• 著者: Jian-Rui Chen, Jing-Tong Zhao, Zhen-Zhen Xie
  • Corresponding author: Zhen-Zhen Xie (Experimental teaching center of Basic Medical College, Nanchang University, Nanchang, Jiangxi, China)
  • 雑誌: Biomedicine & Pharmacotherapy
  • 発行年: 2022
  • Epub日: 2022-09-28
  • Article種別: Review
  • PMID: 36182738

背景

インテグリンは、18種のαサブユニットと8種のβサブユニットの組み合わせから構成される24種のヘテロ二量体膜貫通糖タンパク質受容体ファミリーであり、細胞と細胞外マトリックス (ECM (extracellular matrix)) 間、および細胞間の接着・シグナル伝達を媒介する中心的な分子である。各インテグリンはαとβの各1サブユニットから成り、それぞれ膜貫通ドメインと細胞質テールを有し、双方向シグナル (inside-outおよびoutside-inシグナル伝達) を媒介する。inside-outシグナル伝達では、talinやkindlinが細胞質テールに結合してインテグリンを活性化状態へと移行させ、outside-inシグナル伝達では、ECMリガンドの結合がFAK (focal adhesion kinase) 経由でPI3K-AKT/PKBおよびMAPK経路を活性化し、細胞の増殖、移動、生存を制御する。これらのシグナル伝達は、細胞の生理機能、免疫調節、恒常性維持、創傷治癒において極めて重要であると報告されている。

これまでの先行研究において、αvβ3、αvβ5、α5β1を含む複数のインテグリンが癌の進行に関与することが確認されており、その異常発現や変異がシグナル経路の調節障害を介して癌細胞の増殖、浸潤、転移、血管新生を引き起こすことが示されている。また、癌関連線維芽細胞 (CAFs (cancer-associated fibroblasts)) との相互作用や腫瘍微小環境 (TME (tumor microenvironment)) 内でのインテグリン機能も、腫瘍促進に重要な役割を果たすことが指摘されている。しかしながら、これらのインテグリンを標的とした治療薬開発においては、多くの臨床試験が期待通りの成果を上げられずに失敗に終わっており、その背景にある分子的複雑性の理解が強く求められていた。特に、インテグリンの機能的冗長性や、腫瘍由来の細胞外小胞 (EVs (extracellular vesicles)) を介したインテグリンの水平伝播といった新たな知見が、従来のインテグリン阻害剤の治療効果を制限する要因として浮上している。

これまでの知見における知識ギャップとして、Stupp 2014、Alva 2012、Gorden 2002などの先行研究では、インテグリンの機能的冗長性や、がん細胞由来のEVsによる水平伝播が治療抵抗性を駆動することが部分的に示唆されていたが、その詳細な克服戦略は未解明であった。さらに、これらの複雑なメカニズムがどのように癌種特異的に作用し、既存の治療失敗に繋がったのかについては依然として未解明な点が多く、包括的な分析が不足していた。本総説は、これまでの知見における「不足」している多角的な視点からインテグリン標的療法の課題を整理し、次世代の治療戦略を確立するために、包括的な分析を提供するものである。

目的

本総説は、インテグリンが癌の進行において果たす多面的な役割と、それに伴う細胞内シグナル経路への関与を詳細に整理・解説することを目的とする。具体的には、食道癌、乳癌、肺癌、胃癌、肝癌、大腸癌の代表的な6癌種における特定のインテグリンの異常発現と、それに紐づく分子シグナル回路を提示する。さらに、Cilengitide、CNTO 95 (Intetumumab)、Volociximab、ATN-161など、臨床試験段階に進んだ主要なインテグリン阻害剤の現状と治療成績を分析し、腫瘍側の多様性、インテグリン側の機能的冗長性、薬剤側の薬物動態学的問題、および臨床試験デザインの不備という4つの側面から治療失敗の要因を徹底的に解明する。最終的に、デュアルターゲット阻害剤、免疫療法との併用、アロステリック阻害剤、バイオマーカーの特定、および腫瘍由来EVsを標的とした新規アプローチなど、従来の治療抵抗性を克服するための革新的な次世代治療戦略を提唱し、臨床応用可能なインテグリン標的療法の開発に向けた強固な理論的基盤を提供することを目的とした。

