- 著者: Cecilia Ruscitti, Joan Abinet, Pauline Maréchal, Margot Meunier, Constance de Meeûs, Joey Schyns, Qiang Bai, Pierre Lemaire, Domien Vanneste, Dimitri Pirottin, Bernard Duysinx, Renaud Louis, Didier Cataldo, Michael Frère, Bénédicte Machiels, Coraline Radermecker, Thomas Marichal
- Corresponding author: Coraline Radermecker (c.radermecker@uliege.be); Thomas Marichal (t.marichal@uliege.be) (University of Liège, GIGA Institute, Immunophysiology Laboratory, Liège, Belgium)
- 雑誌: Science Immunology
- 発行年: 2024
- Epub日: 2024-08-02
- Article種別: Original Article
- PMID: 39093958
背景
急性肺損傷 (ARDS) は、インフルエンザAウイルス (IAV) 感染、SARS-CoV-2によるCOVID-19、特発性肺線維症 (IPF) など、様々な原因によって引き起こされる重篤な病態である。これらの疾患では、肺胞上皮細胞、特に肺胞II型上皮細胞 (AT2細胞) および肺胞I型上皮細胞 (AT1細胞) の損傷が主要な病態生理学的特徴となる。肺胞の適切な修復応答は、ガス交換機能の維持と生命維持に不可欠であり、AT2細胞の増殖とAT1細胞への分化が肺修復の鍵となることが知られている (Barkauskas et al. 2013 J Clin Invest)。
マクロファージは肺の免疫応答と組織修復において重要な役割を果たすが、その機能は多様であり、肺胞マクロファージ (AM)、間質マクロファージ (IM)、単球由来マクロファージ (Mo-Mac) など、異なるサブセットが存在し、それぞれが異なる機能を持つことが報告されている (Misharin et al. 2017 J Exp Med, Aegerter et al. Immunity 2022)。しかし、肺胞再生を積極的に促進するリペア特化型マクロファージサブセットの同定は未だ不完全であり、その詳細な発生由来、機能、および分子メカニズムは未解明な部分が多い。特に、単球由来マクロファージ (Mo-Macs) は、炎症の制御不全や疾患進行の要因として認識されることが多いが、その異質性と組織微小環境に応じた機能的可塑性が近年注目されている。
Ly6Gは従来、好中球特異的なマーカーとして認識されており、多くの研究ではLy6G陽性細胞は好中球としてゲートアウトされてきた。しかし、Ly6G陽性マクロファージの存在とその機能については、これまで十分に確立されていなかった。このため、肺損傷後の肺胞再生を促進する特異的なマクロファージサブセットの同定には、シングルセルRNAシーケンス (scRNA-seq) などの高解像度解析技術を用いた詳細な解析が必須であった。本研究は、IAV感染、ブレオマイシン誘発性肺損傷、アセトアミノフェン誘発性肝損傷モデル、およびヒト肺炎患者の検体を用いて、Ly6G陽性マクロファージの動態と機能を詳細に解析し、この知識ギャップを埋めることを目指した。特に、組織損傷後の肺胞再生における免疫細胞と上皮細胞間のクロストークの理解は、治療戦略開発において不足している側面であった。本研究は、Ballesteros et al. Cell 2020が示した好中球の運命決定における組織環境の重要性や、Sabatel et al. Immunity 2017が報告した肺間質マクロファージの免疫調節機能に関する知見をさらに発展させるものである。
目的
本研究は、IAV感染後の肺損傷モデルを用いて、新規のリペア促進性骨髄系細胞サブセットを同定し、その発生由来、特徴、および肺胞再生における機能を詳細に解明することを目的とした。具体的には、以下の点を明らかにする。
- IAV誘発性肺損傷後の肺において、scRNA-seq解析により新規の骨髄系細胞サブセットを同定し、その遺伝子シグネチャーを特徴付ける。
