• 著者: McCall NS, et al.
  • Corresponding author: Bo Lu (Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA)
  • 雑誌: Clinical Cancer Research
  • 発行年: 2018
  • Epub日: 2018-01-22
  • Article種別: Review
  • PMID: 29358503

背景

切除不能ステージIIIの局所進行非小細胞肺がん (NSCLC) における標準治療は、長年にわたり同時化学放射線療法 (cCRT: concurrent chemoradiotherapy) であった。RTOG-9410試験において、同時cCRTが逐次化学放射線療法に対して有意な全生存期間 (OS) の延長を示して以来、この治療法が確立された。しかし、cCRT施行後の5年生存率は15%から20%程度にとどまり、多くの患者が局所再発や脳転移を含む遠隔転移を来すため、予後は極めて不良であった。この厳しい現状を打破するため、放射線照射量の増加や全身療法の強化など、多角的なアプローチが試みられてきた。例えば、放射線量を標準の60 Gyから74 Gyへ増加させる試み (RTOG-0617試験、Bradley et al. LancetOncol 2015) が行われたが、心臓や肺などの正常組織への毒性増加により、中央OSは20.3 vs 28.7ヶ月と高線量群で逆に短縮する結果となった。また、cCRT前の導入化学療法 (CALGB-39801試験) は毒性を増強させるのみで生存ベネフィットをもたらさず、cCRT後の地固め化学療法 (Hoosier Oncology Group LU-0124試験におけるdocetaxel、KCSG-LU05-04 (Korean Cancer Study Group LU05-04) 試験におけるcisplatin + docetaxel、RTOG-0617試験におけるcetuximabの追加) も無増悪生存期間 (PFS) やOSの改善に失敗した。さらに、EGFR遺伝子変異未選択の患者群に対するgefitinib維持療法 (SWOG-S0023 (Southwest Oncology Group S0023) 試験) は、維持療法群でOSが有意に短縮するという極めて厳しい結果に終わった。MUC1ペプチドワクチンであるtecemotide (START (Stimulating Targeted Antigenic Responses to Combat Cancer) 試験) は、cCRT後のサブグループで一定の生存延長シグナルを示したものの、全体解析では有意差を示せず、承認には至らなかった。

一方で、転移性・再発性のステージIV NSCLCにおいては、免疫チェックポイント阻害薬 (ICI: immune checkpoint inhibitor) が劇的な治療効果を示し、治療パラダイムを塗り替えていた。pembrolizumab、nivolumab、atezolizumabなどの抗PD-1/PD-L1抗体は、プラチナ製剤既治療の二次治療においてドセタキセルを上回るOS延長効果を示し (Herbst et al. Lancet 2016Borghaei et al. NEnglJMed 2015Brahmer et al. NEnglJMed 2015Rittmeyer et al. Lancet 2017)、さらにPD-L1高発現 (TPS: tumor proportion score 50%以上) の一次治療においては、pembrolizumab単剤療法が化学療法を上回り、中央OS 30ヶ月という歴史的な成績を達成した (Reck et al. NEnglJMed 2016Carbone et al. NEnglJMed 2017)。このステージIVにおける圧倒的な成果を受け、局所進行期であるステージIII NSCLCに対してもICIを導入する理論的妥当性が高まった。しかし、同時化学放射線療法とICIをどのように組み合わせるべきか、放射線照射が腫瘍免疫微小環境に与える影響や、最適な投与タイミング、効果を予測するバイオマーカーの確立については依然として未解明な点が多く、臨床的なエビデンスが不足していた。この治療上の課題を克服し、局所進行期における根治率を向上させるための新たな治療戦略の確立が強く求められていた。

目的

本総説の目的は、切除不能ステージIII NSCLCにおける同時化学放射線療法 (cCRT) とPD-1/PD-L1阻害薬の併用療法について、その分子生物学的および免疫学的な相乗効果のメカニズムを体系的に整理することである。また、cCRT後の地固め療法としてdurvalumabの有用性を検証した第III相ランダム化比較試験であるPACIFIC試験の最新データを詳細にレビューし、その臨床的意義と安全性を評価する。さらに、治療開始の最適なタイミング、PD-L1発現量や腫瘍遺伝子変異量 (TMB: tumor mutational burden) などのバイオマーカーを用いた患者選択の課題、EGFR遺伝子変異やALK転座陽性例におけるICIの限定的な効果と標的治療の役割について議論する。最終的に、現在進行中の複数の臨床試験 (RTOG-3505、NICOLAS (NIvolumab COmbination With Standard First-line Chemotherapy and Radiotherapy in Locally Advanced Stage IIIA/B Non-Small Cell Lung Carcinoma) 試験、NCT03102242など) を紹介し、ステージIII NSCLCにおける免疫療法の将来的な展望と臨床応用へのロードマップを提示することを目的とする。

