• 著者: Simpson KL, Stoney R, Frese KK, Simms N, Rowe W, Pearce SP, Humphrey S, Booth L, Morgan D, Dynowski M, Trapani F, Catozzi A, Revill M, Helps T, Galvin M, Girard L, Nonaka D, Carter L, Krebs MG, Cook N, Carter M, Priest L, Kerr A, Gazdar AF, Blackhall F, Dive C
  • Corresponding author: Caroline Dive (Cancer Research UK Manchester Institute Cancer Biomarker Centre, University of Manchester, UK)
  • 雑誌: Nature Cancer
  • 発行年: 2020
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 35121965

背景

小細胞肺癌 (SCLC) は、急速な増殖、高頻度の循環腫瘍細胞 (CTC; circulating tumor cell) の存在、および早期転移を特徴とする、予後不良な神経内分泌 (NE) 癌である George et al. Nature 2015。SCLCは、神経細胞接着分子 (NCAM)、クロモグラニンA (CHGA)、シナプトフィジン (SYP) などのNEマーカーや甲状腺転写因子-1 (NKX2-1) の発現によって診断される。ゲノム解析では、TP53およびRB1腫瘍抑制遺伝子のほぼ普遍的な不活化、MYCファミリー遺伝子 (MYC, MYCL, MYCN) の約20%での増幅、およびNOTCHファミリー遺伝子の頻繁な変異が特徴として挙げられる Peifer et al. NatGenet 2012 Rudin et al. NatGenet 2012。また、異常なエピジェネティック制御もSCLCの再発性特徴である。

SCLCのほとんどは肺のNE細胞を起源とし、転写因子achaete-scute complex homolog-like 1 (ASCL1) が神経およびNE分化を誘導する。ASCL1はヒトSCLCの75%で発現しており、ASCL1高発現腫瘍由来の細胞株は「古典的」形態を示し、しばしばMYCL増幅を伴う。Trp53、Rb1、Rbl2のトリプルノックアウトマウスモデルでは、Ascl1が腫瘍形成に必須であり、Myclが増幅している。一方、Neurogenic Differentiation Factor 1 (NEUROD1) はSCLC腫瘍の約24%、SCLC細胞株の19%で発現し、NEUROD1発現SCLC細胞は「古典的」から「バリアント」まで多様な形態を示し、しばしばMYC増幅を伴う。NEUROD1高発現腫瘍は、ASCL1高発現腫瘍と比較して診断用NEマーカーの低い発現傾向がある。MYCの強制発現により、NEUROD1の発現上昇、NEマーカーの減少、およびより攻撃的な腫瘍を伴う「バリアント」組織病理がSCLC遺伝子改変マウスモデル (GEMM) で再現される Mollaoglu et al. CancerCell 2017。ヒトSCLCの約10%はASCL1もNEUROD1も発現せず、POU class 2 homeobox 3 (POU2F3) が別のサブタイプを定義することが報告されている。これらのSCLC分子サブタイプのコンセンサス分類が最近報告された Rudin et al. NatRevCancer 2019

過去30年間、転移性SCLCはプラチナ製剤とエトポシドの併用療法が標準治療 (SoC) であった Horn et al. NEnglJMed 2018。近年、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) が一部の患者に有効であり、米国ではSoCとして承認された Antonia et al. LancetOncol 2016。DNA損傷修復阻害剤 (DDRi) は前臨床モデルで有効性を示し、DDR阻害がSTING依存的な細胞傷害性T細胞の活性化を促進するため、DDRiとICIの併用療法に根拠がある Sen et al. CancerDiscov 2019。オーロラキナーゼ阻害剤に対する感受性の違いは、MYCファミリーメンバーの発現に基づいて前臨床モデルで観察されている。しかし、SCLCの生物学を包括的に理解し、個別化医療を支援するためには、特にSoC後の病勢進行時において、研究に十分な生検組織の入手が困難であるという課題が残されている。従来のSCLC研究ツール、例えば確立されたヒト細胞株やGEMMモデルでは、患者腫瘍の複雑な異質性や、治療による進化を十分に捉えることが困難であり、この点がSCLCの生物学理解における知識ギャップとなっていた。特に、化学療法耐性獲得前後で同一患者から得られる細胞株は稀であり、患者内で一般的に起こる耐性獲得メカニズムは未解明であった。

