• 著者: Cornelis J.M. Melief, Thorbald van Hall, Ramon Arens, Ferry Ossendorp, Sjoerd H. van der Burg
  • Corresponding author: Cornelis J.M. Melief (Leiden University Medical Center, Leiden, Netherlands; ISA Pharmaceuticals)
  • 雑誌: The Journal of clinical investigation
  • 発行年: 2015
  • Epub日: 2015-07-27
  • Article種別: Review
  • PMID: 26214521

背景

感染症に対する予防接種は歴史的に最も成功した公衆衛生介入の一つであるが、既成のがんや持続感染に対する治療的ワクチンは、既に寛容化・分極化されている宿主免疫系との戦いが必要であり、開発は困難であった。しかし、近年、治療的がんワクチンの臨床的有用性が確立されつつある。特に、Sipuleucel-Tの承認、HPV関連前がん病変に対する合成長ペプチド(SLP)ワクチンによる病変退縮、そして免疫チェックポイント阻害薬であるイピリムマブ(ipilimumab)や抗PD-1抗体の大きな成功によって、治療的がんワクチンの時代が到来しつつあると認識されている。例えば、Hodi et al. NEnglJMed 2010はメラノーマ患者におけるイピリムマブの生存期間延長効果を示し、Topalian et al. NEnglJMed 2012は抗PD-1抗体の安全性と活性を報告している。

腫瘍抗原は、分化抗原(MART-1、gp100など)、がん精巣(CT)抗原(NY-ESO-1、MAGE-A3など)、過剰発現抗原(hTERT、メソテリンなど)、ウイルス抗原(HPV、EBVなど)、体細胞変異由来のネオ抗原に大別される。これらのうち、変異由来ネオ抗原は胸腺トレランスの影響を受けず、T細胞レパートリーが保存されている点で最も魅力的な標的として注目を集めている。例えば、Gubin et al. Nature 2014は、チェックポイント阻害薬の効果が腫瘍特異的変異抗原を標的とすることを示唆し、Tran et al. Science 2014は、上皮性腫瘍患者における変異特異的CD4+ T細胞に基づく免疫療法が有効であることを報告している。

一方で、多くのワクチンは依然として設計が最適ではなく、免疫抑制的な腫瘍微小環境(TME)に妨げられて臨床効果が限定されているという課題が残されている。従来の短ペプチドワクチンでは、CD8+ T細胞応答の誘導が不十分であり、効果が持続しないことが指摘されてきた。また、TMEにおける制御性T細胞(Tregs)や骨髄由来抑制細胞(MDSCs)の存在、免疫抑制性サイトカイン(IL-10、TGFβ)やIDO(indoleamine 2,3-dioxygenase)の産生が、ワクチン効果を減弱させる主要な要因として認識されている。これらの免疫抑制機構を克服するための戦略が不足しており、治療的がんワクチンの効果を最大化するための包括的なアプローチが未確立である点が、本分野における大きなギャップである。

本レビューは、Leiden大学のMelief/van der Burgらが、治療的がんワクチンの前臨床・臨床エビデンスを体系的に総括し、成功のための設計原理を提示したものである。特に、最適な抗原選択、ワクチン設計、および免疫抑制性TMEを克服するための併用療法に焦点を当て、治療的がんワクチンの臨床的有用性を最大化するための具体的な指針を提供することを目的としている。

目的

本レビューの目的は、治療的がんワクチンの最新の前臨床および臨床エビデンスを総括し、その効果を最大化するための多角的な戦略を提示することである。具体的には、以下の4つの主要な指針を提示することを目指す。

第一に、有効な抗原選択の重要性を強調する。これには、非ウイルス性腫瘍抗原(分化抗原、がん精巣抗原、過剰発現抗原、ネオ抗原)とウイルス性抗原(HPV、EBV、HBV、HCV、HTLV-1、Merkel cell carcinoma virus、CMV)の双方を網羅し、胸腺トレランスの影響を受けにくい抗原の優位性を評価する。

