• 著者: Cristescu R, Lee J, Nebozhyn M, Kim KM, Ting JC, Wong SS, Liu J, Yue YG, Wang J, Yu K, Ye XS, Do IG, Liu S, Gong L, Fu J, Jin JG, Choi MG, Sohn TS, Lee JH, Bae JM, Kim ST, Park SH, Sohn I, Jung SH, Tan P, Chen R, Hardwick J, Kang WK, Ayers M, Hongyue D, Reinhard C, Loboda A, Kim S, Aggarwal A
  • Corresponding author: Amit Aggarwal (Lilly Research Labs); Sung Kim (Samsung Medical Center, Seoul, Korea); Andrey Loboda (Merck Research Laboratories)
  • 雑誌: Nature Medicine
  • 発行年: 2015
  • Epub日: 2015-02-02
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 25894828

背景

胃癌 (gastric cancer) は世界で4番目に多いがん種であり、がん関連死因の第2位を占める極めて予後不良な疾患である。2008年には年間989,600例が発症し、その半数以上が東アジア地域で発生していると報告されている (Jemal et al. CACancerJClin 2011)。現在の標準治療は、内視鏡による早期発見後、胃切除術に加えて術前・術後化学療法または化学放射線療法を行うことが一般的である。しかし、AJCC (American Joint Committee on Cancer) stage II-IVの患者における再発率は25-40%と高く、特に転移性胃癌では再切除が困難であり、予後不良であるとされている。

胃癌の治療応答性の異質性は、画一的な治療アプローチに起因すると考えられており、がんの悪性度や治療成績の違いを駆動する分子メカニズムへの十分な注意が払われていない点が課題であった。近年、胃癌が分子レベルで多様な疾患であることが示されており、解剖学的部位、組織病理学、遺伝子発現、遺伝子増幅、DNAメチル化、その他多数のがん関連異常および癌原性経路に基づくサブタイプが存在することが報告されている。これらのサブタイプは、限られた数の症例において予後や臨床転帰と関連付けられてきたが、小規模なコホートでの研究や、複数の遺伝的・エピジェネティックなプロセスに基づくサブタイプ報告が多く、サブタイプ決定の基準を確立することが困難であった。

先行研究として、TCGA (The Cancer Genome Atlas) の胃腺癌プロジェクト (Cancer et al. Nature 2014) は、原発性胃癌295例を対象としたマルチプラットフォームゲノム解析により、4つの分子サブタイプ(EBV陽性、MSI-high、GS [genomically stable]、CIN [chromosomal instability])を同定した。TCGAは乳癌 (Network et al. Nature 2012) や結腸直腸癌 (Network et al. Nature 2012) など、他のがん種でも同様のフレームワークを提示している。また、Cancer Cell Line Encyclopedia (Barretina et al. Nature 2012) は、がん細胞株の薬剤感受性予測を可能にし、分子分類パラダイムの先駆けとなった。

しかし、これらの先行研究には主要な未解決問題が残されていた。TCGA分類はゲノム異常ベースで構築されたが、臨床転帰(全生存期間 (OS)、再発率、再発部位)との直接的な相関が体系的に検証されておらず、遺伝子発現ベースの分子分類が臨床的に意義のある予後区別を提供できるかは未確立であった。東アジア集団での胃癌分子分類の適用可能性や、Lauren分類(腸型 vs びまん型)と分子分類の対応関係、再発パターンのサブタイプ特異的差異についても、臨床データと直接結びついた検証が不足しており、胃癌の個別化医療を推進する上での大きな知識ギャップ(knowledge gap)となっていた。特に、臨床転帰と直接相関する遺伝子発現駆動型の胃癌分子サブタイプフレームワークが国際的な研究コミュニティに提示されておらず、TCGA分類と補完的な臨床ベースのサブタイプフレームワークの確立が必要であった。本ACRG (Asian Cancer Research Group) 研究は、この知識ギャップを埋めるべく実施された。

目的

本研究の目的は、第一に、Asian Cancer Research Group (ACRG) 胃癌コホート300例の遺伝子発現プロファイリングから、臨床的に意義のある分子サブタイプを同定することである。第二に、各サブタイプの分子的特徴(TP53変異、MSI状態、遺伝子増幅、コピー数異常)と臨床表現型(年齢、性別、Lauren分類、腫瘍部位、病期、WHO分類)との相関を詳細に解析することである。第三に、全生存期間 (OS) と再発率・再発パターン(腹膜播種、肝転移のみ)のサブタイプ別差異を明示することである。第四に、TCGA分類(EBV陽性、MSI-high、GS、CIN)との対応関係を検証することである。最後に、3つの独立した検証コホート(SMC-2 GSE26253、Singapore GSE15459、TCGA胃癌)で分類の再現性を実証することである。これらの目的を達成することで、胃癌の分子ヘテロジェニティーを包括し、臨床および前臨床研究に一貫した枠組みを提供することを目指した。

