• 著者: Tetsuhiko Asao, Takehito Shukuya, Kohei Uemura, Rui Kitadai, Gaku Yamamoto, Atsuto Mouri, Meiyo Tamaoka, Ryosuke Imai, Yoko Tsukita, Kazutoshi Isobe, Satoshi Watanabe, Mitsuhiro Kamimura, Ryo Morita, Keita Kudo, Minehiko Inomata, Kazunari Tateishi, Kazutaka Kakinuma, Hiroshige Yoshioka, Yukiko Namba, Issei Sumiyoshi, Taku Nakagawa, Kana Watanabe, Kunihiko Kobayashi, Kazuhisa Takahashi
  • Corresponding author: Takehito Shukuya (Juntendo University Graduate School of Medicine, Tokyo, Japan)
  • 雑誌: Lung Cancer
  • 発行年: 2024
  • Epub日: 2024-07-12
  • Article種別: Original Article (多施設後方視的コホート研究)
  • PMID: 39029359

背景

肺がんは世界で最大のがん死亡原因であり、NSCLC (non-small cell lung cancer、非小細胞肺がん) は全肺がん症例の約 85% を占める。ICB (immune checkpoint blockade、免疫チェックポイント阻害療法) はドライバー変異陰性 NSCLC の標準治療として急速に確立し、nivolumab・pembrolizumab・atezolizumab・durvalumab などの複数薬剤が first-line から second-line にわたって OS 改善を実証してきた。具体的には、nivolumab が 2nd-line でのOS延長を示し (Borghaei et al. NEnglJMed 2015)、pembrolizumab が PD-L1 高発現例の 1st-line 標準治療となり (Reck et al. NEnglJMed 2016)、durvalumab が stage III NSCLC への chemoradiotherapy 後 consolidation 療法として承認された (Antonia et al. NEnglJMed 2017)。

SEER (Surveillance, Epidemiology, and End Results)-Medicare データベース解析では 65 歳以上肺がん患者の 13.5% が既存 AID (autoimmune disorder、自己免疫疾患) を有することが示されている (Khan ら, JAMA (Journal of the American Medical Association) Oncol 2016)。AID は RA (rheumatoid arthritis、関節リウマチ)・SSc (systemic sclerosis、全身性強皮症)・MCTD (mixed connective tissue disease、混合結合組織病)・PMR (polymyalgia rheumatica、リウマチ性多発筋痛症) など免疫系の過剰活性化を特徴とする多様な疾患群を指す。こうした AID 患者は irAE (immune-related adverse event、免疫関連有害事象) や disease flare (疾患増悪) リスクの懸念から主要 ICB 臨床試験の exclusion criteria とされ続けてきた。

AID 合併 NSCLC 患者への ICB 投与についての先行研究は存在するものの、いずれも小規模で限定的であった。Leonardi らは NSCLC + 既存 AID 患者 56 例で PD-1 阻害薬投与後に 55% が irAE または AID flare を経験し、flare が 23%・irAE が 38% と報告した (Leonardi et al. JClinOncol 2018)。Tison らの全国多施設 cohort (フランス) でも ICB 投与 AID 患者の flare 率・irAE 率が確認された (Tison et al. ArthritisRheumatol 2019)。しかし、これらの研究は sample size が小さく (n=56-112 程度)、ICB + 化学療法 combination therapy の AID 既存例に関するデータは gap in knowledge として残されていた。さらに AID 既存 NSCLC 患者において ICB が OS を延長するかという efficacy question に対する適切な survival analysis が不足しており、propensity score 調整下での比較研究は皆無であった。North East Japan Study Group (NEJ) は、こうした課題に対応するために 20 施設による全国多施設後方視 cohort NEJ047 を立案した。

目的

NEJ047 全国多施設後方視 cohort において、既存 AID 合併の進行・再発 NSCLC 患者 229 例 (ICB 群 69 例・非 ICB 群 160 例) を対象に、(1) ICB 投与後の AID flare および irAE の発生率と重症度、(2) AID flare および irAE の発生リスク因子を logistic regression による univariate および multivariate 解析で同定すること、(3) ICB + 化学療法 combination vs ICB 単剤の safety 比較、(4) propensity score を用いた IPW (inverse probability weighting、逆確率重み付け) により背景因子を調整した ICB 群 vs 非 ICB 群の OS 比較、を主な目的とした。

