• 著者: Hamza O. Yazdani, Eva Roy, Alexander J. Comerci, Dirk J. van der Windt, Hongji Zhang, Hai Huang, Patricia Loughran, Sruti Shiva, David A. Geller, David L. Bartlett, Allan Tsung, Tai Sheng, Richard L. Simmons, Samer Tohme
  • Corresponding author: Samer Tohme (University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA, USA)
  • 雑誌: Cancer Research
  • 発行年: 2019
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 31519688

背景

固形腫瘍の増殖は、遺伝的・エピジェネティックな変化だけでなく、複雑な細胞性および液性環境によっても深く影響されることが近年明らかになっている。特に、腫瘍微小環境 (TME) における好中球の浸潤は、その不均一性と可塑性から、がんの進行において重要な役割を果たすことが示唆されている Coffelt et al. NatRevCancer 2016。好中球は、抗菌防御の第一線としての役割に加え、がんの複数の段階で腫瘍の増殖と転移を促進することが報告されている Park et al. SciTranslMed 2016。これらの腫瘍促進機能は、貪食メカニズムではなく、NETosis (好中球細胞外トラップ形成) と呼ばれるプロセスを介した腫瘍内での好中球細胞外トラップ (NETs) の形成によって発揮されるという見解が強まっている Demers et al. OncoImmunology 2016

NETsは、脱凝縮したDNAクロマチンが、シトルリン化ヒストン (cit-H3) やミエロペルオキシダーゼ (MPO)、好中球エラスターゼ (NE) などの顆粒酵素とともに細胞外空間に放出されることで産生される。NETosisは、酵素ペプチジルアルギニンデイミナーゼ (PAD)-4の活性化を必要とし、PAD4は核に移行後、核ヒストンをシトルリン化し、クロマチンの脱凝縮と放出を誘導する。先行研究では、外科的ストレス後のNETsが循環腫瘍細胞を捕捉するだけでなく、その転移能を高め、微小転移病変の増殖を促進することが示されている Tohme et al. CancerRes 2016。PAD4を欠損しNET形成能がないマウスを用いたり、NETosis中に形成される細胞外クロマチンを溶解するデオキシリボヌクレアーゼ (DNase) を投与したりすることで、無菌性炎症を軽減し、肝臓における転移性腫瘍の増殖を有意に減少させることができた。NETsはヒト腫瘍でも発見されており、その存在は予後不良と関連する。最近では、NETsが休眠状態の転移巣を覚醒させることも示されている Albrengues et al. Science 2018。しかし、TMEにおけるNETsが腫瘍増殖を促進する具体的な代謝機序は未解明であった。

固形腫瘍は一般的に過酷な微小環境で発生するが、がん細胞は旺盛な増殖を示し続ける。最近の証拠は、解糖系の亢進にもかかわらず、がん細胞がアデノシン三リン酸 (ATP) のかなりの部分をミトコンドリア呼吸から得ていることを示している。ミトコンドリア生合成と酸化的リン酸化 (OXPHOS) を促進する代謝再配線は、TME内の特定のがん細胞が特定のストレス下で生存するための有利な位置を与える可能性がある。ミトコンドリア生合成は、既存のミトコンドリアの成長と分裂と定義され、核ゲノムによってコードされるタンパク質の協調的な合成、ミトコンドリアDNA (mtDNA) の複製、およびミトコンドリアの融合と分裂の協調を必要とする。このプロセスは主にペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1α (PGC1α) によって駆動され、同化的な腫瘍増殖に有利なエネルギーブーストをもたらす。腫瘍が増殖するにつれて、TME内のNETsが増加し、これは環境ストレスの増加とがん細胞増殖の増加の両方に並行する。したがって、NETsが腫瘍に生存のための適応戦略を提供するために、同様の代謝スイッチを誘導するという仮説が立てられた。しかし、NETsが腫瘍細胞のミトコンドリア恒常性(生合成、密度、ATP産生)を亢進させて腫瘍増殖を促進する具体的な分子機序、特に好中球エラスターゼ (NE) →TLR4 (Toll-like receptor 4) →PGC1α軸の詳細は、これまで十分に確立されていなかった点が不足していた。