SCLC研究ツールには、確立されたヒト細胞株およびそれらから派生した異種移植片、GEMM、患者由来異種移植片 (PDX) および患者のCTCから生成されたCDXモデルが含まれる。GEMMは遺伝子と疾患の因果関係研究を可能にするが、ヒト細胞株、PDX、CDXモデルに存在する広範なタバコ誘発性変異環境を再現しない。細胞株は実験に適しているが、継代中に「ゲノムドリフト」を起こしやすく、化学療法耐性獲得前後で同一患者から得られることは稀である。細胞株やPDXは組織培養やマウスで化学療法耐性を獲得させることができるが、これらのメカニズムが患者内で一般的に起こるかどうかは未解明である。CDXモデルは、患者がSoC後に病勢進行する前後の連続血液サンプルから作成され、新しい治療法の臨床試験中に生じるSCLCの進化生物学を解明することを可能にする。本研究は、SCLCの異質性解明と精密医療の基盤となる大規模CDXバイオバンクを構築し、サブタイプの再定義と進行時生物学変化を系統的に解析した。

目的

本研究の目的は、31例のSCLC患者由来の循環腫瘍細胞 (CTC) から38のCDX (circulating tumor cell-derived explant) モデルバイオバンクを構築し、SCLCの複雑な腫瘍内・腫瘍間異質性を詳細に解明することである。具体的には、以下の4つの目的を掲げた。

  1. SCLCの分子サブタイプ分類の独立検証と新規サブタイプの同定: 既報のASCL1、NEUROOD1、POU2F3サブタイプに加え、トランスクリプトーム解析により、これまで未報告の新規サブタイプを同定し、その特徴を明らかにする。
  2. 病勢進行に伴う表現型進化の記述: 6対の縦断的CDXモデル(治療前と病勢進行時)を用いて、病勢進行に伴う遺伝子発現、形態、および治療応答の変化を系統的に記述する。
  3. 転移挙動、上皮間葉転換 (EMT; epithelial to mesenchymal transition)、およびMYCファミリー遺伝子発現の解析: CDXモデルにおける転移能、EMT関連マーカーの発現パターン、およびMYCファミリー遺伝子 (MYC, MYCL, MYCN) の発現動態を詳細に解析し、これらの生物学的プロセスがSCLCの進行にどのように寄与するかを評価する。
  4. 将来の精密医療研究のためのリソース提供: 構築されたCDXバイオバンクを、SCLCの個別化医療研究を促進するための貴重な前臨床リソースとして提供し、バイオマーカー開発や治療標的探索の基盤を確立する。

これらの目的を達成することで、SCLCの生物学的理解を深め、より効果的な治療戦略の開発に貢献することを目指した。

結果

患者背景とCDXパネルの生成: 31例のSCLC患者 (女性14例、男性17例、平均年齢68歳) から38のCDXモデルが生成された。全ての患者は喫煙歴があるか、または現喫煙者であった (CDX13を除く)。患者の90% (28/31) が進展型SCLC (ES-SCLC) であり、3例が限局型SCLC (LS-SCLC) であった。CDXの生成成功率は17%であったが、並行して測定されたCS-CTC (CellSearch-circulating tumor cell) 数が7.5 ml血液あたり49個を超えるサンプルでは49%と大幅に高かった (Extended Data Fig. 1)。6対のCDXモデルは、治療前ベースラインと病勢進行時の縦断的サンプルから生成された。