結果

患者背景:n=229、中央値年齢 68 歳、AID 主体は RA 42.8% (Table 1)

2010-2020 年に 20 施設で診断された 229 例 (ICB 群 69 例、非 ICB 群 160 例) を解析した。中央値追跡期間は 17.1 ヶ月。中央値年齢 68 歳 (range 41-90)、女性 49%。組織型は adenocarcinoma 69%・squamous cell carcinoma 23.6%。Clinical stage は IVA/B 54.1%・術後再発 19.2%・stage IIIA/B/C 23.6%。EGFR 変異 22.7%、driver mutation 陽性 26.2%。PD-L1 TPS ≥50% は 11.8%・1-49% は 18.3%・<1% は 11.4% (unknown 58.5% と多く、2010 年代前半症例を反映)。喫煙歴 ever 65.5%、ILD 合併 27.5%。AID 内訳は RA 98 例 (42.8%) 最多、次いで autoimmune thyroiditis 32 例 (14.0%)・Sjogren 症候群 20 例 (8.7%)・SSc 17 例 (7.4%)・筋炎 12 例 (5.2%)・乾癬 10 例 (4.4%)・MCTD 8 例 (3.5%)・PMR 4 例 (1.7%)。AID 診断から NSCLC 診断まで <1 年が 36 例 (15.7%)、>10 年が 78 例 (34.1%)。NSCLC 診断前の AID 治療歴: corticosteroid 91 例 (39.7%)・immunomodulator 85 例 (37.1%)・biologics 16 例 (7.0%)。ICB 群 vs 非 ICB 群の背景差: ICB 群では driver mutation 陽性が少なく (17.4% vs 30.0%、p=0.046)、PD-L1 TPS ≥50% が多く (33.3% vs 2.5%、p=0.002)、ILD 合併が少なかった (15.9% vs 32.5%、p=0.008)。

ICB 治療内容:n=71 ケース、単剤 80.3%、pembrolizumab が最多 (Supplementary Table S1)

69 例のうち 2 例が 2 ライン ICB を受けたため合計 71 ケースを解析した。ICB 単剤 57 例 (80.3%)、ICB + platinum-based chemotherapy combination 14 例 (19.7%)。単剤では pembrolizumab が最多 37 例 (52.1%)、次いで nivolumab 13 例 (18.3%)。Combination では pembrolizumab + chemo 9 例 (12.7%)、atezolizumab + chemo 5 例 (7.0%)。1st-line ICB が 29 例 (40.8%)、2nd-line が 20 例 (28.2%)。ICB 開始前の AID 治療: corticosteroid 23.9%・immunomodulator 26.8%・biologics 2.8%。中央値 4.5 cycles (range 1-83) を every 2 or 3 weeks に投与し、病勢進行または unacceptable toxicity まで継続された。

AID flare:n=18 (25.4%、95% CI 15.8-37.1%)、AID 診断 1 年以内が OR 5.26 の独立リスク因子 (Table 2A、Fig 2)

ICB 投与 69 例中 18 例 (25.4%、95% CI 15.8-37.1%) で AID flare が発生した。Flare を生じた AID の種別は RA 6 例 (33.3%)・autoimmune thyroiditis 6 例 (33.3%)・PMR 2 例・RS3PE (remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema syndrome) 2 例・SSc 1 例・Sjogren 症候群 1 例。Flare 発生後 15/18 例 (83.3%) が追加治療を要し、corticosteroid 7 例・immunomodulator 3 例・biologics 1 例・hormone replacement therapy 5 例が投与された。Flare による ICB 中止が 5 例、suspension が 1 例生じた。ICB combination vs monotherapy での flare 発生率は 35.7% vs 22.8% と傾向差はみられたが有意差はなかった (p=0.32、Fig 2)。Univariate + multivariate logistic regression 解析 (Table 2A) では、AID 診断から NSCLC 診断まで <1 年 vs ≥1 年 が唯一の有意な独立因子として同定された (multivariate OR 5.26、95% CI 1.40-21.61、p=0.016;univariate OR 3.58、95% CI 1.06-12.00、p=0.039)。性別・年齢・組織型・driver mutation・PD-L1 TPS・喫煙歴・ILD・AID 種別 (CTD (connective tissue disease) vs others)・AID flare 既往・AID 治療歴・ICB ライン・PS はいずれも非有意であった。

irAE:n=32 (45.1%、95% CI 33.2-57.3%)、grade ≥3 が 23.9%、pneumonitis 最多 11.3% (Table 3)

