- 著者: Hawazin Faruki, Gregory M. Mayhew, Jonathan S. Serody, D. Neil Hayes, Charles M. Perou, Myla Lai-Goldman
- Corresponding author: Hawazin Faruki (GeneCentric Diagnostics, Durham, NC, USA)
- 雑誌: Journal of Thoracic Oncology
- 発行年: 2017
- Epub日: 2017-03-21
- Article種別: Original Article
- PMID: 28341226
背景
非小細胞肺癌 (NSCLC) は、病理学的に腺癌 (AD) と扁平上皮癌 (SCC) に大別される異質な疾患群である。しかし、遺伝子発現プロファイリングにより、これらの組織型内にも生物学的に多様なサブタイプが存在することが明らかになっている。ADでは、TRU (terminal respiratory unit)、PP (proximal proliferative)、PI (proximal inflammatory) の3つのサブタイプが、SCCではprimitive、classical、secretory、basalの4つのサブタイプが同定されている。これらのサブタイプは、それぞれ異なる遺伝子変異、臨床的特徴、予後、および治療反応性を示すことが報告されている。例えば、ADのTRUサブタイプはEGFRやALK変異に富み、非喫煙者に多く、予後が良好である。一方、PPサブタイプはSTK11欠失、高い増殖能、脳転移、不良な予後と関連し、PIサブタイプはTP53変異が特徴的である。SCCでは、primitiveサブタイプでRB1欠失、classicalサブタイプでKEAP (kelch like ECH associated protein) /NFE2L2 (nuclear factor erythroid 2, like 2) 酸化ストレス関連変異、secretoryサブタイプで高い炎症応答、basalサブタイプでNF1変異がそれぞれ濃縮されている。
近年、免疫チェックポイント阻害剤はNSCLC治療において目覚ましい効果を示しており、特にPD-1/PD-L1経路を標的とする薬剤は、腫瘍微小環境における免疫抑制を解除し、強力な抗腫瘍免疫応答を誘導することで、生存率の改善に寄与している。しかし、免疫療法の奏効を予測するためのバイオマーカーは依然として課題が多い。PD-L1タンパク質の発現は、免疫療法奏効予測バイオマーカーとしてFDAに承認されているものの、使用される抗体、カットオフ値、および測定方法の標準化の欠如により、その予測価値については矛盾する結果が報告されている。例えば、Borghaei et al. NEnglJMed 2015 や Garon et al. NEnglJMed 2015 はPD-L1発現と奏効の関連を示唆したが、Brahmer et al. NEnglJMed 2015 はSCCにおいてPD-L1 IHCと奏効の関連が弱いことを報告している。
PD-L1発現以外にも、非同義変異量やネオアンチゲン量、さらには様々な免疫関連遺伝子シグネチャーが免疫療法奏効予測の候補バイオマーカーとして研究されている。Rizvi et al. Science 2015 は、変異量とPD-1阻害剤への感受性の関連を報告している。しかし、これらのバイオマーカーは依然として研究段階にあり、その臨床的有用性は未解明な点が多い。特に、NSCLCの遺伝子発現サブタイプが持つ内在的な生物学的差異が、腫瘍免疫微小環境にどのように影響し、免疫応答や予後と関連するのかについては、詳細な解析が不足している。既存の研究では、ADやSCC全体としての免疫応答が評価されることが多く、サブタイプ特異的な免疫特性の包括的な理解が手薄である。したがって、本研究では、公開ゲノムデータセットを用いて、肺ADおよびSCCの遺伝子発現サブタイプにおける免疫ランドスケープを詳細に解析し、免疫応答と予後の関連性をサブタイプレベルで明らかにすることを目的とした。
目的
本研究の目的は、肺腺癌 (AD) および扁平上皮癌 (SCC) の遺伝子発現サブタイプ間で、腫瘍免疫微小環境における免疫関連遺伝子シグネチャーの発現パターンを網羅的に比較することである。具体的には、以下の点を解析した。