結果

インテグリンシグナル経路の分子機構: インテグリンの活性化は2段階のプロセスで達成される。まずインテグリンがクラスター化して複合体を形成しリガンドとの結合効率を高め、次いで結合部位を完全に露出させる構造変化が起こる。活性化されたインテグリンは、FAK、Src、CAS (Crk-associated substrate)、Crkなどのアダプタータンパク質を介して、PI3K/AKT/mTOR経路とRAS/RAF/MEK/ERK (MAPK) 経路の双方を活性化する。これにより、下流の核転写因子 (c-Myc、c-Jun、c-Fos、SRF (serum response factor)、Elkなど) の活性化を通じて、細胞の生存、増殖、移動、浸潤に関わる遺伝子発現を調節する (Fig. 2)。加えて、CDC42 (cell division control protein 42 homolog) やRac1 (Ras-related C3 botulinum toxin substrate 1) などのRhoシグナル経路を介したアクチン骨格再構成、YAP/TAZシグナル経路を介した転写制御、Hedgehogシグナル経路との干渉も報告されている。

食道癌 (ESCC) におけるインテグリンの役割: α6インテグリンはESCC細胞で過剰発現し、miR-92bによる特異的標的化がPI3K/AKTシグナル経路を遮断することで細胞運動性を抑制する。α6β4インテグリンはESCCの主要な形式であり、α6サブユニットのノックダウンがβ4インテグリンの低下を伴って増殖・浸潤を抑制する。α7インテグリンは低分化、stemness (幹細胞性) 増強、リンパ節転移、化学療法耐性、予後不良と関連し、FAK/MAPKシグナルを通じて癌幹細胞 (CSC (cancer stem cell)) 特性を維持し、FAK/PI3K/AKTシグナルを通じてシトクロムcの細胞質への流出を阻害してアポトーシスを抑制する。α5インテグリンの過剰発現はシスプラチン耐性を増強し、FAK/PI3K/AKT経路を通じてBARD1 (BRCA1-associated RING domain protein 1)/BRCA1発現を促進してDNA損傷修復と増殖を維持する。β1インテグリンはFAK/Rac1経路を通じたリンパ節浸潤促進に加え、β1インテグリン遮断がシスプラチン耐性を解除することも示された。

乳癌におけるインテグリンの役割: α5β1インテグリンとフィブロネクチンの結合がMMP-9 (matrix metalloproteinase-9) 発現を上昇させてECM溶解・浸潤転移を促進し、α5β1高発現細胞は低発現細胞より強い浸潤能を示す。α6β1インテグリンはリンパ節転移巣で著増しており、乳癌の発達・転移に重要な役割を持つ。血小板と結合したα2β1インテグリンはWNT/β-cateninとTGFβ1/Smad3 (mothers against decapentaplegic homolog 3) 経路を刺激してMCF-7細胞の上皮間葉転換 (EMT (epithelial-mesenchymal transition)) を誘導する。α3β1インテグリンはFAK/Src経路活性化を介して細胞極性・移動・増殖・生存を制御し、プロスタグランジンE2産生を介した腫瘍血管新生・転移も促進する。β5インテグリンはFAK/Src複合体活性化とMEK/ERK経路を通じて乳癌の移動・増殖・血管新生に寄与し、αvβ6インテグリンはFAKとSrcを活性化してテナスシンC誘導EMTを引き起こす。αvβ3インテグリンはECMとの相互作用を介して内皮細胞増殖と毛細血管新芽形成を媒介することで乳癌血管新生を促進する。

肺癌 (NSCLC) におけるインテグリンの役割: TGFβ1がPI3K/AKTをリン酸化しIκBキナーゼα/βとNF-κBを活性化してβ1インテグリン発現を増加させ、肺癌細胞の移動を誘導する。Pyruvate Kinase M2がFAK/Src/MAPK経路をα2β1・α6β1インテグリンを介して活性化し転移を促進する。テトラスパニンCD151がα3β1インテグリンと複合体を形成してEGFRシグナルを通じたNSCLCの増殖・転移を促進する。α5β1インテグリンはCOX-2/PI3K/AKT/mTOR経路を介したcFN (cellular fibronectin) 誘導増殖・生存を促進し、α9β1インテグリンはcFN誘導EMTをAKTおよびERKのリン酸化を通じて媒介する。CAFs上のα11β1インテグリンは腫瘍間質のコラーゲン再構成と剛性増大を促進し、NSCLCの増殖・転移・高再発率と関連する。一方、H1299細胞を用いた実験において、α3インテグリンの阻害は逆にEGFR、CDKs、NF-κB、Bcl-2の上昇、およびAKTとERKの活性化を介して増殖・移動を促進し、腫瘍抑制と促進の文脈依存性を示す。

