• 著者: Lexus R. Johnson, Daniel Y. Lee, Jacqueline S. Eacret, Darwin Ye, Carl H. June, Andy J. Minn
  • Corresponding author: Carl H. June (University of Pennsylvania); Andy J. Minn (University of Pennsylvania)
  • 雑誌: Cell
  • 発行年: 2021
  • Epub日: 2021-08-04
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 34464586

背景

CAR-T細胞療法は、B細胞悪性腫瘍において顕著な臨床的成功を収めている。しかし、固形腫瘍においては、腫瘍への浸潤不良、T細胞の疲弊、および腫瘍抗原の喪失による治療抵抗性といった複数の課題に直面しており、その有効性は限定的である。これらの課題を克服するため、CAR-T細胞の機能強化と、宿主の内因性抗腫瘍免疫の活性化を組み合わせる戦略が模索されてきた。

パターン認識受容体 (PRR) アゴニストは、自然免疫を活性化し、抗腫瘍免疫を改善する有望なアプローチとして注目されている。しかし、PRRアゴニストの全身投与は、がん細胞内のPRRシグナル伝達を活性化し、I型インターフェロン (IFN-I) 依存性の免疫抑制遺伝子発現を促進することで、腫瘍の進行を助長する可能性がNabet et al. Cell 2017の先行研究で示唆されている。このため、PRRアゴニストの標的を免疫細胞に限定し、がん細胞へのオフターゲット効果を回避する戦略が求められていた。全身投与におけるオフターゲット効果や薬物動態の問題により、その臨床応用には限界が指摘されており、より局所的かつ選択的な送達方法の開発が課題であった。

内因性非コードRNAであるRN7SL1 (7SL RNA) は、RNAポリメラーゼIIIによって転写される高度に構造化されたRNAであり、正常細胞ではRNA結合タンパク質SRP9/14によってマスクされ、PRR認識を回避している。しかし、がん細胞や活性化免疫細胞では、このマスクが解除され、RIG-IおよびMDA5といった細胞質PRRを活性化できる状態で細胞外小胞 (EV) を介して分泌されることがNabet et al. Cell 2017により報告されている。この特性に着目し、CAR-T細胞を媒体として腫瘍微小環境 (TME) に免疫刺激RNAを選択的に送達することで、PRR活性化の標的を免疫細胞に限定し、既存の全身投与PRRアゴニストでは達成困難な局所的かつ選択的な免疫賦活が可能になるという仮説が立てられた。

これまでの研究では、CAR-T細胞の機能不全や抗原喪失による治療抵抗性、そしてTMEにおける免疫抑制が固形腫瘍治療の主要な障壁として認識されていた。特に、腫瘍抗原の異質性やネオ抗原の不足は、内因性T細胞応答を十分に誘導できないという課題を残していた。例えば、Sotillo et al. CancerDiscov 2015はCAR抗原喪失が治療抵抗性の主要なメカニズムであることを報告している。また、Schumacher et al. Science 2015はネオ抗原の重要性を強調しているものの、多くの固形腫瘍では十分なネオ抗原が不足していることが指摘されている。本研究は、これらの未解明な課題に対し、CAR-T細胞にRN7SL1を搭載し、さらにペプチド抗原を同時送達することで、CAR-T細胞自体の機能強化と内因性抗腫瘍免疫の活性化を同時に達成し、CAR抗原喪失を伴う固形腫瘍モデルにおいても有効性を示すという新規アプローチを提案するものである。

目的

本研究の目的は、CAR-T細胞に免疫刺激RNAであるRN7SL1 (7SL RNA) を組み込み、細胞外小胞 (EV) を介して腫瘍内免疫細胞へ選択的に送達する新規戦略の有効性を検証することである。具体的には、以下の3つの側面を同時に達成できるかを評価した。

