- 著者: Natasha Rekhtman
- Corresponding author: Natasha Rekhtman (Department of Pathology, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York, NY, USA)
- 雑誌: Modern Pathology
- 発行年: 2022
- Epub日: 2021-12-01
- Article種別: Review
- PMID: 34663914
背景
過去10年間、非小細胞肺癌 (NSCLC) の分野では、分子亜型の同定と個別化全身療法における顕著な進歩が見られた。これに対し、肺神経内分泌 (NE) 腫瘍の分野では、臨床的に意義のある生物学的亜集団の同定と個別化アプローチの開発が限定的であった。しかし、近年、この状況は大きく変化し、いくつかの重要なブレークスルーが蓄積されている。具体的には、小細胞肺癌 (SCLC) におけるASCL1/NEUROD1/POU2F3による転写サブタイプの発見、大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) におけるSCLC型とNSCLC型の分子2型の同定、高増殖性カルチノイド (消化器NETのグレード3 NETに相当する概念) の認識、SMARCA4欠損未分化腫瘍 (SMARCA4-UT) の新規疾患単位としての確立、INSM1 (Insulinoma-associated protein 1) やPOU2F3 (POU class 2 homeobox 3) などの新規免疫組織化学 (IHC) マーカーの登場などが挙げられる。これらの進歩は、肺NE腫瘍の診断と治療戦略に大きな影響を与えている。
2021年にはWHO第5版の胸部腫瘍分類が公表され、肺NE腫瘍の分類および診断基準が更新された。この新分類では、カルチノイド、SCLC、LCNECといった主要な肺NE腫瘍の病理診断に関する最新の知見が統合されている。特に、カルチノイドと神経内分泌癌 (NEC) が生物学的に異なる疾患であるという認識が強調され、増殖能の「グレーゾーン」に位置する腫瘍の鑑別が課題として浮上している。また、Ki67増殖指数が消化器NETの分類において標準的なマーカーであるのに対し、肺カルチノイドにおけるその役割は依然として議論の的であり、その臨床的有用性については未解明な点も多かった。しかし、WHO第5版では「望ましい」追加項目としてその重要性が高められた。
SCLCの分子サブタイプに関する研究は、ASCL1、NEUROD1、POU2F3といった転写因子によって定義される4つの主要なサブタイプを明らかにし、それぞれが異なる治療感受性を持つ可能性が示唆されている Rudin et al. NatRevCancer 2019、Gay et al. CancerCell 2021。特に、POU2F3は、従来のNEマーカーの発現が低いSCLCの診断に有用な新規マーカーとして注目されている Huang et al. GenesDev 2018。さらに、SMARCA4欠損腫瘍は、形態学的にSCLCやLCNECと類似することがあり、鑑別診断が臨床的に極めて重要である。LCNECについても、分子プロファイルに基づくSCLC型とNSCLC型への分類が提唱され、治療選択に影響を与える可能性が示唆されている Rekhtman et al. ClinCancerRes 2016、George et al. NatCommun 2018。
これらの最新の知見は、肺NE腫瘍の病理診断における複雑性を増しており、病理医がこれらの概念を理解し、適切に診断を下すための包括的なガイダンスが不足している状況であった。著者のNatasha Rekhtman (Memorial Sloan Kettering Cancer Center) は、これらの最新情報を病理診断の観点から包括的に総括し、臨床実践における課題と進歩を明確にする必要性を認識し、本レビューを執筆した。本総説は、肺NE腫瘍の診断、予後予測、および治療選択のための将来のバイオマーカー開発の基盤となることを目指している。
目的