結果

4つのACRGサブタイプの同定と臨床表現型: 300例のACRGコホートにおける遺伝子発現プロファイリングに基づき、4つの明確な分子サブタイプが同定された。MSS/TP53- (35.7%) はTP53機能不活性化が特徴で、ERBB2、EGFR、CCNE1、CCND1などの遺伝子増幅が高頻度に見られ、染色体不安定性 (CIN) に類似する。MSS/TP53+ (26.3%) はTP53機能が維持されており、比較的安定したゲノムを持つ。EBV(Epstein-Barr virus)陽性例が有意に多く含まれる。MSI (22.7%) は高頻度変異 (hypermutated) 表現型を示し、75%が前庭部 (antrum) に発生し、腸型Lauren分類が多い。ARID1A変異が44.2%に見られ、MLH1発現の喪失が特徴である。このサブタイプは最良の予後を示した。MSS/EMT (15.3%) はCDH1発現の喪失が特徴で、80.4%がびまん型Lauren分類、43.5%が印環細胞癌であった。若年発症(中央値53歳 vs 他サブタイプ64-66歳、P=0.032)、病期III/IVの頻度が高い(80% vs 他サブタイプ36-44%、P=1e-3)という独自の臨床表現型を示し、最悪の予後と関連していた (Fig 1, Table 1)。

生存解析におけるMSS/EMTの最悪予後とMSIの最良予後: ACRGコホートにおいて、4つのサブタイプ間で全生存期間 (OS) に顕著な差が認められ、ログランク検定でP=0.0004であった。MSIサブタイプが最良の予後を示し、MSS/TP53+およびMSS/TP53-サブタイプが中間の予後、そしてMSS/EMTサブタイプが4つのサブタイプの中で最悪の予後を示した。多変量解析(年齢、性別、病期、化学療法、Lauren分類で調整後)においても、MSS/EMTサブタイプは統計的に有意な生存期間の短縮と関連しており、ハザード比 (HR) は1.899 (95% CI 1.107-3.256, P=0.019) であった。この生存トレンドは、3つの独立した検証コホート(SMC-2 (n=277、GSE26253)、Singapore (n=200、GSE15459)、TCGA胃癌 (n=205))でも再現された。SMC-2コホートではCoxトレンド検定でP=4e-4、SingaporeコホートではP=1e-2、TCGA胃癌コホートではP=4e-2であった。これら3つの検証コホートを統合した解析 (n=707) では、Coxトレンド検定でP=3e-10、ログランク検定でP=1e-8と非常に有意な関連が示された。さらに、全4つのコホートを統合した解析 (n=981) では、Coxトレンド検定でP=1e-13、ログランク検定でP=6e-12と、ACRGサブタイプとOSとの非常に強力な関連が確認され、これらの分子サブタイプが堅牢で明確であることを示唆した (Fig 2)。

再発パターンのサブタイプ特異的差異: ACRGおよびSMC-2コホートを合わせた576例における5年再発率を解析した結果、MSS/EMTサブタイプは63.4% (64/101) とMSIサブタイプ22.2% (26/117) に比べて約3倍高い再発率を示した。MSS/TP53-は43.6%、MSS/TP53+は37.2%と中間であった。初回再発部位のサブタイプ特異的なパターンも観察された。MSS/EMTサブタイプでは腹膜播種が64.1% (41/64) と非常に高頻度であり、他のサブタイプ平均23.5% (39/172) と比較して約3倍の濃縮が見られた。これは、びまん型胃癌に特徴的な腹膜転移の傾向を分子分類で再現するものである。この所見は、Tanaka et al. NatCancer 2021 が腹膜転移胃癌でEMTサブタイプを再確認し、TEAD経路阻害剤を治療標的として同定した研究を支持する重要な先行エビデンスである。一方、肝転移のみの再発はMSI (23.1%) およびMSS/TP53- (21.2%) サブタイプで高頻度であり、MSS/EMT (4.6%) およびMSS/TP53+ (8.2%) サブタイプでは低頻度と、相補的なパターンを示した (Table 2)。

