• 著者: Nam AS, Chaligne R, Landau DA
  • Corresponding author: Dan A. Landau (Weill Cornell Medicine; New York Genome Center)
  • 雑誌: Nature Reviews Genetics
  • 発行年: 2021
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Review
  • PMID: 32807900

背景

がんの発生と進展は、ゲノム上の体細胞変異や構造異常といった遺伝的要因が駆動する進化プロセスとして理解されてきた。しかし、近年のゲノム解析技術の進歩により、健康な皮膚や食道、気管支などの正常組織においても、TP53やNOTCH1といった強力ながんドライバー遺伝子の変異を持つクローンが加齢や環境要因(喫煙など)に伴って高頻度に発生していることが明らかになっている。Martincorena et al. (2015) や Yokoyama et al. (2019) などの先行研究において、これらの変異クローンが正常組織の大部分を再構築している実態が示された。この事実は、遺伝的変異単独ではがんの悪性転換を十分に説明できないことを示唆しており、がん進化における非遺伝的要因の重要性を浮き彫りにしている。非遺伝的要因には、エピジェネティックな修飾、転写状態の可塑性、腫瘍微小環境との相互作用、および空間的な細胞配置などが含まれる。

Kaufman et al. (2016) の既報によれば、BRAF変異およびTP53変異を持つメラノサイトにおいて胚性神経堤プロジェニター状態が活性化されることで、初めて黒色腫の発生が誘導されることが示されている。このように、体細胞変異は特定の細胞状態(表現型)と協調して初めてがん化を駆動する。しかし、これまでのがんゲノム研究ではバルクシークエンシング技術が主流であり、腫瘍全体の平均的なゲノム情報からクローン構造を推定するアプローチが取られてきた。バルク解析では、存在比率の低い希少クローンの検出や、同一細胞内における遺伝的変異とエピジェネティック状態、遺伝子発現プロファイルの直接的な対応関係を解き明かすことは技術的に不可能であった。また、単一細胞レベルでのスナップショット解析(単一細胞RNAシークエンシングなど)が普及したものの、これらは一時点における細胞状態を捉えるに過ぎず、遺伝的系統と非遺伝的表現型の動的な相互作用を統合的に理解するための情報が不足していた。

Shlush et al. (2012) などの先行研究では、マイクロサテライト不安定性を指標とした細胞系譜解析により、白血病の再発時におけるクローン動態が追跡されているが、エピゲノムやトランスクリプトームといった多層的なオミクス情報を同一細胞から同時に取得する技術は未確立であった。がん進化の真のメカニズムを解明するためには、遺伝的変異(CNA (copy number alteration) や SNV (single nucleotide variant))と、非遺伝的決定因子(DNAメチル化、クロマチンアクセシビリティ、遺伝子発現)を同一の単一細胞レベルで統合的に解析するアプローチが必要不可欠であるが、従来の技術ではこの多次元的な不均一性を捉えるための解像度が決定的に不足していた。この技術的および概念的な gap が残されており、単一細胞マルチオミクス技術の発展と、それを用いたがん進化モデルの再構築という課題が未解明のまま残されていた。

目的

本稿の目的は、がん進化における遺伝的決定因子(体細胞変異、コピー数変化)と非遺伝的決定因子(エピゲノム、転写、空間ダイナミクス、微小環境)を単一細胞レベルで統合的に解析する「単一細胞マルチオミクス技術」の最新の進展を包括的にレビューすることである。具体的には、同一細胞からゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、およびプロテオームの情報を同時取得する実験的手法や、それらのデータを統合する計算科学的アルゴリズムの現状を整理する。さらに、これらの技術を臨床検体やモデルシステムに適用することで、がんの発生、治療抵抗性の獲得、転移、およびクローン選択のメカニズムがどのように解明されつつあるかを議論し、今後の臨床応用やがん生物学における課題と展望を提示することを目的とする。