胃癌におけるインテグリンの役割: Lumicanがβ1インテグリン発現を誘導し、FAKリン酸化を通じた胃癌細胞の増殖・転移を促進する。Profilin-1の高発現がβ1インテグリンとFAKの活性化を促し、これをサイレンシングするとP38、MAPK、PI3K、AKT、mTOR下流因子の低下を介して胃癌進行が抑制される。Maspinがβ1インテグリン/FAKシグナルを遮断して腫瘍増殖・血管新生・EMTを抑制する。α2・α11インテグリンのノックダウンは、カスパーゼ-3介在アポトーシスによって増殖を抑制し、α2インテグリン遮断はアクチン・フィロポジア・ラメリポジア形成をRac1/CDC42経路の低下を介して阻害することで転移を防ぐ。

肝癌 (HCC) におけるインテグリンの役割: αvインテグリンの過剰発現がYAP/TAZの上流制御因子としてアクチンストレスファイバー形成とHCC浸潤に寄与する。αvβ3インテグリンはカテプシンとIL-8を介してPI3K/AKT活性化を促進し、HCCの増殖・アポトーシス抑制を媒介する。α7インテグリンはPTK2/PI3K/AKT経路を通じて増殖・アポトーシス・CSC特性を制御する。β1インテグリンの活性化がFAK/ERK1/2/NF-κB経路を介したHCC幹細胞性と増殖促進に関与する。Thrombospondin 4とβ1インテグリンの結合がFAK/PI3K/AKTを通じたHCC増殖・転移を媒介し、ADAM17がβ1インテグリン/Notchシグナルを活性化してFAK・AKTリン酸化とMMP-2/9発現を増強する。SPON2はα4β1インテグリンを通じてRhoAとRac1を活性化し、LATS1リン酸化抑制を介したYAP核移行を促進してM1様マクロファージリクルートとHCC転移を誘導する。注目すべきことに、β1インテグリンの過剰発現は逆にp21/CIP1を上昇させて細胞増殖を阻害するという腫瘍抑制的役割も報告されており、インテグリンの文脈依存的な双方向性が示された。

大腸癌 (CRC) におけるインテグリンの役割: β1インテグリンとラミニン5γ2の相互作用がFAK/PI3K経路を介してYAP/TAZ核移行とEMT・腫瘍出芽 (TB (tumor budding)) を引き起こし、CRCの予後不良と関連する。α2β1インテグリンの高発現はPI3K/AKT/Snail経路によって誘導されCRC転移を促進し、α5β1インテグリンがα2β1発現・活性を制御して肝転移を増強する。Periostinがα5β1またはα6β4インテグリン/PI3K/AKT経路を通じてEMTとCRC移動を促進する。αvβ6インテグリンはTGFβを潜在型から活性型に変換して線維芽細胞活性化を促進し、CRC浸潤を増強する。また、高密度マトリックスの形成とMMP-9分泌促進を介した浸潤増強も報告されている。IL-6がβ6インテグリン発現を誘導し、IL-6R/STAT-3経路を通じてCRC浸潤・EMTに関与する。一方、β7インテグリンの高発現は腸管リンパ組織への免疫細胞ホーミングに関与し、細胞傷害性免疫細胞浸潤増強・体細胞コピー数変動減少・APC/p53変異減少・免疫療法応答性改善という予後良好な特徴と関連することが示された。

