新規事前登録した。
Google ScholarおよびPubMedデータベースを用いて、2013年1月〜2023年7月に発表された論文を対象に「flow cytometry」AND「対象免疫サブセット名」AND「mouse brain」の組み合わせキーワードで検索した。対象免疫サブセットはbulk CD4+ T細胞・bulk CD8+ T細胞・DN (double negative) T細胞・TREG (regulatory T cells)・TFH (T follicular helper) 細胞・TH1・TH17細胞・ナイーブT細胞・TCM (central memory T cells)・TEM (effector memory T cells)・TEMRA (TEM re-expressing CD45RA)・NK細胞・DC (dendritic cells)・B細胞・単球・マクロファージ (M1/M2)・TMEM119+ミクログリア・好中球の計30サブセットを網羅した。
包含基準は①2013〜2023年発表、②マウス脳ホモジネートのフローサイトメトリーデータを含む、③1種以上の免疫サブセット細胞数または割合を報告、④WT/非処置コントロール群を有する、の4条件とした。除外基準として2012年以前の論文、ラット研究、ヒト研究、コントロールデータ/マウス系統未記載を適用した。各論文からマウス系統・性別・月齢・灌流法・脳組織処理法・酵素処理法・細胞ストレーナー・Percoll密度勾配条件・フローサイトメーター機種・解析ソフトウェア・ゲーティング戦略・使用抗体クローン情報を系統的に抽出した。
細胞数の標準化は、サンプルあたりの総取得細胞数を1×10^5に統一する以下の式で算出した: 標準化細胞数 = (raw サブセット細胞数 / raw 総細胞数) × 100,000。標準化割合は各サブセットの標準化細胞数を1×10^5で除して算出した。記述統計として中央値・IQR (interquartile range; 第75百分位数[Q3]-第25百分位数[Q1]) および平均値 ± SD (standard deviation) を算出した。プロトコル変数の採用率比較にはFisher’s exact test (Fisher’s正確確率検定) を適用し、複数カテゴリ間の分布差の評価にはchi-square test (χ2検定) を用いた。バイアス評価はSYRCLE (Systematic Review Centre for Laboratory animal Experimentation) のリスクオブバイアスツールをD1〜D9の9ドメインで適用し、robvis RパッケージおよびShiny Webアプリで可視化した。