  1. CAR-T細胞自律的機能の強化: RN7SL1発現がCAR-T細胞自身の増殖、持続性、疲弊の抑制、およびエフェクター記憶様分化に与える影響を評価する。
  2. 腫瘍微小環境 (TME) における免疫促進活性化: RN7SL1がTME内の骨髄系細胞および樹状細胞 (DC) の表現型と機能をどのように変化させ、免疫抑制を解除し、免疫促進活性を誘導するかを解析する。特に、骨髄由来抑制細胞 (MDSC) の発生抑制とDCの共刺激能促進に焦点を当てる。
  3. 内因性CD8 T細胞の活性化による抗原喪失耐性: RN7SL1送達が内因性CD8 T細胞の活性化、拡大、およびエフェクター記憶様分化を促進し、CAR抗原喪失を伴う固形腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果に寄与するかを検証する。さらに、低免疫原性腫瘍に対するペプチド抗原との同時送達戦略の有効性も評価する。

これらの目的を達成することで、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法の新たな治療戦略を確立することを目指した。

結果

PRRシグナリングのがん細胞 vs. 免疫細胞の偏りとRIG-I KO腫瘍の意義: B16腫瘍細胞内在性RIG-Iをノックアウトすると、抗PD1抗体と抗CTLA4抗体の免疫チェックポイント阻害 (ICB) 併用療法において、有意な生存延長が認められた (Figure 1F)。具体的には、RIG-I KO腫瘍群の生存期間中央値は25日であり、WT腫瘍群の18日と比較して有意な改善を示した (p<0.01)。これは、がん細胞内PRR活性化が免疫抑制に働く可能性を示唆し、PRRアゴニストの腫瘍細胞への作用を回避することの重要性を支持する。RN7SL1の腫瘍内注入は、T細胞欠損マウス (n=10) では腫瘍増殖を促進したが (Figure 1B)、ICB併用下では抗腫瘍効果を増強し、活性化CD8 T細胞および樹状細胞の浸潤を増加させた (Figure 1C, 1D, 1E)。

RN7SL1発現CAR-T細胞の自律的機能増強: RN7SL1 (7SL RNA) を発現するM5BBz-7SL CAR-T細胞は、NSGマウスのASPC-1膵臓腫瘍モデルにおいて、通常のM5BBz CAR-T細胞と比較して有意に高い腫瘍コントロールを示し、長期的な奏効を誘導した (Figure 2C)。M5BBz-7SL群は、治療後40日時点で80%の生存率を示し、M5BBz群の20%と比較して有意に優れていた (p<0.001)。フローサイトメトリー解析では、M5BBz-7SL CAR-T細胞はよりエフェクター記憶様表現型 (CCR7-/CD45RO+、Figure 2B, 2K) を示し、疲弊マーカー (TIM3、TOX) の発現が低かった (Figure 2L)。scRNA-seq解析により、M5BBz-7SL CAR-T細胞はIFN-Iシグナリング関連遺伝子を高く発現しており (Figure 2D, 2E)、CAR-T細胞自体の増殖、機能性向上、および疲弊の抑制に寄与することが示唆された。治療後7日目の腫瘍内CAR-T細胞では、M5BBz-7SL群でエフェクター/セントラルメモリーT細胞関連遺伝子セットのエンリッチメントが高く、疲弊関連遺伝子セットのエンリッチメントが低いことが示された (Figure 2F, 2G, 2H)。

EV経由のRN7SL1が免疫細胞に選択的移行: CAR-T細胞由来EVのRNA内容物解析では、RN7SL1が豊富に検出された (Figure 3A)。腫瘍内での蛍光標識RNA追跡実験では、CAR-T細胞由来EVのRN7SL1は、がん細胞よりも腫瘍浸潤CD45+免疫細胞に有意に多く移行した (Figure 3C, 3E)。免疫細胞へのRNA転送は、がん細胞への転送と比較して平均で約2.5倍高かった (p<0.001)。この免疫細胞への選択的送達は、CARエンゲージメントに依存する機序を示唆した (Figure 3I, 3J)。EV分泌阻害剤GW4869の投与により、このRNA転送が有意に減少した (Figure 3C)。

