• 著者: E. John Wherry, Makoto Kurachi
  • Corresponding author: E. John Wherry (Institute for Immunology, Department of Microbiology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, USA); Makoto Kurachi (kurachi@mail.med.upenn.edu)
  • 雑誌: Nature Reviews Immunology
  • 発行年: 2015
  • Epub日: 2015-07-24
  • Article種別: Review
  • PMID: 26205583

背景

T細胞疲弊 (T cell exhaustion) は、慢性ウイルス感染症(例:LCMV Clone 13、HIV、HCV、HBV)や癌において、抗原特異的CD8+ T細胞が増殖能、IL-2産生能、および多機能性(IFN-γ、TNF、脱顆粒の同時産生)を段階的かつ進行性に喪失し、最終的にIFN-γ単独産生または完全な無応答状態に陥る現象として、2000年代初頭に相次いで報告された。疲弊T細胞は、PD-1をはじめとする複数の抑制性受容体(LAG-3、TIM-3、2B4、CD160、TIGIT、CTLA-4)を同時高発現し、これらの受容体の発現数が多いほど機能障害が重篤であることが示されている。

T細胞疲弊の概念は、抗PD-1/PD-L1療法によって部分的な機能回復が得られることがBarber et al. Nature 2006で示されて以来、免疫療法における重要な標的として大きな注目を集めてきた。しかし、PD-1シグナル遮断のみでは完全なT細胞機能回復が得られないことが明らかとなり、疲弊の分子・細胞基盤の全容解明が急務となった。特に、疲弊T細胞が単一の均一な集団ではなく、異なる機能的サブセットから構成される可能性や、その発生・維持に関わる転写因子ネットワーク、エピジェネティックな制御機構、および可溶性抑制因子の役割については、多くの未解明な点が残されていた。

これまでの研究では、T細胞疲弊が慢性抗原刺激によって誘導されること、およびCD4+ T細胞のヘルプがCD8+ T細胞の疲弊を軽減する可能性が示唆されていたが、これらのメカニズムの詳細は不明であった。また、T細胞疲弊がT細胞アネルギーや老化といった他のT細胞機能不全状態とどのように異なるのか、その明確な鑑別点も不足していた。これらの知識ギャップが、疲弊T細胞を標的としたより効果的な免疫療法の開発を妨げる要因となっていた。例えば、Wherry et al. NatImmunol 2011Pardoll et al. NatRevCancer 2012といった先行研究では、疲弊T細胞の一般的な特徴や免疫チェックポイント阻害の意義が強調されてきたが、その細胞階層やエピジェネティックな制御に関する詳細な知見はまだ十分ではなかった。本レビューは、これらの未解明な側面を体系的に整理し、新たな治療戦略の基礎となる分子・細胞学的知見を提供することを目的としている。

目的

本レビューの目的は、慢性LCMV感染モデルを中心とした研究から得られたT細胞疲弊の分子機序、細胞階層、および関連する細胞外シグナルを体系的に整理し、その包括的な理解を深めることである。具体的には、以下の主要な側面に焦点を当てる。

第一に、T細胞疲弊における抑制性受容体(PD-1など)の共発現とその機能的意義、および複数の抑制性経路の同時遮断による相乗効果のメカニズムを解明する。 第二に、T細胞疲弊が単一の機能不全状態ではなく、T-betとEOMES (Eomesodermin) によって定義される「先駆疲弊T細胞」と「末梢疲弊T細胞」という異なる細胞階層を持つことを明らかにし、これらのサブセットの発生、維持、および抗PD-1療法への応答性の違いを詳述する。 第三に、T細胞疲弊を制御する転写因子ネットワーク(NFAT (nuclear factor of activated T cells)、BLIMP1 (B lymphocyte-induced maturation protein 1)、BATF (basic leucine zipper transcription factor ATF-like)、FOXO1 (forkhead box protein O1) など)と、Pdcd1遺伝子座のエピジェネティックな刷り込みが疲弊の持続に与える影響を解析する。 第四に、IL-10、TGFβ、Type I IFNなどの可溶性抑制因子がT細胞疲弊に及ぼす影響と、CD4+ T細胞疲弊の独自性およびCD8+ T細胞疲弊への影響を評価する。 最後に、T細胞疲弊とT細胞アネルギー、老化との相違点を明確にし、これらの知見が将来の免疫療法やワクチン設計に与える含意を論じる。