- 免疫細胞シグネチャーの発現解析: Bindeaらによって同定された24種類の免疫細胞シグネチャー、IFNシグネチャー、MHC IIシグネチャー、および個別の免疫マーカー (PDCD1、CD274/PD-L1、CTLA4、PDCD1LG2/PD-L2) の発現レベルを、ADのTRU、PP、PIサブタイプおよびSCCのprimitive、classical、secretory、basalサブタイプ間で比較する。
- PD-L1との予測強度比較: 免疫細胞発現に対するサブタイプ分類の予測強度を、CD274 (PD-L1) 発現の予測強度と比較し、特にSCCにおけるPD-L1単独評価の限界を評価する。
- 変異量および特定遺伝子変異との関連: 非同義変異量、ならびにADにおけるSTK11不活性化、SCCにおけるNFE2L2およびNF1発現といったサブタイプに濃縮される特定の遺伝子変異と、T細胞発現との関連性を、サブタイプ補正の有無で解析する。
- MHC II発現の独立した予測価値と生存との関連: MHC II遺伝子発現が免疫浸潤および患者生存とどのように関連するかを評価し、特にADおよびSCCの各サブタイプにおける予後予測因子としてのMHC IIの独立した価値を検証する。
- 複数データセットでの再現性: RNA-Seq、Affymetrix、Agilentといった異なるプラットフォームの複数公開データセットを用いて、上記所見の再現性を確認する。
これらの解析を通じて、免疫療法のバイオマーカーとしての腫瘍発現サブタイプの評価の重要性を示唆し、より個別化された治療戦略の開発に貢献することを目指した。
結果
ADサブタイプにおける免疫ランドスケープの差異: 肺腺癌 (AD) の遺伝子発現サブタイプ間では、免疫細胞遺伝子シグネチャーおよび個別の免疫遺伝子マーカーの発現に明確な差異が認められた (Figure 1)。特に、PP (proximal proliferative) サブタイプは、ほとんどの免疫細胞タイプ (自然免疫細胞および適応免疫細胞の両方) および免疫療法標的であるCTLA4、CD274 (PD-L1) の発現が他のADサブタイプと比較して一貫して低かった。TRU (terminal respiratory unit) サブタイプとPI (proximal inflammatory) サブタイプは、多くのT細胞の発現レベルでは同程度であったが、サブセットレベルで差異が見られた。TRUサブタイプでは、樹状細胞 (DC)、NK CD56bright細胞、肥満細胞、好酸球、B細胞、TFH細胞、Tcm細胞、Th17細胞、CD8 T細胞の発現が高かった。一方、PIサブタイプでは、Th1細胞、Th2細胞、Treg細胞、細胞傷害性T細胞、NKCD56dim細胞の発現が高かった。CTLA4およびCD274 (PD-L1) の発現は、PIサブタイプで一貫して高く、ADにおける免疫療法標的の発現はPIサブタイプで最も高いことが示された。
SCCサブタイプにおける免疫ランドスケープの差異: 扁平上皮癌 (SCC) のサブタイプ間でも免疫ランドスケープに顕著な差異が認められた。secretoryサブタイプは、Th2シグネチャーを除き、自然免疫細胞および適応免疫細胞の両方で一貫して高い免疫細胞発現を示した (Th2はprimitiveとsecretoryで同程度であった)。classicalサブタイプは、全ての免疫細胞タイプで最も低い発現レベルを示した。興味深いことに、classical SCCではCD274 (PD-L1) の発現が比較的高かったにもかかわらず、他の免疫細胞の発現は低く、PD-L1発現とT細胞発現の間に不一致が見られた (Figure 1)。これは、classical SCCにおいてPD-L1単独での免疫浸潤予測が不十分である可能性を示唆する。
CD274 (PD-L1) とサブタイプの予測強度の比較: 免疫細胞発現に対するCD274 (PD-L1) とサブタイプの予測強度を比較した結果、ADではCD274とサブタイプの予測強度が同程度であった (中央値F検定p値: サブタイプ 5.97E-13 vs CD274 1.18E-10;調整済みR²: 0.10 vs 0.08)。しかし、SCCでは、サブタイプが検討された全ての13種類の適応免疫細胞 (AIC) シグネチャーにおいて、CD274よりも強力な予測因子であることが示された (中央値F検定p値: サブタイプ 2.16E-24 vs CD274 4.36E-5;調整済みR²: 0.20 vs 0.03) (Figure 2)。この結果は、SCCにおいてCD274単独での評価が免疫浸潤の予測因子として不十分である可能性を強く示唆する。