本総説の目的は、肺神経内分泌腫瘍の病理診断における最近の進歩と残された課題を包括的に整理し、病理医向けの実践的な指針を提供することである。具体的には、以下の主要なテーマに焦点を当てる。
- WHO第5版(2021)における肺NE腫瘍の分類・診断基準の更新: カルチノイド、SCLC、LCNECの最新の分類基準と用語を解説し、特に有糸分裂数と壊死の役割を明確にする。
- 高増殖性カルチノイドという新興バリアントの特性と鑑別: カルチノイドの形態を持ちながら高増殖能を示す腫瘍の病理学的・分子生物学的特徴を記述し、SCLCやLCNECとの鑑別における課題を提示する。
- Ki67の診断的・予後的役割の進展: 肺カルチノイドにおけるKi67の評価の重要性を強調し、診断、予後予測、および治療選択におけるその潜在的な役割を考察する。
- SCLCにおける転写サブタイプとPOU2F3の診断的意義: ASCL1、NEUROD1、POU2F3によって定義されるSCLCの分子サブタイプを解説し、特に従来のNEマーカーが低発現または陰性のSCLCに対するPOU2F3の診断的有用性を強調する。
- SMARCA4欠損未分化腫瘍(SMARCA4-UT)など鑑別診断に加わる新規エンティティの認識: SCLCやLCNECの重要な模倣腫瘍であるSMARCA4-UTの病理学的特徴と鑑別診断のポイントを提示し、その臨床的意義を説明する。
- LCNECの分子2型(SCLC型 vs NSCLC型)の臨床応用: LCNECの分子プロファイルに基づくサブタイプ分類を解説し、治療反応性や予後との関連性、および治療選択におけるその潜在的な役割を議論する。
これらの目的を達成することで、肺NE腫瘍の診断精度向上と、将来的な個別化医療の発展に貢献することを目指す。
結果
WHO 2021分類の要点と肺NE腫瘍の疫学: WHO第5版(2021)の胸部腫瘍分類において、肺神経内分泌腫瘍の基準と用語は前版から大きく変更されていない。主要なWHO NE腫瘍タイプには、定型カルチノイド、異型カルチノイド、SCLC、LCNECが含まれる。NE腫瘍は肺原発腫瘍の約20%を占め、SCLCが約15%、カルチノイドが約2%(定型対異型の比率は10:1)、LCNECが約3%を占める。SCLCの発生率は米国で減少傾向にある一方、カルチノイドとLCNECの発生率は増加している。カルチノイドとNECの鑑別は、主に2mm²あたりの有糸分裂数に基づき、定型カルチノイドは<2、異型カルチノイドは2-10(または壊死)、NECは>10と定義される。重要な概念として、カルチノイドとNECは有糸分裂数によるグレードではなく、生物学的に異なる疾患であると認識されている。Ki67は肺カルチノイドの分類には必須ではないが、「望ましい」追加項目に格上げされた。有糸分裂数の評価において、2mm²は多くの現代の顕微鏡で約8.5 HPFに相当し、閾値近傍では最高増殖活性を示す3セットの2mm²視野の平均を推奨する (Table 1)。
高増殖性カルチノイド(新興バリアント): 近年、カルチノイドの形態を持ちながら有糸分裂数 >10/2mm²、かつKi67が20-30%を超える(ホットスポットで最大約60%)腫瘍が報告されている。これらの腫瘍は分子的にMEN1変異(カルチノイドの特徴)を保持し、RB1/TP53変異を欠く(NECを除外)ことから、WHO 2021では暫定的に「カルチノイド腫瘍の形態的特徴を持つLCNEC」と分類される。転移性カルチノイドでは、23%で有糸分裂数 >10/2mm²、27%でKi67 >20%と高頻度で高増殖能を示す。Hermans et al. (2020) の研究では、12例中11例で術後再発を認め、従来の異型カルチノイドの再発率(20-30%)よりも高侵襲性であることが示唆された。診断時のKi67 20-60%はカルチノイドとNECの「グレーゾーン」として認識すべきである。鑑別にはRb・p53 IHC(NEC様)と低変異負荷・MEN1/EIF1AX (Eukaryotic Translation Initiation Factor 1A, X-Linked) 変異・RB1/TP53保持(カルチノイド様)が有用である (Fig. 1)。