第二に、ワクチンプラットフォーム別の設計原理を比較検討する。合成長ペプチド(SLP)、DNA/RNAワクチン、樹状細胞(DC)ワクチン、組換えウイルスベクターワクチンなどの主要なプラットフォームについて、その特性、抗原提示効率、CD4+およびCD8+ T細胞応答誘導能を詳細に分析する。特に、短ペプチドワクチンの欠点を克服するSLPの利点を明確にする。

第三に、適切なアジュバント戦略の必要性を論じる。TLRリガンド(poly I:CLC、CpG)、Montanide、STINGアゴニストなどのアジュバントが、DCの活性化と強力なT細胞応答の誘導に果たす役割を評価し、SLP-TLRリガンド共役体のようなin vivo DC標的化アプローチの可能性を探る。

第四に、免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)を克服するための併用療法設計の指針を提供する。チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4、抗PD-1)、TNFRファミリーアゴニスト抗体、IDO阻害薬、特定の化学療法剤、サイトカイン併用療法など、TMEの免疫抑制機構を標的とする戦略を包括的に評価し、ワクチン効果を相乗的に高めるための最適な併用アプローチを提案する。これらの指針を通じて、治療的がんワクチンの臨床的成功を導くためのロードマップを提供することを目指す。

結果

本レビューでは、治療的がんワクチンの前臨床および臨床における広範なエビデンスが提示された。主要な所見は以下の通りである。

承認ワクチンと非ウイルス性がんにおける初期臨床成績: Sipuleucel-T(PAP標的)は、ホルモン抵抗性前立腺がん患者において平均3ヶ月の全生存期間(OS)延長(プラセボ群と比較)を示し、米国および欧州で承認された初のがんワクチンとなった。このワクチンは、PAP(prostatic acid phosphatase)とGM-CSF(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)の融合タンパク質で培養された自己末梢血単核細胞(PBMCs)から生成される細胞製品である。PROSTVAC-VF(PSAエンコード組換えウイルスベクター、ワクシニア初回→ファウルポックス追加投与のheterologous prime-boost)では、PSA-doubling timeの延長と、対照群と比較して8.5ヶ月のOS延長が報告された(Kantoff et al. NEnglJMed 2010)。進行膵癌患者を対象としたListeria-mesothelinワクチンとG-VAX(GM-CSF形質導入アロジェニック癌細胞)の併用療法では、OS中央値が6.1ヶ月(G-VAX単独群の3.9ヶ月と比較して延長)であった。一方、MAGE-A3組換えタンパクワクチンは、メラノーマおよび肺がんのフェーズIII試験で主要評価項目(無病生存期間[DFS]延長)を達成できなかった。この失敗は、CD8+ T細胞応答誘導能の低さが主因と解釈されている。B細胞性白血病における抗イディオタイプB細胞ワクチン(表面Igイディオタイプ標的)は、フェーズIII試験でDFS延長と関連することが示された。

ウイルス性がんへのワクチン臨床成績: HPV16 E6/E7全配列をカバーする合成長ペプチド(SLP)ワクチン(Montanide ISA-51アジュバント、皮下投与)は、VIN(vulvar intraepithelial neoplasia)/CIN(cervical intraepithelial neoplasia)患者に投与された際、3ヶ月時点で50%超が部分奏効(PR)または完全奏効(CR)を示し、最終投与後12ヶ月時点ではさらに高い客観的奏効率(ORR)が得られた。ワクチン誘導T細胞応答の強度と臨床奏効は強く相関し(p<0.001)、Imiquimod塗布とTA-CIN(HPV16 E6E7+L2融合タンパク)の併用や、電気穿孔法によるDNAワクチンでも同様の奏効率が確認された。電気穿孔法によるDNAワクチンでは、robustなT細胞応答と病変退縮、ウイルス除去が確認されている。しかし、再発子宮頸がん患者では免疫原性が低く、OS改善も認められず、進行がん状態での免疫競争環境の厳しさが示された。HTLV-1 tax protein DCワクチン(HLA-A2拘束性エピトープ)では、ATLL(adult T cell leukemia/lymphoma)患者3例中2例でPR、1例でCRが報告された。Merkel cell carcinoma virus(large T/small T oncoproteins)を標的としたsmall T DNAワクチンは、腫瘍担持マウス(n=12 mice)で生存延長が確認され、さらに転移性Merkel細胞がん患者1例でウイルス特異的T細胞の養子移入とIFNβ-1b/放射線の併用により治療奏効が報告された。CMV抗原は膠芽腫の高割合で発現し、腫瘍内オンコモジュレーション役割と治療ターゲット候補として注目されている。

