• 著者: Roman M. Chabanon, Mathieu Rouanne, Christopher J. Lord, Jean-Charles Soria, Philippe Pasero, Sophie Postel-Vinay
  • Corresponding author: Sophie Postel-Vinay (Gustave Roussy Cancer Campus, Université Paris-Saclay, Villejuif, France)
  • 雑誌: Nature Reviews Cancer
  • 発行年: 2021
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Review
  • PMID: 34376827

背景

免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) は、メラノーマ、非小細胞肺癌 (NSCLC)、尿路上皮癌など、複数の癌種において治療成績を劇的に改善した。しかし、大半の患者は既存のT細胞浸潤が不足しているため、ICIの恩恵を十分に受けていないのが現状である。DNA損傷応答 (DDR) は、細胞がDNA損傷を検出、シグナル伝達、修復する一連のメカニズムであり、その欠損は伝統的に発癌とゲノム不安定性に関連付けられてきた。DDR経路の破綻は、ゲノム不安定性を引き起こし、腫瘍細胞の変異原性を高めることで、腫瘍の免疫原性を増強する可能性が指摘されている。

2017年にミスマッチ修復 (MMR) 欠損腫瘍に対するペムブロリズマブが組織型非依存的に初めて承認されたことを契機に、DDRが腫瘍免疫原性の重要な決定因子であることが広く認識された。この承認は、MMR欠損がマイクロサテライト不安定性 (MSI) を引き起こし、結果として腫瘍変異量 (TMB) の増加とネオ抗原の生成を促進するという生物学的根拠に基づいている。例えば、Le et al. NEnglJMed 2015の研究では、MMR欠損腫瘍におけるPD-1阻害薬の有効性が示された。さらに、TMBが10変異/メガベース (mut/Mb) 以上の腫瘍に対する組織型横断的なペムブロリズマブ承認 (KEYNOTE-158試験) も、このDDRと免疫応答の関連性への関心を加速させた。Rizvi et al. Science 2015は、NSCLCにおいて高TMBとPD-1阻害薬への感受性の関連を報告している。

DDRの欠損は、単にTMBの増加だけでなく、細胞質DNA感知経路であるcGAS-STING経路の活性化を介して、I型インターフェロン (IFN) 応答などの免疫アジュバント効果を誘導することも示されている。これにより、免疫的に「cold」な腫瘍を「hot」な腫瘍へと転換させる可能性が示唆されている。また、DDR欠損は、PD-L1などの免疫チェックポイント分子の発現や、FAS/FASLなどの死受容体の発現を調節することで、腫瘍細胞の反応原性、すなわちT細胞殺傷機能を誘発する能力にも影響を与える。Chen et al. Immunity 2013は、癌免疫サイクルにおけるこれらの相互作用の重要性を強調している。

これらの知見に基づき、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ (PARP) 阻害薬やアタキシア・テランギエクトン変異関連 (ATR) 阻害薬などの既存のDDR標的治療薬とICIの併用療法が、新たな治療戦略として注目され、数多くの臨床試験が進行中である。しかし、DDR欠損が腫瘍免疫原性を規定する分子機構の全容は未解明な部分が多く、最適なバイオマーカー戦略や治療レジメンの確立には、さらなる研究と臨床的検証が不足している。特に、DDR標的治療による免疫応答の誘導メカニズムや、その効果を最大化するための併用療法の最適化は、依然として残された課題である。

目的

本総説の目的は、DNA損傷応答 (DDR) と抗癌免疫の複雑な相互作用の分子機構的基盤を、(1)抗原性 (antigenicity)、(2)アジュバント性 (adjuvanticity)、(3)反応原性 (reactogenicity) の3側面から包括的に整理し、その動的な相互作用が腫瘍免疫原性をどのように形成するかを明らかにすることである。

具体的には、DDR欠損が腫瘍の変異原性亢進とゲノム不安定性を介して抗原性を高めるメカニズム、細胞質免疫活性化と免疫原性細胞死 (ICD) を通じてアジュバント性を増強するメカニズム、そして腫瘍-免疫細胞シナプスを制御する因子を調節することで反応原性を促進するメカニズムについて詳細に解説する。