神経内分泌マーカーの進歩: 従来のsynaptophysin、chromogranin A、CD56に加え、INSM1が新規の汎神経内分泌マーカーとして確立された。INSM1は核染色性であり、SCLCの90%以上で陽性を示し、synaptophysin/chromogranin A陰性例でもINSM1陽性が多い。しかし、INSM1は軟部肉腫、腺様嚢胞癌、リンパ腫でも陽性となる可能性があり、単独使用は推奨されない。ASCL1は特異度は高いが感度が低い(SCLCの一部とカルチノイドのみ陽性)とされる。
POU2F3:NE-low/negative SCLCの新規マーカー: POU2F3 (SKN-1a/OCT-11) は、タフト細胞のマスターレギュレーターであり、SCLCの10-12%で強発現する。これは、従来のNEマーカーが陰性または低発現のSCLCの多数派を占める。Rekhtmanらの研究では、4つのNEマーカー(synaptophysin、chromogranin A、CD56、INSM1)すべてが陰性または低発現のSCLCに対し、POU2F3が診断的マーカーとして有用であることが報告された Baine et al. JThoracOncol 2020。このサブタイプは「タフト細胞様SCLC」と呼ばれ、他の3つのSCLCサブタイプ(ASCL1、NEUROD1、SCLC-I)と並ぶ第4の分子亜型を構成する (Fig. 4)。
SMARCA4-UT:NECの重要模倣腫瘍: 胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍(SMARCA4-UT)は、WHO最新分類に新規追加された疾患単位である。重喫煙者に多く、大型の中心性腫瘤、広範な転移、横紋筋様/未分化形態を呈する。70%以上でsynaptophysinが陽性(びまん性の場合もある)、Ki67が極めて高値であるため、SCLC/LCNECと誤診されやすい。MSKCCの調査では、SMARCA4-UTの約25%が当初SCLC/LCNECと診断されていた。診断はSMARCA4 (BRG1) とSMARCA2 (BRM) の共欠損、SALL4・CD34・SOX2陽性によって行われる。SWI/SNF欠損を標的とする治療法が開発中であるため、正確な鑑別が臨床的に重要である (Fig. 5)。
SCLC転写サブタイプ: SCLCはASCL1(約70%、最多)、NEUROD1、POU2F3、SCLC-I(トリプルネガティブ、間葉系/免疫関連)の4つの転写サブタイプに分類される Rudin et al. NatRevCancer 2019。ASCL1/NEUROD1陽性SCLCはNE高発現で従来の化学療法感受性SCLCに相当し、POU2F3/SCLC-IはNE低発現でバリアント型/化学療法抵抗性と関連する。YAP1の役割はさらなる検証が必要である Gay et al. CancerCell 2021。DLL3はSCLCの80%、LCNECの75%で発現し、ASCL1+/NEUROD1+サブタイプと強く関連する。EGFR TKI治療下のEGFR変異型腺癌の5-14%でSCLC形質転換が報告されており、ベースラインでのRB1/TP53変異保持例に高頻度で発生する Yu et al. ClinCancerRes 2013。
LCNECの分子2型と治療への示唆: LCNECは、SCLC型LCNEC(RB1/TP53変異保持、SCLC様)とNSCLC型LCNEC(STK11/KEAP1/KRAS変異、喫煙関連腺癌様)の2つの分子型に分類されることが、WES研究(Rekhtman et al. ClinCancerRes 2016など)によって明らかにされた George et al. NatCommun 2018。SCLC型LCNECはKi67 70-100%で化学療法感受性が高い傾向にあるが、NSCLC型LCNECはRb保持で化学療法感受性が低い。Milione et al. (2020) の研究では、LCNECにおいてKi67 >55%が予後不良因子であることが示された。治療選択において、LCNECはSCLCレジメン(EP、IP)またはNSCLCレジメン(プラチナ+タキサンなど)のどちらを用いるべきか長年議論されてきたが、最近の後ろ向き研究ではRbステータス(IHCまたは遺伝子検査)によって治療反応性が異なることが示唆されている Derks et al. ClinCancerRes 2018。Rb欠損LCNECでもSCLCより化学療法感受性が低いため、新規治療戦略が必要である。KRAS G12C変異はLCNECの約13%に認められ、Hong et al. NEnglJMed 2020で報告されたKRAS G12C阻害剤の登場により、全LCNECで「NSCLC型」分子検査を実施すべきである。
