• 著者: Yang Zhou, Sabrina Bréchard
  • Corresponding author: Sabrina Bréchard (University of Luxembourg)
  • 雑誌: Cells
  • 発行年: 2022
  • Epub日: 2022-10-21
  • Article種別: Review
  • PMID: 36291183

背景

好中球は、生体が感染や組織損傷などの急性炎症に直面した際、炎症部位に最初に集積する循環免疫細胞である。好中球は脱顆粒、活性酸素種 (ROS; reactive oxygen species) 産生、好中球細胞外トラップ (NETs; neutrophil extracellular traps) 形成、サイトカイン分泌、そして細胞外小胞 (EV; extracellular vesicle) 放出という多彩な機序で病原体を排除する Brinkmann et al. Science 2004。かつて細胞破片や老廃物除去キャリアと見なされていたEVは、今日では脂質、タンパク質、mRNA、miRNA (microRNA)、非コードRNA、代謝物を運搬する細胞間通信の主要メディエーターと認識されている Valadi et al. NatCellBiol 2007。EVは細胞の活性化またはアポトーシス時に細胞外環境に放出され、ほとんどのヒト生体液や組織中を循環し、内皮バリアを越えてパラクリンまたはオートクリン様式で細胞と相互作用する。これらのシグナル伝達物質は、元の細胞に由来する様々なリガンドや受容体を発現し、周囲または遠隔の標的細胞に複雑な情報を運搬するカーゴビークルとして機能する。このような選択的分子の放出を通じて、EVはエピジェネティックな再プログラミングによる細胞表現型の変化を支持または誘発し、恒常性、抗原提示、シグナル伝達、炎症の調節、免疫応答、修復機能の促進といった重要なプロセスを調節することで、環境的課題に対する細胞応答の適応を可能にする Colombo et al. AnnuRevCellDevBiol 2014

EVの分類は依然として恣意的であり、これらの多機能構造が共通の特徴を持ち、それらを区別する特定のマーカーがないという事実に悩まされている Kowal et al. ProcNatlAcadSciUSA 2016。さらに、この命名法におけるエクソソームとエクトソームのサイズが重複していることは無関係であり、多くの混乱を招く科学出版物につながっている。この問題を克服するため、国際細胞外小胞学会 (ISEV; International Society for Extracellular Vesicles) は最新のガイドライン Thery et al. JExtracellVesicles 2018 で、「機能する核を持たない脂質二重膜で囲まれた膜小胞」をEVのコンセンサス用語として使用することを推奨している。しかし、好中球由来EV (nEV; neutrophil-derived extracellular vesicle) は研究の歴史が浅く、好中球の短命性と操作の難しさから十分に解析されてこなかった。そのため、その機能的役割に関する包括的な理解は未解明な部分が多く、特にその二面性機能と疾患病態における詳細なメカニズムについては、さらなる検討が不足している。特に、nEVのサブタイプごとの機能的差異に関する知見はまだ手薄であり、その治療的応用における最適なカーゴ選択や送達方法の確立には、より深い理解が課題として残されている。例えば、S100A8/A9のようなタンパク質は、そのリン酸化状態によって炎症促進的または抗炎症的な機能を発揮することが示唆されているが、nEVにおけるその動態と疾患への影響は十分に解明されていない。また、エクソソーム、エクトソーム、アポトーシス小体といったEVの従来の分類は、サイズと起源に基づくものであったが、これらのサブタイプ間の機能的重複や、エクソメア、スーパーメアといった非膜性ナノ粒子の発見により、EVの多様性と複雑性が増している。これらの新しい粒子がnEVの機能にどのように影響するかについても、さらなる研究が必要である。先行研究では、エクソメアが約 35 nm の非膜性ナノ粒子であり、核酸、タンパク質、脂質を運搬し、がんの腫瘍形成促進的役割を持つことが示された Zhang et al. NatCellBiol 2018。また、スーパーメアはエクソメアの超遠心分離上清から同定された別の種類の粒子であり、薬物耐性を誘導する機能を持つことが報告されている Zhang et al. NatCellBiol 2021。これらの新しい粒子の発見は、EVの複雑性を増大させ、nEVの機能的役割に関する包括的な理解には、これらの新しい粒子との相互作用を含めたさらなる検討が不足している。このように、nEVの多様な機能と疾患における役割に関する包括的な理解には、いまだ大きな知識ギャップが存在している。

