- 著者: Liangyu Zhang, Jianshen Zeng, Junkai Wen, Zhenyuan Yang, Zhiyi Tian, Menglong Zhang, Xun Zhang, Bin Zheng, Yilin Lin, Fancai Lai
- Corresponding author: Bin Zheng, Yilin Lin, Fancai Lai (Fujian Medical University)
- 雑誌: npj Precision Oncology
- 発行年: 2026
- Epub日: 2026-04-29
- Article種別: Original Article
- PMID: 42115771
背景
非小細胞肺がん(NSCLC)は、世界的にがん関連死亡の主要な原因であり、全肺がんの約85%を占める Sung et al. CACancerJClin 2021。免疫チェックポイント阻害薬(ICB)療法は、進行NSCLC患者に対する第一選択治療として治療戦略を大きく変革したが Mok et al. Lancet 2019、内因性または獲得性耐性が頻繁に発生し、臨床的有効性が限定されるという課題が残されている。早期NSCLC患者に対する術前補助化学免疫療法も、主要病理学的奏効(MPR)率および病理学的完全奏効(pCR)率を大幅に向上させることが複数の臨床試験で検証されている Forde et al. NEnglJMed 2022。しかし、ICBに対する耐性メカニズムの解明と、治療効果を予測する新規バイオマーカーの特定は喫緊の課題である。
腫瘍微小環境(TME)は、腫瘍の発生、進行、転移、および治療抵抗性に深く関与している Binnewies et al. NatMed 2018。免疫療法はTMEの動的な再構成を誘導し、これが治療応答性を相互に調節する。特に、腫瘍浸潤T細胞のクローン増殖がICBに対する良好な応答と強く相関することが示されており Yost et al. NatMed 2019、T細胞の多様性が治療効果に重要な役割を果たすことが強調されている。従来のバルク転写解析やゲノム解析は腫瘍生物学の理解を進めてきたが、特定の細胞集団(例:腫瘍幹細胞や治療応答性免疫細胞)からのシグナルはマスキングされるという限界があった Stuart et al. Cell 2019。シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)はこれらの限界を克服し、細胞解像度での腫瘍異質性や分子メカニズムの高解像度解析を可能にする。先行研究では、NSCLCにおける術前補助化学免疫療法後の免疫細胞の状況をscRNA-seqで解析し、特定の免疫学的イベントが良好な臨床応答と有意に関連することを示した Zhang et al. JImmunotherCancer 2021。
「ホット」腫瘍(高CD8+T細胞浸潤、高免疫エフェクター遺伝子発現、活性型インターフェロンガンマシグナル)と「コールド」腫瘍(低CD8+T細胞密度、低免疫浸潤、免疫抑制細胞・シグナルの優位性)の二分法は、ICB応答の生物学的基盤として注目されているが、これを規定する特定のT細胞サブセットや免疫抑制シグナルの分子実体は未解明であった Thorsson et al. Immunity 2018。既存の予後バイオマーカー(PD-L1、TMB)はいずれも一定の限界があり、TMEの免疫状態を包括的に反映する新規バイオマーカーの開発が不足している。特に、免疫抑制的なTMEを「ホット」な状態に転換させるための治療標的の同定は、ICBの有効性を高める上で重要な課題である。本研究は、この知識ギャップを埋めることを目指した。
目的
本研究の目的は、バルクおよびシングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)の統合解析を通じて、NSCLCにおける免疫療法奏効と耐性に関連する腫瘍微小環境(TME)特性を解明することである。具体的には、以下の3点を目的とした。
- 奏効群に特異的なCD8+T細胞サブセットの同定と新規バイオマーカーの確立: 免疫療法奏効群に特異的に増加するCD8+T細胞サブセットを同定し、そのマーカー遺伝子(ZNF683)が免疫療法応答性の堅牢な予測因子として機能することを確立する。ZNF683は複数のがん種および独立コホートにおいて免疫療法応答と一貫して関連し、ROC解析ではPD-L1と同等の予測能力を示すことが期待される。