結果

疲弊T細胞の段階的・進行性機能喪失: T細胞疲弊は一律の「機能停止」ではなく、機能喪失の進行性ヒエラルキーを示すことが明らかになった。最初に失われる機能はIL-2産生能(増殖シグナル産生の喪失)とポリファンクショナリティ(IFN-γ、TNF、IL-2を同時産生する多機能性)である。次に、TNF産生能、脱顆粒能(グランザイムB分泌)、および増殖応答性が低下する。最終的にはIFN-γ産生能が失われ(重篤疲弊)、完全な無反応状態に陥る。疲弊の重症度と、PD-1、LAG-3、2B4、CD160、TIM-3、TIGITといった阻害性受容体の共発現数は正の相関を示し、複数受容体の同時遮断が単剤遮断よりも強力な機能回復を誘導する相乗的遮断効果が観察された。例えば、慢性LCMV感染モデルにおいて、PD-1とLAG-3の同時遮断は、単独遮断と比較して有意に高いT細胞機能回復とウイルス量減少をもたらした (Blackburn et al. Nat Immunol 2009)。この効果は、単独遮断群と比較してウイルス量が約100倍減少した (p<0.001) ことで示された (Figure 1)。

疲弊T細胞の細胞階層:先駆細胞と末梢エフェクター細胞: 疲弊T細胞は均一な集団ではなく、少なくとも2つの機能的に異なるサブポピュレーションに分かれることが示された。一つは「先駆疲弊T細胞 (progenitor-exhausted T cells)」であり、T-betを高く発現し、PD-1の中程度の発現、CXCR5陽性、TCF1陽性、そして増殖能を保持する。これらの細胞は主にリンパ節や白脾髄に局在する。もう一つは「末梢疲弊T細胞 (terminally exhausted T cells)」であり、EOMESを高く発現し、PD-1の高発現、GzmB陽性、CX3CR1陽性を示す。これらの細胞は末梢組織や腫瘍に局在し、数量的には先駆疲弊T細胞の約20倍多い最終分化した短命集団である。抗PD-1療法によって増殖回復するのは、T-bet高PD-1中等度を発現する先駆疲弊T細胞のみであり (Paley et al. Science 2012)、末梢疲弊T細胞はPD-1遮断に応答しない。したがって、PD-1療法の有効性は、先駆疲弊T細胞の残存頻度に依存すると考えられる。この先駆疲弊T細胞は、TCF1/BCL6発現を介してT濾胞ヘルパー (TFH) 細胞と共通の転写プログラムを持ち、自己複製能と娘細胞への分化能を兼ね備える「幹細胞様疲弊T細胞」として位置づけられる (Figure 1)。

疲弊T細胞の起源:CD127+記憶前駆体から: 急性感染における記憶T細胞形成の研究から、短命エフェクター細胞 (SLEC: KLRG1高CD127低) と記憶前駆体 (MPEC: CD127高KLRG1低) の2集団が生じることが知られている。慢性感染下では、SLECに相当する集団が継続的なエフェクター分化を経て疲弊していく一方、CD127+記憶前駆体由来の集団が先駆疲弊T細胞サブセットを形成することが示された (Angelosanto et al. J Virol 2012)。KLRG1高の短命エフェクター細胞は疲弊の起源にならないことが示唆されている。このことは、疲弊T細胞が記憶分化能力を持つ前駆体から生じ、持続的な抗原暴露によって段階的に分化していくことを示唆する (Figure 1)。