さらに、DDR標的治療を用いた免疫腫瘍学における新規治療アプローチの前臨床モデルと、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ (PARP) 阻害薬やアタキシア・テランギエクトン変異関連 (ATR) 阻害薬などのDDR標的治療と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 併用療法の早期臨床試験結果をレビューし、その安全性、忍容性、および有望な抗腫瘍活性を評価する。

最終的に、DDR-免疫相互作用を標的とする治療戦略の限界と将来の課題を議論し、最適な患者選択のためのバイオマーマー戦略、治療レジメンの最適化、および次世代技術の活用によるDDR-免疫療法の発展に向けた展望を提示することを目的とする。

結果

DDR欠損による腫瘍抗原性の増強とICI感受性: 腫瘍の抗原性は、ネオエピトープを産生・提示する能力として定義される。ミスマッチ修復 (MMR) 欠損は、マイクロサテライト不安定性 (MSI) と点突然変異の蓄積を介して腫瘍変異量 (TMB) と腫瘍ネオ抗原量 (TNB) を高め、MSI-high腫瘍でのペムブロリズマブ組織型非依存承認の生物学的根拠となった。前臨床マウス大腸癌モデルでは、MMR欠損が動的なネオ抗原ランドスケープを形成し、継続的なネオ抗原更新が免疫監視と腫瘍拒絶を促進することが示され、その後患者コホートで確認された。ICI応答率はMSI-high腫瘍で30〜50%に留まり、cGAS-STING活性の障害、腫瘍内多様性、共存変異などの内因性抵抗機構が残存することが示唆される。DNAプルーフリーディングポリメラーゼ (POLE/POLD1) の変異による過変異状態も、高TMBと良好なICI予後と明確に関連する。KEYNOTE-158試験 (多癌種、n=102) では、次世代シーケンシング (NGS) でTMB≧10 mut/Mbと判定された30/102例 (29%) で、客観的奏効率 (ORR) の優位性が前向きに確認された。相同組換え (HR) 欠損、塩基除去修復 (BER)/ヌクレオチド除去修復 (NER) 欠損もTMBと腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) 浸潤を増加させるが、その程度はMMR欠損より限定的である。一方、腫瘍の異数性 (aneuploidy) は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4 (CTLA4) 阻害への応答不良と相関し、染色体レベルの体細胞コピー数変化が免疫回避と関連することが示された。SWI/SNFサブユニット (ARID1A、PBRM1、ARID1B、SMARCA4) 変異は、MSH2安定性低下やHR障害を介してTMB増加とICIの臨床的利益に寄与し、非小細胞肺癌 (NSCLC) ではARID1B変異がICIの臨床的利益と相関することが示された (Figure 1)。

cGAS-STING経路の活性化と免疫原性細胞死 (ICD) 誘導: 腫瘍細胞の免疫アジュバント産生能 (I型IFN・炎症性サイトカインの産生・分泌) は、TNBとは独立したICI感受性の決定因子である。cGAS-STING経路は、細胞質DNA断片 (CCF) やミクロ核からの二本鎖DNAを感知してI型IFN応答を誘導する中核的経路であり、ICI、化学療法、放射線療法の抗腫瘍効果に必須であることが複数のin vivoモデルで示されている。HR欠損、非相同末端結合 (NHEJ) 欠損、ファンコニ貧血経路欠損、NER/一本鎖切断 (SSB) 修復欠損、二本鎖切断 (DSB) シグナリング欠損など、多様なDDR欠損状態でcGAS-STING活性化が報告されており、SWI/SNFサブユニット (PBRM1、ARID1A、SMARCA4) 変異もこの経路の活性化を促進しうる。細胞質DNA生成の分子機構として、MUS81・EXO1のヌクレアーゼ活性によるDNA断片産生、RAD51欠損下でのMRE11による過剰なssDNA分解、SAMHD1欠損による細胞質ssDNA蓄積 (dsDNA形成後cGAS感知)、TFAM欠損によるmtDNA漏出が明らかにされた。cGASは核内にも局在してHRを抑制し (PARP1-Timeless複合体形成阻害)、複製フォークを減速させてゲノム不安定性を防ぐ。このような核・細胞質間のフィードバックループがDDR-免疫インターフェースの複雑性を示している。染色体不安定性 (CIN) に起因するミクロ核はcGAS活性化を誘発し、ミクロ核エンベロープ破綻後の二本鎖DNAをcGASが感知することでSTING依存性炎症シグナルを起動する。免疫原性細胞死 (ICD) は、DNA損傷に応答した小胞体 (ER) ストレス (カルレティキュリン表面曝露)、オートファジー (ATP分泌)、細胞質核酸 (cNA) 感知 (I型IFN・IL-1β)、終末アポトーシス (HMGB1放出) の4経路を介して、cold tumorをhot tumorに転換する戦略的基盤となる。アントラサイクリン、シクロホスファミド、オキサリプラチンなど古典的化学療法がICD特性を持ち、PD-1阻害との相乗効果や耐性腫瘍の感作が報告されている。