ワクチンプラットフォームの比較と設計原理: 短ペプチド(<15アミノ酸)は、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)の必要なく全有核細胞のHLAクラスIに直接結合するため、共刺激分子を欠く非プロフェッショナルAPCへの過剰なペプチドロードによる寛容化シグナルを誘導する可能性がある。IFA(incomplete Freund’s adjuvant)アジュバント下での短ペプチドワクチンでは、誘導T細胞がワクチン接種部位に集積し死滅するという致命的な欠点が指摘されている。SLP(>20アミノ酸)はプロドラッグとして機能し、樹状細胞(DC)のみが効率的にプロセスし、MHCクラスI/II両方に生理的レベルで提示できるため、CD4+およびCD8+ T細胞のバランスの取れた応答を誘導できる(Figure 2)。DNAワクチンとRNAワクチンは、TLR(Toll-like receptor)リガンドやPRR(pattern recognition receptor)リガンドを内蔵し、DC活性化能を自律的に持つ。DCワクチンは概念実証として有望だが、製造コストが高い。SLP-TLRリガンド共役体のようなin vivo DC標的型が将来の方向性とされる。CD4+ T細胞のヘルプは、CD8+エフェクター/メモリーT細胞の誘導に必須であり(長期記憶維持にも必要)、MHCクラスIIエピトープを含むSLPが有利である。

ネオ抗原の優位性とチェックポイント阻害との接点: B16メラノーママウスモデルにおいて、2つの変異ネオ抗原をターゲットとしたSLPワクチンとTLR3リガンド(poly I:C)の併用により、チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4/抗PD-1)と同等の顕著な抗腫瘍効果が達成された(Gubin et al. Nature 2014)。メラノーマ患者において、イピリムマブの臨床効果が腫瘍の変異負荷と強く相関することが報告され(Snyder et al. NEnglJMed 2014)、抗CTLA-4の効果がネオ抗原特異的T細胞応答の解放によることが示唆された。NY-ESO-1特異的親和性増強TCR(T cell receptor)を用いた養子T細胞療法は、転移性メラノーマ患者で顕著な持続的腫瘍退縮を示し(Robbins et al. ClinCancerRes 2014)、CT抗原を標的とする治療のポテンシャルを示した。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)がネオ抗原を頻繁に認識することも確認されており、ネオ抗原が最も有力なワクチン抗原として認識されている。個別化ネオ抗原ワクチンの開発には、迅速なエクソーム解析、エピトープ予測、GMP(good manufacturing practice)製造のパイプライン構築が課題となる。

免疫抑制性TMEの克服戦略: TMEにおける免疫抑制機構として、Tregs、MDSCs(myeloid-derived suppressor cells)、IL-10、TGFβ、IDO、チェックポイント分子(CTLA-4、PD-1、TIM3、LAG3)、IL-6を介した炎症が列挙される。これらの機構に対する対抗策として、以下の併用療法が前臨床で相乗効果を示している(Figure 3)。(a) チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4、抗PD-1)との併用によるワクチン誘導T細胞の解放(Hodi et al. NEnglJMed 2010Topalian et al. NEnglJMed 2012)。(b) TNFR(TNF receptor)ファミリーアゴニスト抗体(CD40、OX-40/CD134、4-1BB/CD137、CD27)との組み合わせによるT細胞共刺激の増強。(c) IDO阻害薬によるトリプトファン枯渇の解除。(d) シスプラチンがTNFαを介して腫瘍アポトーシス閾値を低下させる化学療法増感機序。(e) サイトカイン併用(IL-7、IL-15、IL-21、IL-2)による抗原経験T細胞の拡大。(f) サリドマイド誘導体や他の標的化合物によるTreg/MDSCの選択的枯渇。通常化学療法剤でも免疫不全を誘導せずにTreg/MDSCを枯渇させるものが同定されており、化学免疫療法の基盤となる。