ICB 投与 69 例中 32 例 (45.1%、95% CI 33.2-57.3%) で irAE が発生し、grade 3 以上が 17 例 (23.9%、95% CI 14.6-35.5%)、grade 4 が 5 例 (7.0%) であった。最頻 irAE は pneumonitis 8 例 (11.3%)、次いで arthritis 3 例 (4.2%) と hyperthyroidism 3 例 (4.2%)。Grade 3 以上の irAE 詳細: pneumonitis 4 例 (5.6%)・arthritis 2 例 (2.8%)・maculopapular rash 2 例 (2.8%)・myelitis 2 例 (2.8%)・fulminant type 1 diabetes 1 例 (1.4%)・interstitial nephritis 1 例 (1.4%)・myocarditis 1 例 (1.4%)・bullous dermatitis (bullous pemphigoid) 1 例 (1.4%)・bronchopulmonary hemorrhage 1 例 (1.4%)。irAE に対し 32 例中 24 例が追加治療を受け、corticosteroid 18 例・plasmapheresis 2 例・biologics 1 例が投与された。重症例として、MCTD 患者が nivolumab では無事だったが atezolizumab での rechallenge 後に autoimmune encephalomyelitis を発症し、mechanical ventilation・corticosteroid・plasmapheresis を要した 1 例があった。ICB 中止が 16 例、suspension が 2 例生じた。ICB combination vs monotherapy での irAE 発生率は all-grade 50.0% vs 43.9% (p=0.68)、grade ≥3 は 21.4% vs 24.6% (p>0.99) と有意差を認めなかった。Multivariate 解析 (Table 2B) では irAE と有意に関連する因子は同定されなかった。

AID flare と irAE の重複パターン:ICB 中止が全体の 50.0% (Fig 3)

AID flare と irAE の重複パターンを検討した結果、9 例 (12.7%) が flare + irAE 両方を経験し、9 例 (12.7%) が flare のみ、23 例 (32.4%) が irAE のみを経験した。残り 30 例 (43.5%) は flare・irAE ともに経験しなかった。Baseline AID 種別 (p=0.67) および治療タイプ (combination vs monotherapy、p=0.69) と flare/irAE 発生パターンの間には有意な関連がみられず (Fig 3)、特定の AID または治療レジメンに起因する予測可能なパターンの同定には至らなかった。ICB 中止が 22 例 (50.0%)、suspension が 3 例 (6.8%) で flare/irAE に起因しており、AID 既存患者では ICB 継続 vs 中止の判断が重要な臨床課題であることが示された。AID 既存患者では pre-existing immune activation が ICB による immune dysregulation と相互作用し、flare と irAE が同一患者に重複して生じ得ることが改めて確認された。

ICB 奏効率・PFS:1st-line ORR 55.1%、combination ORR 71.4% (Supplementary Table S2)

全 ICB 投与例の ORR は 33.8% (95% CI 23.2-46.1%)、DCR は 59.1% (95% CI 46.8-70.5%)。治療ラインでは 1st-line の ORR 55.1% (95% CI 35.9-73.0%)・DCR 75.8% (95% CI 56.1-89.0%) に対し、2nd-line 以降は ORR 19.0% (95% CI 9.1-34.6%)・DCR 47.6% (95% CI 32.3-63.4%) と大きく異なった。ICB + 化学療法 combination では ORR 71.4% (95% CI 42.0-90.4%)・DCR 100% (95% CI 73.2-100%) と高い奏効率を示した。Median PFS: 全 ICB 5.83 ヶ月 (95% CI 4.53-8.90)、1st-line 8.20 ヶ月 (95% CI 4.87-20.03)、2nd-line 以降 4.67 ヶ月 (95% CI 2.57-7.63)。Median OS: 全 ICB 群 16.5 ヶ月 (95% CI 16.5 ヶ月 to NE [not estimable])、1st-line 19.9 ヶ月 (95% CI 14.3 ヶ月 to NE)、2nd-line 以降 15.8 ヶ月 (95% CI 10.5 ヶ月 to NE)。