骨髄系・樹状細胞サブセットの変化: scRNA-seq解析により、19BBz-7SL CAR-T細胞治療マウスのTMEでは、MDSC関連遺伝子発現(Mdsc.1およびMdsc.2ステート)の細胞頻度が減少し、Tgfb1の発現が低下した (Figure 4D, 4E)。具体的には、Mdsc.1ステートの頻度は19BBz-7SL群で5.2%であったのに対し、19BBz-Scr群では11.6%であった (p<0.05)。一方で、IFN刺激遺伝子 (ISG) の発現増加が骨髄系・DCサブセットで検出された (Figure 4C, 4H)。特に、DC1 (Batf3+) サブセットが増加し、共刺激分子 (CD86, CD40) の発現が高く、抑制性分子 (PDL1) の発現が低い、免疫促進的な表現型を示した (Figure 4K, 4L)。pDC様細胞 (CD209a+) の頻度も増加した (Figure 4I, 4J)。

内因性CD8 T細胞の活性化・拡大: scRNA-seq解析では、19BBz-7SL治療群の内因性CD8 T細胞において、エフェクター様T細胞 (Teff) およびエフェクター記憶様T細胞 (Tem) の細胞頻度が増加し、疲弊T細胞 (Tex)、特に前駆疲弊T細胞 (Tex.prog) の頻度が減少した (Figure 5B, 5D)。Tex.prog細胞の頻度は19BBz-7SL群で15.4%であったのに対し、19BBz群では33.8%であった (p<0.05)。ITGB7(エフェクター記憶マーカー)発現CD8 T細胞の頻度が有意に上昇し (Figure 5E)、TOX(疲弊マーカー)発現細胞は減少した (Figure 5F)。BMDCを用いたin vitro実験では、RN7SL1はMAVS依存的にOT-I T細胞の活性化(GZMB、Ki67、MHC-I発現)を増強し、この効果は抗IFNAR抗体で抑制された (Figure 5G, 5J)。EV由来RN7SL1も同様にBMDCを介したOT-I T細胞活性化を促進した (Figure 5H)。

エンドジェナスT細胞・DC・RIG-I依存性の確認: Tcra KOマウス(内因性T細胞欠損、n=7)では、19BBz-7SL CAR-T細胞とICB併用療法の効果が著明に減弱し、生存期間中央値は19BBz-7SL群の25日 vs UTD群の22日と有意差は認められなかった (Figure 6A)。Batf3 KOマウス(DC1欠損、n=8)でも同様に有効性が大幅に低下し、腫瘍内内因性CD8 T細胞浸潤が減少した (Figure 6B, 6C)。FTY720(T細胞リンパ節出口阻害剤)投与では、CAR-T細胞への影響は軽微であったが、活性化Ki67+内因性T細胞の腫瘍浸潤が著明に減少した (Figure 6D, 6E)。Rig-I KOマウスおよびWT→Rig-I KO骨髄キメラマウスでは、19BBz-7SL治療の生存ベネフィットが消失した (Figure 6F, 6G)。抗IFNAR抗体処理でも同様に、DC1増加、ITGB7+T細胞拡大、内因性T細胞GZMB/Ki67発現増加が抑制された (Figure 6I, 6J, 6K)。

CAR抗原喪失への抵抗性と混合腫瘍モデル: CD19+/CD19- B16混合腫瘍(1:1)モデルでは、抗CTLA4抗体と19BBz-7SL CAR-T細胞の併用治療群 (n=7) は、純CD19+ B16腫瘍と同等の効果で混合腫瘍を排除した (Figure 7B)。完全奏効マウスは、80日目のWT B16(CD19-)再チャレンジでも160日以上腫瘍フリーを維持し、非CAR腫瘍抗原に対する免疫記憶形成が示された (Figure S7C)。TRP2特異的CD8 T細胞は、19BBz-7SL CAR-T細胞治療群でGZMBおよびKi67の発現が有意に高かった (Figure 7A)。

ペプチド抗原同時送達による低免疫原性腫瘍への対応: SIINFEKL(OVAペプチド)をRN7SL1と共発現するOva-19-7SL CAR-T細胞は、CAR+およびCAR-T細胞の両方でペプチドを発現し、EVを介してB16腫瘍細胞および免疫細胞双方にSIINFEKLを送達した (Figure 7C, 7E)。in vivoでOva特異的CD8 T細胞の拡大(テトラマー陽性、Ki67陽性)が確認された (Figure 7F, 7G)。低免疫原性KP肺がん混合腫瘍モデル(CD19+/CD19- 1:1)では、RN7SL1単独またはSIINFEKLペプチド単独では効果が不十分であったが、RN7SL1とSIINFEKLの同時送達が有意な腫瘍増殖遅延をもたらした (Figure 7I)。Ova-19-7SL群の腫瘍体積は、治療後20日時点で約150 mm3であり、Ova-19BBz群の約500 mm3と比較して有意に小さかった (p<0.01)。