SLPワクチンの最適化とアジュバント要件: SLPワクチンの有効な作動には、TLRリガンドとの組み合わせが必須である。TLR3リガンド(poly I:CLC)、TLR9リガンド(CpG)、Montanide、STING(stimulator of IFN genes)アゴニストが実績のあるアジュバントとして挙げられる。SLPにTLRリガンドを共有結合した共役体は、DC標的化と同時DC活性化を一体化した最も効率的なin vivo DC標的アプローチとして提示されている。MHCクラスI提示には、抗原がDC細胞質に入りプロテアソームで9-15アミノ酸断片に切断され、TAP(transporter of antigen processing)輸送を経てER(endoplasmic reticulum)でのHLAクラスIへの搭載という経路を辿る。SLPはDCのみが効率的にプロセスでき、短ペプチドに比べ約10倍以上高効率でMHCクラスI提示を誘導できる。本レビューが記述した時点(2015年)では、組換えウイルスベクター(PROSTVACなど)は数多くのPRRリガンドを内包しDCを活性化できるが、腫瘍関連抗原(TAA)とは無関係のウイルス抗原との競合が免疫応答を分散させることが欠点として指摘されている。Heterologous prime-boost戦略(vaccinia primingとfowlpox boost)はTAAに対する応答を選択的に増強し、この競合問題を部分的に解消する。EBV(Epstein-Barr virus)関連鼻咽頭がんや他EBV誘発悪性腫瘍でのpox vector(EBNA-1+LMP2)ワクチンPhase I試験では許容毒性と抗原特異的T細胞応答誘導が確認された。AML(acute myelogenous leukemia)患者へのWT-1ペプチドワクチンまたはWT1 mRNA電気穿孔DCワクチンでは、白血病退縮や部分寛解から完全寛解への転換が一部例で報告された。

考察/結論

本レビューは、治療的がんワクチンが設計不全の試験においても生存改善を示してきた一方で、完全奏効が稀である現状を率直に評価している。治療的がんワクチンの成功には、いくつかの不可欠な条件が挙げられる。

先行研究との違い: 従来の短ペプチドワクチンや組換えタンパクワクチンがCD8+ T細胞応答誘導能の低さから臨床的失敗を経験したのに対し、本レビューは、合成長ペプチド(SLP)やDNA/RNAワクチンといったプラットフォームが、適切なDCへの抗原デリバリーとCD4+/CD8+両方のT細胞応答誘導に優れることを強調している。これは、MAGE-A3組換えタンパクワクチンのフェーズIII失敗が「CD8+ T細胞誘導能を欠くプラットフォームは臨床に通用しない」という教訓を提示したことと対照的である。

新規性: 本研究で初めて、ネオ抗原やウイルス抗原といった胸腺トレランスの影響を受けない抗原選択の優位性を改めて示し、特にチェックポイント阻害薬との併用が免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)を克服し、ワクチン効果を劇的に向上させるという新規の知見を統合した。これは、Gubin et al. Nature 2014Snyder et al. NEnglJMed 2014が示したネオ抗原とチェックポイント阻害の相乗効果を、ワクチン設計の文脈で体系的に位置づけた点で新規性がある。

臨床応用: 本レビューで示された知見は、治療的がんワクチンの臨床応用を加速させるための具体的な指針を提供する。特に、個別化ネオ抗原SLPワクチンとTLRリガンド、そして免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の併用が、今後の主流となるべきアプローチであることを示唆している。これにより、高特異的かつ比較的低コスト、非侵襲的な治療モダリティとして、化学療法、放射線療法、ICIと柔軟に組み合わせることが可能となり、精密医療時代における重要な選択肢となりうる。