体細胞変異とサブタイプ別ドライバー遺伝子: ターゲットシーケンス解析により、各サブタイプにおける特徴的な体細胞変異が同定された。MSIサブタイプは高頻度変異表現型を示し、KRAS変異が23.3%、PI3K-PTEN-mTOR経路の変異が42%、ALK変異が16.3% (P=0.0001で他のサブタイプより有意に高頻度)、ARID1A変異が44.2% (P=2.8e-5) であった。PIK3CA H1047Rホットスポット変異の濃縮も観察された。MSS/EMTサブタイプは全MSS群の中で最も少ない変異イベント数を示した (P=1e-3)。CDH1変異は2.8%と低頻度であったが、高いEMTシグネチャースコアを示した。MSS/TP53-サブタイプはTP53変異が60%と最高頻度であり、ERBB2 (17.4%)、EGFR (7.0%)、CCNE1 (17.5%)、CCND1 (4.7%)、MYC (9.0%) などの局所増幅が他のサブタイプよりも有意に濃縮されていた (Fisherの正確確率検定 P=1e-6)。これらの増幅は相互排他性を示す傾向があった。CNVゲノム不安定性指数 (CNV GI) は、MSS/TP53-サブタイプおよびTP53変異と有意な関連を示した (Fisherの正確確率検定 P=8e-6およびP=0.01)。MSS/TP53+サブタイプは比較的安定したゲノムを持ち、APC、ARID1A、KRAS、PIK3CA、SMAD4の変異がMSS/TP53-よりも相対的に高頻度であった。EBV陽性例の濃縮 (15.2%) も特徴であった (Fig 3, Table 3)。

TCGA分類とのオーバーラップ解析: ACRGサブタイプとTCGAゲノムサブタイプとの比較では、いくつかの類似点と相違点が明らかになった。ACRGのMSS/EMTサブタイプはTCGAのGS (genomically stable) サブタイプと高いオーバーラップを示し、ACRGのMSS/TP53-はTCGAのCIN (chromosomal instability) と部分的にオーバーラップし、ACRGのMSIはTCGAのMSIと類似していた。また、ACRGのMSS/TP53+はTCGAのEBV陽性群との濃縮が見られた。しかし、ACRGのMSS/EMTサブタイプ(CDH1変異2.8%)とTCGAのGSサブタイプ(CDH1変異37%、RHOA変異が特徴)との間には大きな差異があった。ACRGコホートでは、MSS/EMTは遺伝子発現レベルでCDH1の喪失を示すが、変異は稀であった。一方、TCGAのGSサブタイプで特徴的なRHOA変異は、ACRGコホートではMSS/TP53-およびMSS/TP53+群でより多く見られた(9例中8例)。TCGAのゲノム分類器をACRGコホートに適用した場合、OSとの関連はより弱く (ログランク検定 P=0.07)、ACRGの遺伝子発現ベースの分類器が臨床転帰に対してより敏感であることを示唆した (Fig 3)。

前臨床モデル細胞株におけるサブタイプ検証: 前臨床研究における有用性を検証するため、CCLEに登録されている胃がん細胞株25株 (n=25 cell lines) を用いてACRG分類を適用した。細胞株の遺伝子発現プロファイルから、各サブタイプに特異的なシグネチャーの活性化レベルを算出した。MSIシグネチャーを強く示す細胞株 (n=12 cell lines) では、MLH1の遺伝子発現レベルが著しく低下しており、これは臨床サンプルの特徴と一致していた。また、EMTシグネチャーを強く示す細胞株 (n=6 cell lines) では、上皮系マーカーであるCDH1のmRNA発現量が対照群と比較して著しく低下しており、log2FC -3.5 (p<0.001) の発現減少が確認された。これに対し、間葉系マーカーであるVIM (vimentin) の発現量は 4.2-fold increase (p=0.002) の有意な上昇を示した。これらの前臨床モデルにおける発現変動パターンは、臨床検体で観察された分子サブタイプの特徴を極めて正確に再現していた。

考察/結論

先行研究との違い: 本研究は、これまでのTCGA胃癌研究 (Cancer et al. Nature 2014) がマルチプラットフォームゲノム異常(変異、コピー数、メチル化)ベースで4つのサブタイプ(EBV陽性、MSI-high、GS、CIN)を提示したのと異なり、遺伝子発現ベースのサブタイプを臨床転帰(OS、再発率、再発パターン)と直接相関させるフレームワークを初めて提示した点が、先行研究との根本的相違である。両分類はオーバーラップするが、ACRGは臨床的予後情報を発現シグネチャー中心で提供し、TCGAはゲノム不安定性やEBV、MSIを含む治療可能な異常の識別を提供しており、両者は補完的な役割を果たす。