考察/結論

本研究は、CAR-T細胞を「免疫刺激RNA送達プラットフォーム」として利用し、細胞外小胞 (EV) を介して腫瘍微小環境 (TME) 内の免疫細胞に選択的にRN7SL1 (7SL RNA) を送達することで、CAR-T細胞の自律的機能増強、骨髄系細胞の免疫促進リプログラミング、および内因性CD8 T細胞の活性化という3つの機能を同時達成することを示した新規かつ先駆的な研究である。

先行研究との違い: これまでのPRRアゴニストの全身投与は、がん細胞にも作用し免疫抑制を促進するリスクがあった。例えば、Bakhoum et al. Nature 2018はがん細胞におけるcGAS/STING活性化が腫瘍進行を促進する可能性を示唆している。本戦略は、CAR-T細胞のCARエンゲージメントに連動したEV送達により、腫瘍内免疫細胞への優先的送達を実現した点で独創的である。これにより、がん細胞におけるRIG-I活性化による免疫抑制効果を回避し、免疫細胞におけるPRR活性化による抗腫瘍免疫を効果的に誘導できることを示した。また、RN7SL1がRIG-IとMDA5の両方を活性化する必要があるのに対し、スクランブルRNA (Scr RNA) はRIG-Iのみを活性化し、内因性免疫活性化には不十分であることから、PRRアゴニストの質と量が単なるIFN-I誘導以上に重要であることが示された。

新規性: 本研究で初めて、CAR-T細胞がRN7SL1をEVを介して免疫細胞に選択的に送達することで、CAR-T細胞自体の機能向上と疲弊の抑制、および内因性抗腫瘍免疫の活性化を同時に達成できることを明らかにした。特に、RN7SL1が骨髄由来抑制細胞 (MDSC) の発生を抑制し、樹状細胞 (DC) の共刺激能を促進することで、エフェクター記憶様CD8 T細胞の拡大を誘導するという詳細なメカニズムを解明した点は新規である。さらに、CAR抗原喪失を伴う固形腫瘍モデルにおいて、RN7SL1搭載CAR-T細胞が有効性を示し、ペプチド抗原との併用により低免疫原性腫瘍への対応も可能であることを示した。

臨床応用: 本知見は、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法の臨床応用において重要な示唆を与える。第一に、CAR-T細胞にRN7SL1を搭載することで、CAR抗原喪失という固形腫瘍治療の主要な抵抗性機序を克服できる可能性が示された。第二に、ネオ抗原の少ない固形腫瘍に対しては、RN7SL1とペプチド抗原の同時送達戦略が有効な補完戦略となりうることが示唆された。第三に、PD-1/CTLA-4免疫チェックポイント阻害剤との併用効果が相乗的に発揮されることが確認された。これらの戦略は、現在のCAR-T細胞療法の限界を打破し、より広範な固形腫瘍患者に恩恵をもたらす可能性がある。

残された課題: 今後の検討課題として、ヒト化モデルや臨床試験でのRN7SL1搭載CAR-T細胞の有効性および安全性の検証が残されている。また、最適なペプチド抗原の選択、EV-RNA送達効率のさらなる改善、およびRN7SL1が活性化するRIG-I/MDA5シグナル伝達経路の詳細な分子メカニズムの解明も今後の研究方向性として挙げられる。RN7SL1搭載CAR-T細胞は、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法の次世代アプローチとして有望であるが、これらの課題を解決することで、その臨床的価値を最大限に引き出すことが期待される。