- 機械学習を用いたロバストな予後スコア(ZNFRS)の構築と検証: ZNF683+CD8+T細胞に関連する遺伝子群から、機械学習アルゴリズムを最適化して堅牢な予後スコア(ZNFRS: ZNF683+CD8+T cell-related Riskscore)を構築し、複数の独立した肺腺がん(LUAD)コホートでその予後予測能力を検証する。このスコアは、TMBとは独立した免疫抑制状態を定量化するバイオマーカーとして機能することを目指す。
- 免疫抑制の鍵ドライバーの特定と治療標的としての有効性の実験的検証: 高ZNFRS腫瘍および非奏効腫瘍に特徴的な「コールドTME」を規定する免疫抑制シグナル(SPP1経路)を特定し、in vivo実験を通じてSPP1阻害が免疫抑制を解除し、抗PD-1療法の効果を増強する治療標的として有効であることを検証する。特に、SPP1-CD44軸およびSPP1-ITGA4/ITGB1軸が免疫抑制を媒介するメカニズムを解明する。
結果
ZNF683+CD8+T細胞が免疫療法奏効と強く関連: GSE207422コホート(術前補助抗PD-1/化学療法を受けたNSCLC患者12名)のscRNA-seq解析により、11の異なる細胞クラスターが同定された (Figure 2A, B)。主要病理学的奏効(MPR)群と非主要病理学的奏効(NMPR)群のTMEを比較した結果、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞の割合がMPR群で有意に高く、特にCD8+T細胞で最も顕著な差が認められた (Figure 2C)。IMvigor210コホートへのCIBERSORTxデコンボリューション解析でも、完全奏効/部分奏効(CR/PR)患者で有意に高いCD8+T細胞比率が確認され(AUC=0.695)、高浸潤が有意な全生存期間(OS)改善と相関した (Figure 2D, E)。CD8+T細胞のサブクラスタリングにより、6つのサブセット(CD8Tnaive, CD8Tex, CD8Tproli, CD8T_GZMK, CD8T_ZNF683, CD8T_FOS)が同定され (Figure 3A, B, C)、このうちCD8T_ZNF683サブセットのみがMPR群で特異的に増加していた (Figure 3D)。軌跡解析では、CD8T_ZNF683がMPRからNMPR状態への分岐点の近傍に位置し、免疫療法応答性の調節に重要な役割を果たす可能性が示唆された (Figure 3E)。NMPR群ではSPP1シグナリングが骨髄細胞・上皮細胞からCD8+T細胞、CD4+T細胞、NK細胞への経路として特異的に活性化されており(SPP1-CD44軸、SPP1-ITGA4/ITGB1軸)、MPR群では検出されなかった (Figure S1C, D)。
ZNF683の汎がん的な免疫療法予測バイオマーカーとしての価値: ZNF683の発現はGSE207422データセットにおいてCD8+T細胞に偏在することが示された。GSE146100、GSE189357、GSE150938の3つの独立NSCLC scRNA-seqデータセットおよびTISCHデータベースの10がん種で、ZNF683発現がCD8+T細胞に有意に濃縮されていることが確認された (Figure 3F, S2)。空間転写解析(GSE189487)では、ZNF683とCD8A/CD8Bの共局在が確認された (Figure 3G)。TCGA-LUADコホートでは、ZNF683がCD8+T細胞マーカー(CD3D, CD3E, CD8A, CD8B)と有意な正相関を示した (Figure 3H)。高ZNF683発現群は、免疫細胞浸潤の増加 (Figure S3A) および免疫関連分子の高発現 (Figure S3B) を示し、特に細胞傷害性T細胞およびCD8+T細胞と最も強い相関を示した。ZNF683高発現は、早期Tステージ、Nステージ、臨床ステージ、および良好な生存アウトカムと有意に関連した (Figure S4C-G)。 複数の独立した免疫療法コホート(NSCLC 4コホート、尿路上皮がんIMvigor210、メラノーマ2コホート、腎細胞癌、胃腺癌、卵巣癌)において、奏効群でZNF683発現が有意に高かった (Figure 4A, B, C)。ROC解析では、ZNF683のAUC値はPD-L1と同等であり、免疫療法奏効を区別する上で堅牢な予測能力を持つことが示された (Figure 4D)。高ZNF683発現患者は有意に良好な予後を示した (Figure 4E)。TCGA-Pancancerコホートでも、ZNF683はCD8+T細胞マーカー(CD8A/CD8B)と有意な正相関を示し (Figure 4F)、MCPcounter、QuantiSeq、EPICの3つの計算アルゴリズムすべてでCD8+T細胞と最も強く相関することが確認された (Figure 4G, H, I)。高ZNF683発現患者はTCGA-Pancancerコホートでより良好な予後を示した (Figure 4J)。