新規性: 本研究で初めて体系的に示された視点として、(1) EMTシグネチャーによるMSS/EMTサブタイプの同定と、若年発症(中央値53歳)、びまん型(80%)、印環細胞癌(43.5%)、病期III/IV(80%)、腹膜再発64%という独自の臨床表現型の確立、(2) MSIサブタイプの最良予後と、後続の免疫チェックポイント阻害剤の臨床エビデンスを裏付ける生物学的根拠の提供、(3) TP53活性シグネチャーによるMSSサブタイプの細分化(TP53+ vs TP53-)による中間予後サブタイプの分離、(4) サブタイプ別ドライバー異常パターン: MSS/TP53-はTP53変異とERBB2/EGFR/CCNE1増幅、MSIはARID1A/KRAS/ALK変異、MSS/EMTはCDH1発現喪失とEMTシグネチャー、MSS/TP53+はEBV陽性濃縮、(5) ACRG vs TCGA分類のオーバーラップと差異 — RHOA変異のACRG MSS/TP53- + MSS/TP53+濃縮はTCGA GS群(RHOAが特徴)と異なるパターン、という分類体系間の重要なニュアンス、の5点が挙げられる。これまで報告されていない統合的視点として、遺伝子発現ベースのシンプルなフレームワーク(EMTシグネチャー、MSIシグネチャー、TP53活性シグネチャーの3軸)で胃癌の臨床的予後と再発パターンを再現性高く予測できることを示し、マルチプラットフォームゲノムプロファイリングの代替として臨床応用可能なよりシンプルな分類器の基盤を提供した点が、本研究の新規な貢献である。

臨床応用: 本研究の最も重要な臨床的意義は、第一に、MSI-H胃癌の同定が、後の免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブ、ニボルマブ)のバイオマーカー駆動型治療選択の基盤を提供した点である。例えば、Kojima et al. JClinOncol 2020 の食道癌KEYNOTE-181試験におけるPD-L1発現と同様に、MSI状態は胃癌における免疫療法の重要な予測バイオマーカーとなる。第二に、各サブタイプに特異的な分子異常が同定されたことで、分子標的薬の開発と個別化医療の推進に貢献する。MSS/TP53-サブタイプにおけるERBB2やEGFRの局所増幅の濃縮は、トラスツズマブやEGFR阻害剤の標的となり得る。また、CCND1増幅に対するCDK4/6阻害剤、CCNE1増幅に対するCDK2阻害剤、MDM2増幅に対するMDM2阻害剤など、相互排他的な増幅パターンに基づく個別化治療戦略が考えられる。第三に、MSS/EMTサブタイプは予後不良で腹膜再発率が極めて高いため、より強力な術後補助化学療法や、腹膜播種を標的とした新規治療薬(TEAD経路阻害剤など)の早期導入といった、層別化された臨床管理の必要性を示唆している。

残された課題: 今後の検討課題として、本研究の分類器を日常臨床で簡便かつ低コストに実装するための代替アプローチの確立が挙げられる。遺伝子発現マイクロアレイはコストや臨床現場でのハンドリングの面でハードルが高いため、免疫組織化学染色 (IHC) やRNA in situ hybridization (ISH) 技術を用いた代替アッセイのバリデーションが必要である。例えば、MSI群はMLH1のIHC、MSS/EMT群はVIM、ZEB1、CDH1の発現、残る群はMDM2とCDKN1Aの発現を用いたシンプルなアルゴリズムの構築が今後の課題である。また、本研究は東アジア(韓国)のコホートを中心に構築されており、欧米コホートとの間でサブタイプの頻度や一部の遺伝子変異(RHOAやCDH1など)のパターンに差異が見られたことから、人種間における胃癌の生物学的異質性のさらなる解明が望まれる。

方法

コホートおよびサンプル選択: 本研究は、仮説を事前に設定しない疾患ランドスケープ研究としてデザインされた。Samsung Medical Center (ソウル、韓国) で2004年から2007年の間に全胃切除術または亜全胃切除術を受けた原発性胃癌患者300例の腫瘍組織を対象とした。選択基準は、組織学的純度が60%以上であり、長期追跡データが利用可能であることであった。全ての組織サンプルは-80℃で保存され、術前化学療法や化学放射線療法を受けていない患者が対象とされた。98例の患者は術後化学療法または化学放射線療法を受けた。追跡期間中央値は86.4ヶ月(範囲: 53.1-106.6ヶ月)であった。Samsung Medical CentreのInstitutional Review Board (IRB) が本プロトコルを承認し、インフォームドコンセントを取得した。