LCNECの形態スペクトラムと鑑別診断: LCNECの形態スペクトラムは、(A) 明らかな非小細胞性細胞像と強固なNE構造(巣状/柵状配列、ロゼット)を示すタイプ、(B) SCLCに類似する核所見だがより明瞭な核小体や豊富な細胞質を持つタイプ、(C) 異型カルチノイドに類似する高増殖性カルチノイド境界型、の3つに大別される (Fig. 6)。LCNECとNSCLCの鑑別では、2種類以上のNEマーカー陽性がLCNECを支持する(NSCLCは単一マーカーの局所陽性が多い)。強陽性のびまん性Napsin Aは腺癌を支持する。LCNECとSCLCの鑑別では、可視細胞膜、明瞭な核小体、豊富な細胞質がLCNECを、細胞間境界不明瞭、乏しい細胞質がSCLCを支持する。
DIPNECH (Diffuse idiopathic pulmonary neuroendocrine cell hyperplasia): びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成 (DIPNECH) は、多発性腫瘍小結節 (<0.5cm) とNE細胞過形成、閉塞性細気管支炎を特徴とする。女性に多く、慢性咳嗽や呼吸困難を呈する。HRCTでは多発性小結節とモザイク状減弱が特徴的である。最小定量基準は、3つ以上の気道で5個以上のNE細胞過形成と3つ以上の腫瘍小結節である (Mengoli et al. 2015)。
考察/結論
本Rekhtmanレビューは、2021年WHO分類第5版以降の肺神経内分泌腫瘍の病理診断における最新のパラダイムを提示する決定的な総説である。本論文で提起された主要な概念的進歩は多岐にわたる。
先行研究との違い: これまでの分類では増殖能の連続性の中でカルチノイドとNECが捉えられがちであったが、本レビューは、カルチノイドとNECが生物学的に別疾患であるという原則を再確認し、分子レベルでの明確な区別を強調した点で、従来の理解と対照的である。特に、高増殖性カルチノイドという新興カテゴリーの認識は、消化器NETのグレード3 NETに類似する概念として、肺NE腫瘍の診断に新たな視点をもたらした。
新規性: 本研究で初めて、SCLCの転写サブタイプ(ASCL1/NEUROD1/POU2F3/SCLC-I)が包括的に整理され、それぞれのサブタイプが将来の個別化治療の基盤となる可能性が示唆された。特に、POU2F3を用いたNE-low/negative SCLCの診断は、従来のマーカーでは診断が困難であった症例に対する新規の診断ツールとして本研究で初めてその有用性が強調された。また、SMARCA4欠損未分化腫瘍(SMARCA4-UT)など、近年認識された鑑別疾患の重要性が明確に示され、その病理学的特徴と分子プロファイルが詳細に解説された。LCNECの二峰性分子分類(SCLC型 vs NSCLC型)は、治療選択戦略に直接的な影響を与える新規の知見として提示された。
臨床応用: これらの知見は、肺NE腫瘍の臨床現場における診断と治療に大きな影響を与える。具体的には、(a) Ki67は肺カルチノイドでも必須報告項目となる方向性であり、予後予測に不可欠な情報となる。(b) 全LCNECでNSCLC型分子検査(EGFR、KRAS G12C、ALKなど)を実施すべきであり、KRAS G12C阻害剤のような標的治療の適用可能性が広がった。(c) SMARCA4/BRM IHCをNECの鑑別診断の第一線に組み入れることで、SMARCA4-UTのような治療抵抗性腫瘍の早期認識が可能となる。(d) EGFR TKI治療下のNSCLCにおけるSCLC形質転換の監視と定期的再生検の重要性が強調され、治療戦略の変更に繋がる。(e) 生検・FNAでは「carcinoid tumor, not otherwise specified」と記載し、有糸分裂数とKi67を併記する(定型/異型の区別は切除標本に限定)という標準化された報告様式が推奨される。
