• 著者: Laura A. Johnson, John Scholler, Takayuki Ohkuri, Akemi Kosaka, Prachi R. Patel, Shannon E. McGettigan, Arben K. Nace, Tzvete Dentchev, Pramod Thekkat, Andreas Loew, Alina C. Boesteanu, Alexandria P. Cogdill, Taylor Chen, Joseph A. Fraietta, Christopher C. Kloss, Avery D. Posey Jr., Boris Engels, Reshma Singh, Tucker Ezell, Neeraja Idamakanti, Melissa H. Ramones, Na Li, Li Zhou, Gabriela Plesa, John T. Seykora, Hideho Okada, Carl H. June, Jennifer L. Brogdon, Marcela V. Maus
  • Corresponding author: Marcela V. Maus (University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, USA)
  • 雑誌: Science Translational Medicine
  • 発行年: 2015
  • Epub日: 2015-02-18
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 25696001

背景

膠芽腫 (glioblastoma、GBM) は成人で最も一般的な原発性悪性脳腫瘍であり、その予後は極めて不良である。標準治療(手術、放射線療法、テモゾロミド併用化学療法)にもかかわらず、中央生存期間は約15ヶ月、5年生存率は10%未満にとどまる。このような背景から、新たな治療法の開発が喫緊の課題となっている。

EGFR variant III (EGFRvIII) は、上皮成長因子受容体 (EGFR) のエクソン2-7の268アミノ酸が欠失することにより生じるフレーム内変異である。この変異により、細胞外ドメイン内に新規のグリシン残基と腫瘍特異的なネオエピトープが形成される。GBM患者の約30%でEGFRvIIIが発現しており、この変異は腫瘍の悪性度と予後不良に関連することが報告されている。同時に、EGFRvIIIは腫瘍特異的な抗原として、免疫療法の魅力的な標的となり得る。

これまでの免疫療法の試みとして、EGFRvIIIペプチドワクチンであるRindopepimutが開発され、第II相臨床試験では強力な抗EGFRvIII免疫応答を誘導することが示されたものの、第III相ACT IV試験では生存期間の延長効果を達成できなかった。この結果は、ワクチン単独では十分な抗腫瘍効果が得られない可能性を示唆している。

一方、キメラ抗原受容体T細胞 (CAR-T) 療法は、血液悪性腫瘍において目覚ましい成功を収めている。特に、CD19を標的とするCAR-T細胞 (CD19-CTL019) は、B細胞性悪性腫瘍において長期的な寛解を誘導することが報告されており、Porter et al. NEnglJMed 2011Grupp et al. NEnglJMed 2013Maude et al. NEnglJMed 2014 などの研究でその有効性が示されている。この成功を受け、固形腫瘍へのCAR-T療法の応用が活発に研究されている。

しかし、固形腫瘍CAR-Tの開発には重大な課題が存在する。特に、EGFRvIIIと野生型EGFR (EGFRwt) は、1アミノ酸のジャンクション(グリシン残基)を除いてエピトープが連続しているため、CAR-T細胞がEGFRwtを発現する正常組織(ケラチノサイト、消化管上皮、肝細胞など)と交差反応し、重篤なオフターゲット毒性を引き起こすリスクが極めて高い。実際に、先行研究である抗EGFR抗体cetuximab由来のCAR-T細胞は、皮膚や消化管に重度の毒性を示すことが報告されている。Morgan et al. MolTher 2010 は、HER2を標的とするCAR-T細胞が心肺毒性により患者の死亡を引き起こした事例を報告しており、固形腫瘍CAR-Tの安全性評価の重要性を強調している。

このような背景から、EGFRvIIIを特異的に認識し、EGFRwtとの交差反応性を最小限に抑えるCAR-T細胞の合理的設計 (rational design) が、固形腫瘍CAR-T療法を臨床応用する上で不可欠な課題として残されている。特に、腫瘍特異的抗原の選択と、オフターゲット毒性を回避するためのCARの親和性制御は、この分野における重要な知識ギャップであり、この点が未解明であった。

目的

本研究の目的は、膠芽腫特異的ネオエピトープであるEGFRvIIIを標的とし、野生型EGFR (EGFRwt) との交差反応性を最小限に抑えたヒト化キメラ抗原受容体T細胞 (CAR-T) を合理的に設計し、その特性を詳細に評価することである。具体的には、以下の目標を達成することを目指した。

