• 著者: Cornelia Kropf-Sanchen, Nikolaj Frost, Jonas Kuon, Martin Wermke, Stefan Krüger, Florian Fuchs, Marcel Wiesweg, Petros Christopoulos, Michael Thomas, Nadine T. Gaisa, Michael Josten, Carina Wenzel, Jan Buth, Florian Glanemann, Albrecht Stenzinger, Matthias F. Froelich, Melanie Janning, Maike Colienne, Verena Haselmann, Sonja Loges
  • Corresponding author: Sonja Loges, MD, PhD (Department of Personalized Oncology, University Hospital Mannheim, Mannheim, Germany)
  • 雑誌: Clinical Lung Cancer
  • 発行年: 2026
  • Epub日: 2026-03-18
  • Article種別: Original Study
  • PMID: 42055889

背景

非小細胞肺癌 (NSCLC) は世界的に癌関連死亡の主要な原因であり、腺癌が組織学的サブタイプの大半を占める (Wild et al. 2020)。ヨーロッパおよび米国における転移性NSCLC患者の約12%から15%でEGFR変異が最も頻繁に発生する分子異常として報告されている (Graham et al. 2018; Reck and Rabe 2017)。これらの遺伝子変異は、EGFR下流シグナル伝達の配位子非依存性活性化を引き起こし、細胞増殖、生存、および遊走を促進する癌原性ドライバーとして機能する。

第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) であるosimertinibは、EGFR変異陽性NSCLCの初回治療として広く確立されており、約80%の客観的奏効率 (ORR)、中央無増悪生存期間 (PFS) 18.9ヶ月、中央全生存期間 (OS) 38.6ヶ月という持続的な臨床的利益を示している (Soria et al. 2018; Ramalingam et al. 2020)。最近の併用療法戦略、例えばosimertinibと化学療法の併用療法は、FLAURA2試験において中央PFS 25.5ヶ月 (Planchard et al. 2023) および中央OS 47.5ヶ月 (Planchard 2025) を達成し、amivantamabとlazertinibの併用療法はMARIPOSA試験でPFS 23.7ヶ月およびOS 42.97ヶ月超 (HR 0.75) を報告している (Cho et al. 2024; Yang et al. 2025)。

しかしながら、osimertinibや新規併用療法の強力な臨床活性にもかかわらず、耐性は必然的に発生し、永続的な臨床的利益を制限する。耐性機序としては、EGFR C797Sなどのオンターゲット三次変異や、MET/HER2増幅、PI3K経路活性化、細胞周期遺伝子変異、組織転換などのオフターゲット機序が知られている (Leonetti et al. 2019; Vadagam et al. 2025)。より新しい耐性機序として、セカンドラインのosimertinib使用後に3%から10%の症例で癌原性遺伝子融合が同定されており (Piotrowska et al. 2018; Nico´s et al. 2025; Offin et al. 2018)、これにはFGFR3、NTRK1、BRAF、そして特にRETの融合が含まれる (Enrico et al. 2020; Wang et al. 2022)。

RET融合はNSCLCの約1%から2%に認められるターゲット可能な分子異常であり (Takeuchi et al. 2012; Go et al. 2013)、osimertinib耐性後の残存腫瘍をRET選択的TKI (pralsetinib、selpercatinib) で標的とする戦略が報告されつつある (Griesinger et al. 2022; Drilon et al. 2023)。NSCLCで同定された様々なRET融合パートナーの中で、KIF5B-RETは新規診断の未治療症例で最も一般的であり、全RET融合陽性腫瘍の約70%から80%を占める。対照的に、CCDC6-RET融合は頻度が低く、約10%から20%であり、標的療法後に耐性を獲得した患者でより頻繁に検出される (Benayed et al. 2019)。NCOA4-RET融合は約5%から10%の症例に見られる。

最近、pralsetinibとselpercatinibがEGFR変異陽性患者におけるRETを介した耐性を克服できることが示されている (Rotow et al. 2023; Urbanska et al. 2022; Zhao et al. 2022)。小規模コホートや症例報告では、有望な臨床反応と管理可能な安全性プロファイルが示され、PFSは7.9ヶ月から14ヶ月の範囲で報告されている (Lormans et al. 2025; Resuli et al. 2025)。これは、耐性を克服し治療成績を改善するための両経路の併用標的化戦略の根拠を強化するものである。

