- 著者: Ralph R. Weichselbaum, Hua Liang, Liufu Deng, Yang-Xin Fu
- Corresponding author: Ralph R. Weichselbaum (Department of Radiation and Cellular Oncology, The University of Chicago, Chicago, IL, USA); Yang-Xin Fu (Department of Pathology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX, USA)
- 雑誌: Nature Reviews Clinical Oncology
- 発行年: 2017
- Epub日: N/A
- Article種別: Review
- PMID: 28094262
背景
放射線治療は、がん患者の約50-60%が受ける標準的な治療法であり、局所腫瘍制御から緩和ケアまで幅広い目的で用いられる確立されたモダリティである (Orth et al. 2014; Hoskin & Bhattacharya 2014)。近年、放射線照射が腫瘍細胞を直接殺傷するだけでなく、腫瘍微小環境 (TME) を再プログラミングし、全身性の抗腫瘍免疫応答を誘導する能力が基礎研究により明らかにされてきた (Demaria et al. 2004; Lee et al. 2009)。特に、照射野外の遠隔腫瘍が退縮する「アブスコパル効果」は、1953年にMoleが提唱して以来、稀な現象として認識されてきたが (Mole 1953)、免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の登場により、その免疫介在性メカニズムが再注目されている。放射線治療は、腫瘍を免疫学的に「ホット」な状態に転換させる「in situ vaccine」として再評価されつつある (Formenti & Demaria 2012)。
しかし、放射線治療が免疫応答を活性化する一方で、免疫抑制的な側面も持つことが指摘されている。例えば、制御性T細胞 (Treg) や骨髄由来抑制細胞 (MDSC: myeloid-derived suppressor cell) の増加、PD-L1 (programmed cell death 1 ligand 1) の発現誘導などが報告されており (Sharabi et al. 2015; Deng et al. 2014)、これらの免疫抑制機構が放射線単独療法の効果を限定する要因となる可能性が示唆されている。この「両義性 (Janus-like)」の特性により、放射線治療単独では十分な全身性抗腫瘍効果が得られない場合がある (Schaue & McBride 2012)。さらに、放射線誘発性のI型インターフェロン (IFN) シグナルは、腫瘍細胞の死滅促進と同時に、放射線抵抗性腫瘍クローンの選択を促すプロサバイバル機構を刺激する二面性を持つことも報告されている (Weichselbaum et al. 2008; Khodarev et al. 2009)。
したがって、放射線治療と免疫系の複雑な相互作用を詳細に理解し、免疫チェックポイント阻害薬などの免疫療法と組み合わせることで、治療効果を最大化する戦略の確立が喫緊の課題となっている。特に、最適な放射線照射線量、分割方法、および免疫療法との併用タイミングに関する知見は未解明な点が多く、さらなる研究が不足している。本レビューは、これらのギャップを埋めることを目的としている。
目的
本レビューの目的は、放射線治療が宿主免疫系に及ぼす影響の分子メカニズム、特にDAMPs (danger-associated molecular patterns) 放出、cGAS-STING (cyclic GMP-AMP synthase-stimulator of interferon genes) 経路活性化、ケモカイン誘導、CD8+ T細胞応答、およびTreg/MDSCによる免疫抑制の役割を包括的に整理することである。さらに、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用による治療効果の最適化、特に最適な分割照射法の選択指針を提示し、アブスコパル効果の誘導におけるSTING経路の重要性を解明することを目的とする。最終的には、放射線誘発腫瘍平衡 (RITE: radiation-induced tumour equilibrium) の概念を導入し、この平衡状態を免疫療法によって腫瘍排除へと傾ける可能性について考察する。本レビューは、放射線治療と免疫療法の併用戦略における未解明な点を明らかにし、今後の臨床応用への道筋を示すことを目指す。