  1. 最適なCAR構造の選択: 複数のCAR構造(異なるscFv候補および共刺激ドメイン)を比較し、膠芽腫異種移植モデルにおいて最も効果的な抗腫瘍活性を示すCARデザインを特定する。
  2. ヒト化scFvの選定: マウス由来の3C10 scFvをヒト化し、生成された8種類のヒト化scFvパネルの物理化学的および生物学的特性を詳細に解析する。これにより、EGFRvIIIに対する親和性を維持しつつ、EGFRwtとの交差反応性を最小限に抑える最適な低親和性scFv候補を選定する。
  3. in vitroおよびin vivoにおける安全性評価: 選定されたCAR-T細胞が、EGFRwtを発現する正常組織(特にヒトケラチノサイト)に対してオフターゲット毒性を示さないことを、in vitro細胞機能アッセイおよびin vivoヒト皮膚移植NSGマウスモデルを用いて厳密に評価する。
  4. 膠芽腫異種移植モデルにおける有効性検証: 皮下および頭蓋内膠芽腫異種移植モデルにおいて、選定されたCAR-T細胞の単剤療法としての抗腫瘍効果を検証する。
  5. 臨床試験への移行可能なCAR-T製品の確立: 得られた前臨床データに基づき、EGFRvIII陽性膠芽腫患者を対象とした第I相臨床試験 (NCT02209376) へ移行可能なCAR-T細胞製品の基盤を確立する。

これらの目的を達成することで、固形腫瘍CAR-T療法における安全性と有効性の両立を目指し、将来的な臨床応用への道筋を確立することを目指した。

結果

CAR構造の選択:3C10.BBzが最適な抗腫瘍効果を示す: 3種類の抗EGFRvIII CAR構造(3C10.BBz、3C10.28BBz、139.BBz)をU87-EGFRvIII頭蓋内異種移植NSGマウスモデルで比較した。全てのCAR-T細胞はCD19対照CAR-T細胞を凌駕する抗腫瘍効果を示したが、3C10.BBz(4-1BB単独共刺激ドメイン)が最も早期かつ強力な腫瘍退縮を誘導した (Fig. 1C)。3C10.28BBz(CD28と4-1BBを含む第3世代CAR)は早期の腫瘍退縮が遅く、CD28共刺激ドメインの追加が必ずしも有利ではない可能性が示唆された。この結果は、血液腫瘍で成功したCD19-CTL019の知見と整合しており、臨床候補として3C10.BBzデザイン(後にヒト化された2173.BBz)が選択された。

ヒト化scFv 2173の選択:EGFRwtへの結合を最小化する低親和性戦略: マウス3C10 scFvをヒト化した8種類のscFv(2169-2176)を可溶性断片として作製し、EGFRvIIIおよびEGFRwt発現293細胞への結合能を評価した (Fig. 2A)。親株であるマウス3C10 scFvは高濃度でEGFRwtにも結合することが確認された。ヒト化scFvのうち2173と2174は、試験した濃度範囲でEGFRwtへの結合を示さなかったが、EGFRvIIIへの親和性も低下していた。 表面プラズモン共鳴 (SPR) 解析により、2173 scFvのEGFRvIIIに対する解離定数 (KD) は101 nM、EGFRwtに対するKDは872 nMであり、EGFRvIIIに対する選択性が約8.6倍高いことが示された (Fig. 2B)。一方、親株3C10 scFvのKDはEGFRvIII 25.8 nM、EGFRwt 195 nMであった。EGFRwtがケラチノサイトや様々な上皮組織に広く発現していることを考慮し、EGFRwtへの結合を最小化するため、あえてEGFRvIIIに対する親和性が比較的低い2173 scFvが臨床候補として選定された。膜結合型CARとしての結合評価でも、2173 CARはEGFRvIIIへの特異性を維持し、3C10 CARと比較してEGFRwtへの結合が減少していることが確認された (Fig. 2C)。