形態学的特徴とNEマーカー発現: CDXモデルでは、シート状の細胞構造 (CDX3)、偽ロゼット (CDX18)、柵状配列および索状増殖 (CDX20) など、SCLCの多様な形態学的特徴が観察された (Fig. 1c)。ほとんどのCDX (38モデル中35モデル) は、ヒトSCLC細胞株の70%に報告されている「古典的」SCLCと一致する小型核 (20-40 µm) を有していた。CDX13およびCDX17Pは比較的大きな核 (40-50 µm) を有し、「バリアント」SCLC形態と一致した。CDX17はベースラインで古典的形態を示したが、病勢進行時のCDX17Pではバリアント形態への変化が示唆された。CDX29 (LS-SCLCドナー) は古典的形態とバリアント形態の両方の細胞を含んでいた。CDX13を除く全てのCDXは、IHCにより3つの診断用NEマーカー (NCAM、CHGA、SYP) のうち少なくとも2つを発現していた (Extended Data Fig. 3)。階層的クラスタリングにより、ペアモデルにおけるNEマーカーの発現はベースラインと病勢進行間で全体的に変化がないことが示された (Extended Data Fig. 3b)。

新規ATOH1サブタイプの同定: CDXトランスクリプトームの非バイアスな階層的クラスタリングにより、4つの明確なクラスターが同定された (Fig. 2a)。クラスター1、3、4は、既報のSCLC分子サブタイプであるASCL1 (クラスター4、38モデル中31モデル、82%)、NEUROD1 (クラスター3、38モデル中3モデル、8%)、およびPOU2F3 (クラスター1、38モデル中1モデル、3%) に関連する遺伝子を含んでいた。クラスター2 (38モデル中4モデル、11%) は、これまで認識されていなかった新規サブタイプであり、NE転写因子ATOH1を含む遺伝子群が特徴であった (他のクラスターと比較して最も有意に上方制御された遺伝子、調整済みp値 = 4.58 × 10⁻⁴⁴) (Fig. 2b)。RT-qPCR解析により、CDX17/17P、CDX25、CDX30PにおいてATOH1とその標的であるPOU4F3の高発現が確認された (Fig. 2c)。ATOH1サブタイプは、George et al. (2015) の切除SCLCコホート (n=81) では1%と稀であったが、本CDXバイオバンクでは11%と高頻度であった。

ASCL1/NEUROD1の腫瘍内・腫瘍間異質性: IHCによるASCL1/NEUROD1発現解析 (n=38) では、22例 (58%) がASCL1+/NEUROD1-、8例 (21%) がASCL1-/NEUROD1+、8例 (21%) がASCL1+/NEUROD1+であった (Fig. 3c)。ASCL1+/NEUROD1+のCDXでは、マルチプレックス免疫蛍光法により、これらのNE転写因子の細胞内での相互排他的な発現が明らかになった (Fig. 3d)。これは、集団レベルのバルク解析では検出できない単細胞レベルの異質性を初めて可視化したものである。6つのペアモデルのうち5つで、ASCL1/NEUROD1の状態はベースラインと病勢進行間で変化がなかった (Fig. 3a)。

REST発現とNEスコア: 神経新生の主要な制御因子であり、SCLCにおけるNE分化抑制因子であるRE1 Silencing Transcription Factor (REST) の発現は、CDX13 (86% REST陽性細胞) を除き、ほとんどのCDXで低値であった (<10%) (Fig. 3a)。NEスコアリングアルゴリズムに基づくRNA-seqデータでは、CDX13 (NEスコア -0.14) を除く全てのCDXで陽性のNEスコア (範囲0.28〜0.89) を示し、68%のCDX (26/38) が≥0.80の高いNE表現型を示した (Fig. 3e)。CDX13はPOU2F3サブタイプに分類され、RB1野生型、TP53ヌルというSCLCとしては非典型的な遺伝子型を示した (Fig. 3f)。