目的

本研究の目的は、腫瘍内NETsが腫瘍細胞のミトコンドリア恒常性 (生合成、密度、ATP産生) を亢進させて腫瘍増殖を促進するという仮説を検証し、その分子機序 (好中球エラスターゼ (NE) →TLR4 (Toll-like receptor 4) →PGC1α軸) を解明することである。具体的には、PAD4 (ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4) 欠損マウス、デオキシリボヌクレアーゼ (DNase)、NE阻害剤を用いたin vivo実験により、NETs形成阻害が腫瘍増殖、ミトコンドリア機能、細胞増殖、アポトーシス、酸化ストレスに与える影響を評価する。さらに、in vitro実験により、NETsが癌細胞のミトコンドリア生合成、ATP産生、ミトコンドリアダイナミクス、マイトファジーに直接与える影響を調べ、NEとTLR4を介したPGC1α経路の関与を詳細に解析する。最終的に、ヒト結腸直腸肝転移 (CRLM) 患者コホートにおけるNETs関連バイオマーカーと臨床転帰との相関を評価し、NETsを標的とした新規治療戦略の可能性を探ることを目指す。

結果

NETs形成と転移性結腸直腸癌患者の予後との相関: 27名のCRLM (結腸直腸肝転移) 患者の肝転移切除組織の病理組織学的検討により、非腫瘍部と比較して腫瘍部で腫瘍関連好中球 (TANs) およびNETsが有意に増加していることが示された (p<0.001)。腫瘍組織はNETosisを示すシトルリン化ヒストン (cit-H3) の高レベル発現を示した (Fig. 1A, B)。さらに、CRLM患者 (n=27 patients) の術前血清MPO-DNAレベルは、健常対照群 (n=10 healthy controls) と比較して有意に上昇していた (p<0.0002)。術前MPO-DNAレベルが中央値以上の患者は、中央値以下の患者と比較して、無病生存期間 (DFS) が有意に短縮していた (5.5ヶ月 vs 31.0ヶ月、p<0.001)。同様に、全生存期間 (OS) も有意に短縮していた (26.2ヶ月 vs 43.2ヶ月、p<0.001)。多変量コックス回帰分析では、MPO-DNA高値は年齢、腫瘍数、最大病変径、CEAレベルで調整後も独立した予後因子であった (HR=2.13; 95% CI, 1.43-4.17; p<0.01) (Fig. 1D, E; Supplementary Table S1)。

NETs枯渇マウスにおける腫瘍増殖の抑制とミトコンドリア機能の変化: PAD4-/-マウスの皮下腫瘍モデルおよび肝転移モデルにおいて、腫瘍増殖はWTマウスと比較して有意に遅延した (Fig. 2A-E)。PAD4-KO腫瘍では、細胞増殖マーカーKi67の低下、アポトーシスマーカーTUNELの増加、酸化ストレスマーカー4-HNEの増加が認められた (Fig. 4A)。また、PAD4-KO腫瘍では、ミトコンドリア生合成の主要な調節因子であるPGC1α、NRF1、TFAMの発現が有意に低下し (p<0.05)、ミトコンドリアDNAコピー数、ミトコンドリア密度 (TOM20染色)、およびATP産生も低下していた (Fig. 4B-G)。ヌードマウスにデオキシリボヌクレアーゼ-1 (DNase-1) または好中球エラスターゼ阻害剤 (NEi) を投与した場合も、ヒト癌細胞株 (HCT116、Huh7) の皮下腫瘍および肝転移の増殖が有意に抑制された (Fig. 2F, G)。これらの結果は、NETsの阻害が様々な腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖を遅らせることを示している。