免疫シナプスの修飾と反応原性の変化: 腫瘍細胞の反応原性 (T細胞殺傷機能を誘発する能力) もDDR欠損によって修飾される。MMR欠損腫瘍はPD-L1発現が高く、MMRプロフィシエント腫瘍より高いPD-1/PD-L1発現が複数コホートで確認されている。HR欠損やポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ (PARP) 阻害薬曝露もcGAS-STING・アタキシア・テランギエクトン変異関連 (ATR)-CHEK1シグナルを介してPD-L1発現を上昇させ、ERCC1欠損細胞ではIFNγとの相乗的なPD-L1誘導が観察される。MMR欠損腫瘍ではMMR遺伝子 (MSH2、MLH1、MSH6) サイレンシングによりCD80の細胞表面発現が上昇し、PD-L1-CD80 cis-ヘテロ二量体形成によるPD-1-PD-L1相互作用の阻害を通じてT細胞の共阻害シグナルを抑制しうることが示された。さらに、ATMシグナリングや放射線・化学療法によるDNA損傷はNKG2Dリガンドの発現を誘導してNK細胞媒介細胞傷害性を増強する可能性がある。p53依存性・非依存性経路を介したFAS/FASL発現上昇はT細胞殺傷機能の増強のみならず、抗原陰性腫瘍細胞のバイスタンダー殺傷にも関与する。Schlafen 11 (SLFN11) はIFN誘導性ヘリカーゼとして複製フォークをATR非依存的にブロックし、IFNγ誘導によるT細胞殺傷への腫瘍細胞感受性を媒介することが示されており、フィードバックループの存在が示唆される (Figure 2)。

PARP阻害薬とICI併用療法の主要臨床成績: 80以上の臨床試験がDDR標的治療とICIの併用を評価している。MEDIOLA第I/II相バスケット試験 (オラパリブ+デュルバルマブ) では、生殖細胞系列BRCA (gBRCA) 変異転移性乳癌コホート (n=30) で12週疾患制御率 (DCR) 80% (24/30例)、中央無増悪生存期間 (mPFS) 8.2ヶ月、中央全生存期間 (mOS) 21.5ヶ月が報告された。卵巣癌gBRCA変異例 (n=30) ではORR 77% (23/30例) であり、BRCA野生型白金感受性例 (n=32) でもORR 34% (11/32例) と一定の活性が示された。オラパリブ+デュルバルマブ+ベバシズマブのトリプレット療法では、白金感受性BRCA野生型卵巣癌でORR 87%・mPFS 15ヶ月という印象的な成績が報告され、第一選択維持療法としての評価試験 (DUO-O、NCT03737643) が進行中である。TOPACIO第II相試験 (ニラパリブ+ペムブロリズマブ) では、転移性トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) および再発卵巣癌 (n=60) で18% ORR (11/60例) が示され、HR欠損とは独立してPD-L1陰性腫瘍を含む完全奏効例が認められた。前立腺癌では、オラパリブ+デュルバルマブが12ヶ月PFSをDDR欠損腫瘍で83.3% (vs. DDR正常腫瘍36.4%) に改善し、生化学的奏効率53% (8/17例) が示された。筋層浸潤性尿路上皮癌のネオアジュバント設定では、オラパリブ+デュルバルマブが根治的膀胱全摘施行例の50% (10/20例) で完全奏効を達成した。ATR阻害薬 (セラルセルチブ) +デュルバルマブは進行NSCLC/頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) の第Ib試験で安全性と抗腫瘍活性の初期シグナルを示し、アダボセルチブ (WEE1阻害薬) +デュルバルマブも進行固形腫瘍で類似の知見を報告している。転移性TNBCでは、アダボセルチブ+シスプラチン (NCT03012477) において、臨床的利益例でI型・II型IFN転写シグネチャーとT細胞浸潤の有意な富化が確認され、免疫調節活性が示唆された (Table 1)。