複数データセットにおける再現性: T細胞シグネチャーのサブタイプ別発現パターンは、ADおよびSCCの両方において、RNA-Seq、Affymetrix、Agilentといった異なる遺伝子発現プラットフォームを用いた複数のデータセット間で高度な再現性を示した (Figure 3)。同様の再現性は、B細胞、NK細胞、DC、マクロファージ、PDCD1、およびCD274 (PD-L1) といった他の免疫細胞タイプおよび発現バイオマーカーでも確認された。例えば、TCGA RNA-Seqデータセット (n=501 patients) におけるT細胞発現パターンは、Shedden Affyデータセット (n=442 patients) と同様の傾向を示した。
変異量と免疫発現の関連: ADにおける非同義変異量はサブタイプ間で異なり、PIサブタイプで最も高く、TRUサブタイプで最も低かった (Figure 4A)。PIサブタイプは高い変異量と高い免疫発現を示し、これは整合する結果であった。しかし、TRUサブタイプは最も低い変異量であったにもかかわらず、比較的高い免疫細胞発現特徴を示し、この点では矛盾が見られた。SCCでは、サブタイプ間で非同義変異量に有意差は認められなかった (p=0.54) (Figure 4B) にもかかわらず、免疫細胞発現には大きな差異が存在した。線形回帰分析では、変異量とT細胞発現の間にAD (p=0.24) およびSCC (p=0.9) のいずれにおいても有意な相関は認められなかった。
特定遺伝子変異と免疫発現の関連: ADにおいて、STK11不活性化 (PPサブタイプに濃縮) はT細胞発現と有意に関連していた (p=0.0007)。しかし、サブタイプで補正するとこの関連性は有意性を失った (p=0.43)。SCCでは、NFE2L2発現 (classicalサブタイプに濃縮) がT細胞と関連し (p=1.2E-7)、NF1発現もT細胞と関連していた (p=0.01)。しかし、これらの関連もサブタイプで補正すると有意性を失った (NFE2L2: p=0.47、NF1: p=0.26)。これらの結果は、サブタイプ自体が免疫細胞発現の独立した予測因子であることを示唆する。
MHC II発現の独立した予測価値: MHC II (13遺伝子シグネチャー) の発現は、ADおよびSCCの全てのサブタイプ間で有意差を示した (AD: p=2.7E-45、SCC: p=3.1E-39) (Figure 4E, F)。MHC II発現は、腫瘍隣接正常肺組織と比較して腫瘍組織で有意に低く (AD: p=4.8E-16、SCC: p<2.2E-16)、腫瘍特異的に抑制されていることが示唆された。MHC II発現は、AD (T細胞: Spearman r=0.66、B細胞: r=0.5、DC: r=0.69) およびSCC (T細胞: r=0.86、B細胞: r=0.69、DC: r=0.76) の両方で、複数の免疫細胞 (T細胞、B細胞、DCなど) の発現と強く相関した。重要な点として、MHC II発現は、サブタイプで補正した後も、ADおよびSCCデータセットにおいてT細胞免疫細胞発現の独立した予測因子であり続けた (p<1E-50)。これは、MHC IIが他のサブタイプ特異的ゲノム変異とは異なる独立した予測価値を持つことを示唆する。
生存解析 (ステージI-III): Cox比例ハザードモデルを用いた生存解析 (ステージI-III患者) の結果、ADのPIサブタイプでは、多くの免疫細胞 (Th1細胞、Th17細胞、Treg細胞、DC、iDC、好酸球、マクロファージ) の発現増加が、CD274 (PD-L1)、CTLA4、およびMHC IIシグネチャーの発現増加と同様に、生存改善と有意に関連していた (Figure 5A)。例えば、MHC IIシグネチャーの発現増加は、ADのPIサブタイプにおいてHR 0.71 (95% CI 0.53-0.96) で生存改善と関連した。他のADサブタイプでは、これらの免疫マーカーと生存の有意な関連は認められなかった。SCCのprimitiveサブタイプでは、Th1細胞、Th2細胞、TFH細胞、DC、マクロファージ、およびMHC IIの発現増加が生存改善と関連していた (Figure 5B)。興味深いことに、高い免疫細胞発現を示すsecretory SCCでは、肥満細胞のみが生存と有意に関連し、他の免疫細胞マーカーとの明確な生存意義は認められなかった。これらの結果は、免疫細胞発現と生存の関連が、発現サブタイプに依存的であることを示唆する。
考察/結論