腫瘍微小環境におけるNETsとミトコンドリア生合成の相関: WTマウスの腫瘍組織では好中球浸潤とNETsが豊富に認められたが、PAD4-KO腫瘍ではこれらが著しく減少していた (Fig. 3A)。WTマウスの増殖腫瘍ではcit-H3が検出され、腫瘍増殖とともに増加した (Fig. 3B)。血清MPO-DNAレベルも腫瘍増殖と並行して増加した (Fig. 3C)。in vitro実験では、低酸素状態の癌細胞 (MC38、HCT116) からの培養培地が、マウスおよびヒト好中球の遊走を促進し、NETs形成を誘導することが示された (Supplementary Fig. S1B, D, E)。このNETs形成は、低酸素癌細胞から放出される高移動度群ボックス1 (HMGB1) によって媒介され、抗HMGB1抗体によって有意に抑制された (Fig. 3D, E; Supplementary Fig. S1C)。ヒトCRLM組織では、隣接する正常肝組織と比較して、ミトコンドリアタンパク質トランスロカーゼTOM20、PGC1α、NRF1、TFAMの発現が著しく増加しており、ヒト腫瘍におけるミトコンドリア生合成の亢進を示唆した (Fig. 4H, I)。

NETsによる癌細胞のミトコンドリア機能と生合成の直接的な変化 (in vitro): NETs培地で処理された癌細胞 (MC38、HCT116、Hepa1-6、Huh7) では、ミトコンドリア生合成関連遺伝子 (PGC1α、NRF1、TFAM) の発現が有意に上昇した (Fig. 5A)。電子顕微鏡およびMitotracker Red染色により、NETs処理細胞ではミトコンドリア数およびミトコンドリア密度が増加していることが確認された (Fig. 5B, C; Supplementary Fig. S2E)。また、mtDNAコピー数 (Fig. 5D) および細胞内ATPレベル (Fig. 5E) も増加した。テトラメチルローダミンエチルエステル (TMRE) を用いたフローサイトメトリー解析では、NETs処理によりミトコンドリア膜電位が低下した細胞の割合が増加した (Fig. 5F)。Seahorseアナライザーによる酸素消費速度 (OCR) 測定では、NETs処理癌細胞でミトコンドリア呼吸が有意に亢進していることが示された (Fig. 5G)。これは、NETs処理により基礎呼吸が約1.5-fold増加し、非ミトコンドリア呼吸阻害後も約2-foldの増加が見られたことによる (p<0.01)。これらの結果は、NETsが癌細胞のミトコンドリア生合成を介して直接的に酸化的リン酸化を促進し、そのバイオエナジェティクスを制御することを示唆している。

NETsによるミトコンドリア恒常性とダイナミクス (分裂、融合、マイトファジー) の維持: NETs処理により、癌細胞におけるミトコンドリア分裂タンパク質DRP1および融合タンパク質MFN2の発現が有意に増加した (Fig. 6A)。in vivoでは、PAD4-KO腫瘍組織でDRP1およびMFN2の発現がWT腫瘍と比較して低下していた (Fig. 6B)。ヒト肝細胞癌 (HCC) およびCRLM組織でも、隣接する正常肝組織と比較して、分裂・融合マーカーの発現が上昇していた (Fig. 6C)。さらに、NETs処理癌細胞では、マイトファジー関連タンパク質PINK1およびParkinのレベルも上昇しており (Fig. 6D)、PAD4-KO腫瘍ではこれらの発現が低下していた (Fig. 6E)。これは、NETsがミトコンドリアの品質管理を促進し、細胞のアポトーシスを抑制することを示唆している。

NETsから放出されるNEがTLR4-p38-PGC1α経路を介してミトコンドリア生合成を誘導: 組換えNEをin vitroでMC38細胞に処理すると、用量依存的にPGC1αの発現が増加した (Fig. 7A)。NETsまたは組換えNEは、PGC1α、NRF1、TFAMの発現を誘導したが、NE阻害剤の添加によりこの効果は有意に抑制された (Fig. 7B)。NEは細胞表面受容体TLR4に結合することが知られており、TLR4は結腸直腸癌および肝細胞癌細胞の両方に発現している。TLR4 siRNAによるトランスフェクションまたはTLR4アンタゴニストEritoranの処理により、NETs誘発性PGC1α上昇とp38 MAPK経路の活性化が有意に抑制された (Fig. 7C, D; Supplementary Fig. S3A, B)。TLR4の枯渇またはNE抗体の添加は、癌細胞のミトコンドリア密度を低下させ (Fig. 7E; Supplementary Fig. S3C)、NETsによる癌細胞増殖の促進もTLR4欠損細胞またはNE阻害剤/Eritoranの添加により観察されなかった (Fig. 7F; Supplementary Fig. S3D, E)。例えば、NETs処理によりMC38細胞の増殖が約1.8-fold増加したが、TLR4欠損細胞ではこの増加は認められなかった (p<0.01)。これらの結果は、NETsから放出されるNEがTLR4-p38-PGC1α経路を介して癌細胞のミトコンドリア生合成と増殖を誘導することを示唆している。