バイオマーカー戦略と将来の課題: TMB≧10 mut/Mbの腫瘍全組織型承認は論争を呼んでおり、TMBがCD8+ T細胞浸潤とTNBの正の相関が成立するメラノーマ・NSCLC・HNSCCでのみOSベネフィットと関連し、前立腺癌・乳癌など相関しない癌種では逆にTMB-high腫瘍でORRが低い傾向が報告された。膠芽腫では、化学療法誘発MMR欠損腫瘍の後発高TMBがT細胞浸潤不足・低ICI応答と関連し、均質なネオ抗原欠如 (subclonal・免疫原性低い変異の蓄積) が原因と考えられる。DDR欠損由来のcGAS-STING活性化も常にプロ免疫的とは限らず、慢性刺激はNF-κBを介した腫瘍促進効果や高用量放射線によるTREX1活性化によるcGAS-STING抑制が問題となる。動的PD-L1変動 (治療開始3〜6週後の循環エクソソームPD-L1最大増加倍率とメラノーマ応答との正相関) など、バイオマーカーの動態を縦断的に評価する重要性が示されている。例えば、Samstein et al. NatGenet 2019の研究は、TMBが癌種によってICI応答予測能が異なることを示唆している。

考察/結論

本総説は、DNA損傷応答 (DDR) と抗癌免疫の相互作用が、抗原性、アジュバント性、反応原性の3軸を通じて腫瘍免疫原性を包括的に規定することを明確に示した。この動的な相互作用の理解は、免疫腫瘍学における新たな治療戦略の開発に不可欠である。

先行研究との違い: これまでの研究は個々のDDR経路や免疫応答因子に焦点を当てることが多かったのに対し、本総説はDDR欠損が腫瘍免疫原性の複数の側面(抗原性、アジュバント性、反応原性)にどのように影響を与えるかを包括的に整理し、その分子機構的基盤を詳細に解説した点で、これまでの総説とは異なるアプローチをとっている。特に、DDR標的治療が変異原性亢進、細胞質免疫活性化、免疫細胞シナプス制御を介して抗腫瘍免疫応答を増強する可能性を強調した。

新規性: 本研究で初めて、DDR欠損がcGAS-STING経路の活性化や免疫原性細胞死 (ICD) の誘導を通じて、免疫的に「cold」な腫瘍を「hot」な腫瘍へと転換させる「免疫プライミング」戦略としてのDDR標的治療の役割を、複数のDDR経路の視点から統合的に提示した。また、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ (PARP) 阻害薬やアタキシア・テランギエクトン変異関連 (ATR) 阻害薬などのDDR標的治療と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 併用の早期臨床試験において、忍容性と有望な抗腫瘍活性が示されたことは、この新規戦略の臨床的実現可能性を裏付けるものである。例えば、MEDIOLA試験における生殖細胞系列BRCA (gBRCA) 変異乳癌での12週疾患制御率 (DCR) 80% (n=24/30)、中央無増悪生存期間 (mPFS) 8.2ヶ月、中央全生存期間 (mOS) 21.5ヶ月といった結果は、DDR欠損とICI併用療法の相乗効果の可能性を強く示唆する。

臨床応用: ミスマッチ修復 (MMR) 欠損/マイクロサテライト不安定性 (MSI)-high、DNAプルーフリーディングポリメラーゼ (POLE) 変異、高腫瘍変異量 (TMB) といった既承認バイオマーカーに加え、相同組換え (HR) 欠損、SWI/SNF欠損、cGAS-STING活性シグネチャーなど、DDR関連バイオマーカーの組み合わせが、ICI併用療法の最適患者選択の鍵を握ると考えられる。PARP阻害薬、ATR阻害薬、WEE1阻害薬とICIの複数の早期試験で安全性と初期有効性が確認されており、これらの知見は、バイオマーカー駆動型の前向き無作為化試験の実施を強く支持する。DDR標的治療は、ICIで恩恵を受けにくいcold腫瘍を免疫原性hot腫瘍へ転換する「免疫プライミング」戦略として、次世代免疫腫瘍学の中核となりうる臨床的意義を持つ。