MYCファミリー遺伝子発現パターン: MYCLは最も頻繁に発現し、CDX17Pで最も高発現であった (Fig. 4a)。MYCおよびMYCNの発現は比較的低く、MYCを発現するモデルは2つ (CDX13とCDX17P)、MYCNを発現するモデルは3つ (CDX10、CD29、CDX45) であった。MYCタンパク質は38モデル中8モデル (21%) で検出され、CDX17 (1%) からCDX17P (10%) への病勢進行中にMYC陽性細胞のクローン増殖が確認された (Fig. 4d)。MYCLの最高発現はATOH1サブタイプと最も密接に関連し、NEUROD1はMYCNと関連していた (Extended Data Fig. 6)。

EMTと間葉系マーカー: Vimentin (間葉系マーカー) の発現は38モデル中13モデル (34%) で認められたが、ほとんどは陽性細胞が5%未満と低頻度であった。CDX30P (96%)、CDX25 (58%)、CDX1 (9%) で高Vimentin発現が認められた (Fig. 5a,b)。バリアント、低NEサブタイプの特徴を示すCDX13では、Vimentinは検出されず、EpCAMおよびpanCKが高発現であり、典型的なEMTシグネチャは示さなかった。RNA-seqデータの主成分分析では、ASCL1とEpCAMの関連、NEUROD1およびATOH1と間葉系マーカーの関連が示された (Fig. 5c)。

ベースライン/病勢進行ペアモデルにおける疾患の進化: 5対のベースライン/病勢進行CDXモデル (CDX3/3P、CDX8/8P、CDX17/17P、CDX18/18P、CDX42/42P) の前臨床RECISTおよびnTTP評価では、ベースラインCDXが化学療法感受性であり、病勢進行CDXがより耐性傾向にあることが示された (Fig. 6a,b)。例えば、CDX17のnTTPは6.3ヶ月であったのに対し、病勢進行後のCDX17Pでは2.1ヶ月であり、化学療法に対する耐性獲得が示唆された。差次発現解析では、6対のペアモデル全体で82遺伝子が上方制御され、270遺伝子が下方制御された。特に、NOTCH1 (3対: CDX8/8P、CDX20/20P、CDX42/42P) およびNOTCH2 (3対: CDX8/8P、CDX18/18P、CDX42/42P) 受容体が病勢進行時に上方制御される傾向が観察された (Fig. 6d)。

CDXの転移挙動: 皮下移植されたCDX14P、CDX17、CDX17P、CDX25腫瘍を持つマウスにおいて、脳、肝臓、肺への転移性播種が確認された (Fig. 7)。CDX14Pを持つマウスの脳およびCDX17を持つマウスの肝臓転移において、NCAM陽性かつpHH3陽性の増殖細胞が検出された (Fig. 7b)。全ての4モデルにおいて、NCAM陽性のヒト細胞がマウス肺内で検出された (Fig. 7c)。CDX14P (ASCL1+/NEUROD-、MYCファミリー遺伝子発現低/なし) は脳に転移するが、EMTの明確な証拠は認められず、SCLCの転移が必ずしもEMTに依存しない可能性が示唆された。

考察/結論

本研究は、38モデルのSCLC CDXバイオバンク(うち6対のベースライン/病勢進行ペア)を構築し、SCLCの腫瘍内および腫瘍間の表現型異質性を前例のない詳細さで解明した画期的なリソース研究である。

新規性: 本研究で初めて、既報のASCL1、NEUROD1、POU2F3サブタイプに加え、新規のATOH1サブタイプを同定した。ATOH1は聴覚有毛細胞の分化や腸上皮分泌細胞系統の決定因子であり、他のがん(髄芽腫、メルケル細胞癌)では癌遺伝子として、大腸癌では腫瘍抑制遺伝子として機能することが報告されている。SCLCにおけるATOH1の生物学的役割の解明と、NOTCH/WNTシグナル伝達やBET阻害剤、HDAC阻害剤などを介した治療標的化が今後の重要な課題となる。ATOH1サブタイプが切除検体では1%と稀であるのに対し、CDXでは11%と高頻度であった点は、CTC由来モデルがより進行期のSCLCの生物学を反映する可能性を示唆する。また、ASCL1+/NEUROD1+のCDXにおいて、単細胞レベルでのASCL1とNEUROD1の相互排他的な発現をマルチプレックス免疫蛍光法で初めて証明した。これは、バルク解析では見過ごされがちな腫瘍内異質性の複雑さを浮き彫りにする知見である。