考察/結論

本研究は、NETsが転移促進や免疫回避に加えて、腫瘍細胞の代謝プログラムを直接的に書き換え、エネルギー産生を増強するという新規の機能を持つことを解明した。特に、「好中球エラスターゼ (NE) -TLR4 (Toll-like receptor 4) -p38-PGC1α」という分子軸が、腫瘍代謝とNETsを結びつける新規経路として確立されたことは、本研究で初めて示された重要な知見である。

先行研究との違い: 先行研究 Tohme et al. CancerRes 2016 では、NETsが転移巣の捕捉と増殖を促進することが示されたが、本研究はその機序をミトコンドリア生合成という代謝レベルで詳細に解明した点で重要な進展である。これまでの研究では、NETsが休眠状態の癌細胞を覚醒させるメカニズムがNEとMMP9プロテアーゼを介したラミニンリモデリングによるものであると報告された Albrengues et al. Science 2018 が、本研究はNETs成分が癌細胞に直接作用し、代謝を変化させることを示した点で、これまでとは異なる新規性を持つ。低酸素・栄養不足という過酷なTMEでも腫瘍細胞が増殖を継続できる理由の一部が、NETs依存的なPGC1α活性化によって腫瘍細胞に付与されるエネルギー的優位性であることが示唆された。

新規性: 本研究で初めて、NETsが癌細胞のミトコンドリア生合成とATP産生を直接的に亢進させ、腫瘍増殖を促進するメカニズムを、NE-TLR4-p38-PGC1α軸を介して詳細に解明した。この経路は、腫瘍微小環境におけるNETsの新たな役割を提示するものであり、これまで報告されていない知見である。

臨床応用: 本知見は、術前MPO-DNA測定が予後バイオマーカーとして有用であるとともに (HR=2.13)、NE阻害剤 (シベレスタットの癌への転用) やデオキシリボヌクレアーゼ (DNase) I、PAD4阻害剤が腫瘍代謝を抑制する補助治療となりうる可能性を示唆する。これらの標的は、癌の進行を阻止するための有望な治療戦略となる可能性がある。特に、DNase Iは嚢胞性線維症の治療薬としてFDAに承認されており、NETsを標的とした癌治療薬としての転用可能性が期待される。これらの治療法は、癌の進展を遅らせることで、臨床現場での患者の予後改善に貢献する可能性がある。

残された課題: 今後の検討課題として、NE以外のNET成分 (ヒストン、MPO、DNA) がTLR4以外の経路でどのように腫瘍代謝に影響するか、およびヒトでの因果関係のさらなる確認が必要である。また、ミトコンドリアを標的とした治療戦略は、正常細胞の生存にもミトコンドリアATP産生が不可欠であるため、治療域が限定される可能性があるというlimitationがある。癌細胞がミトコンドリアATP産生阻害剤を選択的に取り込むか、または免疫細胞を温存しつつ癌細胞を標的とする洗練された治療アプローチの開発が今後の検討課題である。

方法

患者コホートと臨床データ解析: 2010年から2016年の間にピッツバーグ大学医療センターで結腸直腸肝転移 (CRLM) の肝切除術を受けた患者27名を対象とした。術前1ヶ月以内に採取された血清サンプルを用いてMPO-DNA複合体レベルを定量し、健常対照群の血清と比較した。切除された腫瘍組織と隣接する正常肝組織は、盲検下の病理医によって組織病理学的に評価された。電子カルテのデータを用いて、無病生存期間 (DFS) と全生存期間 (OS) を決定した。MPO-DNA複合体レベルを中央値で二分し、カテゴリー変数にはカイ二乗検定またはフィッシャーの正確検定を、連続変数にはスチューデントのt検定またはウィルコクソン順位和検定を用いてベースライン特性を比較した。生存曲線はカプラン・マイヤー推定量を用いてプロットし、ログランク検定で比較した。多変量コックス比例ハザードモデルを用いて、年齢、腫瘍数、最大病変径、CEAレベルなどの既知の予後因子を調整した上で、MPO-DNAレベルと生存との関連を評価した。