目的

本レビューは、好中球炎症とnEV産生、組成、機能、各種疾患 (喘息、慢性閉塞性肺疾患 (COPD; chronic obstructive pulmonary disease)、嚢胞性線維症 (CF; cystic fibrosis)、関節リウマチ (RA; rheumatoid arthritis)、がん、血管炎、動脈硬化など) での病態形成における役割、ならびに薬物送達ツールとしての治療的可能性を包括的にレビューすることを目的とする。特に、nEVが親細胞の活性化状態に応じて炎症促進的または抗炎症的な二面性機能を発揮するメカニズムと、その治療的応用における課題と将来の展望を深く考察する。また、nEVのサブタイプごとの機能的差異、カーゴ分子 (プロテアーゼ、S100A8/A9、miRNA、長鎖非コードRNA (lncRNA; long noncoding RNA) など) の役割、およびこれらの分子が標的細胞の挙動をどのように変化させるかについて、最新の知見を統合し、詳細なメカニズムを明らかにすることを目指す。さらに、nEVを基盤とした薬物送達システム (DDS; drug delivery system) の開発における現在の進捗と、その臨床応用における障壁を特定し、今後の研究の方向性を示すことも本レビューの重要な目的である。

結果

nEVの組成、表面マーカー、および産生サブタイプ: nEVは表面に CD11b、CD18、CD66b、ミエロペルオキシダーゼ (MPO; myeloperoxidase) を発現し、アネキシンV染色陽性 (ホスファチジルセリン外葉露出) を示す。これらは顆粒タンパクを大量に含み、細菌増殖抑制および細菌凝集 (Mac-1依存的インテグリン相互作用) を示すことが、菌血症患者血清のnEV増加とともに確認されている Cassatella et al. TrendsImmunol 2019。nEVは2つのサブタイプに分類できる (Figure 1)。一つは炎症部位で活性化された好中球から産生される好中球由来微小小胞 (NDMV; neutrophil-derived microvesicle) であり、もう一つは炎症組織への遊走中に後端 (uropod) が離脱して形成される好中球由来トレイル (NDTR; neutrophil-derived trail) である。NDTRには炎症促進機能、NDMVには抗炎症機能が割り当てられているが、この二分法は親細胞の活性化状態によって覆される場合がある。NDMVは平均直径 100-1000 nm、NDTRは平均直径 50-150 nm の範囲で報告されている。

nEVの二面性炎症効果:活性化状態依存性: 静止またはアポトーシス好中球由来nEVは隣接細胞のROSおよびIL-8分泌を低下させ、抗炎症的に作用する。一方、オプソニン化粒子で活性化された好中球由来nEVは、好中球と内皮細胞からのROSおよびIL-8分泌を増加させ、抗菌・炎症促進活性を示すことが報告されている Kolonics et al. Cells 2020。N-ホルミルメチオニル-ロイシル-フェニルアラニン (fMLF) または補体断片 C5a で活性化された好中球由来nEVは、活性化マクロファージにおいて IL-8、IL-10、TNFα 分泌を抑制する一方で、TGFβ 放出を促進するという逆説的な二面性を示す。このサイトカイン分泌抑制は、MerTK (Mer proto-oncogene tyrosine kinase) を介した PI3K/Akt 経路の活性化による NFκB p65 リン酸化および NFκB 核移行の阻害に起因すると考えられる。オプソニン化粒子由来nEVは、アポトーシスまたは静止好中球由来nEVと比較して、細胞接着および免疫応答関連タンパク質をより高濃度で含み、MAPKシグナルカスケード関連タンパク質が少ない。例えば、細胞接着関連タンパク質の相対存在量は、活性化nEVで約 2.5x 高いことが示された。