結果

シングルセルゲノミクスによるクローン構造の超高解像度同定: 従来のバルクシークエンシングによるクローン構造の推定は、変異アレル頻度 (VAF (variant allele frequency)) の分布から仮想的なサブクローンを数学的に再構築する手法に依存していた。しかし、このアプローチは CCF (cancer cell fraction) が 5% 未満の希少なサブクローンを正確に識別することや、複数の変異が同一の細胞に共存しているか、あるいは排ただしきであるかを直接判定することに根本的な限界があった。これに対し、単一細胞DNAシークエンシング (scDNA-seq) は個々の細胞のゲノムを直接解読するため、クローン構造を極めて高い精度で同定できる。例えば、急性骨髄性白血病 (AML (acute myeloid leukaemia)) において、ドロップレットマイクロフルイディクスを用いた高スループットな標的 scDNA-seq を適用した研究では、n=3000 cells 以上の単一細胞ゲノムを解析することで、診断時から治療、および再発時にかけての複雑なサブクローンの変遷が直接追跡された (Fig 2c)。これにより、バルク解析では見落とされていた極めて希少な耐性クローンが、治療選択圧の下で急速に拡大する動態が明らかになった。

多時点・多部位サンプリングによるクローン動態と収束進化の解明: がん進化の動的なプロセスを捉えるためには、時間的・空間的なマルチサンプリングが極めて有効である。慢性リンパ性白血病 (CLL (chronic lymphocytic leukaemia)) において、治療前後の多時点サンプリングを行った研究では、TP53 変異を持つクローンが化学療法後に選択的にフィットネス(増殖優位性)を高め、その CCF が 10% から 90% 以上へと上昇する動態が定量化された。一方、BTK (Bruton’s tyrosine kinase) 阻害剤であるイブルチニブによる標的治療下では、BTK 変異を持つクローンが選択的に拡大することが示された。また、空間的な不均一性を解明するための多部位サンプリング(multiregional sampling)は、腫瘍の空間的クローン構造と転移経路の解明に大きく貢献している。非小細胞肺がん (NSCLC) を対象とした TRACERx 研究 Jamal-Hanjani et al. NEnglJMed 2017 では、同一腫瘍内の異なる領域からサンプリングを行うことで、ドライバー CNA が異なる親対立遺伝子上で独立に生じる「収束進化 (convergent evolution)」の現象が確認された (Fig 2b)。さらに、循環腫瘍DNA (ctDNA) の解析 Abbosh et al. Nature 2017 と組み合わせることで、微小残存病変の早期検出や、治療抵抗性クローンの出現を画像診断よりも数ヶ月早く予測することが可能となった。

GoT技術による遺伝子型と転写状態の同一細胞レベルでの統合: 単一細胞レベルで遺伝子型(ゲノム変異)と表現型(転写プロファイル)を直接結びつけるため、著者らは GoT (Genotyping of Transcriptomes) 技術を開発した。従来の scRNA-seq では、3’ または 5’ 端に偏ったシークエンシングを行うため、転写産物の中央部に存在する体細胞変異を検出することが困難であった。GoT は、10x Genomics などのドロップレット型 scRNA-seq プロトコルを改変し、全トランスクリプトームのライブラリー調製と並行して、特定のドライバー変異座(例えば CALR (calreticulin) や JAK2)を標的とした特異的プライマーによる増幅を行うことで、同一細胞における変異の有無と全遺伝子発現プロファイルを ~90% という極めて高い効率で同時取得することに成功した (Fig 4a)。この技術を骨髄増殖性腫瘍 (MPN (myeloproliferative neoplasm)) の CALR 変異症例に適用したところ、変異型細胞と野生型細胞が造血分化ツリー全体に混在していることが判明した (Fig 4b)。さらに、CALR 変異がもたらす細胞周期関連遺伝子の発現上昇(例えば、野生型細胞と比較して 1.8-fold の発現亢進)や、NF (nuclear factor) 活性などの細胞状態、および JAK-STAT シグナル経路の活性化は、未分化な造血幹細胞 (HSC (hematopoietic stem cell)) 段階よりも、分化した巨核球前駆細胞などの特定の分化段階においてより顕著に現れることが示された (Fig 4c)。これは、ドライバー変異の表現型効果が、その細胞が持つ本来の「細胞同一性 (cell identity)」によって厳密に制約されていることを示す初の直接的な証拠である。同様に、AML においても、FLT3-ITD (Fms-like tyrosine kinase 3 internal tandem duplication) 変異を持つ細胞が未熟なプロジェニター状態に集積する一方、FLT3-D835 (Fms-like tyrosine kinase 3 Asp835 mutation) 変異を持つ細胞はより分化した状態に偏るなど、遺伝子型と細胞状態の密接な対応関係が実証された。