動物モデルと腫瘍モデル: オスの野生型 (WT) C57BL/6マウスおよび無胸腺ヌードマウス (Nu/J、8週齢) はJackson Immuno-Research Laboratoriesから購入した。ペプチジルアルギニンデイミナーゼIV型ノックアウト (PAD4-/-) マウスはScripps Universityから提供された。動物実験プロトコルはピッツバーグ大学の動物管理使用委員会によって承認された。皮下腫瘍モデルでは、癌細胞 (1x10^6 cells/injection) を皮下注射し、毎週腫瘍サイズを測定した。肝転移は既報の方法 (Tohme et al. CancerRes 2016) に従って誘導した。WTおよびヌードマウスの治療群には、デオキシリボヌクレアーゼ-1 (DNase-1、50 μg/mouse、Roche) または好中球エラスターゼ阻害剤 (NEi、2 mg/kg、GW311616 MCE) を毎日腹腔内投与した。

NETsの単離と細胞処理: 単離した好中球をホルボール-12-ミリスタート-13-アセテート (PMA) で処理し、4時間後に回収した。細胞を480gで10分間遠心分離し、上清 (NETsリッチ培地) を18,000gで15分間遠心分離してペレットを形成した。得られたペレットはクロマチンとタンパク質の混合物を含み、これを細胞培養培地に再懸濁して癌細胞の処理に用いた。

in vivo腫瘍組織解析: PAD4-/-マウスおよびWTマウスから3週間後に採取した腫瘍組織を、好中球 (Ly6G) およびNET (citH3) マーカーで免疫蛍光染色した。細胞増殖 (Ki67)、アポトーシス (TUNEL)、酸化ストレス (4-HNE)、ミトコンドリア機能および密度 (TOM20) のIHCマーカーを比較した。PAD4-KO腫瘍組織では、PGC1α、TFAM、NRF-1などのミトコンドリア生合成関連タンパク質の発現、ミトコンドリアDNA量、ATP産生、NADH-ユビキノン酸化還元酵素鎖1 (ND1) およびシクロオキシゲナーゼ3の発現を評価した。

in vitro癌細胞解析: ヒト癌細胞株 (HCT116、Huh7) およびマウス癌細胞株 (MC38、Hepa1-6) をNETs培地で処理し、ミトコンドリア密度 (Mitotracker Red染色、電子顕微鏡)、mtDNA量 (リアルタイムPCR)、ATP産生、細胞内ROSの変化を測定した。海馬ホースシューベンチ (Seahorse XF96アナライザー) を用いて、酸素消費速度 (OCR) を測定し、ミトコンドリア呼吸能を評価した。ミトコンドリア分裂融合タンパク質 (DRP-1、MFN-2) およびマイトファジー関連タンパク質 (PINK1、Parkin) の発現を免疫蛍光染色およびウェスタンブロットで解析した。TLR4阻害剤 (TAK-242またはEritoran) およびNE阻害剤を用いたシグナル遮断実験を行い、NETs誘発性PGC1α上昇とミトコンドリア生合成への影響を評価した。TLR4 siRNAによるMC38およびHepa1-6細胞のトランスフェクションも実施した。

統計解析: 動物実験では、結果は平均±SEMまたは平均±SDで表した。群間比較には一元配置ANOVAとTukeyのHSD事後検定、およびスチューデントのt検定を用いた。ヒト被験者のデータ解析では、MPO-DNA複合体レベルを中央値で二分し、カイ二乗検定またはフィッシャーの正確検定をカテゴリー変数に、スチューデントのt検定またはウィルコクソン順位和検定を連続変数に用いてベースライン特性を比較した。生存解析にはカプラン・マイヤー推定量とログランク検定を用いた。多変量解析にはコックス比例ハザードモデルを用いた。すべての解析において、両側P値が0.05未満を有意とみなした。