方法

本研究では、ヒトおよびマウスCAR-T細胞(anti-CD19 19BBz、anti-mesothelin M5BBz)にU6プロモーター駆動のRN7SL1 (7SL RNA) またはスクランブルRNA (Scr RNA) を組み込んだレトロウイルスベクターを構築した。

in vitroおよびin vivoモデル: ヒトCAR-T細胞の自律的機能評価には、NSGマウスにヒトASPC-1膵臓腫瘍(メソテリン発現)を移植した異種移植モデルを用いた。ASPC-1細胞は、ヒト膵臓腺癌細胞株であり、内因的にメソテリンを発現する。マウスCAR-T細胞の抗腫瘍効果評価には、B16メラノーマ(ヒトCD19発現B16-h19モデル)を用いたC57BL/6マウスの同系腫瘍モデルが使用された。このモデルでは、抗CTLA4抗体または抗PD1抗体との併用効果も検討された。また、免疫原性の低いKras LSL-G12D/+; p53 flox/flox肺がんモデル(KP-h19)やTC1肺がんモデル(ヒトメソテリン発現)も使用された。

遺伝子改変マウスおよび骨髄キメラマウス: RIG-Iノックアウト (KO) 腫瘍細胞(CRISPR/Cas9システムにより作製)、RIG-I KOマウス、Batf3 KOマウス(DC1欠損)、Tcra KOマウス(内因性T細胞欠損)、およびWT→Rig-I KO骨髄キメラマウスを用いて、RN7SL1の作用機序におけるPRRシグナル伝達、DC、および内因性T細胞の役割を詳細に解析した。これらの遺伝子改変マウスは、特定の免疫細胞サブセットやシグナル伝達経路の関与を明らかにするために不可欠であった。

細胞外小胞 (EV) 関連解析: CAR-T細胞由来EVのRNA内容物は、qRT-PCRによりRN7SL1およびScr RNAの存在を検出した。EVを介したRNAの細胞種別移行は、蛍光標識RNA (Syto RNASelect) を用いたin vivo追跡実験およびフローサイトメトリーで評価した。EV分泌阻害剤GW4869を用いた実験も実施し、EVの関与を確認した。EVの分離は、Thery et al. CurrProtocCellBiol 2006の方法に準拠し、連続超遠心分離により実施された。

シングルセルRNAシーケンス (scRNA-seq) 解析: 腫瘍内免疫細胞(CD45+細胞を分離)のscRNA-seq解析を実施し、骨髄系細胞、樹状細胞、およびCD8 T細胞サブセットの遺伝子発現プロファイルと細胞頻度の変化を系統的に解析した。Monocleを用いた細胞分化経路解析や、Hanzelmann et al. BMCBioinformatics 2013を用いた遺伝子セットエンリッチメント解析により、MDSC関連遺伝子、IFN刺激遺伝子 (ISG)、共刺激分子、およびT細胞疲弊マーカーの発現変化を評価した。scRNA-seqデータはGEOに寄託され、アクセッション番号GSE179249およびGSE179253で公開されている。

in vitro機能解析: マウス骨髄由来樹状細胞 (BMDC) を用いたin vitro実験では、RN7SL1刺激がMAVS依存的にOT-I T細胞の活性化(GZMB、Ki67、MHC-I発現)を増強すること、および抗IFNAR抗体によるその抑制効果を評価した。OT-I T細胞は、OVAペプチド特異的なCD8 T細胞であり、抗原提示細胞の機能評価に広く用いられる。

CAR抗原喪失モデルおよびペプチド抗原同時送達: CAR抗原喪失を伴う腫瘍に対する有効性を評価するため、CD19+/CD19- B16混合腫瘍(1:1)モデルを用いた。さらに、低免疫原性腫瘍への対応として、SIINFEKL (OVAペプチド) をRN7SL1と共発現するOva-19-7SL CAR-T細胞を構築し、in vivoでのOva特異的CD8 T細胞の拡大と、低免疫原性KP肺がん混合腫瘍モデル(CD19+/CD19- 1:1)における抗腫瘍効果を評価した。

統計解析: 腫瘍増殖曲線は混合効果モデル、生存曲線はRitchie et al. NucleicAcidsRes 2015を用いたログランク検定またはWilcoxon検定で解析した。2群間比較にはt検定またはWilcoxon検定を用いた。scRNA-seqデータはStuart et al. Cell 2019およびHanzelmann et al. BMCBioinformatics 2013を用いて解析された。統計解析にはR言語および環境が使用された。