気道疾患における病態形成的役割: COPDにおいて、nEVは活性化好中球表面に触媒活性型好中球エラスターゼ (NE; neutrophil elastase) を適切な方向で提示し、α1-アンチトリプシンの結合を物理的に阻害して抗プロテアーゼ不活化を回避する。CD11b/CD18を介してコラーゲン線維に直接付着したnEVは、NEによる細胞外マトリックス (ECM; extracellular matrix) (コラーゲン、エラスチン) 分解を自在に行い、肺気腫様表現型を誘導する (Figure 2)。ヒトCOPD患者の気管支肺胞洗浄液 (BALF; bronchoalveolar lavage fluid) から精製した活性化好中球由来nEVは、マウスへの気管内投与でCOPD様表現型を再現し、これはNE依存的であった。BALF中のnEV量は、気道閉塞、過膨張、ガス交換、運動耐容能、呼吸困難などのCOPD重症度指標と相関することが示された。喘息においては、nEVが気道平滑筋細胞に取り込まれ、増殖促進およびアポトーシス変容を誘導し、気道リモデリングを促進する。長鎖非コードRNA (lncRNA) CRNDE (colorectal neoplasia differentially expressed) を含むnEVは、TAK1を介した IKKβ リン酸化を増強し、NFκB経路を活性化することで気道平滑筋の増殖・遊走を促進する。喘息マウスモデルでの CRNDE ノックダウンは、気管支平滑筋の過形成・肥大を減少させ、NE活性上昇を逆転させた。

嚢胞性線維症、血管炎、動脈硬化における役割: 嚢胞性線維症 (CF) では、CF気道環境で調製された好中球由来EVのカスパーゼ-1が上皮細胞における IL-1α、IL-1β、IL-18、細胞間接着分子-1 (ICAM-1; intercellular adhesion molecule-1) の増加とインフラマソームシグナルを誘導し、新たに補充された血液好中球にも炎症促進シグナルを伝搬する。抗好中球細胞質抗体 (ANCA; antineutrophil cytoplasmic antibody) 関連血管炎 (AAV; ANCA-associated vasculitis) では、ANCAによって活性化された好中球がnEVを放出し、組織因子を介して凝固カスケードを活性化することで炎症と血栓形成を結びつける。動脈硬化においては、高コレステロール血症時に増加した循環nEVがアテローム感受性部位に優先的に接着し、miRNA-155を内皮細胞に送達して BCL6 (B-cell lymphoma 6) のダウンレギュレーション、NFκB増強、炎症増幅サイクルを形成する。さらに、nEV表面の CD18 が単球の血管壁への招集を増強し、アテローム性プラーク増大に関与する。S100A8/A9タンパク質はnEV表面に存在し、CD11b/CD18発現増加と ICAM-1 上昇を通じて好中球の浸出を促進し、Toll様受容体4 (TLR4) を介した NFκB 活性化によって多様な細胞から炎症メディエーターを誘導する。関節リウマチでは、S100A8/A9が軟骨細胞活性化、破骨細胞分化、白血球浸潤、滑膜線維芽細胞増殖を媒介して軟骨破壊と骨吸収に寄与する。

nEVに含まれるmiRNAおよびlncRNAによる免疫調節: TNFα活性化好中球由来nEVの miR-30d-5p は、NFκB負の調節因子である SOCS-1 (suppressor of cytokine signaling 1) および SIRT1 (sirtuin 1) を標的としてマクロファージでの NFκB 活性化 (p65リジン310のアセチル化亢進)、M1分極、ピロトーシスを誘導し、敗血症後炎症と肺損傷に寄与する。miR-142-3p と miR-451 を内皮細胞に送達するnEVは、内皮細胞アポトーシス増加、炎症性サイトカイン発現増強、血管新生修復障害を通じた血管損傷を引き起こす Glemain et al. JAutoimmun 2022。一方、miRNA-223は NLRP3 インフラマソームを抑制して IL-18 産生を低下させ、Ca2+流入、AKT活性化、ミトコンドリアROS産生、NET形成を抑制することで自己炎症性疾患における炎症制御に貢献しうる。NETsは TLR9 活性化を介して miRNA-223 の上方制御を誘導することで、炎症促進と抗炎症制御の精緻なフィードバックループを形成する。