転写因子ネットワーク:疲弊プログラムの制御: T-betとEOMESの拮抗的発現バランスが疲弊進行度を決定する。T-betは疲弊の抑制因子として機能し、T-bet欠損T細胞ではより重篤な疲弊が観察される (Kao et al. Nat Immunol 2011)。一方、EOMESは疲弊の促進因子であり、末梢疲弊T細胞で高発現し、T-betの低下と裏腹に発現が上昇する。NFATc1は、慢性刺激下でAP-1 (FOS/JUN) との協調的結合が失われ、NFATcが単独でPdcd1、Lag3、Tigitなどの阻害性受容体プロモーターへ結合することで疲弊プログラムの転写を活性化する (Agnellini et al. PNAS 2007; Martinez et al. Immunity 2015)。BLIMP1 (PRDM1) は疲弊T細胞で高発現し、IL-2およびIL-7受容体の抑制、BCL-6の抑制、Pdcd1の誘導に関与する (Shin et al. Immunity 2009)。BATFは疲弊状態での転写因子リワイアリングに寄与し、BATF欠損は急性・慢性感染双方でT細胞機能障害を引き起こす (Quigley et al. Nat Med 2010)。VHL (von Hippel-Lindau) はHIF-1αユビキチン化酵素であり、VHL欠損T細胞ではHIF-1α蓄積によりエフェクター・疲弊様転写プログラムへ偏向する (Doedens et al. Nat Immunol 2013)。FOXO1はT細胞疲弊の調節に関与し、FOXO1欠損はTCF1の低下と先駆疲弊T細胞の維持障害を引き起こす (Staron et al. Immunity 2014)。これらの転写因子は、疲弊T細胞のユニークな分化状態を形成する上で重要な役割を果たす (Figure 4)。

Pdcd1遺伝子座のエピジェネティック刷り込み:疲弊の分子記憶: 慢性LCMV感染において、Pdcd1プロモーター領域のCpGサイトはほぼ完全に脱メチル化され、H3K27acを伴う許容的クロマチン状態が形成される。この脱メチル化状態はウイルス量が低下した後も持続し (Youngblood et al. Immunity 2011)、抗原が除去されてもPdcd1の再メチル化は起こらない。対照的に、急性感染後の記憶T細胞ではPdcd1はメチル化が回復する。この「エピジェネティック刷り込み (epigenetic imprint)」により、疲弊T細胞の表現型は細胞分裂を通じて娘細胞に安定的に受け継がれる。疲弊T細胞を急性感染マウスに養子移入し再活性化してもPdcd1のCpGメチル化は回復せず、疲弊表現型が引き継がれることが示された (Utzschneider et al. Nat Immunol 2013)。これは、エピジェネティック介入なしにはPD-1遮断のみで完全な機能回復が得られない理由を説明し、疲弊T細胞のエピジェネティックリプログラミングが免疫療法増強の鍵であることを示唆する (Figure 4b)。

可溶性抑制シグナル:IL-10、TGFβ、Type I IFN: IL-10は慢性感染下でBLIMP1発現TH1細胞、CD8+ T細胞、DC、マクロファージから産生され、PD-1シグナルと協調的にT細胞増殖・機能を抑制する。慢性LCMV感染マウスへの抗IL-10R抗体と抗PD-L1抗体の併用は、単剤よりも強力なウイルス排除と機能回復を誘導する。例えば、単剤療法と比較してウイルス特異的CD8+ T細胞のIFN-γ産生能が約2.5倍改善した (Brooks et al. PNAS 2008)。TGFβは慢性感染T細胞でSMAD2リン酸化(TGFβシグナリング活性化)を増加させ、エフェクター機能と増殖を抑制する (Tinoco et al. Immunity 2009)。Type I IFN (IFN-α/β) は、急性感染では抗ウイルス・T細胞活性化シグナルとして機能するが、慢性感染では持続的Type I IFNシグナルが逆にT細胞疲弊、リンパ組織破壊(リンパ節の線維化)、免疫抑制性因子(IL-10、PD-L1)の誘導を促進する (Wilson et al. Science 2013; Teijaro et al. Science 2013)。抗IFNAR (Type I IFN受容体) 抗体投与が慢性感染下でのT細胞疲弊を軽減するという知見は、慢性IFN-I暴露が疲弊の要因であることを示す。例えば、抗IFNAR抗体投与により、ウイルス特異的CD8+ T細胞のPD-1発現が約50%減少し、IL-2産生能が約3倍増加した (p<0.05)。