現在、EGFR変異NSCLC患者の病勢進行管理のゴールドスタンダードは、再組織生検と病理組織学的評価である。しかし、このアプローチは腫瘍病変へのアクセス困難性や患者の臨床状態によって制限されることが多い。この文脈において、液体生検は非侵襲的な代替手段として浮上しており、国際肺癌学会 (IASLC) などの組織は、その日常臨床への組み込みを提唱している (Rolfo et al. 2018)。EGFR T790Mなどの耐性変異の検出には、ドロップレットデジタルPCR (ddPCR) を用いた液体生検が効果的に利用されている (Jahani et al. 2025)。ddPCRは非常に高感度な定量的PCR技術であり、絶対的な核酸定量化を可能にし、アッセイ設計によっては0.01%という低いバリアントアレル頻度 (VAF) の稀な変異を検出できる (Shehata et al. 2019)。この点で、個々の患者におけるEGFR配列変異およびRET融合を標的とする個別化された腫瘍情報に基づくアッセイの開発は実現可能であると考えられる。

本研究は、ドイツ国家ゲノム医療ネットワーク (nNGM) において、EGFR-TKI治療中のEGFR変異陽性患者におけるRET融合の発生を耐性機序として後ろ向きに評価し、実臨床における選択された治療に対する反応を解析することを目的とした。しかし、EGFR変異NSCLCにおけるRET融合獲得耐性の実頻度や、個別化液体生検モニタリングの実現可能性については、大規模な実臨床データを用いた検討が不足しており、これが本研究で埋めるべき知識のギャップである。特に、RET融合の発生頻度や、個別化液体生検によるリアルタイムモニタリングの臨床的有用性は未解明な点が多かった。

目的

本研究の目的は、ドイツ国家ゲノム医療ネットワーク (nNGM) 肺癌コンソーシアムの8施設において、2018年から2024年の間に、EGFR変異とRET融合を同時保有する進行NSCLC患者を後ろ向きに特定し、その臨床的特徴、治療歴、無増悪生存期間 (PFS)、および全生存期間 (OS) を解析することである。

具体的には、以下の点を明らかにする。

  1. EGFR変異とRET融合の同時発生頻度、およびRET融合が診断時に存在するか、EGFR-TKI治療中に獲得されるかのパターンを評価する。
  2. RET融合パートナーの分布を特定し、共存する他の遺伝子変異の有無を調査する。
  3. これらの患者における初回治療および後続治療のレジメン、特にEGFR/RET二重阻害療法の有効性 (PFS、OS) を評価する。
  4. 個別化ドロップレットデジタルPCR (ddPCR) を用いた液体生検によるEGFRおよびRET変異の縦断的分子モニタリングの実現可能性と臨床的有用性を、2例の患者で評価する。これにより、治療反応と耐性進化のリアルタイム、非侵襲的モニタリングの潜在能力を検証する。本研究は、RET融合がEGFR-TKI治療に対する獲得耐性メカニズムとして機能する患者における、新たな治療戦略の臨床的意義を評価することを目的としている。

結果

患者特性とEGFR変異・RET融合の分布: 2018年から2024年の間に、EGFR変異とRET融合を同時保有する9例の患者が同定された。患者の中央年齢は54±14歳であった。性別は女性が7例 (77.8%)、男性が2例 (22.2%) であった。喫煙歴については、非喫煙者が4例 (44.4%)、元喫煙者が4例 (44.4%)、現喫煙者が1例 (11.1%) であった。臨床病期はIVA期が2例 (22.2%)、IVB期が7例 (77.7%) であった。全例が非扁平上皮癌 (腺癌) と診断された。最も頻繁な転移部位は骨 (62.5%)、脳 (25%)、肝臓 (25%) であり、副腎および肺はそれぞれ12.5%であった (Table 1)。