- 同定されたLy6G+ CD64+マクロファージ (Ly6G+ Macs) の発生由来を、系統追跡マウス (Ms4a3-tdTom, Cx3cr1-GFP) および骨髄キメラマウスを用いて解明する。
- Ly6C+単球から中間型単球 (iMo) を経由してLy6G+ Macsへと分化する軌跡をscRNA-seqデータから解析し、その分化におけるGM-CSFおよびインターロイキン-4受容体 (IL-4R) シグナル、転写因子Maf/Mafbの依存性を評価する。
- Ly6G+ Macsの肺胞上皮細胞 (AT2細胞) に対する修復促進機能を、AT2オルガノイド共培養系およびin vivoでの養子移入実験により検証する。
- Ly6G+ Macsが他の臓器損傷モデル (ブレオマイシン誘発性肺損傷、アセトアミノフェン誘発性肝損傷) およびヒト肺炎患者の気管支肺胞洗浄液 (BALF) や肺組織においても存在するかを検証し、その臓器横断的な保存性を評価する。
- Ly6G+ MacsがAT2細胞の創傷治癒を直接促進する可溶性因子を放出するかをin vitroで解析する。
これらの目的を達成することで、肺損傷後の肺胞再生における免疫細胞と上皮細胞間のクロストークの新たなパラダイムを提示し、将来的な治療標的の同定に貢献することを目指す。
結果
Ly6G+ マクロファージのscRNA-seqによる同定と遺伝子シグネチャー: IAV感染後10日目の肺のscRNA-seq解析により、Ly6G+ CD11b+ CD64+の表現型を持つ新規の骨髄系細胞クラスターが同定された。この細胞集団は、Ly6Gタンパク質および遺伝子を共に発現するが、好中球の主要マーカーであるS100a8/9、Mmp9、およびカテリシジンは欠如しており、非典型的なマクロファージであることが示唆された。Ly6G+ MacsはArg1、Spp1 (オステオポンチン)、Ccl2、Ccl7、Ctsb (カテプシンB)、Chi3l3、IL-13受容体などの組織修復関連遺伝子を高発現していた (Fig. 2D)。これらのLy6G+ MacsはIAV感染ピーク後の回復期 (IAV day 5-7) に出現し、感染後2週間で消失する短命な細胞集団であることが示された (Fig. 1D)。Arg-1とオステオポンチンの細胞内発現は、IAV感染後10日目のLy6G+ Macsに特異的に認められた (Fig. 2E, F)。
発生由来: Ccr2依存的な単球由来およびiMo中間体: Ms4a3-Cre-tdTomato系統追跡マウス (n=3-4 mice) を用いた実験により、Ly6G+ Macsの90%以上が顆粒球-単球系前駆細胞 (GMP) 由来であることが確認され、古典的Ly6C+単球に由来することが示された (Fig. 3C, D)。Ccr2欠損マウスではIAV感染後のLy6G+ Macsが著しく減少し、単球のリクルートメントに依存することが示された (Fig. 3E, F)。scTour軌跡解析により、Ly6C+単球から中間型単球 (iMo) を経てLy6G+ Macsへと分化する段階的な軌跡が可視化された (Fig. 3A, B)。さらに、GM-CSFおよびIL-4刺激によりex vivoで骨髄単球からLy6G発現が誘導可能であり、サイトカインによる分化制御が示唆された (Fig. 3I, J)。Ly6G+ Macsは活発な増殖を示さず (Fig. S3A-C)、短命な細胞集団であることが示された (Fig. 3G, H)。GM-CSF受容体α鎖 (Csf2ra) 欠損骨髄キメラマウス (n=10 mice) を用いた実験では、Ly6G+ Macsの生成およびArg-1発現が部分的にGM-CSF受容体シグナルに依存することが示された (Fig. 3M-O)。