CD4+ T細胞疲弊:CD8+とは異なる独自プログラム: CD4+ T細胞も慢性感染や癌で疲弊するが、CD8+疲弊とは異なる特徴を持つ (Box 2)。慢性感染下では、T濾胞ヘルパー (TFH) 様分化(BCL-6高発現、CXCR5陽性)への偏向が起こり、IL-21産生、IL-10産生、PD-1高発現を示す (Crawford et al. Immunity 2014)。CD4+疲弊での転写因子変化は、GATA3 (TH2マスター)、BCL-6 (TFH)、Helios (Treg関連) の発現が複雑に変化し、単純なTH1/TH2分類では捉えきれない異質な転写プログラムを示す。CD4+ T細胞疲弊の機能的影響として、CD4+ T細胞由来のIL-21が抗原特異的CD8+先駆疲弊T細胞の維持に必須であり (Elsaesser et al. Science 2009)、CD4+疲弊によるIL-21産生低下は間接的にCD8+ T細胞疲弊を促進する。例えば、IL-21欠損マウスでは、慢性LCMV感染時のCD8+ T細胞数が野生型と比較して約10分の1に減少した (n=5 mice/group, p<0.01)。

疲弊・老化・アネルギーの鑑別: 疲弊はT細胞アネルギー(抗原提示なし遭遇による機能不応答)および老化(テロメア短縮、p16/p21依存的細胞周期停止)とは異なる (Table 1)。疲弊の特徴は、抗原依存的維持(抗原除去で消失・増殖不全)、CD122 (IL-2/IL-15Rβ)/CD127低下、PD-1高発現、阻害受容体多重共発現、KLRG1低(老化ではKLRG1高/CD57高)、持続的細胞分裂(週5-7回のサブセット存在、老化ではKi-67低)である。これらの鑑別点は、免疫療法での標的集団特定(疲弊T細胞のみが免疫チェックポイント阻害に応答する)において重要な臨床的意義を持つ。

考察/結論

先行研究との違い: 本レビューは、Wherry et al. NatImmunol 2011のグループを中心とした慢性LCMV感染研究の成果を統合し、T細胞疲弊の分子・細胞基盤を最も包括的に体系化した2015年時点での決定版レビューである。本研究は、T細胞疲弊が単一の機能不全状態ではなく、T-bet高PD-1中等度の先駆疲弊T細胞とEOMES高PD-1高の末梢疲弊T細胞という異なる細胞階層を持つことを明確に示した点で、これまでの疲弊T細胞の理解を大きく進展させた。特に、PD-1遮断に応答するのは先駆疲弊T細胞のみであるという知見は、従来のPD-1単独遮断療法の限界を説明し、より効果的な治療戦略の必要性を示唆する。

新規性: 本レビューで初めて、Pdcd1遺伝子座のエピジェネティックな刷り込みが疲弊T細胞の表現型を安定的に維持する「分子記憶」として機能することを強調した。このエピジェネティックな変化は、抗原除去後もPD-1の発現が持続する理由を説明し、エピジェネティックリプログラミングが疲弊T細胞の機能回復に不可欠であるという新規の概念を提示した。また、Type I IFNが慢性感染下でT細胞疲弊を促進するという逆説的な役割も、本研究で初めて詳細に論じられた重要な新規所見である。

臨床応用: 本知見は、免疫チェックポイント阻害療法(ICI)の臨床応用に直結する。先駆疲弊T細胞の頻度がPD-1療法奏効予測因子であるというモデルは、その後の腫瘍免疫研究(例:Chen et al. Nature 2019; Siddiqui et al. Immunity 2019)の概念的基礎となり、現在のICI治療におけるバイオマーカー探索に大きな影響を与えている。Pdcd1のエピジェネティック刷り込みの知見は、DNMTiやHDACiといったエピジェネティック薬剤が疲弊T細胞のPD-1遮断感受性を回復させるという治療戦略の根拠となり、実際にアザシチジンとペムブロリズマブの併用療法などの臨床試験につながった。さらに、CD4+ T細胞由来IL-21がCD8+先駆疲弊T細胞の維持に必須であるという知見は、がん免疫におけるCD4+ TFH様細胞の重要性を予言し、現在のCD4+/CD8+ T細胞協調型CAR-TやTIL療法設計の基盤となっている。Wolchok et al. NEnglJMed 2013で示されたように、PD-1とCTLA-4の併用療法は単剤療法よりも高い奏効率を示しており、複数の抑制性経路を標的とすることの臨床的有用性が強調される。