本研究は、肺腺癌 (AD) および扁平上皮癌 (SCC) の遺伝子発現サブタイプが、根本的に異なる腫瘍免疫景観を持つことを明らかにした。ADのPPサブタイプでは免疫細胞発現が低く、SCCのsecretoryサブタイプでは高い免疫細胞発現が認められた。これらの再現性のある免疫応答の差異は、各サブタイプに内在する腫瘍生物学を反映しており、免疫療法への反応性や予後を予測する上で重要な情報を提供する可能性がある。
先行研究との違い: 従来のPD-L1 IHCによる免疫療法奏効予測は、特にSCCにおいてその予測能が限定的であることが指摘されてきた。本研究の結果は、SCCにおいてサブタイプ分類がCD274 (PD-L1) 発現よりもT細胞発現の強力な予測因子であったことと一致する。これは、Brahmer et al. NEnglJMed 2015 がnivolumabのCheckMate 017試験で報告した、SCCにおけるPD-L1 IHCと奏効の関連が弱いという臨床的観察と整合する。さらに、classical SCCではCD274高発現にもかかわらず免疫細胞発現が低いという、PD-L1陽性であっても免疫療法に奏効しにくい可能性を示唆するパターンが検出された点は、これまでのPD-L1単独評価の限界を浮き彫りにする点で、先行研究と対照的である。
新規性: 変異量と免疫浸潤の関連については、Rizvi et al. Science 2015 がpembrolizumab奏効と変異量の相関を報告しているが、本研究では変異量が直接免疫浸潤と強く相関しないという新規の知見が得られた。ADのTRUサブタイプは低変異量であるにもかかわらず高い免疫発現を示し、SCCではサブタイプ間で変異量に差がないにもかかわらず免疫発現に大きな差異が見られた。これは、変異量と免疫応答の関連が、腫瘍の分子サブタイプによって複雑に修飾される可能性を示唆する。特に、ADのPIサブタイプが変異量と免疫発現の両方で高い傾向にあるため、AD全体としての変異量-免疫相関を評価する際には、サブタイプ分布がバイアスとなりうることを警告した点は新規の視点である。
MHC II発現の重要性も本研究の新規な知見である。MHC IIはADおよびSCCの全サブタイプで有意差を示し、腫瘍組織で発現が抑制されていることが示唆された。MHC II発現は、サブタイプ補正後もT細胞発現の独立した予測因子であり、ADのPIサブタイプおよびSCCのprimitiveサブタイプで生存改善と関連した。このサブタイプ依存的な予後意義は、MHC IIが免疫療法のバイオマーカーとして新たな価値を持つ可能性を示唆する。腫瘍細胞におけるMHC II発現抑制のメカニズム (例えば、染色体6の欠失だけでは説明しきれない部分) の解明は、今後の重要な課題である。
臨床応用: 本研究の知見は、免疫療法のバイオマーカー開発において、以下の臨床的意義を持つ。
- 肺ADおよびSCCの遺伝子発現サブタイプ分類を、PD-L1単独評価の限界を克服するための免疫療法バイオマーカーとして組み込む可能性。
- MHC II発現、変異量、およびサブタイプ分類を組み合わせた複合バイオマーカーの開発。
- 薬剤開発時の臨床試験において、サブタイプ分布によるバイアスを補正することの重要性。
- 低免疫応答性のclassical SCCに対するCTLA-4併用療法や、STK11欠失AD (Koyama et al. CancerRes 2016 が報告した好中球駆動型免疫抑制) に対する特化された治療戦略の開発。これらの知見は、より個別化された癌治療の臨床応用を促進する。
残された課題: 本研究にはいくつかのlimitationが存在する。
- 使用した公開データセットは、主に手術切除された早期ステージの検体が多く、進行期肺癌患者のデータが少ない。
- 免疫療法治療前の検体のみを解析しており、治療後の免疫微小環境の変化は評価できていない。Zaretsky et al. NEnglJMed 2016 が報告したような、免疫チェックポイント阻害剤に対する獲得抵抗性に関連する変異の解析は今後の課題である。
- FFPE (ホルマリン固定パラフィン包埋) 検体でのRNA-Seqの信頼性確保や、臨床試験治験例での検証が今後必要である。
- 肺の正常組織における免疫細胞の解剖学的部位差 (近位気道 vs 遠位気道) が免疫ランドスケープに与える影響は未検討である。
これらの課題を克服し、肺ADおよびSCCの分子サブタイプ分類を免疫療法バイオマーカーとして臨床に組み込むことで、より個別化された癌治療の実現が期待される。
方法