2173 CAR-T細胞のEGFRvIII特異的機能: 2173.BBz CAR-T細胞は、U87-EGFRvIII細胞およびBHK-EGFRvIII細胞に対して、強力な殺細胞活性、IFN-γ産生、および増殖能を示した (Fig. 3A, B, C)。対照的に、EGFRwtを発現する細胞(親U87細胞、BHK-EGFRwt細胞)に対しては、これらの機能は全く誘導されなかった。親株3C10 CAR-T細胞は高濃度でEGFRwtに低レベルの反応を示すことがあったが、2173 CAR-T細胞は完全にEGFRvIII特異性を保持していた。また、反復抗原刺激により、2173 CAR-T細胞は持続的な増殖を示し、抗原特異的なCAR発現細胞の選択的濃縮が認められた (Fig. 3D, E)。これは、SS1抗メソテリンCARで観察されるようなトニックシグナルによる非抗原依存性増殖とは異なる挙動であった。

Cetuximab-CARとの比較による特異性の実証: EGFRとEGFRvIIIを区別しないcetuximab由来のCAR (cetux-CAR) をポジティブコントロールとして用いて、2173 CAR-T細胞の特異性をさらに検証した。cetux-CARは可溶性EGFRwtおよびEGFRvIII ECDに同等に結合したが、2173 CARはEGFRvIIIにのみ結合した (Fig. 4A)。in vitroアッセイでは、cetux-CAR T細胞はBHK-EGFRwtおよびBHK-EGFRvIIIの両方に対して同等の増殖とサイトカイン(IFN-γ、IL-2、TNF-α)産生を示した (Fig. 4B, C)。一方、2173 CAR-T細胞はBHK-EGFRvIIIにのみ反応し、EGFRwtには反応しなかった。EGFRvIIIに対するサイトカイン産生レベルは、2173 CAR-Tとcetux-CAR T細胞で同程度であり、2173の比較的低い親和性が高抗原発現標的に対するin vitro活性の低下にはつながらないことが示された。

ヒト皮膚移植NSGマウスモデルにおける安全性実証: in vivoでの正常組織毒性を評価するため、ヒト包皮を移植したNSGマウスモデル (n=8 mice per group) を用いた。2173 CAR-T細胞、cetux-CAR-T細胞、または非形質導入T細胞を静脈内投与し、2週間後に皮膚生検を行った (Fig. 5C)。cetux-CAR-T細胞を投与したマウスでは、表皮および真皮に顕著なCD3+CD4+ T細胞浸潤、ケラチノサイトのアポトーシス、および皮膚移植片対宿主病 (GVHD) 様の病理学的変化が観察された。これに対し、2173 CAR-T細胞を投与したマウスでは、非形質導入T細胞群と同程度に、表皮および真皮は無傷であり、CD3+T細胞浸潤はごく少数であった (Fig. 5D)。この結果は、2173 CAR-T細胞がヒト正常組織に対してオフターゲット毒性をほとんど示さないことを世界で初めてin vivoで実証したものであり、臨床使用における皮膚毒性リスクが極めて低いことを強く示唆する。

皮下および頭蓋内GBMモデルにおける抗腫瘍効果: U87-EGFRvIII細胞を移植した皮下腫瘍モデルにおいて、2173 CAR-T細胞および親株3C10 CAR-T細胞の両方が、腫瘍増殖を有意に抑制し (CD19対照CAR-T細胞と比較してp=0.01〜0.003、n=10 mice)、中央生存期間を14日から21日以上に延長させた (Fig. 6A)。 頭蓋内GBMモデルでは、2173 CAR-T細胞投与後3日で腫瘍体積が約80%減少した (Fig. 6B)。投与後11日目(研究開始18日目)のMRIでは、PBS群および非形質導入T細胞群で大型の腫瘍塊が確認されたのに対し、2173 CAR-T細胞群では腫瘍塊の著しい減少が認められた (Fig. 6C)。CAR-T細胞は骨髄、脾臓、脳に有意にトラフィッキングし (p<0.05)、特に脳内ではCD8+T細胞が優位に浸潤していることが確認された (Fig. 6D)。これらの結果は、2173 CAR-T細胞がin vivoで強力な抗腫瘍効果を発揮し、脳内腫瘍部位へ効果的にホーミングすることを示している。