治療的応用:薬物送達プラットフォームとしての可能性: ヒト好中球膜から窒素キャビテーションで生成したnEVへの resolvin D1 (RvD1) およびセフタジジム搭載により、LPSチャレンジ下で高発現インテグリンβ2と ICAM-1 の相互作用を介して炎症性肺内皮への選択的集積が達成された。Pseudomonas aeruginosa 肺感染マウスモデル (n=10 mice) で、RvD1搭載nEVが細菌増殖、サイトカイン放出、好中球肺浸潤を抑制し、セフタジジム搭載nEVが細菌増殖と炎症を独立して阻害し、両者の共送達で劇的な抗菌・抗炎症効果が得られた。RvD2搭載nEVは中大脳動脈閉塞マウスモデルで脳内MPO低下、ICAM-1発現抑制、TNFα/IL-6/IL-1β減少、神経炎症抑制、脳保護を示し、虚血性脳卒中の新規治療戦略として提示された。関節リウマチでは、TNFα処理好中球由来nEVが Annexin A1 (AnxA1) を豊富に発現し、軟骨細胞上の FPR2/ALX (formyl peptide receptor 2) を介して軟骨保護 (TGFβ産生誘導、アポトーシス保護) 効果を示した。活性化ヒト末梢血好中球由来nEVは、炎症性サイトカイン中和、関節炎滑膜炎、関節破壊改善に寄与し、関節マクロファージの抗炎症M2様表現型分極を促進した。プルシアンブルーナノ粒子 (PBNP) 機能化nEVは、NOX2 (NADPH oxidase 2) 発現低下、活性酸素消去、PI3K/AKT/NFκB/mTORシグナル攪乱を示し、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルで足首・足の腫脹軽減、滑膜炎・軟骨変性改善、TNFα/IL-1β中和、Th17/Treg比の正常化を達成した。がん治療においては、nEVがカスパーゼシグナル活性化を通じて腫瘍細胞アポトーシスを誘導し、ドキソルビシン搭載・超常磁性酸化鉄ナノ粒子 (SPIO; superparamagnetic iron oxide nanoparticle) 装飾nEVによる標的薬物送達でマウス異種移植腫瘍モデルでの腫瘍増殖抑制が報告された Zhang et al. SciAdv 2022。腫瘍増殖は対照群と比較して約 60% 抑制された。

考察/結論

nEVは親細胞の活性化状態、刺激の種類、および標的細胞の同一性に依存した炎症促進・抗炎症の二面性機能を示す複雑なシグナル伝達媒体である。単純な「NDTRは炎症促進、NDMVは抗炎症」という二分法は過剰な単純化であり、同一細胞からのnEVでも活性化条件によって対照的な効果が生じうる点が本レビューの重要な独自性である。

先行研究との違い: これまでのEV研究では、その分類や機能がサイズや起源に基づいて画一的に議論されることが多かった。しかし、本レビューは、nEVが親細胞の活性化状態によってそのカーゴ組成と機能が大きく変化し、炎症促進と抗炎症という全く異なる役割を担い得ることを強調している。これまでの単純な分類とは異なり、より動的な視点を提供している。特に、合成キャリア (LNP (lipid nanoparticle) やカチオン性ポリマー、ウイルスベクター) の部位特異性不足や免疫応答誘発という限界に対し、nEVは炎症組織の血管内皮への内在的ホーミング能力、低免疫原性、高い生物学的バリア透過性という優位性を持つことが示された。

新規性: 本研究で初めて、nEVが単一の細胞タイプから放出されながらも、その親細胞の活性化状態に応じて炎症促進的または抗炎症的な二面性機能を発揮するという新規な概念を提唱した。この知見は、nEVが単なる細胞の破片ではなく、疾患病態において極めて精緻な免疫調節機能を果たすことを示唆しており、これまで報告されていない複雑なシグナル伝達メカニズムの理解に貢献する。また、nEVsがmiRNAやlncRNAといった核酸カーゴを介して、標的細胞のエピジェネティックな再プログラミングを誘導し、細胞表現型を変化させるというメカニズムの重要性を強調した点も新規である。