IPW 調整 OS:hazard ratio 0.43 (95% CI 0.26-0.70、p=0.0006) で ICB が生存を有意に延長 (Fig 4)

Propensity score 算出後に IPW を適用したところ、全 covariate の standardized mean difference が <0.1 を達成し良好な covariate balance が確認された (Supplementary Figure S1)。ICB 群の中央値追跡期間は 19.1 ヶ月、非 ICB 群は 12.1 ヶ月。1st-line 治療開始からの OS を比較した IPW 調整 survival analysis (Fig 4) では、ICB 使用が OS を有意に延長した (hazard ratio 0.43、95% CI 0.26-0.70、p=0.0006)。この effect size は、一般 NSCLC 患者を対象とした pivotal trial (CheckMate-017/057: HR 0.59-0.73、KEYNOTE-024: HR 約 0.50、OAK: HR 0.73) と比較してやや大きく、AID 既存例においても ICB による robust な survival benefit が示された。

考察/結論

本研究は、既存 AID 合併進行 NSCLC 患者集団において IPW を用いた propensity score 調整解析により ICB が OS を有意に延長することを初めて統計的に実証した重要な研究である。HR 0.43 (p=0.0006) という effect size は、CheckMate-017/057・KEYNOTE-024・OAK などの一般 NSCLC RCT で報告された HR 0.59-0.73 と異なり (むしろやや大きい)、AID 既存例でも ICB benefit が明確であることを示した。これまでの研究では safety profile を報告するに留まり (Leonardi et al. JClinOncol 2018Tison et al. ArthritisRheumatol 2019)、AID 既存 NSCLC 患者での survival impact を prospective または retrospective に比較した既報はほぼ存在しなかった点と対照的である。一方本研究は IPW という robust な confounding 調整手法を用い、causal inference に近い形で ICB の survival benefit を定量化した。

AID 診断 1 年以内という新規リスク因子の発見

本研究で初めて「AID 診断後 1 年以内の NSCLC 診断」が AID flare の独立リスク因子 (OR 5.26、95% CI 1.40-21.61) として同定された点がこの研究の最も新規な知見である。この関連を説明するメカニズムとして 2 つの仮説が考えられる。第一に、AID 発症直後はシステミックな炎症活性が最も高い時期であり、ICB による T 細胞 checkpoint unblock が既存の immune activation を増幅させやすい可能性がある。第二に、一部の「AID」が実際には NSCLC の paraneoplastic syndrome として惹起された腫瘍随伴性自己免疫現象であり、ICB 投与によって腫瘍排除と同時に paraneoplastic AID が増悪した可能性がある。この novel なリスク因子の同定は、ICB 投与前のスクリーニングや intensive monitoring の対象者選定に役立つ臨床的意義がある。

ICB + 化学療法 combination の安全性

ICB + 化学療法 combination の irAE 発生率 (all-grade 50.0%) が monotherapy (43.9%) と有意差なかった点 (p=0.68) は novel な知見であり、これまでほぼデータが存在しなかった combination therapy の AID 既存例における safety feasibility を支持する。Combination の ORR 71.4% という高い奏効率も踏まえると、AID 既存 NSCLC 患者に対する 1st-line chemoimmunotherapy の適用を検討する根拠となり得る。これまでの研究では combination therapy を受けた AID 患者のデータが極めて限られており、本研究結果は現在の標準治療に対応したエビデンスの空白を埋めるものである。

臨床的意義と応用

本研究結果の臨床的含意として、AID 既存 NSCLC 患者に対しても ICB の使用を informed decision making と徹底した monitoring の下で積極的に検討すべきことが示唆される。特に AID 診断後 1 年以内の患者では、intensive monitoring (頻回採血・症状問診・リウマチ科/内分泌科など multidisciplinary 連携) が推奨される。EULAR (European League Against Rheumatism) Task Force recommendation および SITC (Society for Immunotherapy of Cancer) consensus においても AID 患者への ICB は contraindication でないとしており、本研究結果はこれらのガイダンスを further support するものである。臨床応用に向けては、リスク-ベネフィット balance の個別評価と baseline autoantibody titer 測定が有用である可能性がある。また、ICB 承認後も実臨床で 160/229 例 (約 70%) が ICB 非投与に留まっていた実態は、本研究の survival benefit 結果を踏まえた prescribing behavior の見直しが必要であることを示唆する。