臨床試験段階のインテグリン阻害剤: 10種の代表的なインテグリン阻害剤の臨床開発状況を整理した (Table 2)。Cilengitide (αvβ3/αvβ5阻害) はPhase I/IIで安全性・忍容性が確認されたが、新規診断グリオブラストーマに対するPhase III試験 (テモゾロミド化学放射線療法との併用、CENTRIC試験) でPFS・OSの改善がみられず失敗に終わった。CNTO 95 (Intetumumab、αv全種阻害、全ヒト型抗体) はPhase IでAdvanced固形腫瘍への安全性を示し、乳癌モデルで細胞接着・浸潤阻害と抗転移効果を示したが、メラノーマ・前立腺癌のPhase IIではCNTO 95単独および化学療法との併用でPFS・OS改善は認められなかった。Volociximab (M200、α5β1キメラIgG4抗体) はPhase Iで安全性を確認し、メラノーマ・卵巣癌・膵癌・腎細胞癌・NSCLCに対するPhase IIで有意な効果と忍容性を示した。ただし、プラチナ耐性進行上皮性卵巣癌へのPhase II単剤療法では改善が認められなかった。ATN-161 (Ac-PHSCN-NH2、α5β1ペプチド阻害剤) はFibronectin-α5β1相互作用遮断を介して血管新生を阻害し、大腸癌・乳癌で腫瘍増殖・転移抑制効果が示された。しかし、Phase Iで固形腫瘍への腫瘍退縮効果は認められず、CRC肝転移モデルでATN-161単剤の癌細胞増殖・転移抑制効果は不十分であった。

臨床的失敗の原因と新解決策: インテグリン阻害剤の臨床的失敗は4つの側面 (腫瘍、インテグリン、薬剤、試験デザイン) から分析された (Fig. 4)。腫瘍側では、高度な変異負荷と異常血管網による薬物輸送障害に加え、腫瘍由来EVsがαvβ3、αvβ6、α5β1などのインテグリンを受容体陰性細胞へ転移させることで、特定インテグリン阻害後も転移促進活性が持続するという機序が重要な問題として指摘された Hoshino et al. Nature 2015。インテグリン側では、機能的冗長性 (一細胞が複数型インテグリン発現) や、文脈依存的な腫瘍促進・抑制両方向性 (β1インテグリン阻害が増殖抑制と同時に浸潤転移を促進する場合など) が薬剤効果を複雑化させる。薬剤開発面では、薬物動態問題 (血中クリアランス速度・腫瘍への到達不全)、適切なバイオマーカーの欠如、単剤では十分な抗腫瘍効果が得にくい点が課題である。試験デザイン面では、低用量単剤と対照設定なし比較、混合患者集団での試験、前臨床動物モデルの限界 (免疫抑制モデルでTMEの免疫機能が正確に反映されない) が成績を過大評価させる要因となった。新しい解決策として提案されたアプローチは多岐にわたる。デュアルターゲットインテグリン阻害剤 (インテグリン遮断と免疫細胞活性化の組み合わせ、例:RGD認識ペプチド-IgG2a Fc-IL-2融合タンパク質によるCD8⁺ T細胞・NK細胞活性化)、インテグリン下流シグナル標的化 (talin、paxillin、FAK阻害剤など)、アロステリック型インテグリン阻害剤、LOX (lysyl oxidase) 阻害剤との併用、ECM成分 (ムチンなど) を介したインテグリンシグナル間接抑制、免疫チェックポイント阻害・養子T細胞療法・溶腫瘍免疫療法との統合、インテグリン特異的CAR-Tや光線力学療法とナノ粒子との組み合わせなどが挙げられた。患者層別化とバイオマーカー (特にインテグリン発現変化) の確立、厳密な前臨床モデルとリゴラスな試験デザインの改善も今後の必須課題とされた。

考察/結論

インテグリンは、FAK/PI3K-AKT/MAPK/YAP-TAZ/Hedgehogなどの多数の主要発癌シグナル経路を統合的に活性化する癌進行の中核ハブ受容体であることが、本総説の6癌種にわたる詳細な機序解析で改めて示された。各癌種でインテグリン依存的な特有のシグナル回路が作動しており、例えばNSCLCではCAFs上のα11β1が間質剛性増大を介した腫瘍促進を示し、CRCではβ7が逆に免疫療法応答性を高めるなど、癌種、サブタイプ、病期に応じたインテグリン機能の多様性が浮き彫りになった。