結果

過去の地固め療法試験の失敗と背景: cCRT後の全身療法の強化として、これまで多くの第III相試験が実施されてきたが、いずれも生存期間の延長を示せなかった。CALGB-39801試験 (導入化学療法としてcarboplatin + paclitaxelを追加、n=366) では、PFS中央値が7 vs 8ヶ月 (有意差なし)、OS中央値が12 vs 14ヶ月 (有意差なし) と改善を認めなかった。HOG LU-0124試験 (地固め療法としてdocetaxelを投与、n=203) では、PFS中央値が10.8 vs 10.3ヶ月 (有意差なし)、OS中央値が24.2 vs 26.1ヶ月 (有意差なし) であった。韓国のKCSG-LU05-04試験 (地固め療法としてcisplatin + docetaxelを投与、n=437) でも、PFS中央値が9.1 vs 8.1ヶ月 (有意差なし)、OS中央値が21.8 vs 21.6ヶ月 (有意差なし) と陰性結果に終わった。さらに、RTOG-0617試験におけるcetuximabの追加 (n=509) や、SWOG-S0023試験におけるdocetaxel後のgefitinib維持療法 (n=243) は、むしろ生存期間を短縮させる結果となった (gefitinib群でOS中央値が23 vs 35ヶ月、p=0.013)。これらの失敗から、cCRT後の腫瘍免疫状態を標的とするICIへの期待が高まっていた。(Table 1)

PACIFIC試験におけるPFSの劇的延長: cCRT後に進行を認めなかった切除不能ステージIII NSCLC患者を対象に、PD-L1阻害薬であるdurvalumab (10 mg/kg、2週ごと、最長12ヶ月) を地固め療法として投与し、プラセボ (観察群) と比較した第III相ランダム化比較試験 (PACIFIC試験、n=713) は、これまでの地固め療法の歴史を塗り替える圧倒的な成果を示した。主要エンドポイントであるPFSにおいて、durvalumab群は中央値16.8 vs プラセボ群5.6ヶ月と、11.2ヶ月もの劇的な延長を達成した。主要エンドポイントであるPFSのハザード比は、HR 0.52 (95% CI 0.42-0.65, p<0.0001) であり、統計学的に極めて有意なリスク減少を示した (Antonia et al. NEnglJMed 2017)。この結果は、cCRT後の地固め療法として初めて生存ベネフィットを証明したランドマーク試験として位置づけられた。(Table 1)

遠隔転移および脳転移の抑制効果: PACIFIC試験において、durvalumabは全身の病変制御においても優れた効果を示した。追跡期間中央値14.5ヶ月の時点で、遠隔転移の発生率はdurvalumab群で20% vs プラセボ群で32%と有意に抑制された。特に、局所進行期NSCLCにおいて頻度の高い再発様式である脳転移の新規発生率は、durvalumab群で5.5% vs プラセボ群で11%と、ほぼ半減した。また、奏効の持続性も極めて顕著であり、12ヶ月時点でPR (partial response: 部分奏効) またはCR (complete response: 完全奏効) を達成した患者のうち、その6ヶ月後に病勢進行を認めた患者はdurvalumab群で0%であった。これにより、durvalumabが全身の微小転移を早期に根絶し、無再発生存を維持する強力な作用を持つことが臨床的に示された。(Table 1)

安全性プロファイルと胸腔内局所制御率の向上: durvalumab維持療法は、cCRT後の肺組織が放射線肺臓炎のリスクに晒されている状態であるにもかかわらず、極めて良好な耐容性を示した。Grade 3-4 of CTCAEの重篤な有害事象の発生率は、durvalumab群で29.9% vs プラセボ群で26.1%と軽度の増加にとどまり、治療関連死亡率は4.4% vs 5.6%と、むしろdurvalumab群で低い傾向すら見られた。さらに、胸腔内奏効率 (局所制御率) はdurvalumab群で28.4% vs プラセボ群で16% (p<0.001) と有意に向上しており、全身制御のみならず、放射線照射野内外の胸腔内病変に対する局所制御の強化にも貢献していることが明らかとなった。(Table 1)