残された課題と今後の展望

残された課題として、(1) 後方視デザインによる selection bias の可能性 (IPW でも unmeasured confounder を完全には除去できない)、(2) grade 5 (致死) 例の不在により ICB を絶対禁忌とすべき AID サブグループの特定が不可能だった点、(3) ICB 承認後も約 70% が ICB 非投与であった prescriber bias の存在、(4) AID 種別 (SSc 17 例、MCTD 8 例など) のサブグループ解析には sample size が不十分な点が挙げられる。今後の検討 (future research) として、(a) より大規模なプロスペクティブ多施設コホートによる外的妥当性の検証、(b) 抗 CCP (cyclic citrullinated peptide) 抗体・RF (rheumatoid factor)・抗甲状腺抗体など baseline autoantibody titer の AID flare 予測 biomarker としての評価、(c) AID 診断 1 年以内リスク因子の生物学的メカニズム (cytokine profile・T 細胞サブセット) の検討、(d) AID 既存 NSCLC 患者を対象とした phase 2 前向き試験の実施、が期待される。また ICB による OS 延長が示された本研究を踏まえ、実臨床における更なる検討と guideline への反映が必要である。

方法

試験デザインと対象: NEJ047 多施設後方視 cohort 研究として実施した。Juntendo University Faculty of Medicine 倫理審査委員会の承認を得て、日本臨床試験登録システム UMIN000040512 に登録した。STROBE (Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology) 観察研究報告 guideline に準拠し、Helsinki 宣言の原則に従い、opt-out 同意方式を採用した。2010 年 1 月から 2020 年 2 月の間に 20 施設で診断された advanced (stage IIIA/B/C または IVA/B) または再発 (術後再発・根治放射線療法後再発) の NSCLC 患者で、RA・自己免疫性甲状腺炎・Sjogren 症候群・SSc・筋炎 (myositis)・乾癬 (psoriasis)・MCTD・PMR・IBD (inflammatory bowel disease、炎症性腸疾患) 等の既存 AID を有するもの全例を対象とした。283 例が登録されたが、BSC (best supportive care) のみの 48 例と他の理由 6 例 (計 54 例) を除外し、最終的に 229 例 (ICB 群 69 例、非 ICB 群 160 例) を解析した (Fig 1)。

データ収集: (1) 患者背景 (性別・診断時年齢・組織型・TNM 分類・臨床病期・driver mutation [EGFR/ALK/ROS1]・PD-L1 TPS [tumor proportion score]・喫煙歴・ILD [interstitial lung disease、間質性肺疾患] 合併・術後再発歴)、(2) AID 詳細 (AID 診断から NSCLC 診断までの期間・AID 先行 flare 歴・NSCLC 診断前の AID 治療歴)、(3) NSCLC 治療内容 (各ライン治療レジメン・ECOG PS [Eastern Cooperative Oncology Group performance status]・治療開始/終了日・delivered cycles・奏効・PFS [progression-free survival]・OS [overall survival]・ICB 非投与理由)、(4) AID flare および irAE の詳細 (発生有無・日付・治療内容・ICB 中止/中断の要否) を後方視的に収集した。

評価指標と統計解析: 腫瘍評価は RECIST (Response Evaluation Criteria in Solid Tumors) version 1.1、irAE grading は CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Events) version 5.0 に準拠した。ORR (objective response rate) = CR (complete response) + PR (partial response)、DCR (disease control rate) = CR + PR + SD (stable disease) とした。カテゴリ変数は Fisher の正確確率検定、生存分析は Kaplan-Meier 法と Cox 比例ハザードモデル、AID flare および irAE の risk factor 解析には logistic regression (univariate + multivariate) を用いた。IPW (inverse probability weighting) を用いた propensity score 解析: 性別・年齢・組織型・driver mutation・PD-L1 TPS・喫煙歴・ILD・術後再発・AID 種別・AID から NSCLC 診断までの期間・AID flare 既往・AID 治療歴の 12 変数を logistic regression に投入してプロペンシティスコアを算出し、IPW により ATE (average treatment effect、平均処置効果) 推定で ICB 群 vs 非 ICB 群の OS を比較した。Covariate balance は standardized mean difference < 0.1 を良好と判定した。R version 4.1.1 および SAS version 9.4 を使用し、P < 0.05 を有意とした。