RET融合の発生パターンとパートナー: EGFR変異の内訳は、エクソン19欠失 (DEL19) が6例 (66.6%)、L858R点変異が1例 (11.1%) であった。残りの2例 (22.2%) は、エクソン20挿入 (p.P772_H773dupおよびc.2367_2378dup, p.Leu792_Met793insIleThrGlnLeu) の非定型EGFR変異を有していた。非定型EGFR変異を有する2例では、RET融合 (KIF5B) が初回診断時に同定された。残りの7例では、EGFR-TKI治療中にRET融合が出現し、検出までの中央期間は11.4ヶ月であった。RET融合パートナーは、CCDC6が4例 (44.4%)、KIF5Bが2例 (22.2%)、NCOA4が2例 (22.2%) であり、1例 (12.5%) では融合パートナーを特定できなかった (Figure 1)。共存するTP53変異は5例 (55.6%) で検出され、1例 (11.1%) は追加のFGFR3変異を有していた。

nNGM全体でのRET融合頻度推定: 観察期間中に報告された分子検査は合計23,304件であった。ドイツにおけるEGFR変異の報告されている有病率 (15%) に基づくと、推定3,496例のEGFR変異患者が存在すると考えられる。このうち、EGFR変異とRET融合を同時保有する9例が報告されたため、RET融合が耐性機序として出現する頻度は約0.2%と推定された。この数値は、EGFRとRETの同時変異が非常に稀な分子学的組み合わせであることを示唆している。

治療歴と臨床転帰: 非定型EGFR変異と診断時にRET融合 (KIF5B) を同時保有していた2例の患者では、初回治療としてpralsetinibが選択され、PFSはそれぞれ2.76ヶ月および14.95ヶ月 (継続中) であった。残りの7例の一般的なEGFR変異を有する患者のうち、1例は第2世代TKI afatinibを、6例は第3世代EGFR-TKI (osimertinib 5例、臨床試験におけるosimertinibまたはlazertinib 1例) を初回治療として受けた。このサブグループにおけるPFSは4.5ヶ月から32.9ヶ月の範囲であり、中央PFSは13.5±9.8ヶ月であった。第2世代TKI afatinibで治療された患者のPFSは8.71ヶ月であった。病勢進行後、全患者で再組織生検が実施され、元のEGFR変異の持続とRET融合の出現が確認された。

セカンドライン以降の治療と併用療法の有効性: セカンドライン治療は多様であり、化学免疫療法が4例 (中央PFS 6.5±2.5ヶ月)、化学療法単独が1例 (PFS 0.3ヶ月)、最良支持療法が1例 (PFS 3.0ヶ月) であった。1例の患者はosimertinibとpralsetinibの併用療法を受け、PFSは3.94ヶ月で部分奏効を達成した。その後の治療経過で、さらに2例の患者が第3選択療法としてosimertinibとpralsetinibの二重標的併用療法を受け、PFSはそれぞれ7.8ヶ月および13.0ヶ月 (継続中) であった。これらの併用療法を受けた3例におけるPFS中央値は7.8ヶ月 (95% CI 3.9-13.0ヶ月) であった。nNGMコホートにおける中央全生存期間 (OS) は27ヶ月 (範囲7ヶ月から30ヶ月超) であり、最終フォローアップ時点で4例の患者が生存していた。これには、RET融合と非定型EGFR変異を診断時に保有していた2例も含まれる (Table 2)。

個別化ddPCRによる液体生検モニタリング: 2例の患者で、個別化された腫瘍情報に基づくアッセイ確立のためのサンプルが利用可能であった。Figure 2は、液体生検で検出されたEGFR exon 19欠失とRET-CCDC6融合の代表的なddPCR結果を示している。両患者において、個別化ddPCRアッセイはEGFRおよびRET変異の信頼性の高い検出を可能にし、臨床的および放射線学的疾患経過との強い一致を示した。ddPCRはVAF 0.01%という低い頻度の変異も検出可能であった。