臨床試験NCT02209376への移行: 本研究で得られた包括的な前臨床データに基づき、EGFRvIII陽性膠芽腫患者を対象とした第I相臨床試験 (NCT02209376) が開始された。この試験は、再発GBM患者コホートと、新規診断GBM手術後の残存病変患者(放射線療法およびテモゾロミド併用)コホートの2つで構成される。ノバルティス社との共同開発により、臨床スケールでのGMP製造が確立された。

考察/結論

本研究は、キメラ抗原受容体T細胞 (CAR-T) 療法における合理的scFv設計と交差反応性制御の重要性を示す画期的な前臨床研究である。EGFRvIIIとEGFRwtという、わずか1アミノ酸のジャンクションで区別される極めて類似した抗原を標的とする中で、低親和性ヒト化scFv 2173の選択(EGFRvIIIに対するKD 101 nM、EGFRwtに対するKD 872 nM、約8.6倍の選択性)と4-1BB共刺激ドメインの組み合わせにより、EGFRwt発現正常組織への毒性を回避しつつ、EGFRvIII陽性腫瘍に対する強力な抗腫瘍効果を実現した。

先行研究との違い: これまでの固形腫瘍CAR-T開発では、標的抗原の正常組織での発現によるオフターゲット毒性が大きな課題であった。特に、Morgan et al. MolTher 2010 が報告したHER2 CAR-Tによる心肺毒性や、Lamers et al. JClinOncol 2006 が報告した抗CAIX CARによる肝毒性など、重篤な有害事象が報告されている。本研究は、これらの先行研究とは異なり、抗原親和性のチューニングという戦略を通じて、腫瘍特異性と安全性の両立を達成した点で画期的である。

新規性: 本研究で初めて、ヒト包皮移植NSGマウスモデルを用いたCAR-T細胞のin vivo安全性評価プロトコルを確立した。これは、臨床試験に移行する前のCAR-T細胞の正常組織に対する毒性を評価する上で、これまで報告されていない重要な方法論的貢献である。cetuximab由来CAR-T細胞が皮膚移植片に重度のGVHD様病理を引き起こすことを直接比較で示し、2173 CAR-T細胞が正常皮膚組織に毒性を示さないことを明確に実証した。この新規の安全性評価モデルは、今後の固形腫瘍CAR-T開発における標準的なバリデーションプロトコルとなる可能性を秘めている。

臨床応用: 本研究の知見は、EGFRvIII陽性膠芽腫に対するCAR-T療法の臨床応用へ直結する。得られた前臨床データは、第I相臨床試験 (NCT02209376) の強力な根拠となり、実際に臨床試験が開始された。この試験は、膠芽腫という予後不良な疾患に対する新たな治療選択肢を提供する臨床的意義を持つ。親和性チューニングの概念は、後続の抗HER2 CAR-Tや抗EGFR CAR-Tなど、他の固形腫瘍CAR-T療法の開発基盤としても有用である。

残された課題: 今後の検討課題として、臨床試験で観察されたCAR-T細胞の持続性不足への対策が挙げられる。O’Rourke et al. (Sci Transl Med 2017) による本CAR-T細胞の第I相試験結果では、単剤での劇的な効果は限定的であり、抗原逃避(EGFRvIII発現の不均一性)、腫瘍微小環境による免疫抑制(TregやTAMの増加、PD-L1の発現上昇)、および血液脳関門の制限が課題として浮上した。これらの課題に対処するため、今後の研究では、タンデムCARや局所投与CARによるEGFRvIII不均一発現への対応、PD-1阻害剤併用やIL-12武装化CARによる腫瘍微小環境の改善、頭蓋内または脳脊髄液への直接投与による血液脳関門通過の最適化、EGFRvIII陰性GBM亜集団への対応(B7-H3やIL-13Rα2など複数の抗原標的化)、およびCAR-T細胞の持続性を高めるためのTCF-1+幹細胞様CAR-T細胞の濃縮やサイトカインサポートの導入などが検討されるべきである。本論文は、固形腫瘍CAR-T療法、特に中枢神経系腫瘍への適用において、標準的なバリデーションプロトコルを定義した重要な文献であり、今後の研究の方向性を示唆している。