Ly6G+ Macsの代謝・貪食能と空間的局在: Ly6G+ Macsは、腎臓型の核、微絨毛に富む膜、分泌顆粒、粗面小胞体、ゴルジ体、リソソーム、オートファジー空胞に富む細胞質を持つ、非典型的な超微細構造を示した (Fig. 4B)。遺伝子セット濃縮解析 (GSEA) により、Ly6G+ Macsはインターフェロンγ応答、サイトカイン応答、走化性およびウイルスプロセス、活発な代謝状態、発達したエンドメンブレンシステム、および高い貪食能を示すことが示された (Fig. 4A)。代謝フラックスアッセイでは、Ly6G+ MacsはIM-like細胞と比較して高い解糖系活性 (ECAR) およびミトコンドリア代謝潜在能力 (OCR) を示した (Fig. 4C-E)。ECARはLy6G+ Macsでベースラインおよびストレス下でIM-like細胞よりも有意に高く (p<0.01)、OCRもストレス下でLy6G+ Macsで有意に高かった (p<0.0001)。また、Ly6G+ Macsは好中球や他のマクロファージサブセットと比較して高い貪食能を有することが確認された (Fig. 4F, G)。空間トランスクリプトミクス解析 (GeoMx DSP) および共焦点顕微鏡観察により、Ly6G+ Macsは肺胞損傷周囲領域 (perilesional area) に集積し、AT2細胞と物理的に近接していることが示された (Fig. 5A, H)。これらの領域は、AT2細胞の増殖と分化に関与するプライミングされたAT2細胞および損傷関連一過性前駆細胞 (DATPs) に富むことが示され、Ly6G+ Macsが肺胞再生の活発な部位に局在することが示唆された (Fig. 5E, G)。Ly6G+ MacスコアはプライミングされたAT2細胞およびDATPsのスコアと正の相関を示した (Pearson r > 0.6, p<0.001)。
Maf/Mafb欠損によるLy6G+ Macの消失とリペア障害: 骨髄系細胞特異的MafおよびMafb欠損マウス (Maf/Mafb MyeloKOマウス、n=6-7 mice) では、IAV感染後のLy6G+ Macsが著しく消失した (80%以上の減少、p<0.001) (Fig. 6E)。このマウスでは、IAV感染後の体重減少が悪化し (Fig. 6G)、AT2細胞の増殖およびAT1細胞への分化が障害され、肺胞の異形成修復と気管支化が観察された (Fig. 6H-L)。野生型Ly6G+ MacsのMaf/Mafb MyeloKOマウスへの養子移入により、体重回復が改善し、AT2細胞数が回復した (Fig. 6M, N)。これらの結果は、Ly6G+ Macsが正常な肺胞上皮再生に不可欠な役割を果たすことを示している。
IL-4Rシグナルを介したAT2細胞修復促進機能: 空間トランスクリプトミクスデータを用いた解析により、Ly6G+ Macに富む周囲病変領域がタイプ2免疫応答のシグネチャーを最も高く示すことが明らかになった (Fig. 7A)。Ly6G+ MacsはIL-4受容体α鎖 (IL-4Rα) を高発現しており (Fig. 7B, C)、IL-4Rα欠損骨髄キメラマウスではLy6G+ Macsの生成およびArg-1発現が障害された (Fig. 7D-F)。IL-4Rα欠損骨髄細胞で再構築されたマウス (n=6 mice) では、IAV感染後の回復が障害された (Fig. 7G)。in vitroでのAT2細胞 (MLE-12細胞株) との共培養実験では、Ly6G+ MacsがAT2細胞の増殖と創傷治癒を直接促進することが示された (Fig. 7H)。IL-4/IL-13刺激後のLy6G+ Macsの培養上清は、AT2細胞の創傷治癒を促進し、CCL5, CXCL16, CCL12, CXCL10, TNFα, IL-10, IL-1α, オステオポンチンなどの多様な可溶性因子を放出することがプロテオーム解析により明らかになった (Fig. 7I-K)。これらの因子の一部はIL-4R活性化により増加した。
臓器横断的な損傷応答とヒトにおける類似細胞の存在: ブレオマイシン誘発性肺損傷モデルおよびアセトアミノフェン誘発性肝損傷モデルにおいても、Ly6G+ Macsが出現することが確認された (Fig. 8A-I)。これらのモデルでは、Ly6G+ Macsのピークが組織損傷の指標と相関していた。ヒト肺炎患者7名のBALF細胞のscRNA-seq解析では、マウスLy6G+ Macsと類似するMo-Macシグネチャー (ARG1, SPP1, CCL2, CTSB) を持つ細胞クラスター (C9) が検出された (Fig. 8J-M)。SCENIC解析により、このMo-MacクラスターではMAFおよびMAFBの活性が高いことが予測され、マウスLy6G+ Macsとの転写レベルでの類似性が示唆された (Fig. 8N)。これらの結果は、Ly6G+ Macsが臓器や原因を問わず、組織損傷に対する保存された応答の一部であることを示唆している。
考察/結論