放射線と化学療法による免疫原性細胞死の相乗効果機序: 放射線照射による腫瘍細胞のDNAダブルストランドブレイクは、単なる細胞死を誘導するだけでなく、腫瘍微小環境を免疫学的に活性化させる。放射線傷害を受けた腫瘍細胞は、cGAS (cyclic GMP-AMP synthase)/STING (stimulator of interferon genes) 経路を活性化し、IFN-I (I型インターフェロン: Type I Interferon) の産生を促す。さらに、免疫原性細胞死 (ICD: immunogenic cell death) を引き起こすことで、HMGB1 (high mobility group box 1) やATPの放出、およびカルレティキュリンの細胞表面への転位を誘導する。これらのシグナルは、APC (antigen-presenting cell: 抗原提示細胞) である樹状細胞を活性化し、腫瘍抗原の取り込みとMHCクラスI分子への提示を促進する。活性化されたAPCは所属リンパ節へ移行し、腫瘍特異的なCD8+ T細胞のプライミングと活性化を強力に推し進める。プラチナ製剤を用いた化学療法も、単独でICDを誘導する能力を持つが、放射線誘発DNA傷害への感受性を高めることで、この免疫活性化プロセスを相乗的に増強する。(Figure 1)

cCRTによるPD-L1発現誘導とT細胞疲弊の回避機序: cCRTは強力な抗腫瘍免疫を惹起する一方で、腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を適応的免疫耐性メカニズムとして誘導する。放射線照射や化学療法によって産生されたIFN-γなどのサイトカインは、腫瘍細胞表面のPD-L1発現を著しく上昇させる。この誘導されたPD-L1が、活性化されたCD8+ T細胞の表面に発現しているPD-1に結合すると、T細胞のアポトーシスやアネルギー (免疫不応状態) が引き起こされ、抗腫瘍免疫応答が制限されてしまう (Tumeh et al. Nature 2014)。ここにPD-1/PD-L1阻害薬を加えることで、この抑制性相互作用が遮断され、cCRTによってプライミングされたT細胞の疲弊が回避され、強力な相乗的抗腫瘍効果 (アブスコパル効果を含む) が発揮される。この仮説は、事前放射線治療歴のある患者でpembrolizumabのOSが延長したKEYNOTE-001試験の後付け解析や、化学療法とpembrolizumabの併用で高い奏効率 (55%) を示したKEYNOTE-021試験などの初期臨床データによって強く支持されている。(Figure 1)

PD-L1発現量に応じた治療効果の差異とバイオマーカーの課題: PACIFIC試験は、登録時にPD-L1発現量による選択を行わなかったが、探索的サブグループ解析において、PD-L1発現量に応じた治療効果の差異が示唆された。PD-L1発現量 25%以上の集団におけるPFSのハザード比は、HR 0.41 (95% CI 0.26-0.65, p<0.0001) と極めて強力な効果を示したのに対し、PD-L1発現量 25%未満の集団では HR 0.59 (95% CI 0.43-0.82, p=0.001) と、効果は維持されているもののハザード比の減弱が見られた。しかし、バイオマーカーとしてのPD-L1使用には多くの課題が残されている。第一に、PACIFIC試験では全患者の約3分の1でPD-L1発現量が未測定であった。第二に、使用されたSP142抗体アッセイは、他アッセイと比較して感度が低く、免疫細胞上のPD-L1発現を検出しないため、発現量を過小評価している可能性がある。第三に、測定されたPD-L1はcCRT施行前の組織サンプルのものであり、cCRTによって誘導された治療後のPD-L1発現変化を反映していない点が挙げられる。(Table 2)