本研究では、複数の公開ゲノムデータセットを用いて、肺腺癌 (AD) および扁平上皮癌 (SCC) の遺伝子発現サブタイプにおける免疫応答を詳細に解析した。
データセットの収集とサブタイプ分類: ADについては、合計1,190例の患者サンプルを含む4つの公開データセット (TCGA、Director’s Challenge Shedden et al.、Tomida et al.、Wilkerson et al.) を使用した。これらのデータセットは、RNA-Seq (Illumina)、Affymetrix、Agilentといった異なる遺伝子発現プラットフォームから得られた新鮮凍結検体に基づいている。TCGAデータセットには、58例の腫瘍隣接正常肺組織のRNA-Seqプロファイルも含まれた。SCCについては、合計761例の患者サンプルを含む4つの公開データセット (TCGA、Lee et al.、Raponi et al.、Wilkerson et al.) を使用し、同様にRNA-Seq、Affymetrix、Agilentプラットフォームのデータを用いた。TCGA SCCデータセットには、51例の腫瘍隣接正常肺組織のRNA-Seqプロファイルが含まれた。ADサブタイプ (TRU、PP、PI) およびSCCサブタイプ (basal、classical、primitive、secretory) の分類には、Wilkersonらによって開発された既報のAD 506遺伝子最近傍セントロイド分類器およびSCC 208遺伝子分類器を適用した。
免疫関連遺伝子セットの定義: 免疫応答の評価には、Bindeaらによって報告された24種類の免疫細胞遺伝子シグネチャーを使用した。これらは適応免疫細胞 (AIC: adaptive immune cell) シグネチャー (T細胞、Tcm細胞、Tem細胞、Th1細胞、Th2細胞、TFH細胞、Th17細胞、Treg細胞、Tγδ細胞、CD8 T細胞、細胞傷害性T細胞、B細胞) と自然免疫細胞シグネチャー (NK (natural killer) 細胞、NK CD56dim細胞、NK CD56bright細胞、樹状細胞 (DC)、未成熟DC、形質細胞様DC、活性化DC、肥満細胞、好酸球、マクロファージ、好中球) に分類される。各シグネチャーについて、リスト内の全遺伝子の平均発現値を計算し、各サンプルのスコアとした。さらに、著者らが開発した13遺伝子インターフェロン (IFN) シグネチャー、およびForeroらによって報告された13遺伝子主要組織適合遺伝子複合体クラスII (MHC II) シグネチャーも解析に含めた。個別の免疫マーカーとしては、PDCD1、CD274 (PD-L1)、CTLA4、PDCD1LG2 (PD-L2) の発現を評価した。
統計解析: 免疫マーカーのサブタイプ間での発現差は、Kruskal-Wallis検定を用いて全体比較を行い、Mann-Whitney U検定を用いてペアワイズ比較を行った。免疫マーカー間の相関は、Spearman順位相関係数を用いて評価し、階層的クラスタリングにより可視化した。腫瘍組織と腫瘍隣接正常肺組織におけるMHC II発現の比較にはMann-Whitney U検定を用いた。
予測強度の評価: 免疫細胞発現に対するサブタイプ分類の予測強度とCD274 (PD-L1) 発現の予測強度を比較するため、TCGAデータセットを用いて線形回帰モデルを構築した。各免疫シグネチャーを目的変数とし、サブタイプまたはCD274発現を単独の予測変数としてモデルを適合させ、調整済みR²値とF検定のp値を用いて予測強度を評価した。CD274発現は、各群で等しい割合となるように低/高のカテゴリ変数として扱った。
ゲノム変異との関連解析: 非同義変異量とT細胞発現の関連は線形回帰を用いて解析した。変異量とサブタイプ間の関連はKruskal-Wallis検定およびMann-Whitney U検定で評価した。ADにおけるSTK11不活性化 (欠失および/または変異) およびSCCにおけるNFE2L2およびNF1発現とT細胞発現の関連を、線形回帰を用いてサブタイプ補正の有無で評価した。
生存解析: TCGAデータセットを用いて、免疫マーカーと生存期間の関連をCox比例ハザードモデルで解析した。ステージIVの患者は解析から除外した。サブタイプ内での評価は病期で補正し、全体評価は病期とサブタイプで補正した。ハザード比 (HR) と95%信頼区間 (CI) を算出し、名目p値が0.05未満のマーカーを有意とした。全ての統計解析はR 3.2.0ソフトウェアを用いて実施した。