本研究は、IAV感染後の肺損傷において、Ly6G+ CD64+マクロファージ (Ly6G+ Macs) という新規の非典型的なマクロファージサブセットが、肺胞再生に不可欠な役割を果たすことを初めて明らかにした。Ly6G+ MacsはCcr2依存的に単球から動員され、中間型単球 (iMo) を経て分化し、GM-CSFおよびIL-4Rシグナル、そして転写因子Maf/Mafbに部分的に依存してそのアイデンティティと機能を獲得することが示された。
先行研究との違い: これまでの研究では、Ly6Gは好中球特異的マーカーと広く認識されており、Ly6G+マクロファージの存在や機能はほとんど報告されていなかった。多くのフローサイトメトリー解析では、Ly6G陽性細胞は好中球として除外されてきたため、本研究で同定されたLy6G+ Macsはこれまで見過ごされてきた細胞集団である。本研究は、Ly6Gが単球由来マクロファージによっても能動的に発現され、GM-CSF刺激によってその発現が誘導されることを示し、従来のLy6Gの認識とは異なる新たな知見を提供した。また、Ly6G+ Macsが単に炎症性細胞として機能するだけでなく、積極的に組織修復を促進する役割を持つことは、Mo-Macsの機能的多様性に関するこれまでの理解を深めるものである。
新規性: 本研究で初めて、Ly6G+ Macsが肺胞周囲の損傷領域に特異的に局在し、AT2細胞の増殖とAT1細胞への分化を促進することで、肺胞の正常な再上皮化を誘導する「リペアライセンサー」として機能することを実証した。特に、Maf/Mafb転写因子がLy6G+ Macsの分化に必須であり、その欠損が肺胞の異形成修復と気管支化を引き起こすという発見は新規性が高い。さらに、Ly6G+ MacsがIL-4Rシグナルを介してCCL5、CXCL16、CCL12、CXCL10、TNFα、IL-10、IL-1α、オステオポンチンなどの多様な可溶性因子を放出し、AT2細胞の創傷治癒を直接促進するというメカニズムを解明した点も新規である。これらの知見は、肺胞再生がAT2細胞の自律的なプロセスだけでなく、骨髄系細胞と上皮細胞間の密接なクロストークによって構築されるというパラダイムシフトを示唆する。
臨床応用: 本研究の知見は、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)、重症COVID-19、特発性肺線維症 (IPF) など、肺損傷を伴う疾患の治療戦略開発に重要な臨床的含意を持つ。Ly6G+ Macsの機能がGM-CSFおよびIL-4Rシグナルに依存することから、GM-CSF吸入療法 (例: サルグラモスチム) が重症COVID-19患者の肺胞再生を促進するメカニズム的基盤を提供する可能性がある。また、Ly6G+ Macsの養子移入による細胞療法や、Maf/Mafb転写因子を標的とした薬剤開発は、IPFや放射線性肺炎などの線維化性肺疾患における再生促進療法の新たな候補となる。さらに、Ly6G+ Macsがブレオマイシン誘発性肺損傷やアセトアミノフェン誘発性肝損傷でも出現し、ヒト肺炎患者のBALFでも類似のMo-Macシグネチャーが検出されたことから、臓器横断的な組織損傷修復促進療法への拡大も期待される。
残された課題: 今後の検討課題として、まずマウスLy6Gとヒトの対応マーカーの特定が必要である。ヒトにはLy6Gが存在しないため、LY75、CEACAM1、S100A9などのLy6G様マーカーの検討が求められる。また、Ly6G+ Macsの最適な移入量、投与時期、およびプロトコールの確立、ならびに過剰なLy6G+ Macsが線維化を悪化させる可能性の評価と治療域の特定が必要である。炎症消退期におけるLy6G+ Macsの動態や、レゾルビンやプロテクチンなどの脂質メディエーターの関与も未解明である。ヒト肺Mo-Macの機能検証 (ex vivo AT2共培養など) や、COPD、喘息、慢性肺疾患におけるLy6G+ Macsの欠損とリペア不全との関連性も今後の研究で明らかにする必要がある。本研究は、Aegerter et al. Immunity 2022やBallesteros et al. Cell 2020などの先行研究が示したマクロファージの不均一性や単球由来マクロファージの分化に関する知見に、Ly6G+ Macsという新たなプロ再生性サブセットの概念を加え、肺免疫学および再生医療分野における重要な貢献となる。