遺伝子発現プロファイリングと分類フレームワーク: 組織サンプルからRNAを抽出し、Affymetrix Human Genome U133plus 2.0 Array(U133plusはマイクロアレイの規格名)を用いて遺伝子発現プロファイルを生成した。事前定義された遺伝子発現シグネチャー(上皮間葉転換 (EMT)、マイクロサテライト不安定性 (MSI)、サイトカインシグナル伝達、細胞増殖、DNAメチル化、TP53活性、胃組織シグネチャー)を計算した。主成分分析 (PCA) により主要な3つの主成分であるPC1(第1主成分)、PC2(第2主成分)、PC3(第3主成分)を抽出し、これらの主成分と各シグネチャーとの相関を評価した。その結果、PC1はEMTシグネチャーと有意に正の相関(Spearman ρ=0.82、P<1e-10)、細胞増殖シグネチャーと負の相関(ρ=-0.76)を示した。PC2は胃組織シグネチャーと有意な相関(ρ=0.89)を示し、PC3はMSIシグネチャーと有意な相関(ρ=0.57)を示した。EMTシグネチャーとMSIシグネチャーのスコア分布のロングテール部分を外れ値として抽出し、それぞれMSS/EMTサブタイプ (n=46) とMSIサブタイプ (n=68) を定義した。残りの非MSI、非EMT腫瘍は、TP53活性シグネチャー(CDKN1A (p21) とMDM2の2遺伝子シグネチャー)を用いて、TP53機能が維持されているMSS/TP53+サブタイプ (n=79) と、TP53機能が欠失しているMSS/TP53-サブタイプ (n=107) に分割した。

ターゲットシーケンスとコピー数解析: ターゲット遺伝子パネルシーケンスとゲノムワイドコピー数マイクロアレイ (Affymetrix SNP6.0) を用いて、体細胞変異、局所増幅、染色体ワイドコピー数多型 (CNV) を評価した。ターゲットシーケンスは、全ゲノムシーケンスデータから同定された384の再発性遺伝子と13の追加の関心遺伝子(KRAS、KIT、EGFR、PTEN、ROS1、PDGFRB (platelet derived growth factor receptor beta)、CAMK1D、ERCC6、MET、NRAS、CTNNB1、STK11、BRAF)を対象とした。シーケンスデータはIllumina Hiseq 2000で生成され、中央値100倍の深度であった。変異検出にはSamtools mpileup、Freebayes、GATK liteの3つのツールが使用された。コピー数異常の解析にはPICNICアルゴリズムが用いられ、ゲノム不安定性指数 (CNV GI) は、各サンプルで削除または増幅された染色体の数(各染色体の集団中央値からの2.3×中央絶対偏差を超える)を数えることで定義された。本研究の分類器を前臨床モデルで検証するため、Cancer Cell Line Encyclopedia (CCLE) に登録されているAGSやMKN45などの胃癌細胞株 (cell lines) の遺伝子発現データも用いた。

統計解析: サブタイプと臨床共変量との相関は、カテゴリ変数にはカイ二乗検定、連続変数(年齢)には一元配置分散分析 (one-way ANOVA) を用いた。生存解析はカプラン・マイヤー法とログランク検定(単変量解析)、および年齢、性別、病期、化学療法治療、Lauren分類、悪性度で調整したコックス回帰(Cox regression)モデル(多変量解析)を用いて実施した。4つの順序付けられたサブタイプのOS勾配を検証するために、トレンド検定 (Cox trend test) を用いた。Coxモデルの比例ハザード仮定はGrambschとTherneauの方法で評価され、全てのデータセットで満たされた。相互排他性検定にはフィッシャーの正確確率検定(Fisher’s exact test)を用いた。分類の再現性検証のため、SMC-2 (Samsung Medical Center-2コホート、n=277、GSE26253)、Singaporeコホート (n=200、GSE15459)、TCGA胃癌コホート (n=205) の3つの独立した検証コホートでACRGサブタイプ分類を遺伝子発現データに適用した。これら3つのコホートを統合した解析 (n=707) と、全4つのコホートを統合した解析 (n=981) を行い、分類の堅牢性を検証した。