患者#8の臨床経過とddPCRモニタリング: 2020年に初回治療としてosimertinibが開始された。14ヶ月後、右下葉に寡進行が検出された。再組織生検によりCCDC6-RET融合が確認され、組織学的およびddPCRの両方で陽性であった。患者は局所放射線療法を受け、その後osimertinibが継続された。その後、右下葉の浸潤影が増加し、腫瘍進行と薬剤性肺炎の鑑別診断が問題となった。患者の臨床症状と当時の液体生検の陰性結果に基づき、肺炎が疑われ、コルチコステロイド療法が開始された結果、病変は急速に退縮し、診断が確認された。osimertinib投与24ヶ月後、新たな脳転移が発生し、局所放射線療法で治療された。その直前にはddPCRシグナルの一時的な再出現が検出されたが、その後陰性に戻った。32.9ヶ月時点で全身進行が観察され、これもddPCRシグナルの再陽性化が先行していたため、化学免疫療法が開始された。6.6ヶ月後、さらなる進行が発生し、osimertinibとselpercatinibの併用療法が開始された。これにより、以前陽性であったddPCRシグナルは消失し (Figure 3)、治療は継続中である。

患者#9の臨床経過とddPCRモニタリング: 2022年に初回治療としてosimertinibが開始された。16ヶ月後、病勢進行が発生し、再組織生検によりCCDC6-RET融合が確認された。セカンドライン治療として化学療法が投与されたが、9ヶ月後に新たな脳転移を伴う進行が観察された。この時点で、EGFRおよびRET変異の両方がddPCRによって検出された。その後、osimertinibとselpercatinibの併用療法が開始され、14日以内にddPCRは陰性化し、3ヶ月時点でも陰性が持続した。7.8ヶ月で全身進行が発生した後、フォースライン治療として化学療法とamivantamabが開始された (Figure 4)。

考察/結論

本研究は、ドイツ国家ゲノム医療ネットワーク (nNGM) における実臨床データを用いた後ろ向き多施設解析であり、EGFR変異陽性NSCLC患者におけるRET融合獲得耐性の実頻度を約0.2%と推定した最初の研究の一つである。RET融合は非常に稀な耐性機序であるが、標的可能であることから重要な臨床的意義を持つ。本コホートでCCDC6-RET融合が最多 (4例) であった点は、CCDC6がTKI後耐性において比較的多く見られる融合パートナーであるという既存の知見と一致する。

先行研究との違い: 本研究は、これまでの小規模な症例報告や単施設研究と異なり、ドイツ全土をカバーする大規模なゲノム医療ネットワークのデータを用いて、EGFR変異NSCLCにおけるRET融合の発生頻度と臨床的特徴を実臨床の観点から評価した点に新規性がある。特に、RET融合がEGFR-TKI治療中に獲得される耐性機序として出現する頻度 (77.8%) や、その検出までの中央期間 (11.4ヶ月) を具体的に示した点は、先行研究では十分に報告されていなかった。

新規性: 本研究で初めて、EGFR変異NSCLCにおけるRET融合の獲得耐性機序としての頻度が約0.2%と推定された。また、osimertinibとpralsetinibまたはselpercatinibの併用によるEGFR/RET二重阻害療法が3例で実施され、PFSが3.9ヶ月から13.0ヶ月という臨床活性を示したことは、この併用戦略の生物学的妥当性と安全性管理可能性を支持する新規の知見である。Rotow et al. (2023) の多施設コホート研究 (osimertinib+selpercatinib 13例、中央奏効持続期間7.9ヶ月) と概ね一致する結果であり、本研究のデータは実臨床におけるこの併用療法の有効性を裏付けるものである。

臨床応用: 本知見は、EGFR変異NSCLC患者がEGFR-TKI治療中に病勢進行を認めた場合、RET融合の獲得を耐性機序として考慮し、包括的な分子再生検を実施することの臨床的意義を強調する。特に、組織生検が困難な状況下では、個別化ddPCRを用いた液体生検モニタリングが耐性出現の早期検出や治療効果判定に有望であることが示された。患者#8での臨床増悪に先行するctDNA上昇は、ddPCRが先行バイオマーカーとして機能する潜在的価値を示す重要な観察であり、よりプロアクティブな治療適応を可能にする。EGFR/RET二重阻害は、化学療法や化学免疫療法と比較して、完全経口投与で忍容性の高いオプションであり、患者のQOL向上に貢献する可能性がある。