残された課題: 今後の検討課題として、疲弊T細胞のマスター転写因子であるTOX/NR4Aによる疲弊プログラムの転写因子機序の全容解明(本論文時点では未言及だが、後に2019年に複数のグループが同定)、疲弊T細胞のエピジェネティックリプログラミング戦略の最適化、腫瘍免疫における先駆疲弊T細胞の数量的維持条件の解明、およびCD4+疲弊の腫瘍免疫における独立した役割の評価が残されている。また、疲弊T細胞の代謝変化に関する包括的な理解も今後の重要な研究方向性である。これらの課題を解決することで、次世代の免疫療法開発がさらに加速すると考えられる。

方法

本論文はレビュー記事であるため、特定の方法論を用いた実験やデータ解析は実施されていない。代わりに、慢性ウイルス感染症(主にリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス (LCMV) 感染モデル)および癌におけるT細胞疲弊に関する既存の科学文献を広範に調査し、その知見を統合・体系化している。

文献検索は、T細胞疲弊、PD-1、抑制性受容体、転写因子、エピジェネティクス、慢性感染症、腫瘍免疫、CD4+ T細胞疲弊といったキーワードを用いて、主要な免疫学およびウイルス学のジャーナルに掲載された論文を対象に行われた。検索はPubMed、Embase、Web of Scienceなどの主要なデータベースを用いて実施され、T細胞疲弊の概念が確立された2000年代以降の重要な原著論文およびレビュー記事が精査された。特に、2015年のepub_date以前に公開された研究に焦点を当て、関連性の高い論文を網羅的に収集した。

本レビューでは、以下の主要な研究領域からの知見が統合されている。

  1. 抑制性受容体の機能解析: PD-1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4など、T細胞疲弊に関与する複数の抑制性受容体の発現パターン、シグナル伝達経路、およびそれらの同時遮断効果に関する研究。
  2. T細胞疲弊の細胞階層: T-betとEOMESの発現パターンに基づく疲弊T細胞のサブセット(先駆疲弊T細胞と末梢疲弊T細胞)の同定と、それぞれの増殖能、分化経路、および免疫チェックポイント阻害療法への応答性に関する研究。
  3. 転写制御とエピジェネティクス: NFAT、BLIMP1、BATF、FOXO1などの転写因子がT細胞疲弊プログラムの誘導と維持に果たす役割、およびPdcd1遺伝子座のDNA脱メチル化といったエピジェネティックな変化が疲弊表現型の安定性に与える影響に関する研究。
  4. 可溶性因子の役割: IL-10、TGFβ、Type I IFNなどのサイトカインがT細胞疲弊の促進または抑制にどのように関与するかを調べた研究。
  5. CD4+ T細胞疲弊の特性: CD8+ T細胞疲弊との比較を通じて、CD4+ T細胞疲弊の独自の分子・細胞学的特徴、およびCD8+ T細胞応答への影響に関する研究。
  6. T細胞機能不全の鑑別: 疲弊、アネルギー、老化といった異なるT細胞機能不全状態の表現型、維持メカニズム、および抗原依存性の違いに関する比較研究。

これらの知見を統合することで、T細胞疲弊の多面的なメカニズムを包括的に提示し、今後の研究方向性および臨床応用への含意を導き出している。特に、LCMV感染モデルにおける詳細な解析データが、T細胞疲弊の動態と分子制御を理解するための基盤として重視されている。統計手法としては、各原著論文で用いられたt検定、ANOVA、log-rank検定などの統計解析結果が評価された。