ZNFRSの構築と10コホート検証: ZNF683+CD8+T細胞のマーカー遺伝子から、IL6ST, PIK3IP1, ITGB1, TOX, EIF4A3, ARHGAP25, TACC3, SMC2, PERP, MTHFD2, PKM, PIK3R1, CD74, CENPF, GAPDH, FOSL2, BTG2, LDHA, IL7Rの19遺伝子を選定した。32の機械学習アルゴリズムから296の組み合わせを評価し、最適な「StepCox[forward] + Ridge」組み合わせを選択してZNFRSを構築した (Figure 5A)。この組み合わせは、9つの独立検証コホート全体で最高の平均C-index 0.68 (95% CI: 0.64-0.72) を達成した。10の独立LUADコホートすべてにおいて、高ZNFRS患者は有意に不良な予後を示し (Figure 5B)、ROC解析でも堅牢な予測能が確認された (Figure 5C)。多変量Cox回帰分析により、ZNFRSはすべてのコホートで独立した予後因子としての有意性を維持した (Figure S5)。TCGA-Pancancerコホートでも、高ZNFRSは16のがん種で有意な不良予後と関連し (Figure S6)、汎がん的な予後価値が示された。ZNFRSは、AUC値 (Figure 6A) およびC-index (Figure 6B) の比較において、ほとんどの標準臨床変数を一貫して上回る予後予測能を示した。また、105の既報遺伝子シグネチャとの比較でも、ZNFRSはすべての検証コホートで競争力のある性能を維持した (Figure 6C)。
高ZNFRSの「コールドTME」特性とSPP1経路: 6つのアルゴリズムを用いた免疫浸潤定量解析により、ZNFRSはほとんどの免疫細胞と負の相関を示した (Figure 7A)。抗原提示分子 (Figure 7B)、免疫調節分子 (Figure 7C)、ケモカイン/ケモカイン受容体 (Figure 7D) とも一貫して負の相関が認められた。7つの免疫療法コホートにおいて、高ZNFRSは免疫療法後の不良予後と関連した (Figure S7A)。IMvigor210コホートでの解析では、ZNFRSと腫瘍変異負荷(TMB)は有意な相関を示さず (Figure S7B)、ZNFRSがTMBとは独立した生物学的次元のバイオマーカーであることが確認された。高TMBは良好な生存を予測したが (Figure S7C)、高ZNFRSはTMB-lowおよびTMB-highの両サブグループで不良予後と関連した (Figure S7D, E)。ZNFRS高値の患者は、高変異率(96.31% vs 90.08%)およびゲノム不安定性と関連していた (Figure S8A-I)。 最も重要な知見として、高ZNFRSおよびNMPR状態において、SPP1シグナリング(骨髄細胞・悪性細胞由来→CD8+T細胞、CD4+T細胞、NK細胞)が特異的に活性化されており(SPP1-CD44軸、SPP1-ITGA4/ITGB1軸)、単球・マクロファージがその主要な供給源であった (Figure 8D, E, F)。scRNA-seq解析では、高ZNFRS群は主に骨髄細胞および上皮/悪性細胞集団に濃縮されており (Figure S9G)、悪性細胞が悪性度に関連するプロセス(例:肺がん不良生存、解糖系、低酸素応答)に富む一方、低ZNFRS群は免疫活性化関連経路に富むことが示された (Figure S9J, K)。独立検証コホートGSE241934でも、ZNF683+CD8+T細胞の欠乏とSPP1+マクロファージ優位の免疫抑制が非奏効腫瘍の特性として再現された (Figure 9C, F, G, J, K, L, M)。特に、SPP1+マクロファージサブセットがNMPR腫瘍で有意に増加し (Figure 9J)、非奏効群でT/NK細胞との選択的に増強されたコミュニケーションを示した (Figure 9K)。