残された課題: 本研究の限界として、症例数が9例と非常に少ないこと、治療シーケンスが不均一であること、および後ろ向き研究であることから、有効性の確定的な評価や特定の治療戦略の優位性に関する結論を導き出すことは困難である。これらの結果は仮説生成的なものであり、臨床的実現可能性を示すものとして解釈されるべきである。また、CCDC6-RET融合のddPCR設計は患者個別性 (ブレークポイントが患者ごとに異なる) のため標準化が困難という本質的制約があり、スクリーニングツールとしての汎用性には限界がある。今後の検討課題として、より大規模な前向き研究により、EGFR/RET二重阻害療法の最適なタイミング、患者選択、および臨床的価値をさらに明確にする必要がある。

方法

本研究は、ドイツ国家ゲノム医療ネットワーク (nNGM) 肺癌コンソーシアム内の8施設 (ベルリン、ドレスデン、デュッセルドルフ、エッセン、ハイデルベルク、ローヴェンシュタイン、マンハイム、ウルム) において実施された後ろ向き多施設研究である。nNGMは、年間20,000例以上の進行NSCLC患者に対して品質保証された次世代シーケンシング (NGS) パネル診断、治療推奨、および臨床試験を実施し、肺癌患者の診断と治療の改善を目指している (Büttner et al. 2019)。

患者の組み入れ基準とデータ収集: 観察期間は2018年から2024年までであった。組み入れ基準は、局所進行または転移性NSCLC、全身療法下 (または診断時) にEGFR変異が陽性であり、かつRET変異が同時検出された患者とした。RET変異は、初回診断時に存在するか、治療中に獲得された耐性メカニズムとして出現するかのいずれかであった。臨床病理学的データおよび転帰データは後ろ向きに収集され、患者特性、共存する遺伝子変異、全身療法 (標的療法、化学療法、免疫化学療法、または併用療法) の種類、PFS、およびOSが含まれた。治療反応は各施設で評価された。病勢進行時に再生検が実施された場合、そのデータも利用可能な液体生検データとともに組み込まれた。本研究の対象患者は、NCT番号が付与された臨床試験の枠組みではなく、実臨床データに基づいている。

分子診断: RET変異の検出は、nNGMネットワークのガイドラインに従い、NGSパネル診断によってRNA/DNAレベルで実施された。nNGMネットワークで使用された診断パネルのバージョンは、研究期間中に進化しており、RET遺伝子のエクソン10-18を含むバージョン2および3.2が使用された。これらのパネルは、幅広い遺伝子変異を検出するために設計されており、RET融合の同定に貢献した。

液体生検とddPCRアッセイ: 2名の患者から、EGFRおよびRET変異検出のための連続末梢血サンプルが利用可能であった。血清分析には、EGFR変異検出のために検証済みの市販アッセイが使用された。RET融合検出のためには、患者特異的なddPCRアッセイが開発された。特にCCDC6-RET融合に対して、融合接合部を特定した後、患者特異的イントロン領域ddPCRアッセイが個別設計され、検証された。ddPCRアッセイの設計には0.5営業日、腫瘍DNAを陽性対照として用いた検証には約2週間を要した。ddPCRは、Bio-Rad社のddPCR EGFR exon 19 Deletions Screening Kitを用いてEGFR exon 19欠失を検出した。RET-CCDC6融合の検出には、2xddPCR Supermix for Probes (no UTP) (Bio-Rad) を用いて、患者特異的な組織情報に基づくddPCRアッセイが開発された。アッセイの性能は検証され、検出限界 (LOD) はVAF 0.05%、定量限界 (LOQ) はVAF 0.2%であった。

統計解析: PFSは、各全身療法開始日から病勢進行または死亡までの期間としてKaplan-Meier法を用いて計算された。OSは、初回診断日から死亡までの期間として計算された。客観的奏効率 (ORR) は2名の患者でのみ評価可能であったため、PFSとOSが主要なアウトカムパラメータとして解析された。統計解析はSPSSバージョン29.0.2.0(20) (IBM Corp., New York, NY) を用いて記述統計学的に実施された。比較解析にはFisherの正確検定が用いられた。

倫理的承認: 本研究は、世界医師会倫理規定 (ヘルシンキ宣言) に従って実施され、マンハイム大学医学部倫理委員会IIの承認 (承認番号: 2023-838) を取得した。法令で義務付けられている場合、インフォームドコンセントが取得された。