方法

本研究では、EGFRvIII特異的CAR-T細胞の合理的設計と特性評価のため、多段階のアプローチを採用した。

scFvの起源とCAR構造の構築: CARの抗原認識ドメインであるscFvは、マウス3C10モノクローナル抗体およびヒト139抗体由来のscFvを基盤とした。CAR構造は、第2世代CARとして4-1BB共刺激ドメインとCD3ζシグナル伝達ドメインを組み合わせた3C10.BBz、第3世代CARとしてCD28、4-1BB、CD3ζドメインを組み合わせた3C10.28BBz、および139.BBzをレンチウイルスベクターを用いて構築した。

CAR構造の選択: 最適なCAR構造を決定するため、U87-EGFRvIII細胞を頭蓋内に移植したNSGマウスモデル (n=10 mice per group) において、3種類のCAR構造(3C10.BBz、3C10.28BBz、139.BBz)の抗腫瘍効果を比較した。CAR-T細胞は腫瘍移植の1週間後に静脈内投与され、テモゾロミド (17 mg/kg) を4日間併用した。腫瘍の進行は生物発光イメージング (BLI) により経時的に追跡した。

ヒト化scFvパネルの作製と選定: マウス3C10 scFvを鋳型として、8種類のヒト化scFv (2169-2176) を作製した。これらのscFvは可溶性断片として生産され、ビオチン化された。

物理化学的解析:

  1. 細胞結合アッセイ: 293細胞にEGFRvIIIまたはEGFRwtを一過性に発現させ、段階希釈したビオチン化scFv (0.002-200 nM) を用いて結合能を測定した (平均蛍光強度; MFI)。
  2. 表面プラズモン共鳴 (SPR) 解析: Biacore T200システムを用いて、ストレプトアビジンセンサーチップに固定化したビオチン化EGFRvIIIまたはEGFRwt細胞外ドメイン (ECD) に対する可溶性scFvの結合親和性 (KD) を算出した。結合および解離速度をそれぞれ240秒および360秒間モニタリングした。

細胞機能アッセイ: CAR-T細胞の機能は、以下のin vitroアッセイで評価した。

  1. 標的細胞: U87/U87-EGFRvIII細胞、BHK細胞(親株、EGFRvIII形質導入株、EGFRwt形質導入株)、および初代ヒトケラチノサイトを標的細胞として使用した。
  2. サイトカイン産生: 標的細胞との共培養後24時間におけるIFN-γ、IL-2、TNF-αの産生量をELISAまたは細胞内サイトカイン染色 (ICS) により測定した。
  3. 増殖アッセイ: CFSE標識したT細胞を標的細胞と共培養し、6日後の増殖をフローサイトメトリーで評価した。反復抗原刺激によるCAR-T細胞の長期的な増殖持続性も評価した。
  4. 殺細胞活性: ルシフェラーゼベースの殺細胞アッセイまたはクロム放出アッセイを用いて、CAR-T細胞の標的細胞に対する殺傷能力を評価した。
  5. 比較対象: EGFRとEGFRvIIIを同等に認識するcetuximab由来のCAR (cetux-CAR) をポジティブコントロールとして使用し、2173 CAR-T細胞の特異性を比較した。

in vivo毒性評価: ヒト正常組織に対するCAR-T細胞の毒性を評価するため、ヒト包皮を移植したNSGマウスモデル (n=8 mice per group) を使用した。CAR-T細胞(2173 CAR-T、cetux-CAR-T、または非形質導入T細胞)を静脈内投与後2週間で皮膚生検を行い、H&E染色およびCD3、CD4、CD8免疫組織化学染色によりT細胞浸潤と組織病理学的変化を評価した。

in vivo有効性評価: U87-EGFRvIII細胞を移植した皮下および頭蓋内異種移植モデルにおいて、2173 CAR-T細胞の抗腫瘍効果を評価した。CAR-T細胞 (4×10⁶細胞) を静脈内投与し、腫瘍体積はBLIおよびMRIにより測定した。生存期間も評価項目とした。

統計解析: データは平均値±標準偏差 (SD) または標準誤差 (SEM) で示された。統計的有意差は、一元配置分散分析 (ANOVA)、Kruskal-Wallis検定、Dunnett’s検定、およびログランクMantel-Cox検定を用いて評価した。P値は0.05未満を有意とした。

臨床試験への移行: これらの前臨床データに基づき、再発GBM患者およびテモゾロミド併用残存病変GBM患者を対象とした第I相臨床試験 (NCT02209376) が開始された。