残された課題: 今後の検討課題として、最適な患者選択のためのDDR関連バイオマーカーのさらなる検証と標準化が残されている。特に、TMBの臨床的意義は癌種によって異なり、高TMBが必ずしもICI応答と相関しない癌種も存在するため、TMB以外のDDR関連バイオマーカーとの組み合わせや、腫瘍微小環境の評価が不可欠である。また、DDR阻害薬の間欠投与スケジュール最適化により、慢性的なI型インターフェロンシグナリングとそれに続く免疫回避を防ぐ必要がある。エピジェネティック修飾薬の組み合わせや、人工知能 (AI) および単細胞技術を用いた腫瘍-免疫-間質レベルの精密解析は、DDR-免疫療法の発展に不可欠な今後の研究方向性である。これらの課題を克服することで、DDR-免疫療法の治療可能性を最大限に引き出すことが期待される。

方法

本研究は、DNA損傷応答 (DDR) と抗癌免疫の相互作用、およびDDR標的治療と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 併用療法の開発と機会に関する包括的なレビューである。特定の実験プロトコルや患者コホートの募集は行われていない。

文献検索は、PubMed、Embase、Web of Scienceなどの主要な医学データベースを用いて実施された。検索キーワードには、「DNA damage response」、「DDR」、「immuno-oncology」、「immune checkpoint inhibitor」、「PARP inhibitor」、「ATR inhibitor」、「cGAS-STING pathway」、「tumor immunogenicity」、「antigenicity」、「adjuvanticity」、「reactogenicity」、「mismatch repair deficiency」、「TMB」、「clinical trials」などが含まれた。関連性の高い総説、原著論文、早期臨床試験報告書が選択され、DDRと抗癌免疫の分子機構、前臨床研究、および臨床開発に関する最新の知見が収集された。検索期間は2021年までの発表論文を対象とした。

収集された文献は、DDR欠損が腫瘍免疫原性を規定する3つの主要な側面、すなわち抗原性、アジュバント性、反応原性に基づいて分類・分析された。抗原性については、ミスマッチ修復 (MMR) 欠損、DNAプルーフリーディングポリメラーゼ (POLE/POLD1) 変異、SWI/SNF複合体変異などによる腫瘍変異量 (TMB) および腫瘍ネオ抗原量 (TNB) の増加と、ICI感受性との関連性が評価された。アジュバント性については、cGAS-STING経路の活性化、免疫原性細胞死 (ICD) の誘導、および細胞質DNA生成の分子メカニズムが詳細に検討された。反応原性については、DDR欠損がPD-L1、CD80、NKG2Dリガンド、FAS/FASLなどの免疫シナプス分子の発現に与える影響が分析された。

臨床試験データについては、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ (PARP) 阻害薬、アタキシア・テランギエクトン変異関連 (ATR) 阻害薬、WEE1阻害薬とICIの併用療法に関する第I/II相試験の主要な結果が抽出され、安全性プロファイル、疾患制御率 (DCR)、客観的奏効率 (ORR)、無増悪生存期間 (PFS)、全生存期間 (OS) などの有効性エンドポイントが評価された。特に、MEDIOLA試験 (NCT02576444)、TOPACIO試験 (NCT02657889)、およびその他の関連試験が重点的にレビューされた。統計解析手法として、Kaplan-Meier曲線による生存解析や、Cox回帰モデルによるハザード比 (HR) の算出が用いられた試験結果も参照された。

バイオマーカー戦略については、TMB、MMR欠損、相同組換え (HR) 欠損、SWI/SNF欠損、cGAS-STING活性シグネチャーなどのDDR関連バイオマーカーの予測的価値と、その限界および将来の課題が議論された。また、in silico、in vitro、in vivo、ex vivoアプローチを含む、DDR-免疫相互作用をモデル化および探索するための前臨床的アプローチも概説された。本総説は、既存の文献を統合し、DDRと抗癌免疫の相互作用に関する現在の理解を包括的に提示することを目的としており、新たな実験データは含まれていない。