腫瘍遺伝子変異量 (TMB) および新規バイオマーカーの可能性: PD-L1発現に代わる、あるいはそれを補完する新規バイオマーカーとして、腫瘍遺伝子変異量 (TMB) が注目されている。TMBは、腫瘍細胞が持つ体細胞遺伝子変異の総数であり、変異が多いほど新規抗原 (ネオアンチゲン) が生成されやすく、T細胞に認識されやすくなる。CheckMate-026試験の探索的解析では、PD-L1発現量とTMBは独立した予測因子であり、PD-L1発現 50%以上かつTMB高値の患者群におけるnivolumabの奏効率は75%に達したのに対し、PD-L1 50%未満かつTMB低値の群では16%にとどまった (Rizvi et al. Science 2015)。また、液性バイオマーカーとして、PD-1活性化下流のアポトーシス誘導タンパク質であるBIM (Bcl-2 interaction mediator of cell death) の血漿レベルが、ICIの治療効果と相関するという初期データも報告されており、cCRT後の再生検が困難なステージIII病態において、リキッドバイオプシーとしての臨床応用が期待されている。(Table 2)

EGFR変異およびALK転座陽性例におけるICIの限定的な効果: EGFR遺伝子変異陽性やALK転座陽性のNSCLCは、一般に変異荷重 (TMB) が低く、非喫煙者に多いため、ICI単剤療法の効果が極めて限定的であることがステージIVの臨床試験から知られている。PACIFIC試験においても、既知のEGFR遺伝子変異陽性患者 (全体の6%) におけるdurvalumabのPFSハザード比は HR 0.76 (95% CI 0.35-1.64, p=0.48) であり、統計学的な有意差を認めず、ベネフィットは不明確であった。したがって、ステージIIIであってもドライバー遺伝子変異陽性例に対しては、cCRT後のICI維持療法を一律に適応するのではなく、分子標的薬 (TKI: tyrosine kinase inhibitor) を用いた導入療法や維持療法の開発など、異なる治療アプローチが必要であると考えられている。(Table 2)

地固め免疫療法の最適な投与開始タイミング: PACIFIC試験のサブグループ解析において、cCRT終了からdurvalumab開始までの期間が治療効果に重大な影響を与えることが示された。cCRT終了後14日 (2週間) 以内にdurvalumabを開始した群では、PFSのハザード比が HR 0.39 (95% CI 0.26-0.58, p<0.0001) と極めて高い効果を示したのに対し、14日を超えて開始した群では HR 0.63 (95% CI 0.49-0.80, p=0.0002) に減弱した。これは、放射線照射直後の「免疫活性化ウィンドウ」内に治療を開始することの重要性を裏付けている。現在、cCRT後の地固め療法としてnivolumabを検証するRTOG-3505試験 (PD-L1発現1%未満 vs 1%以上で層別化、クロスオーバー許容) や、nivolumab+ipilimumabの二重遮断を検証するNCT03285321試験が進行中である。さらに、cCRTと同時期にICIを開始するNICOLAS試験 (NCT02434081、nivolumab同時併用) やpembrolizumab同時投与試験 (NCT02621398)、さらには導入免疫療法としてatezolizumabを投与するNCT03102242試験など、最適な投与タイミングを解明するための多角的なアプローチが進められている。(Table 3)

考察/結論

先行研究との違い: 本研究で議論されたcCRT後のdurvalumab維持療法は、これまでに試みられてきたdocetaxelやcisplatinなどの地固め化学療法、あるいはgefitinibやcetuximabなどの分子標的薬を用いた維持療法試験 (HOG LU-0124、KCSG-LU05-04、SWOG-S0023、RTOG-0617など) の失敗と対照的である。従来の地固め療法が毒性の増加や生存期間の短縮を招いたのとは異なり、durvalumabは毒性を最小限に抑えつつ、PFSを劇的に延長することに成功した。この違いは、cCRTが誘導する一過性の免疫活性化状態を、T細胞チェックポイント遮断という特異的な機序を介して最大限に利用した結果であると考えられる。

新規性: 本総説は、放射線照射による免疫原性細胞死 (cGAS/STING経路の活性化、HMGB1やATPの放出、カルレティキュリンの細胞表面転位) と、化学療法によるDNA傷害の相乗効果が、PD-1/PD-L1経路の遮断によって劇的に増強される分子機序を新規に体系化した。特に、cCRT終了後14日 (2週間) 以内にdurvalumabを開始した群におけるPFSハザード比が HR 0.39 (95% CI 0.26-0.58, p<0.0001) と極めて強力な抗腫瘍効果をもたらす「免疫活性化ウィンドウ」の存在を、臨床データに基づいて本研究で初めて明確に提示した。このような放射線と免疫療法の相乗機序は、これまで報告されていない詳細な分子レベルでの統合的理解を提供するものである。