SPP1阻害+抗PD-1の相乗効果(in vivo): LLC皮下モデル(n=4 mice/group)を用いたin vivo実験では、抗PD-1単独療法と抗SPP1単独療法はともにPBS対照群と比較して腫瘍増殖を有意に抑制し、併用群が最も強い抑制効果を示した (Figure 10B)。フローサイトメトリーにより、腫瘍浸潤CD8+T細胞数は段階的に増加し(単剤 < 併用でピーク)、IFN-γとグランザイムB産生が併用群で最も顕著に増加した (Figure 10C)。scRNA-seq解析では、抗SPP1処理後にCD8+T細胞の代謝的プログラム優位(ATP代謝、解糖、低酸素応答)から免疫活性化プログラム優位(T細胞活性化、免疫エフェクター機能)への転換が確認された (Figure 11D)。M1様マクロファージ比率の増加とM2様マクロファージ(CD68+CD206+)の減少が免疫蛍光染色でも確認され (Figure 11E, F)、抗SPP1によるTMEの「コールド→ホット」転換が実証された。抗SPP1単独療法では腫瘍増殖が約2.5-fold抑制され、抗PD-1との併用療法では約4.0-foldの抑制効果が観察された (p<0.001)。
考察/結論
本研究は、NSCLC免疫療法耐性のTME機構として、ZNF683+CD8+T細胞の欠乏とSPP1+マクロファージ/単球由来の免疫抑制シグナルという2つの重要な決定因子を同定した。
新規性: 本研究で初めて、ZNF683+CD8+T細胞サブセットがNSCLCにおける免疫療法応答性の重要な予測因子であることを同定した。ZNF683はCD8+T細胞の機能的に活性な亜集団のマーカーとして、複数のがん種・複数の独立コホートで一貫して免疫療法応答と関連し、ROC解析でPD-L1と同等の予測能力を示した。これはZNF683が既存のバイオマーカー(PD-L1、TMB)を補完する新規の免疫療法感受性指標として臨床応用の可能性を持つことを示す。また、機械学習を最適化して構築されたZNFRSは、10の独立LUADコホートおよび16の追加がん種でロバストな予後予測能を維持し、独立予後因子としての妥当性が検証されている。
先行研究との違い: これまでの研究では、TMEの免疫状態を包括的に反映する堅牢なバイオマーカーが不足していた。本研究で開発されたZNFRSは、TMBとは独立した次元でTMEの免疫抑制状態を定量化するバイオマーカーであり、TMB-high患者においても高ZNFRSは不良予後と関連することから、TMBとの組み合わせによる患者層別化が治療選択の最適化に有望である点で、これまでのバイオマーカーとは異なるアプローチを提供する。さらに、SPP1シグナリングの機能的な免疫抑制ドライバーとしての役割は、複数のデータソース(細胞間コミュニケーション解析、独立コホート検証、マウスモデル実験)によって支持されており、抗SPP1抗体と抗PD-1抗体の併用が相乗効果を示したことは、SPP1阻害がコールドTMEをホット化し既存のICI療法を増強しうることを初めてin vivoで実証した。SPP1-CD44軸とSPP1-ITGA4/ITGB1軸の具体的なリガンド-受容体経路が特定されており、これらが治療標的として有望である。
臨床応用: 本研究の知見は、NSCLC患者の免疫療法応答性を予測し、治療選択を最適化するための新規バイオマーカーとしてZNF683およびZNFRSの臨床応用を強く支持する。特に、高ZNFRSを示す「コールドTME」患者に対して、SPP1阻害と抗PD-1療法の併用が有効な治療戦略となる可能性を示唆しており、臨床現場での応用が期待される。SPP1阻害は、免疫抑制的なTMEを免疫活性化状態に転換させ、既存の免疫チェックポイント阻害薬の有効性を高めるための有望な翻訳戦略を提供する。
残された課題: 本研究にはいくつかのlimitationがある。第一に、発見コホートのサンプルサイズが小さく(MPR n=4, NMPR n=8)、ZNFRSの臨床有用性を確認するには大規模前向き試験が必要である。第二に、マウスモデル(LLC細胞株)とヒト癌のTMEには差異が存在する可能性があり、結果のヒトへの外挿には注意が必要である。第三に、scRNA-seqデータの技術的バイアスが存在する可能性がある。第四に、ZNF683+CD8+T細胞の具体的な機能や分化制御機構については更なる解析が必要である。特に、ZNF683がCD8+T細胞の抗腫瘍能をどのように直接的に誘導するのか、そのメカニズムは未解明である。また、SPP1-CD44およびSPP1-ITGA4/ITGB1(インテグリンアルファ4/インテグリンベータ1)相互作用の直接的な実験的検証は行われておらず、SPP1媒介免疫抑制の正確な分子メカニズムを完全に定義するためには、さらなる研究が必要である。今後の検討課題として、ZNF683/ZNFRSを組み込んだバイオマーカー前向き臨床試験の実施と、抗SPP1療法の臨床開発が優先される。