方法
動物モデル: C57BL/6野生型マウスに加え、単球由来細胞の系統追跡のためにMs4a3-Cre-tdTomatoマウスおよびCx3cr1-GFPマウスを使用した。また、骨髄系細胞特異的なMafおよびMafbの条件付き欠損マウス (Maf^flox Mafb^flox × Lyz2-Cre) を作製し、Ly6G+ Macsの分化におけるこれらの転写因子の役割を評価した。GM-CSF受容体α鎖 (Csf2ra) およびインターロイキン-4受容体α鎖 (Il4ra) の欠損マウスも、骨髄キメラ実験に用いた。これらのマウスはすべて特定病原体フリー (SPF) 環境下で飼育された。
肺損傷モデル: IAV (H1N1 PR8株、5 PFU) を経鼻投与し、ウイルス誘発性肺損傷モデルを確立した。非感染性肺損傷モデルとして、ブレオマイシン (0.06 IU) を気管内投与した。さらに、アセトアミノフェン (300 mg/kg) を腹腔内投与し、急性肝損傷モデルを誘導した。
シングルセルRNAシーケンス (scRNA-seq) および空間トランスクリプトミクス: IAV感染後10日目の肺からCD45+ F4/80+ および/またはCD11b+細胞をFACSソーティングし、10x Genomics Chromiumプラットフォームを用いてscRNA-seq解析を実施した。データは、既存の肺単球およびIMのデータセットと統合し、UMAPプロットおよびSlingshot軌跡解析により細胞の分化経路を推定した。空間トランスクリプトミクスにはGeoMx Digital Spatial Profiler (DSP) を用い、IAV感染肺組織切片の関心領域 (ROI) における遺伝子発現プロファイルを解析した。
フローサイトメトリーおよび細胞ソーティング: 肺組織から単一細胞懸濁液を調製し、Ly6G, CD64, Ly6C, CD11b, CD11c, F4/80, SiglecF, MerTK, CXCR4, MHC-II, CD101, CD319, Arg-1, SPP1, c-Maf, MafB, IL-4Rαなどの表面および細胞内マーカーを用いてフローサイトメトリー解析を行った。Ly6G+ Macsを含む特定の細胞集団は、FACS Aria IIIまたはSony MA900を用いてソーティングした。細胞増殖はEdU取り込み、細胞死はAnnexin V/PI染色で評価した。
電子顕微鏡解析: FACSソーティングされたLy6G+ Macsおよび肺組織を透過型電子顕微鏡 (TEM) で観察し、細胞の超微細構造を解析した。
代謝フラックス解析: Seahorse XF Cell Mito Stress Testを用いて、Ly6G+ Macs、好中球、IM-like細胞の細胞外酸性化率 (ECAR) および酸素消費率 (OCR) を測定し、解糖系およびミトコンドリア代謝活性を評価した。
AT2オルガノイド共培養および創傷治癒アッセイ: Sftpc-CreER × R26-tdTomatoマウスから単離したAT2細胞を用いてオルガノイドを形成させ、Ly6G+ Macsとの共培養によりAT2細胞の増殖およびAT1細胞への分化 (Hopx, AGER発現) を評価した。マウス肺上皮細胞株MLE-12を用いたスクラッチアッセイにより、Ly6G+ Macsまたはその培養上清がAT2細胞の創傷治癒に与える影響を評価した。培養上清のプロテオーム解析も実施した。
養子移入実験: IAV感染後のMaf/Mafb MyeloKOマウスに、野生型マウスから単離したLy6G+ Macsを気管内投与し、体重回復およびAT2細胞数への影響を評価した。
ヒト検体での検証: 肺炎が疑われる患者7名の気管支肺胞洗浄液 (BALF) 細胞をscRNA-seq解析し、マウスLy6G+ Macsと類似するMo-Macシグネチャーの存在を探索した。COVID-19およびIPF患者の肺組織における類似細胞の免疫組織化学的検出も行った。
統計解析: GraphPad Prism 9およびR Bioconductor (3.5.1) を用いて統計解析を実施した。群間の比較には、一元配置分散分析 (ANOVA) とDunnettの多重比較検定、二元配置分散分析 (ANOVA) とTukeyまたはŠídákの多重比較検定、Wilcoxon順位和検定、またはStudentのt検定を用いた。P値が0.05未満を有意とした。