結果
放射線誘発性の免疫促進メカニズム:DAMPs放出とサイトカイン産生: 放射線照射は腫瘍細胞死を誘導し、腫瘍抗原の放出に加えて、calreticulinの細胞表面移行、ATPの細胞外分泌、HMGB1 (high-mobility group protein B1) の放出といったDAMPsを産生する (Krysko et al. 2012)。これらのDAMPsは樹状細胞 (DC) を活性化するシグナルとなる。同時に、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL16などのケモカインが産生・誘導され、T細胞とDCの腫瘍局所への遊走が促進される (Matsumura et al. 2008)。腫瘍抗原の細胞外放出と抗原交差提示が強化され、DC (特にCD11c+CD11b+サブセット) が流入リンパ節に移行して細胞傷害性Tリンパ球 (CTL) のプライミングを促進する (Lee et al. 2009)。放射線による腫瘍細胞の表現型変化、すなわち細胞表面分子の発現上昇とペプチドプールの拡大も、腫瘍のT細胞認識感受性を高める (Chakraborty et al. 2004)。多くの腫瘍モデルで、放射線効果の主要因としてCD8+ T細胞依存性が確認されており、CD8+ T細胞を除去したn=12 miceや免疫不全ヌードマウスでは、放射線による腫瘍抑制効果が著減することが示されている (Lee et al. 2009)。
cGAS-STING経路:放射線-免疫連絡の中心的ハブ: 放射線誘発DNA損傷は、核内dsDNAが細胞質に移行することでcGAS (cyclic GMP-AMP synthase) に認識される。cGASはcGAMP (cyclic GMP-AMP) を産生し、STING (stimulator of interferon genes) を活性化する。このSTING/TBK (TANK-binding kinase)/IRF3/NF-κBシグナル伝達経路を通じて、I型インターフェロン (特にIFN-β) の産生が誘導される (Deng et al. 2014)。IFN-βはDCでの腫瘍抗原交差提示とCD8+ T細胞応答を促進する決定的な連鎖反応を引き起こす。重要な知見として、STING欠損マウスでは放射線の抗腫瘍効果が消失し、また放射線照射腫瘍細胞とのin vitro共培養においてSTING欠損DCはI型IFN産生能とT細胞プライミング能を失うことが報告された (Deng et al. 2014)。さらに、cGAMP (STINGアゴニスト) の腫瘍内投与は、放射線の抗腫瘍効果を増強することがin vivoで実証された。TLR (Toll-like receptor)/MYD88 (myeloid differentiation primary response 88)/TRIF (TIR-domain-containing adaptor-inducing IFN-β) シグナルは放射線誘発腫瘍退縮には必須でなく、STING経路が主要な「放射線-免疫シグナル伝達軸」として機能することが特定された (Figure 1参照)。この経路は、Ishikawa et al. Nature 2009によって初めて報告されたSTINGの機能と一致する。
放射線の免疫抑制的側面:Treg、MDSC、TAMの動員: 放射線照射は免疫活性化と同時に免疫抑制機構も誘発する「両義性」を持つ。Treg細胞は放射線低抵抗性かつ迅速な再生能を有し、全身照射後に腫瘍や免疫臓器でTreg数が増加することが複数の研究で報告されている (Kachikwu et al. 2011)。Langerhans細胞 (放射線抵抗性の高いDCサブセット) が全身照射後に流入リンパ節に移行し、Treg拡大を刺激する機序も明らかにされた (Price et al. 2015)。また、照射後3日以内にMDSC (CD11b+Gr-1+細胞) が腫瘍間質に急速に動員され、7-14日後には減少するという動的な変化が観察された (Crittenden et al. 2012)。MDSCのArg1 (アルギナーゼ1)、iNOS (inducible nitric oxide synthase)、TGFβ、IL-10産生はエフェクターT細胞機能を抑制し、化学療法抵抗性にも関与する (Marvel & Gabrilovich 2015)。さらに、放射線はHIF-1α活性化下でM2様TAM (腫瘍関連マクロファージ) の誘導を促し、CSF-1 (colony-stimulating factor 1) 産生増加によるM-MDSCリクルートメントを促進する (Seifert et al. 2016)。PD-L1発現もIFN-γ依存的に放射線により上昇し、T細胞疲弊に対する代償的フィードバックとなる。これらの免疫抑制機構の存在が、放射線単独では効果が限定的となり、ICIとの組み合わせが必要な科学的根拠を提供している。