方法
本研究では、合計31のデータセット(バルクRNA-seq 25、scRNA-seq 5、空間転写解析 1)をTCGA、GEO、TIGER(Tumor Immunotherapy Gene Expression Resource)データベースおよび既報文献から取得し、統合解析を実施した (Table S1)。
scRNA-seqデータ解析: 発見コホートとしてGSE207422(NSCLC患者12名、術前補助抗PD-1+化学療法後、MPR n=4 vs 非主要病理学的奏効 (NMPR) n=8)のscRNA-seqデータを用いた。検証コホートとしてGSE241934(NSCLC患者34名、MPR n=13 vs NMPR n=21)を使用した。scRNA-seqデータはSeuratパッケージを用いて処理され、複数のサンプルを含むデータセットではHarmonyパッケージ Korsunsky et al. NatMethods 2019 でバッチ補正を行った。細胞はUMIカウント<500、遺伝子カウント<200または>5000、ミトコンドリア遺伝子比率>5%の基準で除外された。細胞タイプはcanonical marker genesを用いて同定した (Figure 2A, B)。CellChatパッケージを用いて細胞間コミュニケーションネットワークをマッピングし、Monocle RパッケージでCD8+T細胞サブセットの分化軌跡を再構築した。悪性細胞の同定にはInferCNVとCytoTRACEを統合的に用いた。
ZNF683+CD8+T細胞マーカー遺伝子の選定とZNFRS構築: ZNF683+CD8+T細胞のマーカー遺伝子はSeuratのFindMarkers関数で同定した (Table S2)。ZNFRS(ZNF683+CD8+T cell-related Riskscore)構築のため、以下の基準で19遺伝子を選定した。(1) 全10のLUADコホートで検出可能であること。(2) 3つの大規模LUADコホート(TCGA-LUAD n=497、GSE72094 n=398、GSE68465 n=443)において、単変量Cox回帰で有意な予後価値(p<0.05)を示すこと。ZNFRS構築には、32の機械学習アルゴリズムから296の組み合わせを系統的に評価し、9つの独立検証コホート全体でC-indexを最大化する「StepCox[forward] + Ridge」組み合わせを選択した (Table 1)。ZNFRSは、各マーカー遺伝子の発現レベルにその係数を乗じて合計することで計算された (Table S3)。
バルクRNA-seqデータ解析とTME評価: TCGA-LUAD(n=497)、GSE72094(n=398)、GSE68465(n=443)を含む計10のLUADコホートを解析に用いた。免疫浸潤の定量化には、quanTIseq、TIMER、EPIC、MCP-counter(MCP)、ESTIMATE、xCellの6つのアルゴリズムを統合したIOBR(Immuno-Oncology Biological Research)パッケージを使用した。CIBERSORTxデコンボリューションアルゴリズムを用いて、scRNA-seq由来の細胞シグネチャをバルク転写データセットに投影した。
in vivo機能実験: C57BL/6マウスにLewis肺がん(LLC)細胞を皮下接種し、皮下腫瘍モデルを確立した。腫瘍が触知可能になった後、マウスをPBS、抗PD-1抗体(クローンRMP1-14)、抗SPP1抗体(抗マウスオステオポンチン抗体、クローン103D6)、および両抗体の併用という4群(各群n=4 mice)にランダムに割り付けた。腫瘍体積は3日ごとに測定した。実験終了時、腫瘍組織を採取し、フローサイトメトリー(CD8+T細胞、IFN-γ、グランザイムB)および免疫蛍光染色(CD8+T細胞、M2マクロファージ)を実施した。動物実験プロトコルは福建医科大学第一附属病院倫理委員会(承認番号IACUC FJMU 2024-0223)によって承認された。統計解析にはRソフトウェア(バージョン4.1.3)を使用し、2群間比較にはWilcoxon rank-sum testまたはStudent’s t-testを適用した。腫瘍増殖曲線には二元配置分散分析(two-way ANOVA)とTukeyの事後検定を用いた。相関解析にはSpearman法を、生存解析にはKaplan-Meier曲線とログランク検定を用いた。ZNFRSの独立予後因子としての有意性は、多変量Cox回帰分析により評価した。