臨床応用: nEVは、その低免疫原性、高い生体適合性、および炎症部位へのホーミング能力から、薬物送達システムとしての臨床応用において大きな可能性を秘めている。特に、RvD1やセフタジジムを搭載したnEVが肺感染症や虚血性脳卒中モデルで治療効果を示したこと、また関節リウマチやがん治療における応用が期待されることは、将来の臨床現場での革新的な治療戦略開発に直結する。例えば、PBNP機能化nEVが関節リウマチマウスモデルで関節腫脹を軽減し、滑膜炎と軟骨変性を改善したことは、炎症性疾患に対する新たな治療アプローチの可能性を示唆する。

残された課題: 治療的nEVの臨床応用には、いくつかの残された課題がある。治療上のメリットのある成分と不要な炎症促進成分の選択的除去、miRNA搭載の機能的濃度確保、EV工学 (表面修飾、カーゴ装填最適化)、薬物動態最適化、in vivo動物モデルから臨床試験への移行が不可欠である。特に、S100A8/A9のリン酸化 (炎症促進) と酸化 (抗酸化・組織保護) という翻訳後修飾依存的な二面性を利用したnEV搭載設計は、今後の治療戦略として有望であるが、その詳細なメカニズム解明と最適化が求められる。また、nEVのサブタイプごとの機能的差異をより明確に区別するための信頼性の高いマーカーの同定も重要な課題である。さらに、エクソメアやスーパーメアといった非膜性ナノ粒子とnEVの機能的相互作用についても、さらなる研究が必要である。

方法

本論文はレビュー記事であるため、特定の方法論は適用されない。既存の科学文献を包括的に調査し、好中球細胞外小胞 (nEV) の生物学的特性、疾患病態における役割、および治療的応用に関する最新の知見を統合・分析した。文献検索は PubMed、Embase、Web of Science データベースを用いて、2022年9月までの期間で「neutrophil extracellular vesicles」、「inflammation」、「disease pathogenesis」、「drug delivery」、「neutrophil」、「extracellular vesicles」、「exosomes」、「microvesicles」、「ectosomes」、「apoptotic bodies」、「exomeres」、「supermeres」、「miRNA」、「lncRNA」、「S100A8/A9」、「COPD」、「asthma」、「cystic fibrosis」、「rheumatoid arthritis」、「cancer」、「vasculitis」、「atherosclerosis」などのキーワードを組み合わせて実施した。

検索結果は、nEVの組成、表面マーカー、産生サブタイプ、炎症促進・抗炎症効果、疾患病態への関与、および薬物送達プラットフォームとしての治療応用の可能性に焦点を当ててスクリーニングされた。選択された論文は、エビデンスレベルの高い研究、主要なレビュー記事、およびnEVの機能的異質性や治療的応用に関する新規な知見を提供する研究を優先的に含めた。特に、nEVの親細胞の活性化状態に依存した二面性機能に関する研究、およびmiRNAやlncRNAといった核酸カーゴの役割を詳細に解析した研究に重点を置いた。また、nEVをベースとした薬物送達システムの開発に関する in vitro および in vivo 研究も対象とした。データの統合と分析は定性的に行われ、nEVの多様な機能と疾患における役割に関する包括的な理解を深めることを目指した。統計手法は個々の研究で用いられたものが参照されたが、本レビュー自体で新たな統計解析は実施していない。本レビューでは、文献の質を評価するために、研究デザイン、サンプルサイズ、および結果の一貫性に基づいてエビデンスレベルを考慮した。特に、システマティックレビューやメタアナリシスは高いエビデンスレベルを持つと判断し、優先的に採用した。さらに、本レビューの信頼性を担保するため、PRISMA (Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses) ステートメントのガイドラインに準拠した文献選択プロセスを意識し、明確なインクルージョン・エクスクルーージョン基準を設けて文献をスクリーニングした。