最適分割照射スキームの腫瘍モデル横断的検討: 異なる照射スキームが免疫応答に及ぼす影響は、腫瘍種やモデルによって異なることが複数の研究で示された。Dewan et al. (2009) のB16メラノーマと乳癌モデルでの比較 (1×20 Gy vs 3×8 Gy vs 5×6 Gy、抗CTLA-4抗体併用) では、3×8 Gy (低分割照射) がアブスコパル効果誘導において単回大線量よりも優れており、腫瘍内CD8+ T細胞数が増加した。一方、Filatenkov et al. (2015) のMC38大腸癌モデルでは、30 Gy単回照射のみがMDSC減少とCD8+ T細胞浸潤増加を達成し、分割照射 (10×3 Gy) では同効果が得られなかった。別の乳癌モデルでは、4×4 Gyまたは4×5 Gyに抗CD137抗体と抗PD-1抗体を組み合わせた場合、12 Gy単回照射+同薬剤よりも腫瘍制御が劣った (Verbrugge et al. 2012)。これらの知見を総合すると、最適分割照射は腫瘍種の免疫環境、MDSCサブセット特性、使用する免疫療法薬の種類に依存し、一律のスキームが存在しないことが強調された。低線量多分割 (従来照射) ではTGFβ放出とTreg誘導が優勢となり、免疫抑制的になる可能性が指摘された。
RITE (radiation-induced tumour equilibrium) の概念と実験的検証: 著者らが提唱するRITE (radiation-induced tumour equilibrium) 概念は、重要な知見として提示された。HER2陽性乳癌 (TUBO) とメラノーマ (B16) の2つのモデルシステムを用いた実験から、放射線照射に対する腫瘍反応は、無応答/早期逃避、応答、安定 (stable)、遅発再発の4タイプに分類されることが示された。TUBOモデルでは45% (n=87/193) の腫瘍が「安定」を示したが、異なる反応を示した腫瘍細胞はin vitroでの放射線感受性が同等であり (Figure 2参照)、腫瘍細胞固有の放射線感受性ではなく宿主免疫状態が反応を規定することが判明した。安定腫瘍内ではKi67 (増殖) 陽性細胞とTUNEL (アポトーシス) 陽性細胞とCD8+ T細胞が共存し、CD8+ T細胞枯渇により安定腫瘍が再増殖した (Figure 3参照)。すなわちRITEとは、腫瘍細胞の増殖とCD8+ T細胞によるIFNγ依存的殺傷が拮抗する動的平衡状態であり、この「治療窓」においてICI (抗PD-L1、抗CTLA-4) を投入することで腫瘍排除へ移行できることが実証された (Liang et al. 2013)。安定腫瘍ではPD-L1発現が上昇しており、抗PD-L1抗体投与によってほとんどの安定腫瘍が退縮した。RITE概念は、ipilimumabと放射線併用でアブスコパル効果が観察された臨床事例の解釈に重要な枠組みを提供する。
放射線+ICI併用の前臨床シナジー機構:CTLA-4とPD-L1遮断: 放射線とCTLA-4 (cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4) 遮断の組み合わせについて、Demaria et al. (2005) は乳癌マウスモデルで12 Gy照射+抗CTLA-4抗体が肺転移を阻害することを示し、CD8+ T細胞依存性を確認した。CTLA-4遮断のさらなる機構として、放射線後に腫瘍細胞上でNKG2D (natural-killer group 2, member D) リガンドが発現上昇し、NK細胞介在性細胞傷害を可能にすることも報告された。放射線+抗PD-L1療法について、Deng et al. (2014) のマウスフランク腫瘍モデルでは、単回高線量放射線と抗PD-L1抗体の併用で著明な腫瘍退縮が観察された。メカニズム解析で、腫瘍内MDSCの劇的な減少とCD8+ T細胞浸潤・プライミングの増強が示された。CD8+ T細胞を枯渇させるとMDSCが回復し、in vitro細胞傷害アッセイで活性化CD8+ T細胞がTNF (tumor necrosis factor) 産生を介してMDSCに直接アポトーシスを誘導することが明らかにされた (IFNγ非依存的)。