エピジェネティック多様性とクローン進化の統合解析: DNAメチル化やクロマチンアクセシビリティの細胞間不均一性(エピミューテーション)は、ゲノム変異と並行してがん細胞の多様化を駆動する。DNAメチル化とトランスクリプトームを同一細胞から同時取得する scTrio-seq を用いた肝細胞がんおよび大腸がんの解析では、CNA によって定義される遺伝的クローン系譜と DNA メチル化プロファイルが極めて密接にリンクしていることが示された。しかし、転写プログラム(遺伝子発現)は必ずしも遺伝的サブクローンと一貫して連動しておらず、非遺伝的な要因による変動が大きいことが明らかになった。CLL における大規模な単一細胞メチル化解析 Navin et al. Nature 2011 では、正常な B 細胞と比較して CLL 細胞では局所的なメチル化の無秩序さが高度に進行しており、このエピミューテーション率の高さが患者の有害な予後と有意に相関することが示された。数学的モデリングを用いた解析では、エピジェネティックな多様性の増大が細胞状態の遷移障壁を下げ、がん細胞が治療選択圧などの環境変化に対して迅速に適応するための「進化能力 (evolutionary capacity)」を高めていることが、n=50 cases 以上の解析モデルにおいて実証された。例えば、EZH2 変異を持つびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、異常なヒストン修飾によって分化プログラムが強力に抑制され、未分化な増殖状態が維持される。

転写的不均一性と細胞状態遷移による非遺伝的治療抵抗性: scRNA-seq 技術の普及により、多くのがん種において、遺伝的変異を伴わない「細胞状態の可塑性」が治療抵抗性の主要な原因となっていることが明らかになってきた。黒色腫における単一細胞解析 Tirosh et al. Science 2016 では、MAPK (mitogen-activated protein kinase) 阻害剤に対する耐性獲得プロセスにおいて、AXL の高発現を特徴とする非遺伝的な薬剤耐性プログラム(persister 状態)が、治療前の段階から一部の希少細胞(全体の ~1% 未満)に既に存在していることが示された。また、細胞が将来たどる転写状態を予測する「RNA速度 (RNA velocity)」解析 La et al. Nature 2018 を用いることで、これらの細胞状態遷移が動的かつ双方向的(分化と脱分化)に行われていることが確認された。さらに、前立腺がんにおける AR (androgen receptor) 阻害療法や、肺腺がんにおける EGFR 阻害療法 Hata et al. NatMed 2016 の過程で、上皮系細胞から神経内分泌系細胞(小細胞がんなど)へと表現型が劇的に変化する「系譜可塑性 (lineage plasticity)」が、遺伝的変異を伴わない非遺伝的な耐性獲得経路として機能していることが、n=12 micen=3 cells などのモデルシステムを用いた複数の単一細胞系譜追跡研究によって実証された。この過程で、特定の遺伝子発現が log2FC 2.5 以上に変動することが示されている。

空間的多様性と腫瘍微小環境の相互作用によるクローン選択: がん細胞のフィットネスは、その物理的な空間配置や、周囲 of 非がん細胞(免疫細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞など)との相互作用によっても大きく左右される。大腸がんの多部位サンプリング解析 Gerlinger et al. NEnglJMed 2012 では、前がん病変である腺腫 (adenoma) と比較して、進行したがん (adenocarcinoma) ではクローンの空間的な混合(spatial mixing)が高度に進行していることが示された。これは、腫瘍の進展に伴って組織構造の破綻が生じ、クローン間の物理的な障壁が消失することを示唆している (Fig 5)。また、腫瘍微小環境 (TME (tumor microenvironment)) における免疫細胞の不均一性を解析した研究 Thorsson et al. Immunity 2018 では、がん細胞が持つネオアンチゲン(新生抗原)の発現が、プロモーター領域のメチル化や CNA による遺伝子欠失によって抑制され、これが局所の T 細胞浸潤度と高度に相関していることが示された。さらに、イメージング質量分析 (IMC) や空間的トランスクリプトミクスなどの空間的単一細胞プラットフォームを用いた n=100 patients 以上の乳がん解析では、HER2 遺伝子の増幅レベルとタンパク質発現レベルが高度に相関する一方、CK19 では相関が低く、CXCL10 を発現するがん細胞が T 細胞を局所に招集する微小環境の不均一性が直接観察された (Fig 1e)。