先行研究との違い: 本総説は、インテグリン阻害剤の臨床的失敗が、腫瘍の多様性、インテグリンの機能的冗長性、薬物動態の問題、および試験デザインの不備という多角的な要因に起因することを詳細に分析した点で、これまでの単一要因に焦点を当てた研究とは対照的である。特に、Cilengitideのグリオブラストーマに対するPhase III失敗という画期的な先行結果が、本総説の治療失敗分析の主要根拠となっている。

新規性: 本総説で初めて、腫瘍由来EVsがインテグリンを受容細胞に転移させてin vivoでのde novo合成を促進するという知見 Hoshino et al. Nature 2015 が、インテグリン阻害剤が意図した血管新生標的を消去しても代替経路で腫瘍促進が持続し得る理由の分子的説明として特に重要視されている。このEV媒介性インテグリン転移は、これまでのインテグリン生物学では十分に考慮されていなかった新規なメカニズムであり、次世代薬剤開発の重要な標的として積極的に探索される価値がある Hamidi et al. NatRevCancer 2018

臨床応用: インテグリン標的療法の失敗から得られた教訓は今後の治療開発において極めて価値があり、臨床現場における具体的なアプローチとして、(1) 単剤ではなく合理的併用療法の設計 (免疫チェックポイント阻害剤などとの組み合わせ)、(2) 患者層別化バイオマーカーの同定 (αvβ6発現やCAF特異的α11β1など)、(3) アロステリック阻害やFAK阻害などによる間接的インテグリン標的化、(4) ADC (antibody-drug conjugate) や腫瘍免疫療法との統合という4方向性が特に有望な課題として挙げられる。これらの戦略は、臨床現場におけるインテグリン標的療法の有効性を向上させるための具体的な指針を提供する。

残された課題: 今後の検討課題として、インテグリンの文脈依存的な機能のさらなる解明が残されている。特定の癌種や病期において、どのインテグリンが腫瘍促進的または抑制的に作用するのかを明確にすることは、より精密な標的療法開発に不可欠である。また、適切なバイオマーカーの確立と、より厳密な前臨床モデルおよび臨床試験デザインの改善も、インテグリン阻害剤の成功には必須である。特に、EV媒介性インテグリン転移のような新たなメカニズムを考慮した薬剤開発と試験デザインが今後の方向性となる。

方法

本研究は、インテグリンが癌の進行に果たす役割と、インテグリン標的療法の現状および課題を包括的に概説するレビュー論文である。特定の実験手法や患者コホートを用いた研究ではないため、実験プロトコルや統計解析は直接実施していない。文献検索は、PubMed、Embase、Web of Scienceなどの主要な医学データベースを用いて実施された。検索キーワードには「integrins」、「cancer」、「tumor progression」、「targeted therapy」、「integrin inhibitors」、「clinical trials」などが含まれた。特に、食道癌、乳癌、肺癌、胃癌、肝癌、大腸癌の6癌種に焦点を当て、各癌種におけるインテグリンの異常発現、関連するシグナル経路、および分子メカニズムに関する原著論文およびレビュー論文が収集された。

収集された文献は、インテグリンの構造と機能、癌細胞の増殖、浸潤、転移、血管新生におけるインテグリンの役割、インテグリンが活性化する主要な細胞内シグナル経路(例: FAK、PI3K/AKT/mTOR、MAPK経路)、および腫瘍微小環境との相互作用に関する知見に基づいて分析された。さらに、Cilengitide、CNTO 95、Volociximab、ATN-161など、臨床試験段階にある主要なインテグリン阻害剤に関する臨床試験データ(Phase I、II、III)がレビューされ、その安全性、忍容性、有効性、および治療失敗の要因が評価された。治療失敗の要因については、腫瘍の多様性、インテグリンの機能的冗長性、薬物動態学的問題、適切なバイオマーカーの欠如、および臨床試験デザインの不備という4つの側面から詳細に検討された。また、基礎研究のデータとして、A549やH1299などの肺癌細胞株、MCF-7などの乳癌細胞株を用いたin vitro実験や、C57BL/6JやBALB/cなどのマウス系統を用いたin vivoモデルにおける治療効果の差異についても分析が行われた。統計的な評価基準としては、各臨床試験における主要評価項目(PFSやOS)のハザード比(HR)や、in vitro/in vivo実験における効果量(fold change、IC50、log2FC)などの統計手法および記述統計データを抽出し、体系的に整理した。