抗PD-L1療法がMDSCのPD-L1による自己保護機構を解除することがMDSC排除の一機序として示唆された。さらに、放射線と抗PD-1 (programmed cell death protein 1) 療法の組み合わせでは、記憶CD8+ T細胞数の増加と、遠隔腫瘍への免疫応答 (アブスコパル効果) が複数の前臨床モデルで確認された (Sharabi et al. 2015)。放射線の効果を最大化する抗PD-L1投与タイミングとして、逐次投与 (放射線後) より「同時 (concurrent) 投与」が長期腫瘍制御で優れるという知見も得られた (Dovedi et al. 2014)。
アブスコパル効果の細胞・分子メカニズムの解明: アブスコパル効果は、照射野外の腫瘍が退縮する稀な現象であり、免疫介在機構として理解されている (Mole 1953)。Demaria, Formentiらは、T細胞エフェクター機能が照射TME内での免疫活性化ドライバーであると最初に提唱した (Demaria et al. 2004)。その後、Deng et al. (2014) は、放射線照射TME内でCD8+ T細胞によるTNF産生がMDSCを直接殺傷し、局所および全身レベルのMDSC減少をもたらすことを示した。臨床事例として、Postow et al. NEnglJMed 2012が、ipilimumab維持療法中の転移性メラノーマ患者が28.5 Gy/3分割の緩和的放射線照射後に、照射病変の縮小とともに著明なアブスコパル効果を示し、その直前に末梢血単核球中のMDSC比率の急減が観察されたことを報告した。GM-CSF (granulocyte-macrophage colony-stimulating factor) と局所放射線の第I相試験では、転移固形癌患者の27%でアブスコパル効果が観察された (Golden et al. 2015)。アブスコパル効果は、放射線照射後数日以内にT細胞エフェクター機能が高まり、流入リンパ節へのAPC移行とT細胞活性化を経由して発現するという細胞フィードバック機構として位置づけられ、T細胞活性化シグナルの強化と免疫抑制TMEの軽減の均衡を操作することで制御可能と考えられた。
臨床エビデンスと進行中の試験: KEYNOTE-001のposthoc解析では、進行NSCLCで放射線療法既往があるコホートがpembrolizumab投与後にPFS改善 (4.4 vs 2.1ヶ月、HR 0.56 (95% CI 0.36-0.87), p<0.01) と相関することが示され、放射線既往による腫瘍免疫化仮説を支持する予備的エビデンスとなった (Shabari et al. 2015)。Stage III NSCLCでは、同時化学放射線療法後のdurvalumab維持療法を検討するPACIFIC試験がデザインされ、放射線+ICIの臨床的妥当性を評価する最大規模の試験として注目された。また、前臨床データでは、照射後にPD-L1KOマウスでは放射線+抗CTLA-4+抗PD-L1の三重併用が抗CTLA-4単独と比べ著明な腫瘍退縮を示し、CTLA-4とPD-L1遮断が非重複メカニズムで作用することが確認された (Twyman-Saint Victor et al. 2015)。本レビュー執筆時点では、PD-1/PD-L1阻害薬と放射線を組み合わせる臨床試験が多数 (PD-1阻害で13試験以上、PD-L1阻害で5試験) 進行中であったが、ほとんどはまだ結果未判明であった (Table 1参照)。
考察/結論
放射線治療は、腫瘍細胞への直接的な傷害に加えて、DAMPs放出、cGAS-STING経路活性化、ケモカイン産生を通じてDCプライミングとCD8+ T細胞応答を誘導し、局所および全身性 (アブスコパル) の抗腫瘍免疫を発動させる「in situ vaccine」として機能することが示された。このメカニズムは、Tumeh et al. Nature 2014やTopalian et al. NEnglJMed 2012などの研究で示された免疫チェックポイント阻害薬の作用機序と相補的であると考えられる。
先行研究との違い: しかし、放射線治療は同時にTreg増加、MDSC動員、PD-L1誘導を介した免疫抑制も惹起するため、放射線単独では効果が制限されるという両義的な側面を持つ。この点は、従来の放射線治療が局所制御に主眼を置いていたことと対照的であり、全身性免疫応答の重要性を浮き彫りにする。