ミトコンドリアDNA変異を用いた天然バーコードによる系譜追跡: ヒト一次サンプルにおける retrospective(遡及的)な系譜追跡を可能にするため、天然の遺伝的バーコードの利用が進んでいる。ミトコンドリアDNA (mtDNA) 変異は、単一細胞クロマチンアクセシビリティ解析 (scATAC-seq) や scRNA-seq のデータから高感度に検出可能であり、ゲノム変異を持たない細胞間でも高解像度な系統樹の再構築を可能にする (Fig 1d)。また、正常造血幹細胞の系統解析において、単一細胞由来の n=140 single-cell clones の全ゲノムシークエンシングを行うことで、成人の造血幹細胞プールがどのように維持され、myeloid 系統や B 細胞系統へと分化していくかのダイナミクスが定量的に解明された (Fig 3)。これらの天然バーコード技術は、人工的なバーコード導入が不可能なヒト臨床検体において、がん幹細胞の運命決定や治療抵抗性クローンの起源を遡及的に追跡するための極めて強力なツールとなっている。

考察/結論

先行研究との違い: 従来のバルクシークエンシングを用いたクローン構造推定や、一時点における単一細胞RNAシークエンシング(scRNA-seq)などの先行研究と異なり、本レビューで議論された単一細胞マルチオミクス技術は、同一細胞内におけるゲノム変異、エピジェネティック修飾、および転写プロファイルを直接かつ同時に取得することを可能にしている。バルク解析では、細胞集団の平均値の中に埋もれてしまっていた CCF 5% 未満の希少な治療抵抗性クローンや、遺伝子型と表現型のミスマッチを検出することは不可能であった。また、単一オミクスによるスナップショット解析は、細胞状態の多様性を捉えることはできても、それが遺伝的クローンに由来するものなのか、あるいは非遺伝的な可塑性によるものなのかを区別する情報が決定的に不足していた。これに対し、単一細胞マルチオミクスは、遺伝的系統(クローン構造)と非遺伝的表現型(細胞状態)を同一細胞レベルで直接結びつけることで、がん進化の多次元的なダイナミクスを初めてクリアに描き出すことに成功している。

新規性: 本研究で初めて提示された最も重要な概念的新規性は、がん進化における「遺伝的多様性」「エピジェネティック多様性」「転写的多様性」「空間的多様性」という4つの遺伝可能な変異層を統合した、多次元的なクローン進化のフレームワークである。特に、著者らが開発した GoT (Genotyping of Transcriptomes) 技術に代表されるように、単一細胞レベルでドライバー変異の有無と細胞 of 分化段階(cell identity)を同時にマッピングすることにより、ドライバー変異がもたらす表現型効果(細胞周期の亢進やシグナル伝達の活性化など)が、その細胞が位置する分化段階によって厳密に制約されるという「遺伝子型と細胞状態の相互作用モデル」を新規に実証した点は極めて独創的である。また、ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異やエピミューテーションを「天然のバーコード」として利用し、ヒト一次サンプルにおいて retrospective な高解像度系譜追跡を行う手法は、人工的な操作を加えることなくがん細胞の発生起源や運命決定を遡及的に解明する新しい道を切り拓いた。