先行研究との違い: これまでのSCLC研究では、細胞株やGEMMモデルが主に用いられてきたが、これらのモデルでは患者腫瘍の複雑な異質性や、治療による進化を十分に捉えることが困難であった。本研究で構築されたCDXバイオバンクは、患者由来のCTCから直接樹立されており、患者腫瘍の病理形態、NEマーカー発現、化学療法応答を忠実に再現する点で、これまでのモデルと異なり、より臨床に近い生物学的特性を保持している。特に、6対の縦断的CDXモデルは、病勢進行に伴うMYC遺伝子発現の変化、NOTCHシグナル変動、バリアント形態の増加、およびEMT非依存的な転移といった、治療による腫瘍進化を直接的に観察することを可能にした。これは、従来のモデルでは困難であった動的な腫瘍生物学の解明に貢献する。

臨床応用: 本研究の知見は、SCLCの精密医療時代における臨床試験設計に重要な基盤を提供する。SCLCの分子サブタイプ(ASCL1、NEUROD1、POU2F3、新規ATOH1)に基づいた層別化治療戦略の開発が可能となる。例えば、ASCL1サブタイプはBCL-2阻害剤、NEUROD1サブタイプはオーロラキナーゼ阻害剤、POU2F3サブタイプはPARP阻害剤に感受性を示す可能性が示唆されており、新規ATOH1サブタイプに対する治療標的の探索が期待される。また、ペアのベースライン/病勢進行CDXモデルは、化学療法耐性メカニズムの解明と克服戦略の開発に貢献し、例えば、PARP阻害剤オラパリブとWEE1阻害剤アダボセルチブの併用療法の前臨床的根拠を提供した。これにより、患者の病勢進行段階に応じた最適な治療選択が可能となる。

残された課題: 今後の検討課題として、まずATOH1サブタイプの臨床コホートにおける独立検証と、その予後および治療応答との相関を明らかにすることが必要である。また、シングルセルRNA-seq解析により、CDXモデルにおける腫瘍内異質性をさらに詳細に解明し、異なるサブタイプの細胞間の相互作用を理解することが重要である。PDXモデルやオルガノイドモデルとの補完的な使用により、SCLCの生物学をより包括的に理解することも今後の方向性である。さらに、SCLCサブタイプの可塑性(例: ASCL1からNEUROD1への移行)のメカニズムとその標的化、免疫チェックポイント阻害剤応答予測のための免疫ゲノム解析、および治療耐性ドライバー遺伝子の同定と介入的標的化も残された課題である。本CDXバイオバンクは国際的な研究リソースとして公開され、SCLCの生物学および治療開発におけるブレークスルーを促進する意義深いインフラストラクチャを提供した。