残された課題: 今後の検討課題として、(a) 変異負荷の低いがんでも有効なワクチン設計(共有ドライバー変異のoff-the-shelf TCR化)、(b) 粘膜がんへの組織特異的T細胞ホーミング誘導、(c) ネオエピトープ予測精度の向上(エクソーム解析からHLA結合予測の高精度化)、(d) 個別化製造の規制・コスト課題の解決、(e) TME免疫抑制機構の多標的同時制御が挙げられる。また、NK細胞、B細胞、インナーリンパ球などの免疫エフェクターとの組み合わせや、TCR改変T細胞とワクチンの複合的アプローチも将来の研究方向として示唆される。これらの課題を克服することで、治療的がんワクチンは、がんの根絶と患者の生存期間延長に大きく貢献できると考えられる。

方法

本研究はレビュー論文であるため、特定の実験方法や患者コホートを用いた介入研究は実施していない。著者らは、治療的がんワクチンに関する既存の広範な前臨床および臨床文献を体系的に収集し、分析した。文献検索は、非ウイルス性がん抗原とウイルス性がん抗原(HBV、HCV、EBV、HTLV-1、Merkel cell carcinoma virus、HPV、CMV)それぞれについてのワクチン戦略に焦点を当てて実施された。

具体的には、主要な医学データベースであるPubMedとEmbaseを用いて文献検索が行われた。検索期間は明記されていないが、レビューの出版年である2015年までの関連論文が対象とされたと考えられる。文献の選定は、治療的がんワクチンの有効性、免疫原性、安全性、および作用機序に関する研究に焦点を当てて行われた。特定のinclusion/exclusion criteriaは明示されていないが、主要な臨床試験、前臨床モデル、および免疫学的メカニズムに関する報告が優先的に評価された。本レビューは、エビデンスレベルの評価にはGRADEアプローチなどの標準的なフレームワークは採用していないが、個々の研究の質と臨床的意義に基づいて所見を統合している。

具体的には、以下の主要なテーマに基づいて文献を横断的に評価した。

  1. 抗原選択の原理: 腫瘍特異的抗原(TSA)、腫瘍関連抗原(TAA)、ネオ抗原、ウイルス抗原の免疫原性、胸腺トレランスからの回避、および臨床的有効性に関するエビデンスを評価した。特に、変異由来ネオ抗原の優位性と、ウイルス抗原が胸腺トレランスの影響を受けない利点に注目した。
  2. ワクチンプラットフォームの比較: 短ペプチド、合成長ペプチド(SLP)、DNAワクチン、RNAワクチン、樹状細胞(DC)ワクチン、組換えウイルスベクターワクチンなど、様々なワクチンデリバリープラットフォームの特性、抗原提示経路、CD4+およびCD8+ T細胞応答誘導能について比較分析を行った。SLPがMHCクラスIおよびIIの両方に効率的に抗原を提示し、バランスの取れたT細胞応答を誘導するメカニズムを詳細に検討した。
  3. アジュバント戦略: TLRリガンド(TLR3リガンドpoly I:CLC、TLR9リガンドCpG)、Montanide、STINGアゴニストなどのアジュバントが、DCの活性化とT細胞プライミングに与える影響を評価した。SLPとTLRリガンドの共有結合によるin vivo DC標的化アプローチの有効性も検討した。
  4. 免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)への対抗策: TMEにおける主要な免疫抑制機構(Tregs、MDSCs、IL-10、TGFβ、IDO、チェックポイント分子など)を特定し、これらを標的とする併用療法(チェックポイント阻害薬、TNFRファミリーアゴニスト抗体、IDO阻害薬、化学療法剤、サイトカインなど)の前臨床および臨床エビデンスを評価した。

本レビューでは、これらのテーマに関する既存の知見を統合し、治療的がんワクチンの設計と臨床応用における成功要因と課題を特定することを試みた。特に、Leiden大学の研究グループが長年培ってきたSLPワクチンの開発経験と、免疫チェックポイント阻害薬の登場による免疫療法の進展を踏まえ、今後の治療的がんワクチンの方向性について考察している。