新規性: 本研究グループが提唱するRITE (radiation-induced tumour equilibrium) 概念は、放射線誘発の腫瘍増殖とT細胞殺傷の動的均衡という治療的「window」においてICIを投入することで腫瘍排除への移行が可能であることを示し、最適な組み合わせタイミングの重要性を強調している。この新規の概念は、Schreiber et al. Science 2011が提唱した癌免疫編集の「平衡」フェーズと類似しており、免疫療法による介入の機会を提供する。本研究で初めて、放射線誘発腫瘍平衡という動的な状態が免疫チェックポイント阻害薬の介入によって腫瘍排除へと転換しうることを示した点は新規性が高い。
臨床応用: 最適分割照射 (3×8 Gy vs 単回大線量など) は腫瘍種、免疫環境、併用免疫療法に依存して変わり、一律のスキームは存在しないことが前臨床データから示唆された。これは、Quail et al. NatMed 2013が指摘する腫瘍微小環境の多様性と一致する。KEYNOTE-001のposthoc解析やPACIFIC試験は、放射線+ICI組み合わせの臨床的妥当性を支持する予備的エビデンスを提供する。これらの知見は、放射線治療後の安定病変患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の導入タイミングの最適化に繋がる可能性があり、臨床的意義は大きい。
残された課題: 今後の検討課題として、最適な照射線量、分割、タイミング (concurrent vs sequential)、照射標的 (原発 vs 転移)、ICI種類の個別最適化が主要課題として残されている。特に、Herbst et al. Nature 2014が示したPD-L1発現の予測的価値を放射線併用療法にどう適用するかも重要である。しかし、これらの前臨床データはマウスモデルに基づくものであり、ヒトの複雑な免疫システムや腫瘍異質性への外挿には限界があるというlimitationがある。ヒトにおける最適な放射線と免疫療法の組み合わせ、特に分割照射法と併用タイミングを決定するためのロバストな仮説検証型臨床試験が不可欠である。
方法
本論文はレビュー記事であるため、特定の実験方法論は適用されない。著者らは、放射線治療と免疫系の相互作用に関する既存の文献を広範に調査し、その知見を統合・分析した。具体的には、PubMed、Embase、Web of Scienceなどの主要な医学データベースを用いて、1980年代から2016年12月までの期間に発表された、放射線誘発性の免疫活性化メカニズム (DAMPs、サイトカイン、ケモカイン、cGAS-STING経路)、免疫抑制メカニズム (Treg、MDSC、TAM)、および異なる放射線分割照射スキームが免疫応答に与える影響に関する前臨床研究のデータを収集した。
文献検索では、「radiotherapy AND immunity」、「radiation AND immune checkpoint inhibitor」、「abscopal effect」、「STING pathway AND radiation」などのキーワードを組み合わせた。選択基準として、英語で書かれた査読付き論文、原著論文、および関連するレビュー記事を含めた。除外基準は、放射線治療以外の治療法のみを扱った研究、非腫瘍性疾患に関する研究、および会議要旨やレターのみの研究とした。
また、放射線誘発腫瘍平衡 (RITE) の概念を提唱し、その実験的検証結果を提示した。この検証には、HER2陽性乳癌 (TUBO) とメラノーマ (B16) のマウスモデルが用いられ、腫瘍細胞の放射線感受性と宿主免疫応答の相対的役割が評価された。さらに、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用療法に関する前臨床および初期臨床試験のデータを評価し、そのシナジー効果のメカニズムと臨床的意義について考察した。臨床試験のデータについては、ClinicalTrials.govに登録された進行中の試験情報 (NCT識別子を含む) も参照され、PD-1/PD-L1阻害薬と放射線治療の併用に関する試験の現状がTable 1にまとめられている。本レビューでは、GRADE (Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation) システムのようなエビデンスレベルの評価は適用されていないが、各知見の信頼性は複数の独立した研究グループからの報告に基づいて判断された。統計解析手法に関する記述はレビューの性質上含まれていないが、引用された研究では、例えばCD8+ T細胞枯渇実験における腫瘍抑制効果の比較や、TUNEL染色強度の定量化におけるp=0.001といった統計的有意差が報告されている。