方法

CDXモデルの生成: 31例のSCLC患者から血液サンプルを採取した。各患者から10 mlのEDTA血液を採取し、RosetteSep (Stem Cell Technologies) を用いた陰性選択によりCTCを濃縮した。濃縮されたCTCは、8〜16週齢の非肥満糖尿病 (NOD) 重症複合免疫不全 (SCID) インターロイキン-2受容体γ欠損 (NSG) マウスの側腹部に皮下注射された。最初の継代 (p1) CDX腫瘍が600 mm³に達した後、それらを採取し、3 × 3 mm³の断片に解剖した。各断片は5匹のNSGマウスに皮下再移植され、p2腫瘍とされた。組織学的および分子学的特性評価、および将来の研究のための十分な材料を生成するため、p2腫瘍はGentleMACS dissociation (Miltenyi Biotec Ltd) によって解離され、製造元の指示に従って赤血球、死細胞、およびマウス細胞が除去された。解離後、細胞は計数され、5匹のNSGマウスに再移植され、p3腫瘍とされた。CDXの生成成功率は17%であった。6対のCDXモデルは縦断的に(治療前ベースラインとSoC後の病勢進行時)生成され、他の24例は単一時点でのサンプルから生成された。限局型SCLC (LS-SCLC) 患者からのCDX29ドナーはCellSearch® (CS)-CTCが検出されなかった。CS-CTC数が7.5 ml血液あたり49個を超えるサンプルでは49%のCDX成功率が得られたのに対し、49個以下のサンプルでは1%未満であった (Extended Data Fig. 1)。

病理学的解析: CDXモデルの病理学的評価は、H&E染色、免疫組織化学 (IHC)、およびマルチプレックス免疫蛍光法を用いて実施された。IHCでは、NEマーカー (NCAM、CHGA、SYP、NKX2-1)、転写因子 (ASCL1、NEUROD1、POU2F3、REST)、MYC、vimentin、EpCAM、サイトケラチン (CK)、pHH3などの抗体を用いた (Supplementary Table 3)。VimentinおよびRESTに対する抗体はヒト特異的であり、腫瘍浸潤マウス間質細胞からの寄与を除外した。IHC染色結果はDefiniens Developer XD v.2.7.0 Tissue Studio v.4.4.2 (Definiens AG) を用いて定量化され、陽性細胞の割合として算出された。各CDXについて、3つの独立した腫瘍切片が2人の経験豊富なアナリストによって手動で独立してスコア化された。

分子解析: RNAは各CDXモデルから3〜6個の独立した複製腫瘍から抽出され、RNA-seq解析が実施された。データは「bamcmp」アルゴリズムを用いてマウスゲノムに優先的にアラインするリードを除去し、GRCh38アセンブリにアラインされた。CPM (counts per million) 値が決定され、Pearson相関と平均クラスタリング法を用いてCDXモデルの階層的クラスタリングが生成された。階層的クラスタリングには、最も変動の大きい1,686個の遺伝子が使用された。NE分類のためのスコアリングアルゴリズムが、既報の方法に従って各CDXのRNA-seqデータから算出された。RT-qPCRはATOH1およびPOU4F3の発現検証に用いられた。

治療応答評価: CDXモデルの治療応答は、シスプラチン/エトポシド併用療法を用いてin vivoで評価された。腫瘍が150〜250 mm³に達したマウスは、ビヒクルまたは化学療法群にランダムに割り付けられた。治療応答は、前臨床RECISTスコアおよび正規化された病勢進行までの時間 (nTTP) を用いて評価された。各群のマウス数はn=3〜14匹であった。

転移能評価: 皮下移植されたCDX14P、CDX17、CDX17P、CDX25モデルにおいて、脳、肝臓、肺への転移性播種が評価された。NCAMとリン酸化ヒストンH3 (pHH3) の二重免疫蛍光染色により、遠隔臓器における増殖性細胞の存在が確認された。

統計解析: 全ての解析は、一次患者材料およびCTCから生成されたp1マウスを除き、最低n=3の独立したCDX腫瘍複製または3つの独立した細胞培養で実施された。in vivo治療応答研究では、各群のマウス数はn=3〜14匹であった。RNA-seqデータはDESeq2を用いて差次発現解析が行われ、患者をデザイン行列の因子として組み込んだ。遺伝子は、絶対fold changeが1以上、調整済みp値が0.05以下のものに絞り込まれた。NE分類のためのスコアリングアルゴリズムは、既報の方法に従って各CDXのRNA-seqデータから算出された。Kaplan-Meier曲線を用いて生存解析を実施した。