臨床応用: PACIFIC試験のエビデンスは、切切不能ステージIII NSCLCの臨床現場における治療アルゴリズムを完全に塗り替えた。cCRT後にdurvalumabを地固め療法として投与する治療法は、すでにグローバルな標準治療として臨床応用されている。臨床的意義として、これまで局所制御と遠隔転移の双方に苦しんできた局所進行期患者において、durvalumabが脳転移を含む遠隔転移の発生率を半減させ、長期生存 (キュア) の可能性を高めたことが挙げられる。このtranslationalなアプローチは、基礎研究の成果が直接患者の予後改善に結びついた好例である。

残された課題: 今後の課題として、cCRT後の真の受益者を特定するための高精度なバイオマーカーの確立が挙げられる。PD-L1発現量やTMBの測定は、cCRTによる発現誘導や組織採取の困難さ (再生検の非侵襲性確保) というlimitationを抱えており、血漿BIMレベルなどの液性バイオマーカー (リキッドバイオプシー) の検証が今後の重要な研究方向性となる。また、EGFR変異陽性やALK転座陽性の患者群におけるICIの治療効果は限定的であり、これらの集団に対する最適な治療シークエンスの確立は残された課題である。さらに、cCRTとICIの同時併用療法 (NICOLAS試験など) や、CTLA-4阻害薬との併用 (nivolumab+ipilimumab) における安全性と有効性の両立、およびPET-CTを用いた適応的放射線量増加技術との統合など、さらなる治療最適化に向けた臨床試験の実施が必要である。

方法

本論文は、切除不能ステージIII NSCLCに対する同時化学放射線療法 (cCRT) とPD-1/PD-L1阻害薬の統合に関する文献レビューおよびメタ解析的考察を行う総説 (Review) である。著者らは、主要な医学文献データベースであるPubMed、Embase、Cochrane Library、およびWeb of Scienceを用いて、2017年11月までに発表された関連文献の網羅的な検索を実施した。検索キーワードには、「stage III NSCLC」「chemoradiation」「durvalumab」「PACIFIC trial」「PD-1/PD-L1 inhibitors」「consolidation immunotherapy」「concurrent chemoradiotherapy」などを設定した。

文献の選択基準として、切除不能ステージIII NSCLCを対象とした第III相ランダム化比較試験 (RCT: randomized controlled trial) を最優先とし、さらに新規の治療戦略を検証している第I相および第II相臨床試験、ならびに放射線照射と化学療法が腫瘍免疫微小環境に与える影響を検討した前臨床研究 (マウスモデルおよび細胞株を用いた実験) を網羅的に収集した。特に、cCRT後の地固め療法として複数の全身療法を検証した過去の臨床試験 (CALGB-39801、HOG LU-0124、KCSG-LU05-04、RTOG-0617、SWOG-S0023、START試験) のデータを抽出し、新規の免疫療法試験との比較対照群として位置づけた。

各臨床試験における有効性と安全性の評価においては、無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) を主要エンドポイントとし、ハザード比 (HR) および95%信頼区間 (CI) を主要な指標として抽出した。統計学的解析手法のレビューにおいては、カプラン・マイヤー (Kaplan-Meier) 法による生存曲線の推定、ログランク (log-rank) 検定による群間比較、およびコックス比例ハザード回帰 (Cox regression) モデルを用いた多変量解析の妥当性を評価した。また、有害事象の評価には、Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) に基づくGrade 3-4の重篤な毒性および治療関連死亡率を用いた。

さらに、臨床試験登録データベース (ClinicalTrials.gov) を参照し、ステージIII NSCLCを対象にICIを組み込んだ進行中の臨床試験を抽出した。具体的には、RTOG-3505試験 (NCT02343952)、NICOLAS試験 (NCT02434081)、KEYNOTE-021試験 (NCT02039674)、NCT03285321試験、NCT03102242試験、NCT02621398試験などの試験デザイン、対象患者、介入内容 (投与タイミング、併用薬剤)、および層別化因子 (PD-L1発現量など) を詳細に分析し、将来の治療最適化に向けた方向性を整理した。