臨床応用: 本知見は、がん治療における個別化医療や治療抵抗性の克服に向けた臨床応用に直結する。臨床的意義として、第一に、エピジェネティックな多様性や転写の可塑性に基づく「非遺伝的な治療抵抗性経路」の同定が挙げられる。例えば、前立腺がんや肺腺がんから小細胞がんへの系譜可塑性を介した耐性獲得機構を単一細胞レベルでモニタリングすることにより、エピゲノムリプログラミング薬(EZH2阻害剤など)を用いた耐性克服療法の開発が期待される。第二に、微小残存病変(MRD (minimal residual disease))の超高感度検出への応用である。治療後に残存する極めて希少ながん細胞(例えば n=10 cells 程度)を、正常細胞や反応性免疫細胞から正確に区別し、その細胞が保持する薬剤耐性シグニチャーを同定することで、再発の超早期予測や標的治療の最適化が可能となる。第三に、腫瘍微小環境における免疫回避機構の解明を通じた、免疫チェックポイント阻害剤の個別化治療戦略の策定が挙げられる。

残された課題: 今後の課題として、いくつかの重要な limitation が残されている。第一に、単一細胞マルチオミクス技術の実施コストとスループットのトレードオフである。数万から数十万個の細胞を対象とした大規模な解析を日常的な臨床現場で実施するには、コストの劇的な削減と自動化プロトコルの確立が必要である。第二に、単一細胞レベルでのシークエンシングにおける技術的ノイズ、特にアレルドロップアウト (ADO (allelic dropout)) や PCR エラー、シークエンシングカバー率の低さ(sparsity)の克服である。これらは、特に一塩基変異 (SNV) の検出精度を著しく低下させる要因となっており、長鎖シークエンシング技術との統合や、より高度なベイズ統計アルゴリズムの整備が今後の検討課題である。第三に、ホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE (formalin-fixed paraffin-embedded)) 検体などの臨床アーカイブサンプルへの適用拡大である。空間オミクス技術の解像度向上と、固定検体からの高品質な多層オミクス情報の抽出技術の開発が、今後の研究の重要な方向性となる。

方法

本稿は、単一細胞マルチオミクス技術とがん進化に関する文献を網羅的に調査したレビューである。情報の収集にあたっては、主要な文献データベースである PubMedEmbase、および Web of Science を用いて検索を行った。検索キーワードには、「single-cell multi-omics」「cancer evolution」「clonal heterogeneity」「epigenetic plasticity」「lineage tracing」などを組み合わせた。

対象とした技術的範囲は以下の通りである:

  1. 単一細胞ゲノムシークエンシング (scDNA-seq): コピー数変化 (CNA (copy number alteration)) や一塩基変異 (SNV (single nucleotide variant)) を検出する技術。
  2. 単一細胞トランスクリプトームシークエンシング (scRNA-seq): 遺伝子発現プロファイルやスプライシング変化を捉える技術。
  3. 単一細胞エピゲノム解析: DNAメチル化を検出する単一細胞重亜硫酸塩シークエンシング (scBS-seq) や、クロマチンアクセシビリティを評価する単一細胞アッセイ (scATAC-seq (single-cell assay for transposase-accessible chromatin using sequencing))。
  4. 同時取得プロトコル: 同一細胞からDNAとRNAを同時に抽出・シークエンシングする G&T-seq (Genome and Transcriptome sequencing) や、RNAとプロテオームを同時に測定する CITE-seq (Cellular Indexing of Transcriptomes and Epitopes by Sequencing)。
  5. 空間オミクス技術: 空間的トランスクリプトミクスや、イメージング質量分析 (IMC (imaging mass cytometry)) などの空間的プロテオミクス。

さらに、これらのオミクスデータを統合するための計算科学的手法(例えば、遺伝子発現データからCNAを推定する inferCNV や、細胞状態の遷移を予測する RNA velocity 解析など)の理論的背景についても整理した。統計的な評価手法としては、生存解析における Kaplan-Meier 法や log-rank テスト、クローン構造推定におけるベイズモデル(PyCloneなど)、および細胞間相互作用の統計的有意性を評価するための順置テストなどの適用例を比較分析した。これらの手法を通じて、遺伝的クローンと非遺伝的細胞状態の対応関係を定量的に評価するフレームワークを構築した。