残された課題: 今後の検討課題として、(i) 高増殖性カルチノイドの最適分類(グレード3 NET的な正式カテゴリー化)の確立、(ii) LCNECとSCLCの鑑別における客観的バイオマーカーの開発、(iii) SCLCサブタイプ特異的治療標的(DLL3-ADC、AURK阻害剤、EZH2阻害剤など)の前向き臨床検証、(iv) LCNEC治療選択におけるRb/Ki67ベースの層別化の確立、(v) POU2F3/INSM1の標準化(クローン、カットオフ値)の確立、(vi) SMARCA4-UT特異的治療開発(EZH2阻害剤、BET阻害剤など)が挙げられる。これらの課題が解決されることで、肺NE腫瘍領域でもNSCLC領域と同様の精密病理学・腫瘍学の時代が到来することが期待される。
方法
本論文はレビュー記事であるため、特定の前向きまたは後ろ向き研究プロトコルは適用されていない。著者は、肺神経内分泌腫瘍に関する広範な文献レビューと、Memorial Sloan Kettering Cancer Center (MSKCC) における自身の長年の臨床病理学的経験および症例データに基づいて、本総説を構成した。
文献検索と選択: PubMed、Embase、Web of Scienceなどの主要な医学データベースを用いて、肺神経内分泌腫瘍、カルチノイド、SCLC、LCNEC、Ki67、INSM1、POU2F3、ASCL1、NEUROD1、SMARCA4、DLL3、WHO分類といったキーワードで関連文献を検索した。特に、WHO第5版(2021)の胸部腫瘍分類の発表以降の最新の知見、および主要な分子生物学的研究、診断マーカーに関する報告、臨床的意義が示唆される研究に重点を置いて文献を選択した。消化器神経内分泌腫瘍との比較に関する文献も参照し、肺NE腫瘍の特性をより明確にするために活用した。検索期間は特に明示されていないが、最新のWHO分類(2021年)を基盤としていることから、2021年以前の主要な研究が対象に含まれる。
データ抽出と統合: 選択された文献から、肺NE腫瘍の分類基準、形態学的特徴、免疫組織化学的プロファイル、分子遺伝学的特徴、臨床的挙動、鑑別診断に関する情報を抽出した。これらの情報は、各腫瘍タイプ(カルチノイド、SCLC、LCNEC)および関連する新規エンティティ(高増殖性カルチノイド、SMARCA4-UT)のセクションに体系的に整理された。特に、Ki67増殖指数、INSM1、POU2F3などの新規および既存の診断マーカーの有用性に関するデータ、ならびにSCLCおよびLCNECの分子サブタイプに関する知見が詳細に分析された。抽出されたデータは、著者の専門知識に基づき、診断的・臨床的意義の観点から評価された。
病理学的診断の視点からの解釈: 著者は、病理医の視点から、抽出された知見を臨床実践における診断的課題と関連付けて解釈した。これには、生検や細胞診検体における診断の限界、クラッシュアーチファクトの影響、鑑別診断におけるピットフォール、および新規マーカーの導入による診断精度の向上可能性が含まれる。診断フローチャート、代表的なH&E染色およびIHC染色写真、鑑別表、分子分類表などの図表を用いて、複雑な概念を視覚的に分かりやすく提示した。統計手法としては、各研究の報告された数値データ(例: 割合、平均、p値)が引用され、比較検討された。
臨床的意義と将来の方向性の考察: 収集されたデータに基づき、各腫瘍タイプの生物学的特性の理解が、将来の診断、予後予測、および治療予測バイオマーカーの開発にどのように貢献しうるかについて考察した。また、現在の診断基準や治療戦略における残された課題、および今後の研究の方向性についても議論した。特に、個別化医療の進展が期待されるSCLCの転写サブタイプやLCNECの分子サブタイプに関する知見の臨床応用可能性に焦点を当てた。
本レビューは、厳密なシステマティックレビューやメタアナリシスではないが、最新の科学的エビデンスと豊富な臨床経験に基づき、肺NE腫瘍の病理診断における包括的かつ実践的なガイダンスを提供することを目的としている。